智弁和歌山から医学部、研修を経て「直美」へ 藤白りりが語る経歴と医療制度への問題意識

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概要

美容外科医の藤白りりは、智弁学園和歌山で小学校から高校まで過ごし、独学に近い形で医学部に進んだ。初期研修を終えると、専門研修に進まずに美容外科の道を選んだ。いわゆる「直美」である。この回には、初期研修だけを終えて芸人になった井たくま、研修に進まず研究をしている京大医学部出身YouTuberのもご、ネット芸人のイマシカが出演し、それぞれ自分を「直◯」とネタにしながら藤白の半生を聞いていく。話題は生い立ちや受験から、初期研修での体調不良、医療保険制度への批判、炎上した復帰動画、直美の是非にまで及んだ。

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小学校受験から始まった智弁和歌山での12年間

藤白は和歌山出身で、智弁学園和歌山小学校から小中高一貫で学んだ。小学校受験は筆記ではなく実技中心だったと記憶している。「くまさんは右手と左手どっちが上がっていますか」と問われたり、扇風機の模型を見せられて同じものを組み立てたりする試験だったという。自分でも「結構教育熱心に育ててもらった」と振り返る。習い事はピアノ、そろばん、水泳、公文だった。

学校には野球部とは完全に別の一般コースがあり、藤白によれば進学校のような位置づけだった。医師の子どもが多く、同級生の大半がどこかの医学部に進むという。藤白自身は学校の成績で1位を取った経験がある。

公文は小学校から高校1年頃まで続け、進度は和歌山エリアで最も進んでいた。そのため進度上位者の集まりでスピーチをしたこともある。小学生のうちに算数ではなく数学の範囲まで進んでいたという。

陸上、チアリーダー、茶道と恋愛観

学校では運動部に入れるのは中学までという方針があり、藤白は中学まで陸上部に所属した。1000m走で学校1位になったこともある。50m走のタイムが7秒07と紹介された動画があるが、これは字幕のミスで、本当は7秒70だと本人が訂正した。

高校1年のときだけは特例でチアリーダーが認められていた。活動期間は野球部の大会前の2か月から大会中までの半年ほどで、その年は甲子園にも行った。高校2年からは茶道部に入っている。

恋愛については、中学までは関心があり好きな人もいたと話す。ただ昔から東京に行きたいという思いがあった一方、周りは地元に残りたい子が大半で、将来を一緒に考えられなかった。そのため付き合いたいという気持ちにはならなかったという。高校からは勉強が中心になり、恋愛への関心はなくなった。

財務省志望から医学部へ

進路については迷っていた時期がある。高校2年頃までは財務省に興味があった。考えが変わったのは、祖父が救急車で運ばれたり、ほかの家族も医療関係者に世話になったりした経験からだ。人の健康を守ることはとても良いことだと感じ、最終的に医学部を選んだ。出演者はこの動機を「純粋」だと評価した。井たくまは母親ががんになってから医学部を志望した自身の経験を重ね、高校時代は小さな出来事で志望が変わるものだと話した。

国語は読書から、数学は浜学園の「解法のストック」から

国語はもともと得意だった。小学生の頃から本を読むのが好きで、読解力や、ものによっては古文の基礎知識も身についた。何かの試験で国語の全国1位を取った記憶はあるが、どの試験だったかははっきり思い出せないという。センター試験の国語は、どの回を受けても190点以上で安定していた。

一方、数学については勉強法を身につけたきっかけがはっきりしている。小学5年のとき、内部進学でも中学受験組と同じ試験を受ける仕組みがあり、周りの友達が勉強を始めた。学校で中学受験の内容を扱わないこともあり、藤白の順位は急に大きく下がった。そこで自分から頼んで浜学園に通わせてもらった。

浜学園にはS・A・Bのクラスがあり、藤白は最初Bクラスに入った。宿題はBクラス用の範囲だけでよかったが、教材にはA・Sクラスの子が解く問題も載っていた。藤白はその問題の解説を読んで解法を覚えていき、難しい問題も解けるようになる手応えを得た。解法をストックしておき、問題を見たら自分のストックから引き出す。この勉強の型がここで身についたという。

理三志望から現役・前期一本の受験

最初は東大理三を目指し、高校3年の夏まで志望を続けた。模試の判定が良くなかったため、医科歯科(現・東京科学大学)に切り替えた。東京に行きたいという思いが最初からあったことも理由の一つだった。

出演者からは、C〜D判定なら現役生はまだ伸びるのではという声が出た。藤白は、伸びる人もいると認めたうえで、現役合格を優先したかったと説明する。自分の性格では浪人すると中だるみしそうなので、一気にやって一気に決めたかったという。

センター試験の得点率は94%だった。後期試験の判定はDで、後期で合格している人を見ると何かのオリンピック経験者ばかりだったため、自分は後期では落ちていたと思うと話す。私立は受けず、前期一本で合格した。出演者は度胸とメンタルの強さに驚いていた。

大学生活とYouTubeの始まり

大学1年はアルバイトに力を入れた。東京での大学生活やアルバイトに憧れていたこともあり、居酒屋、イタリアン、焼肉店で働きながら家庭教師もした。サークルでは一度マネージャーになったが、自分がプレイヤーをやりたくなって辞めた。その後はリズムゲーム好きの延長で軽音部に入り、少しだけドラムを叩いた。大学4年頃には、周りが家庭教師で稼いだお金で始めるのに合わせ、友人たちとゴルフも始めた。

YouTubeを始めたのは大学2年のときだ。高校まで受験を頑張ったので、大学では社会の役に立つことをしたいと考えた。大学に入ってもあと6年間学生のままなのか、という思いもあった。発信の対象として想定したのは、かつての自分と似た境遇の受験生である。田舎で有名な塾がなかったり、親が教育熱心でなかったりしても、参考書だけで勉強できる方法を教えたかったという。勉強以外のことに挑戦したい気持ちも大きかった。活動はスタディサプリの生物講師にもつながったが、動画撮影、講義の練習、スライド作りでほとんど遊ぶ時間はなかった。YouTubeは大学5年でいったんやめ、国家試験に向けて勉強に集中した。

臨床実習と国家試験対策

話題が臨床実習に移ると、聞き手の一人が不満を率直に語った。実習生は朝7〜8時に起きて大学病院や関連病院に行き、夕方4時頃に帰される。これを5年から6年の半ばまで平日毎日続ける。お金ももらえず、ただ立っているだけの時間があり、何もしないせいで逆に発狂しそうだったという。

藤白は、医師としての基本姿勢は実習で身についたと認めた。教員が教えてくれる小講義(クルズス)の時間は楽しかったとも話す。ただ研修医になってみると、学生時代にやっていたことは研修医としてやっていることと変わらず、研修医になってからの方が学べると感じたという。また最近の学生は夜勤にも入らされていて大変だと付け加えた。

6年の実習は9月頃に終わり、そこから国家試験の勉強が始まる。多くの学生は数万円の映像授業サービスを使うと出演者が説明したが、藤白は映像授業が合わなかった。問題集のQB(クエスチョン・バンク)、『病気がみえる』、イヤーノートだけで勉強し、国試は「余裕」だったと答えた。

たすき掛け研修と夜勤で出た不整脈

初期研修は大学病院と市中病院のたすき掛けで、1年ずつ勤務した。市中病院は日中は比較的落ち着いていたが、当直はかなりきつかった。大学病院は一般に研修医にとって楽な印象を持たれがちだが、藤白の勤務先は「ハイパー」だった。人気がなく途中で辞める先輩医師もいて、人手不足のため研修医が駆り出されたという。技術を身につけるにはとても良い環境だったが、忙しかった。

藤白は夜勤が本当に向いていなかった。研修開始から半年ほどで不整脈が出た。普段寝ている時間に起きて働くことで自律神経が乱れ、変なほてりや頭のくらつきもあったという。在学中からあったニキビについては、それが美容外科をより好きになった理由だと話した。

井たくまも研修2年目の経験を語った。病院に研修医が一人しかいない状況で救急車を受け、翌日も普通に働いた。法律上、当直はほとんど寝ていて何かあれば少し対応するという建て付けになっている。しかし実際には救急車を多く受けて起き続けるので、実態と法律が合っていない。さらに働き方改革のため時間外として請求できず、ただ働きのような状態になるという。芸人になってからは当直がなくなり、体調不良も出なくなった。

別の出演者は、研究の現場で見てきた医師の姿を語った。飲酒を控えるよう言われている患者が何度も飲んでは手術を繰り返し、医師が発狂したり急に泣き出したりする。見ていていたたまれず、もっと報酬を払ってほしいと強く思うという。夜勤の時給は2000円ほどだという話も出た。当直をしない子持ちの女性医師に反感が集まっている現状についても、夜勤の報酬が上がればその反感も減るのではないかという意見が出た。直美やバイト医に向けられる反感についても、普通の医師がそれほど稼げていないことが背景にあるのではないかと出演者は述べた。

院長のスピーチから医療保険制度に関心を持つ

藤白が医療保険制度に関心を持ったのは、入職した4月の院長スピーチがきっかけだった。今の医療保険制度では当院に限らずどの病院も赤字で、皆さんの給料も下がるかもしれない。そう院長が話したという。そこで藤白は、名前は出せないがしっかりした機関で医療保険制度を学んだ。

藤白の問題意識の中心は自己負担の低さにある。若い世代は3割、高齢になると2割・1割、生活保護受給者は0割だ。この低さがモラルハザードを生み、命の尊厳が軽んじられる場面を現場で見るのがつらかったという。例として、夜勤中にスーツケースを持って「全身が痛いので入院させてほしい」と来た人がいた。救急患者だけを診ている時間帯だったため、帰ってもらったこともある。聞き手の一人も、生活保護受給者はタクシー代もかからず病院へのアクセスが最も良いと話した。症状がないのに来院し、帰そうとするとごねる例があり、医師の負担になっているという。

藤白は給料が上がらない理由を次のように説明した。医療費全体は40数兆円で、そのうち自己負担は15%ほど、残りの85%は税金と保険料で賄われている。つまり働く人が払う保険料や税金が、そのまま医師の給料の原資になっている。税金や保険料は上げにくいため医師の給料も上がらない。若い医師にとっては、給料が上がっても保険料や税金が上がれば結局変わらない。現役世代の保険料で高齢者の医療を支える世代間扶養の設計も、今の人口構造では合理的でないと藤白は考えている。自己負担の引き上げを含め、制度を根本から見直さないと保険診療の医師の働き方は変わらない。保険診療の医師は自己犠牲で働いている面が大きく、そこに報いるためにも見直してほしいという。

研究者のもごはこのテーマを研究していると明かし、共同研究に誘った。藤白は興味を示しつつ、美容外科に入ったばかりだと笑って断った。

「ミクロとマクロ」で分けて考える

井たくまは難しさも指摘した。視聴者の中には「お前らはそこから逃げただろう」と思う人が必ずいる。自分は芸人として、藤白は自由診療で稼ぐ立場になるからだ。また国民は医師や看護師の給料を上げてほしいと言うが、社会保障費や自己負担が上がると言われれば嫌がる。医師はほぼ公務員のような存在なので、そこが難しいという。井たくまはさらに、他の国なら3000万〜4000万円、場合によっては1億円に値する教授が、1500万円で夜中の2時まで働いている例も挙げた。

そのうえで井たくまは、ミクロとマクロを分けて考えるべきだと主張する。保険診療を続けるのも、医師以外の仕事をするのも、自由診療の美容に進むのも、個人の選択として自由だ。自己負担のない人が病院に来ることも、個人としてはその仕組みの中で最適な行動をしているにすぎない。変えるべきは法律や仕組みの方だという。藤白も「結局制度が人を動かす」と同意した。制度を考えたいという思いから、あの動画を発信したと話した。

炎上した復帰動画について

藤白の復帰動画は、美容外科に進む報告と医療制度への問題提起を同じ動画で語ったことで炎上した。藤白は、二つを混ぜて発信したのは大きな間違いだったと認めている。一方で、美容に行くための言い訳だという受け止めは否定した。そもそも美容外科医になることを悪いと思っていないからだ。美容医療で人生が前向きになる患者は多く、藤白自身もニキビに悩んだ時期があり、肌の調子が良くなって前向きになれた経験がある。

制度の問題を語った理由は別にあると藤白は説明する。研修医として2年間働く中で、モラルハザードや制度の非効率性をずっと見てきた。発信してみんなに考えてもらい、日本を良くしたかった。「ちょっと傲慢なところもあった」と認めつつ、発信者としてできることをしたかったという。復帰動画は注目されるからこそ、そこで言いたかった面もあった。

聞き手の一人は、炎上まで計算されたマーケティングではないかと推測する動画を作っていたと明かした。所属するXクリニックの院長が『令和の虎』に出演していることが理由だった。藤白はこれをはっきり否定した。政治的な発言には様々な意見があり、炎上する可能性は十分あると思っていたが、狙ったわけではないという。議論が起きたこと自体は良かったと話した。

直美の是非は「施術の種類」と「クリニック」次第

直美そのものへの批判について、藤白は施術の内容で線を引く。骨切りやフェイスリフトのような大がかりな手術は、形成外科専門医を取ってから行った方がいいと考えている。一方、ボトックス、ヒアルロン酸などの注射、デバイス系の施術、二重やクマの治療程度であれば、現役で活躍している医師もほとんどが直美だという。そもそも研修後はみんな「直」で循環器内科や消化器内科に進むのだから、直接美容外科に進むことも問題ないと藤白は言う。

藤白は、問題はクリニックと個人にあると見ている。利益目的の強いクリニックは教育もせず、売上さえ上がればいいという考えで医師を働かせる。その結果、十分に勉強していない医師が自信のない手術に手を出したり、適応でない施術を患者に勧めたりする。こうした一部のせいで直美全体のイメージが悪くなっているという。どの医師にも3年目の時期はある。まず自己研鑽し、次に指導医にしっかり教育してもらい、経験を積んで良い医師になる。それができるクリニックで、誠実に医療に取り組む人なら問題ないというのが藤白の考えだ。自身は美容が好きで、今後年齢を重ねれば悩みも出てくるため、アンチエイジングを学びたいと話した。

整形とルッキズムをめぐるやり取り

出演者の間でも、整形への見方は分かれた。一人は、親から「顔は絶対いじるな」と教えられてきたため、本人の前では言いづらいが正直あまり良い印象はないと語った。別の出演者は、自分の顔が好きだと言い、ルッキズムが加速するのは良くない、顔以外のことで自信を持ってほしいと述べた。

藤白も、顔がすべてだとするルッキズムは良くないと同意した。ただ、特に女性は、人が顔で他人を多少なりとも判断する現実がある。顔の悩みを美容医療で変えられるのは素晴らしいことだという。出演者の「顔は生まれ持ったもの」という発言を受けて、藤白はこう付け加えた。顔は自分の努力ではどうにもならない。美容医療で変えられるようになったのは、生まれ持った勉強の才能を塾で伸ばすのと同じようなものだと考えている。

就活も検討したうえでの選択

就活を考えなかったのかという質問に、藤白は考えたと答えた。保険診療の制度の下で働くことが合わないと感じてから、もう一度フラットに人生を考えた。その際、就活も選択肢に入った。好きなこと、得意なこと、苦手なことをすべて書き出して総合的に見た結果、美容が良いと判断したという。ニキビの経験や、もともと美容が好きだったことも理由になった。Xクリニックを選んだのは、複数のクリニックを見学した中で、やりたいことを一番バックアップすると言ってくれたからだ。お金も人生で大事なので選択の一要素ではあったが、好きだという理由の方がずっと大きいと話した。

聞き手の一人は、好きだから行くならまったく問題ないと述べた。前回の動画では、理屈をこねて美容に行くことを正当化しようとしていると受け取られたのではないかと分析した。そのうえで、藤白の持つ資源を考えれば美容が最も合っていると見立てた。美容医療で最も費用がかかるのは広告で、SNSのフォロワーがそのまま集客になる。顔を出して発信していれば詐欺的なこともできない。女性患者は女性医師に診てもらいたいというデータもあるという。5年後、10年後には独立しているだろうと予想し、藤白の選んだ道は否定したくないと述べた。

最後に藤白は、20〜30代の視聴者に向けてメッセージを送った。人生は一度しかないので思いきり楽しむことが大事だと思っている。一緒に頑張っていきましょう、と語って番組を締めくくった。