岸谷蘭丸の一日に密着:タレント業と海外受験塾の経営、その合間にある本音

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概要

ボッコーニ大学に在籍する岸谷蘭丸に、トマホークのチャンネルが1日密着した。起床直後の事務所から、スーツの撮影案件、自社の無料カウンセリング、留学イベントへの出展と登壇、打ち上げまでを追っている。動画の中心にあるのは、急にタレントとして扱われるようになった本人がその立場とのずれをどう感じているか、そして以前トマホークの動画に出たことが今の教育事業にどうつながったかという話である。

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ミーティングのために起きる生活

撮影班が到着したのは11時45分ごろで、岸谷はその直前に起きたところだった。本人によれば、毎日起きてすぐにミーティングがあり、「ミーティングのために起きる」生活をしている。取材の5分後には別の撮影の人も来る予定で、コンタクトを入れ、歯を磨き、風呂に入るまでを慌ただしくこなしていく。

拠点は会社の事務所だが、講師を含む男性3〜4人が共同生活に近い形で過ごしており、本人は「ほぼ住んでいると言っても過言ではない」と話す。撮影中も講師たちは部屋で授業をしていた。このマンションを選んだ一番の理由は、一緒に会社をやっている仲間の実家が上の階にあることで、事務所としてはもっと狭い部屋を別に借りたという。立地には満足しているものの、とにかく狭いので引っ越したいとも言っていた。

身支度の合間には、加熱式たばこはIQOSではなくプルーム派だと強調したり、いつ注文したか覚えていないユニクロとアンダーカバーのコラボのニット帽が届いたりした。帽子が絶望的に似合わないと言いながら、撮影側に似合うと言われて「今年の冬はこれでいく」と決めていた。

スーツ案件と、「持ち上げられすぎ」という感覚

上の階では、スーツを仕立てる方のチャンネルとの案件で作ったスーツが届いた回の撮影が行われた。「ランマル」と名前が入った一着で、価格は17万円ほどだったという。

移動の合間に、聞き手は初めて会ったころの岸谷を振り返った。当時はTikTokにいる「ちょっと変な人」というアングラな時期で、岸谷はトマホークの動画に取り上げられたことが自分たちの人生の転機だったと話す。久しぶりに会うと「とんでもない人」になっていると言われると、岸谷は「今は持ち上げられすぎていてしんどい」と答えた。

岸谷が気にしているのは、求められる役割と自分の実際とのずれである。若者代表、Z世代代表のような役割を求められるが、日本で高校生活を送っていないので、普通のZ世代とはずれていると本人は考えている。例として、日本の高校生として番組に出たいと思っている子たちのほうが、いわゆるZ世代らしいのではないかと挙げていた。そのずれが視聴者にもストレスを与えている気がするし、自分もうまくいっていないと感じているという。最近は、普通のことを言っても仕方がない、求められていないと思ってエッジの立った発言をしようとし、変な方向に行ってしまうこともあったと明かした。

普段の自分はかなり素のままで、メディアに出るときの「タレントの岸谷蘭丸」とは少し違う。急にタレントのようになった自分にまだ追いつけていない感覚がある、というのが本人の説明だった。「病んでいるわけではない」と断ったうえで、限界が来そうだとも漏らしている。

特につらいのは、叩かれるときに親の名前を出されることだという。「親は育て方を間違えた」「両親は立派なのに子育ては苦手だった」といったコメントに対し、親を叩くのは性格が悪いと言いながらも、自分から親の名前を出してしまったので仕方ない面もあると受け止めていた。初めてトマホークの動画に出たときは親の名前を出していなかった点が、今とは決定的に違うという。

トマホークの動画から教育事業が生まれた経緯

岸谷は現在、ボッコーニ大学の3年を終えて休学中である。在学1年目にトマホークの動画に出たことが、今の事業に進む転機になったと本人は語る。

その動画で岸谷は、英語塾のリバティイングリッシュアカデミーについて話した。それをきっかけにリバティには生徒の問い合わせだけでなく、採用への応募も来たという。お礼を言われて久しぶりにリバティの人と食事に行き、そこで「自分たちはこっち(教育)かもしれない」と考えるようになった。

それ以前は、会社の1年目なのにやることもないまま事務所を借りてしまい、赤字を補うためにグッズを作って売ったり、オフ会を開いてチェキを売ったりしていた。岸谷はこの時期を「ガチの下積み」と呼ぶ。その後リバティで特別講座や新しい講義を作るようになり、今の事業につながった。

事業の中身と料金設計

現在の会社は、海外の高校、大学、大学院の受験対策を扱っている。志望理由書やポートフォリオ、実績づくりの支援も行うが、中心はTOEFLとIELTSの対策だという。

岸谷によれば、自分たち自身が受験生だったときに詐欺のような対策業者に引っかかった経験があり、英語塾には「前払い100万円、1年契約」のような形態があるという。これに対して自分たちは、受けた回数の分だけ支払う従量課金にしていて、目標点が取れればそこで終わりにできる。こうした塾が意外と少ないのは、普通の塾ではその形態で経営を続けるのが難しいからで、自分たちにそれができるのは、岸谷自身の発信によって広告費がゼロだからだと説明する。安く合理的な料金を実現できている最大の強みはそこにある、というのが本人の見立てだ。

無料カウンセリングの様子

午後は、入会希望者が全員受ける初回の無料カウンセリングを岸谷が担当した。相手に何をやるべきかを伝え、場合によっては「うちには向いていない」と言うこともあるという。件数は最近かなり多く、月に150件ほどをこなしているが、この日は3件と少なめだった。1件はだいたい20分程度だという。

事務所では授業、ミーティング、カウンセリングが同時に行われることもあるため、コールセンター向けの高性能マイクを使っている。周りの声をまったく拾わず、ライブ会場でも問題ないほどだと岸谷は話していた。

カウンセリングで岸谷が説明した流れは次のとおりである。まず初回ガイダンス1回と授業4回、計5回で4万4000円のスターターパックを受ける。その後は1回ごとの通常授業になり、いつやめてもよく、点数が取れればその場でやめてかまわない。授業はすべてマンツーマンで1回90分。岸谷は、伸びずにやめた生徒はほぼおらず、98%ほどは点数が伸びていると説明したうえで、伸びる速度は才能にもやる気にもよると付け加えた。

散らかったキッチンとサプリメント

カウンセリングの合間に映ったのは、事務所の生活の雑な部分だった。放置されて発酵したのかパンパンに膨らんだパイナップルがあり、バナナや焼き芋も買っては食べずに放置し、誰かが後始末をすることが多いという。昼食はタッパーのご飯だった。

2週間ほど鼻水が止まらないという岸谷は、しんどくなると薬を大量に飲む癖があると自嘲する。キッチンには紫外線対策をうたうものや納豆由来のもの、カリウムなど多くのサプリメントが雑然と置かれていた。健康診断のような検査で鉄分が基準の20倍という数値が出たこともあり、同席者はサプリの飲みすぎを疑っていた。本人は検査のバグだったとしつつ、昔病気でステロイドを飲んでいたので、どんな異常が起きてもあり得るかもしれないという怖さがあると話した。

留学イベントへの出展

夕方は新宿へ移動し、QSの留学イベントに大学院受験の事業者として出展した。設営開始時間には遅れたが、会場には開始4分前に着いた。GRE対策やエージェントなど競合業者も来ていて、岸谷は「絶対倒す」と冗談めかしつつ仲良くやりたいと話した。来場者の多くは出展大学の話を聞きに来る人と講演目当ての人で、岸谷はこの日の最後の講演枠に登壇する予定だった。

ブースの準備はメンバーが担当し、岸谷自身は「顔」として各所に挨拶して回る役だと説明する。出展の注文なども仲間がやってくれていて、彼らがいないとやっていけないと感謝を口にしていた。会場では自分の在籍するボッコーニ大学のブースも見つけて挨拶している。

出展はQSのイベントでは2回目で、ほかに国際教育フェアに東京と大阪で出たこともあるという。力を入れる理由として、実績になること、他社や大学とのネットワーキングができること、情報のキャッチアップ、そしてもちろん生徒獲得を挙げた。

ブースで身長を話題にされると、ネット上で「162cmなのはお察し」と書かれたと明かした。病気で障害者手帳を持っていた時期があり、その薬の副作用で身長が伸びなかったと本人は説明する。父親は背が高く、自分も小学6年生の時点で今の身長があって、体格も話術も目立つ「黄金時代」を経験したが、中学で止まったという。

来場者への説明では、TOEFLやIELTSのライティングは「何をやるべきかではなく、何をやってはいけないか」の問題だと話していた。やってはいけないことは明確にあり、やるべきことにも型がある。回答の順番や答え方のフォーマットを完全に頭に入れ、本番では英語だけに集中できる環境をつくり、あとは反復練習する、という説明だった。英語で話しかけてきた来場者には、授業は日本語で行うことや、志望動機書などの準備も支援していることを英語で伝えていた。

「大人になってからの英語勉強法」の講演

登壇前に見せてもらったスライドは、1枚に一言しか書かれておらず、話すことが前提の作りだった。タイトルは「大人になってからの英語勉強法、その最適解」。

講演で岸谷はまず、「勉強し続ければいつか報われる」「やればできる」という考えを間違いだと否定した。何年やっても壁を越えられない人をよく見るといい、続けることではなく正しいやり方で努力することが重要だと述べる。さらに、自分の努力を正しく評価するシステムやプロセスを自分でつくることが大事だとした。

結論として岸谷が示したのは、テストスコアを物差しにして、それに向けて最適化するという方法である。大人が英語を勉強するうえで一番よくないのは、伸びているのか伸びていないのか分からない状態だから、必ずテストを受けてほしいと訴えた。その軸になる試験としてTOEFLとIELTSを挙げている。

講演後、岸谷は「立って話すのは疲れた」と漏らした。聞き手は、知らない情報ばかりで初心者にも分かりやすかったと感想を伝えた。岸谷は、最近「お前は何者でもない」と言われることも多いので、七光りと言われないためにも意味のあることを頑張りたいと話した。

打ち上げと結び

撤収後は「ダイエットは明日から」と言って打ち上げになった。その前の場面で岸谷は、最近太ったと言われる原因はお酒に尽きると認め、週5〜6日、最近は7日飲んでいるかもしれないと話していた。必ず痩せて、その様子を自分のYouTubeでも出すと宣言している。

締めくくりに岸谷は、トマホークのように早い段階から取り上げてくれた人たちのおかげで、今日のようなイベントに出られ、事業の宣伝もでき、今の価格帯も実現できていると改めて感謝を述べた。タレントとして求められる役割と素の自分とのずれ、親の名前とともに叩かれることへのしんどさを抱えながら、発信力を広告費ゼロの教育事業に生かしている。その両面が見えたところで、1日の密着は終わった。