若手マーケターはなぜ「より大手」へ動くべきか:サラタメが語るマーケ経験者の転職セオリー

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概要

転職系YouTuberのサラタメは、マーケティング領域で何らかの業務経験がある人に向けて、転職の考え方を解説している。対象は、事業会社のマーケターから、代理店にあたるマーケ支援会社の広告運用担当やアカウントプランナーまで幅広い。未経験者向けの解説は別の動画に分けている。

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動画の中心にある問いは、AI時代に今後のキャリアへ不安を抱く20〜30代のマーケターは何をすべきか、である。サラタメの答えははっきりしている。今いる会社より「大手」に、できるだけ早く転職しておくべきだという。この動画は元々LINE限定で公開していたもので、話者によれば、視聴者から報告があっただけで50名以上が内定を得たという。今回YouTubeで公開されたのは前半部分で、具体的なおすすめ企業と転職エージェントを扱う後半は含まれていない。

結論と3つの理由

サラタメは結論の根拠として3つの理由を挙げる。1つ目は、超大手でも内定が取りやすくなっていること。2つ目は、AIに代替できない力が身につくこと。3つ目は、大手のほうが待遇が良くなりがちなことである。

1つ目の理由については、冒頭で2つの内定事例が紹介された。1人目は約30名規模の小さなデジタルマーケ支援会社で広告運用をしていた人で、最大手クラスに採用された。2人目はチャットコマース企業の営業職だった人である。CTR、CV、LTVといった用語は理解していたが、広告を実際に触った経験はなかった。それでも最大手クラスに入れたという。サラタメはこの2例から、最大手が未経験者に近い人まで採用し始めていると読み取っている。

誰が対象か:6つのボックスと3つの自己点検

サラタメは、すべてのマーケターに大手への転職を勧めているわけではないと断っている。整理のために使うのが6つのボックスの図だ。左に事業会社、右に支援会社を置く。縦は月間マーケ予算で、1億円以上、1000万〜1億円、1000万円未満の3段に分ける。すると次の6つに分かれる。

  • 1:大手事業会社
  • 2:大手支援会社
  • 3:中堅事業会社
  • 4:中堅支援会社
  • 5:小規模事業会社
  • 6:小規模支援会社

サラタメが最も強く転職を勧めるのは6番、つまりクライアントの予算が小さい小規模なマーケ支援会社にいる人である。理由は、AIに代替されるリスクが高すぎるからだという。3〜5番の中堅以下の人も対象には入るが、6番ほど急ぐ必要はないとする。6番にいる人でも、役員クラスの人や役員になれる自信がある人は、そのままでよいという。

もう少し広い基準として、サラタメは3つの自己点検項目を示す。

1つ目は仕事内容である。自分の仕事がAIに代替される気がしているなら、その予感は当たるとサラタメは言う。マーケターやITエンジニアのような頭脳労働系の専門職は、テクノロジーの進化の影響をまともに受ける。AIを使いこなす側に回れば上のレイヤーに行けるが、ぼんやりしていると代替される。サラタメはこれを「弱肉強食」と表現する。ただし、これは能力とは別の問題だという。AIを活用できるポジションにいるか、AIに代替されにくい業務を担っているかという「ポジション取り」の問題なので、転職で解決できる課題だと話者は捉えている。危険信号として挙げたのは、クライアントとの定例ミーティング、クリエイティブの微調整、簡易なレポート作成で予定が埋まっている状態だ。

2つ目は年収である。マーケは難しい専門職なので、戦略的にキャリアを進めれば40代で年収1000万円に届くはずだとサラタメは考えている。届くと確信できていないなら危険信号だという。

3つ目はワークライフバランスである。かつてマーケ領域は過酷な環境が当たり前だった。しかし令和に入って、残業時間、リモートワーク、福利厚生は改善されてきている。それなのに「自分には令和が来ていない」と感じる人は、大手を狙うべきだとする。

3つのどれか1つでも当てはまれば、早めに動くべきだというのがサラタメの立場である。逆に、どれにも当てはまらない人はすでに80点以上のキャリアを歩んでいるので、転職する必要はないという。そこからさらに転職するかどうかは好みの問題で、大手に行けば解決するものではない。サラタメは、この動画は疲弊して自分のキャリアを50〜60点と感じている人が、セオリー通りに70〜80点を目指すための内容だと位置づけている。

小規模支援会社が定型オペレーションに陥る仕組み

6番の人がなぜ危ういのかについて、サラタメは構造から説明する。クライアントの予算が小さいと、提案できる施策の幅がそもそも限られる。よくあるのは、リスティング広告をメインにして、おまけでディスプレイ広告、Meta広告、YouTube広告、LINE広告を少し試すという型にはまった提案だという。

さらに会社からは、予算の小さいクライアントを数多くこなして売上と利益を出すよう求められる。10社以上、15社以上を同時に担当している人も多いのではないかとサラタメは言う。リスティング中心の施策そのものは悪くなく、奥深さもある。しかし数をこなすことになると、急に流れ作業になりやすい。その結果、定例ミーティング、クリエイティブの微調整、簡易なレポートで予定が埋まってしまう。

サラタメによれば、マーケターを志した時は、マーケティング戦略やコミュニケーション設計のように「脳みそに汗をかく」仕事がしたかったはずだ。ところが実際には、そうした仕事からどんどん離れてしまう。本人が優秀かどうかに関係なく、小規模支援会社で働いている限りそうなりやすいという。

デジタルマーケ領域でAI活用が進んでいる理由

そうした定型業務は確実にAIに代替される、とサラタメは主張する。根拠として挙げるのは、デジタルマーケティングの領域が他業界に比べてAI活用が大きく進んでいる点だ。データ基盤が整っているので、AIを活用しやすい土壌がある。

例として挙げたツールは次の3種類である。1つ目はChatGPT、Gemini、Claudeといった汎用の生成AI。2つ目は広告媒体側の機能で、Google広告のインテントマッチやP-MAX、Meta広告のAdvantage+、TikTokのSmart+がある。3つ目は支援会社側の取り組みで、サイバーエージェントの極予測AIや電通デジタルの∞AIが挙がった。

サラタメは、現場のマーケターに聞いてもAIに取って代わられるのは遠い未来ではなく近い将来だと言っている、と報告する。今はまだAIだけでは無理で人間の微調整が必要だが、AIだけでもかなりの部分ができるようになっている。定型タスクが完全に代替される未来はもう見えている、というのが現場の声だという。具体的に持っていかれる仕事として挙げたのは、初期提案、媒体選定、キーワード設計、予算配分、クリエイティブ改善、レポート作成である。だから小規模支援会社で定型オペレーションをしている人は、今すぐ脱出すべきだとする。

30代半ばで働き方の希望が分かれる

では、なぜ転職先が「より大手」なのか。サラタメは一言でいえば「自分らしい働き方を選ぶため」だと答える。30代中盤から後半にかけて、やりがい、年収、ワークライフバランスを自分で選び直したくなる時期が必ず来る。そのときに選べる側にいるために、若いうちに大手を経験しておくべきだという。

サラタメによれば、20代から30代前半までは、マーケターの希望はおおむね共通している。刺激的な仕事、規模の大きな仕事、成長を重視する人が多い。ところが30代中盤以降になると希望が分かれてくる。ナショナルクライアントと大きな案件をやりたい人がいる。子どもが2人できて家庭とのバランスを取りたい人がいる。家庭の事情でもっと稼ぐ必要が出て、成果次第で報酬を上げたい人もいる。どうなるかはその年齢にならないと分からない。だからこそ、その時点で選べる状態にしておくべきだとサラタメは助言する。

選べる状態になるための条件としてサラタメが挙げるのが、業務の幅である。小規模な会社で獲得型のWeb広告運用だけをしてきた人は仕事の幅が狭い。マーケティング全体の設計と呼べる仕事を経験しておけば、30代後半以降に「この会社に行きたい」と狙った会社から内定を取れるようになる、という論理だ。

理由1:超大手でも内定が取りやすい

サラタメは3つの理由のうち1つ目が最も大事で、残りの2つはおまけのようなものだと言う。超大手の採用が積極化している例として、電通とサイバーエージェントがキャリア採用を強化していること、博報堂DY ONEが最近初めて第二新卒の採用を解禁したことを挙げた。取材の結果、冒頭の2例のように、零細に近い規模の支援会社出身者や、ほぼ未経験に近い人でも最大手クラスで内定が出ていることが分かったという。

ただし狙い目は、6つのボックスのうち支援会社側の2番(大手支援会社)と4番(中堅支援会社)だとサラタメは言う。1番と3番の事業会社もより大手ではあるので行くのはありだが、難しすぎる。サラタメは事業会社が厳しい理由を3つ挙げた。

1つ目は、そもそも募集が少ないこと。サラタメはこれがほぼすべてだと言う。事業会社のマーケは少数精鋭で回せるので、商品が売れても仕事量はあまり変わらない。一方、支援会社は売上が好調になるほどクライアントが増え、仕事量と募集も増える。この構造の違いがあるという。

2つ目は、即戦力が強く求められること。大手事業会社は認知拡大やブランディングのためのマス広告を打つ。その経験がある人はもともと少ない。

3つ目は、カルチャーマッチまで求められること。事業会社はプロダクトへの愛着や思想が強めなので、条件を満たしていても、社風が微妙に合わないという理由で面接で落とされることがある。

サラタメは事業会社を否定しているわけではない。ただ、事業会社への転職は再現性が低く運に左右される領域なので、動画の中では勧めにくいとしている。

対して支援会社は、ポジションが多く、カルチャーマッチもそれほど求められない。売上が伸びると対応する人手が必要になる。大規模プロモーションの経験者だけに対象を絞っていたら人手が足りず、売上を取りこぼす機会損失になる。だから幅広く採用しているのだという。また支援会社ではクライアントに合わせる姿勢が大事なので、思想の強さが問われにくい。

通りやすい移動と通りにくい移動

サラタメは、このマーケ転職のセオリーを知る人は少ないとして、6つのボックスの間の移動パターンを詳しく説明した。要点は「支援会社の上移動がおすすめ」ということである。

通りにくいパターンは2つある。1つは、支援会社から事業会社への斜め上の移動だ。希望者は多いが、サラタメはほぼゼロに近いほど難しいと言う。典型例は、中堅支援会社で経験を積んで大手事業会社に行こうとするケースである。募集枠が少ないうえ、月間予算1000万〜1億円の会社と1億円以上の会社ではマーケ手法が微妙に異なるので、即戦力として見てもらいにくい。もう1つは、事業会社から事業会社への上移動だ。小規模と大手ではマーケ手法がまったく違うので、同じ職種でも即戦力になりにくい。

通りやすいパターンは3つある。1つ目は支援会社の上移動で、小規模支援会社からダメ元で挑戦したら最大手クラスの内定が取れた、という例もあるという。手法は違っても、人手を求める大手支援会社にとっては、別業界から採るよりマーケ経験者を採りたいからだ。2つ目は、事業会社から支援会社への斜め上の移動だ。小規模事業会社から上位の事業会社を受けて落ち続けた人が、中堅支援会社を受けてみたら意外と内定が取れた、というケースがある。3つ目は、支援会社から事業会社への横移動で、たとえば大手支援会社から大手事業会社への転職である。楽勝ではないが、準備すれば可能だとサラタメは言う。サラタメ自身、ナショナルクライアントと呼ばれる大手事業会社にいた時期に、大手支援会社から転職してきた人を見たという。

これらを組み合わせたのが「2段階右折」のルートである。中堅支援会社から大手事業会社を直接狙うのではなく、まず大手支援会社へ上移動し、そこから大手事業会社へ横移動する。いつか大手事業会社に行きたいと漠然と思っているマーケターは多いので、まず支援会社の上位に上がっておけば後から選べるようになる。サラタメは、これを伝えたくて6つのボックスの話をしたと述べている。

理由2:AIに代替できない「根回し力」

2つ目の理由として、サラタメは会社の規模ごとに扱うマーケティング手法を整理した。小規模は獲得型のWeb広告が中心になる。中堅になると認知拡大やブランディングも手がける。大手ではマーケ支援会社が事業戦略、DX、システム領域まで担い、アクセンチュアのようなコンサル企業と競合する領域に入り込んでいるという。こうして仕事の幅を広げることで、AIに代替されにくい仕事に就けるとする。

大手や中堅には、テレビCMと交通広告を組み合わせる、話題のWeb動画と販促キャンペーンを組み合わせる、といったマーケターとしてのロマンもある。ただしサラタメが重視するのはそこではない。人間らしい泥臭い「根回し力」が身につく点だという。

認知拡大、ブランディング、事業戦略、DXといった仕事は、関わる人数が膨大に増える。誰にどの順番で根回しするか、誰とは対面で話しておくべきか、誰にはメールや事後報告で済むか。こうした判断が必要になる。扱う内容も抽象的になる。獲得型のWeb広告は効果測定がしやすいが、ブランディングでは、ときに合理性から離れた、一見なぜやるのか分からないクリエイティブが必要になる。それを偉い立場の人に説明し、「これ効果検証できるの」と言われながらも説得する。短期的な効果検証が難しい中で関係者と合意を形成する。サラタメは、こうした仕事はAIには絶対にできないと主張する。大変ではあるが、この経験が30〜40代で選ぶ側になるための力になるという。

理由3:待遇の差は35歳以降に開く

3つ目の理由は待遇で、サラタメは簡潔に扱った。画面では35歳時点の年収レンジのイメージが示された。35歳を基準にした理由は、20代や30代前半では会社規模による年収差はあまりつかず、35歳以降に差が出てくるからだという。サラタメのまとめでは、中堅から大手の一定規模の支援会社に入っておけば、基本的に40代で年収1000万円に届く。小規模では難しい。

ワークライフバランスについては、上司ガチャやクライアントガチャはどの会社にもあると認めている。そのうえで、小規模支援会社は無法地帯になりがちで、コンプライアンスや評判より目先の売上が優先されやすいという。大手は残業時間、リモートワーク、福利厚生といった制度が整っている。特に上場企業の若手社員は、コンプライアンス上の問題にならないようかなり配慮されるようになってきた、とサラタメは見ている。

「大手ならどこでもいい」わけではない

最後にサラタメは要点をまとめた。より大手に行くべきなのは、30〜40代になったときに自分らしい働き方を選ぶ側になるためである。具体的な理由は、超大手でも内定が取りやすくなっていること、AIに代替できない力が身につくこと、待遇が良くなりがちなことの3つ。現実的な狙い目は、大手支援会社と中堅支援会社である。

ただしサラタメは、結局は会社によると留保をつけた。大手の中にも積極採用している会社もあれば採用に慎重な会社もあり、働きやすい会社もあれば過酷な会社もある。「大手ならどこでもいい」とは言えないのが難しいところだという。どの企業が今狙い目なのかという具体名は、YouTubeで公開された部分では明かされず、LINE限定の後半に回されている。