研究室のJupyterHubを学認RDMにつなぐための教材 NIIが示した学認RDMデータ解析機能の利用支援

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概要

国立情報学研究所(NII)クラウド基盤研究開発センターの藤原一毅氏は、学認LMSを軸に人材育成を扱うセッションで、学認RDMのデータ解析機能に関する新しい教材を紹介した。藤原氏によると、この教材は研究室や学科が自前のJupyterHub環境を立ち上げ、学認RDMと連携させるまでの作業を支えるために作られた。NIIが標準で提供する解析環境は意図的に小さく抑えてあり、本格的な計算には利用者側でサーバーを用意する必要がある。しかしこれまでの運営を通じて、自前でサーバーを用意する利用者はほとんど現れなかったという。

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学認RDMデータ解析機能とは

藤原氏が担当する学認RDMデータ解析機能は、NIIが提供する研究データ管理基盤「学認RDM」(NII RDCの一部)に付随するサービスである。学認RDMの利用者は、個人用のJupyterLab環境を使える。JupyterLabはプログラムの開発と実行ができるオンライン環境で、Python、R、MATLABのプログラムを動かせる。自分のコンピューターに実行環境をセットアップしなくても、NIIのクラウド上でボタン1つで実行できる。藤原氏は、この手軽さから教育や研究で使われていると説明した。

標準環境が小さいのは意図的

ボタン1つで使えるなら教育は要らないのではないか、という疑問を藤原氏は自ら挙げた。そのうえで、NIIのクラウドが提供する環境はメモリー5GB、ストレージ10GBとかなり小規模だと説明する。藤原氏は、これはNIIがケチだからではなく、意図的な運営方針だと述べた。

大きなメモリーを使う計算や、GPU、高性能CPUを必要とする研究では、利用者が自分でサーバーを立て、学認RDMと連携できるJupyterHub環境をインストールして使ってほしい。NIIは運営当初からこのように案内してきた。ところが藤原氏は、この作業は難しく、率直に言えばそこまでやる人がいないことが、これまでの運営で見えてきたと述べた。今回の教材開発はこの状況を受けたものである。

教材の構成:ユーザー向けと教員・管理者向け

新しい教材は学認LMSの教材の1つとして作られ、大きく2つに分かれる。あわせて、外部サーバー設定用のノートブックも公開された。

1つ目はユーザー向けで、JupyterHubやJupyter Notebookでプログラムを書く学生やプログラマーが対象である。テーマ1では、標準搭載の解析環境であるNIIのJupyterの使い方を扱う。テーマ2では、外部サーバーに構築された解析環境JupyterHubの使い方を扱う。テーマ2は、研究室の教員や技術者が外部サーバーを用意済みであることを前提に、その使い方を示している。

2つ目は教員・管理者向けで、研究室を運営する教員や、学科などで研究用のプログラミング環境を提供する立場の人が対象である。外部サーバーを立てるために実際に行う作業を詳しく説明している。藤原氏によれば、この教材は「このパッケージをインストールしてください」といった手順の説明にとどまらない。そもそも所属先の環境でネットワーク設定が可能なのかという考え方から始まり、必要なネットワーク設定とマシン設定、クラウドの選び方、学生に行わせたい計算の内容に合わせたコンピューターの選び方までを含む。各作業の考え方と注意点も説明しており、藤原氏は比較的幅広い内容だと述べた。

ケーススタディ:研究室での引き継ぎ

これらの教材を踏まえたケーススタディ教材も作られた。タイトルは「研究データ分析の引き継ぎを再現で解く」である。研究室でデータ解析、データそのもの、解析プログラムの実行環境を先輩から後輩へ引き継ぐためのノウハウをまとめている。藤原氏は、情報系の教員にとっては当たり前の内容だと認めている。そのうえで、これからデータ駆動型の研究を始める幅広い分野の教員に向けて、基本的な考え方を紹介する教材だと説明した。

継続的な機能開発とAIコーディングへの対応

データ解析機能自体は単純な機能だが、新機能の開発や既存機能の改良を継続的に進めているという。最近ではAIコーディングの普及を受け、Jupyter上でもAIを使い自然言語で指示してノートブックを作れるのではないかと考えた。そこでNIIが開発した「ジュピターミネルバ」というシステムを、学認RDMデータ解析機能の上で実行できる環境を整えたと藤原氏は紹介した。

利用条件と申請方法

教材は現在準備中だと聞いている、と藤原氏は述べた。学認LMSは現在157の機関で利用でき、自分の機関が対象かどうかはホームページで確認できる。データ解析機能は学認LMSとは提供方法が異なり、利用可否は学認RDMサポートポータルで確認する。自分の機関で使えない場合は、機関の責任者からNIIへ利用申請を出す必要がある。藤原氏は、使いたいのに所属大学で使えない場合は、情報システム担当者に頼んでNIIへ連絡してもらうよう呼びかけた。

学認クラウド導入支援サービス

最後に藤原氏は、クラウド基盤研究開発センターの「学認クラウド導入支援サービス」を紹介した。大学や研究機関の情報システム部門を対象に、クラウド導入に伴う手続きやコンプライアンスの問題の解決を支援するサービスである。具体的には次のような支援がある。

  • 各社クラウドの特徴をまとめたチェックリスト
  • 最新の動向を扱うセミナー
  • 各大学の状況に応じた個別レポート
  • コンサルティング

藤原氏は、機関としてクラウドを導入したいが、ガバナンスをどうするか、どのような契約を結ぶか、発注書をどう書くかといった実務面を支援するサービスだと説明した。学認RDMと連携するデータ解析機能用のサーバーの立て方についても相談できるという。特にクラウド導入に不安を持つ情報システム部門に利用を呼びかけて、発表を締めくくった。