海藻再生から防衛へ:Ulyssesは「海のSpaceX」をどう組み立てているか

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概要

FoundXの番組「FoundX Review Startup IdeaCast」は、海外スタートアップのアイデアをAIで整理・分析して紹介している。今回取り上げたのは、海洋ロボティクスのUlysses Ecosystem Engineeringである。番組冒頭で、分析はAIで情報を整理しているため古い情報や誤りを含む可能性があり、事実が重要な場合は各自で一次情報を確認してほしいと断っている。

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中心となる問いは、巨大な海洋市場を狙うスタートアップが、なぜ海藻の再生という小さな領域から始めたのか、そしてどうやって桁違いの低コストを実現しているのかである。解説役の話者は、痛みの大きい小さな市場から入って実績を積む「ウェッジ戦略」と、実際の海で壊しながら学ぶ開発姿勢が、この会社の要点だと見ている。

なぜUlyssesを取り上げたのか

解説役がUlyssesを選んだ理由は二つある。一つは、同社が「海のSpaceX」と呼ばれる動画などで注目を集めていること。もう一つは、直近でAndreessen Horowitzから約4,600万ドルを調達したことだ。話者によれば、同社はもともと気候テックの色が強かったが、最近は防衛の色が濃くなっている。その両方を手がけている点が面白いという。

海洋の「読み」だけでなく「書き」を担うプラットフォーム

話者の整理では、Ulyssesが作ろうとしているのは、海洋の「Read & Write(読み書き)」を可能にする自律型海洋ロボティクスのインフラである。背景として話者は二つの動きを挙げる。陸上資源の枯渇や気候変動によって、次のフロンティアが海洋に移りつつあること。そして防衛の観点からも海洋への懸念が高まり、水中ロボットや水上ビークルが注目されていることだ。

一方で、海洋インフラの構築や、海草(シーグラス)などの環境修復は、いまも有人船とアナログな手作業に大きく頼っている。話者はこれがボトルネックになっていると見る。Ulyssesはここに、ハードウェアとソフトウェアをフルスタックで組み合わせたプラットフォームを持ち込もうとしている。

聞き手が「ライト(書き込み)」の具体的な中身を尋ねると、話者はこう説明した。カメラで撮影する「リード」にとどまらず、ロボットアームで種を植える、ケーブルを修理するといった物理的な作業を、同社は「ライト」と呼んでいる。ミッションに応じてレゴブロックのように装備を組み替えられるため、海中に実際に介入できることが同社の強みだという。

課題:海藻の消失と、高すぎて「見るだけ」の既存手段

想定顧客は、海藻の再生に取り組む海洋生物学者、環境当局、沿岸警備当局、インフラ事業者などである。最初の市場は小さいかもしれないが、痛みは大きいと話者は言う。

話者が紹介した数字は次のとおりだ。海藻・海草の藻場は熱帯雨林の35倍の炭素吸収力を持つ一方、毎年約7%のペースで消失している。ボランティアやダイバーの手作業では、年間わずか5ヘクタールほどしか再生できない。有人船とダイバーを使うと1日5万〜10万ドルかかる。既存のAUV(自律型水中ビークル)は数百万ドルと高価なうえ、観測しかできない。

規制と需要の面では、EUの自然再生法が2030年までに陸域・海域の少なくとも20%に再生措置を適用すると定めていることを挙げた。さらにNOAAによれば、2026年4月時点で高解像度技術によってマッピングされた海底は28.7%にとどまり、海底データが不足している。地政学の面では、海底ケーブル、海上のチョークポイント、海底資源、場合によっては洋上風力も含め、防衛や保守・メンテナンスの課題が増えているというのが話者の見立てである。

これほどの痛みがあるのに、なぜ手作業に頼ってきたのか。聞き手のこの問いに、話者は二つの理由を挙げた。まず、浅瀬は濁りが強く潮の流れも速いため、大型で高価なロボットを投入するのはリスクが高かった。次に、既存機は広域の海底マッピング、つまり「見る」ことに特化しており、種を植えるような細かい物理作業には向かない構造だった。Ulyssesは、低コストの機体でこの隙間に対応しようとしている。

解決策:Mako・Leviathan・Krakenの3点セット

Ulyssesのシステムは三つの要素でできている。ケーブルなしで自律航行するAUV「Mako」、水上の母船「Leviathan」、そして発進・回収・充電を担う「Kraken」だ。この組み合わせで、人が介在せずに物理的な介入を続けるプロセスを作ろうとしている。

話者によれば、同社は競合の10分の1以下のコスト、約5万ドルから実現しようとしている。装備はミッションに合わせて交換できるモジュール設計で、植え付けにも観測のみの運用にも対応する。機体にはエッジAIや運用ソフトウェアも組み合わせ、フルスタックで提供する。グレートバリアリーフでの実証実験では、手作業と比べてスピード約100倍、コスト10分の1を達成したとされ、初期売上もすでに数百万ドル規模の実績があると言われている。

話者は、これが技術的にかなり難しい挑戦だと強調した。水中ではGPSが使えないため、音響ビーコン、慣性航法、海底マッピングなどを組み合わせる必要がある。そのうえで低コスト化、モジュール化、エッジでの計算、そして物理的な介入まで、競合の数分の1のコストで実装しようとしているからだ。

聞き手は、要素が盛りだくさんに見えるとして、KrakenとエッジAIがなぜ必要なのかを尋ねた。話者の説明はこうだ。Krakenがなければ、結局人間が船を出してロボットを回収することになり、手間とコストがかかる。完全な自律と24時間365日の連続稼働を実現するには、発進・回収・充電の自動化が欠かせない。エッジAIについては、水中には電波が届かず、GPSも遠隔操作も使いにくい。障害物の回避や対象物の検知は機体側でリアルタイムに行う必要がある。種を植える、インフラを修理するといった介入作業まで考えると、なおさら機体にAIを載せる必要が出てくるという。

市場規模とドライバー、そして「見せ方」の難しさ

話者が紹介した市場の見立ては、海洋経済全体(TAM)が約2.5兆ドル、SAMとして無人水中ビークル(UUV)市場が87.2億ドル、SOMとして当面の海藻再生が数百万〜数千万ドル規模というものだ。ただし海藻再生はあくまで入り口であり、最終的には全体へ広げる狙いがある。同社がa16zの防衛寄りのファンドから資金を受けたのも、その表れだと話者は位置づける。

成長を後押しする要因として、話者は三つを挙げた。EU自然再生法という規制、地政学リスクにともなう海洋防衛費の増加、そしてAIとバッテリーの低価格化である。三つ目によって、安価な機体にAIを載せ、より長く航行させられるようになったという。

EU自然再生法がどう効くのかを聞かれると、話者は、法的義務が生じたことで欧州各国の政府予算が半ば強制的に海洋修復に振り向けられる状況になったと説明した。同社はこれを最初の市場の獲得に使おうとしているのではないか、という見方である。防衛費が増えている背景については、中国の造船ペースに対抗するため、安価な無人自律システムが求められている点を挙げた。ウクライナでは陸上ドローンを使って低コストで大きな標的を破壊する戦術がとられているとされ、同様の戦術が海でも取られるなら、無人システムで大型艦を攻撃したり守ったりする需要が生まれるという見立てだ。

一方で話者は、気候テックとして始まった会社が最近は防衛に入ってきており、メッセージの出し方が難しい会社だという印象も語っている。当初はブルーカーボンのクレジットを作ろうとしていたのかもしれないが、ボランタリーなカーボンクレジットは今厳しい状況にある。そのためピボットに近い形で防衛へ入っているのかもしれない、というのが話者の推測である。

ビジネスモデル:RaaSと「2.5万ドル」の機体

話者によれば、Ulyssesはハードウェアを売り切るのではなく、RaaS(Robot as a Service)として、政府やNGOから修復プロジェクトやデータ取得を受託する高単価モデルで稼いでいる。ベースモデルは、既存の100万ドル級の同等機と同じスペックを約2.5万ドルの原価で製造しているとされ、設備投資(CAPEX)を大きく抑えている。さらに複数台の群(スウォーム)運用と無人化によって、規模が大きくなるほど運用費(OPEX)が下がる構造を狙っている。自律性はコスト削減の手段でもあるという。

この価格破壊がどう可能なのかについて、話者は「一説によると」と前置きしたうえで説明した。高価な海洋専用部品を使わず、EV用バッテリーのような安くなった汎用品を組み合わせ、部品を自社で内製しているのだという。

将来ハードウェアを売る可能性についても聞かれた。話者の印象では、その可能性はある。米海軍などはセキュリティ上の理由で、サービスとして使うより自前で運用したい場合があるため、そのときはハード単体でも売るようだ。ただし防衛領域は、特に米国では予算が大きい一方で、調達サイクル、セキュリティ認証、試験評価、サプライチェーン要件が重い。そこをどう突破するかがビジネスモデルの一つの焦点になるかもしれない、と話者は言う。加えて、海藻再生で得た環境当局などからの信頼を防衛や監視用途に使うことは、ステークホルダーによって受け止め方が分かれる。気候テックと防衛テックのブランドの緊張関係をどう扱うかも、大きなポイントになりうると指摘した。

戦略:完全垂直統合と「海洋OS」

同社の戦略は、ハードウェア開発からソフトウェア、現場運用までをすべて自社で行う完全な垂直統合である。既存のサプライチェーンに頼らず、音響センサーやモーターなどを内製し、EVバッテリーを活用することでコストを下げている。10〜20年後のビジョンとして掲げているのが「海洋OS」だ。地球上の海に数万台のロボットを常駐させ、少数のリモートセンターからインフラ保全、防衛、生態系管理を遠隔で実行する構想だという。

聞き手が、垂直統合以外にSpaceXと似ている点はあるかと尋ねた。話者は、重厚長大な既存産業に対して、低コスト化、内製化、反復テストによる高速なアジャイル開発を持ち込む点が酷似していると答えた。さらに話者は、SpaceXがロケットを安くするだけでなく、自社衛星Starlinkを載せて送り届けたように、Ulyssesも今後「海のStarlink」のようなものを手がけるかもしれないと推測している。これは話者自身の推測である。

段階的展開:海藻再生→商業インフラ→防衛

展開は段階的に進んでいる。フェーズ1が海藻再生だ。話者によれば、ここを選んだ理由は、実需があり、競合がおらず、現場データを蓄積しやすいことにある。ニッチな市場で実用性を証明し、現場で技術を磨いた。次に、洋上風力や海底ケーブル点検といった商業インフラへ横展開し、内製化と量産体制を進める。長期的には、米海軍などの防衛領域、たとえば機雷対策や監視への本格導入と、グローバルな群運用を目指す。話者は、防衛にはまさに今入ろうとしているところだと見ている。

インフラへの展開は簡単かという問いには、話者は難しいだろうと答えた。電力会社のような保守的な顧客の信頼を得る必要があり、そうした顧客にとっては実稼働時間や実際に動いているかどうかが非常に重要だ。だからこそフェーズ1では実績づくりに集中していたのではないか、というのが話者の解釈である。機体の流用については、モジュール設計なので、たとえば種まき用のアタッチメントを機雷探知センサーに付け替えるだけで、ベースの機体はそのまま使えるとされている。

競合とモート:低コストの「リード&ライト」とフルスタック運用

話者の整理では、差別化の核は低コストで「リード&ライト」ができることにある。既存の大手は高コストでリードオンリーにとどまっており、イノベーションのジレンマがあるとも言われる。これに垂直統合による低コスト、モジュール設計の柔軟性、エッジAIによる自律計算、水上・水中を統合したシステムを自社で運用する体制が加わる。話者は、ソフトウェアや運用まで含めて手がけることが簡単に真似できないモートにつながるのは、垂直統合型スタートアップによくあるパターンだと述べた。従来の50分の1のコストなので多数を展開でき、群運用も視野に入る。ただし群運用は、まだ実用段階には至っていないかもしれないと話者は留保している。

競合としては、海藻やサンゴの修復ロボットを手がける企業、防衛・海洋データ・インフラ監視を「OS化」しようとするTerradepthのようなデータ基盤系スタートアップ、大型で高価なAUVを持つKongsbergなどの防衛大手、さらにTeledyneやOcean Infinityなど海上の自律運用や防衛の文脈で出てきているプレイヤーが挙げられた。そのうえで話者は、モジュールを使ってこの領域に取り組むところはそれほど多くない印象だと述べている。

既存大手が追随してくるリスクについて、話者はリスクはあるとしつつ、参入しにくい構造だと見る。大手はすでに数百万ドルの機体を売るビジネスで回っており、数万ドルの機体を作ると自社製品とカニバリゼーションを起こすからだ。

リードオンリーの機体が多い理由も話題になった。話者は、水中でドリルやアームを安定して動かすには姿勢制御やハードウェア設計が難しく、そのため参入者が少ないのだろうと述べた。また、自社運用のRaaSで蓄積される運用データを使って運用を改善していくことが、今後の同社の強みになるかもしれないとも語った。

参入戦略:泥臭い営業と、水漏れするMVP

参入の仕方について、話者は「泥臭い」アプローチを強調した。最初から防衛や海底インフラという巨大市場に正面から入るのではなく、痛みは明確なのに自動化されていない海藻再生から入った。2024年11月ごろのTechCrunchの記事では、ローンチ時点で民間企業や政府機関から約100万ドルの売上を得ていたと書かれていたという。入り口となったのは、予算はあるが手作業に限界があり、目標面積に届かないという海洋生物学者の切実な痛みだった。

最初のMVPは高度なものではなく、3Dプリント部品を組み合わせた、水漏れするような原始的なロボットだった。何かを海藻の種に見立てて海でテストし、作ってはすぐ海で試すアジャイルな開発を進めたとされる。

顧客・投資家の獲得も泥臭い。紹介なしで、気候分野で有名なトップVCのLowercarbon Capitalに直接カレンダー招待を送りつけて接点を作るなど、アウトバウンド営業をかなりやっていたという。話者は、CEOの名前でYouTubeを検索すると7年ほど前から起業関連のコンテンツに出ていたこと、CTOも何度か起業経験があることに触れ、そうしたファウンダーだから泥臭い営業ができたのではないかと推測している。最終的に、グレートバリアリーフでの実稼働と年間約100万ドルの初期売上という強いPMFの指標が、資金調達を後押ししたと言われている。

いきなり連絡が来ても戸惑いそうだが、なぜ営業が成功したのか。聞き手のこの疑問に、話者は二つの要因を挙げた。一つは、Lowercarbonがもともと海藻再生やその炭素吸収に関心を持っていたこと。もう一つは、何よりも実際に動くプロトタイプがあったことだ。海洋ハードウェアはシミュレーションと現実の乖離が大きい。何が原因で壊れるかを最速で知るために実機を作り、現場で動かしていたことが大きな説得力になったのではないか、と話者は見る。なお、最初の100万ドルの顧客は、オーストラリアの大学や環境当局など、海藻再生の実務課題を抱えていたアーリーアダプターだったという。

創業チーム:サーフトリップの雑談から数週間で起業

創業のきっかけは偶然だったとされる。サーフトリップで海洋生物学者から手作業の大変さを聞いた雑談が着想につながり、わずか数週間でプロトタイプを作って起業に至ったという。4人の共同創業者は、ドローン・ロボティクス、F1の精密工学、政府向け営業(B2G)といった、海洋ロボット事業に必要なスキルがうまく噛み合っていた。B2Gの営業力はディープテックの「死の谷」を越える鍵だったとも言われている。既存品を改造せず、AUVをフルスクラッチで開発した点について、話者は技術陣の自信の表れでもあったのだろうと述べた。

聞き手が、メンバーがあまりにぴったりそろっている理由を尋ねると、話者は、過去のドローンスタートアップの同僚や幼なじみが関係しており、グループチャットから即座に集まったと言われていると説明した。O'Brienという姓の人物が2人いて、兄弟なのかもしれないとも話している。聞き手は、雑談から始まるのはスタートアップらしいが、この番組で紹介してきた会社ではあまり聞かなかったと応じた。話者は、仲の良いグループで、以前から一緒に何かをしていた経験があったのだろうと推測している。また、足りないスキルはあっても、手持ちのスキルを生かして「これならできるのでは」という形で進めていったように見える、とも語った。

学びとピボット:カーボンクレジットからRaaSへ、そして防衛へ

初期の仮説はカーボンクレジットで稼ぐことだった。しかしクレジット化には時間がかかるため、再生プロジェクトの受託、つまり運用まで含めたRaaSに近い形へピボットしたという。話者は、初期のキャッシュ創出と実績づくりに適した現実的な判断だったと説明する。

もう一つの学びが、実海域に投入して壊しながら学ぶ姿勢だ。机上の計算だけでなく、濁り、塩害、潮流といった過酷なフィードバックを即座に機体設計に反映し、機体の堅牢性を急速に高めていった。具体的な対応を聞かれると、話者は、社内にCNCなどの工作機械を持ち、壊れたパーツをその日のうちに削り出して翌日に再投入するという、内製ならではのハードウェアのアジャイル開発を挙げた。

防衛への移行もこの延長にある。安価で高性能な機体を作った結果、防衛関係者の目にとまり、米海軍や防衛・インフラ側から逆指名で引き合いが来たという。すぐに対応できたのかという問いには、モジュール型なので付け替えるだけで防衛向けデモを実施し、環境ミッションと並行しながら海軍などとのプロジェクトを獲得したと言われている、と話者は答えた。

資金調達:プレシードからa16zのシリーズAへ

資金調達の流れについて、話者は次のように紹介した。2024年にプレシードで調達し(字幕上は「2200万」)、2026年にシリーズAを実施した。シリーズAにはAndreessen HorowitzのAmerican Dynamism Fundが入っている。初期の成功要因は、Lowercarbonへの直接アプローチ、気候変動へのフォーカス、そして現場で動く実物と売上実績の三つだという。創業1年半、5名ほどの体制で100万ドルの売上を作り、シードを経てシリーズAへ進んだ。現在の売上実績は500万ドルを超えているようだ。

このフェーズでa16zが大きく投資した理由を聞かれると、話者は、同ファンドが米国の製造業と防衛力の再興をテーマにしていることを挙げた。低コストな海洋無人機を国内で量産するというUlyssesの方向性は、防衛と製造の両面でファンドの関心に合致し、高く評価されたのではないかという見方である。

日本への応用:AIの提案と話者の見方

番組では、日本版の可能性をAIに考えさせた結果も紹介された。前提として、日本は広大なEEZ(排他的経済水域)を持ち、海洋インフラの老朽化や磯焼けなど多くの海洋課題を抱えている。AIが示した案は三つある。

  • 案A:磯焼け対策とJブルークレジットの組み合わせ
  • 案B:電力会社や港湾局を顧客とする、洋上風力と港湾インフラの点検RaaS
  • 案C:高齢化が進む養殖業の自動化(網の点検、死骸除去など)

AIはさらに、機体性能だけで競うのではなく、制度的なネットワークに深く入り込んで運用データを蓄積することが重要だと提案したという。これに対し話者は、いっそUlyssesのようなことを日本でそのままやるのもありではないかと述べた。聞き手も、どの案も一気通貫でやれそうだと応じた。話者は、海に近い国なので痛みは多く、入り口は米国やEUと違うかもしれないが、入れる痛みを見つけて海洋OS、あるいは海のSpaceXを作っていく道はあるのではないかと語った。

結論:ウェッジを掴み、現場で壊しながら山を登る

まとめとして話者は、Ulyssesが巨大市場を見据えつつ、まずは痛みの大きい海藻再生から入って実績を作った点をポイントに挙げた。もともと防衛へ行くつもりだったのかは、向こうから問い合わせが来たという経緯もあり、よく分からないとも付け加えている。そのうえで、単なるデータ取得にとどまらず物理的に介入できるハードウェアを作ったことで、さまざまな領域から引き合いが来たこと。机上ではなく実環境で壊しながら学ぶアジャイルな検証、内製化による大幅なコスト削減、運用まで含めたフルスタックでの差別化を、この会社の要点として挙げた。泥臭い現場作業からウェッジを掴み、徐々に大きな山を登っていく分かりやすい事例だという評価である。話者は個人的に、同様の大きなビジョンを持つ日本企業が出てくることを願っていると述べた。

聞き手は、サーフィンから始まっている点が個人的に面白かったと語った。さらに、ゼロから作ること、そして「リード&ライトの両方ができた方がいい」という理想から入ることが、とてもスタートアップ的な思考だと感じたという。話者は、どこまでが偶然だったのかは分からないとしつつ、うまく波を掴み、そのうえで実績を積んでおいたことが面白いと応じた。最後に、収録の2週間ほど前に公開された同社のYouTube動画を勧めている。きれいな海で実際に実験している様子が映っており、本当にやっていることが分かるという。