掘る前に天然水素を見つける:Mantle8の探査特化戦略をFoundXが読み解く
東京大学FoundXFoundXの番組「FoundX Review Startup IdeaCast」は、海外スタートアップのアイデアをAIで整理・分析して紹介している。今回取り上げたのは、フランス・グルノーブル発の天然水素スタートアップMantle8(マントル・エイト)だ。番組では以前、米国の天然水素企業Koloma(コロマ)を紹介している。今回は同じ天然水素の分野で異なるアプローチを取る企業として、Mantle8を選んだ。選定理由にはもう一つ、ビル・ゲイツ系のファンドBreakthrough Energy Venturesから出資を受けている点も挙げられた。
冒頭で番組は、AIで情報を整理しているため一部の情報が古かったり誤っていたりする可能性があると断っている。事実を重視する場合は各自で一次情報を確認してほしい、という立場である。以下では、説明役の話者と聞き手のやり取りを、話された内容に沿ってまとめる。
前段:大学発技術の価値はライセンスからスピンアウトへ
本編の前に、聞き手の一人がニューヨーク大学関係者によるスピンアウトに関する記事を紹介した。紹介によると、米国の大学技術移転は特許ライセンスが中心だったが、比重はスピンアウトに移りつつある。米国のライセンス関連の調査では、発明の開示件数は増えている一方で、ライセンス収入は減っている。これに対し、エクイティのキャッシュアウトによる収入や、スタートアップの数、新製品の数は増えているという。記事の筆者はこれを、大学の知財の価値が消えたのではなく、価値の回収経路がライセンス収入からスピンアウトの成長やエグジットへ移っていると解釈していた。ただし、特許が不要になったわけではなく、依然として重要だとも述べていた。
記事はスピンアウトまで到達できる制度、支援体制、文化を築くべきだと主張しているが、具体的な方法はまだ模索中だと話者は受け止めた。スピンアウトは時間がかかるものであり、米国も同じ課題を抱えていると確認した。FoundXもその模索に貢献したいと話して、本編に移った。
Mantle8の全体像:水素を「作る」のではなく「見つける」
Mantle8は天然水素の探査に特化したディープテック企業だ。Kolomaは天然水素の探査から採掘まで手がける。これに対しMantle8は、掘る前にいかに見つけるかに焦点を絞っている点が特徴だと説明された。
話者の整理では、水素製造の現状は次のとおりだ。グリーン水素の製造コストが高止まりし、脱炭素のボトルネックになっている。一方で、地質学とAIを組み合わせれば、地下で自然に生成される天然水素をより低コストで発見・供給できる可能性が出てきた。Mantle8は水素を作る会社ではない。掘削の失敗確率を下げるデータとAIの会社だ、と位置づけられた。
聞き手は、探査でAIをどう使っているのかを尋ねた。話者の説明では、地質データや地震センサーの波形データを解析してノイズを除去し、水素が生成されて流れる地下の3Dモデルを構築する工程でAIを使っている。KolomaのAIは地質データや過去の井戸データを組み合わせて有望地点を特定するものだった。Mantle8はそれに加えて実際の物理センサーを使う点が違うという。
課題:高コストのグリーン水素と「当てずっぽう」の従来探査
想定顧客は、鉄鋼、セメント、航空など、電化による脱炭素が難しい重工業だ。水素の選択肢を見ると、化石燃料由来のグレー水素は安価だがCO2排出量が極めて大きい。再生可能エネルギー由来のグリーン水素は製造コストの高さが普及の壁になっている。
それなら天然水素を探せばよいかというと、ここにも問題がある。従来の探し方は、地表のガスの兆候や過去の井戸データに頼っている。そのため当てずっぽうになりやすく、成功確率が低い。聞き手がさらに具体的な説明を求めると、話者はこう答えた。地表から水素が漏れている場所を見つけ、その下にあるだろうと掘ってみる局所的なアプローチだ。掘削には数億円規模の費用がかかり、失敗すればそれが無駄になる。
Kolomaとの違いについて話者は次のように整理した。Kolomaはどこを掘るかをデータの力で見つけようとしている。Mantle8は、掘ること自体が環境負荷とコストを伴うため、掘らずに探査することを目指している。当面は水素そのものを売るのではなく、エネルギー企業や鉱業会社に探査の成功確率を高めるデータや採掘の権利を提供するビジネスになるだろう、と話者は見ている。
解決策:4つの独自技術スタック
Mantle8は4つの独自技術を持っていると紹介された。
- Geologycs(ジオロジクス):候補地を選ぶアルゴリズム。地質データをスキャンし、天然水素が生成される条件、たとえばマントル由来の岩石や貯留層の構造があるかを特定する。
- OREX(オレックス):地下の水素生成システム全体を3Dで画像化するシステム。探査現場に地震波センサーを設置し、微小地震のデータを集める。そこから水素が作られる場所、移動経路、貯留層を立体的に可視化する。
- Apogee(アポジー):探査現場の地表や地下から採取した液体、ガス、岩石のサンプルを化学的に評価し、水素が実際に存在するかを確認する。あわせて、その地下システムから得られる水素の量と品質を評価し、定量化する。
- Simulate(シミュレート):地下での水素の形成、移動、貯留のプロセスを仮想空間上で再現するデジタルツイン。
話者によると、差別化の要因は地表の兆候を探すのではない点にある。水と岩石の反応から貯留に至るシステム全体をモデリングし、それによって掘削のリスクを減らすという。トラクションとしては、フランスのピレネー地方で天然水素システムの3D画像化に成功した。Mantle8自身はこれを世界初と称している。
KolomaのAI探査モデルとOREXの違いを問われると、話者は次のように答えた。Kolomaは過去の文献や衛星画像から推計するのが中心だ。OREXは実際にセンサーを置き、自然に起きる振動を利用して地下を直接可視化する。人間に例えればエコー検査のようなものだという。センサーを自社で作っているのかという質問には、ハードウェアはセルセル(Sercel)などの他社と連携して調達していると答えた。自社は探査アルゴリズムとデータモデリングに特化している、というのが面白い点だと話者は述べた。
市場規模と成長ドライバー
市場の数字として、TAMは2050年の世界の水素需要量で、66億6000万トンと推測されていると紹介された。SAMは欧州の天然水素埋蔵量で1億トン、SOMは1000万トンとされる。
成長ドライバーとしては3点が挙げられた。各国のネットゼロ目標とクリーンエネルギーへの転換圧力。エネルギー安全保障、特に欧州のロシア産ガス依存からの脱却。そして、EUのJust Transition Fund(公正な移行基金)などによる大規模な公的支援だ。
EUの支援について聞かれた話者は、Mantle8の例を挙げた。Mantle8はJust Transition Fundから約3.3億円相当のグラントを獲得し、Apogeeの開発などに充てているという。
競合に対してMantle8が先行できる理由も尋ねられた。話者は二つの可能性を挙げた。一つはフランス発であることだ。フランスは欧州の中でも天然水素の法整備が進んでおり、制度面の恩恵を受けやすい。もう一つは地理で、拠点のグルノーブルが水素の存在しうるピレネーのような地域に近いことが効いているのかもしれない、と推測を交えて述べた。SOMとして示された2030年までの発見目標は現実的か、という質問に対しては「かなり野心的」だと認めた。そのうえで、欧州内で推定される埋蔵量の多さと、AIを使った探査アルゴリズムがスケールする見込みを考慮して設定された目標だと説明した。
ビジネスモデル:ライセンスと権益共同開発によるアセットライト
主な支払い者は、エネルギー企業や鉱業会社だとされる。収益源は二つある。探査技術のライセンス提供と、探査権益の自社保有または共同開発だ。コスト構造は初期の設備投資に投資が集中する形になる。一方、運用コストは自然の生成プロセスを利用するため、グリーン水素と比べて圧倒的に低くできるという。Mantle8は天然水素の生産コストとして1kgあたり0.8ユーロを掲げ、グリーン水素の5分の1以下の水準を目指すというストーリーを語っていると紹介された。
話者の見立てでは、Kolomaは最終的に巨大な水素インフラ企業を目指しているように見える。これに対しMantle8は、探査技術のライセンス(いわば「つるはし売り」)や権益の共同開発といった、より資産の小さいモデルを志向している。自社で水素の生産・販売をしない理由について話者はこう推測した。プラント投資は必要資金が桁違いに大きくなる。そこで、資源開発の中でも付加価値が高く利益率のよい探査に集中しているのではないか。
収益化は、商業探査の掘削が始まる2028年頃から本格化すると見込まれている。ライセンス収入や権益の持ち分を通じた収益がそこから立ち上がるという想定だ。
戦略:外部連携によるプラットフォーム型
戦略は、上流の探査に特化したプラットフォーム型だと説明された。すべてを自前で作るのではなく、外部のリソースを使う。世界的な地質データベースの会社(字幕では「ビリリアン」と聞こえる企業)や、受動地震センサーのハードウェアを手がけるセルセルと提携している。社内のリソースは地質学、アルゴリズム、データ解析というコアだけに集中させ、資本効率を高めている。10〜20年後の理想像としては、2030年までに1000万トンの天然水素を発見し、エネルギー資産化の基盤を確立することを掲げている。そのために予測精度に特化していると紹介された。
大手エネルギー企業が同じようなデータ解析を内製化する可能性はないのか、という質問も出た。話者は、理論上はありうるとしながらも、模倣は容易ではないとの見方を示した。根拠は二つある。創業チームが地質学者で20年以上の研究蓄積があること。そして上述の地質データ企業などとの提携が堀になっていることだ。
Kolomaとの比較では、取っているリスクが違う点が強調された。Kolomaは三菱重工やユナイテッド航空といった需要家と提携している。これは「売れるかどうか」のリスクに備え、資金力で需要側を押さえる動きだと話者は位置づけた。一方、Mantle8が最大のリスクとしているのは、確実に見つけられるかどうかだ。そのため、需要家ではなく技術を持つ企業を巻き込み、探査の不確実性をゼロに近づける技術連合を作ることで参入障壁を築いている、という整理である。
ロードマップ:2028年に商業探査、2030年にグローバル展開
Mantle8は段階的なアプローチを取っている。巨額のコストがかかる掘削の前に、探査技術の精度向上に資金と時間を投じる方針だ。
- フェーズ1(現在):OREXのパイロットテストと技術検証、自社ラボApogeeの設立。
- フェーズ2(2028年頃):最初の商業探査掘削の開始と、技術スタックの産業化。
- フェーズ3(2030年頃):商業規模での生産の達成と、グローバル展開。
話者は、実証から商業化までの時間軸が長く、忍耐強い資本を必要とする、いかにもディープテックらしいロードマップだと評した。Kolomaはすでに米国中部で試掘を進めている。これに対しMantle8は2028年頃まで商業探査を待ち、その前に非侵襲的なセンサーで探査技術を仕上げようとしている、という対比も示された。
最大のボトルネックは、Kolomaと同様、フェーズ2の最初の商業探査掘削だと話者は見る。データ上の予測が本当に正しいか、商業規模で使える水素が実際に出るかが最大の難所になるという。資金計画について聞かれると、話者は次のように答えた。現在はVCのシード資金とEUのグラントを使っている。掘削フェーズに入ってからは、インフラ投資向けのプロジェクトファイナンスを活用するのではないかと想定している。
競合とモート:HyTerra、Gold Hydrogenとの違い
競合としては、HyTerraやGold Hydrogenが挙げられた。話者はまず手法の違いを指摘した。他社は過去の井戸や地表のガス漏出の兆候に頼っている。Mantle8は地下システム全体をモデリングし、最終的にはデジタルツインとして構築する。予測精度が高い点が特徴だとされる。環境負荷の面でも、受動的な地震センサーを置くだけなので掘削より侵襲度が低く、環境負荷はほぼゼロだとされている。モートとしては、20年の地質研究の蓄積、独占的なハードウェア提携、EUからの強固な資金提供の3点が挙げられた。
聞き手が「Kolomaは資源開発会社で、Mantle8は探査会社という比較になるのか」と確認すると、話者は事業モデルの違いが大きいと同意した。Kolomaは公式に天然水素の探査、評価、商業化を掲げ、開発、生産、販売まで手がける。Mantle8はその手前で、技術を前面に出して探査の精度を上げる役割を担っている。
一方で、話者はモートの強さについて留保もつけた。20年の蓄積にどこまで追いつけるかは難しい問いだという。アルゴリズムがデータだけでなく、マントル由来の岩石の反応メカニズムまで踏まえて作られている点が参入障壁になっており、短期間での追随は難しいだろう。ただし、将来どうなるかはかなり分からないとも述べた。聞き手は、Kolomaが同様のセンサー探査を始めたらMantle8は負けるのかと問いかけた。話者はこう答えた。センサー自体は模倣されるかもしれない。データをどう活用し解釈するかがどこまで通用するかがモートになるだろう。とはいえ、Mantle8の技術がどれほど難しいものなのかは、今ある情報だけでは分からない。
参入戦略:ピレネー地方でのPMF検証
参入の足がかりとして、Mantle8は欧州内の未開発エリアを狙った。最初の焦点は、地質的に自社のホームグラウンドといえるフランスのピレネー地方だ。MVPの実証では、掘削せずに受動センサーを地表に配置し、環境負荷なしで地下の3Dマップを作った。センサーのデータと既存の地質データが一致し、高濃度の水素の存在が確かめられた。これがPMFの検証に当たるという。掘らずにデータの精度の高さを示したことが、理論上の仮説をビジネスにつなげる突破口になったと紹介された。
水素濃度が商業的にどんな意味を持つのか、という質問に対して話者はこう説明した。彼らが存在を示した濃度は2500ppmだった。これは有望な兆候とされる基準値の数倍に当たり、地下に大規模な生成・貯留システムが存在する証拠になると考えられるという。
創業者:地質学者のコンサルからのスピンアウト
創業者はエマニュエル・マジー(本人がYouTubeで「マニュー」と名乗っていたため、番組ではマニューと呼んだ)。地球科学者・地質学者としてアカデミックな経歴を持ち、石油・ガス業界を経て独立・起業した人物だと紹介された。学術研究ではマントル由来の岩石を調べ、水と岩石の反応メカニズムに関する着想を得ていた。石油・ガス業界では長年探査実務に携わり、2016年にはプロジェクトに従事して欧州、北アフリカ、中東の案件を主導した。100人の研究者を率い、ピレネー山脈を中心に75本の論文を発表したともいう。
転機は子どもの誕生だった。これをきっかけに気候変動への意識が高まり、自分の仕事を未来にとって意味のあるものにしたいと考えるようになった。2022年に石油・ガス業界向けの地質研究やコンサルティングを行う会社を設立し、コンサルをしながら天然水素や重要鉱物の探査技術を構築した。その後、投資家から「この技術をスケールさせるべきだ」と声をかけられ、自らの研究チームと開発した技術をもとに2024年にMantle8を設立してCEOに就いた。
聞き手が、コンサルから始めたのはニーズを感じられるからかと問うと、話者は同意した。ニーズを確認できたこと、キャッシュフローを稼ぎながら進められたこと、それをもとに技術仮説の検証とチームビルディングができたことを利点に挙げた。話者はここにもKolomaとの違いを見ている。Kolomaは投資家と大学教授の出会いから生まれたトップダウン型だ。Mantle8は顧客の課題を現場で解きながら技術を磨き、スピンアウトしたボトムアップ型だという。投資家の側からスケールを提案されたことについて、聞き手は「すごい」と述べ、話者も技術的に尖っていたのだろうと応じた。チームは社員の約80%がPhD保有者の専門家集団だと紹介された。
初期の学びと3D画像化
初期の学びとして挙げられたのは、表面のガス露出の兆候を探すだけでは、商業規模の天然水素の発見は難しいという気づきだった。そこから、生成から貯留までの経路全体を3D画像化して理解する方向に切り替え、予測精度が上がったという。2024年の独立後に天然水素システムの3D画像化に成功したことで、理論から産業実装へのスケールアップが現実味を帯びた。
点の探索ではなぜ駄目なのか、と聞き手は尋ねた。話者は、水素が非常に軽く拡散しやすいことを理由に挙げた。地表から漏れていても、その下に大規模な貯留層があるとは限らず、予測が外れるリスクがあるためだと考えられるという。「システム全体の理解」とは、どこで水素が生成され、どの経路を通って移動し、どこに溜まるかの3点を立体的に把握することだと説明された。
独立後すぐに3D画像を作れた理由については、コンサル時代に蓄積した地質データとアルゴリズムの基礎があったこと、調達資金で人員を一気に投入したことが挙げられた。ただし、コンサル時代のデータをどう工夫して使ったのかは分からない、と話者は付け加えた。おそらく生データなので、どれだけ活用できたかは不明だという。
資金調達:シードとEUグラントの使い分け
リソース面では、まずグルノーブルというエコシステムが挙げられた。研究機関が多く、ディープテック企業も集まっている地域だという。話者自身も調べて初めて知ったそうで、研究者の採用やハードウェア企業との提携がしやすいと説明した。人材面では、約80%が地質学関連のPhDを持ち、15か国の国籍、女性比率35%という多様性と専門性がある。
資金は、シードで340万ユーロ(約5.4億円)を調達し、さらに約3.3億円の助成金を得ている。話者が面白いと感じたのは、エクイティとグラントの使い道を分けている点だ。エクイティは新しい探査地点の開発に充てる。グラントは研究施設や技術開発といった成果の出やすい領域に回している。
聞き手は、Kolomaと比べて金額が桁違いに小さい点を指摘した。話者によると、Kolomaは4億ドル(約600億円)を調達しており、桁が2つ違う。ただMantle8は、外部パートナーとの提携と助成金を組み合わせたリーンな戦い方をしている。現在の資金はあくまで探査技術の証明のためのものなので、額が小さいのだろうと話者は見る。技術の証明ができれば、確実な探査データを手に巨大エネルギー企業と共同開発を進める考えのようで、今後大きな資金調達をする可能性もあるという。
日本で同じアイデアを事業化するなら
番組恒例として、日本で同様の事業を起こす案をAIに考えさせた結果が3つ紹介された。
- A案:地質データ解析SaaS。日本に豊富な温泉・地熱の探査データや地震波データをAIで解析し、国内外の企業にSaaSとして提供する。
- B案:地熱×水素のハイブリッド探査。火山国という特性を生かし、地熱発電の掘削プロジェクトと天然水素の探査を相乗りさせる。
- C案:海外権益投資型。日本の重工業や商社と組み、探査技術を武器にオーストラリアなど海外の探査権益を共同取得する。
日本の優位性としては、長年培ってきた地震予知の技術や地熱探査のハードウェアが世界有数の水準であり、差別化の武器になるとAIは挙げていた。聞き手が日本の地震技術は本当に世界で通用するのかと尋ねると、話者はこう答えた。地震大国ゆえに、小さな振動を捉えるセンサーや地下構造の解析ノウハウの水準が高い。それを資源探査に応用すれば競争力になりうる。地熱とのハイブリッドのメリットについては、地熱も水素も最もコストがかかるのは掘削なので、その費用を地熱発電プロジェクトと折半できれば、単独で水素を探すより財務負担が下がるという説明だった。
まとめと番組の結論
最後に話者は3つのポイントを挙げた。1点目は視点の転換だ。化石燃料由来や再エネ由来の水素製造プロセスを改善するのではなく、自然の生成力を利用し、天然で生まれる水素を見つけにいく。2点目は不確実性の排除で、最もリスクの高い掘削の前に、データモデリングとセンサー技術でリスクを下げる。3点目はエコシステムの構築で、単独ではなく産学官の複数の企業や団体を巻き込んで開発体制を組む。今すぐできるアクションとしては、自国や身の回りの既存の環境データを見直し、データ解析で未利用資源を特定できる可能性がないかを検討するのが面白い、と話者は提案した。
聞き手は感想としてこう述べた。Kolomaが巨額の資金を集めているなかで、Breakthrough Energy Venturesが別の天然水素企業にも投資したことは象徴的だ。この分野にはまだ勝ち筋があると感じさせる事例だという。話者は、おそらく技術面が高く評価されているのだろうと応じた。アプローチの工夫の余地は他の領域にもまだたくさんある、と締めくくった。
皆さん、こんにちは。FoundXの田です。
同じくFoundXの田です。今回、雑談ですが、ニューヨーク大学のフラブ…VCのザースティスピンアウトプレイブックという記事を読んだので、それが面白かったのでご紹介したいと思います。面白かったところとしては、大学発の技術移転がこれまで特許のライセンス中心だったのが、その後スピンアウトに移っているよ、と。
でも、特許がいらないっていうわけではないというか、依然重要とはしているっていうお話でした、というところです。
ライセンスのサーベイみたいなのがアメリカであって、それだと発明の開示は増えているんですが、ライセンスの収入は減っているらしいです。一方でエクイティ・キャッシュアウトの収入は増えていたり、スタートアップの数も新製品の数も増えているという風に説明されていて、なので大学の知財の価値、ライセンスが消えたんじゃなくて、その価値をどうやって取るかというのが、ライセンス収入からスピンアウトの成長とか出口ってところに寄っているという風に解釈していらして、なるほど、アメリカもそういう傾向なんだ、というところが、大学でスタートアップ支援するものとして勉強になりました。
そうですね。向こうは向こうで困ってるんだなって感じがしますね。
そうですね。困ってそうな感じでした、内容的にも。やっぱりみんな困ってんだなと思いながら読みました。
スピンアウトも時間かかっちゃいますからね。大戦に比べると。
なので、この記事の主張としても、スピンアウトまで行けるような制度とか支援体制、文化っていうのを築いていこうという話ではあったんですが、じゃあどうやってっていうところについては、みんなで模索しているのかなと思います。そうですね。FoundXもその模索に少なからず貢献できるよう頑張りたいですね。
というところで、本編アイデアキャストのコーナーに移っていきたいと思います。FoundX Review Startup IdeaCastですが、海外のスタートアップのアイデアをAIを使って分析して紹介する番組です。これからアイデアを考える方のご参考になればという風に思います。最初にディスクレーマーですが、AIを活用して情報を整理しているので、一部の情報は古かったり間違っている場合もあります。
ファクトを重視される場合は必ずご自身で調べていただくようお願いいたします。本キャストはあくまでそこからアイデアの参考情報とか考え方を引き出すことを主な目的としています。で、今回ご紹介するスタートアップですが、Mantle8になります。
なぜ今回はこのスタートアップを選んだんでしょうか?
そうですね、以前、Kolomaという天然水素のスタートアップを馬さんがお話しされたと思うんですが、その同じジャンルではあるんですが、ちょっと違うアプローチをしているというところで、違う角度からご紹介できたらと思って選んだというところと、ビル・ゲイツのファンドですね、Breakthrough Energy Venturesから出資を受けているという点で選びました。
では、ご紹介の方に移っていけたらと思うんですが、Mantle8ですが、フランスのグルノーブル発のディープテックスタートアップになります。天然水素といった新しいクリーンエネルギーの探査に特化しています。Kolomaはアメリカの天然水素の採掘まで行うようなところだったんですが、Mantle8はどちらかというと、製造から採掘っていうところは一緒なんですが、製造の前に、いかに見つけるかっていうところに特化しているところが特徴になります。
では、全体像です。ここでは天然水素の事業全体についてお話しできたらと思います。水素ですが、既存の製造、水電解とかからパラダイムシフトをしていくものになります。自然に天然水素が出てくる生成システムを発掘していくようなことをやっているものになります。今は水素製造について、グリーン水素の製造コストが高止まりしていて、脱炭素のボトルネックになってしまっていますと。一方で機会としては、地質学とAIを駆使すると、より低コストに天然水素を発見したり供給するようなことができるようになっています。
Mantle8は水素を作るのではなくて、掘るときの失敗を下げる、データとかAIの会社であるといったところになっています。
じゃあ、この探査でAIをどういう風に使ってるんですかね?
この後も少しご紹介あるんですが、地質データとか地震センサーの波形データを解析してノイズを除去して、水素が生成・貯留されるような地下の3Dモデルを構築しているんですが、そこで使われているといったことのようです。ぜひこの後。
Kolomaだと、地質データとか過去の井戸データとAIを掛け合わせて有望な場所を特定するというところでAIを使っていましたが、Mantle8だとそれに加えて実際の物理センサーを使っていくところが少し違いになっているようです。
では、課題についてです。まずターゲットとする顧客ですが、鉄鋼とかセメント、航空など、電化によって脱炭素化が難しいような重工業の産業になっています。水素ってところですが、今、化石燃料由来のグレー水素については安価ではあるんですが、CO2排出量が極めて大きいというところになっています。一方で再生エネルギー由来の水電解のグリーン水素については、製造コストが高額といったところがありまして、普及の壁になっていますと。じゃあ、天然水素を調べたらいいんじゃないかというところですが、ただ、これが探し方が地表のガスの兆候とか過去の井戸データに依存するといったところで、ちょっと当てずっぽうになりやすく、成功の確率が低くなっています。なので試行錯誤の採掘コストが非常に大きくなっているところがリスクになっています。
なるほど。ちなみに、従来の探査の問題点ってもうちょっと具体的に言うとどういう感じなんでしょう?
そうですね、地表から水素が漏れているっていうのを見つけて、漏れてるんだったらこの下にあるんじゃないかってところで掘ってみるような、局所的なアプローチになっている。そうすると掘削に数億円規模がかかるんですけど、それが失敗したり無駄になってしまって、リスクが高いってところになっているそうです。
あとはKolomaとの差っていうところに関して、さっき少し触れましたけれど、この辺りどうなんでしょうか?
そうですね、Kolomaが掘るのをどこにあるかっていうのをデータの力で解決する、見つけていくってところですが、Mantle8は掘ること自体が環境負荷もコストもあるので、掘らずに探査していく、探していくってところをやっているようですね。今のところは水素そのものを売るのではなくて、エネルギー企業とか鉱業に対して探査の成功する確率を高めるようなデータとか、あるいはここで掘ると言っていた権利といったものを提供するようなビジネスになるんじゃないかという風に考えられます。
では、そのMantle8が開発しているような解決策になります。独自の技術のスタックが4つあります。1点目がGeologycsと言っているもので、これが候補地を選定するようなものになります。地質のデータをスキャンして、天然水素の生成条件、マントル岩とか貯留層の構造があるかといったところを特定するようなアルゴリズムになります。2点目の技術がOREXといったもので、これは地下の水素の生成するようなシステム全体を3D画像として構築するような画像化のシステムになります。探査の現場に実際に地震波のセンサーをつけて、小さい微小地震とかのデータを収集することで、水素が作られる場所とか移動経路、貯留層を立体的に可視化するっていうところになります。3点目の技術がApogeeです。これが探査現場の地表とか地下から採取したような液体、ガス、岩石のサンプルを化学的に評価して、実際に水素が存在するかっていうのを確認して、それと共に、その地下のシステムから得られるような水素の量とか品質を評価して定量化するような役割を担っています。その後にあるのがSimulateっていうところで、これは地下での水素の形成とか移動、貯留のプロセスを仮想空間上でシミュレーションするようなデジタルツインのものになっています。
この解決策の差別化の要因ですが、地表の兆候を探すのではなくて、水と岩石の反応から貯留まで至るシステム全体をモデリングする。それによって掘削のリスクを減らすっていうところになっています。実際にトラクションとして、フランスのピレネー地方で、世界初という風に彼らは言ってるんですが、天然水素のシステムの3D画像化に成功したっていうところになります。
KolomaのAIの探索モデルとMantle8のOREXってどう違うんでしょう?
そうですね、KolomaのAIの探査モデルだと過去の文献とか衛星画像から推計していくところが中心になっていたんですが、OREXだとセンサーを置く、実際にセンサーを置いて、自然に起こる振動を利用するもので、人間で言うとエコー検査のように直接可視化するってところになっている。そこが違いっていうことのようですね。
ちなみにその地震センサーみたいなところって自分たちで作ってるものなんですか?
いやいや、それがちょっと面白いところで、ハードウェアは他の会社さん、Sercel社さんと提携・連携して調達することをなさっているようで、自社は探査のアルゴリズムとかデータのモデリングといったところに特化しているようです。では市場についてです。
これは水素の市場になりますが、TAMが2050年の世界の水素需要量として66億6000万tと推測されている、非常に大きい数量になっています。SAMが欧州の天然水素の埋蔵量が1億t、SOMが1000万tと言われております。これに対して市場の成長ドライバーとして、各国のネットゼロ目標とクリーンエネルギーへの転換圧力、またエネルギー安全保障ですね。特に欧州におけるロシア産のガスへの依存からの脱却っていうところにあります。そして3点目のドライバーとして、大きな公的な支援がある、例えばEUのJust Transition Fundなどによる政策的な支援があるという風に言われています。
このEUの公的支援っていうのは具体的にはどういうものなんでしょう?
そうですね、Mantle8に限ったところで言うと、直近でMantle8がEUのJust Transition Fundから200万ユーロ、日本円にすると約3.3億円のグラントを獲得して、それをApogeeの開発とかに使っているっていうところのようです。
なるほど。あと競合も同じ市場を狙ってると思いますけれど、モートのところでお話されるかもしれませんが、Mantle8が先行できる理由とかあるんでしょうか?
そうですね。Mantle8がフランス発っていうところがあるらしくて、フランスが天然水素の法整備が欧州の中でも先行しているので、制度的な恩恵を受けやすいといったところと、グルノーブルというところ、ピレネーがあるところかもしれないですね、水素があるような場所が近いといったところがあるかもしれないですね。
なるほど。ちょっとさっきのSOMの目標、2030年発見だということだと思いますが、2000万tはこれは本当に現実的なんでしょうか?
いや、かなり野心的ではあります。ただ欧州内の推定されるような埋蔵量の多さと、AIを用いた探査のアルゴリズムがスケールするんじゃないかってところを考慮して、野心的に設定されているってことのようですね。
では、このMantle8のビジネスモデルです。主な支払い者ですが、エネルギー企業とか鉱業が直接のお客さんになるという風に言われています。収益源としては探査技術のライセンス提供、もしくは探査の権益の自社保有とか共同開発といったところになります。コスト構造が初期のCapExに投資が集中するようなモデルになっていて、ただOpEx、運用コストが、自然が製造プロセスを担うので、グリーン水素と比べて圧倒的に低くなっていくってところを狙っていて、なので天然水素の生産コストが1kgあたり0.8ユーロで、グリーン水素の1/5以下の水準を目指すっていうようなストーリーを彼らは言っているってことのようです。
なので、Kolomaと比較すると、Kolomaは最終的に巨大な水素のインフラ企業っていうところを目指しているようには見えるんですが、Mantle8はそれよりも探査技術のライセンス提供、言われるところだとツルハシ売りとかですね。探査の権益の共同開発といったような、よりアセットの小さいモデルを志向しているっていうところが違いになります。
自社で水素を生産とか販売するモデルにしないのは、やっぱりそうしたアセットライトなビジネスモデル志向ってとこですかね。
そうですね。必要になってくる資金の量もすごく持ち上がってくるっていうところがあると思います。プラントの投資がすごく大きくなってしまうので、資源開発において付加価値が高くて利益率がいい探査に特化するっていうところで、今は自社で水素を生産販売するようなところになっていないんじゃないかなと思います。
このMantle8は収益化のタイミングっていつぐらいを目指してるんでしょうか?
商業の探査掘削が2028年頃から始まるという風に見込んでいられるそうで、なのでその辺りから、ライセンス収入とか権益の持ち分を通じたような収益が本格化していくという風に見込まれています。
では、Mantle8の戦略ですが、上流の探査に特化するプラットフォーム戦略を取っています。先ほども少しお伝えしましたが、自分で全てを作るのではなくて、センサーとかは外部のリソースを使っています。Viridienといった世界的な地質データベースの会社であったり、Sercelという受動地震のセンサーのハードウェアの会社と提携して外部のリソースを活用しています。それによって内製のコア、地質学アルゴリズムとデータ解析のみにリソースを集中する。それによって資本の効率を高めていく、といったところをやっています。彼らの描く10年から20年後の理想像として、2030年までに1000万tの天然水素を発見して、エネルギーを生産していく基盤を確立する。このために彼らは予測精度に特化するところを狙っていることのようです。
ちなみにこの大手のエネルギー企業が同じようなデータ解析を自分たちで内製して模倣していくことってないんですかね。
そうですね。理論上はあり得るかもしれないんですが、創業チームが地質学者で、20年以上にわたって地質の研究をされているというところで研究の蓄積があるっていう点と、先ほどのViridienなどの提携がモートとなっているといったところから、なかなか模倣が難しいんじゃないかなという風に思われます。
あとはKolomaとの比較っていう観点だと、やっぱり取っているリスクが違うっていう状況なんでしょうかね。
そうですね。Kolomaだと、提携しているところも三菱重工とかユナイテッド航空といった需要家と提携しているんですが、Mantle8はそうではないってところも関連しますが、Mantle8の取ってる最大のリスクを、確実に見つけられるかどうかってところに置いているからですね。Kolomaは売れるかどうかってところなので、Kolomaは資金力で需要家と提携しますが、Mantle8はそうではなくて、探査の不確実性をゼロに近づけるような技術の連合というか、会社さんを巻き込むことで参入障壁を築いていることのようです。
では、ロードマップです。段階的なアプローチを彼らは取っています。多額なコストがかかる掘削の前に、探査技術の精度向上に資金と時間を投下しています。まずフェーズ1ですが、現在あるところですが、OREXのパイロットテストと技術の検証、それから自社のラボApogeeの設立を今行っているところです。フェーズ2として、2028年頃ですが、最初の商業探査掘削の開始、それから技術スタックの産業化ってところを狙っているそうです。2030年頃、フェーズ3として、商業規模での生産の達成、それからグローバル展開のフェーズを考えているそうです。なので実証から商業化までの時間軸が長くて、忍耐強い資本が必要になる、かなりディープテックらしいロードマップになっているかと思います。
あとはKolomaとの比較というところですが、時間軸が違っています。Kolomaはもうすでにアメリカの中部で試しに掘ってみる試掘っていうのを進めているんですが、Mantle8はそれよりは後ですね、2028年頃まで商業の探査を待っています。試掘っていうのは非常にコストがかかるので、その前に非侵襲的なセンサーによって探査の技術を完璧に仕上げていくようなことを彼らとしては狙っているという風に思います。
このロードマップの中で、最大のハードルとかボトルネックってのはどこになるんでしょうか?
そうですね。Kolomaと同様だとは思うんですが、フェーズ2の最初の商業探査掘削になります。データ上の予測っていうのが本当に正しいかどうか、実際に商業規模でも使っていけるような水素が産出するかどうかといったところが、最大のPMFというか難しいポイントになるかと思います。
2030年がフェーズ3とした時に、どういう風な資金計画を彼らは描いてるんでしょうね。
そうですね、今はVCからのシードの資金とEUのグラントを活用しているようです。掘削のフェーズに入ってからは、これもKolomaと同様だと思うんですが、インフラ投資向けのプロジェクトファイナンスといったものを活用していくんじゃないかなと想定されます。では、次ですね、競合について話したいと思います。
今だとHyTerraとか、Gold Hydrogenといったところが挙げられます。これらとどう違うかってところですが、まず1点目、アプローチの手法が違ってくるってところですが、他社が過去の井戸とか地表のガスの漏出兆候といったところに依存するのに対して、Mantle8は地下のシステム全体を最終的にはデジタルツインとして作っていくようなモデリングをやっていくって点にあります。予測精度が非常に高いっていうところが特徴としてあるそうです。それから環境負荷についても、置いてるセンサーが受動地震になるので、実際に掘ったりするのよりは侵襲度が低い、非侵襲のアプローチなどで環境への負荷が低い、ゼロであるという風に言われてます。モートとしては、先ほど少し触れましたが、20年の地質の研究の蓄積、それから独占的なハードウェアの提携、そして強固なEUの資金の提供っていうところから、モートになっているという風に考えられます。
じゃあまたKolomaとの比較をすると、Kolomaは資源開発で、Mantle8は探査会社みたいな、そんな感じの比較になるという状況でしょうかね。
そうですね。その事業モデルの違いっていったところがすごく大きくなってくると思います。Kolomaは公式に自社を天然水素の探査、評価、商業化を進めるってところで、実際に開発して生産する、販売するってところまでをやっているところですが、Mantle8はそれの手前ですね、技術を押し出して探査の精度を上げていくところをしているってところが大きな違いになるかと思います。
あとはこのデータモデリング技術、やっぱり20年の話がありますけど、なかなか追いつけないものなんでしょうかね。
いやあ、そこはどの程度キャッチアップが可能かってところは難しいところであるかと思うんですが、ただアルゴリズムを作っていく際に、データだけではなくてマントルの反応メカニズムといったところも含めて考えていく、そういったのがなんていうか、あの、口になっているので、短期間では難しいんじゃないかとは思うんですが、将来的にどうなるのかはかなり難しいところかもしれないです。
もしKolomaがこうしたセンサーで探索とか始めちゃったらどうなんでしょうね?負けちゃうんですかね?
いや、そうなんですよね。センサーどこまで行けるんですかね?センサー自体はもしかしたら模倣されるかもしれない。模倣できるかもしれないんですが、そこからデータをどういう風に活用していくか、解釈していくかってところがどこまで通用するかといったところが、モートになり得るかなと思います。どの程度、Mantle8の技術が非常に難しいものなのかっていったところは、ちょっと今のところだけだと分からないところになりますね。
では、彼らの参入戦略ですね。まず攻撃ターゲットとして欧州内の未開発のエリアに狙いを定めたそうです。最初の焦点としては、フランスのピレネー地方に焦点を当てて、これが地質的にも自社のホームグラウンドというか、向いているってところでそこから始めたそうです。MVPの実証として、掘削せずに受動センサーを地表に配置して、環境負荷なしで地下の3Dマップを作ったっていうことのようです。そこから、センサーのデータと既存の地質データが実際に合致して、高濃度の水素の存在が証明されたところが、PMFの検証となっていますと。なので、実際に掘削せずにデータの精度が高いことを証明したっていうのが、理論上の仮説ではなくて、ビジネスにつながるといったところの突破になったという風に言われています。
さっき高濃度の水素みたいなことをおっしゃってましたけど、この水素濃度って商業的にどういう意味を持つ数値なんでしょう?
濃度っていうのが、彼らが存在証明したのが2500ppmだったそうなんですが、これが有望な兆候とされる基準値の数倍に値するそうで、なので2500ppmあるっていうことは、地下に大規模な生成・貯留システムが存在するような証拠になるといった風に考えられるようなものだそうです。
で、こういったMantle8ですが、その起業プロセスについて次にお話ししていきたいと思います。創業者がエマニュエル・マジーで、YouTubeでマニューって言ってたので、ちょっとマニューと呼びますが、マニューさんですが、この方が元々地球科学者、地質学者でして、アカデミックなバックグラウンドがあり、かつ石油ガス業界を経て、さらに独立して起業に転身したっていうバックグラウンドを持っています。学術研究でマントルを調査して、水と岩石の反応のメカニズムに着想を得ていたそうです。そこから実務経験ですね、石油ガス業界で長年の探査実務の経験をお持ちだそうで、2016年にはプロジェクトにも従事して、ヨーロッパとか北アフリカ、中東のプロジェクトも主導したそうです。また、100人の研究者を率いて、75本の論文をピレネー山脈を中心に発表するといったこともされていたそうです。
お子さんが生まれたことをきっかけに、気候変動問題に意識が高まったそうで、自分の仕事を未来のために意味のあるものにしたいという風に考えるようになって、2022年に、石油ガス業界の地質学の研究とかコンサルティングを行うエヴンドUという会社を作ったそうです。その中でコンサルをしたりとか、天然水素とか重要鉱物の探査技術を構築していたんですが、投資家からこの技術をスケールさせるべきだという風にアプローチをされたそうで、それを受けて、自らの研究チームとか開発した技術として今のMantle8を2024年に創設して、CEOに就任したそうです。
コンサルから始めてたんですね。
そうですね。最初はその技術の提供とかもコンサルっていったところから始めたそうですね。
コンサルをするとニーズが感じられるとか、そういうところでしょうか?
おっしゃる通りです。それでニーズがあるっていう風に確認できたっていうところと、プラス、よく言われるところであるんですが、キャッシュフローを稼ぎながら進めることができるってところと、それを元に技術仮説の検証とかチームビルディングを行っていくことができたっていうことのようですね。その点はかなりKolomaとも違う点だなと思っています。Kolomaはむしろトップダウンですね。投資家と大学教授が出会って起業したのに対して、Mantle8はむしろボトムアップですね。顧客の課題を現場で解いて、技術を磨いてスピンアウトしていくっていうようなケースになっているそうです。
投資家からこの技術をスケールさせた方がいいんじゃないかって提案を受けるのはすごいですね。
いや、そうなんですよね。なかなか、だから技術的に尖ったところではあったんだろうなと思います。
で、Mantle8のチーム自体も、社員の80%はPhDを保有するような専門家の集団といったところになっているそうで、かなり専門性が高いところになっているようです。
雇用面で素晴らしいですね。そういうPhD向けの。
そうですね、80%ですから、かなり多い人数になってるようです。
で、彼らの学びと初期の歩みです。初期の失敗と学びですが、単なる表面のガスの露出の兆候探しでは、なかなか商業規模の天然水素の発見が難しいという風に気づいたそうです。そこからシステム全体を理解するってところに変えていったってことで、生成するところから貯留されるまでの経路全体を3D画像化することで予測精度が上がるってところを学びとして挙げられています。マイルストーンとして、実際に2024年に独立した後に、世界初の天然水素システムの3D画像化に成功した。そのことによって、理論から産業に実装するっていうスケールアップが現実味を帯びてきたことのようです。ここもKolomaと比較すると、探査のアプローチの仕方が進化していますってところになります。Kolomaがたくさんあるデータから有望な地点、ポイントを絞り込むってところに長けているとすると、Mantle8はそうではなくて、水素生成から貯留に至る経路全体、システム全体を3D可視化しないと難しいという風に判断して、OREXっていう技術を開発しているって点に違いがあります。
なぜその点のポイントの探索ではダメなんでしょう。
そうですね。水素が非常に軽いので、軽いし拡散しやすいので、地表から漏れてると言っても、必ずしも大規模な貯留層があるとは限らない。そうなると予測が外れるようなリスクもあるところから、そういう風に考えられます。
じゃあシステム全体の理解って、具体的にどういう感じのことなんでしょう?
そうですね。どこで水素が生成されるかで、その水素がどういった経路を通って移動していくかで、そしてそのできたものがどこに溜まるかといった、その3点のセットを立体的に把握するってことのようです。
独立後にこうした3D画像をすぐに作れるってのはなかなかすごいなと思うんですが、これができた理由っていうのは。
そうですね、元々基礎として、コンサル時代に蓄積していたような地質のデータとかアルゴリズムの基礎があったそうです。そこに加えて調達した資金で専門家を一気に投入して可能になったっていうことのようですね。
なるほど。コンサル時代に貯めた地質データを使えるんですね。
その辺りはどういう風に工夫したのかちょっと分からないんですが、覚えてたと。いや、そんなはずは。多分生データだと思うので、どれだけ利用できたか分からないですけど。
で、彼らの持っている資源についてです。まず1点目として、エコシステムの拠点っていうところですが、彼らはグルノーブル発のスタートアップになりますが、グルノーブルっていうところが技術とか研究所っていうのが多くなっているってところで、エコシステムとしても発達しているってことのようです。プラス高度な人材ですね。先ほどもお伝えしたように、約80%が地質学関連のPhDを持っているところに加えて、国籍で女性比率も35%ってところの多様性と専門性があるってところです。それから資金の基盤として、シードで340万ユーロ調達している、日本円にすると約5.4億円を調達しているところと、それからグラントとして約3.3億円の助成金を取っているところになります。彼らが面白いなという風に思ったのは、エクイティとグラントの使い道を分けているようで、エクイティの調達は新しく場所を開発していくようなところに当てて、グラントは研究施設の開発とか技術の開発ってところのような成果が出やすいところに分けているってところがちょっと面白いポイントだなと思います。
そうですね。Kolomaに比べると金額感は結構桁違いで低いなと思うんですけれど、この辺りってどうしていくんでしょうね。
いやあ、そうなんですよね。Kolomaは4億ドルなので600億円ですね。を調達しているので、本当に桁が2個違うっていうところにはなってきます。ただ、Mantle8としては、先ほどもちょっとお伝えしたんですが、外部パートナーとの提携とか資産を組み合わせているっていうところで、リーンな戦い方をしているってところになります。それから、今の資金があくまで探査技術の証明っていうところになっているので、ちょっと金額が少ないってところになるかなと思います。今後ですが、今やっている探査技術の証明で、証明できたら、確実な探査データっていうのを手にして、これから巨大なエネルギー企業と共同開発していくっていうようなところをやっていこうという風に考えているようですね。
じゃあ今後もしかしたら大きな資金調達するかもしれないってことですね。かもしれないですね。うん。そうですね。
あとはグルノーブルって、ディープテック企業が集積してるんですね。
いや、そうなんですよね。私も調べて知ったところではあったんですが、欧州でも有数の研究機関とかがあって、ディープテックの企業もあるそうで、なので研究者の採用とか、ハードウェアの会社さんとの提携とかもしやすいそうです。
では次に、日本で同じアイデアで起業するならってところで、AIにも考えてもらいましたっていうところで、案を3つ挙げています。案の1つ目ですが、これが地質データ解析SaaSっていうところです。日本には豊富な温泉とか地熱の探査データ、地震波データがあるので、そういったところをAIで解析して、国内外の企業にSaaSを提供するようなモデルがあるんじゃないかという風に言ってます。案Bですが、これが地熱と水素のハイブリッド探査で、火山国である日本の特性を活かして、地熱発電の掘削のプロジェクトと天然水素の探査を相乗りするようなモデルができるんじゃないかと提案しています。Cとしては、海外権益投資型というところで、日本の商社とかの会社と組んで、探査技術を武器にオーストラリアなどの海外の探査権益を共同取得するようなモデルも考えられるんじゃないかという風に言っています。
で、日本発の優位性としては、日本が長年培ってきた地震の予知の技術とか地熱探査のハードウェアといったところが世界でも有数のレベルだそうなので、それが差別化の武器になるんじゃないかという風に言っています。
日本の地震の技術が世界でも通用するっていうのはどうなんでしょう?
地震大国なので、小さい振動を捉えるセンサーとか地下の構造の解析ノウハウっていうのは高くなっている。なので、それを元に資源を探索するような技術に応用するってところが競争力にもなり得るかと思います。
あと地熱とのハイブリッドってできるんですかね?できたとして、メリットって何なんでしょう?
そうですね。地熱も水素もなんですが、コストが1番かかるのが掘削ってところで、その費用を地熱発電プロジェクトと折半できるところで、単独で水素を掘削・探索するよりも財務負担が低くなってくるっていうところがメリットになるかと思います。では、最後にまとめです。
まず1点目ですが、視点の転換というところで、既存の製造プロセスを改善するんではなくて、自然の生成力を利用するってところですね。化石燃料とか再エネ由来の水素をよく作っていくのではなくて、そもそも天然で生まれる水素を見つけていくといいんじゃないかってところですね。2点目が不確実性の排除になります。最もリスキーな掘削の前に、データモデリングとセンサー技術でリスクを下げていくっていうようなアプローチがあるといったところです。3点目がエコシステムの構築というところで、単独でやるんじゃなくて、産官学ってところを巻き込んで、複数の会社だったり団体を巻き込んでいくような開発の体制を取っていっているといったところになります。
今すぐできるアクションとしては、自国だったり周りの既存の環境データを再評価というか見直してみて、もしかしたら未利用資源をデータ解析で特定できる可能性があるようなデータなんじゃないかってところを検討するのは面白いなという風に思います。
というわけで以上になりますが、今回は天然水素のスタートアップMantle8をご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?
そうですね、Kolomaであれだけ、400億ドルとか、400億円ぐらいか、調達しているKolomaというスタートアップがある中で、それでもBreakthrough Energy Venturesが別の天然水素のところに出資したっていうのは、少し象徴的というか、まだまだ筋があるのかなというのを感じさせてくれるスタートアップなのかなと思いました。
そうですね。おそらく技術的なところが高く評価されてるんだろうなという風にも思います。なので、そういったアプローチの仕方っていうところは、他の領域でもこれからも工夫の余地がたくさんあるようなところなんだろうなと私も思いました。それでは、今日はこちらで終了となります。
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