見積もりから切断まで自社で握る:NOX METALSの「Factory is the Product」をFoundXが読み解く
東京大学FoundXFoundXの「Startup IdeaCast」は、海外スタートアップのアイデアをAIで整理・分析して紹介する番組である。今回取り上げたのは、Y Combinatorに採択されたデトロイト発の製造業スタートアップ、NOX METALSだ。番組では、情報はAIで整理しているため古いものや誤りが含まれる可能性があり、一次情報は各自で確認してほしいと冒頭で断っている。
解説役は、前回・前々回のエネルギー、その前のモーター・アクチュエーターに続き、今回は金属を題材に選んだと説明する。AIとソフトウェア、自社工場を一体化してCNC加工業者に金属材料を短納期で供給するという、日本にもありそうな事業が、なぜ今のアメリカで成立するのか。これが今回の問いである。解説役は全体を通じて、NOX METALSを「金属をネットで売る会社」ではなく、工場そのものを製品として設計し直す試みとして捉えている。
「ソフトウェアで動く金属サービスセンター」とは何か
解説役はNOX METALSを一言で「ソフトウェアで動く金属サービスセンター」と表現する。金属サービスセンターとは、金属メーカーから材料を仕入れて在庫し、顧客が指定した寸法に切断して供給する事業者を指す。目立たない存在だが、ここが止まるとCNCのような高価な設備も止まってしまうため、実はボトルネックになりうる領域だと説明された。
背景にあるのは米国の製造業再建の政策である。防衛サプライチェーンを含めて産業基盤を強化しようとする一方で、アメリカでは金属の供給側がやや手薄になっている。最先端の工場が高い稼働スピードで立ち上がろうとしているのに、既存の金属調達では数日かかってしまう。NOX METALSは、工場、在庫、見積もり、切断計画、品質証明、配送をまとめて最適化し、こうした工場や防衛網のスピードに合う調達を実現しようとしている、というのが解説役の整理だ。最近言われる「Factory is the Product」、つまり工場そのものを製品として反復可能かつスピーディに作れるか、に取り組むスタートアップだと位置づけた。
なぜ今なのか:需要側と供給側の変化
聞き手から、製造業回帰以外の追い風を問われた解説役は、需要側と供給側の二つを挙げた。需要側では、リショアリングや国内製造、防衛供給網の強化によって需要が高まりつつある。供給側では、AIやクラウドによって、複数の注文を横断した切断計画や価格計算が実装しやすくなった。そして工場側のスピードが上がるほど、材料調達が相対的にボトルネックになってくる。
では、既存の町工場にSaaSを売るだけでは足りないのか。聞き手のこの問いに、解説役は見積もりの例で答えた。仮に見積もりSaaSで見積もりが速くなっても、在庫、切断、設備への指示が分断されていれば納期は縮まらない。加えて、既存企業の業務プロセスを変える組織的なコストも大きい。だから自社を持ち、ソフトウェア前提の「ソフトウェアデファインドなファクトリー」を最初から設計して顧客の需要スピードに合わせた方がよい、というのが彼らの仮説だという。垂直統合の範囲は、顧客向け画面、価格計算、切断計画、在庫データ、金属在庫そのもの、切断設備、工場オペレーションまで及ぶ。将来的には配送や拠点まで含める可能性がフェーズ3あたりであるのでは、と解説役は見ている。
課題:材料待ちで高価な設備と熟練者が止まる
対象顧客は、CNC加工を行うジョブショップ、OEM、航空宇宙・防衛、産業機械メーカーである。従来は図面や寸法をメールで送り、業者と電話で確認しながら見積もりと材料到着を待つ。この待ち時間が3〜5日ほどあったという。その間、高価なCNC設備や熟練作業者が遊休状態になる。解説役は、顧客の本当の課題は材料価格の差ではなく、納期の遅延と設備稼働率の低下だと強調した。
ほかにも課題が挙げられた。従来の金属切断では、プレートの30〜40%が端材(スクラップ)として廃棄されていた。品質証明書や原産地情報の追跡にも大きな事務負担があった。
既存の代替手段にも限界がある。大手の商社や問屋は在庫が豊富だが、システムが分断されていて、小口・短納期への対応が不均一になりがちだ。かといって自社で板材を買って切ろうとすると、多額の在庫資金、自社の切断機、端材の管理まで必要になり、顧客はそこをやりたくない。だからこそサービスセンターが必要とされてきた、と解説役は説明する。NOX METALSが特に狙うのは、少量だが急ぎが必要な注文、設備停止のコストが高い顧客、品質保証や品質証明が必要な顧客である。
聞き手が、最もペインを強く感じる顧客像を尋ねると、解説役は三つを挙げた。一つ目は、高価なCNC設備を遊ばせることが痛手になる顧客や、材料在庫を多く抱えられない中小の加工業者。二つ目は、試作品、補修部品、少量多品種など発注予測が難しい顧客。三つ目は、納期ペナルティが大きい航空宇宙・防衛系である。
聞き手はさらに、大手商社や問屋が同様の短納期サービスを始めたらNOX METALSは苦しくなるのか、と問うた。解説役は「おそらくそう」と認める。実際に短納期に対応している企業もあり、他社が本格的に参入すれば仮説が崩れる可能性もあるという。ただしNOX METALSは、見積もりから切断、証明書までの一貫したデジタル体験で差をつけられると考えている、と整理した。
解決策:60秒見積もりから実行可能な切断計画へ
解決策の構成要素として、解説役は二つのシステムを紹介した。一つは見積もり用のAIポータル(番組内で「ゴンド」と聞こえる名称で紹介された)で、見積もり、発注、進捗確認、再注文の入口を担う。もう一つは最適化システム「NoxNest」で、複数の注文を組み合わせて切断配置とスケジュールを決める。
ポイントは、見積もり結果が単なる価格表示で終わらず、そのまま実行可能な切断計画につながることだ。見積もり、在庫、工程、証明書を一つのデータでつなぐことで、営業担当者による情報の再入力を減らす。レガシーな調達では、メール、見積書、表計算を人が介在してつなぎ、また電話やメールでやり取りしていた。これをデータとAIで、注文から切断、納品まで一気に流すことで、リードタイムを大幅に短くしようとしている。
同社は「60秒見積もり」を打ち出しているという。ただ解説役は、顧客価値の本質は注文から材料到着までのトータルのリードタイムにあると見る。自社工場を持つことで、システムが示した納期を自社でコントロールしやすくすることが狙いだという。ソフトウェアと物理的な自社切断設備をAPIレベルで接続する垂直統合がメリットであり、実績として、生産開始から7か月で米国の数百の工場に出荷したと紹介された。
聞き手が「AI」の具体的な中身を尋ねると、解説役は次の要素を挙げた。注文内容の構造化と価格計算、複数注文を横断した材料上の配置(ネスティング)、切断順・設備スケジュール・在庫補充の最適化である。これらはルールベースの最適化と機械学習の組み合わせだろうとし、そうした全体を同社は「AIを使っている」と言っているようだと述べた。
なぜ自社工場まで持つのか
自社工場は事業を重くする。それでもそこまでやる理由を聞かれた解説役は、外部工場に委託する場合の弱点を挙げた。外部を使うと、設備の状況や在庫をリアルタイムに把握しにくい。表面はソフトウェアでも裏側が外注先であれば、ソフトウェアが出した計画を現場で確実に実行してくれるとは限らず、サービスレベルを保証できない。自社工場にすることで、そのサービスレベルを上げ、一定に保てる、というのが解説役の説明である。
市場:巨大な流通市場から、アルミ切断材の短納期へ
同社が見ている市場規模として、解説役は米国の広義の金属流通市場を2,000億〜3,000億ドル程度と紹介した。SAMはCNC加工向け材料、SOMはアルミのプレート・ブロック切断材の短納期市場で、初期はここに徹底的に集中して体験を磨こうとしているという。
市場成長のドライバーとしては、米国の製造業向け建設支出の増加、産業基盤への継続的な投資、そして国防総省(解説役は「今は戦争省という名前になった」と補足)による防衛産業基盤の強化が挙げられた。国内調達やサプライチェーンの国内回帰が推進されていることが追い風になっているという。さらに、工場側の在庫最小化・ジャストインタイム志向により、保管コスト削減に伴う小口・短納期配送の需要が急増しているとも見ている。解説役は、日本ではこのあたりはすでに最適化が進んでおり、アメリカならではの面もあるのではないかという感想も添えた。
アルミに絞ると市場が小さすぎないか、という聞き手の疑問に対して、解説役は、絞ることで業務を反復可能な形に洗練させ、学習スピードを上げる狙いだろうと答えた。一つの顧客群で高い再注文率や粗利を得てから隣接する材料に進むパターンを考えているのではないか、とも推測する。ただし、地域内のアルミ需要が小さければ稼働率が上がらないため、地域性は考慮が必要だと留保した。
ビジネスモデル:材料、加工、短納期、配送、そして端材
主な収益源は、材料代、切断加工費、短納期プレミアム、配送費の組み合わせだとされる。支払うのはCNC加工業者や航空宇宙メーカーである。粗利改善の鍵として紹介されたのが端材の扱いだ。通常なら30〜40%が廃棄同然になる端材をAIで即座にデジタル在庫化し、「NoxDrops」というECで別の顧客に再販売する。これにより材料原価の回収率を高め、業界標準を超える粗利率の実現を目指しているという。
解説役は、この事業では売上総利益率だけでなく、在庫回転率や設備稼働率が非常に重要になると指摘する。SaaSのような高粗利モデルではなく、金属を実際に仕入れて売る以上、在庫回転など製造業的な指標が効いてくる。初期の設備投資(CAPEX)も必要だ。規模の経済が効く事業なので、注文量をどこまで積み上げ、配送密度や在庫回転率を高めて物流費を下げ、利益率を上げられるかが課題になるとした。
規模の経済を働かせる条件を問われると、解説役は、地域的な注文密度と在庫回転率が高まれば成立しやすいと答えた。一方で、拠点を増やして需要が分散すると、各拠点の在庫と設備が非効率になる。どう拡大していくかは今後の難しいところだという。
聞き手は、NoxDropsがカニバリゼーションを起こさないかとも質問した。サイズにこだわらず急ぎで安く買いたい顧客にとって、端材ECは本体より早く安い選択肢になりうるからだ。解説役は、値付けを誤ればカニバリゼーションは起きうると認めた。ただし同社の考えとしては、新しい材料を正確な寸法で必要とする顧客と、サイズに柔軟で安さを重視する顧客は別だとして、うまく分けようとしているという。また、端材販売がなければ廃棄か長期滞留になる材料を現金化できるので、利益率を高めるものになると考えているようだ、と紹介した。
戦略:三つのレイヤーを統合し、複製可能な「工場OS」を作る
解説役は、同社の戦略を「フルスタックの垂直統合」と表現し、三つのレイヤーに分けて説明した。顧客接点としてのポータル、意思決定と最適化を担う内部のNoxNest、実行基盤としての自社工場と切断設備である。自社工場を持つことで、既存企業へのSaaS提供では越えられなかったアナログな現場手順の制約から離れ、リードタイムを大きく短縮できる、というのが同社の考えだという。
見積もりからネスティング、工程管理、在庫管理までを内製し、ソフトウェアと実機の切断機をAPIで直接連動させて、人手を介さない運用を目指している。解説役は、垂直統合の競争優位は「全部自分で持っていること」自体ではなく、各レイヤーのデータが連携して動くことにあると見る。標準的なオペレーションを作り、ソフトウェアとハードウェアを同時に改善していくのが狙いだという。
一方で、システム障害や設備故障が全工程に波及するという、単一スタック特有のリスクもあると解説役は指摘した。それでも、職人技で工場を回すのではなく複製可能な「工場OS」を作るという観点から、まず垂直統合を選んでいるのだろうと述べた。10〜20年後の理想像としては、高度に自動化された「スーパーファクトリー」を全米に多数展開してネットワーク化し、航空宇宙、防衛、産業製造を支える国家インフラのような存在になりたいと考えているという。
どこまでを自社で持ち、どこから外部に任せるべきか。聞き手のこの問いに、解説役は、統合によってメリットが出るところを垂直統合するという考え方だろうと答えた。今回でいえば、価格、納期、品質を左右するデータと業務は自社で管理する。一方、汎用設備の製造は自社で行わず、物流も標準的な事業者に任せるなど、差別化しにくい部分は外部を活用する。顧客の本当のペインを解くうえでのボトルネックがどこにあり、それを自社で持つことで解消できるなら取りに行く。そういう判断がよいのではないか、と解説役は述べた。
ロードマップ:デトロイトのアルミから、西海岸と他素材へ
フェーズ1では、商材をアルミのプレート・ブロック切断に極端に絞り、60秒見積もりと短期間での納品を検証する。デトロイトの初期工場で実証している段階だという。長方形の材料は、図面の解釈や加工パターンを標準化しやすく、即時見積もりの対象に向いている。ここで検証しているのは需要だけではない。納期を守れるか、歩留まりが改善するか、顧客が再注文するか、設備投資を回収できるかといった供給側の検証も含まれる、と解説役は整理した。
フェーズ2は拡大と最適化の段階で、デトロイトにある約3万平方フィートの、第二次世界大戦時代の工場だという新施設を稼働させて生産能力を広げる。あわせてNoxNestの性能向上を進める。フェーズ3では、米国西海岸、特に航空宇宙のハブなどへ拠点を展開し、鉄鋼などの別素材やシート材など別形状へ商材を広げ、設備の自動化も進める構想だという。
最初にアルミを選んだ理由について、解説役は次のように説明した。高単価な航空宇宙用途やCNC加工での需要があること。長方形のアルミ材が最も標準化しやすいこと。重量あたりの単価が高く、短納期配送でも経済性を作りやすいと判断されたこと。つまり、やりやすさと需要の両方があったということだ。
ロードマップ上で最も危ないポイントを聞かれると、解説役は「むちゃくちゃいっぱいある」としたうえで、いくつかを挙げた。大型設備や在庫を増やす段階で回転率を確保できるか。地域や素材をどう広げるか。近すぎる拠点同士が需要を食い合わないか。工場ごとの設備や工程を標準化して守れるか。全体として、かなりリスクを取っているスタートアップだと評価している。
競合とモート:データループ、統合UX、スピード
競合比較で、同社の優位性として解説役が挙げたのは、人手を介さない即時見積もりと、見積もりと自社工場の直結である。レガシーな大手は即時見積もりが得意ではない。オンデマンド型の競合スタートアップはあるが、ファブレスで自社工場を持たないところも多く、自社工場を持つNOX METALSとはサービスレベルが変わってくるのではないか、という見方だ。ほかに、端材を即座にデジタル化して再販すること、CNC向け素材に特化して運用していることも挙げられた。一方で、同社はまだデトロイトにしか拠点がない。多拠点を持つレガシー大手に物流面で勝てるかは課題として残る、と解説役は付け加えた。
モートとして整理されたのは四つである。一つ目はデータループで、注文と切断の実績を即座にAIの学習データとして使い最適化できる。二つ目は、見積もりから出荷追跡まで分断のない統合UX。三つ目は速度で、60秒見積もりと工程に直結した短納期が可能なこと。これに端材EC化による資源効率も加わる。四つ目はフォーカスで、CNC向け素材に特化することで学習のデータループを速く回せる。総じて、ソフトウェアで標準化された工場運営を作ろうとしている点が核心だとされた。
大手が同じソフトウェアを作ったらどうなるか、という聞き手の質問に、解説役は率直に答えた。大手は膨大な在庫、購買力(バイイングパワー)、既存の配送網を持っているので、同じものを作れば大手が勝つのではないか。画面や見積もり機能も模倣可能だろう。ただし、組織の形、ERP、設備を一気に変えることは難しい。スクラッチで自動化設備を先に導入し、それに合わせて組織や在庫を最適化できるという前提が正しければ、NOX METALSがより速く良い体験を提供して勝てるかもしれない、という見立てである。
ここで解説役は、別のスタートアップHadrianの話にも触れた。Hadrianもロールアップで既存工場を取得する構想を考えていたが、最終的には自分たちで最初から作った方が早いという結論になったという。既存の施設や設備があると、それを変えるだけで大変で、設備の配置場所を変えることすら難しい。ゼロから作った方が早いというのが、NOX METALSとHadrianに共通する仮説だろうと解説役は述べた。
参入戦略:複雑な加工を捨て、創業者がトラックで届ける
初期ターゲットは、CNC向けの長方形アルミ切断ブロックに絞られた。最初の顧客は、CNC加工機を早く回したいのに材料手配の回答待ちで高価な機械が止まっている小規模工場や、航空宇宙のサプライヤーである。複雑な形状加工は意図的に捨て、寸法指定の長方形アルミブロックの切断と供給に集中してMVPを作った。複雑形状まで受けると見積もりロジックや工程設計が複雑化するためだ。解説役は、価値提供に必要な部分は削らず、顧客を絞ることで本当の価値を確実に届けたのだろうと解釈している。
面白い点として紹介されたのが、初期の顧客獲得で創業者自らトラックを運転して配達していたことだ。現場の購買担当者から直接フィードバックを得ていたという。SNSで工場の泥臭い現実を発信し、集客にも使っていたようだ。解説役は、創業者が非常に若いことから、そうしたメディアをうまく使い、新しく生まれてきた需要家を獲得しようとしたのではないかと推測する。検証の軸は見積もりの速さだけでなく、実際の納品スピードとリピートの有無にあったと見ている。
既存の取引先からの切り替えコストがあるのに、なぜ顧客は乗り換えたのか。聞き手の問いに、解説役は、短納期や納期の確実性に大きなペインがあれば、多少高くても知らない会社から買うことはあるだろうと答えた。自身も明日欲しいものは多少高くても買ってしまうことがある、という体験も添えた。証明書が確認できること、オンラインで完結することによる試しやすさ、設備停止コストに比べれば許容できる価格プレミアム、そしてUXが理由だろうと解説役は推測している。
創業者とチーム:工場の現場とソフトウェアの両方を知る
創業者の実家は機械加工工場で、床掃除やフォークリフトの運転といった現場の業務を経験していたという。その後ソフトウェア領域で起業した経験もあり、現場を知らないIT人材でも、ソフトウェアを知らない工場人材でもない、両方を経験している人物だと紹介された。
創業者は金属加工工場「デルタ7」(番組内の発音による)を買収して運営し、そこでも金属素材の調達が遅く手作業であることが自社のボトルネックになっていると痛感したという。顧客ヒアリングだけでは見つけにくい発注、待ち時間、端材、設備停止を当事者として経験したことが、課題設定につながったとされる。
初期チームには、業界歴21年の大手鉄鋼流通企業出身のベテランを採用したと紹介された。そのほか、現場の営業スペシャリストや、高度な最適化AIを構築できるソフトウェアエンジニアもいる。設備、安全、品質管理はハードウェア系のベテランに任せる。ただし業界経験者だけでは既存の業務慣行を前提にしてしまうので、そこにソフトウェアを入れていく、という構成だ。金属流通のベテランは仕入れ、品質、顧客関係を補っているという。解説役は、Y Combinatorが昨年ごろ打ち出していた「テクノ・インダストリアリスト」的なストーリーを持つスタートアップであり、そのストーリーに惹かれた人たちが集まっているようだと述べた。
聞き手が、この経歴がどう経営に生きているかを問うと、解説役は二点を挙げた。一つは、ハードウェアとソフトウェアの両方を理解していること。特にここでいうハードウェアは、動く機械そのものというより工場現場のことだという。課題を外からのヒアリングで推測したのではなく、工場運営の実体験から見つけている点が重要だとした。もう一つは、製造業の顧客と業界用語や現実的な制約を理解したうえで会話できることで、それが信頼と発注につながっているという点である。
では製造業の経験がなければ不利なのか。解説役は、創業者自身も機械工場に近い環境で育ったとはいえ、業界課題はデルタ7の運営を通じて知っていったと振り返る。そう考えると、自分たちで体験する、現場に長く入る、業界人材を連れてくる、現場に常駐する、あるいは買収するといった形で学習速度を上げれば、製造業出身でなくてもある程度のレベルには行けるのではないか、と答えた。
初期仮説からの学び:ソフトウェアだけでは工場は変わらない
同社は当初、優れたソフトウェアで効率化すれば勝てると考えていたという。しかし実際には、画面上の改善だけでは足りなかった。巨大な切断機の故障や油漏れといった物理的なトラブルを泥臭く解決する現場の実行力が、改善には不可欠だと感じたそうだ。そして全方位の顧客を狙うのではなく、自社工場を持ってアルミ材を必要とする特定の顧客に絞ったことが、事業のブレイクスルーになったという。大手の精錬所から直接仕入れるなど、人間関係に依存するレガシーな業界で、信用をゼロから築いていったことも語られた。
もう一つの学びとして挙げられたのがY Combinatorへの参加である。単なるアクセラレーター参加にとどまらず、スケーラブルなテック企業としてのブランディングや信用の補完になり、次の大型資金調達の呼び水になったという。作業者の安全や緊急注文が同時に発生する現場をきちんと回すことはソフトウェアだけでは解決できない。一方で、それだけではソフトウェア企業としてのブランドがつかない。その両者をYCでつなぎ、地方の金属加工会社からテクノロジー企業へと見え方を変えられた、と解説役は紹介した。
YCに参加しなくても成立したか、という聞き手の問いには、解説役は「全然成立したと思う」と答えた。YCはあくまで外部からの信用を加速する装置であり、採用や資金調達には効いただろうが、事業の中核はYC以前から存在していた、という見方だ。
資金調達とスケール:VCは資本集約型モデルに何を期待するか
資金調達については、プレシードで460万ドル、その後1,150万ドルを調達したと紹介された。工場設備のCAPEXが大きい事業だが、米国の再工業化と防衛サプライチェーン強化というマクロな流れに乗って、トップVCから調達したという。最近の出資者としては、Anduril創業者のパルマー・ラッキー氏や、Hyperionの名前が挙がった。現在のメンバーは22名で、トラクションは前述の通り7か月で全米数百の工場への出荷である。財務数値は非公開だが、このスピードで物理インフラを拡大しているという。資金は、工場の取得と改装、切断設備、金属在庫、人材に充てる考えのようだ。
資本の重い事業にVCは何を期待しているのか。解説役は三点を挙げた。第一に、製造業の市場規模が非常に大きく、業界インフラになる可能性があること。第二に、ソフトウェアデファインドでAIネイティブな工場として標準化できれば、人の教育や育成への依存が減り、従来より速く拠点展開できる可能性があること。第三に、物理資産、データ、国とのリレーションが組み合わさると、モートとして非常に強くなると期待されていることだ。
日本で同じ事業をやるなら:AIが示した三案
番組では、日本で同様のアイデアで起業するならどうするかをAIに考えさせた結果も紹介された。
- 案A:垂直統合型 特定の材料に絞り、自社設備と即時見積もりを統合する、NOX METALS型のモデル。AIはこれを推奨している。
- 案B:SaaS型 既存の問屋、商社、加工会社向けにAI見積もりSaaSを提供する。必要資本は低いが、インパクトは弱いとAIは整理している。
- 案C:工場ネットワーク型 地域の工場ネットワークをAPIで束ねるアセットライトな方式。自社工場を持たず全国の空き設備をつなぎ、ファブレスで即時見積もりを行う。解説役は、かつてのラクスルの印刷工場マッチングの金属版のようなものだと例えた。必要資本もインパクトも中程度だが、品質管理が難航するのではないかと指摘されている。
案Aを採った場合の日本特有の勝ち筋として、AIは、日本の緻密な物流網を活かし、特定の工業団地周辺にドミナント展開して圧倒的な配送密度を築くことが後発の優位になりうると整理したという。
案Aで始めるなら何を検証すべきか、と聞き手が問うた。解説役は、納期と品質を一貫して制御し顧客への約束を守るという点で案Aは有望だとした。ただしCAPEXが大きいため、NOX METALSと同様に、特定地域・特定材料で需要を先に確認する必要がある。顧客の緊急注文が少なければ設備投資を回収できない点にも注意が必要だという。
結論:物理世界のボトルネックにAIで入り込む
まとめとして解説役は、次の学びを挙げた。一つ目は「Factory is the Product」、つまり既存企業にSaaSを売るのではなく、自ら物理レイヤーを持って理想的なオペレーションを一から作ること。二つ目は、金属流通全体を押さえようとせず、特定形状のアルミという極めて狭い市場に入り、他社が追いつけないUXを作ってから広げること。三つ目は物語の力で、単なる金属販売ではなく、国家の再工業化や防衛強化というマクロなナラティブに乗ることで、VCの資金と支援を引きつけたこと。四つ目は、情報の受け渡しや待ち時間など、リードタイムとボトルネックがどこで発生しているかを考え抜くこと。そのためにB2Bのレガシー産業の現場に入り込み、CNCの遊休時間などを計測することが大事だという。解説役は、AIが画面の中にとどまらず、工場、在庫、物流といった物理世界を最適化する力を持ち始めた段階にあり、そこを取りに行くことが次の勝ち筋になるのではないかと述べた。
同時に解説役は、これはアメリカだからこそできる面もあると留保した。製造業が一度大きく失われた(航空宇宙などは残っているが)からこそ新しいサプライヤーが入り込める余地があり、需要が伸びようとしている局面だからこそ新しいプレイヤーが参入できる、という見方である。
聞き手は、「Factory is the Product」の考え方が参考になると応じた。オペレーションごとゼロから理想形を作るとどうなるかを考えることは、製造業に限らない。実際に現場に入ってストップウォッチで測れば、大きく改善できる余地は多くの業界にあるのではないか、という感想だった。解説役はこれに同意しつつ、CAPEXが重いため、ユニットエコノミクスが本当に成り立つのか、今後工場を増やす際に再現性を保てるのかにはまだリスクが残るビジネスだと改めて指摘した。そのうえで、製造業にAIを入れてオペレーションを根本から改善しようとするスタートアップが現れていること自体が非常に興味深い、と締めくくった。
皆さん、こんにちは。FoundXの馬田です。
同じくFoundXの富田です。
雑談なんですが、そろそろこの動画シリーズも、そろそろ50回って感じです。
わあ、すごい。いや、なかなか頑張りましたね。
そうですね。週2回撮ってきましたね。はい。今日はこれ週3個目になるんですけど。
確かに。
はい。私が来週出張になるので、ちょっと前倒しして撮ってます。
はい。
そうですね。はい。また皆さんの反応を見つつ、どうやっていこうか考えたいと思いますので、よろしくお願いします。
そうですね。でも私自身もすごい勉強になって、詳しくなったなと思います。
はい。私もやっぱり調べないとわかんないですね。
そうですね。
じゃあということで、ここからアイデアキャストのコーナーです。Review Startup IdeaCastでは海外のスタートアップのアイデアをAIを使って分析して紹介していきます。これからアイデアを考える人たちの参考になればと思っています。ディスクレーマーですが、AIを活用して情報を整理しているので、一部情報が古かったり間違っている可能性もあります。ファクトを重視される場合は必ずご自身で調べるようお願いします。本ポッドキャストはあくまでアイデアの参考情報や考え方を引き出すことを目的としています。ということで、今日はノックスメタルズというYコンビネーターに採択されたスタートアップを紹介していきたいなと思います。
これを今回選ばれた理由はどういうところでしょうか?
そうですね、製造業系、リショアリングに近いところで、こうしたところが出てきていますよっていうのを。前回、前々回がエナジーで、その前がウエストマグでモーター・アクチュエーターでしたが、今回はメタルにして、金属みたいなところをアメリカがどう作っていこうとしているのか。特にAIとソフトウェアと自社工場、これらを一体化して、CNC加工業者などに金属材料を短納期で供給するみたいな、日本でもありそうなものがなぜアメリカで成立するのか、みたいなところを見ていければなと思っているところです。
では早速全体像に入っていきたいと思います。このスタートアップ、ノックスメタルズですが、簡単に言うとソフトウェアで動く金属サービスセンターというものを作ろうとしているというところです。米国で今、製造業の産業基盤を徐々にまた復活させようという政策が走っていますが、そこに乗っかっているところかなと思います。防衛サプライチェーンとかも含めて、この強靭化をしていくという中で、金属のメーカーがやや少なくなってきているアメリカの状況に対して、最先端の工場の稼働スピード、今そういうものがアメリカで立ち上がろうとしている中で、それに対応できるような金属の調達ができるところを作っていくというのが、このノックスメタルズというところです。今、既存の金属調達だとどうしても数日、後ほど話しますが数日かかるというところを、このスタートアップは最先端の工場に合わせた納期を達成するためのものを作っていくというところが、今ノックスメタルズがやろうとしているところかなと思います。
特にこの辺りは、金属サービスセンターっていうのが、金属メーカーから材料を仕入れて在庫を管理して、顧客の指定寸法に切断して供給するみたいな、そうしたものをやるところになっています。非常に目立たない存在ではあるんですが、ここが止まってしまうとCNCとかの高価な設備も止まってしまう。なので実はボトルネックになり得る領域だという風に言われています。ノックスメタルズを金属をネット販売する会社という風に捉えるんではなくて、この工場とか在庫とか見積もりとか切断計画とか品質証明とか配送、これらを一気に最適化して、今最先端のCNCとかが入りつつあるアメリカの製造業とか防衛網というところにうまく対応していく、こうしたところをやっていくというのが、このスタートアップの価値というところなのかなと。「Factory is the Product」という風なことが最近言われていたりしますが、工場そのものを製品として、反復可能かつスピーディーにできるのかみたいな、そうしたところに取り組もうとしているスタートアップなのかなと思います。
その背景として、製造業回帰があると思うんですけど、他にも今取り組む理由とか追い風が吹いている理由はどういったところにあるんでしょうか?
そうですね。まずは需要側ということで、リショアリングとか国内製造、あと防衛供給網の強化みたいなところの需要が高まりつつあるというのが1つです。もう1個、やっぱりサプライ側も大きく変わりつつあって、AIとかクラウド、こうした存在によって複数の注文を横断したような切断計画とか価格の計算とか、こういうところが実装しやすくなったと。で、工場側、需要側ですね、のスピードが上がっていく中で、材料調達の作業というところが相対的にボトルネックになるというところで、ここをソフトウェアとしていわゆる既存の町工場とかに提供するんじゃなくて、自分たちがその工場を作って実際に納品をしていく、そういったところをやっていくっていうのが今っていう状況なのかなと思いますね。
そうですね。今の話と重なるんですが、既存の町工場にSaaSを売るだけだと不十分というか、それよりもっと大きい変革ができるということでこのアイデアなんでしょうか。
そうみたいですね。もちろんSaaSみたいなところをどこに当てるのかというところ次第かもしれませんけれども、例えば見積もりのSaaSとかがあって、そこが早くなったとしても、在庫とか切断とか設備の指示とかいうところがもし分断されていたら、なかなか納期が縮まらないというところがあります。また、既存の業務プロセスとかを変更する組織的なコストも大きいということで、自社工場を持って、ソフトウェア前提、ソフトウェアデファインドなファクトリーみたいなところを最初から設計して、顧客の需要のスピードに合わせていくことをした方がいいんじゃないかというのが彼らの仮説っていうところなのかなと思いますね。ちなみに後で少し説明しますが、ここが持とうとしているのは顧客向けの画面とか価格計算とか切断計画、在庫データ、そして金属の在庫、そして切断の設備、工場オペレーションみたいな感じで、そこまで垂直統合していこうとしているみたいです。あとは将来的には配送とか拠点とかまで含んでいく可能性が、フェーズ3ぐらいであるのかなと思っていて、こちらも少し話したいと思います。
では、課題です。対象顧客はCNC加工を行うようなジョブショップとかOEMとか、航空宇宙あるいは防衛とか産業機械メーカーです。ここでの課題というのが、従来はメールで図面や寸法を送って、業者と電話で確認しながら見積もりと材料到着を待って、そこで3から5日ぐらい待っているというようなところがあったみたいです。その間に、高価なCNC設備とか熟練の作業者が遊休状態になってしまうというのが、需要側というかお客様側のペインとなっていたみたいです。なので、材料の価格の差というよりは、納期の遅延とか設備稼働率の低下というところがお客様側の本当の課題であって、そこに関してスピーディに納品していくというのが彼らのやっていることなのかなと思います。
あとは、従来の金属切断ではプレートの30%から40%が端材、いわゆるスクラップとして廃棄されていたというような課題もあったり、他に品質証明書や原産地の情報の追跡というところに大きな事務的な負担があったというところがあったみたいです。ただ、既存ももちろんそうしたところに対して解決策があったんですけれども、大手の商社や問屋には在庫が豊富だけれども、システムが分断されていて、小口や短納期の対応が不均一であったりとか、かと言って自社で板を購入してやったとしても、多額の在庫資金であるとか自社の切断機が必要であるとか、端材の管理とかまで手間がかかってしまって、ここもやりたくないっていうところがあり、ここを受けてくれるような、金属ショップみたいなところ、サービスセンターですね、が必要だったという風に言われています。なので最も強いニーズがあるのは、少量だけれども切れ目なく必要とか、設備停止コストが高いであるとか、あるいは品質保証とか品質証明が必要なお客様とか注文に対して、このノックスメタルズはうまく対応していけるんじゃないかというような、そうした課題に絞っているみたいですね。
顧客について伺いたいんですけど、この課題について1番強く感じるようなお客様ってどういった顧客になるんでしょうか?
そうですね、CNC設備、特に高価なCNC設備を持っていて、遊休させているのがペインになるようなお客様であるとか、あるいは材料の在庫をなかなか多く抱えられないような中小の加工業者みたいなところが1つ大きいところかなと思っています。あとは試作品とか補修部品とか少量品みたいな、発注の予測が難しいような顧客も、急いで欲しいみたいなことに関してはかなりペインがあるのかなと。あとは納期のペナルティが大きいような航空宇宙、防衛系というところに関してもペインが大きいところかなと思います。
既存の代替手段で大手商社とか問屋もあげていただいたんですけど、そういったところが今後同じような短納期のサービスを提供すると、ノックスメタルズとしては結構難しくなってくるんですか?
おそらくはそうですね。実際に一部の企業とかは短納期の対応とか行っているみたいですし、もしかしたら他のところもやってきたら、ノックスメタルズの仮説が崩れてしまうみたいなことがあるのかもしれませんねと思います。一応、ノックスメタルズの仮説としては、この見積もりから切断、そして証明書までの一貫したデジタル体験というところで差を作っていけるんじゃないか、みたいなことは考えたみたいです。
では解決策です。彼らがやろうとしているのは、まずゴンドみたいなシステムがありまして、そのAIポータルですね、見積もりをするためのポータルサイトがあって、そこで見積もりから発注、進捗確認、再注文の入り口まであるというような、AIポータルみたいなものがあるみたいです。そして最適化システムのノックスネストというシステムを作っているみたいで、こちらが複数の注文を組み合わせて切断の配置とかスケジュールを決めて。ここですね、見積もりの結果というものが単なる価格表示ではなくって、そのまま実行可能な切断計画につながっていくというような、その見積もりから在庫、工程、証明書というものを1つのデータでつないでいくことで、営業担当者による情報の再入力を減らすみたいなことをされているみたいです。本当にレガシーな調達プロセスだと、そこがメールとか見積書とか表計算みたいなところをやって、人間が介在してまたメールとか電話とかでやっていくみたいなところを、すっとデータとAIで顧客の注文から切断までして、そして納品までしていくという、本当にリードタイムをすごく短くするというところなのかなと思っています。
60秒見積もりみたいなことを言っているみたいなんですけれども、顧客価値の本質的なところは注文から材料の到着までの総リードタイムで、これを自社工場を持つことによって、システムが示した納期というものを自社でコントロールしやすくしていくということが、1つ彼らが狙っているところかなと思っています。実際に、このソフトウェアと物理的な自社切断設備というものをAPIレベルで完全に接続していくような垂直統合を取っているというのが彼らの1つのメリットであると。そして実際に生産開始後7ヶ月で数百の米国の工場に出荷したみたいなことが言われているみたいですし、シードラウンドでも11ぐらいの大渡し金所を達成しているという状況です。
その彼らが言っているAIっていうのは、具体的には既存の中だとどういうようなことをしているんでしょうか?
そうですね。まず注文内容の構造化とか、あと価格の計算ということをしているみたいです。そして複数の注文を横断したような材料への配置、いわゆるネスティングですね、ということをやっているというところ。そして切断順とか設備のスケジュールとか在庫補充の最適化というところを、ルールベースの最適化と機械学習を使っているところと色々あると思いますが、この辺りを組み合わせて、AIを使ってやっていると言っているみたいですね。
自社工場で持つとかなり重たくなるなとは思うんですけど、やっぱりここまでやらないといけなかった理由があるんでしょうか?
そうですね。外部の工場とかに発注する、依頼するってこともできなくはないと思いますが、外部を使う場合は、設備の状況とか在庫とかがリアルタイムにはなかなか把握できないというデメリットはあるかなと。そしてソフトウェアが出した計画っていうものを現場で確実に実行できないかもしれない。表面はソフトウェアになっていても、裏が他の外注先であれば、ちゃんと自分たちの望み通りにやってくれるとは限らない。サービスレベルを保証できないというところがあり、自社工場にすることによって、そこのサービスレベルというものをある程度上げていこう、一定にしていこうということができるのかなと思います。
では市場に関してです。まず彼らが狙っているところは、米国の広義の金属の流通市場をTAMにして、ここが2000億から3000億ドルぐらいという風に見ているみたいです。そこからCNC加工向けの材料っていうものをSAMにおいて、さらにSOMとしては、アルミプレートとかブロック切断材の短納期の市場みたいなところに対して圧倒的なフォーカスをして、初期のUXを構築していこうとしているみたいですね。なので、起業初期に関しては、この一部のところをやっていこうとしているみたいです。市場の成長のドライバーとして彼らが考えているのは、米国の製造業向けの建設支出というところが増えてきていること。これが1つありますと。産業基盤への投資が継続してきているというところが1つ。あとは国防総省、今は戦争省っていう名前になっちゃいましたが、防衛産業基盤の強靭化というところで国内調達とかサプライチェーンの国内回帰を推進しているという状況が1つ追い風になっていると言われています。あとは工場側の在庫最小化の思考、ジャストインタイムの思考ですね、というところが言われていて、保管コストの削減に伴うような小口とか短納期配送への需要の急増があると見ているみたいです。
日本ではもうすでにこの辺は最適化しちゃっているので、アメリカならではなのかなという気もしなくはないですけれども、まずは非常に狭い領域、アルミ切断材に全リソースを集中してそこをやって、圧倒的な体験を作り、競合に差別化していくっていうところから入っていっているみたいですね。
なるほど。
逆にアルミに絞っちゃうと、そこだけだと小さすぎるような可能性もあるなと思って、どういう風にして進めるような見通しなんでしょうか?
まずは業務を反復可能と言いますか、洗練させていくっていうところをやっていくということで、逆に絞ることによってその学習スピードを上げていこうとしているのかなと思っています。あとは1つの顧客群で、高い再注文率とかいい粗利というものを獲得して、隣接の材料に進んでいくというパターンを考えているんじゃないかなと思います。ただもちろん、地域内でのアルミ需要というものが小さい場合は稼働率が上がらないので、そこに関しては地域性とかも少し考えなければいけないかなと思います。
ではビジネスモデルです。彼らのビジネスモデルとしては、主な収益源は材料代、切断加工費、短納期のプレミアム、配送費、これらの組み合わせだと言われていますと。支払いをするのはCNC加工業者とか航空宇宙のメーカーですと。で、粗利の改善の決め手としては、通常30%から40%が廃棄同然となるような端材、これをAIで即座にデジタル在庫化していくみたいなところが1つあるようです。あとはNoxDropsというECサイトを作って、そこでデジタル在庫化して別の顧客に再販売するみたいなことをしているみたいで、材料原価の回収率を高めているみたいです。そうして業界標準を超えるような粗利率というものを実現しようとしているそうです。
なので、売上総利益率みたいなところだけではなくて、在庫回転率とか設備稼働率とか、この辺りをやっていくというのが非常に重要です。彼らはSaaSみたいな高粗利の利用料モデルではなくって、金属材料を実際に仕入れて販売していくので、この辺の在庫回転とか、いわゆる製造業的なところがすごく大事になってくるところかなと思いますし、最初のCAPEXですね、初期資本の投下が必要なところなので、ここをどうしていくのか。そしてあとはもちろんスケールですね。規模の経済が効くので、注文量をどこまで伸ばせるか。配送密度とか在庫回転率が高まっていくことになると思うので、その物流費が低下して利益率が向上するような規模の経済まで持っていけるかどうかというところが、もう1つ彼らが考えなきゃいけないビジネスモデルのところかなと思います。
その規模の経済を働かせるっていうためには、どういう点を考えていくような必要があるんでしょうか?
そうですね。少し先ほど言いましたけれども、配送密度と言いますか、注文の地域的な密度と在庫回転率が高まると成立しやすいのかなと思います。ただ一方で、拠点を増やして需要が分散してしまうと、各拠点の在庫と設備が非効率になってしまうので、ここをどう拡大していくのかは結構今後の難しいところかなと思いますね。
NoxDrops、ECで再販するってことですが、それは急ぎで、ある程度サイズが合っていなくてもいいものを買いたいっていう方にとっては、早いし安くなるような選択肢になるかと思うので、逆に本体側の販売を食べてしまうことにもならないんでしょうか?
そうですね。値付けを誤っちゃうと、カニバリゼーションみたいなところは発生しちゃうかなと思います。ただ一方で、彼らの言い分的には、新しい材を正確な寸法で必要とするような顧客と、サイズには柔軟で安さを重視する顧客は違うんじゃないかということで、ここはうまく分けていこうというところを考えているみたいです。あと、端材販売がなければ廃棄または長期滞留するような材料というものがあって、それはそれで困っているので、それを現金化するところに関しては、利益率が高まるようなものではないか、みたいなことは考えているみたいですね。
では戦略です。彼らはいわゆるフルスタックの垂直統合という選択をしたところかなと思います。まず、このノックスメタルズが持つレイヤーは大きく3つありますと。顧客接点のコントロールみたいなところのポータルサイトがあります。そして意思決定とか最適化の、内部で使うようなノックスネストと言われているようなAIとか最適化があり、そして実行基盤としての自社の工場とか切断設備がありますと。この3つのレイヤーで、それらをうまく統合して働かせていくというのが、このノックスメタルズの垂直統合なのかなと思います。
この自社工場を保有することによって、既存企業へのSaaSアプローチでは達成できなかった、アナログな現場手順とかに制約されることなく、抜本的なリードタイムの劇的な短縮というものが価値として提供できるんじゃないかというのが彼らの考えているところです。あとは内製とハードウェア連動ということで、この見積もりからネスティング、工程管理、在庫管理システムというものを完全に内製して、こうしたソフトウェアと実機の切断機みたいなものをAPIで直接連動させて、人間が負債にしていくであるとか、ということを考えているみたいです。
なので、ある意味この垂直統合の競争優位というのは、全部自分たちで持っていることそれ自体ではなくって、各レイヤーのデータというものがそれぞれ連携しながらうまく動くことが非常に大事で、こうした標準的なオペレーションを作って、ソフトウェアとハードウェアを同時に改善していく。これが彼らが狙っている戦略なのかなと思います。ただもちろん、システム障害とか設備の故障とかが全工程に波及しちゃうので、単一スタック特有のリスクはあるとは思いますが、今後その工場を職人技で運用していくのではなくて、複製可能な工場OSを作っていくという観点だと、こうした垂直統合をまずはしていくというところが彼らの狙っている戦略ではないかなと思いますね。
あとは10年後から20年後の理想像としては、全米に対して高度に自動化されたスーパーファクトリーというものをいっぱい作って、そのスーパーファクトリーのネットワークというのを展開していく。そうすることで国家のインフラとして、実際の航空宇宙とか防衛とか産業製造みたいなことを支えていく存在になりたい、みたいなことを考えているそうです。
垂直統合ということだったんですが、それを考える上で、どこまでは自社で持って、どこからは外部に任せるってような判断をするといいんでしょうか?
そうですね。統合によってメリットが出るところは基本的には垂直統合していくみたいな考え方なのかなと思います。具体的には今回は、価格とか納期とかあるいは品質みたいなところ、これらを左右するようなデータとか業務に関しては自分たちで管理していくのかなと思います。一方で、汎用設備の製造とかは自分たちでオリジナルの製造はしないとか、あるいは物流とかは標準的な物流に任せるとか、差別化しづらいところに関しては外部を活用していく、という考え方になっているのかなと。いずれにせよ、そのお客様の本当のペインというものをどう解決するのかというところで、その時にボトルネックになるものがどこであって、そのボトルネックが自社で持つことによって解消できるんであれば、それを解消しに行くみたいな判断の方がいいのかなと思います。
では、少しロードマップの話も出ているので、ロードマップの話をしたいと思います。フェーズ1は、彼らはまずアルミプレート・ブロックの切断のみに商材を極度に絞って、60秒の見積もりと短期間での納品というものを検証していくと。今回このスタートアップはデトロイトなんですが、このデトロイトの初期の工場で稼働を実証している、そうした状況です。特に長方形の材料というものは図面の解釈とか加工のパターンを標準化しやすいので、即時見積もりの対象がいいと言われていて、ここからまず始めていこうということみたいです。そこで、納期を守れるかとか、歩留まりが改善するかとか、顧客が再注文するかとか、あるいは設備投資を回収できるかどうかみたいなところを、需要だけではなくサプライ側の方も検証しているという状況かなと思います。
で、次に拡大とか最適化のフェーズ2に入っていくであろうと。そこではデトロイトの約3万平方フィートですね、第2次世界大戦時代の工場らしいんですけども、そこで新しい施設を稼働させて生産能力を拡大させていくということを狙っているみたいです。そしてソフトウェアによる歩留まり最適化、ノックスネストというものの性能の向上ということをやっていって、そして第3フェーズにおいて、米国の西海岸ですね、特に航空宇宙のハブ等への拠点の展開をしていって、さらに扱うものも鉄鋼とか中部とかシート材とか、別の素材とか別の形状への商材の拡張、そして設備のさらなる自動化をしていくということを考えているようですね。
フェーズ1としてですね、最初にアルミを選んだ理由ってどの辺りにあるんでしょうか?
1つは高単価な航空宇宙用のところに需要があったりとか、あとCNC加工とかで需要があるというところが1つと、あとは最も標準化しやすいのが長方形のアルミ材みたいなことだったみたいで、まずはそこでやっていこうと。やりやすさと需要側があるというのが1つあったのかなと思います。あとは、などに比べて重量あたりの単価も高いですし、短納期配送みたいなところに関しても経済性を作りやすい可能性が高いと判断されたみたいです。
あとはこのロードマップ上で1番危ないポイントで、彼らが今後気をつけるポイントってどの段階になるんでしょうか?
いやあ、むちゃくちゃいっぱいあると思いますけどね。大型設備とか在庫を増やす段階で、ちゃんと回転率とかいけるのかどうかとか、地域をどこに置いていくのか、あるいは材料をどうやって増やしていくのか。この拡張計画というのも非常に大事。近くだと需要を食い合っちゃうとかあったりすると思いますし、あとは工場ごとの設備とか工程とかがちゃんと守られているかどうか、標準化できるかどうかというところが、もう1つ別の危険性としてあるのかなと思います。割とリスクを結構取っているスタートアップかなとは思いますね。
では、競合やモートの話になります。今回スライドをご覧になっている方は比較というものが見えているかもしれませんが、いくつかノックスメタルズには優位性があると、彼ら自身は考えているんじゃないかなと思っています。1つが人手を介さない即時見積もり。これはノックスメタルズがAIとかを使ってできているところですと。レガシーの大手とかに関してはここがあまりうまくないというところがありますと。あとは見積もりと自社工場の直結みたいなところ、ノックスメタルズならではですと。もちろんこの辺り、オンデマンドでやっている他のところがあったりはしますが、そこはファブレスでやっているスタートアップとかも結構あるみたいで、つまり自社工場を持っていないところと自社工場を持っているノックスメタルズでサービスレベルが違ってくるんじゃないかっていうのが1つですと。あとは他にも、端材を即時にデジタルで再販していくことであったりとか、CNC向けの素材特化で運用していくところがあったりします。ただ一方で、彼らはまだデトロイトにしか拠点がないので、レガシーの大手とかはいろんな拠点を持っていて、そこに対して本当に物流とかで勝てるのかどうかというところは課題としてあるのかもしれないなと思います。
こうした状況の中で、差別化要素とかモートがあるとしたら、1つがデータループですと。彼らは注文と切断の実績というものが即座にAIの学習データとして使える、そして最適化していくみたいなことができるんじゃないかというのが1つ。あとは統合的なUXです。見積もりから出荷の追跡まで、お客様にとって分断のないような統合がなされていて、UXがいい点。そして3つ目が速度。60秒の見積もりと、そこから工程に直結するような短納期が実現可能であったりとか、あと資源効率という観点で、端材をEC在庫化して販売していくというところ。そして最後に、フォーカスをすごく絞って、CNC向けの材に特化した運用をすることで、学習のデータループっていうものを早くしていけるんじゃないかなというのが彼らのポイントかなと思います。それは、このソフトウェアで標準化された工場運営というものを作っていこうとしているのが彼らのポイントなのかなと思います。
その点と重なるんですが、大手企業が同じようなソフトウェアを開発するとしても、先に行ってしまう、負けないようにはどうしたらいいんですかね?
そうですね。大手はやっぱり膨大な在庫を持っていますし、購買力もバーゲニングパワーもあるし、既存の配送網とかもあるので、同じようなものを作ってしまえば大手が勝つんじゃないかなと思います。画面とか見積もり機能は模倣可能だったりはすると。ただ一方で、やっぱり組織の形とかERPとか設備とか、これを一気に変更するっていうのはなかなか難しいんじゃないかなと思います。なので、今だったらスクラッチで自動化された設備とかをノックスメタルズが早く先に導入する。そしてそれに合わせた組織最適化とか在庫の最適化とかもできるというのが正しければ、ノックスメタルズがより早く、より良い体験というものをお客様に提供して勝てるかもしれない、というのがあるんじゃないかなと思います。
実際、他のスタートアップのハドリアンとかの話を聞いていても、ロールアップして工場とかをやっていこうみたいなことを考えていたものの、最後はやっぱり自分たちで最初から作った方が早いと。既存の施設とか設備とかがあると、それを動かすのだけで大変というか、設備を置いている場所とかを変更するのも大変みたいなことだったりするので、0から作った方が早いんじゃないかっていうのが、ノックスメタルズとハドリアンの仮説なのかなと思いますね。
では参入戦略です。彼らは初期ターゲットを、CNC向けの長方形のアルミ切断ブロックというところに絞ってやっていきましたと。最初の顧客に関しては、CNC加工機を早く回したいけれども、材料手配の回答待ちで高価な機械が止まってしまっているみたいな、そうした小規模の工場とか航空宇宙のサプライヤーというところにフォーカスしていきました。複雑な形状加工を意図的に捨てて、寸法指定の長方形のアルミブロックの切断と供給というところにかなりフォーカスして、最初MVPと言いますか、製品を作っていったみたいです。そうすることで見積もりのロジックとか切断工程をかなり標準化しやすくなるということ。複雑な形状加工まで受けちゃうと、見積もりと工程の設計というものが結構複雑化しちゃうので、まずはかなり簡単な標準化しやすいようなところにフォーカスをしたと。なので、初期MVPとしてフォーカスしたのは、価値提供に必要なところは削らずに、逆にお客様をかなり絞って提供することによって、本当の価値というものをちゃんと提供できる、みたいなことをやっていったのかなと思っています。
あと面白いところとして、初期の顧客獲得で創業者自らがトラックを運転して配達していたみたいです。そうして現場の担当者から直接フィードバックを獲得したみたいなこととか、SNSを通じた工場の泥臭い現実みたいな発信ということをしていたみたいで、そうしたマーケティングみたいなところも割と集客に使っていたみたいですね。創業者の方はすごい若い方なので、そうしたメディアをうまく使って、特に多分新規で生まれてきたような需要家というところを獲得しようとしたのかなと思います。実際に、バイアブルかどうかっていうところは見積もりの速さだけではなくって、実際の納品のスピードだったりするので、そこに関してちゃんとリピートがあるかどうかっていうところを最初検証していっていることだと思います。
MVPでアルミを選ばれていましたけど、その顧客が、既存のもうすでにやり取りのある業者からこのノックスメタルズに切り替えるような理由で、結構切り替えのコストもかかると思うんですけど、何があって切り替えたんでしょうか?
まあ、大きなペインが短納期とか納期の確実性とかっていうところにあるんだったら、ちょっと高くても、知らないところでもそこから買おうかっていうことはあるんじゃないかなと思いますね。明日欲しいみたいなものがあれば、私もそういう時はちょっと高めでも買っちゃう時があったりはするので。そうしたものと、あとは証明書が確認できるとか、オンラインで全て完結しているみたいなところの、最初の試しやすさというところはあるのかなと。設備停止コストに比べたら、多少の価格プレミアムも受け入れられるようなところはあるんじゃないかなというのと、UXっていうところかなと思いました。
では起業のプロセスです。この創業者の方のご紹介という形になりますが、実家が機械加工場みたいなところだったみたいです。そこで床掃除とかフォークリフト運転とか、現場の泥臭い業務をやっていたということが言われていました。その後ソフトウェア領域で起業して、そこで経験があると。現場を知らないIT人材でも、ソフトウェアを知らない工場人材でもない、その2つをやっているみたいですね。あとは、創業者のインタビューだと、金属工場の運営経験を通じて、材料調達が遅くて手作業であるみたいなところを認識したということも言っていたりしました。そこから、金属の工場、デルタ7というものを買収して運営して、そこでもまた金属素材の調達が遅くて自社のボトルネックにもなっているというところを痛感したという風に言われています。
ですね。あとは、顧客ヒアリングだけでは見つけづらいような発注とか待ち時間とか端材とか設備停止みたいなところを当事者として経験したところが課題の設定につながっているそうです。初期のチームに関しては、業界歴21年のベテラン、大手のアルロスティール出身のCEOを採用していたりとか、あるいは現場の営業スペシャリストとか、高度な最適化AIを構築できるようなソフトウェアエンジニアというところをうまく採用して融合して、いわゆる設備とか安全とか品質管理みたいなところはハードウェアベテラン系の方に任せて。ただ業界経験者だけでやっちゃうと既存の業務慣行を前提視しちゃうので、そこに対してソフトウェアみたいなところを入れていくというのがやっていることかなと。あとは金属流通のベテランが仕入れとか品質とか顧客慣行みたいなところをちょっと補ってやっているみたいですね。
あとはそうですね、いわゆるテクノインダストリアリストみたいな、テクノインダストリアリズムみたいなことを、ちょうどYコンビネーターとかも昨年かな、言っていたと思いますが、まさにそうしたストーリーのスタートアップということで、そこのストーリーに惹かれた人たちが入ってきているみたいです。
創業者のご経験がかなりテクノインダストリアリスト的だということだと思うんですけど、それがどういう風に経営に生きてきているんでしょうか?
まあ2つ。ハードウェアとソフトウェアの両方を理解しているっていうところ。特にハードウェアと言っても、実際に動くハードというよりは、工場現場みたいなハードウェアというところを理解しているというのが大事なのかなと思います。課題を外からヒアリングして推測していったみたいなことではなくって、実際に工場の運営をすること、その実体験として体験していることが本当の課題というものを見つけやすくしているというのが1つポイントかなと。あとは製造業の顧客、お客様がそうしたところなので、そこに対して業界の用語とか現実的な制約とかを理解した上で会話できているということが、信頼にもつながって発注にもつながっていくということかなと思います。
逆に言うと、製造業の経験がないとやっぱり少しデメリットになってしまうような事業ってことでしょうか?
どうなんでしょうね。とはいえ、やっぱりそうした業界、彼自身も最初、もちろん機械工場に近い環境で育ったみたいなところはあったりはするとは思うんですけど、そうは言ってもその業界の課題とか知らなくて、1回買収したデルタ7みたいなところの運営を通じて知っていったっていうことを考えると、むしろちゃんと自分たちで体験をすることとか、長期の滞在とか、その現場に行くであるとか、業界人材を連れて
くるとかいうところをきちんとやって、現場常駐あるいは買収をやって学習速度を上げていけば、製造業出身とかでなくても、もうある程度のレベルにはいけるんじゃないかなと思いますね。
では、初期の仮説からの学びというところです。まずですね、彼らは最初、仮説として優れたソフトウェアで効率化すれば勝てるということを考えていたそうなんですが、実際に学びとしてはですね、そうではなかったと。画面上の行動だけではなくって、巨大なのこぎりの故障とか油漏れとかいったような物理的なトラブルを泥臭く解決する現場の実行力が、この改善をしていくためには不可欠であるということを感じたみたいです。
そして、その物理的なところを解消していくために全方位の顧客を狙っていくのではなくて、自分たちで工場を持って、アルミ材を必要とするような特定の顧客にかなりフォーカスを絞ったことが事業の飛躍のブレイクスルーになったみたいです。実際その大手のミルですね、精錬所から直接仕入れをするとか、人間関係に依存するようなレガシー産業において、この信用を0から構築していくみたいな、そういうのをずっとやっていったみたいですね。
そして、いわゆるYコンビネーターへの参加というものが単なる箔付けではなくて、スケーラブルなテック企業みたいなブランディングとか信用の補完にもなって、それが次なる大型の資金調達の呼び水になっていったということみたいですね。こうした、実際にやって、作業者の安全とか注文、緊急注文とかが同時に発生するような現場できちんとやっていく。それはソフトで解決できなくて、そういう物理的なところも踏まえてやっていくこと。そして、それだけだとソフトウェア的なブランディングがつかないので、そこをうまく接続して、YCを接続して、地方の金属加工会社みたいなところからテクノロジー企業に変えていくみたいなことができたと言われていました。
なるほど。そのYコンビネーターに参加したからできたということかと思うんですけど、参加しなくてもこういったスタートアップって成立したんでしょうか?
全然成立したと思いますけどね。Yコンビネーターはあくまでそのブランド、外部の信用とかを加速した装置でしかないと思いますし、採用とか資金にももちろん効いたところはあるとは思いますが、事業自体はYC以前からも存在はしているので、別に会社は成立していたと。そしたらYCに参加して、そこのブランドというものをつけて加速したという面はあるのかなと思いますね。
では資金調達状況です。彼らがやっていることとしては、まずプレシードで460万ドル集めて、その後に1150万ドル集めたという風に言われています。で、ハードなモデルとしてですね、工場設備にどうしてもCapExが多額で初期費用が必要ということだったんですが、そこに対して米国のリインダストリアライゼーション、いわゆる再工業化の流れと、防衛系のサプライチェーンの強靭化みたいなナラティブが出てきたので、それにうまく乗っかってトップのVCから調達したという風に言われてます。
で、一応、最近の資金調達元としてはパーマー・ラッキーですね、Andurilとかの創業者でもある彼からも一応入っているとか、ハイペリオンからも入ってるみたいな、そうした状況みたいです。今現状は22名のメンバーがいる会社になっていて、トラクションは先ほど言った通り7ヶ月で全米数百工場に出荷実績があると。で、まだ財務数値とかは非公開ではあるんですけれども、このスピードを持って物理的なインフラというのを拡大しているそうです。この費用に関しては、工場の取得とか改装とか切断設備とか、金属の在庫とか、あとは人材みたいなところにうまく使っていきたいということを考えてるようです。
かなり資本が重たい事業だと思うんですけど、VCは何を期待してこういった事業に投資するんでしょうか?
そうですね。製造業自体、市場規模が非常に大きい領域ではあるので、そこの業界インフラになっていく可能性を見据えて投資をしているのかなと思います。あとはソフトウェアデファインドな工場とか、AIネイティブな工場みたいなところで標準化していければ、従来よりも早く拠点の展開をしていくことが可能、その人間の教育とか育成とかが必要なくなってくるので、より早い展開が可能ではないかみたいなところとか、あとは物理資産とかデータとか国のリレーションみたいなところが組み合わさると、いわゆるモートとして非常に高くなっていくんじゃないかなというのが期待されているところかなと思います。
では、日本で同じようなアイデアで起業するならということをAIに考えてもらいました。いくつか案が出てきてますが、案Aは特定の材料に絞って自社設備とAI見積もりを統合する、いわゆるノックスみたいな垂直統合モデルをやるといいんじゃないかというのが案Aで、これがおすすめのようです。
で、案Bは、問屋向けですね、既存の問屋さん向けとか商社さん向け、あるいは加工会社向けにAI見積もりのSaaSを提供する方式。ただ必要資本は確かに低いんですが、インパクトは弱いんじゃないかという風にAIは整理をしています。
Cは、地域の工場ネットワーク。これをAPIで束ねていくアセットライトな方式ですと。自社工場を持たずに全国の空き設備を繋いで、即時見積もりをやっていく。昔のラクスルさんみたいな印刷工場のマッチングみたいなところの金属版かなという風に思います。これは必要資本は中程度で、インパクトは中程度じゃないかというのがこの案です。品質管理が難航するんじゃないかということが言われています。
で、日本特有の価値とステップみたいなことを案Aで採用した場合にあるんじゃないかと言われているのが、日本特有の緻密な物流もうまく使って、特定の工業団地周辺にドミナント展開して、圧倒的な配送密度、地域密度を築くというのが後発の優位になるんじゃないかなという風なことを、AIは整理をしているところです。
案Aを取るならどうなんですかね。どういったことを検証しながら始めていくのがいいんでしょうか?
そうですね。納期と品質を一貫して制御するみたいなことで、品質保証と言いますか、お客様への約束を守っていくという点では有望なのかなと思います。ただもちろんCapExが大きいので、特定地域とか特定材料で需要を先に確認していくみたいなことはノックスと同じように必要ではないかなと思います。あとは顧客の緊急の注文とかが少ない場合は設備投資を回収できなかったりするので、ここに関しては注意が必要かなと思います。
ではまとめに入りたいと思います。このノックスメタルズのまとめ、大きくいくつかのところが学べるかなと思います。1つが「Factory is the Product」ということで、既存企業にSaaSを売るんじゃなくて、理想的なオペレーションを持つ新しい事業を作っていく。自ら物理レイヤーを持って理想的なオペレーションを自分たちで作っていくというのが、今このノックスメタルズがやろうとしているところの1つなのかなと思っています。
で、その時に金属流通全体を押さえるのではなくって、特定の形状のアルミみたいな極めて狭いような市場と言いますか、そこに参入していって、他者が追いつけないような素晴らしいUXをそこで作っていく、そしてそれを広げていくというのが1つあるのかなと思います。
あとやっぱりナラティブの力と言いますか、単なる金属販売だけではなくって、国家の再工業化、リインダストリアライゼーションですとか、防衛の強靭化ですみたいな、そうした大きなマクロナラティブにうまく乗っかることによって、VCの資金とかあるいは支援というものを引きつけたみたいなところが1つポイントとしてあるのかなと思います。
あとは、情報の受け渡しとか待ち時間とか、こうしたものをですね、リードタイムがどこで発生してるのか、ボトルネックがどこで発生してるのかをきちんと考えて、そしてそこを解消していくこと。そのために、B2Bのレガシー産業の現場に実際に入り込んでいって、この待ち時間とかあるいはCNCの遊休時間みたいなところをきちんとやっていくこと、そのために例えば、いろんな計測をしていくことっていうのが大事ではないかなと思います。
本当にAIは画面の中だけにとどまらずに、物理的な工場とか在庫とか物流とか、いわゆるアトムの世界、物理的な世界というものも最適化していく、そうした力を持ち始めているフェーズだと思うので、そこをうまく取りに行くというところが次のポイントになるんじゃないかということが、今回学べるところかなと思いました。
とはいえ、アメリカだからこそできるというところもあるかなとは思っていて、やはりこの製造業が1回多く消えちゃったところ、航空とかは残ってますが、だからこそこうした新しいサプライヤーとしてのこのノックスメタルズみたいなところが入っていけるというのはあると思いますし、需要が伸びていこうとしている状況だからこそ、こうした新しい製造業のプレイヤーというものが入っていけるというのが、アメリカならではは多少あるかなと思ったスタートアップでした。いかがでしょうか?
いや、重なっちゃうんですけど、「Factory is the Product」っていうのはかなり面白い、面白いというかな、参考になるなと思っていて、オペレーションごと、もう1回0から理想的なものを作るとどうなるかっていうのを考えるっていうのは、製造業にもそうですし、それ以外の業界でも、実際に本当に入ってみてストップウォッチで測ったら全然ここ行けるやんみたいなのってたくさんあるなと思ったので、そういうオペレーションを0から作るとどうなるかっていう風に考えるのはとても参考になるなと思いました。
そうですね。とはいえ、CapExが重たいので、本当にユニットエコノミクスが成り立つのかとか、工場の再現性、今後増やしていく時に本当にできるのかみたいなところはまだまだリスクがあるビジネスだと思いますが、とはいえ製造業みたいなところにAIを入れて、オペレーションを全く改善していくみたいなスタートアップが生まれてきているのは非常に面白いなと思うので、是非皆さんの参考にもなれば幸いです。では、今日はこちらで終了です。
FoundX Review スタートアップ IdeaCastでは今後も皆さんのアイデアのために最新のスタートアップを紹介していきます。気になる方は是非チャンネル登録をお願いいたします。またFoundXの各種プログラムでも応募者を募集していますので、周りに起業を考えてる方がいらっしゃれば是非FoundXを紹介してください。ではまた次回よろしくお願いします。ありがとうございました。ありがとうございました。
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