分解レビュー後に動かなくなった格安エアコンを、IPM交換で自力修理する
イチケン / ICHIKEN2025年に分解レビューしたComfeeのエアコンが、翌年の夏に取り付けようとしたところ正常に動かなくなっていた。この動画では、症状の観察から周辺部品の切り分け、パワー半導体モジュール(IPM)の特定、非正規ルートで入手した部品による交換までを順に進める。話者は、前回の分解時に自分で壊した可能性が高いと考えている。自己流の修理が原因で出火した場合は保険や保証が使えない可能性があるため、視聴者には真似しないよう繰り返し注意している。
症状:室外機のファンが数秒回って止まる
このエアコンは前回の動画で分解し、「値段が安く品質はそこそこで、使っても問題ない」という評価をした機種である。その後、家に取り付けて長期間稼働させる予定だったが、機会を逃して2026年になった。今年の夏に使おうと組み立てて動作確認したところ、異常が見つかった。前回の分解後に組み立ててはいたものの、動作確認はしないまま放置していたという。
室内機は問題なく動く。室外機は電源投入直後に中で何かが動く音がし、20〜30秒ほど待つとファンが回り始める。しかしすぐに勢いがなくなって止まり、冷房も暖房も効かない。基板上のインジケーターLEDを見ると、点滅していたLEDがファン停止と同時に消えていた。話者は、始動の途中で基板自体の電源が落ちているようだと判断した。冷媒管の温度も変化しておらず、コンプレッサーは動いていないと見られる。
疑わしい箇所:去年どこまで分解したか
前回の分解では、室外機から基板を取り外し、インバーターエアコンの重要部品であるパワー半導体のIPMまで基板から外していた。そのため、壊れているとすればモーター、基板、IPMのどれかだと話者は見立てた。中でもIPMが最も怪しいという。取り外しの際にはんだごてでかなり熱を加えており、静電気で壊した可能性もあるからだ。
通常なら不具合が出た時点でメーカー修理に出すのが最も簡単だが、自分の都合で分解済みの製品を修理してもらえるはずもないため、今回は自力で対応することにした。
周辺部品の切り分け
基板ユニットを取り外して詳しく調べる。ボックスには回路図と「室外ユニット確認ポイント」というトラブルシューティング用の情報が記載されており、これを参考に進めた。
まずヒューズの導通を確認した。基板上のヒューズと、茶色いボックス状の2つのヒューズもすべて導通があり、ヒューズ切れではなかった。
次に室外機ファンの回路である。ファンは実際に回り始めていたため、この回路は問題ないとした。ファンが回るということは、電源の接続やブリッジダイオードも正常に動作していると話者は判断している。
これで残る候補はPMV、温度センサー、四方弁、コンプレッサー用IPM、コンプレッサーモーターになった。PMVは電子制御膨張弁で、電源投入時に室外機奥からするカタカタという音はこれが動いている音だという。動作しているので問題なしとした。温度センサーは前回特に触っていないので壊れることはないだろうと考え、手をつけていない。四方弁はコイルで駆動されており、電源投入時のパチンという音は内部のソレノイドの動作音である。これも問題なしとした。
コンプレッサーモーターの確認
話者が最も疑っていたのはコンプレッサー周りだ。コンプレッサー本体、そのモーター、モーターを回すインバーターのどこが壊れているのかを探っていく。
まず巻線抵抗を測り、モーターの断線や短絡を調べた。断線なら抵抗値は非常に高くなり、短絡なら0Ωになる。測定値は2.2Ωで、モーター自体は生きていそうだという。話者は、もし短絡していればIPMが壊れたりヒューズが飛んだりするはずだとも補足している。
さらにIPMからモーターにつながる線を外した状態で動作させてみた。それでも症状は変わらず、ファンが回り始めたタイミングで室外機が止まった。この結果から、原因はモーターやコンプレッサーではなく基板側、特にIPMだと話者は考えた。他の部品はおおむね動作が確認できたが、コンプレッサーモーターだけは一度も動いていないからだ。
IPMの簡易診断と、外したら動いたという結果
ヒートシンクの下にコンプレッサー用のIPMがある。話者によれば、IPMの中身はIGBTとそのドライブ回路である。テスターで簡易診断し、内部のIGBTとダイオードが壊れていなければダイオードの順方向電圧として0.6V程度が表示されるはずだとした。実際に0.6V前後が表示されたため、IGBTとダイオードは壊れていないように見え、この時点では原因が分からなくなった。
そこでIPMを基板から外し、IPMがない状態の基板をエアコンに取り付けて強制冷房モードで試した。しばらく待つとインジケーターLEDは点滅を続け、室外機のファンが勢いよく回り始めた。室外機のさまざまな電源も落ちなくなった。話者自身も「こんなことあるのか」と驚いている。
この結果から話者は、コンプレッサー用IPMがほぼ故障していたとみてよいと結論づけた。IPMにはIGBTのほかにそれを駆動する回路も入っており、おそらくその回路が壊れたのではないかと推測している。原因については、前回の分解のやり方が良くなかったのだろうとしている。
交換部品の入手:なぜAliExpressなのか
本来、エアコンの修理は基板単位の交換が一般的で、メーカー修理に出しても基板ごと交換になる。しかし今回の製品は、ネット上で交換基板を探しても見つからなかった。製造元に売ってほしいと頼んでも、素性の分からない相手には売ってくれないだろうと話者は考え、部品単位で修理することにした。
使われていたIPMは三菱電機のSLIMDIP-Lである。話者によれば、この部品は国内の電子部品店で手軽に買えるものではない。家電メーカーや産業機器メーカーが買う部品で、小ロットでの入手は非常に難しい。部品商社に1個だけ売ってほしいと言っても「100%無視されるでしょう」と話者は言い、仮に買えても納期は数か月になるだろうと見ている。
そのため、あまりやりたくはなかったとしつつ、AliExpressで調達した。なぜかSLIMDIP-Lが販売されているが、正規ルートではない。話者は、生産ラインの余剰品、廃棄基板からの回収品、リマーク品が主だろうと推測する。新品に見えるものはリマーク品の可能性があるため、廃棄基板からの回収品のほうが信頼できるかもしれない。ただし回収品には故障品の可能性もあると、両方のリスクを挙げている。
届いた部品は見た目がかなり正規品らしく、パッケージ形状も細かな文字やレーザーマーキングも本物に近かった。話者は、リマーク品ではなく本物のSLIMDIPがどこかから流れてきたものだろうと見ているが、これはあくまで外見からの推測である。
取り付けと試運転
新しいIPMに熱伝導グリスを塗り、ヒートシンクを取り付けてはんだ付けした。電源を入れると起動が早く、これまで聞こえなかったインバーターの音がした。最初に「ピー」と鳴ってからコンプレッサーが回り始め、駆動音もはっきり聞こえる。風は冷たく、冷媒管もかなり冷えた。これで修理成功とした。
再度組み込む前に、基板に防湿コートを施した。元の防湿コートは前回剥がしてしまっており、そのまま使うと湿気や異物との接触で壊れる可能性があるためだ。最後に組み立てた状態でもう一度電源を入れ、インバーターの動作音、室外機ファンの回転、冷媒管の冷えを確認して修理完了とした。
振り返り:部品単位の修理は可能だが割に合わない
故障の原因は、2つあるIPMのうちコンプレッサー側のものだった。話者は、前回の分解時に壊した可能性があると考えている。最終的には、正規ルート以外から入手した本物らしいIPMで直すという「荒業」で修理を終えた。
かけた労力を考えると、部品単位の修理より基板ごと交換するほうが良さそうだと話者はまとめる。実際に家電メーカーの修理も、部品単位ではなく基板やアセンブリ単位の交換で行われる。それでも、今回のようなやり方でも修理はできると分かったのは良かったと話者は述べている。
この動画はJLCPCBの提供でお送りします。
皆さんこちらのエアコンを覚えていますでしょうか。Comfeeのエアコンです。2025年にこちらのエアコンを分解レビューしまして、値段が安くて品質的にはそこそこで、使っても問題ないよねみたいな感じなレビューをしました。
これを家に取り付けて長期間稼働させる予定だったのですが、家に取り付ける機会を逃して2026年になってしまいました。今年の夏はということで動作確認をしようと組み立ててみたところ、何やら動作がおかしいことに気が付きました。
実際に動かしてみます。室内機は問題なく動いています。室外機もピッピッピっていう音がして動こうとしているのですが、このまましばらく待機します。
室外機のファンは回るんですけども、こんな感じで止まってしまいます。
こちらが実際の様子です。室外機の調子が悪いのか、冷房暖房が効かなくなってしまいました。室外機のファンは数秒間は回るのですが、その後なぜか止まってしまいます。
去年分解レビューをした後に組み立てたのは良かったのですが、その後に動作確認をしないままでした。そのまま放置していていざ付けようと思ったら、調子が悪くなってしまったみたいな状態です。分解そして組み立ての過程でどこかを壊してしまったようです。
というわけで今日は故障解析をしながらどこが壊れてしまったのか、そして修理可能なようでしたら直していきたいと思います。その前に今日のスポンサーの紹介です。どうぞ。
まず去年の動画でどこまで分解したかを振り返ってみます。この中に入っている基板を室外機から取り外した状態にして、さらにインバーターエアコンにとって重要な部品であるパワー半導体のIPMを取り外していました。
壊れた箇所があるとすれば、モーターの不具合や基板の不具合、IPMの不具合あたりかなと思います。特にIPMが一番怪しくて、基板から取り外すときにはんだごてでかなり熱を入れていましたし、もしかしたら静電気で壊してしまった可能性もあります。
本来であれば不具合が出た時点で修理に出すのが一番簡単なのですが、こちらの都合ですでに分解しているものを修理してくれるはずもないので、今回は自力で何とかします。
今回は一応修理はするんですけど、自己流の修理が原因でエアコンから出火したみたいな場合は、いろいろな保険とか保証とか使えない可能性があるので、皆さんは絶対に真似しないでください。
では実際にやっていきます。基板をむき出しにした状態で見ていきます。先ほどからの繰り返しになりますが、室内機については問題なく動作しています。室外機について見てみると、電源を入れた直後は中で何か動いているような音がします。
20秒から30秒くらい放置すると室外機のファンが回り始めますが、途中で勢いがなくなって止まってしまいます。よくわかりません。
こちらの基板にインジケーターLEDがあるので、その動きも合わせて見ていきます。先ほどと同じように室外機のファンは回り始めますが、すぐに止まってしまいます。それと同時に基板のLEDも点滅していたものが消えてしまいます。始動の途中で基板自体の電源が落ちてしまっている雰囲気です。
冷媒管を見ていますが温度変化はしていないので、コンプレッサーは動作していなさそうです。もう少し分析するために、この基板ユニット自体を取り外しました。詳しく見ていきます。
基板を取り外しました。親切なことに回路図はこちらのボックスに書いてありますので、この回路を参考にどこが故障しているのかを見ていきます。また室外ユニット確認ポイントということで、トラブルシューティングができるようにも書いてあります。
まずはヒューズの導通チェックです。OKです。こちらもOKです。あとは茶色いボックスが2つありますが、こちらもヒューズです。導通は確認しています。ですのでヒューズが原因の故障ではなさそうです。
次は室外機のファンの部分の回路です。回路図だとこの部分、実際の回路だとこの辺りです。ヒートシンクの下にはIPMがあります。室外機のファンについては先ほど見ていた通り回転していたので、その部分の回路については問題ないということで進めます。室外機のファンが動いているということは、電源の接続やブリッジダイオードあたりも問題なく動作しているということです。
そうなるとPMV、温度センサー、四方弁、コンプレッサー用のIPM、コンプレッサーモーターあたりが怪しそうです。
まずPMVですが、これは電子制御膨張弁のことです。電源を入れた時に室外機からカタカタ音がしますが、これはPMVが動いているからです。室外機のかなり奥の部分です。電源を入れても動作しているので、これも問題ないということで進めます。
温度センサーについては前回特に触っていないので、壊れることはないだろうということで特に手はつけていません。
四方弁についてはこちらのコイルで動いていますが、電源を入れた時にパチンという音がしたと思います。それは中のソレノイドが動作している音です。これも問題ないということで進めます。
次はおそらくここが壊れているであろうと予想しているコンプレッサー部分について見ていきます。コンプレッサー本体が壊れているのか、それともコンプレッサーのモーターが壊れているのか、モーターを回すインバーターが壊れているのか、そのあたりを探ってみます。
まずはコンプレッサーモーターが断線していたり短絡していないかを見ていきます。これは巻線抵抗を測ればOKです。断線していたら抵抗値はものすごく高くなりますし、短絡していたら0Ωとなります。巻線抵抗値は2.2Ωなので、モーター自体は生きていそうです。もし短絡していたらIPMが壊れたりヒューズが飛んだりしますからね。
IPMからモーターへつながる線を外した状態で動作確認します。やはりこれまでの症状と変わらずに、室外機のファンが回り始めたタイミングで室外機の動作は止まってしまいます。これを見る限りですとモーターやコンプレッサーが壊れているという感じではなくて、やはり基板の中ですね。特にIPMがかなり怪しいです。
やっぱりコンプレッサー用のIPMが一番怪しいのです。他の部品は大体みんな動作確認できていますが、コンプレッサーモーターだけは一回も動いていません。
このヒートシンクの下にIPMがあります。これがIPMです。IPMの中身はIGBTとそのドライブ回路です。壊れていないかテスターを使って簡易診断します。IPMの中のIGBTとダイオードが壊れていなければ、ダイオードの順方向電圧の0.6Vぐらいが表示されるはずです。実際このように0.6Vくらいの表示が出ているので、IPMは壊れてはいなさそうです。
IPMの中のIGBTとダイオードは壊れてなさそうなので、原因がわからないです。一旦IPMを取り外します。
IPMは取り外しました。この状態で一旦組み付けてみて、IPMがない状態の基板をエアコンに取り付けてみて、一度動作確認します。強制冷房モードです。動いてくれるといいのですが。
室内機の方は動いています。室外機のファンはまだ動いてはいないです。この部分のインジケーターのLEDは点滅しています。長いです。ダメかな。
ファンが回りました。勢いよく回っています。すごいです。こんなことあるのか。
この状態で電源を入れてみると、なんと室外機のファンが勢いよく回り始めました。室外機部分のいろいろな電源なんかも落ちなくなっています。
故障解析の結果、ほぼほぼコンプレッサー用のIPMが壊れていて、動作しなくなっていたとみて良いでしょう。IPMの中にはIGBT以外にもそれらを駆動する回路が入っています。多分そのあたりの回路が壊れてしまったのかもしれません。前回の動画で分解したときの分解のやり方が良くなくて壊れたのかと思います。
ここからは修理をしようと思います。本来であれば修理をするのは基板単位での交換となることが多いです。実際メーカーの修理に依頼しても基板単位での交換となります。今回の製品についてはネット上で交換基板を探しても見つかりませんでした。製造元に交換基板を売ってくれと言っても、素性のわからないものには売ってくれるはずもないので、今回は部品単位で修理することになります。
というわけで次は修理用の部品を購入します。IPMは三菱電機のSLIMDIP-Lが使われています。ただこのSLIMDIPについては、日本国内では電子部品屋さんで手軽に購入するみたいなことはできないようです。家電メーカーや産業機器メーカーしか買わないので、小ロットで製品を手に入れるのは非常に難しいです。部品商社とかに1個だけ売ってくれみたいなことを言っても100%無視されるでしょう。仮にできたとしても納期何ヶ月とかそういうレベルかと思います。
なのであまりやりたくはなかったのですが、今回はAliExpressで調達することにしました。なぜか三菱電機のSLIMDIP-Lが販売されています。もちろん正規のルートではないです。生産ラインの余剰品とか廃棄基板からの回収品、リマーク品が主かと思います。新品の見た目ですとリマーク品の可能性もありますので、廃棄基板からの回収品の方が信頼できるかもしれません。ただそうすると今度は故障品の可能性もあります。
実際に届いたものがこちらです。見た目はかなり正規品っぽいです。パッケージの形状もそうですけど、細かいところの文字やレーザーマーキングも本物とかなり近いです。多分ですけどリマーク品とかではなくて、本物のSLIMDIPがどこからか流れてきた、そんなものかと思います。
次はこの非正規ルート品のSLIMDIPを基板に取り付けていきます。熱伝導グリスを塗って、ヒートシンクを取り付け、ハンダ付けをします。
早速電源を入れていきます。起動が早い。動きました。
インバータの音が今まで聞こえていなかったのですけど、コンプレッサーを回すインバータの音が最初にピーって感じで鳴ってから、こういうふうに回っています。いいですね。風も冷たいです。冷媒管も結構キンキンに冷えています。
IPMを使ってモーターコンプレッサーを回しているのですが、その駆動音もしっかりと聞こえています。いいんじゃないでしょうか。というわけで修理成功です。
再度組み込みますがその前に防湿コート処理をします。元々基板にあった防湿コートは剥がしているので、このまま使うと湿気や異物接触で壊れる可能性があるからです。
最後に組み立てた状態でもう一度電源を入れて、最終的な動作確認をします。今インバータが動いた音がしました。室外機のファンも回っています。いいですね。冷媒管も冷えてきました。修理完了です。
というわけで壊れたエアコンについて、どこが壊れたのかを特定して部品交換修理が完了しました。原因ですが2つあるIPMのうち、コンプレッサー側が壊れていました。前回の動画で分解したときに壊した可能性があると考えています。結局は正規ルート以外から入手した本物っぽいIPMを使って直すという荒業で修理完了です。
かけた労力などを考えると、部品単位での修理ではなくて基板ごと交換するのが良さそうです。ただ今回やったようなやり方でも修理はできるというのがわかって良かったです。実際家電メーカーがやる修理は部品単位ではなくて、基板単位、アセンブリ単位での交換になりますからね。
というわけで、もしこの動画が役に立ちましたら高評価、何か気になることがありましたらぜひコメントも残してみてください。それでは最後まで動画のご視聴ありがとうございました。
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