ライアン・テリーとカイロン・ホールデン、メンズフィジークで優勢なのはどちらか

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概要

ボディビル系YouTubeチャンネル「ネック」の話者が、IFBBプロリーグ・メンズフィジークのトップ選手2人を比べた回である。1人はミスター・オリンピア3連覇中のライアン・テリー、もう1人は今年最も注目を集めた優勝候補のカイロン・ホールデンだ。話者は2人の経歴を振り返ったうえで、オリンピア直前の最新の仕上がりを確認し、フロントポーズとバックポーズを並べて評価する。結論として、話者はカイロンのほうが好みだとしている。

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2人のプロフィール

話者によると、ライアン・テリーは37歳、身長は178cmほどで、ニックネームは「ザ・キング・オブ・コンディショニング」。腹筋の彫刻のような仕上がりで知られる、コンディションの王だと紹介する。

カイロン・ホールデンの身長は175〜176cm程度とされる。年齢はネットで調べると36歳だが、43歳という情報もあり、視聴者コメントでも40代だという声が来ていた。話者は10年前の写真が若く見えることから43歳ではないのではと推測しつつ、はっきりとは分からないと述べ、知っている人がいれば教えてほしいと呼びかけている。ニックネームは「ザ・チャンピオン・スレイヤー(王者を狩る男)」。ブランドン・ヘンドリクソンやエリン・バンクスといった歴代のオリンピア王者を、プロ戦での直接対決で破ってきたことが由来だという。

ライアン・テリーのキャリア:背中の強化で頂点へ

ライアン・テリーは元配管工で、ヘルメットをかぶった写真もあるという。フィットモデルを経てメンズフィジークに進み、プロカードを獲得したのは2013年。IFBBプロリーグでメンズフィジークが始まったのが2012年なので、その翌年にはもうプロになっていたことになる。2017年にはアーノルド・クラシックでも優勝している。

2014年の体は今とはまったくの別物だと話者は言う。当時はだぶだぶのサーフパンツで競う、ほとんど「ビーチボディ選手権」だった。腹筋と胸という強みは当時から変わらない。一方で、フロントポーズなのに軸足に体重を乗せた立ち方をしていて、今の目で見ると違和感があると話者は指摘する。

初めてのオリンピアは2015年で、いきなり4位に入った。この年は準優勝がサディック・ハゾビッチ、3位がジェイソン・ポストン、ブランドン・ヘンドリクソンが確か5位で、優勝はジェレミー・ブエンディアの2度目の戴冠だった。ジェレミーが「メンズフィジークとは何か」を形作っていった時期の、ちょうど真ん中にあたる年で、まだぎりぎりサーフボーイ路線だったと話者は振り返る。オープンボディビルはまだフィル・ヒースの時代だった。

2016年には準優勝した。今では考えられないトランジション中のようなポーズだが、背中のカーブがしっかり浮き出ていて見た目は良く、この頃から絞り込みは良かったと話者は評価する。その後は順位を落とす時期が続いた。2019年は5位だったと記憶しており、背中が足りずに苦戦していたという。

そこから背中を大幅に強化した。2022年の写真では広背筋の下部に驚くほどの厚みがついていて、話者は当時びっくりしたことを覚えているという。見せ方も変えたのだろうが、フロントに見合う背中を手に入れた。それが認められたのか、翌年に初めてオリンピア王者となった。初出場から8年目のことである。当時のラインナップを見ると、ライアンの背中はエリン・バンクスと同じくらい広がっている。エマニュエル・ハンターも強い。ブランドン・ヘンドリクソンはそこまでではない。話者は、当時は「背中がどこまで広がるか」を競う選手権のようになっていて、こうした選手が明らかに有利だったのは確実に言えると述べる。今年勝てば4連覇になる。

カイロン・ホールデンのキャリア:王者を倒してきたトッププロ

カイロン・ホールデンはプロ戦で確か17勝、あるいはそれ以上しているトッププロだと話者は紹介する。オリンピアでの最高成績は2019年と2020年の3位だ。プロカードの獲得はライアンより少し遅く、2017年のNPC USAチャンピオンシップスだった。

初のプロ戦である2017年のゴールデンステート・プロでは優勝している。話者はこのときの写真について「この絞りで優勝ですか?」と驚いてみせる。しかも32人中の1位だった。そこから、今のプロリーグがどれほどレベルアップし、厳しい戦いになっているかが分かるという。同じ年のうちに体はさらに改善され、オリンピア初出場の2017年は16位だった。

ライアンに勝つことも多く、3位になった2019年や2020年はライアンより上だったのではないかと話者は言う。2019年のラインナップにはライアンの上にカイロンがいて、アンドレ・フェレイラの姿もある。5位以下にはのちにクラシックへ移った選手たちもいる。優勝したのはレイモント・エドモンズだ。話者はエドモンズを特殊な選手だと言い、今でもチャンネルのコメント欄に書き込みがあるほど熱狂的なファンがいると話す。エドモンズはその2年後のオリンピアを最後にあっさり引退し、コンテストからは完全に離れた。

一方、カイロンのキャリアは続いた。リージョン・スポーツフェストとの相性がよく、5回ほど優勝しているという。話者は、1つの大会でそこまで勝つのはすごいことで、時期的にも得意なのかもしれないと述べる。なお、今年のリージョンには田口選手が出場して優勝している。

ピッツバーグ・プロの衝撃

カイロンが最後にオリンピアに出たのは2023年である。今年はピッツバーグ・プロでアリ・ビラルを下して優勝し、一発でオリンピア出場を決めた。このときの体を、話者は「アニメ」「神話レベル」と表現し、メンズフィジークの歴史に残ると評価する。

話者が理由に挙げるのは全体の調和だ。照明、肌の色、カラーリングがすべて噛み合い、美的に見える。ただすっと立っているだけで格好良い。バランスが良いとはこのことかと思わせる。パーツ一つひとつの質も高く、久しぶりに文句なしの満点を見た、とまで話者は言う。多分これが自己ベストで、この日のカイロンは新しい基準を作ってしまったのではないかと話者は見る。その後、カイロンとは少し違うが似た特徴を持つ選手が他のプロ戦で優勝する例もあり、教科書のような存在になったのではないかという。話者は過去にもこの大会のカイロンについて何本か動画を作ったが、そのときはみんなが「すごくいい」と口をそろえていたと振り返る。

オリンピア直前の最新状況

収録時点でオリンピアまで2週間ほど。話者は各選手の最新の投稿を確認している。

ライアン・テリーについて、話者は心配はいらないと見る。長年証明してきたとおり、皮下脂肪はすでに燃やし切っていて、今はフラットな状態だろうと推測する。あとは皮膚感とドライ感をどう上げてくるかだという。投稿によると現在93kgで、階級リミットを1.3kgオーバーしている。時間はあるので余裕で落とせるだろう、というのが話者の見立てだ。

問題はカイロンのほうだと話者は言う。6日前の投稿、つまりオリンピア3週間前の時点の体では、腹筋や腹斜筋、いわゆるセクシーラインは見える。巨大な胸と肩のラインもあり、背中を寄せれば脊柱起立筋も出ている。それでも、ライアンと比べると、ライアンのほうがずっと「砂漠のように」乾いて見える。カイロンには「オリンピアでは絞ってこない」というイメージがついてしまっていると話者は述べ、今年はどうかと疑問を投げかける。

話者がそう心配するのは、ライバルの仕上がりが非常に良いからだ。エリン・バンクスは、ほぼ同じ時期の投稿で驚くほど仕上がっている。話者は、フィルターでも「インスタグラムのボディビルダー」でもないと断言し、今年は素晴らしいと絶賛する。エリンはオリンピアの2週間前、土曜日にドミニカ共和国で開かれるドミニカン・リパブリック・プロに出場予定で、すでに皮膚が張り付いている。「こんなに溝が深かったか」「こんなにウエストが細く見えたか」と思うほどで、腹部には血管が走っている。最新の背中もとてもドライで、この質感をカイロンはまだ出せていない、あるいは見せられていない。出せるのかどうかも分からない、と話者は言う。

ブランドン・ヘンドリクソンも好調に見えるという。見せたくて仕方がないように寄りの写真でダブルバイセップスまで撮っていて、話者はその背中を評価する。フロントは抜群だが背中でやや劣る、というのが最近のブランドンのお決まりだった。しかしこの写真では広背筋がここまで良く見えるので、腕を下ろした状態でも改善しているのではないかと話者は推測する。クリスマスツリーも一本一本が皮膚を押し上げて主張しており、期待できるという。順位予想は別の動画で扱うとしている。

エントリーポーズ:主張したい部分の違い

ここから比較に入る。まずエントリーポーズで、話者はほぼ互角の部位としてふくらはぎと太ももを挙げる。下半身はサイズ的にもほぼ同等で、この写真ではカイロンのほうがやや大きく見える程度だ。

カイロンが主張したいのは、骨盤まで下げたパンツの位置で浮き出るセクシーライン、そして胸の輪郭だ。話者はこの胸を、確実にメンズフィジーク・ナンバーワンの胸だと評する。対するライアンの主張は、腹筋とストリエーションの入りまくった肩だ。この巨大な肩が2人の大きな違いになるだろうと話者は予告する。

フロントポーズ:幅と質感のライアン、スタイルのカイロン

フロントポーズでは、そもそもシルエットがまったく違うと話者は言う。ライアンは巨大な肩の幅で押し切るタイプで、そこにトップレベルの乾いた質感が加わる。ライアンもパンツをかなり下げていて、腹斜筋からセクシーラインまで浮き出ている。ポーズのルーティンの一部でもある前鋸筋には凄まじいラインが入る。タイミングによっては腹筋が少しぼやけて見える瞬間もあるが、しっかりフレックスできていれば問題はない。昨年は予選のほうが腹筋がとても良く見えた、というのが話者の印象だ。腕はそれほど大きくないが、絞り込みで質の高さが分かり、肩とのセパレーションも強い。肩と腕のバランスや大きさも良いと話者は評価する。

一方で、ポーズの取り方はスタイリッシュとは程遠いと話者は言う。重心をどちらの足にも寄せない仁王立ちのスタイルで、今ではこのポーズを取る選手は少なくなった。ただし、これは本人が自分の強みを存分に生かすために考えたポージングで、長年続けているものだろうと話者は理解を示している。

カイロンは、それと比べると相当スタイリッシュだと話者は見る。まず腹回りの見せ方が違う。以前よりもお腹を少しへこませるように力を入れていて、それによって胴体の前後の薄さが強調されている。セクシーラインは前に飛び出してパンツの中に入り込んでおり、話者は「どこまで繋がっているのか気になる」と笑う。腰を切る角度とウエストの薄さが際立つため、並べるとライアンの腰回りがどっしりして見えるほどだという。

単純な肩幅や三角筋のサイズ、ストリエーションの際立ち方ではライアンが上だと話者は認める。コンディションが仕上がっていることもあり、オリンピア予選の照明の中でこの質感を出せるのはさすがだとも言う。カイロンの肩はそれより一回りコンパクトに見える。ただ話者は、これを「主張が控えめ」という良い意味にも取れると述べる。肩幅選手権や三角筋選手権ではないし、肩の大きな選手なら他にもたくさんいる。幅だけで勝っても意味がない、というのが話者の考えである。

では何がカイロンの見た目を作っているのか。話者は、上腕と肩のバランスの良さ、そして「宇宙一綺麗かもしれない」胸を挙げる。何を「綺麗」とするかの判断基準は難しいと断りつつ、サイズが相当あり、張りがあって丸く、光を綺麗に跳ね返していると説明する。モストマスキュラーやサイドチェストでも見てみたいという。さらに、腕の長さ、脚の長さ、パンツの位置が噛み合い、上下が5対5に見える「黄金比」のようなフロントポーズだと評価する。どちらが格好良いか、メンズフィジークのアイコンとしてどちらのフロントポーズが素晴らしいかを街やビーチで1000人に聞いたら、カイロンになる気がするという。この意味で、フロントはカイロンに軍配を上げている。

バックポーズ:幅のライアンか、立体感のカイロンか

バックポーズへのトランジションでは、カイロンが深く沈み込むのが特徴だと話者は言う。骨盤やお尻のラインが出て、脊柱起立筋の一番下まで見せることで、その厚みを強調できる。この部分は絞りの判断基準にもなるので、このモーション自体がアピールになっているという。腰パンの選手は増えたが、カイロンは特にパンツを下げていて、お尻の半分が出そうなほどだと話者は評する。ライアンも、このトランジションで強化した広背筋下部の厚みをしっかり強調している。

実際のバックポーズでも、2人はタイプが違う。ライアンは僧帽筋に横方向のストリエーションが入り、それが肩まで繋がっている。全身に血管が走り、よりワイドな背中を持っているのはライアンだと話者は認める。昨年の決勝は質感が「お化け」だった。広背筋下部の厚みは2022年ごろのほうが良かったかもしれないが、今もトップレベルの広がりを持つ良い背中であることは間違いないという。肩が大げさに主張しすぎていない点も良いポイントに挙げている。ただ、バックポーズではカイロンほどパンツを下げていないとも指摘する。

カイロンの背中を、話者は「オオスズメバチ」のようだと表現する。背中が降りてくる角度がそう見えるうえ、スズメバチの口にあたる部分、つまり広背筋下部と脊柱起立筋下部が重なるところが、ぼこっと2つ盛り上がっている。そこへ僧帽筋が綺麗に繋がり、上部の形も良い。さらに脇の下の大円筋や、三角筋後部と繋がって見える棘下筋のあたりが表情を作っている。この写真は照明や影の入り方がオリンピアのときより良く見え、肌の色とも合っていたのだろうと話者は言う。つやがあり、立ち方にも頑張っている感じがない。腰の付近が矢印のようにパンツへ消えていき、ウエストの細さが際立つ。話者は加点要素しかないのではないかと評価する。

幅だけならライアンかもしれない。しかし表情の強さ、ブロック一つひとつの立体感を見ると、バックポーズもカイロンに入れざるを得ない。話者はこれを「意外だ」と語る。ライアンが背中でぶっちぎると思っていたが、実際に並べると立体感が違ったという。話者はこの比較を「全てはセパレーション、全ては3D」とまとめている。

別の写真でも比較している。昨年予選のライアンは丸みとボリューム感を持たせていて、より広く見え、僧帽筋にも張りがある。それでもカイロンのほうは、三角筋後部と棘下筋が繋がって見える。広背筋はおそらく広げ切らない出し方で、そのぶんわずかに広がりを犠牲にして立体感を生んでいると話者は分析する。特に腰の付近には影が濃く、さまざまな方向に光と影のラインが入っていて、話者はこの3Dを素晴らしいと評する。一方、ライアンが勝っている部分としては、やはり巨大な肩によるシルエットの違いを挙げている。

もしオリンピアで並んだら

実際にオリンピアで並んだ場合について、話者はこう見る。身長はカイロンが少し低く、ライアンは大きくて幅もあるので、巨大な選手に見えることは間違いない。4連覇がかかっていて、近年のライアンは仕上がりを絶対に外さないので、昨年と同等かそれ以上の砂漠のようなコンディションを持ってくるだろうと予想する。

そのため勝負を左右するのは、カイロンがピッツバーグ並みの体を持ってこられるかどうか、その一点だと話者は言う。2人はタイプがまったく違うので、そろってトップ2に入る可能性はむしろ低く、どちらかが下がりどちらかが上がる展開もありうると話者は見ている。それでも、この2人が最後の優勝争いを演じる未来を想像するととても面白いという。

話者の結論と残る疑問

フロントとバックをいくつか見た結果、話者はこの対決ならカイロンのほうが好きかもしれないと結論づける。理由の一つ目は、カイロンが「サーフパンツを履いたボディビルダー」に見えないことだ。二つ目は、胸に対して肩が少し控えめなので、いかり肩に見えにくく、スタイリッシュな要素が際立つこと。三つ目は、ビキニの選手と同じように腹を少しへこませて胴の薄さを強調し、幅で劣る分を立体感で押せていることだ。あれほどの胸を持つ選手は多くないので、同じパッケージを作れと言われても難しいだろうと話者は述べる。そのうえで、今年これほど高い完成度のメンズフィジーカーを見られただけで満足だという。

ただし、話者はその状態をオリンピアの舞台で見たいとも言う。間に合うのか、皮下脂肪はもう燃やし切っているのか、あとは調整だけの段階なのかは分からないとして、視聴者に意見を求めている。最後に、最新の仕上がりだけを見ると今年はエリン・バンクスが来るのではないか、という個人的な見方も付け加えて締めくくった。