燃やすための電子部品「MEPIC」を実際に燃やしてみる
イチケン / ICHIKEN一見すると普通のチップ抵抗のようだが、燃やすことを目的に作られた電子部品がある。イチケンはDigiKeyで購入したVishay製の「MEPIC」を取り上げ、電流を流して実際に燃やしながら、この部品が何に使われるのかを解説している。結論として話者は、普段の電子工作で進んで使うことはほとんどないものの、火薬に点火する最初のきっかけとして重要な役割を担う部品だと紹介している。
部品の外観と抵抗値
MEPICは非常に小さな部品で、サイズは0805(2mm×1.25mm)である。話者はこれを「ゴマ粒サイズ」と表現している。よく見ると中心部分に導体のようなものが通っており、抵抗値を測ると約2.1Ωだった。話者はこの細い線の部分に電流を流して燃やす仕組みだろうと推測し、実際に試している。
電流を少しずつ上げて燃やす
最初は0.3Aを流した。このときの消費電力は約0.2Wで、見た目には何も起きない。0.4Aまで上げると中央の線がわずかに赤くなり始め、0.42Aではかなりはっきり赤く光った。そして約0.45Aに達したところで、赤く光っていた線がプツッと切れた。話者の感想は「思ったよりも大したことない感じ」で、派手に炎が上がるわけではなかった。
続いて、最初から切れるだけの電流を一気に流す実験も行った。スイッチを入れると、「プチ」という感じで一瞬で切れた。徐々に電流を上げた場合は赤熱してから切れるのに対し、いきなり大きな電流を流すと即座に切れることが示された。
火薬系列の最初のきっかけを作る部品
話者によれば、MEPICは火薬を燃やすための「一番最初の部品」である。ここでいう火薬は工業用途などのものだ。例えば鉱山では細長い穴に火薬を詰めて爆破するが、こうした用途では小さな刺激から始めて、段階的に大きな爆発へとエネルギーを増幅させるのが一般的だという。この小さなエネルギーから大きなエネルギーへの伝わりを「火薬系列」や「エクスプローシブトレイン」と呼び、その最初のきっかけを作るのがこの部品だと話者は説明する。
もう一つの例が花火である。大規模な花火大会では音楽と同期して花火を打ち上げるが、そのためにはミリ秒単位の制御が必要になる。実験で見たとおりMEPICは一瞬で燃えるため、機械的ではなく電気的にタイミングを制御できる点が有利だと話者は述べている。
自動車のエアバッグでの使われ方
最も身近な例として話者が挙げるのが、自動車のエアバッグやシートベルトのプリテンショナーである。ただし話者は「もしかしたら使われているかもしれない」という言い方をしており、実際の採用を断定してはいない。
エアバッグの中には、ガスを発生させる「インフレーター」という部品がある。インフレーターの内部にはガス発生剤、伝火薬、点火器が入っている。ガスはガス発生剤を燃やすことで発生し、そのガス発生剤は伝火薬(エンハンサーとも呼ばれる)の燃焼によって燃やされる。さらに伝火薬に火をつけるのが点火器で、これはスクイーブやイニシエーターと呼ばれる。イニシエーターの中にも点火薬という火薬が入っており、それを燃やすために「ブリッジワイヤー」と呼ばれる線が使われている。この線に電流を流して発熱させ、点火薬に火をつける仕組みだ。
話者は、このブリッジワイヤーの部分にMEPICのような部品が使えると説明する。MEPICも表面の細い線に電流を流して燃やしているので、原理としては実質的に同じだという。
動作の流れはこうなる。車が速い速度で壁や電柱、前の車などに衝突すると、ECUから信号が来てブリッジワイヤーに通電する。その発熱で点火薬が燃え、吹き出した炎が次の火薬に移り、最終的にガス発生剤が燃えてガスが発生する。通電による発熱という小さなきっかけが、点火薬、伝火薬、ガス発生剤へと順に大きく伝わっていくわけだ。シートベルトのプリテンショナーも同様で、衝突時に乗員をシートに押さえつけるためにベルトを締める動作に、内部で火薬を燃やして発生させたガスを使っていると話者は述べている。
抵抗との燃え方の違い
最後に、話者はよく燃やす部品である普通の抵抗とMEPICの燃え方を比較した。違いは分かりにくいとしつつも、抵抗はじんわりと温まって、抵抗を構成する被膜が焼け焦げるような燃え方をする。一方MEPICは、線がパッと燃える、あるいは溶けるような切れ方をする。
話者は、こうした燃え方の再現性や発熱している時間が重要なパラメーターであり、部品としてきちんと設計されていなければ最初のきっかけとして使えないと指摘する。逆に言えば、専用部品が存在するということは、再現性を持ってそのきっかけを作れるということだろう、と話者は推測している。
最初に見たときは「なんだこれは」と思ったが、実は重要な部分に使われる部品だと分かって意外だった、というのが話者の締めくくりである。
この動画はDigiKeyの提供でお送りします。こちら、一見すると抵抗のような部品なんですが、実は燃やすために作られた部品なんです。
こんにちは。今回もDigiKeyから面白い電子部品を購入したので紹介していきます。こちら、Vishayから出ているMEPICという部品です。燃やすための部品ってなんだっていうことなんですけど、皆さんがこの部品を進んで使うことはほとんどありませんが、いざという時のために実は使われているかもしれない部品です。今日は実際にどのような動作をするのか、使いながら試してみます。
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まずはこちらのMEPIC、使ってみたいと思います。非常に小さい部品です。サイズは0805で、2mm×1.25mmです。ゴマ粒サイズって感じです。よく見てみると中心の部分に導体みたいのが通っています。このように抵抗値を測ってみると2オームでした。2.1Ωです。こちらの細い線の部分に電流を流して燃やすっていうことですね、きっと。
では実際に燃やしていきたいと思います。ではいきます。今0.3A流れています。電力的には0.2Wを消費している状態です。少しずつ電流を流していきましょう。
まだ何もないです。0.4A……。0.4A流しているんですけど、ちょっと赤くなっています。これわかりますか。こんな感じです。微妙に赤くなっているんですよ。
さらに電流を流していきます。0.42。おお、結構赤くなっている。大丈夫かこれ。切れました。だいたい0.45Aぐらいです。流した時にこの赤いのがプツって切れました。思ったよりも大したことない感じでした。
至近距離で見てみるとこんな感じです。徐々に電流を上げていくと、このように赤くなってプツッと切れると。次はいきなり切れる電流を流していくとどうなるかというと、このようになります。スイッチを入れます。プチって感じで切れました。
こんな感じで燃やしていたわけですが、ではこれは一体何のために使う部品なのかという疑問があります。実はこれ、火薬を燃やすための一番最初の部品なんです。火薬といっても工業用であったり、そういったものです。
例えば鉱山を掘るために細長い穴を掘って、そこに火薬を詰めて爆破なんてのがありますよね。そういった火工品では小さな刺激から始まって、最終的に大きな爆発にエネルギーを増幅させていくのが一般的です。この小さなエネルギーから大きなエネルギーへの伝わりのことを、火薬系列やエクスプローシブトレインと呼んだりします。そこの一番最初のきっかけを作るのがこの部品です。
あとは花火なんかもあります。大規模な花火大会ですと、音楽とシンクロして花火を打ち上げたりしていますよね。先ほどのMEPICが燃えた映像を見てもらった通り、一瞬で燃えていました。音楽と花火がちゃんとシンクロするためには、ミリ秒単位での制御が必要となります。なのでタイミングは機械的なものではなくて、電気的に制御ができると結構良かったりするんですね。
あとは皆さんの一番身近なものである、自動車のエアバッグやシートベルトのプリテンショナーにも、もしかしたらこれが使われているかもしれません。
エアバッグの構造に着目してみると、エアバッグの中にインフレーターと呼ばれる、ガスを発生させる部品が入っています。その中にはガス発生剤、伝火薬、点火器が入っています。
まずどうやってガスを発生させるかというと、インフレーターの中にはガス発生剤が入っています。それを燃やすことでガスを発生させています。ガス発生剤をどうやって燃やすのかというと、伝火薬、エンハンサーとも言うんですけども、それがさらに中に入っていて、それを燃やします。その伝火薬の燃焼がガス発生剤に伝わっていきます。
では伝火薬をどうやって燃やすのかが問題です。これには点火器を使っています。これはスクイブやイニシエーターと呼ばれます。イニシエーターの中にはさらに点火薬が入っています。これも火薬なんですが、これも燃やす必要があります。
イニシエーターの中にはブリッジワイヤーと呼ばれる線が入っていて、そこに電流を流して発熱、点火薬に火がつくわけです。その部分にMEPICのような燃やす部品を使えるということです。これも表面にある細い線に電流を流して燃やしているので、実質同じです。つまりそういうところに使える部品だったわけです。
では実際にエアバッグ内のインフレーターの動作を見てみます。例えば車が結構速い速度で壁とか電柱とか、前の車にぶつかったりすると、エアバッグを膨らませたいわけですよね。そこでまずECUから信号が来て、ブリッジワイヤーを通電します。そうしますとブリッジワイヤーの発熱で点火薬が燃えます。その後、吹き出した炎が伝火薬の方に移って、それがさらにガス発生剤を燃やしてガスが発生します。
透視で見てみるとこんな感じです。一番最初の通電による発熱という小さなきっかけが、点火薬、伝火薬、ガス発生剤という風に、大きなところに伝わっていくというのがわかると思います。
今はエアバッグを例にしていたのですけども、シートベルトもやっぱり同じようにガスを使っています。衝突した時に人間をシートに押さえつけるように、ベルトがキュッて締まるんですけども、それもやはり中で火薬を使ってガスを発生させています。
例えばよく燃やす部品の抵抗と燃え方を比べてみます。結構違いがわかりにくいんですけども、抵抗の方はなんとなくじんわりと暖かくなって、抵抗を作っている皮膜が焼け焦げるみたいな感じです。MEPICの方は結構パッと線が燃えるというか、溶けるみたいな感じです。
このあたりの燃え方の再現性とか、発熱している時間とかが結構重要なパラメーターで、これがちゃんと部品として設計できていないと、一番最初のきっかけとして使えないわけです。逆にこういう専用の部品があるくらいなので、ちゃんと再現性を持ってそのきっかけを作ることができるということかと思います。
というわけで、DigiKeyで見つけた変な部品のMEPICを実際に燃やしてみました。最初見た時はなんだこれはと思いましたが、結構重要な部分に使われている部品ということがわかって意外でした。これからもDigiKeyで面白い部品があれば購入していきたいと思います。
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