転職の自己PRは「優秀さ」ではなく「マッチング」を証明する サラタメが語る3ステップの作り方

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概要

転職活動の書類や面接では、「あなたの強みを教えてください」「当社で活かせるスキルは何ですか」とほぼ必ず聞かれる。ブラック企業からホワイト企業への転職経験を持つYouTuberのサラタメは、この質問に戦略も狙いもないまま答えていると、本来取れたはずの内定を逃すと話す。動画では、自己PRで目指すべきゴールを最初に定め、そのうえで自己PRを作る3つのステップを説明し、最後に自分で作った回答例を示している。

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自己PRのゴールは「ハイスペの証明」ではない

サラタメが大前提として強調するのは、自己PRのゴールは「マッチングの証明」だという点である。応募書類でも面接でも、志望企業が求める能力と自分の能力がちょうど合っていることを示すべきだという。

ところが多くの人は、自分が優秀であること、つまり「ハイスペ」であることを示そうとしてしまう。初めて転職する人ほど、優秀さを証明できれば内定が取れると考えがちだが、サラタメはそうではないと言う。企業が中途採用で欲しいのは「ちょうどいい人」だからだ。空いているポストや足りないポストにぴったりはまる人材が求められている。

能力が基準に届かない人が落とされるのは当然として、サラタメは優秀すぎても落とされると指摘する。極端な例として挙げたのが、Excelに指定のデータを入力するだけの事務職の募集だ。そこへ一流コンサル企業で最年少マネージャーに昇進し、英語も中国語もドイツ語も話せるような人が応募してきても、企業側は採用できない。「うち以外の会社に行ったほうがいい」と思うし、仮に採用しても1〜2年で辞めるだろうと考えるからである。だから背伸びして優秀さを誇るよりも、志望企業との相性の良さを示すことを念頭に自己PRを作るべきだ、というのがサラタメの立場である。

ステップ1:志望企業が求める「〇〇な〇〇力」を特定する

1つ目のステップは、志望企業が今回の募集枠で求めている力を特定することだ。サラタメはこれを「情報収集」と言い換える。マッチングを証明するには、そもそも相手が何を求めているかを知らなければならない。

ここでサラタメがこだわるのが具体性である。「営業力」「交渉力」「コミュニケーション能力」のような「〇〇力」では曖昧すぎる。その企業ならではの事情を踏まえて、たとえば営業力の中でも「複数のキーマンとの調整力」や「短い時間で納得を引き出す力」といった「〇〇な〇〇力」の粒度まで特定する必要があるという。

似た企業・似た職種でもアピールすべき点は違う

解像度にこだわる理由として、サラタメは、似たような企業の似たような募集枠でもアピールすべき強みがまったく違うと気づけることを挙げる。

たとえば同じ経理職でも、上場している大企業を狙うかスタートアップを狙うかで、アピールポイントは「真逆ぐらい」違うという。営業職なら、不動産営業ではゴリゴリのクロージング力が求められる一方で、SaaSの営業ではクロージング力よりも適切な期待値調整力が求められる、とサラタメは説明する。さらに、大きく括ればほぼ同じ業態に見えるSansanとSmartHRのようなSaaS企業同士でも、サービスの特性上アピールすべき点は異なるという。

情報源は求人情報、社員インタビュー、口コミサイト

では企業ごとの独自性をどう特定するのか。サラタメが画面で示した情報源は4つで、最優先は求人情報である。「求める人物像」「必須条件」「歓迎条件」にある程度の情報が書かれているので、基礎として入念にチェックする。

ただし求人情報の「求める人物像」は、「探求心があって自ら行動できる人材」「失敗を恐れず積極的に挑戦できる人材」のようにぼんやりした表現が多い。どんな業務経験や能力を持つ人が欲しいのか、具体的にイメージしにくい場合が大半だという。

そこでサラタメは、公式サイトの社員インタビューと、口コミサイトの「企業文化」「働きがい」の2つを追加で調べるよう勧める。わざわざインタビューして自社サイトに載せる社員は、企業にとって理想的な人物であることが多い。その社員がどんな経験を積み、どんな強みを得たかは重要な手がかりになり、企業は応募者にもそうした経験と強みを期待している、とサラタメは考える。口コミサイトについては、OpenWorkの企業文化や働きがいのカテゴリーを見れば、社内でどんな経験やスキルを持つ人が評価されているかが分かるという。今回の募集枠で活躍するのはどんな経験と強みを持つ人か、という視点で情報を集めるうちに、求められる力の解像度が上がっていくと話す。

面倒なら転職エージェントに聞く

サラタメ自身、この情報収集は非常に大事だがとても面倒なステップだと認めている。時間や手間をかけられない人には、4つ目の情報源として転職エージェントに任せる方法を勧める。採用企業と密にコミュニケーションを取っている優秀なエージェントなら、求められるスキルや経験の情報を高い解像度で持っているからだ。

聞き方の例として、「この募集枠では具体的にどんな経験と強みを持つ人を求めているのか」「似ているA社とB社は何が違うのか」といった質問が挙がった。とても優秀なエージェントなら、どんな方向性で自己PRをした人が内定を取っているかという情報まで持っていて、打ち出し方の組み立てまで手伝ってくれることもあるという。

優秀なエージェントの見分け方については別の動画に譲りつつ、結論だけは述べている。大手より、志望する業界や職種に特化した中小規模のエージェントのほうが深い情報を持っていて断然おすすめだ、というのがサラタメの見解である。

ステップ2:求める力に合わせたエピソードを探す

2つ目のステップは、ステップ1で特定した「〇〇な〇〇力」を表すエピソードを、これまでの業務経験から引っ張り出すことだ。ここでサラタメが挙げる最重要ポイントは、「ぶっちゃけ強みと呼べなくてもいい、関連するエピソードさえあればいい」という点である。

例に出したのは、SmartHRの営業職を受けるケースだ。SmartHRは人事労務という、会社の根幹に関わる領域のサービスを扱う。そのため担当の人事部だけでなく、情報システム部や経営陣など多くの関係者との調整が済んでようやく成約に至る、とサラタメは説明する。求められるのはゴリゴリのクロージング力より、スマートな調整力に近い。ワンルーム不動産投資を、顧客の期待値を大きく上げてクロージング力で売りまくってきたような人は評価されないという。

だから、自分の強みとまで言えなくてもかまわないので、複数のキーマンの期待値をうまく調整しながら丁寧にクロージングした経験を1つ選び、それを軸に自己PRを作る。内定をどんどん取る人はこういう思考回路で自己PRを作っている、とサラタメは言う。

「自分らしさ」を軸にする考え方への反論

サラタメはこのステップに関連して、最近の転職ノウハウ本やキャリアコーチングでよく見る主張に異を唱える。徹底的に自己分析して自分だけの強みや自分らしさを見つけ、それを軸にアピールすればよい、という考え方だ。

サラタメによれば、現実にはそれでは内定は取れない。企業が応募者の自分らしさや独自の強みに合わせて採用してくれることはあり得ず、常にこちらが合わせる側になる。自分たちはお金をもらって働くプロのビジネスパーソンとして雇われるのだから、仕事でも面接でも転職活動全般でも合わせる側に回るべきだという。志望企業が求めるスキルと経験から逆算して、語るべき強みとエピソードを選び取る。これがステップ2の考え方である。

ステップ3:「結論→理由→エピソード→御社でも」の型で伝える

最後のステップは、準備したエピソードを「鉄板のフォーマット」で伝えることだ。その型が「結論→理由→エピソード→御社でも」である。サラタメは「10回復習して暗記してほしい」とまで言う。

面接で強みを聞かれたら、まず「私の強みは〇〇な〇〇力です」と結論から入る。次に、その力があると言える大まかな理由として「こういう仕事をしてきたからです」と伝える。続いて、結論と理由を支える根拠として、ステップ2で選んだエピソードを語る。どんな課題にどう取り組み、その結果どんな力が身についたかを話し、最後に「この力は御社でも活かせます」と、具体的にどう貢献したいかを述べて締める。

サラタメによれば、この流れに乗れば論理構成がシンプルになり、面接中に話がわけの分からない着地をすることがなくなる。話すのが苦手な人ほど、この流れを強く意識してほしいという。

エピソード部分はSTARの順で話す

4つのパートのうち、伝えるのが圧倒的に難しく、採用側が最も重視しているのが3番目のエピソードだとサラタメは言う。ここを簡潔に、かつ詳しくイメージできるように伝えられるかが自己PRの要だという。

そこで勧めるのが、Situation(状況)、Task(課題)、Action(行動)、Result(結果)の頭文字を取った「STAR」の順番である。「こんな仕事をしていて、こんな困った状況だった」「状況を分析して、ここが課題だと考えた」「だからこんな対策をした」「その結果こうなった」という流れで話す。サラタメは、面接でエピソードを語るならSTAR以外ありえないと断言する。この順で話すと自然と即戦力らしい印象になり、面接官に「自分で状況を分析し、課題を見つけ、考えて行動してくれそうだ」と思ってもらえるからだという。

実演:菓子メーカーの営業がSmartHRのフィールドセールスを狙う場合

最後のチャプターで、サラタメは自分で作った自己PRの要点を示した。設定は、中小の菓子メーカーでスーパーや小売店に菓子を売る営業担当者が、SmartHRのフィールドセールス職を志望するというものだ。

あえてこの設定にしたのは難しいからだとサラタメは言う。SaaSのような高額の無形商材の営業経験ならよいが、その真逆である低単価の有形商材の営業経験は、法人営業とはいえSaaS企業には受けがよくない。この条件でどうアピールするかを見せたいというのが狙いである。

回答は型に沿って組み立てられる。結論は「営業職として培ってきた強みは、複数のキーマンを巻き込む調整力です」。理由は「その調整力で大手スーパー(大手小売店)Aへの新規導入を決め、売上目標を〇年連続で〇%達成してきたから」。数字は伏せ字で示されている。

エピソードはSTARの順で語られる。状況としては、自社の主力商品が担当エリアでナンバーワンの大手スーパーに導入できておらず、同規模の中小菓子メーカーはどこも導入できていなかった。一方で、そこに導入しなければ売上目標の達成はかなり難しかった。課題は調整の難しさである。大手スーパーは中小のスーパーとは攻略法がまったく違い、店長、バイヤー、商品本部の課長や部長など、調整すべきキーマンが非常に多かった。加えて社内でも、大手スーパーの販売力に見合う在庫を確保する調整が難しく、手つかずになっていた。行動としては、大手スーパーに「〇〇という提案」をして一部店舗で試験導入してもらい、その結果をもとに複数のキーマンに働きかけた。同時に、在庫確保のための社内調整も進めた。結果として、そのスーパーで定番導入が決まり、部の売上目標を〇%上回り、社内の在庫トラブルも起きなかった。ここで「こうした業務経験を経て、複数のキーマンを巻き込む調整力を培ってきました」といったん締める。

最後の「御社でも」のパートでは、御社のサービスは人事労務という全社戦略に関わるものなので、窓口の人事部だけでなく情報システム部や経営陣まで多くのキーマンとの難しい調整が必要になるはずだと述べる。そのうえで、そうした難しくもチャレンジングな環境でこそ、複数のキーマンと調整しながら売上にコミットする力で貢献したい、と結ぶ。

長すぎる問題は「会話のキャッチボール」で解く

サラタメ自身、この回答は「めちゃくちゃ長い」と認める。すべてを一人で話し続ければ、面接官は退屈してしまうかもしれない。そこで勧めるのが、会話のキャッチボールをしながら話すことだ。

どれほど流暢に話しても、聞き手には一人語りが長く感じられるという。そのため、面接官が「そこでは何が課題だったのか」「どんな工夫をしたのか」「得意先に何を言われたのか」と質問を挟めるよう、焦らずゆっくり、間をたっぷり取って話すよう勧める。面接官がまったく質問してこない場合は、「具体的なエピソードを1つお話ししてもいいですか」「実際にやった対策の話が少し長くなりますが、いいですか」とこちらから投げかける。ときには脇道にそれながらも、基本は型どおりに進められれば最強だとサラタメは語り、「99.999%内定が取れちゃいます」と強い言葉で締めくくった。

動画内では扱われなかった論点

冒頭では、自己PRで多くの人が使いがちな「コミュニケーション能力」「行動力」「主体性」「リーダーシップ」といった強みは逆効果なのでアピールしないほうがよい、という話や、よくある質問への回答も予告されていた。しかし動画が長くなったため、これらは本編では説明されず、別途配布する資料と限定動画に回された。自己PRをもっとコンパクトにまとめる方法や、志望先がSansanなど別のSaaS企業だった場合の組み立て方も同じ扱いである。

サラタメは、本編の内容をきちんと理解すれば内定は十分取れるとして、動画を締めくくった。自己PRのゴールはマッチングの証明であり、そのために「〇〇な〇〇力」を特定し、それに合うエピソードを探し、「結論→理由→エピソード→御社でも」とSTARの型で伝える。これが動画の結論である。