農家の利益を起点にメタンを減らす:Rizeの「農業フルスタック」をFoundXが読み解く
東京大学FoundXFoundXの番組「Startup IdeaCast」は、海外スタートアップのアイデアをAIで整理・分析し、起業を考える人の参考にすることを目的としている。今回取り上げたのは、東南アジアの小規模稲作農家を支援する農業・クライメートテックのRizeである。番組の冒頭では、AIを使って情報を整理しているため古い情報や誤りが含まれる可能性があるという注意も添えられた。
この回の中心にある問いは、環境技術のスタートアップがなぜ環境技術そのものを売らず、資材・金融・営農指導・販売までを一社で抱える「重い」モデルを選んだのか、というものだ。解説役の話者の見立てでは、Rizeは農家に「メタンを減らしてほしい」と頼むのではない。農家の短期的な経済課題を解き、その結果としてメタンが減る仕組みをつくろうとしている。
なぜRizeを取り上げたのか
話者によれば、RizeはベンチャービルダーのWavemaker Impactがつくったスタートアップで、以前から注目していた一社だった。最近まとまった資金調達をしたことから、クライメートテックでもまだ大型の調達をしている企業があると知ってもらう意味も込めて取り上げたという。
2026年7月時点の公式発表として話者が紹介した数字は、約1万7000人の農家と連携し、活動面積は5万ヘクタールを超えたというものだ。欧州、カナダ、オーストラリア、シンガポールに1500トンを出荷した実績もあるとされる。
全体像:分断された機能を一つの経済圏に束ねる
話者はRizeを「農業のフルスタック・クライメートスタートアップ」と表現する。ここでいうフルスタックは、アプリの機能が多いという意味ではない。資材調達、資金提供、営農、計測、集荷、販売という、これまでばらばらだった工程を一つの経済圏としてまとめて運営するインフラ事業者だという意味である。
重要なのは、Rizeが環境技術を直接売っていない点だと話者は強調する。農家が欲しいのはメタンの削減ではなく、利益が残る農業である。買い手が必要としているのは安全性、品質、供給量、トレーサビリティである。Rizeはこれらを総合的に提供し、水管理、適切な資材、現場指導、買い手への販売といった一連の運用の中で炭素排出も減らしていく。
話者が特に面白いと見るのは、各事業が他の事業のリスクを下げる構造になっていることだ。営農指導は収量が落ちるリスクを下げる。データの取得は金融リスクを下げる。買い手との販売契約は農家の返済リスクを下げる。集荷量がまとまることで、買い手に対する販売力も高まる。分断されていた機能をまとめることで、それぞれが強くなるという構図である。
「なぜ今か」について、話者は次のように整理した。水田の稲作は世界のメタン排出の10〜12%を占めるとされ、特に東南アジアでは食料生産を維持しながらメタンを減らすことが大きな課題になっている。世界的に米の需要は増えている一方で水資源は枯渇しつつあり、水管理が必要になっている。それでも、農家に環境配慮を求めるだけでは、資金力もインセンティブも足りない。
何を売る会社なのか:「新しい農協」に近い取引インフラ
聞き手は、Rizeが米の商社なのか、カーボンクレジットの会社なのか、その両方なのかと尋ねた。話者の答えは「全体をやっている」というものだった。商流の機能を持ち、BNPL(後払い)という金融機能を持ち、営農支援・営農指導も行う。カーボンクレジットは現時点でも収益源の一つだが、中長期的には、農家との取引を安定させるインフラを整える会社だと話者は見ている。
これを受けて聞き手は、日本の農協のような存在ではないかと述べ、話者も、新しい手段を伝えながら農協的な機能を果たしているイメージだと同意した。
「ソーシャル・リエンジニアリング」は何を組み替えるのか
Rize自身は自社の取り組みを「ソーシャル・リエンジニアリング」と呼んでいる。話者の解釈では、社会制度を大きく変えるという意味ではない。誰が費用を先に負担し、誰がリスクを持ち、誰が成果を買うのかを組み替えることを指している。
具体的には、次の4点が組み替えの中身として挙げられた。
- これまで農家が先に負担していた資材費を、Rizeがいったん立て替える。
- 農法を変えることに伴うリスクは、営農指導で軽減する。
- 環境データを、買い手や金融機関が使える情報に変換する。
- 農家単独では成立しなかった取引を束ね、大手の買い手との取引を成立させる。
課題:小規模稲作農家が抱える三つの壁
対象はベトナムやインドネシアを中心とする小規模稲作農家である。話者によれば、こうした農家は資金、栽培技術、販売の三つで同時に壁を抱えていた。資材は資金不足で買えない。新しい栽培技術は収量が落ちるかもしれないので取り入れられない。輸出基準については、満たしていることを証明できない。
技術面の難しさとして、話者は二つの例を挙げた。一つはMRL(Maximum Residue Limits、農薬の残留基準値)への対応である。これは収穫後に検査すれば済む話ではなく、農薬の種類、使用時期、使用量を栽培段階から管理する必要がある。もう一つはAWD(Alternate Wetting and Drying、間断灌漑)で、水を張る期間と落とす期間を交互に設ける農法だ。単純に水を抜けばよいわけではないため、正しいやり方を現場に伝えていくことが難しかったという。
既存の支援主体がいても問題が解決しなかった理由も論じられた。聞き手が、資材店、仲買人、政府機関などが分断されている背景を尋ねると、話者は次のように答えた。各主体が追っているKPIが異なり、統合的に連携できない。生産から輸出までの最終成果に誰も責任を持っていない。データが共通化されていないので、金融、環境価値、輸出規格の要件を満たしにくい。さらにカーボンクレジットは、発行時期や価格が短期的な収益から遠く、不確実性も高いため、農家にとって手を出しにくい。
では何から解くべきか。話者は、地域や農家によって違うとしつつ、資金と販路が導入の入り口になりやすいと見る。AWDでクレジットを生むことはできても、収量を失うリスクに見合わないという技術的な難しさも残る。結局のところ、資材を手に入れられ、失敗リスクが下がり、収穫物を買ってもらえるという一式を同時に解決しなければならないのが本当の課題だろう、というのが話者の結論だった。聞き手はこれを、環のようにつながっていて一か所でも切れると回らない話だと受け止めた。
解決策:移行リスクをまとめて引き受けるパッケージ
Rizeの解決策は、SaaSを売ることではない。金融や商流を含めて現場のインセンティブ構造を丸ごと設計し直し、農家が新しい農法へ移る際のハードルを極限まで下げることだと話者は説明する。
資金不足、技術への不安、販売への不安という三つの課題に対し、Rizeは次のものを組み合わせる。無利息のBNPLで資材を提供する。アグロノミストによる営農指導とAWDを導入する。買い取りを前提にした栽培契約と集荷によって、安定した販路と価格を提供する。こうして農家は初期負担ゼロで新しい農法に移行でき、メタンも減る。
話者は、これらが単独の事業として並んでいるのではないと指摘する。無利息BNPLは、農家にプログラムへ参加してもらう入り口として機能する。同時に、推奨資材を使ってもらう品質管理の手段でもあり、収穫物の集荷を確保するロックにもなる。農家から見れば、Rizeは複数サービスの寄せ集めではなく、「移行リスクを下げる保険付きのパッケージ」に近いというのが話者の見方だ。
アグロノミストの役割も幅広い。病害虫や天候への対応、水管理が実行されているかの確認、農薬使用の管理、データの取得までを担う。環境価値を現金収入に変えるだけでなく、さまざまな価値を提供している点が面白いと話者は述べた。
農家の利益については、Rizeは2〜3倍に向上したとしている。ただし話者によれば、確認できるのは50ヘクタールでの特定の実証であり、平均値なのかどうかは分からない。別の93ヘクタールの実証では純利益の増加率が5〜6%だったため、作期、地域、品種によって差があるのだろうと話者は見ている。
市場:面積と取引量で積み上げる市場と、複数の支払い手
市場規模について、話者はTAMを世界の稲作バリューチェーン全体とした。これをすべて書き換えるという大きな話だという。SAMはアジアの小規模稲作農家で、約1億400万の農場があるとされる。当面の中心はベトナムとインドネシアの農家である。
市場拡大のドライバーとしては三つが挙げられた。食品企業に対するScope 3排出削減の圧力、欧州などの厳格なMRL規制、各国政府の低排出プログラムである。話者が面白いと見るのは、これらのドライバーがそれぞれ別の支払い手を生む可能性があることだ。Scope 3では食品企業が、MRL規制では輸入業者が、低排出プログラムでは政府や開発金融が、新たなステークホルダーとしてお金を入れてくるかもしれない。
また、この市場は一般的なSaaSのように「対象企業数×月額」で簡単に算出できない。農地面積、米の生産量、1ヘクタールあたりの取引額、環境価値を積み上げて考える必要があり、金額感を言いにくい市場だと話者は述べた。
聞き手は、Scope 3やカーボンクレジットへの関心が弱まれば市場は縮むのではないかと問うた。話者は、政策の状況によって環境価値の収益が短期的に弱まったり、現金化が先に延びたりする可能性はあると認めた。そのうえで、Rizeの強みは環境価値以外にも手を広げている点だという。資材の金融、収量の改善、節水、食品安全などには別の価値があり、Rizeはカーボンクレジットなしでも成立するユニットエコノミクスを目指しているのだろう、と話者は推測する。
ビジネスモデル:回れば強く、止まれば弱いフライホイール
ビジネスモデルについて話者は、いろいろなところからお金を取ってくることと、事業をうまく回すフライホイールをつくることの組み合わせだと説明した。デットによる融資、無利息の資材BNPL、営農指導やMRVのデータ、高付加価値での販売、買い取り契約をどう循環させるかがモデルの核になる。単一のSaaS課金ではなく、複数の商流から利益を得る組み込み型金融(エンベデッド・ファイナンス)のモデルとも言え、商社のモデルとも言えるという。
収益機会として挙げられたのは、米の売買差益、資材や機械サービスのマージン、加工・物流、将来的なカーボンクレジットである。一方で、農家に資材を前渡しするには多額の運転資金が必要になる。資材とサービスをRize自身が先払いしている点は、新しいというよりリスクを取っている点だと話者は述べた。
話者はこのモデルの弱点も率直に指摘した。農家が返済不能になれば、そこで循環が壊れるかもしれない。米価が下落すれば、途中で販売が立ち行かなくなるかもしれない。どこが最も壊れやすいかと聞き手に問われると、話者は次の三つを挙げた。収穫物が規格に合わない、あるいは想定した買い手に売れないこと。米価が下がって回収の原資が不足すること。融資の増加速度が農地の拡大に追いつかないこと。ただし、どこが一番弱いかを決めるのは難しいとも述べている。聞き手は、リスクをどう分散・配置するかが非常に重要になりそうだと応じた。
戦略:現場支援とMRVを内製し、資材とデットは外から持ってくる
Rizeの戦略は、農家の行動変容を阻むリスクを自社で引き受けるフルスタック型である。簡単なアプリを渡すのではなく、資金や販売先を確保し、重いモデルであることを承知でリスクを背負う。
中核として内製しているのは、アグロノミストによる現場支援と、デジタルMRVおよび運営基盤である。一方、資材の製造は行わずパートナーの能力を使い、資金面でもデットは外部から調達する。
現場支援を内製する理由について、話者は次のように説明した。新しい農法の採用はマニュアルを配るだけでは進まず、農家ごとの条件や天候に合わせた対応が必要になる。聞き手は、営農指導員を外部委託せず内製するのはかなり重いのではないかと問うた。話者が挙げた理由は三つある。初期は品質基準や現場のノウハウがまだ固まっていないこと。農家との信頼を設計する必要があること。外部委託すると環境データと実際の作業の整合性を管理しにくくなること。将来は認定パートナーを使う可能性もあるが、現時点では自社で行うという判断のようだと話者は述べた。
MRVを内製する理由は、データが環境の証明だけでなく、金融、品質、商流のすべてに共通する基盤になるからだという。構想として示されているのは、GPS付きの写真、タイムスタンプ、農家情報、資材の配送、機械の予約までを追跡する仕組みである。話者はこれを、単なる排出量計算ツールではなく「現場のOS」に近いものと表現した。
フルスタックであること自体の重さが、他社が真似しにくい参入障壁になるというのも話者の見立てだ。1万7000人の農家との関係、現地人員の採用と教育、データ、買い手との契約、金融機関との関係は、簡単には模倣できない。2026年7月時点でRizeは、技術・農学・現場運営を含めて250人の現地チームを持つと発表している。YouTubeではインドネシア担当者のインタビューが33万回ほど再生されていたという紹介もあった。その分固定費は大きいが、それだけのリスクを取って新しい農法への転換を進めている企業だと話者は評価する。
ロードマップ:実証からエコシステム、プラットフォームへ
ロードマップは3つのフェーズで説明された。
フェーズ1では、技術の正しさよりも、現場で農家の利益が出るかどうかを証明することに重点を置いた。農家にとって大事なのはアプリの利用率ではなく手取りが改善したかどうかである。そこで、地域パートナーを通じた初期実証で、水を抜いても、つまり従来と違う農法にしても利益が出ることを泥臭く証明していった。地域パートナーを使ったことで、信頼と実行率も改善したとされる。
フェーズ2はエコシステム構築期で、デットの獲得、EU向けMRL基準のクリア、デジタルMRVの拡充を進め、5万ヘクタール超へ拡大する段階である。話者はこれを、現場の実績を金融資産に変えるフェーズと位置づけ、Rizeは今ちょうどこの段階に到達しているのではないかと見ている。
フェーズ3はプラットフォームの開放で、30万ヘクタール超への拡大を掲げる。データや農家ネットワークを他社に開放し、資本効率を高めることを考えているようだ。話者はこの流れを次のようにまとめた。まず自社で泥臭く現場の信頼を獲得し、商流を押さえる。その実績を担保に金融を引き出す。最後にプラットフォーム化して固定費を下げる。つまり、一時的にバリューチェーンを垂直統合し、その後に開いていくという段階設計である。
プラットフォーム化で何を標準化するのかという聞き手の問いに対し、話者は多くの項目を挙げた。農家のオンボーディング、資材の選定、AWDやMRL対応の実施手順、データ取得、買い取り方法、異常時の対応、パートナーの品質評価などである。これらを標準化してスケーラブルな仕組みを整えることが次の課題であり、MRVでも確実にデータを取れる仕組みが必要になるだろうと述べた。
競争優位:全部やることより、一体的に運用できる能力
競合との比較では、MRV特化のMitti Labsなど、MRV、金融、資材といった特定機能に絞った企業が並ぶ。これに対してRizeは、MRV、無利息BNPLによる実質的な資金提供、現場に密着した営農指導、確実な販路、資材の現物供給をすべて持つ。最も資本集約的・人員集約的な形だが、農家が感じるリスクへのペインをフルスタックで解決しようとしていると話者は説明する。
もっとも、その重さが成長速度を制約する場面もあるかもしれないと話者は留保を付けた。モートは結局「全部やっていること」なのかと聞かれると、話者は、単に全部やることではなく、一体的に運用できる能力がポイントだと答えた。特許もいくつか取っていたはずだが、特許よりも、複数の主体を調整して結果を出すオペレーション能力が最終的なモートになるだろうという見立てである。
参入戦略:協同組合を通じて地域を面で獲得する
参入にあたってRizeは、個々の農家にアプリやSaaSを売るのではなく、地域の協同組合と連携して「面」を押さえるB2B2Cのアプローチをとった。ネット広告ではなく、現場指導と資材の現物支給から始め、初期負担を実質ゼロにしたことが最初の提供価値だった。
その理由として話者が挙げたのは、小規模農家の市場では個人単位で広告を出しても、信頼の獲得や現場での実行までつなげにくいことだ。協同組合を通せば、農家をまとまった単位で獲得できる。作付けや収穫時期も調整しやすく、集荷量を確保しやすく、口コミも広がりやすい。地域単位で導入すると隣の農家との比較が自然に起き、隣の農家で利益が増えたという話が最も強い営業になるという。
話者の見方では、Rizeにとっての MVP(最小限の実用的な製品)はアプリではなかった。資材が届き、専門家が来て、費用を先に払わなくてよく、収穫後に買ってもらえる。この一連の体験こそがMVPとして機能していたという。一方で、協同組合経由には、組合や幹部に依存してしまうこと、特定地域の政治や人間関係に巻き込まれることといった難しさもあったとされる。
聞き手は、日本で同じことをやろうとすると大変そうだと感じたうえで、協同組合から横に広げる方法を尋ねた。話者によれば、協同組合の選定基準、現地アグロノミストの認定制度をつくり、導入資材、MRV、買い取りを共通化していったという。先に触れたベトナムでの50ヘクタールの実証も、農業普及センターと2つの協同組合を通じて実施された。組合をうまく使いながら地道に進めたのが初期のやり方だったと話者はまとめた。
創業プロセス:ベンチャービルダー発のカンパニークリエーション
Rizeは、シンガポール拠点だったと話者が記憶するベンチャービルダー、Wavemaker Impactが中心となって構想した企業である。農業の上流にある非効率と、水田のメタンという巨大な気候課題を見いだし、2020年末に初期構想が生まれた。そこから「年間1億トンの削減」と「1億ドルの収益」という目標を逆算して事業を組み立てていったという。話者はこれを、創業者自身の原体験や個別の顧客課題から始めるのではなく、大きな課題を選んでからアプローチを考える創業方式の、農業分野での興味深い例だと紹介した。
ただし、課題が大きいことと、顧客が実際にお金を払うことは別である。そのため、足元での検証を繰り返しながら進めたのだろうと話者は推測する。初期からBreakthrough Energy Venturesが関わるなど、大きな調達にもつながっている。
通常の創業との違いを問われた話者は、投資家側が主導する創業プロセスだと説明した。投資家側が調査を行い、初期資本を大きめに入れ、創業者の採用まで手がける。最初に課題領域と事業規模を大きく設定して構想をつくり、採用したCEOや創業者と現場チームがそれを実事業に落とし込む。
このモデルで創業者に求められる資質として、話者は次のものを挙げた。農家や組合と一緒に現場を動かす能力。金融機関や買い手などのステークホルダーを束ねる力。現地組織の採用と管理を回すオペレーション能力。デットを含む複雑な資本設計の能力。データを揃えてレポーティングや検証まで行う能力。そしてこれらを総合的に回す力である。設立時点でTemasekやBreakthrough Energy VenturesがWavemaker Impactとともに入っていたことが、関係者を束ねる接着剤になったのではないかと話者は見ている。
初期の学び:環境価値だけでは農家は動かない
最初の学びは、農家は環境価値だけでは動かないということだったと話者は紹介する。計測ツールだけでは収量低下への恐怖を乗り越えられないという現実にぶつかった。その結果、Rizeは当初のMRV中心の構想から、金融、現物、買い取りのモデルへ転換した。話者はこれを初期の失敗と方向転換と位置づけている。
もう一つの出来事は、ベトナムでの実証中に嵐によるトラブルが発生したことだ。それでも柔軟な現場対応と、MRL適合による買い取りプレミアムによって、悪天候の下でも農家の利益が増えることを示せた。これが信頼につながり、2年ほどで5万ヘクタール超への拡大につながったとされる。話者は、この悪天候を単なる失敗ではなく、ストレステストとして乗り越え農家の利益を守れたことが大きかったと評価する。水を抜く時期を誤れば作物に影響が出るし、豪雨が来れば計画どおりに乾かない。虫が増えれば、防除と収量維持がぶつかることもある。農家が恐れる物理的な障壁はそれほど具体的なものだという。
聞き手は、利益が増えたのは偶然ではなく設計どおりだったのかと尋ねた。話者は、一事例なので一般化はできないとしつつ、全量買い取り、資材の最適化、MRLプレミアムが結果に寄与したと言われていると答えた。今後は複数年での検証が必要になるとも述べた。さらに、別のMRLの実証では、病害虫対応で農薬を使ったために目標を達成できなかったとも聞いており、事業として難しい面もあると留保している。それでも一部の条件で収量と利益が出たことは大きく、フルスタックでやっていたからこそ多様なリスクを見ながら対応できた面もあるのだろう、と話者は述べた。
資本設計:エクイティとデットの使い分け
2026年7月時点で、Rizeの累計調達額は約4700万ドルとされる。今回のシリーズはエクイティとデットを組み合わせたもので、話者が挙げた内訳はエクイティ約2400万ドル、デット約1100万ドルだった。
話者が面白いと見るのは、資金の性質によって調達手段を使い分けている点である。ソフトウェア、人材、組織、研究開発のような長期のリスクはエクイティで賄う。一方、農地が増えるほど膨らむ資材の前渡しのような運転資金は、比較的回収期間が短いため、確実な商流データと買い取り契約を担保にしたデットで賄う。運転資金までエクイティで賄うと、成長のたびに大型の増資が必要になってうまく回らない。
デットを呼び込むために、Rizeは貸し手がリスクを評価できるデータを揃えた。農家情報、作付け面積、資材の使用状況、収量、収入などである。話者によれば、MRVは環境証明のデータであるだけでなく、融資可能性を高める信用データとしても機能している。環境データを環境以外の価値に変えている点がRizeの高度なところで、資金調達そのものがプロダクト設計の一部になっていると話者は評価した。
ただし、米価が下落したときにはデットが事業を不安定にする可能性もある。聞き手は、不作やMRL未達のときに負担が重くなるのではないかと問うた。話者は、対応は難しいとしながらも、いくつかの手段を挙げた。地域や買い手を分散させること、保険を活用すること、返済条件を設計すること、固定の返済額を踏まえて損失への耐久力を見極めること、そして損益を見ながら運営することである。
日本への応用:J-クレジット、契約栽培、スマートメガファーム
番組では、日本で似た発想の事業を起こすならどうするかについて、AIが出した3つの案を紹介した。
案AはJ-クレジットのSaaSである。中干し期間の延長がクレジット化できる日本で、JAや地域団体を通じて証拠収集、審査、販売、分配を効率化する。アセットライトにできる可能性がある一方、すでに複数の事業者が参入しており、単純な申請代行では差別化しにくいと話者は指摘した。
案Bは、B2Bの契約栽培プラットフォームである。Scope 3削減を目指す食品企業と農家を直接つなぎ、クレジットに依存せず、プレミアム価格での買い取りという商流モデルをつくる。成否は、買い手との継続契約と価格設計をどこまでできるかで決まるだろうという。
案Cはスマートメガファームで、AIが推奨した案である。遊休水田や担い手のいない農地を集約し、IoTの自動給水バルブなどで人件費と現場訪問を最小化する自社運営モデルだ。いわば農地を自ら持つ垂直統合である。農地集約、地域の水利調整、農機や設備への投資が必要で資産は重いが、競争優位は強くできるのではないかとされた。話者は、最初から大規模な自営農場を持つのではなく、特定地域の水管理、記録、販売から始めてデータを貯め、自営比率を高める方法もあると補足した。
この違いの背景として、話者は東南アジアと日本で農家のペインが異なる点を挙げた。東南アジアでは資材を買う資金、資材へのアクセス、低金利の金融が欠けている。日本では高齢化、人手不足、農地の分散、担い手不足が課題になる。日本の農家が最もお金を払うポイントを聞き手に問われると、話者は水管理、高齢化で猛暑の中の作業継続が難しいこと、分散した農地の扱い、記録や申請などを挙げた。現状ではカーボン計測単体で稼ぐのは難しいという判断から、こうした案になったのだろうと話者は見ている。
まとめとして示された三つの学び
話者は最後に、Rizeから得られる学びを三つ挙げた。
一つ目は、顧客が今すぐ感じる経済価値を売ることだ。社会的インパクトは大事だが、顧客の中に入っていくには、コストが減る、売上が増える、リスクが下がる、資金にアクセスできるといった目に見える便益が必要になる。環境価値はその裏側に組み込んでおく。Rizeは農家にメタン削減を依頼するのではなく、資材や営農支援を提供した結果としてメタンが減る仕組みをつくった。
二つ目は、出口から設計して金融を使うことだ。誰が買うのか、どの品質データが必要か、いくらで買うのかを先に詰めて設計しておけば、運転資金を借入れで回せるようになり、新しい戦い方ができる。
三つ目はフルスタックである。最強の参入障壁になり得る一方で重く、人員、資金、在庫、物流といった複雑性を本当に運用できるかが問われる。それでも、顧客のバリアを一気に解ける場合があり、うまくいけば誰にも真似できないモートになり得る。
同時に話者は、Rizeが一定の成功は収めているものの完全な成功ではないとも述べた。有望な構造をつくりつつあり、ある程度の再現性も見えてきた。しかし、より大規模にしたときに同じ結果が出るかはこれから確かめる段階だという。
農業経営が専門だったという聞き手は、この事業の大変さがなんとなく想像できると語った。そのうえで、環境に良いからではなく、農家が今困っていることにアプローチした結果として環境にも優しくなるという順序、つまり実際に営農する人の利益から入ることが重要だと感じたと述べた。話者も、足元のニーズを見ながら大きな構想で進めることで多くの関係者を巻き込み、垂直統合型のビジネスを構築できるのではないかと思わせる事例だったと締めくくった。
皆さん、こんにちは。FoundXの田です。
同じくFoundXのと田です。
はい。夏休みがそろそろ始まって、授業が終わったという感じです。
お疲れ様でした。
はい。まだまだとはいえ成績付けとか色々とまだ残ってるんですが、一旦肩の荷が降りたなという感じです。また来年もちょっと試していければと思ってるので、はい、よろしくお願いします。ではここからIdeaCastのコーナーです。
FoundX Review Startup IdeaCastでは海外のスタートアップのアイデアをAIを使って分析して紹介する番組です。これからアイデアを考える人たちの参考になればと思います。最初にディスクレーマーですが、AIを活用して情報整理しているので一部の情報が古かったり間違っている場合もあります。ファクトを重視される場合は必ずご自身で調べるようお願いいたします。本ポッドキャストはあくまでアイデアの参考情報とかを引き出すことをしています。今日紹介するのは農業系のRizeというスタートアップです。
こちらを取り上げようと思った理由はどういったところでしょうか?
そうですね。元々Wavemaker Impactっていう、割とベンチャービルディングをしているところが作っていたスタートアップで、注目をしていた1つの会社ではあるんですが、最近資金調達をしていて、30分と調達したところがありまして、クライメートテックはまだまだこうして調達してるところが多いんだぞというところを知っていただくためにも取り上げようかなと思った次第でした。はい。
では早速ですが概要をお話ししていければと思ってます。はい。このスタートアップですが、簡単に言うと、農業のフルスタック・クライメートスタートアップみたいな感じです。フルスタックと言ってもですね、アプリの機能が多いというわけではなくって、資材調達から資金提供、営農とか計測、出荷、集荷、販売みたいなところまでを1つの経済圏として、これまで分断されていたところを1つにまとめてやっていくというような、そうしたインフラ事業者みたいなことをやっています。
さらにですね、このいくつかの、これまでのところをまとめていった、彼らが言うにはソーシャル・リエンジニアリングみたいなことを言っているんですが、環境価値ももちろんあるんですけれども、その農家の短期的な経済課題を解いていく、そうした企業として頑張っているという企業です。26年7月時点の公式発表によりますが、今約1万7000人の農家に対して、505万ヘクタールかな、これを超えたところで活動していて、さらに輸出ですね、1500tを欧州とかカナダとかオーストラリア、シンガポールに出荷したというようなところになっています。
で、このスタートアップなんですけれども、環境スタートアップ、クライメートテックスタートアップですが、環境技術を直接売っているわけではないというところです。農家が買いたいのはメタンの削減ではなくって、利益が残る農業のところということで、買い手が必要としているその安全性とか品質、あるいは供給量、トレーサビリティみたいなところを総合的に提供していく会社に、Rizeはなっています。これまで、先ほども少し言いましたけれども、分断されていた複数の機能を1つの運用フローにして、その過程で炭素排出というものも減らしていくということをやっています。
具体的に言うと水の管理であるとか適切な資材、現場の指導、あと買い手につないでいくみたいなところも含めて、ソーシャル・リエンジニアリングみたいなことを言っています。社会制度を大きく変えるという意味ではなくって、誰が費用を先に負担して、誰がリスクを持って、誰が成果を買うのかっていうところを組み替えていくというのを、彼らはソーシャル・リエンジニアリングと呼んでいるのかなと思っています。なので、こうしたことをしながらですね、環境負荷の削減をして農家の所得の改善もしていく。放っておけば必ずしも両立しないようなところをやっている、そうした企業になっています。
ある意味、なんでしょうね、これまでやってきたところと少し違うところとしては、その複数の事業がですね、各事業が他の事業のリスクを下げているという構造を取っているというところも面白いところかなと思っていまして、1つが、営農指導が収量のリスクを下げていくことに繋がりますとか、データを獲得することが金融リスクを下げていきますとか、買取契約ですね、その販売、買い手につなぐというところが返済リスクを下げる、あるいは集荷というところが買い手への販売力を高めていくみたいな、そうした複数の事業を1つにまとめることによって、これまで分断されていたところがそれぞれ強くなっていくみたいな、そうした構造を取っているというのが非常に面白い点なのかなと思っています。
Why Nowとしては、今まさにこのメタンの排出を下げていくという、水田の稲作に関しては世界のメタン排出の10%から12%、特に東南アジア圏において、食料の維持とこのメタンの排出を下げていくみたいなところは大きな課題ですと。そして構造の変化というところで、世界的にも米の需要が増えていて、かつ水資源が枯渇していて、水管理というものもやっていかなければいけない。そして、農家の皆さんに環境配慮を求めても、なかなか資金力とインセンティブがないので、ここを何とかしていくというようなところが、彼らの今やっている全体像というところなのかなと思っています。
そうですね、何を売る会社かというところで、お米の商社的なところなのか、あるいはカーボンクレジットなのか、もしくはどちらも売るようなところなのかっていうと、どういった会社なんでしょうか?
本当にこれ全体をやってるのかなと思ってます。商社機能も持ってます。商流機能を持ってますが、金融機能ですね、BNPL、Buy Now Pay Laterみたいな、そうした金融機能を持っていたりとか、営農支援、営農指導ですね、というところもやっていたりとか、そうしたところも含めてやっているところですと。カーボンクレジットももちろん現時点で1つの収益源とか、補完的な収益源の手段にはなっていますけれども、中核的にはどちらかというと農家との間の取引を安定させるインフラを整えているみたいな、そうした会社なのかなと思います。
農協みたいなところなのかなと思いました。
そうですね。新しい手段を伝えながら、日本の農協的な感じになっているのかなっていうイメージですね。
そうですね。彼らが言ってるソーシャル・リエンジニアリングっていうのは、何を再設計するところが、彼らが言ってるところに当たるんでしょうか?
そうですね、先ほども少しお話ししましたけれども、誰が先に費用を負担して、誰がリスクを持って、誰が成果を買うのかみたいなところを再設計していますと。より具体的に言うと、農家が先に負担していた資材費をRize側がまず一時的に負担します。また農法の変更のリスクに関しては、営農指導とかで軽減していきます。で、環境データに関しては買い手とか金融機関が使える情報に変換してあげますと。あと農家単独では成立しなかった取引っていうものを束ねることによって、大手の買取者と成立させていくみたいな、そうしたことをやっている企業なのかなと思います。
では続いて課題に関してですね。いくつも大きな課題があるので、なかなか1つだと言いづらいところではありますが、対象となるのは小規模な稲作農家ですと。特にベトナムとかインドネシアを中心とする方々になっています。で、既存のそうした小規模な稲作農家に関しては、資金と栽培技術と販売、この3つにおいて同時に壁を抱えていたと言われています。
既存の代替手段というところもいくつかあるんですけれども、例えば農業資材であれば資金不足で買えないとか、あと栽培技術というところに関しては、新しい農法とかもなかなか、収量が低下しちゃうかもしれないから変えられないとか、輸出基準に関しても証明不可能であったりとか、そうしたいくつかの壁があって、資金もなければ栽培技術も新しいものを使えない、販売もなかなかできないというところがありましたと。で、既存の代替手段も分断されているので、個別サービスだけではなかなか行動変容につながらないということが言われていましたと。そこに対して彼らは、後ほどまた解決策を話しますが、全体としてソリューションを提供していくというようなことをしようとしています。
特に例えば、MRLみたいなことが言われていますと。Maximum Residue Limitsということなんですけども、これは残留基準値ですね。農薬の残留基準値というものに対して対応していくとか、そういうところって結構難しかったりとか、農薬の使用量の最大化は必ずしも彼らと利害が一致しないというようなところがあったりして、問題は、これは収穫後に検査すれば済むという話ではなくて、農薬の種類とか使用時期とか使用量とか、色々考えなければいけないというところもあったりとか。
AWDと言われている灌漑ですね。Alternate Wetting and Dryingかな、というところを、その間を開けて灌漑していくみたいなところに関しても新しい農法で、なかなかこれを導入するのも単純に水を抜けばいいという話ではないので、そこに対しての営農の仕方っていうところを伝えていかないとなかなか難しいみたいな、そうした難しさ、あ、Alternate Wetting and Dryingですね。ウォーターじゃなくてWetting and Dryingでやっていくっていうところのやり方をちゃんと考えていかなければいけないっていうところを、伝えていくのが難しかったというところが言われてます。
既存のところでも、資材店だったり仲介人と政府機関、特に政府機関とかも分断されてるという風におっしゃってたんですけど、課題が残ってるっていうのはどういうような背景があるんでしょうか?
そうですね。いろんなプレイヤーがいて分断されていることがあって、各主体の目的としてるKPIが少し異なっていて、統合的に連携できないというところが1つ言われていますと。あとは、誰も生産から輸出までの最終成果、結果のところに責任を持っていないというところも1つ。あとデータが共通化されていないので、金融的なところとか、環境価値をどうしていくのかとか、輸出規格っていうところも満たすことがなかなか難しいみたいな。あとはそうですね、カーボンクレジットとかもちろんあるんですが、発行時期とか価格に関しては、短期的な収益からちょっと遠かったりとか不確実性が高かったりするので、なかなかこういうところも手が回らないみたいな問題があったみたいです。
そうなると、何から解決すべきかというところで、農家の方にとっては今、技術であったり、資金であったり、販路の話もあったんですけど、どういうところが1番ポイントというか、解くべき課題になってくるでしょうか?
そうですね。地域や農家さんにもよると思いますが、多分、資金と販路みたいなところが導入の入り口にはなりやすい、大きな課題も残ってるというところですと。あと環境技術に関しては、AWDとかやるとクレジットとか生めるような形になるとは思いますが、収量損失リスクとは見合わないみたいなところがあって、ここが技術的には難しい点としてはありますので、正直、1番大きい課題ってのはなかなか言いづらいところではあるんですが、資材を入手できて失敗リスクを下げて収穫物が買ってもらえるかどうかみたいな、一式で解決しなければいけないみたいなところがおそらく大きな課題なんだろうなと思います。
そうですよね。なんか回ってるから、どっか1箇所でも切れたら回らないっていうような話なのかなと思いました。
では解決策です。解決策としてはですね、彼らはSaaSを売るのではなくって、もう現場のインセンティブ構造を、金融とか商流丸ごと再設計するフルスタックの統合によって、農家が新しい環境に優しい形になっていくための移行コストを極限まで下げていくということをやっていますというところですね。資金不足、技術不安、販売不安という3つの課題に対して、BNPL、いわゆる後払いですね、無利息の後払いの金融を整えて、さらに営農指導ですね、アグロノミスト指導プラスAWDということで、Alternate Wetting and Dryingをやっていく。そして、ちゃんと買ってもらえるような栽培と契約、集荷なところまでやって、安定した販路価格を提供し、かつメタンを減らしながら、初期負担0でそういうところに移行できるみたいな、本当に移行時のリスクをまとめて引き受けるっていうことをしているのが、彼らRizeのやっているものかなと思っています。
で、ただですね、これは全て慈善事業でやってるわけではなくって、今回資金調達をやってるところもありますけれども、例えば無利息のBNPL、Buy Now Pay Laterをやってますが、これは農家にプログラムに参加してもらうための入り口として機能していたりとか、推奨資材を使ってもらう品質管理手段としてやっていって、かつ収穫物の集荷を確保するサプライのロックにもなっていくっていう、そうしたところがあったりします。なので、農家さんから見るとRizeは複数のサービスの1つのまとまりというわけではなくて、移行リスクを下げる保険付きのパッケージみたいなものに近いのかなと思っています。
あとアグロノミストの役割ですね。病害虫や天候への対応であったりとか、水管理の実行確認であったりとか、農薬使用の管理、あるいはデータの取得とか、そうしたところにも結構効いてきて、そこも含めて全体としてやはり、その環境価値をですね、現金収入に変えていくだけではなくて、様々な価値を提供しているというところが面白い点なのかなと思いました。
農家さんの利益自体は結構上がるというか、向上することも見込まれてるんでしょうか?
そうですね。一応今ですね、農家さんの利益が2〜3倍に向上しているみたいな、平均なのかどうなのかわかんないですけども、2〜3倍に増えているというような言葉があったりはしました。確認できるのは50ヘクタールでの特定の実証だという風に言われています。が、別の実証で93ヘクタールだと純益増加率が5%から6%ということなので、ちょっと作期とか地域とか品種ごとによって違うのかなという感じはしますが、最大2〜3倍にはなったというところみたいですね。
では続いて市場の話に行きたいと思います。まずですね、市場に関してはいくつかあります。大きな環境という観点だとScope 3ですね、輸出時のMRL規制とか、政府のところとか、色々とあって市場が拡大していますという風な話があったりしますが、まずTAMからいきますと、世界の稲作のバリューチェーン。これを全て書き換えますという、すごい大きい話をしています。で、SAMに関してはアジアの小規模な稲作の農場、約1億400万農場あると言われていますが、そこに対してやっていきますと。で、そこに関しては、ベトナム、インドネシアの対象となる農家みたいなことが大きくは言われています。
で、先ほど言ったこの市場が広がっていくってところは、Scope 3みたいな、食品企業のScope 3排出削減圧力があったりとか、欧州等の厳格なMRL規制ですね。残留農薬等の基準値みたいなものが規制として入ってきていますとか、政府の低排出プログラムみたいなところがあったりして、そうした政策があったりして市場が拡大していく予想がされていますと。
で、ポイントはやっぱり、この一般的なSaaSみたいに対象企業数かける月額で簡単に算出できないみたいなのが、ちょっと面白いポイントかなとは思ってまして、彼らのビジネスモデルのところにも少し関わりますが、市場規模というのは、農地の面積とか米の生産量とか1ヘクタールあたりの取引であったりとか、あと環境価値ですね、こうしたところを積み上げて考えていく必要があって、なかなか金額感が言いづらいというところがあったりするのかなとは思います。
ただですね、このさっき言ったドライバーですね、市場を拡大していくドライバーは、ある意味で非常に別々の支払い者を生んでいくというところでも面白いのかなと思っていて、Scope 3に関しては食品企業がもしかしたら新しい支払いをしていくかもしれないとか、あるいはMRL規制みたいなところに行くと輸入業者であったりとか、あるいは政府の低排出プログラムに関しては、もしかしたら政府とか開発金融みたいなところが入ってくるかもしれないみたいな、いくつかの新しいステークホルダーが入ってきて、新しいお金が入ってくるかもしれない市場として面白いところかもしれないなと思ってます。
その新しいステークホルダーが入ってくるかもしれないっていうのは面白いと思う一方で、環境系でよく言われるところであると思うんですけど、Scope 3とかカーボンクレジットへの関心自体が弱まっていると、市場っていうのは縮むというか、大きくならないっていうような見込みもあるんでしょうか?
そうですね。環境価値の収益に関しては、もしかしたら短期的には弱まったりとか、あるいは実現と言いますか、現金化されるのがもう少し先になったりするかもしれないという可能性は、それももちろん政策の状況によってあり得ると思います。ただRizeが強いのは、環境価値だけではないところに手を出していると。例えば、資材の金融であるとか、収量の改善であるとか、節水もそうですし、食品安全とか、そうしたところに関しては別の価値があると。なので、カーボンクレジットなしでも成立するエコノミクスみたいなところを彼らは目指しているのかなとは思います。
ではビジネスモデルです。彼らがやろうとしているのは、本当にいろんなところからお金を取ってくるっていうところプラス、このフライホイールと言いますか、事業をうまく回していくための仕組みを作っていくのがビジネスモデルなのかなと。デットの融資もそうですし、無利息の資材のBNPLもそうですし、営農とかMRVに対するデータみたいなところに対してもやっていく、低排出米で売っていく、買い取り契約をしていくみたいな。ここをいかに循環していくのか。フライホイールをどのように回していくのか、ここを成り立たせようとしてるのが彼らのビジネスモデルかなと思います。単一のSaaS課金ではなくて、ある意味複数の商流から利益を得ていく、ある意味でのその組み込み金融、エンベデッドファイナンスみたいなモデルとも言えますし、商社のモデルというところもあるのかなと思います。
特に金融のところに関してはやはり、農家の皆さんに資材を前払い、じゃないですね、前渡ししていくみたいなところは、多額の運転資金が必要になってきますし、そこのリスクを取っているとか、資材とサービスを提供していくと、ある意味結構先払いをRize自体がやっているというところが非常に新しいというところなのかなと思っています。新しいというか、リスクを取ってるのかなと思っています。
あとは収益機会に関しては、本当にいろんなところ、米の売買の差であったりとか、あるいは資材とか機械のサービスのマージンであったりとか、加工、集荷、物流みたいなところ、あるいはカーボンクレジットっていうところで、ちょっと将来的に取っていくというところがあるのかなと。ただもちろん、このフライホイールをうまく回していくということが成立すれば強いんですが、どこかで壊れるという可能性もあって、農家がどっかで返済不能になったら、そこで閉じてしまうと言いますか、壊れてしまう可能性もあるかもしれませんし、米の価格が下落してしまうと、途中で販売ができなくなったりとか、結構、これがうまく回れば強いが、どこかで止まると弱いみたいな、そうしたビジネスモデルでもあるのかなと思ってます。
その、どこが壊れやすいような見込みなんでしょうか?
そうですね。まず収穫物が規格に合わないとか、想定した買い手に売れないみたいな、そうしたところは1つあるのかなという風には思います。また米の価格が下がること。これは回収の原資が不足してしまうというところがあったりはしますと。あとは融資ですね。こちらの増加速度が農地の拡大に追いつかないみたいなところがあるかもしれませんとか、色々、どこが1番ってのは結構難しいですね。
確かに。なんかそこのリスクをどう配置していくかっていうのがすごく大事そうですね。
では彼らの、そうした難しいことに取り組む戦略のところです。彼らの戦略は、先ほども申し上げたフルスタック型になっていますと。農家の行動変容を阻むリスクを、自社で全部引き受けていくというようなのが、彼らの戦略なのかなと思います。そして、簡単なアプリを渡すんじゃなくて、現金とか買い手を確保してあげて、そしてこのモデルとして、重いモデルになってしまうんですが、そこをリスクとして背負っていくというところですと。
内製する現場支援ですね。アグロノミスト、現場、営農の支援みたいなところを加えて、デジタルMRVとか基盤に関しては自分たちでやって、外部調達してくるデットみたいな融資に関しては、これは外部から調達してくるみたいなところを考えているみたいです。中核はさっき言った内部の現場支援とデジタルMRV、運営基盤というところがあって、あとはですね、彼らは資材の製造とかはやっていないというところですね、パートナーの能力を使わせてもらうと。あと金融資金に関してもさっき言ったデットに関しては引いてくるみたいなことを考えているみたいです。
で、ただ現場支援を内製するというところが非常に大きいのかなと思っていて、ここはやはり農法の採用というのはマニュアル配布だけではなかなか進まないので、かつ農家ごとの条件とか天候に合わせた対応は必要なので、ここは内製していきましょうという判断みたいです。あとMRVですね。MRVを内製する理由としては、データが環境証明だけではなくって、金融とか品質とか商流全ての共通基盤になるということで、ここは自社でやっていくみたいなことを考えているみたいです。
で、この戦略では、ある意味重いこと自体、そのフルスタックでやること自体が他社には真似されない参入障壁にもなっていきますと。数万人の農家との関係性、1万7000と言われていましたが、そうしたところと、あと現地の人員の採用とか教育で、ここに関しても自社でやっていく、ここは真似できませんとか、データとか、あと買い手の契約とか金融機関との関係性みたいなところは、彼らは真似できないような強みとして育てていくというところではあるのかなと思ってます。
実際2026年7月時点で、Rizeには技術とか農学とか現場運営含めて250人の現地チームを持つみたいなことを発表しています。だからYouTubeでもインドネシア担当の方のインタビューとか、なんか33万再生ぐらいされてましたけれども、なんかそういうところとかもあったりします。もちろんその分固定費が大きいというところはあるんですけれども、これぐらいのリスクを取って、環境価値を含めた新しい農法への転換を進めていくということをやっている企業になってるのかなと思います。
なんか営農の指導員を外部委託せず内製するってかなり重たいと思うんですけども、そこまでして内製するような理由って他にもあるんでしょうか?
そうですね。初期に関してはやはり品質基準と現場ノウハウが固まってないみたいな状況があるのかなと思っていますし、あとは農家さんとの信頼というところをやっぱり設計していく必要があって、そこが自社でやらざるを得ないというところかなと。あとデータの観点から言うと、外部委託してしまうと環境データと実作業の整合性を管理しづらかったりするのはあるのかなと思います。もちろん将来的には内製だけではなくって認定パートナーとかやっていくのかもしれませんが、この辺りに関しては今のところ自社でやっていくということみたいです。
デジタルMRVとか基盤については、どういった情報というかデータを残すようなものを想定してるんでしょうか?
今のところはGPS付きの写真とかタイムスタンプとか農家さんの情報、資材の配送、機械予約みたいなところまで追跡するというのが、現状の構想として示されている状況みたいです。なので、単なる排出量の計算ツールではなくって、どちらかというと現場OSみたいなところに近いのかなと思いますね。
ではロードマップに行きます。ロードマップですが、彼らはフェーズ1、フェーズ2、フェーズ3とありますと。まず、フェーズ1には技術の正しさよりも、現場で農家さんの利益が出るかどうかっていうところを証明していくっていうことをまずやっていましたと。農家さんにとっては、アプリの利用率ではなくって、手取りが改善できたかどうかっていうところをまず見ていくってフェーズもあってやっていたそうです。そこにおいて、地域パートナーを通じた初期実証、水を抜いても、従来と違う農法にしても利益が出るということを現場で泥臭く証明していったという時期があったみたいですと。で、地域パートナーを使って、信頼と実行率をうまく改善していったというところを言われています。
で、フェーズ2においては、デットの融資の獲得とか、EU向けのMRLの基準のクリア、そしてデジタルMRVを拡充していくことで、5万ヘクタール超へ拡大していくというエコシステムの構築期というところをやっていたみたいです。ある意味、現場の実績っていうものを金融資産に変えていくようなフェーズが、フェーズ2だったということが言えるかなと思います。今ちょうどフェーズ2に到達している状況ではないかなと。フェーズ3はプラットフォームを解放していくっていうところで、30万ヘクタールを超えるようなところに拡大していきますというところと、おそらく他の企業にデータとか農家ネットワークを解放して、資本の効率化を行っていくようなことを考えているみたいですね。
まず自社で泥臭く現場の信頼を獲得して、商流を押さえて、その実績を担保に金融を引き出して、そして最後にプラットフォーム化して固定費を回収していくと。一時的なフルスタックのバリューチェーンを、垂直統合でやってみたいなところをやろうとしている、そうしたフェーズ感なのかなと思ってます。
そのフェーズ3に向けてプラットフォーム化していく時には、何を標準化して、何を守らなければいけないというか、どういう風に広げていくような感じなんでしょうか?
そうですよね。ここがいっぱいあるのかなと思っていて、農家さんのオンボーディングから資材の選定とか、あとAWDとかMRLですね、の実施の手順であったりとか、データの取得、あるいは買い取りの方法とか、あとは異常時の対応であるとか、品質基準、品質評価みたいな、特にパートナーの品質評価みたいなところとかを標準化していって、スケーラブルな仕組みを整えていくというのが、彼らの次のところなのかなと思ってます。MRVですね、MRVって耳慣れないので言っちゃいますが、Measurement, Reporting, VerificationのMRVのところに関しても、やはりきっちりとデータを取れるような仕組みというのをやっていく必要があるんだろうなと思います。
では、モートと競合に行きたいと思います。まず彼らがやってるのは本当にフルスタックですと。MRV、カーボン計測、Measurement, Reporting, Verification。それから、無利息のBNPLによる資金提供、実質的な資金提供と、現場密着の営農の情報の教え、アグロノミストとか、確実な販路、販売、そして資材の現物供給というところ。ある意味、最も資本、人員集約的なところですが、農家さんの感じるペイン、リスクに対するペインですね、に対する解決を、圧倒的な優位性を持ってフルスタックでやっていくみたいなことをやろうとしているのかなと思っています。
本当に全ての機能を持っていて、他のところ、例えばMitti Labsみたいなところに関してはMRV特化のところもあれば、カーボファーみたいなところ、こちらもMRV特化みたいなところもあれば、金融のところもあれば、資材のところもあればっていう感じですが、Rizeは全てをやりますということを言っています。その分なかなか真似できない強みにもなっているというのが、彼らの言ってる強み。ただもちろんそれが非常に資本集約的、すごい重いスタックを持っているというところで、成長速度を制約するような場面もあるのかもしれないなとは思いますが、ここの選択を取ってるというところではないかなと思います。
モートで言うと、全部やるところになるんでしょうか?
そうですね。全部やってるってところなんじゃないですかね。そこを一体的に、単純に全部やってるではなくて、一体的にちゃんとそれを運用できる能力というのがポイントかなと。特許もいくつか取ってたはずですけれども、特許というよりは複数主体を調整して結果を出すオペレーティングというところが、おそらく彼らの最終的なモートになっていくのかなとは思います。
では、彼らの参入戦略です。彼らは、先ほど少し申し上げましたが、個々の農家に直接アプリとかSaaSを売っていくんではなくって、フルスタックで売っていきますというところをやりましたと。で、その時にやったのが、ネット広告とかではなくてですね、地域の協同組合と連携して、面を制圧するようなB2B2Cのアプローチでいったということが言われています。で、SaaSではなくって、ソフトではなくって、現場指導と現物支給から開始して初期の負担をかなり減らして、物理的に0にするというようなことをやっていたと。現場支援と資材を初期負担なしで提供していくみたいなことを、最初の提供価値として提供していったというところです。
なぜそうしたのかというところではありますけれども、小規模な農家さんの市場においてはやっぱり、オンライン広告を出しても、個人単位でこの信頼の獲得とか現場の実行までやりづらいというようなところがあったみたいです。その点、協同組合を通すと農家をまとまった単位で獲得できたりとか、灌漑とか収穫時期とかを調整しやすいとか、集荷を確保しやすい、あるいは口コミが広がりやすいみたいなポイントがありました。あとは地域全体で導入できるということで、隣接農家との比較というものが自然に行われて、隣の農家で利益が増えたみたいなことを聞くと、それが最も強い営業になってどんどん広がっていくみたいなことが、1つポイントなのかなと思います。
あと、ここに関してアプリではないというところで、このある意味MVPというものは、資材が届いて専門家が来て、費用を先に払わなくても良くて、収穫後に買ってもらえるみたいな。それがミニマム・バイアブル・プロダクトとして彼らとしては機能していたのかなと思ってます。もちろんいろんな難しさもあったと。協同組合経由には、例えば組合長や幹部に依存してしまうとか、特定地域の政治関係とか人間関係に巻き込まれてしまうとかいう問題があったみたいなところはあったりはしますが、とはいえそこをうまく使って最初参入していったということが言われています。
日本で同じことを考えたらものすごい大変だなっていうところで想像してたんですが、協同組合経由から始まって、それを横に広げていく、地域をたくさん広げていくっていうところのやり方ってどういう風にしていったんでしょうか?
そうですね。協同組合の選定の基準を作ったりとか、あと現地のアグロノミストの認定の制度を作ったりとか、導入資材、MRV、収入っていうところを共通にしていったりみたいなところとかをやっていったみたいです。はい。
割と初期の段階から関係を持っていって、全部カバーしていったっていうようなところなんですね。
そうですね。その現場にちゃんと関係性を持って、長期的にも関係性を持ってやっていくみたいなことが大事なんだろうなと思います。あとちょっと触れた50ヘクタールの実証、ベトナムで行われた実証ですけれども、こちらも農業普及センターと2つの協同組合を通じて実施されたということで、結構組合をうまく使って、地道にやっていったというのが初期の進み方だったみたいですね。
では起業のプロセスです。彼らの創業としては、Wavemaker Impactっていうですね、ベンチャービルダーが、シンガポールベースだったと思いますが、そこが中心となって考えていったというところです。創業プロセスとしては、農業の上流の非効率性と水田のメタンという巨大な気候変動の課題というところを見つけて、それが投資家起点でですね、初期構想を2020年末に発足して、年間1億t削減、そして1億ドル収益っていうところを逆算しながら作っていった。そうしたベンチャービルディング、カンパニークリエーションみたいなことをやった1つの例として、農業系でやったという面白い例だなという風に思ってます。
創業者自身の原体験とか個別の顧客の課題というわけではなくて、大きな課題を選定して、そこにどうアプローチしていくのかというところを考えたというような起業の方式かなと思います。もちろん一方で、その課題が大きいことと、本当にお客様が支払うことは別なので、そこに関しては多分足元の検証とかをちゃんと繰り返しながらやっていったということなのかなと思います。ただですね、ここに関してはうまくやって、いろんなところから調達を今回できるようになったというところで、初期からレクスエナジーベンチャーが関わっていたりしますし、非常に大きな調達もできているという状況です。
そのベンチャービルダー方式、カンパニークリエーションの方式っていうのは、普通の創業者から始めるような方式とどういうところが変わってくるんでしょう?
割と投資家が起点になっていくような起業のプロセスかなと思っていて、投資家側が調査とか、あるいは初期の資本を大きめに入れたりとか、創業者を採用したりとか含めてやっていくようなモデルで、かつ最初にやっぱりその課題の領域とか事業規模のところを大きく置いていくみたいなところが大きいのかなと思ってますと。で、そうした仮説を大きく構想として作って、採用したCEOとか創業者の方と現場のチームが実事業に落とし込んでいく、そうしたことをやっていく方式なのかなと思います。
その時に創業者の能力というか、資質ってどういったところが今回だと大事になったんですかね。
現場を動かす能力でしょうね。農家さんと一緒に、協同組合も含めてやっていくところとか、あといかにこのステークホルダーを束ねるかっていうところで、金融機関とか買い手とか、こうした方々を一気に束ね
て、こうひっくり返すというか、いうところが1つできるかどうかってのがポイント。もちろんそこはベンチャービルダー側も多分関わってやっていくというところだろうと思います。あと、現地組織が必要なビジネスだと思うので、ここに関して採用とか管理していくオペレーションがちゃんとできるかどうか、あとデットを含むような複雑な、この金融と言いますか、資本ですね、の設計ができるかどうかみたいなところに関しても1つというところと、あとデータ揃えて、レポーティングとかベリフィケーションもできるみたいなところとか、この総合的な回していく能力みたいなところがおそらく大事で、2022年末に立ったという話をしましたけれども、その時点でもテマセクとかブレークスルー・エナジー・ベンチャーズとかが非常にこう入って、ウェーブメーカー・インパクトと一緒にこうやっていったっていうところが、そこをうまくこう束ねる1つの接着剤になったのかなとは思います。
では初期の学びと歩みというところを話したいと思います。やはりですね、農家さんは環境価値だけでは動かないということが最初の学びだったみたいです。なのでMRV中心ではなくって、その金融とか現物とか買い取りというところのモデルに変換したというのが彼らの初期の失敗と変更なのかなと思います。計測ツールだけではなかなか収量の低下のリスクという、その恐怖を乗り越えられないというところで、その現実に打ち当たってフルスタックにしていきますというところが1つありました。もう1個がベトナムでの実証実験の時に嵐による追加トラブルが発生しました。しかし、柔軟な現場対応とMRL適合米の買い取りプレミアムがちゃんとついて、悪天候の下でも利益が増えますということを証明して、それが2年強でですね、5万ヘクタールを超える信頼になったということが言われています。本当に、なんでしょうね、なかなかこのSaaSでやっていけないという風なところ、そしてこの危機と言いますか、を逆にこう機会にして、こんな状況でも行けますみたいなことを最初に証明できたってのは大きかったのかなと思ってます。もちろん本当にこの農家さんが恐れるような物理的な障壁っていうのはすごく具体的で、水を抜く時期を間違えてしまうと作物に影響してしまいますし、豪雨が来れば計画通り乾かなかったりもします。あと、虫が増えてしまえば、害虫対応とか収量維持が結構こうぶつかってしまうようなこともあったりして、本当に実証で悪天候が発生したことは単なる失敗ではなくてストレステストとして、このストレステストをうまく乗り越えて本当に農家さんの利益を守れたっていう風なところが大きかったのかなと思いますね。
なるほど。いやあ、なんかストレステスト、なるほどですね。じゃあ、その増えたっていうのがこうたまたまというわけでもなく、やっぱ設計通りっていうところだったんでしょうか?
そうですね。一事例なので一般化はできないかもしれませんが、一方でその全量買い取りとか資材最適化とかMRLのプレミアムですね、が結果に寄与したんじゃないかという風に言われていて、悪条件においてもちゃんとうまく利益出ましたよっていうところは大きい、その証明にもなったのかなという風に思います。今後おそらく複数年とかで検証していく必要はあると思いますし、別のMRLの実証においては目標の未達も起きていたりするということを聞いているので、特に、なんでしょうね、害虫の対応による農薬使用によって、MRL目標を達成できなかったということが言われてたりするので、結構事業としては難しいところもあるのかなとは思います。が、とはいえですね、一部の条件においてはちゃんと収量並びに買い取り、利益が出ましたというところが出たので、そこは大きかったのかなと。フルスタックでやっていたがゆえに、いろんなリスクを見てできたっていうとこもあるのかなと思います。
では資源です。彼らはですね、エクイティとデットを組み合わせて、かつソフトウェアとか現場組織とか農家向けの運転資金とかを組み合わせて、うまくやっていったというところです。その分資源が必要だったということが言えます。2026年7月時点で累計の調達額は47ミリオンドルぐらいですね。シリーズはエクイティとデットの混合で行ったそうです。20Mのエクイティと11Mのデットでやっていますというところです。
特徴はやはりこの急成長に伴って枯渇する資材の前貸しみたいな資金に関しては、高コストな株式の希薄化ではなくって、確実な商流データと買い取り契約を担保にしたデットでうまくやっているということが、結構面白いその資金調達のところではないかなと思います。ある意味ソフトウェアとか人材とか組織、研究開発みたいなところは長期リスクを取るエクイティであって、運転資金とかは回収期間が比較的短いデットでやっていくということをやっています。あと農地面積が増えるほど資材の前払いが増えるので、エクイティだけで賄うとやっぱ成長のために大型の資金が必要になって増資が必要になって、それじゃうまく回らないので、デットっていうところをうまく使っているのかなと。で、ただデットを呼び込むために彼らはやっぱりこの貸し手にとって、貸し手がリスクをちゃんと評価できるような、そうしたデータをきちんと揃えていったというのが偉いのかなと。農家さんの情報であるとか作付けの面積とか資材の使用とか収量とか、こうしたデータをちゃんと捉えることによって、デットをうまく引けたというところが重要かなと。ある意味そのMRVですね、そのメジャメントとかレポーティングとベリフィケーションみたいなものとか商流のデータとして扱うだけではなくって、彼らにとっては融資可能性を高めるような信用データとして機能しているというのが、ある意味環境だけではない価値に変えている、そこをやっているメリットではないかなと思います。ここが本当にライズの高度なポイントで、資金調達というものはある意味彼らにとってはプロダクトの設計の一部にもなっているというところではないかなと思います。それによって金融を引っ張ってくれる、デットを引っ張ってくれるというところがあるので、非常にこう面白いいいやり方だなと思います。
一方でデットに関してはやっぱりこのコメの価格が下落した時とかには事業を不安定化させる可能性もあったりするので、ここに関しては注意しながら、やっぱり運転資金をどのように確保していくのかというところは1つポイントとしてはあるのかなと思います。
ほお、なるほどです。いや、確かにデット使うのうまいなと思ったんですけど、こう、不作だったり、別の事例でMRL達成できなかった時が結構重たくなってくる可能性もあると思ってて、どういう風にそれに対して対応していくとかいうような予定なんでしょう。
そうですね。どう対応していくのか、なかなか難しいとは思いますが、例えば分散させておく、そのライズ自体を分散しておいて、地域とか相手とかをちょっと分散させておくみたいなことが1つあるのかなと思ってますし、あとは保険とか、あと返済をどうするのかとか、この辺りの設計というところも必要なのかなと思います。あとその損失の耐久、どこまで耐性があるのかどうかみたいなところ、固定の返済額とかを見ながら、自分たちのその、なんでしょうね、BS・PL見ながらやっていくというところなのかなと思いますね。
では日本で、どうやって同じようなアイデアで起業するかというところです。いくつかのパターンをAIに出してもらいました。まずAですね。J-クレジットSaaSです。これは、中干しの延長がクレジット可能な日本において、このJAとか地域団体を通じて、この証拠の収集とか審査、販売、分配というのを効率化していきましょうみたいなのが言われています。アセットライトでできるんじゃないかと。ただ一方で、既に複数事業者が参入していて、単純な申請代行だと競合しやすいのかなと思います。で、案BはB2Bの契約栽培プラットフォームです。スコープ3削減を目指す食品企業と農家を直結させて、クレジットに依存しない付加価値としてプレミアム価格で買い取ってもらう。そうした商流のモデルを作ることができるんじゃないかということが言われていますが、これは相手の継続契約と価格設計をどこまでできるかによって多分成否は決まってきます。案Cが、スマートメガファームということで、遊休の水田とか担い手がいない農地を集約して、そして、IoT自動給水バルブとかを駆使しながら人件費と現場訪問を極小化する自社運営モデルをやっていく、ある意味垂直統合で、自分たちで農地を持っちゃうみたいなところなのかなと思います。で、案Cが一応AI的にはおすすめで、もちろんその資産としては重いんですが、農地の集約とか地域の水利調整とか農機とか設備投資とかやっていかなければいけないが、競争優位性は強くできるんじゃないでしょうかということが言われています。もちろん最初から大規模な自営の農場を持つよりは、特定の地域の水管理とか記録とか販売とか、そういうところをしながらデータを貯めて、自営の比率を高めていくという方法もあると思うんですが、まあまあ、こうしたスマートメガファームという案がありますよというところが1つポイントかなと。日本と東南アジアでは農家のペインがちょっと違う。東南アジアだと、資材の購入資金とか実資材のアクセスとか低金利の金融とかいうのがない一方で、日本は高齢化とか人手不足とか、小区画に分散している、あるいは担い手不足みたいなところがあったりするので、ちょっと違うアプローチでこうしたところが提案されているのかなと思います。
そうなった時に、日本の農業形態で、農家さんが1番こうお金を払うようなポイントってどういったところになるんでしょう?
そうですね、水管理とか、高齢化による作業の継続がこんな暑い中で困難とか、小区画に分散してる農地をどうするのかとか、もちろん記録申請とかあったりはしますというところかなと思います。現状そのカーボンの計測みたいなところ単体では儲けるのが難しいという判断で、こういう案になってるのかなと思いますね。
ではまとめです。このライズからですね、得られるいくつかの学びがあるのかなと思います。1つ目がですね、やはり顧客が今すぐ感じる経済価値をちゃんと売っていくこと。社会的インパクトももちろん大事ですが、日本でお客様の中に入っていくには、今すぐ感じる金銭的な便益、コストが減るとか売上が増えるとか、そうしたところとか、リスクの低減をさせる、資金のアクセスをしてもらうとか、そうしたところをやってもらって、環境価値というものはその裏側に組み込んでおくみたいな、そうしたことをやっていく必要があるのかなと。ライズの場合は農家にメタンの削減を依頼するのではなくって、資材から営農支援、これらを提供した結果としてメタンが減っていきますという仕組みを作ることが1つです。で、2つ目が出口から設計して、デットとか金融をうまく使うことだと。買い手とデータの要件を先回りして設計してしまえば運転資金を借入れで回すことができるので、新しい勝負の仕方ができる。誰が買うのかとか、どの品質データが必要かとか、いくらで買うのか、こういうところをきちんと詰めて設計しておくことが、ある意味強みなのかなという風に思います。そして3つ目がやっぱりフルスタックです。最強の障壁になりますが重い、これをちゃんと運用できるかどうかっていうところは問題としてありますが、とはいえ顧客のバリアというものを一気に解ける場合もあるのかなと思っています。人員、資金とか在庫とか物流といったような複雑性は増しますが、うまくできると本当に誰にも真似できないようなモートにもなり得るというところです。この辺りを、なんでしょうね、やっていくのが1つポイントとしてあるのかなと思います。
もちろんまだ成功事例として、一定成功はしてると思いますが、完全に成功してるわけではないと。有望な構造を今作りつつあって、しかも再現性に関してはある程度見えてきてますが、より大規模にした時に見えてくるかっていうのは今から確認する企業ではありますが、こうしたいくつかのやり方を変えることによって、環境の負担を下げながら、環境価値を中長期的にちゃんと価値にしていって、かつ足元の利益も出る、そして入っていけるみたいな、そうしたことができるようなスタートアップの作り方というのもあるのかなと思ったので、是非こうしたところに関して考えていただくヒントになればと思っています。では、そさん、どうでしたか?農業系ありは。そうですね。農業経営専門だったので、うわ、これやな、その大変さがなんとなくこう感じられますね。はい。
いや、ただなんかその結果として、その環境にいいからじゃなくて、ちゃんと、なんですかね、農家さんが今困ってるところにアプローチしていった結果として環境にも優しくなるよみたいなところで、そのやっぱりこう実際に営農する方の利益から入っていくのは重要だなという風にも思いました。
そうですね。やはり足元のニーズもちゃんと見ながら、大きな構想でやっていくことによって、いろんな人たちを巻き込めて、本当に垂直統合ができる、そういうビジネスにも構築できるんじゃないかなと思わせてくれる事例でした。
はい、それでは今日はこちらで終了です。FoundX Review Startup IdeaCastでは今後皆さんのために最新のスタートアップを紹介していければと思います。ご興味のある方は是非チャンネル登録やいいねお願いいたします。またFoundXの各種プログラムでも応募者を募集しています。周りに起業を考えてる方がいらっしゃれば是非FoundXのプログラムをご紹介ください。ではまた次回よろしくお願いします。ありがとうございました。
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