船舶免許の実技試験は安全確認で決まる:独学講師が説明する採点の考え方

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概要

船舶免許の独学を動画で指導している堀越氏が、実技試験の採点の仕組みを解説した回である。受験者からは「着岸に失敗した」「人命救助がうまくいかなかった」「安全確認を1回忘れた」といった不安のコメントやメールが多く届くという。堀越氏の立場ははっきりしている。操船そのものは普通にできれば十分で、合否を大きく左右するのは安全確認と中立確認だ、というものである。

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なぜ実技の合否は自分で判断しにくいのか

学科試験であれば、試験後に問題を見直して自己採点すれば、受かったかどうかはおおよそ分かる。これに対して実技は自己採点が難しく、受験者の関心もそちらに集まる。堀越氏は、受験者の試験を実際に見ているわけではないので、合否は正直に言って分からないと話す。

コメントへの返信では、内容を聞いて問題がなさそうなら「受かっていると思う」と答えている。ただ、「あれをした、これもしていない」と書いてくる人については、書いていない失敗もほかにあるのではないかと感じるため、「分からない」と答えるようにしているという。試験員がどういう考えで採点しているかも外からは分からない。そこで、翌週の木曜日ごろの合格発表までの気休めになればと考え、点数の仕組みを説明することにしたと述べている。

配点と合格ライン

堀越氏は、自身が販売している教科書と、受験案内のリーフレットに載っている配点を示す。実技試験は「小型船舶の取扱い」60点、「基本操縦」120点、「応用操縦」120点の合計300点で、210点以上で合格となる。どの科目も減点方式で、ミスの種類、内容、程度に応じて点が引かれる。

具体例として取り上げたのは基本操縦である。堀越氏の説明では、基本操縦は発進・停止・後進・変針などの4項目で構成されており、合計120点なので1項目あたり30点になる。この中から72点以上を取れば合格ラインに届く。堀越氏はこれを「こんな簡単な実技試験があるのか」というくらいの基準だと表現する。後進も、後ろを向いてまっすぐ走れればよいという。女性など苦手とする人もいるが、うまい下手は問われず、「普通」にできれば満点になると述べている。

安全確認は加点ではなく減点だけの項目

この回で堀越氏が最も強調したのは、実技の内容と並んで安全確認が採点項目に含まれているという点である。変針を例に説明した。

一人目の受験者は、「右の灯台に向けて変針してください」と指示され、安全確認をしないまま変針した。二人目は「左9時方向の灯台に向けて変針してください」と指示され、「左、左後方よし」と確認してから変針した。どちらも操船自体はきれいにできている。船の動きに乱れがなく、ハンドル操作も慌てていないので、変針の操作としては30点の評価になる。

違いが出るのは安全確認である。堀越氏によれば、安全確認はできて当然のものなので、きちんとやっても加点はなく、評価は0点のままである。つまり二人目は30点をそのまま受け取れる。一方、確認を怠れば、そこから点が引かれていく。安全確認は「プラスにはならず、マイナスしかない」項目だというのが堀越氏の説明である。

さらに、安全確認は発進、直進、停止、蛇行、人命救助、避航操船など、すべての課目に含まれているという。堀越氏がこれまで「安全確認さえしていれば受かる」と繰り返してきたのはこのためだと説明している。

48点の余裕が意味するもの

120点中72点が合格ラインなので、基本操縦には48点分の余裕がある。堀越氏はこれを二つの面から見ている。操船自体は簡単で、動画をまねすれば楽に取れる。その意味では48点は十分な余裕である。しかし逆に言えば、余裕は48点「しかない」。

4つの項目それぞれに安全確認が含まれている。堀越氏は、安全確認の減点は非常に大きく、仮に1項目30点だとすると、安全確認をすべて怠れば30点を大きく超える減点になりうると述べる。安全確認を怠ることはそれだけ危険で重要だから、確認を徹底するよう言い続けているのだという。

中立確認を怠ることの重さ

コメントの中には、中立確認をしなかったという報告もあった。中立確認とは、ギアが中立(ニュートラル)に入っているかを確かめることである。堀越氏はこれを、車でブレーキを踏まずに停車しているようなものだとたとえる。

中立確認をせずに船を降りる人や、人命救助に向かう人について、堀越氏は、試験員の立場から見れば免許を渡してはいけないレベルだと思うと語る。そのうえで、この段階で落ちた人はまだ乗る資格がないということだと自分は考える、と個人的な見解を示した。

慌てる場面があることは堀越氏も認めている。初めて船に乗った人は、ブイが通り過ぎてしまいそうになると焦ってしまう。それでも、ギアが入っていることを確認し、必ず中立にしてから降りるよう求める。車でもコンビニに着いてそのまま降りることはなく、パーキングかニュートラルに入れてから出るはずだ、というのが堀越氏のたとえである。こうした基本的な部分の点数は大きいと述べている。

声出しは採点対象ではないが、忘れないために有効

安全確認と中立確認を忘れないための方法として、堀越氏は声出しと指さしを挙げる。堀越氏によれば、発声は採点項目には一切含まれておらず、声を出さなくてもかまわない。これは以前の動画でも説明してきたことだという。

それでも、試験では忘れないことが何より大事である。「中立確認よし」と声に出せば、中立に入れないまま降りることはまずなくなる、と堀越氏は言う。免許を取った後も、バスの運転手のように指さしをすることは普通のことで、堀越氏自身も安全確認をしっかり見るために指さしをしているという。

最終的な答えは試験員にある

採点基準はここで説明したものより実際にはもっと細かい、と堀越氏は付け加える。そのうえで、受験者には「ここで安全確認をしていなかった」などと自分で振り返り、採点してみてほしいと呼びかける。試験中は緊張していて余裕がないのだろう、とも理解を示している。

コメントをもらえば堀越氏なりに採点はしている。ただ、「受かっている」と言って実際には落ちていたという事態は避けたいので、分からないものは分からないと答えている。真実を知っているのは試験員である。不合格だった人は、日本海洋レジャー安全・振興協会や試験員に直接問い合わせるよう勧めている。自分ではできていたつもりでも落ちたのなら、気づいていないところで大きなミスをしているはずなので、そこはしっかり確認しなければならないという。「なぜこれで落ちたのか」というコメントも届くが、見ていない自分には答えられないので、試験側に聞いてほしいと堀越氏は繰り返した。

最後に堀越氏は、4月になり暖かくなってきた時期でもあるので、今回の説明を参考に実技試験にもう一度挑戦し、独学で受験してほしいと締めくくった。