掘る前に天然水素を見つける:Mantle8の探査特化戦略をFoundXが読み解く

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概要

FoundXの番組「FoundX Review Startup IdeaCast」は、海外スタートアップのアイデアをAIで整理・分析して紹介している。今回取り上げたのは、フランス・グルノーブル発の天然水素スタートアップMantle8(マントル・エイト)だ。番組では以前、米国の天然水素企業Koloma(コロマ)を紹介している。今回は同じ天然水素の分野で異なるアプローチを取る企業として、Mantle8を選んだ。選定理由にはもう一つ、ビル・ゲイツ系のファンドBreakthrough Energy Venturesから出資を受けている点も挙げられた。

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冒頭で番組は、AIで情報を整理しているため一部の情報が古かったり誤っていたりする可能性があると断っている。事実を重視する場合は各自で一次情報を確認してほしい、という立場である。以下では、説明役の話者と聞き手のやり取りを、話された内容に沿ってまとめる。

前段:大学発技術の価値はライセンスからスピンアウトへ

本編の前に、聞き手の一人がニューヨーク大学関係者によるスピンアウトに関する記事を紹介した。紹介によると、米国の大学技術移転は特許ライセンスが中心だったが、比重はスピンアウトに移りつつある。米国のライセンス関連の調査では、発明の開示件数は増えている一方で、ライセンス収入は減っている。これに対し、エクイティのキャッシュアウトによる収入や、スタートアップの数、新製品の数は増えているという。記事の筆者はこれを、大学の知財の価値が消えたのではなく、価値の回収経路がライセンス収入からスピンアウトの成長やエグジットへ移っていると解釈していた。ただし、特許が不要になったわけではなく、依然として重要だとも述べていた。

記事はスピンアウトまで到達できる制度、支援体制、文化を築くべきだと主張しているが、具体的な方法はまだ模索中だと話者は受け止めた。スピンアウトは時間がかかるものであり、米国も同じ課題を抱えていると確認した。FoundXもその模索に貢献したいと話して、本編に移った。

Mantle8の全体像:水素を「作る」のではなく「見つける」

Mantle8は天然水素の探査に特化したディープテック企業だ。Kolomaは天然水素の探査から採掘まで手がける。これに対しMantle8は、掘る前にいかに見つけるかに焦点を絞っている点が特徴だと説明された。

話者の整理では、水素製造の現状は次のとおりだ。グリーン水素の製造コストが高止まりし、脱炭素のボトルネックになっている。一方で、地質学とAIを組み合わせれば、地下で自然に生成される天然水素をより低コストで発見・供給できる可能性が出てきた。Mantle8は水素を作る会社ではない。掘削の失敗確率を下げるデータとAIの会社だ、と位置づけられた。

聞き手は、探査でAIをどう使っているのかを尋ねた。話者の説明では、地質データや地震センサーの波形データを解析してノイズを除去し、水素が生成されて流れる地下の3Dモデルを構築する工程でAIを使っている。KolomaのAIは地質データや過去の井戸データを組み合わせて有望地点を特定するものだった。Mantle8はそれに加えて実際の物理センサーを使う点が違うという。

課題:高コストのグリーン水素と「当てずっぽう」の従来探査

想定顧客は、鉄鋼、セメント、航空など、電化による脱炭素が難しい重工業だ。水素の選択肢を見ると、化石燃料由来のグレー水素は安価だがCO2排出量が極めて大きい。再生可能エネルギー由来のグリーン水素は製造コストの高さが普及の壁になっている。

それなら天然水素を探せばよいかというと、ここにも問題がある。従来の探し方は、地表のガスの兆候や過去の井戸データに頼っている。そのため当てずっぽうになりやすく、成功確率が低い。聞き手がさらに具体的な説明を求めると、話者はこう答えた。地表から水素が漏れている場所を見つけ、その下にあるだろうと掘ってみる局所的なアプローチだ。掘削には数億円規模の費用がかかり、失敗すればそれが無駄になる。

Kolomaとの違いについて話者は次のように整理した。Kolomaはどこを掘るかをデータの力で見つけようとしている。Mantle8は、掘ること自体が環境負荷とコストを伴うため、掘らずに探査することを目指している。当面は水素そのものを売るのではなく、エネルギー企業や鉱業会社に探査の成功確率を高めるデータや採掘の権利を提供するビジネスになるだろう、と話者は見ている。

解決策:4つの独自技術スタック

Mantle8は4つの独自技術を持っていると紹介された。

  1. Geologycs(ジオロジクス):候補地を選ぶアルゴリズム。地質データをスキャンし、天然水素が生成される条件、たとえばマントル由来の岩石や貯留層の構造があるかを特定する。
  2. OREX(オレックス):地下の水素生成システム全体を3Dで画像化するシステム。探査現場に地震波センサーを設置し、微小地震のデータを集める。そこから水素が作られる場所、移動経路、貯留層を立体的に可視化する。
  3. Apogee(アポジー):探査現場の地表や地下から採取した液体、ガス、岩石のサンプルを化学的に評価し、水素が実際に存在するかを確認する。あわせて、その地下システムから得られる水素の量と品質を評価し、定量化する。
  4. Simulate(シミュレート):地下での水素の形成、移動、貯留のプロセスを仮想空間上で再現するデジタルツイン。

話者によると、差別化の要因は地表の兆候を探すのではない点にある。水と岩石の反応から貯留に至るシステム全体をモデリングし、それによって掘削のリスクを減らすという。トラクションとしては、フランスのピレネー地方で天然水素システムの3D画像化に成功した。Mantle8自身はこれを世界初と称している。

KolomaのAI探査モデルとOREXの違いを問われると、話者は次のように答えた。Kolomaは過去の文献や衛星画像から推計するのが中心だ。OREXは実際にセンサーを置き、自然に起きる振動を利用して地下を直接可視化する。人間に例えればエコー検査のようなものだという。センサーを自社で作っているのかという質問には、ハードウェアはセルセル(Sercel)などの他社と連携して調達していると答えた。自社は探査アルゴリズムとデータモデリングに特化している、というのが面白い点だと話者は述べた。

市場規模と成長ドライバー

市場の数字として、TAMは2050年の世界の水素需要量で、66億6000万トンと推測されていると紹介された。SAMは欧州の天然水素埋蔵量で1億トン、SOMは1000万トンとされる。

成長ドライバーとしては3点が挙げられた。各国のネットゼロ目標とクリーンエネルギーへの転換圧力。エネルギー安全保障、特に欧州のロシア産ガス依存からの脱却。そして、EUのJust Transition Fund(公正な移行基金)などによる大規模な公的支援だ。

EUの支援について聞かれた話者は、Mantle8の例を挙げた。Mantle8はJust Transition Fundから約3.3億円相当のグラントを獲得し、Apogeeの開発などに充てているという。

競合に対してMantle8が先行できる理由も尋ねられた。話者は二つの可能性を挙げた。一つはフランス発であることだ。フランスは欧州の中でも天然水素の法整備が進んでおり、制度面の恩恵を受けやすい。もう一つは地理で、拠点のグルノーブルが水素の存在しうるピレネーのような地域に近いことが効いているのかもしれない、と推測を交えて述べた。SOMとして示された2030年までの発見目標は現実的か、という質問に対しては「かなり野心的」だと認めた。そのうえで、欧州内で推定される埋蔵量の多さと、AIを使った探査アルゴリズムがスケールする見込みを考慮して設定された目標だと説明した。

ビジネスモデル:ライセンスと権益共同開発によるアセットライト

主な支払い者は、エネルギー企業や鉱業会社だとされる。収益源は二つある。探査技術のライセンス提供と、探査権益の自社保有または共同開発だ。コスト構造は初期の設備投資に投資が集中する形になる。一方、運用コストは自然の生成プロセスを利用するため、グリーン水素と比べて圧倒的に低くできるという。Mantle8は天然水素の生産コストとして1kgあたり0.8ユーロを掲げ、グリーン水素の5分の1以下の水準を目指すというストーリーを語っていると紹介された。

話者の見立てでは、Kolomaは最終的に巨大な水素インフラ企業を目指しているように見える。これに対しMantle8は、探査技術のライセンス(いわば「つるはし売り」)や権益の共同開発といった、より資産の小さいモデルを志向している。自社で水素の生産・販売をしない理由について話者はこう推測した。プラント投資は必要資金が桁違いに大きくなる。そこで、資源開発の中でも付加価値が高く利益率のよい探査に集中しているのではないか。

収益化は、商業探査の掘削が始まる2028年頃から本格化すると見込まれている。ライセンス収入や権益の持ち分を通じた収益がそこから立ち上がるという想定だ。

戦略:外部連携によるプラットフォーム型

戦略は、上流の探査に特化したプラットフォーム型だと説明された。すべてを自前で作るのではなく、外部のリソースを使う。世界的な地質データベースの会社(字幕では「ビリリアン」と聞こえる企業)や、受動地震センサーのハードウェアを手がけるセルセルと提携している。社内のリソースは地質学、アルゴリズム、データ解析というコアだけに集中させ、資本効率を高めている。10〜20年後の理想像としては、2030年までに1000万トンの天然水素を発見し、エネルギー資産化の基盤を確立することを掲げている。そのために予測精度に特化していると紹介された。

大手エネルギー企業が同じようなデータ解析を内製化する可能性はないのか、という質問も出た。話者は、理論上はありうるとしながらも、模倣は容易ではないとの見方を示した。根拠は二つある。創業チームが地質学者で20年以上の研究蓄積があること。そして上述の地質データ企業などとの提携が堀になっていることだ。

Kolomaとの比較では、取っているリスクが違う点が強調された。Kolomaは三菱重工やユナイテッド航空といった需要家と提携している。これは「売れるかどうか」のリスクに備え、資金力で需要側を押さえる動きだと話者は位置づけた。一方、Mantle8が最大のリスクとしているのは、確実に見つけられるかどうかだ。そのため、需要家ではなく技術を持つ企業を巻き込み、探査の不確実性をゼロに近づける技術連合を作ることで参入障壁を築いている、という整理である。

ロードマップ:2028年に商業探査、2030年にグローバル展開

Mantle8は段階的なアプローチを取っている。巨額のコストがかかる掘削の前に、探査技術の精度向上に資金と時間を投じる方針だ。

  • フェーズ1(現在):OREXのパイロットテストと技術検証、自社ラボApogeeの設立。
  • フェーズ2(2028年頃):最初の商業探査掘削の開始と、技術スタックの産業化。
  • フェーズ3(2030年頃):商業規模での生産の達成と、グローバル展開。

話者は、実証から商業化までの時間軸が長く、忍耐強い資本を必要とする、いかにもディープテックらしいロードマップだと評した。Kolomaはすでに米国中部で試掘を進めている。これに対しMantle8は2028年頃まで商業探査を待ち、その前に非侵襲的なセンサーで探査技術を仕上げようとしている、という対比も示された。

最大のボトルネックは、Kolomaと同様、フェーズ2の最初の商業探査掘削だと話者は見る。データ上の予測が本当に正しいか、商業規模で使える水素が実際に出るかが最大の難所になるという。資金計画について聞かれると、話者は次のように答えた。現在はVCのシード資金とEUのグラントを使っている。掘削フェーズに入ってからは、インフラ投資向けのプロジェクトファイナンスを活用するのではないかと想定している。

競合とモート:HyTerra、Gold Hydrogenとの違い

競合としては、HyTerraやGold Hydrogenが挙げられた。話者はまず手法の違いを指摘した。他社は過去の井戸や地表のガス漏出の兆候に頼っている。Mantle8は地下システム全体をモデリングし、最終的にはデジタルツインとして構築する。予測精度が高い点が特徴だとされる。環境負荷の面でも、受動的な地震センサーを置くだけなので掘削より侵襲度が低く、環境負荷はほぼゼロだとされている。モートとしては、20年の地質研究の蓄積、独占的なハードウェア提携、EUからの強固な資金提供の3点が挙げられた。

聞き手が「Kolomaは資源開発会社で、Mantle8は探査会社という比較になるのか」と確認すると、話者は事業モデルの違いが大きいと同意した。Kolomaは公式に天然水素の探査、評価、商業化を掲げ、開発、生産、販売まで手がける。Mantle8はその手前で、技術を前面に出して探査の精度を上げる役割を担っている。

一方で、話者はモートの強さについて留保もつけた。20年の蓄積にどこまで追いつけるかは難しい問いだという。アルゴリズムがデータだけでなく、マントル由来の岩石の反応メカニズムまで踏まえて作られている点が参入障壁になっており、短期間での追随は難しいだろう。ただし、将来どうなるかはかなり分からないとも述べた。聞き手は、Kolomaが同様のセンサー探査を始めたらMantle8は負けるのかと問いかけた。話者はこう答えた。センサー自体は模倣されるかもしれない。データをどう活用し解釈するかがどこまで通用するかがモートになるだろう。とはいえ、Mantle8の技術がどれほど難しいものなのかは、今ある情報だけでは分からない。

参入戦略:ピレネー地方でのPMF検証

参入の足がかりとして、Mantle8は欧州内の未開発エリアを狙った。最初の焦点は、地質的に自社のホームグラウンドといえるフランスのピレネー地方だ。MVPの実証では、掘削せずに受動センサーを地表に配置し、環境負荷なしで地下の3Dマップを作った。センサーのデータと既存の地質データが一致し、高濃度の水素の存在が確かめられた。これがPMFの検証に当たるという。掘らずにデータの精度の高さを示したことが、理論上の仮説をビジネスにつなげる突破口になったと紹介された。

水素濃度が商業的にどんな意味を持つのか、という質問に対して話者はこう説明した。彼らが存在を示した濃度は2500ppmだった。これは有望な兆候とされる基準値の数倍に当たり、地下に大規模な生成・貯留システムが存在する証拠になると考えられるという。

創業者:地質学者のコンサルからのスピンアウト

創業者はエマニュエル・マジー(本人がYouTubeで「マニュー」と名乗っていたため、番組ではマニューと呼んだ)。地球科学者・地質学者としてアカデミックな経歴を持ち、石油・ガス業界を経て独立・起業した人物だと紹介された。学術研究ではマントル由来の岩石を調べ、水と岩石の反応メカニズムに関する着想を得ていた。石油・ガス業界では長年探査実務に携わり、2016年にはプロジェクトに従事して欧州、北アフリカ、中東の案件を主導した。100人の研究者を率い、ピレネー山脈を中心に75本の論文を発表したともいう。

転機は子どもの誕生だった。これをきっかけに気候変動への意識が高まり、自分の仕事を未来にとって意味のあるものにしたいと考えるようになった。2022年に石油・ガス業界向けの地質研究やコンサルティングを行う会社を設立し、コンサルをしながら天然水素や重要鉱物の探査技術を構築した。その後、投資家から「この技術をスケールさせるべきだ」と声をかけられ、自らの研究チームと開発した技術をもとに2024年にMantle8を設立してCEOに就いた。

聞き手が、コンサルから始めたのはニーズを感じられるからかと問うと、話者は同意した。ニーズを確認できたこと、キャッシュフローを稼ぎながら進められたこと、それをもとに技術仮説の検証とチームビルディングができたことを利点に挙げた。話者はここにもKolomaとの違いを見ている。Kolomaは投資家と大学教授の出会いから生まれたトップダウン型だ。Mantle8は顧客の課題を現場で解きながら技術を磨き、スピンアウトしたボトムアップ型だという。投資家の側からスケールを提案されたことについて、聞き手は「すごい」と述べ、話者も技術的に尖っていたのだろうと応じた。チームは社員の約80%がPhD保有者の専門家集団だと紹介された。

初期の学びと3D画像化

初期の学びとして挙げられたのは、表面のガス露出の兆候を探すだけでは、商業規模の天然水素の発見は難しいという気づきだった。そこから、生成から貯留までの経路全体を3D画像化して理解する方向に切り替え、予測精度が上がったという。2024年の独立後に天然水素システムの3D画像化に成功したことで、理論から産業実装へのスケールアップが現実味を帯びた。

点の探索ではなぜ駄目なのか、と聞き手は尋ねた。話者は、水素が非常に軽く拡散しやすいことを理由に挙げた。地表から漏れていても、その下に大規模な貯留層があるとは限らず、予測が外れるリスクがあるためだと考えられるという。「システム全体の理解」とは、どこで水素が生成され、どの経路を通って移動し、どこに溜まるかの3点を立体的に把握することだと説明された。

独立後すぐに3D画像を作れた理由については、コンサル時代に蓄積した地質データとアルゴリズムの基礎があったこと、調達資金で人員を一気に投入したことが挙げられた。ただし、コンサル時代のデータをどう工夫して使ったのかは分からない、と話者は付け加えた。おそらく生データなので、どれだけ活用できたかは不明だという。

資金調達:シードとEUグラントの使い分け

リソース面では、まずグルノーブルというエコシステムが挙げられた。研究機関が多く、ディープテック企業も集まっている地域だという。話者自身も調べて初めて知ったそうで、研究者の採用やハードウェア企業との提携がしやすいと説明した。人材面では、約80%が地質学関連のPhDを持ち、15か国の国籍、女性比率35%という多様性と専門性がある。

資金は、シードで340万ユーロ(約5.4億円)を調達し、さらに約3.3億円の助成金を得ている。話者が面白いと感じたのは、エクイティとグラントの使い道を分けている点だ。エクイティは新しい探査地点の開発に充てる。グラントは研究施設や技術開発といった成果の出やすい領域に回している。

聞き手は、Kolomaと比べて金額が桁違いに小さい点を指摘した。話者によると、Kolomaは4億ドル(約600億円)を調達しており、桁が2つ違う。ただMantle8は、外部パートナーとの提携と助成金を組み合わせたリーンな戦い方をしている。現在の資金はあくまで探査技術の証明のためのものなので、額が小さいのだろうと話者は見る。技術の証明ができれば、確実な探査データを手に巨大エネルギー企業と共同開発を進める考えのようで、今後大きな資金調達をする可能性もあるという。

日本で同じアイデアを事業化するなら

番組恒例として、日本で同様の事業を起こす案をAIに考えさせた結果が3つ紹介された。

  • A案:地質データ解析SaaS。日本に豊富な温泉・地熱の探査データや地震波データをAIで解析し、国内外の企業にSaaSとして提供する。
  • B案:地熱×水素のハイブリッド探査。火山国という特性を生かし、地熱発電の掘削プロジェクトと天然水素の探査を相乗りさせる。
  • C案:海外権益投資型。日本の重工業や商社と組み、探査技術を武器にオーストラリアなど海外の探査権益を共同取得する。

日本の優位性としては、長年培ってきた地震予知の技術や地熱探査のハードウェアが世界有数の水準であり、差別化の武器になるとAIは挙げていた。聞き手が日本の地震技術は本当に世界で通用するのかと尋ねると、話者はこう答えた。地震大国ゆえに、小さな振動を捉えるセンサーや地下構造の解析ノウハウの水準が高い。それを資源探査に応用すれば競争力になりうる。地熱とのハイブリッドのメリットについては、地熱も水素も最もコストがかかるのは掘削なので、その費用を地熱発電プロジェクトと折半できれば、単独で水素を探すより財務負担が下がるという説明だった。

まとめと番組の結論

最後に話者は3つのポイントを挙げた。1点目は視点の転換だ。化石燃料由来や再エネ由来の水素製造プロセスを改善するのではなく、自然の生成力を利用し、天然で生まれる水素を見つけにいく。2点目は不確実性の排除で、最もリスクの高い掘削の前に、データモデリングとセンサー技術でリスクを下げる。3点目はエコシステムの構築で、単独ではなく産学官の複数の企業や団体を巻き込んで開発体制を組む。今すぐできるアクションとしては、自国や身の回りの既存の環境データを見直し、データ解析で未利用資源を特定できる可能性がないかを検討するのが面白い、と話者は提案した。

聞き手は感想としてこう述べた。Kolomaが巨額の資金を集めているなかで、Breakthrough Energy Venturesが別の天然水素企業にも投資したことは象徴的だ。この分野にはまだ勝ち筋があると感じさせる事例だという。話者は、おそらく技術面が高く評価されているのだろうと応じた。アプローチの工夫の余地は他の領域にもまだたくさんある、と締めくくった。