試験で習う「避航」は実際の海でどこまで役に立つか:木更津沖の大型船で見る見え方と避け方

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概要

船舶免許の講習と試験では「避航操船」を習う。紙に描かれた船の図を見せられ、どちらが保持船でどちらが避航船か、どう避けるかを答える形式だ。「船舶免許独学で取ろう」を運営する堀越氏は、この内容は実際の海ではほとんど役に立たないと主張する。本動画では、木更津へ向かう途中に出会った大型船2隻の映像を使い、遠くの船が実際にどう見えるのか、どの時点でどう避けるのかを解説している。

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教習所の避航操船が役に立たないと考える理由

堀越氏によれば、講習では紙1枚に船の絵を出され、「避航してください」と指示される。船の種類や位置関係によって、自分が避けるのか相手が避けるのかといったルールも学ぶ。しかし同氏は、教習所で習い試験で問われても実践的には役に立たず、高いお金を払って通う意味は薄いと言う。船は海に出てさまざまなことをやってみないと身につかない、というのが同氏の立場である。

その根拠として挙げるのが、レンタルボートで客と同乗した経験だ。「前から船が来ているので避けてください」と伝えても、すぐに操作できない人が多いという。だからこそ、実際の船がどう見えるのか、どう避けるのかが分かるだけでも大いに役立つと同氏は考えている。この動画は、これから試験を受ける人だけでなく、免許を取ったもののまだ船に乗っていない人も対象にしている。

1隻目:右から左へ横切ると思った船が、実は同じ方向へ進んでいた

最初の事例では、1時ぐらいの方向に黒い船が見える。肉眼ではかなり小さく見えにくい。堀越氏はそのまま直進しながら、この船を意識し続けた。直進してもその船が自分の視界の右側に居続けることが、注意すべきポイントだという。

近づくと船の形が分かってくる。船首側が低く後ろが大きい形から、左舷が見えている、つまり左方向に進んでいるのだろうと推測できる。ただし同氏は、これが本当に左舷なのか右舷なのかは分からないと付け加える。自分の進路からずれていかない以上、どこかで相手が横切るのか、自分が横切れるのか、あるいは回り込むべきかを常に意識しながら走らなければならない。

この段階でどう動くかについて、同氏は「減速しながら走るか、後ろから回り込もうか」程度の判断でよいと述べつつ、この場面では見え方に焦点を絞るとして詳しくは触れていない。最初の見え方では情報がほとんど何も分からない、というのが同氏の説明だ。

さらに近づいて明らかになった正解は、相手の船が自分と同じ方向に向かっていたというものだった。堀越氏自身も、自分の船首側を横切ってくると思っていたという。太陽の影でシルエットしか見えず、見えている舷側が自分と同じ方向を向いた船の左舷なのか、こちらに向かってくる船の舷側なのかを判断できなかったためだ。同氏は、実際の船はこのように見え、判断は難しいのだと分かってもらえればよいとしている。その船も木更津方面に向かっていたという。

2隻目:遠くの点の段階から意識し、早めに少しだけ進路を変える

2つ目の事例は避け方がテーマである。画面の右端、2時から2時半ぐらいの方向に黒い船がぽつんと見える。肉眼でもかろうじて見えるかどうかという距離だが、堀越氏はこの時点で意識を始めるという。点のようなもので、何なのか、動いているのか止まっているのかも定かではない。距離は何キロか分からないが、とにかく遠い。

同氏によれば、その船が横浜方面に向かっているのであれば放っておけばよい。しかし千葉側に来そうな船であれば、ずっと気にし続けなければならない。ある程度見れば大型船だということも分かる。

船が近づき、こちらに寄ってきていることが分かった段階で、同氏はしっかりと意識して避航する。同氏はこの時点で避航するのが普通だと考えているが、ここではまだ避けないという人もいるだろうとも述べている。

試験の図の距離では「どちらが避けるか」の問題ではない

ここで堀越氏は再び試験に言及する。試験では船の絵が出てきて、かなり近い距離の状況で「こうしてください」と習い、試験もされるが、何の役に立つのかさっぱり分からないという。そこまで近づいたら、どちらが避けるかではなく、お互いに避けなければならない、逃げなければならない状況だと同氏は言う。避航は早ければ早いほど楽であり、実映像で見せた程度の距離で「避航しよう」と考えてほしいとしている。

保持船や避航船といった区別についても、同氏は、映像の距離から見ればそうした区別は関係なく、しっかり距離をとってお互いに進路を変え、ぶつからない進路にすれば相手も楽で自分も走りやすいと述べる。

具体的な避け方:わずかに進路を変え、相手の船尾を狙う

実際の進路変更はわずかなものだ。堀越氏は180〜190度前後を狙って走っていたところから、少しだけ進路を変えた。大きく大回りするのは嫌だし、少しでいいという。相手が左に進んでいることがなんとなく分かれば、あとは相手の船尾を狙って走る。1隻目でも同様だったとしている。

船尾を狙っている限り、全速で走っても、自分から船首めがけて寄っていかない限り当たらない、と同氏は説明する。かなり前の段階で絶対に当たらない進路をとり、そのまま巡航速度で走り続けられれば楽だという。「当たるのか、どちらが避けるのか、相手は右側だし」と迷っていても仕方がないので、最初から自分が進路を変えればよい。地図で見れば、直線で狙っていた進路を少し右にずらし、その後また左に戻して目的地を狙う程度の動きにすぎないとしている。

同氏自身も、一瞬は相手より先に行けるかと思ったが、すぐにやめたという。慌てるくらいなら進路を変え、相手を先に行かせればよい。右側に見えた船は優先なので譲らなければならないとも述べている。一方で、右側に船が見えるたびにすべて避航していたら目的地にたどり着けないため、余裕をもって避けられる状況であれば、徐々に進路を変えていく方が楽で、走りやすく危険もないと説明する。基本的に、相手の前を横切る形は最悪であり避けるべきだとしている。

お互いが少しずつ変えれば大きく離れる

堀越氏は、夜間の航行は別の話として今回は扱わず、昼間はこのように走ってほしいとする。少し先の段階から自分がわずかに進路を変える。相手も「船がいるな」と気づいて少しだけ進路を変えれば、2隻合わせて大きく進路が離れる。初心者や初めて船に乗る人にはこの走り方がよいのではないか、と同氏は考えている。

そのためには、常にきょろきょろと周囲の安全確認を続けていなければならない。同氏は、自分がこうしたやり方で走っていることが伝わればよいとして動画を締めくくっている。