自己分析は「今の不満」から30分で終わらせる:サラタメが説く、求人と接続する転職の自己分析

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概要

転職チャンネルを運営するサラタメは、この動画で自己分析の進め方を解説している。問いは、転職活動の第一歩として避けられない自己分析を、どうすれば手間をかけずに内定につなげられるかである。サラタメの立場ははっきりしていて、本やYouTubeで広まっている自己分析は時間をかけすぎ、幼少期の振り返りや10年後の理想、「自分の本質」や「価値観」探しに寄り道しすぎているという。動画は前半で「9割が陥る落とし穴」を5つ挙げ、後半で自身が組み立てた6ステップの手順を示す。この1か月ほど自己分析のことばかり考えて作った方法だと、サラタメは説明している。

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自己分析には2つの段階がある

最初の落とし穴に入る前に、サラタメは前提を置く。転職の自己分析には2つの段階がある。1つ目は、志望企業を選ぶ前の走り出しの段階で行う「自己分析その1」。2つ目は、選考に入ってから応募書類や面接のために行う「自己分析その2」である。その2では転職理由、志望理由、自己PRを用意するので、時間をかける必要がある。一方、その1はざっくりとスピード重視で進めればよい、というのがサラタメの主張だ。

サラタメによれば、多くの人はこの区別がないまま、転職活動の最初に2つの段階を同時に終わらせようとする。その結果、時間がかかり、迷走する。以下の落とし穴の多くは、この混同から生じるという。

落とし穴1:たっぷり時間をかけて気持ちよくなる

1つ目の落とし穴は、時間をかけて「やった感」を得ても、何も進んでいない状態だ。例として、「価値観がわかる30の質問」「才能が見つかる30の質問」といった100個の質問に全部答えようとするやり方が挙げられる。サラタメはこれを、転職活動では役に立たないと言い切る。

ただし、全否定ではない。生き方を根本から見直したい人、直近1年で転職の必要を感じておらず時間に余裕がある人、会社員以外の起業も選択肢に入れている人、就活生には意味があるかもしれないと認めている。就活生については、時間があるうえ、学生から社会人への大きな転機であり、社会人経験や知識がない中で会社を選ぶので、抽象的な質問に答えてもよいとしている。

一方、これから内定を取りにいく転職者にとって、自己分析は「スピード命」だとサラタメは言う。理由は2つある。1つは、転職者のほとんどが仕事で忙しく、婚活・結婚・子育てといったライフイベントとも重なりやすいこと。もう1つは「残酷な真実」として挙げる、転職市場では若いほうが有利で選択肢も多いという点だ。自己分析をやらなければと迷っている時間がもったいないので、その1は30分で終わらせてほしい、という話につながる。

落とし穴2:幼少期から振り返る

2つ目は、最近増えたという、幼少期から振り返って自分の本質を探る自己分析である。サラタメは、転職活動では逆効果だと考えている。

理由の1つは、時間がかかるわりに、面接で幼少期のことを聞かれるはずがないこと。もう1つの致命的な問題として、サラタメは不要なネガティブ感情を拾ってしまう点を挙げる。たとえば「家族とうまくいっていなかったせいで踏み出せない」といった「できない言い訳」をしたり、感傷に浸ったりしがちになる。その結果、自分には変えられない本質や固定された土台がある、と思い込んでしまう。

具体例として、「小学生のころからコミュニケーションが苦手で陰キャだったから、営業は自分に合わない」という解釈が挙げられる。サラタメはこれに反論する。20代・30代のうちは性格もできることも大きく変わる。昔は陰キャだったというトップ営業マンはいくらでもいて、むしろそういう人だからこそコミュニケーションが丁寧でトップになっている場合もある、という見方だ。

落とし穴3:10年後の理想を考える

3つ目の「10年後の理想を考える」については、サラタメ自身が過去に推奨していたと認めている。自分の転職活動でもやっていたし、動画でも勧めていた。しかし5年以上チャンネルを運営し、取材や転職相談を重ねるうちに、遠い未来を思い描いてかえってこじらせる人が多いと考えるようになったという。

理由は、10年後が遠すぎてぼやけることにある。サラタメはこれを2つの意味で説明する。1つは社会情勢が読めないこと。AIも入ってきて変化が速すぎる。10年前にはTikTokもPayPayもなく、コロナも経験していなかった。その時点から今の世界を想像するのは難しかったはずで、読めない未来をキャリアプランに使うのは筋が良くない、という例えだ。もう1つは、10年後の自分を自分ごととして解像度高く想像できる人はほとんどいないこと。サラタメは自分もできないと言い、「特殊能力」だと表現している。

無理に考えると、どこかで聞いた誰かの理想をなぞることになる。サラタメによれば、「時間や人間関係に縛られない自由な働き方」に99%がたどり着くが、そこには本心もリアリティもない。縛られない働き方ならではの過酷さもあるはずなのに、そこは考えられていないという。

では何を考えればよいのか。サラタメの答えは、現状の不満だけでよい、というものだ。今の職場や仕事で改善したい不満・不安は何か。年収が低すぎる、残業が多すぎる、仕事がルーティン化している、地元の大阪に帰りたい、といった今実感している点である。ここから考えるのがいちばん速く、嘘がない、とサラタメは言う。

落とし穴4:仕事(求人情報)と接続しないで満足する

4つ目は、「私はこういう人間だ」という結論で満足してしまうことだ。サラタメは、転職の自己分析は自分を知ることと、求人情報・仕事と接続することがセットだと強調する。「だからこの会社、こういう求人とマッチする可能性が高い。ここを受けて内定を取る準備をしよう」というところまで進まなければ、自分探しに終わりはなく哲学の世界になってしまう、という。

ここでサラタメは、転職活動の原理原則として、自己分析の重要度はそれほど高くないと述べる。業界研究や企業研究のほうがよほど大事だという。理由は、年齢、職歴、学歴、転職回数といったスペック情報で、転職先の8割が決まってしまうからだ。

具体例は2人。1人目は、27歳、大手企業で新規開拓を含む法人営業、立教大学卒、転職回数0回の人。サラタメの見立てでは、SaaS業界への転職ならよほど妙な動きをしない限り99%成功し、コンサル業界でもおそらく80%程度は成功する。法人営業ではなく営業企画の経験なら、さらに上がるという。2人目は、34歳、中小企業で既存顧客中心のルートセールス、地方の無名私立大学卒、転職回数2回の人。この経歴を見るだけで、SaaS転職は90%無理、コンサル転職はほぼ100%無理だろうと分かってしまう、とサラタメは言う。仕事内容を深掘りすれば変わるのでは、という反論も想定したうえで、転職市場はスペック情報でおおむね決まるというのが、自身の転職から10年近く市場を見てきたサラタメの認識である。

会社員の転職は「限られた選択肢から最良の銘柄を選ぶゲーム」

ここからサラタメは、転職活動を「答えが限られるゲーム」と位置づける。起業なら本当の価値観に気づいて無限の選択肢から選べばよいが、会社員の転職は、自分のスペックで選べる範囲の中から最良の銘柄を選ぶゲームだという。

サラタメは、これを会社員が不利だという話ではないと断っている。会社員は起業のリスクや借金を負わなくてよい。さらに、決算情報などを見て「この会社はこの先10年儲かる」と思えば、うまくいっている会社に後から乗れる。経営者は他社の成功を見て「株をくれ、経営者をやる」とはできない。この大きなメリットを受ける代わりに、選択肢が限られている、という整理である。

自分を熟知してもスペックは変わらない。だから大事なのは、自分のスペックで選べるカードをすべて知ることであり、そのため自己分析より業界研究・企業研究が大事になる、というのがこの節の結論だ。

落とし穴5:自己分析を本当に自分だけでやる

5つ目は、自己分析を他者を入れずに一人でやることだ。サラタメは、最低限の自己分析が済んだらすぐに他者と壁打ちすべきだとし、一人で抱え込むと失敗するパターンを3つ挙げる。

1つ目は、自分の強みが分からないケース。「営業に向いていない。同僚の2倍、毎日150件ほど新規開拓の電話をしているのに成績はほぼ同じ」という人がいる。成績は出ていなくても、同僚の2倍電話できること自体が強みで、そういう人を強く求める会社もある、とサラタメは言う。2つ目は、外的要因を切り分けられないケース。「営業が最悪で自分に向いていない」と言う人でも、他者が話を引き出すと、合っていないのは営業という職種ではなく、その会社の仕組みや商品、上司かもしれない。3つ目は、前節で述べた求人情報との接続が自分ひとりではできないことである。

壁打ち相手の比較:身内、AI、キャリアコーチング、転職エージェント

では誰と壁打ちすればよいのか。サラタメは、2〜3年後にはAIになると予想する。状況を伝えれば「この業界のこういう企業がよい」と教えてくれるようになるだろうという見立てだ。ただ、自分でいろいろなプロンプトを試した現時点では、まだ厳しいと判断している。

候補ごとの評価は次のとおりだ。配偶者や親、職場の同僚といった身内は、相手の幸せを願うからこそ「安定してほしい」「転職してほしくない」というバイアスがかかる。しかも求人情報を持っていないので、あまり参考にならない。

AIは悪くないが「60点」だという。AIが持っているのはWeb上の情報で、転職で本当に必要なのはWebに出ていない「裏情報」だからだ。例として、求人票には書かれていないが実はGMARCH以上しか採らない、20代は転職1回まで、「逆算思考できる人」としか書いていないが量で勝負するがむしゃら型は面接で落としている、といった情報が挙げられる。こうした情報は採用担当者か優秀な転職エージェントしか持っていない、とサラタメは言う。

有料のキャリアコーチング(3か月で50万〜80万円程度のもの)については、サービスの改善や新しいサービスの登場はありうるとしつつ、現状では良いとは思えないという立場だ。悪だとは思わないが、構造的に難しすぎて悪に傾きやすい、というのがサラタメの見方である。サラタメ自身もLINEで「コーチング事業をやってほしい」と頼まれるが、設計が難しいのでやらないという。個人にとっては高額だが、人件費がかかるので運営会社にとっては高くない。そのため優秀なコーチを雇えない。内定を約束する価値提供は難しいので、時間をかけた自己分析で満足させる方向に流れる。自己分析には内定のような定量的な成果がないので、マニュアル化しやすく、知識のない人でも「あなたの才能は別のところにあるかも」と寄り添えば成立してしまう。サラタメがリサーチした範囲では、こうして自身の考えとは真逆の、長く自己分析をするだけのサービスになりがちだという。エージェントにまったく相手にされず、しかも費用を払っても生活が傾かない人なら特例としてありうるが、ファーストチョイスではないとしている。

消去法で残るのが転職エージェントである。サラタメはエージェントを「求人情報の接続屋さん」と表現し、転職希望者が自分ではできない接続をやってくれる点が最大の理由だと言う。10年ほど前に自分が転職したころは無法地帯だったが、今は3万社あり、2010年ごろの2倍ほどに増えて弱肉強食で淘汰が進み、使いやすくなったというのがサラタメの認識だ。ここまで転職エージェント文化が進んだ国はほかにないはずだ、とも述べている。ただしピンキリである点は変わらないので、見抜き方と使いこなし方が重要になる。

ステップ1:「改善点の整理シート」を30分で埋める

後半の6ステップの流れは、ざっくりした自己分析その1を30分で終える、すぐに3社のエージェントと壁打ちする、志望企業群を固める、強いエージェント1社に絞る、裏情報を聞き出す、その情報に合わせて自己分析その2を行う、というものだ。サラタメはこのうちステップ1が最も重要だとして、いちばん時間をかけて解説している。

ステップ1の中心は、「今ある不満は何か」を整理するシートである。サラタメが込めたポイントは3つある。

1つ目は、項目を年収、勤務地、ワークライフバランス、仕事内容の4つに集約したこと。人間関係、社風、会社の将来性を改善したいという意見もあるだろう。しかしサラタメは、それらはコントロールしにくく、4項目を改善すれば自然とついてくるものだと考えている。できるだけ少ない項目で要望を整理できるよう厳選した結果が、この4つだという。

2つ目は、ビフォーとアフターの両方を具体的にすること。現状を把握できていない人は多いとサラタメは言う。「友達より貯金が少ないから年収が低い気がする」という人が、よく見ると単に使いすぎていた、ということもある。まずはボーナス込みの年収と、それが相場と合っているかを正確につかむ。そのうえで、転職後に年収をいくら上げたいのか、なぜなのか。ワークライフバランスなら残業なのか休日なのか在宅勤務なのか、残業なら今何時間でどれだけ減らしたいのか。やりがいなら、職種を変えたいのか、営業のまま個人向けから法人向けに移りたいのか、個人営業のまま提案要素を増やしたいのか。ここまで具体化する。

3つ目は、優先順位を強制的に1〜4位でつけることだ。同率は認めず、1位を守るためなら何を捨てられるかまで整理する。項目を7個、8個と増やすと優先順位が急に雑になるが、4つならシビアに比べられる、というのが4項目に絞ったもう1つの理由だという。

補足も3点ある。まず、最初は夢見がちな表でかまわない。高望みかどうかは転職市場が決めることで、自分では判断できない。市場価値が高ければ理想どおり転職できることもあるし、低ければエージェントとの面談のたびにバージョン2、3と修正していけばよい。次に、この表は「転職の軸」になる。ただし面接で答える建前の軸ではなく、志望業界や企業を選ぶための本音の「裏の軸」だという。最後に、この表から出発する理想なら考えてもよく、むしろ良いという。今感じている確かな不満・不安が解消された3年後、5年後の姿は、借り物の10年後の理想とは違い、現実的な理想になる。業界選びや面接でも使える、とサラタメは述べている。

「Will/Canの両面が必要」という反論への答え

サラタメは、想定される反論にも答えている。自己分析に詳しい人ほど、会社に求めるもの(Will)だけでなく、自分が提供できるもの(Can)、つまり業務経験も整理すべきだと言うだろう。サラタメはそれを正論と認めたうえで、それでもこのシートだけでよいとする。

理由は、Canにあたる情報は、エージェントとの面談なら10分で伝えられる程度のものだからだ。走り出しの段階で必要な基礎情報は、年齢、学歴、所属企業、転職回数、直近の業務内容くらいで、業務内容は「誰に・何を・どうする仕事か」に答えられれば足りる。アパレルの副店長や人材業界の営業なら4行程度で、それだけあればエージェントと十分やり取りできる。そのためにパソコンに向かって入念に棚卸しする必要はなく、面談で聞かれたら答えればよい、というのがサラタメの考えだ。ただ、きちんと整理したい人向けに、4行程度の簡易版、転職や異動が多い人向けの時系列版、工夫まで書き出す超詳細版も用意している。超詳細版は最初の面談では不要だとも述べている。

ステップ2:3社の転職エージェントと壁打ちする

エージェント選びについて、サラタメはテレビCMを打つ大手より、中小規模の業界特化型・職種特化型を勧める。大規模に集客するエージェントは、よく言えば効率化されているが、面接対策が手厚くない傾向がある。総合型は業界知識が薄くなりがちだという。サラタメは、SaaS、コンサル、人材紹介、M&Aの業界特化型と、営業職、マーケター、ITエンジニア、メーカー技術職の職種特化型については推薦先を特定しているとする。一方、ブルーカラーとバックオフィスはリサーチしきれていないと認めている。

志望業界がまったく決まっていない人には、まず大手、中でもリクルートエージェントを挙げる。求人数が圧倒的に多く、AIに力を入れていて、情報を入れるとおすすめ企業を出してくれるので、大枠の目星をつけるのにちょうどよいという。ただし担当者はピンキリで、新人らしき頼りない人も多い印象があり、1人で月40人ほど担当しているだろうとサラタメは推測する。そのため対応が事務的になりがちで、壁打ちには向くが、実際の応募では注意が必要だとしている。

注意点は2つ。1つは複数社で比べることだ。エージェント選びは家選びほど重要なので、最低2社、できれば大手を含め3社、時間があれば4社、いい担当者に出会えなければ「ガチャ気分」で6社ほど会ってもよい。ただし6社すべてで微妙な対応をされたら、自分側の問題を疑うべきだとサラタメは言う。態度が悪すぎて敬遠されていないか、「仕事ができないのに年収2000万円欲しい」のように、表の要求とスペックがかけ離れていないか、という点だ。

もう1つは、すぐに応募しないこと。スローガンは「面談は気軽に、応募は超慎重に」で、最低2人、できれば3人との面談が終わるまで応募しない。理由としてサラタメが挙げるのが「オーナーシップ」である。A社経由で応募するとオーナーシップがA社に移り、ほかのエージェントや転職サイトに切り替えにくくなる。別経由で内定しても報酬はA社に入る、といった事情があるという。だから良くないエージェントほど、初回面談から大量に応募させたがる。希望していないのに応募を急かすエージェントは切ったほうがよい、とサラタメは言う。逆に、ここさえ気をつければ無料の壁打ち相手として自由に使えばよい、としている。

ステップ3:志望企業群を3〜5社固め、実現が難しければ「刻む」

壁打ちの中で修正したシートのビフォーアフターを実現できる会社を、3〜5社の「群」として選ぶ。サラタメはこれをシンプルな作業だとしている。

エージェントに「この通りは厳しい」と言われたら、どこがどう厳しいのかをできるだけ数字で確認する。たとえば年収100万円アップが無理なら、50万円ならいけるのか、20万円ならどうか、と聞く。許容範囲なら表を調整して続ければよい。根本から無理だと言われた場合、サラタメは、今の会社で市場価値以上の待遇を得ている可能性もあるので、転職しないという判断も十分ありうるとする。複数のエージェントと話したからこそ「今の会社も意外と悪くなかった」と分かる、ということだ。

それでも抜け出したいなら、ステップを「刻む」ことになる。よくあるのは、年収もワークライフバランスも改善したいという表だ。これは相当の即戦力スキルがないと難しい。そこで今回はワークライフバランスを維持し、仕事内容の高度化と年収アップを軸に転職する。その業界で引く手あまたの人材になってから、次の転職でワークライフバランスを取りにいく。根本から無理だと言われたら、「どう刻めばこの表を実現できるか」とエージェントに聞くのがよい質問だとサラタメは言う。

ステップ4:「悪魔の質問」で強いエージェント1社に絞る

選考段階になったら1社に絞る。壁打ちの段階では、A社の意見をB社、C社で確かめるように多様な意見が欲しい。しかし選考では、複数社を使うと日程調整をエージェント同士でやってくれず、面接日程がぐちゃぐちゃになる。相当特殊な事情がない限り絞るべきだ、とサラタメは言う。

絞るときは「優しい人」ではなく「強い人」を選ぶ。視聴者は20代〜30代前半が多く、ポテンシャルより少し上の企業に背伸びして転職するほうがキャリア的に得なので、支援力と優良企業との関係性の両方が強いエージェントが必要になる。サラタメによれば、模擬面接のたびに丁寧に対策するところもあれば、まったくしないところもある。関係性が強ければ「書類は微妙だが、このエージェントの推薦なら会ってみよう」ということも起きる。

志望企業が決まっている場合に聞くのは、決定実績、面接の設問、他エージェントとの違いの3つだ。最も強いのは「直近1年で〇〇社の決定実績はありますか」という質問である。決定実績とは内定後に入社まで決まった実績のことで、報酬に関わり、厚生労働省への提出も必要なので、記録していないことはありえない。内定実績は正確に数えていない会社もあり、はぐらかされる場合がある。SmartHRを例にとれば、「ある」と答えてもらえれば安心で、会社としてではなく担当者本人の支援実績ならさらに心強い。逆に要注意なのは「紹介できます」と言うエージェントだ。設立1〜2年の新興エージェントが有名企業の名前を出してこう言うことが多いが、紹介は人材紹介の契約を結ぶだけでできるので、良いエージェントの証明にはならない、とサラタメは説明する。

面接の設問では、どんな質問が出るか、不通過になる人にどんな共通点があるかを聞く。「面接官によります」と逃げられたら、「面接官のタイプごとに全部教えてください」と重ねて聞く。他エージェントとの違いでは、「その企業に入りたいなら御社を使うべき理由は何か」と聞く。企業から表彰されている、面接からの決定率が全国上位、決定数がトップクラス、といった具体的な答えが理想だ。ただし、実績があっても具体的に答えられない良いエージェントもあるので、判断の基本は決定実績と面接の設問の2つだという。

志望企業が決まっていない場合は、得意領域と面接対策の2つを聞く。得意領域では具体性を見る。「若手支援に強い」では不十分、「無形商材の法人営業への転職に強い」でまあまあ。良い例として挙げられるのは、会社としてSaaSを中心としたIT系・人材系に強く、担当者個人としては人材系企業への決定実績が多く、有形商材の営業経験者を人材系の法人営業へ支援するのが得意、と実名企業を交えて話せるレベルだ。そのうえで、その得意領域が自分の志望企業群と合っているかを確かめる。

面接対策は、何回やってくれるか、平均は何回か、どんな特徴があるかを聞く。サラタメの目安では、3〜4回なら信頼でき、5回以上なら相当手厚い。回数は期待されると大変なので、エージェントは少なめに言いがちだという。大手はおおむね1〜2回で、Web面談ではなく電話のみのこともある。大量の転職希望者をさばく必要があるので手厚さは求めず、求人量とAIに期待すべきだとしている。特化型の中小は、認知度で勝てない分を手厚さで差別化しようとするので3〜4回、特に手厚いところは5回、なかには10回以上というところもあるという。専用の資料や利用者限定のWebサイトを画面共有で見せてくれるエージェントは、型ができている可能性が高いとも述べている。

ステップ5:志望企業の裏情報を聞き出す

1社に絞ったら、そのエージェントから求人票に載っていない裏情報を引き出す。裏情報があるかないかで、自己分析その2の効率も、面接内容の刺さり方も変わる、とサラタメは言う。

聞くべきものは3つある。1つ目は裏の条件で、年齢、職歴、学歴、転職回数のリアルな基準だ。これを知らないと、該当しないのに応募する「無駄打ち」が増える。2つ目は裏の求める人物像。求人票の「逆算思考ができる人」は、裏では「量で勝負するがむしゃらな営業のエピソードばかり話す人は不要」という意味だったりする。逆に、社内のトップ営業マンをゴールとして徹底的に真似したというエピソードは通りやすい、といった情報がこれにあたる。3つ目は裏の業務内容で、求人票に書かれた魅力ではなく、生々しい難しさだ。例として、サービスは人気でハイレベルだがカスタマイズ性が低いので、顧客の言いなりになる御用聞き型の営業は合わず、「これが答えです」と強く導ける営業でなければ務まらない、というケースが挙げられている。業務内容の裏情報から、求める人物像も導かれるという。

ステップ6:裏情報を目がけて「自己分析その2」を行う

最後に、裏情報を目がけて自己分析その2を行う。トップ営業マンを真似したエピソードが好まれると分かれば、そういう経験が自分にないかを探す。強く導く営業が必要だと分かれば、その観点で経験を棚卸しする。

サラタメは、ここまで「楽でいい」と言ってきたが、転職理由、志望理由、自己PRを作るこの段階の自己分析は、さすがに一定の大変さがあると認める。ただ、志望企業と裏情報が決まっていれば、それに合うエピソード・経験・スキルを探すだけになるので、ずっと楽になる。逆に、志望企業も決まらないうちから「自己PRに使える経験はあるか」「志望動機に使えるエピソードは」と考え始めると、ゴールが分からないので終わりがない。そうして準備しているうちに若さを失い、選択肢が狭まっていった人をいくらでも見てきた、とサラタメは語る。

この流れに沿えば、時間は半分で80点の自己分析ができ、内定を取れる水準に仕上がる、というのがサラタメの見立てだ。100点を目指すなら、自己分析をこね回すより、面接で重要な志望動機、転職理由、自己PRそれぞれの攻略法を学ぶべきだとし、自身の各ガイド動画を案内している。

補足:キャリアが乱れてしまった人はどうするか

動画の終盤で、サラタメは想定されるもう1つの指摘に触れる。「自分の経歴ではエージェントがなかなか相手にしてくれない」という声だ。38歳で即戦力スキルがない人などは、たしかにエージェントに相手にされにくい。サラタメはこれを正直にピンチだと認める。エージェントが3万社に増えて住み分けが進み、学歴や転職回数、スキルに不安がある人にも的確な支援をするところは増えているという。それでも、若ければ何とかなるが、30代後半になると使い方が難しくなる、というのがサラタメの見方だ。

それでも、ピンチかどうかは相談してみないと分からないので、早めに壁打ちすべきだという。実際に相手にされなかった場合も、自己分析をこね回して良いことはない。求人探しや日程調整といった、本来ならエージェントに任せられた作業を自分でこなし、人より多く応募する必要がある。サラタメはこれを「とにかく大変」だとし、解決策を示せないことを謝ったうえで、YouTube動画で解決できる話ではないと思うほどだと述べている。

だからこそ自分にできるのは、キャリアが乱れる前、エージェントに協力してもらえるうちに、スピーディに立て直しに取りかかるよう伝えることだ、とサラタメは言う。転職活動は時間をかければうまくいくものではなく、若さの価値が大きいという残酷な面もある。一方で雑でもいけない。要点を効率的に押さえることが答えだ、というのがこの動画の結論である。