ジョシュ・ウッドワードが語る、Googleをラボのように運営する方法:「ほぼ実現可能」なアイデア、相手の目を読むこと、そして撤退すべき時を見極めること

翻訳元 English

YouTubeで開く ↗
概要

ジョシュ・ウッドワードは、Google Labs、Geminiアプリ、AI Studioを率いている。この対談の冒頭で、ホストのレニー・ラチツキーはひとつの仮説を提示する。今やあらゆる企業が、ラボチームのように考え、行動する必要がある、というものだ。製品の土台となるモデルは非常に速く変化するため、構築できるものも絶えず移り変わる。だからこそ企業は最新のモデルを使って試行を続け、競合やスタートアップより先に、何が新たに可能になったのかを見つけなければならない。ウッドワードはこの前提に同意しつつ、「悪魔は細部に宿る」と付け加える。彼の見方では、スタートアップはすべてすでにラボである。より難しいのは、その方法論やエネルギー、熱量を中規模・大規模のチームにどう持ち込むか、そしてアイデアとそれを生み出す人々の両方が活躍できる環境をどう築くか、という問いだ。

32分で読めます

対談ではこのほか、ウッドワードが見てきた良いアイデアの源泉、Google Labsが「ほぼ実現可能」なものをどう追跡しているか、初期のプロダクトマーケットフィットはどのように見えるか、プロジェクトを打ち切るべき時、ウッドワードが価値を高めていると考えるスキル、計画の立て方がどう変わったか、そして大半の企業ラボが失敗する理由について語られている。

5:56

良いアイデアは予定された会議からは生まれない

最良のアイデアがどこから生まれるのか、その傾向を説明できるパターンはあるかと問われ、ウッドワードは「巻末に答えが載っていればいいのですが」と答える。彼の経験では、アイデアはさまざまなところから生まれる。そこから彼は3つの教訓を引き出している。

1つ目は、目に留まるものには何であれ常にアンテナを張っておくことだ。良いアイデアが、デザインスプリントや、「次のアイデアを考える」ためにカレンダーに確保した時間から生まれたことはほとんどない。むしろ、廊下での立ち話や週末、休憩中に現れる傾向がある。ウッドワードは、「どうしても我慢できずに」休暇明けに何かを作って戻ってくるLabsのメンバーや、動画を共有して「この素晴らしいものを見てよ」と言うメンバーについて語る。

2つ目の教訓は、アイデアはありきたりな場所には現れないということだ。「良いアイデアは電子レンジでチンして作れるものではない」と彼は言う。

3つ目の教訓は、多くの場合、アイデアそのものよりも、人とそのサイドプロジェクトのほうが重要だということだ。ウッドワードによれば、Labsでのこの4〜5年間、NotebookLM、Flow、AI Studio、Google Beamといったプロジェクトはいずれも、何かに夢中になり、好奇心を抱き、「とにかく止まらない」ごく少人数のグループから始まった。リーダーの仕事は、それが起こりうる場を作り、起こったときに気づき、前に進める手助けをすることだ。レニーは、ウッドワードが挙げたアイデアの源泉にブレインストーミング会議も含まれていなかったと指摘する。

8:12

「ほぼ実現可能」リストと82の予測

創業者や大企業の中にいる人など、もっと実践的なものを求める人に向けて、ウッドワードは自身のチームがどのようにフロンティアに到達しているかを説明する。それは、モデルを触って遊ぶことに加え、どのような体験が新たに可能になったかを見張ることを意味する。チームは「ほぼ実現可能なもの」という言葉を使い、そうしたものの実際のリストを管理している。ある項目が一線を越えたとき、ウッドワードはそれを、物質が液体から気体に変わるような相転移にたとえる。彼は収録の2日前にそうしたものをひとつ目にし、それが頭から離れないと言うが、それが何なのかについては「たぶん近いうちに」と述べるにとどめる。何かがその一線を越えたら、チームはその周りに人を配置し、「とにかく突き進む」ようにしている。

ただし、技術だけでは十分ではない、と彼は付け加える。その能力を興味深いユーザーの課題と結びつけ、理想的には人々がお金を払うほどうまく組み合わせる必要がある。Labsが初期段階で探しているのは、まさにその組み合わせだ。

リストの例を挙げるよう求められると、ウッドワードは具体的な項目ではなくチームのアプローチを説明する。Labsは、ソフトウェアの設計と開発、クリエイティビティ、仕事、知識など、特定の領域の未来について思考実験を行っている。現在特に注目している分野のひとつがエンターテインメント、とりわけ没入型エンターテインメントだ。その見出しの下で、チームは「もしモデルがこのくらいのレイテンシで、この数の言語に、この数のモダリティで対応できたら」といったサブリストを持っており、それによって技術的に何が面白くなるかを考えやすくなっている。技術面と並行して、Labsは行動やトレンドがどこに向かっているかも研究している。ウッドワードは、ベイエリアのはるか外、つまり他の都市や教室など、「アイデアを掘り当て」て行動の変化を観察できる場所に目を向けるよう、チームに働きかけ続けていると言う。

レニーはこれを、インスピレーションを待つのではなく準備することだとまとめる。ウッドワードはそれを認め、さらに詳しく付け加える。彼が触れた文書には82の予測が含まれており、それぞれが「私たちは未来は〜だと信じる」あるいは「私たちは〜と予測する」で始まっている。予測をひとつ立てることでさえ危険だ、と彼は認める。それでも、10のうち9つ、「あるいは10のうち9.9」は外れると受け入れながら、未来についての視点を持つ必要がある、と彼は主張する。「未来を追いかける」ことはチームの価値観のひとつであり、それを実践するには、自らを未来に投じ、その未来に少しでも住んでみようとすることが必要だと彼は言う。

11:54

本物の機会と、目を見張るデモを見分ける

ウッドワードは、あるアイデアが追求する価値があるかどうかをどう見分けているのか。そのシグナルの一部は個人的なものだ。フロンティアにいて、自分が何に驚いたり興奮したりするかに気づくこと。たとえば48時間前に「これはすごくワクワクする」と思いながら後にしたデモのように。そして、その興奮をチームと共有し、そこからエネルギーを得ることだ。

レニーは、これほど多くのものが魔法のように感じられる今、あるいは人々がそれに麻痺してしまった今、興奮というのは低いハードルではないかと異を唱える。ウッドワードは、興奮は主に技術面のシグナルであり、「今は1日おき、いや1時間おきに目を見張るデモが出てくる」ことに同意する。そこで彼は、普遍的な、あるいは変化しつつあるユーザー行動にも目を向け、さらにマネタイズにも目を向ける。つまり、それなしでは生きられず、自分にとってあまりに価値があるのでお金を払う、という人々のグループに届けられるかどうかだ。良いアイデアはこれらの領域の少なくともひとつから出発しなければならず、仕事とはそれらを組み合わせることだ、と彼は言う。

彼は2つの例を挙げる。1つ目は、NotebookLMスタイルのポッドキャストを初めて聴いたときのことだ。彼は自分がどこに立っていたかを覚えている。このインタビューが収録された部屋のすぐ外で、確か火曜日の午後6時半ごろだった。2人のチームメンバーがやってきて、これを聴かなければいけないと彼に言った。素材はイギリス議会の討論の議事録で、「面白い内容で知られているわけではない」ものだったが、2人のAIホストが本当に興味深い形でそれについて議論していた。チームの反応は、これを使って何かをしなければならない、というものだった。

2つ目の例はGoogle Flowだ。Flow以前に、Whiskというプロジェクトがあった。ユーザーが複数の画像を「混ぜ合わせ(whisk together)」、それをアニメーションにできるものだった。ウッドワードは、そのクリエイティブな制御の度合いと、それがいかに手軽だったかを、これまで一度も実現できなかったものだと表現する。

一方で、チームが興奮して何かを作ってみたものの、その製品が「まったく良くない」というケースもある、と彼は付け加える。仕事の一部は数のゲームなのだと彼は言う。

14:43

初期のプロダクトマーケットフィット:人の目を見る

プロダクトマーケットフィットについてのウッドワードの最初のポイントは、それが「科学というよりはるかにアート」だということだ。チームは実験の仕方も、データに基づく意思決定の仕方も、OKRの設定の仕方も知っているので、科学であればいいのにと彼は思う。しかし初期段階では、未来はこうなると考えていながら、その理由を完全には説明できない、確信を持った数人の人間に行き着くこともある。これがあまり役に立つアドバイスではないことを彼は認めている。

より実践的なアドバイスは、社外に出てプロトタイプを人々に見せることだ。そうするとき、「人の目を見ているのであって、それこそが指標なのです」と彼は言う。DAU/MAUでもD7リテンションでもない。相手の目が輝くかどうか、身を乗り出すかどうかだ。レニーが、別の人がこれを瞳孔が開くことだと表現していたと述べると、ウッドワードは同意する。「何かくだらない製品」を見せているとき、相手が楽しんでいるのか、それとも「死ぬほど退屈している」のかはわかる、と彼は言う。問題は、ツボを突けたかどうか、つまり相手が「それが欲しい」と思うような痛みのポイントに触れられたかどうかだ。

3つ目のポイントは、製品ではなく課題に惚れ込むことだ。チームが何かをものにするか、うまくいかなかったと結論づけるまでには、3回、4回、あるいは5回のピボットが必要だと彼は感じている。彼の経験では、まず特定の製品ソリューションに惚れ込んでしまう人は「痛い目を見る」ことになる。

PMFは手に入れたときにわかる、というよく言われる言葉に彼は同意する。ここおよそ1年の間で、彼は、Nano BananaがGeminiでバイラルになった瞬間、NotebookLMのポッドキャストが広まった瞬間、そしてFlow、Stitch、その他のプロジェクトが「小さな瞬間」を迎えたときを挙げる。そうした瞬間、チームは「文字どおりそこに群がり、必死にしがみついている」状態で、彼はそれを疲れるけれど楽しいと表現する。全体としての彼のアドバイスは、初期段階は科学よりもアートと情熱によって動かされるものだと受け入れたうえで、何度も挑戦することだ。

18:04

アイデアを打ち切るべき時:たいていチームが先に気づく

ウッドワードによれば、チームはプロジェクトを止める決断をリーダーが下すものだと期待することがある。しかし彼の経験では逆だ。「たいていの場合、リーダーより先にチームが気づきます」。その兆候は、情熱が尽きること、あるいは思いつく限りのことをすべて試してもまだうまくいかないことだ。彼はそれを、ある関係がうまくいっていないと感じ取ることにたとえる。リーダーとしての彼の仕事は、人々が気まずい質問をしたり、「これはうまくいっていないと思う」と言えたりする環境を築くことだ。

彼は収録の前日の例を挙げる。Geminiチームには、メンバーが期待を寄せ、ローンチを予定していた機能があった。初期のデータが戻ってきて、メンバーが外に出て「目を見た」ところ、反応はなかった。担当のPM(ウッドワードは「彼女」と呼んでいる)は、良くないのでローンチすべきではないと思うと言った。ウッドワードは彼女を誇りに思い、全員返信で感謝を伝えたと言う。より大きな目標は、チームが良い結果も悪い結果も率直に指摘できる文化だ。チームは毎日製品に取り組んでいるので、彼はチームを深く信頼していると言う。チームがうまくいっていないと言うなら、対応はピボットして何か別のことを試すことだ。

なぜひとりの人間がLabsとGeminiアプリの両方を率いるのか

レニーは、ゼロからイチの実験を行うLabsと、ウッドワードによれば世界で10億人以上のユーザーを持つGeminiアプリの両方を、なぜひとりのリーダーが統括しているのかと尋ねる。ウッドワードは、両者が規模の点で正反対の端に位置していることを認める。Labsのチームは月間アクティブユーザー1万人で大喜びするが、その数字はほとんどの製品ダッシュボードには表示すらされない、と彼は冗談を言う。

彼は両者に共通する3つの点を挙げる。1つ目は人だ。その規模にもかかわらず、Geminiにはまだ「ゼロからイチの鼓動」があり、両者は似たようなビルダーを惹きつけ、それぞれに求められるものの境界も曖昧になってきている。2つ目は、関わっている全員が「AIに夢中な人やマニア」で、常に何かを作っていることだ。3つ目は、共通の優先順位だ。ユーザーが第一、Googleが第二、そして自分たちの製品(LabsまたはGemini)が第三。チームは自分たちを「紛れもなくチームGoogleの一員」だと考えており、試金石は、向こう側にいる誰かがその製品を愛しているかどうかだ。

ウッドワードはまた、現在Labsはすべて AIに焦点を当てていることも認める。現在のLabsが4〜5年前に始まったとき、いくつか他の分野も探ったが、その後、当面はAIに全面的に注力することを決めた。取り組みはソフトウェアだけではない。彼はGoogle Beamを挙げ、それを話し相手の3D版を作り出す「魔法の鏡」だと表現する。その体験はほとんどホログラムと話しているようなものだという。彼はこれをAIに隣接するもの、「ほとんどAIハードウェアのようなもの」と呼ぶ。彼がレニーに1台用意しようと申し出ると、レニーは受け入れる。

22:28

コンシューマーAIは次にどこへ向かうのか、そしてパーソナルアシスタントの問題

レニーは、コンシューマー分野はかつて既存の大手に支配された「死んだ」分野のように見えたが、AIによって再び開かれたと示唆する。ウッドワードは、コンシューマーは今、最もワクワクし、かつ競争の激しい分野のひとつだと感じていると言う。彼は3つの分野を挙げる。

1つ目はエンターテインメントだ。人々はさまざまな種類のフィードを見続けるのか、それとも技術が現実世界で人々をより近づけることができるのか。その未来がボットを中心とするのか、人を中心とするのかについては、相反する見方があると彼は指摘する。

2つ目はメッセージングとチャットだ。この分野はかつて「ある意味、もう解決済みかもしれない」と感じられていたが、Googleの内外で多くの実験が行われているのを彼は目にしており、もはやそれほど決着がついたものとは感じられない。

3つ目は、大きな課題と希少なものに立ち返ることだ。地上で過ごす時間、人々がどれだけのお金を持ち、どうすれば貯められるか、そして人々が共有する思い出や対面での体験。新しいコンシューマー製品がこれらに取り組めると彼は考えており、その形態がチャットボットなのか、パーソナルエージェントなのか、あるいは別の何かなのかは、ほとんど「これから発明されるもの」だと言う。

続いてレニーは、自ら際どい質問と呼ぶ問いを投げかける。多くのAIアシスタントがGmail、Googleカレンダー、ドキュメントと連携し、そのデータを使って見事なことをしている。一方でGoogleは、レニーの見方では、それに相当するアシスタントを出していない。障害はプライバシーなのか、官僚主義なのか、それとも近々登場するのか。

ウッドワードは、その一部はすでに存在していると言う。Gemini Sparkでは、ユーザーはそれらすべてを連携でき、「かなり強力」だ。Googleが改良を重ねているのはインタラクションモデルだ。業界はこれまでユーザーが切り替えて使う別々のモードに頼ってきたが、「ここ数週間からでさえ」得られた教訓は、「モードやトグルのことは忘れて」、やりたいことを伝えれば作業をしてくれるひとつのプロンプトボックスにすることだ、と彼は言う。これはGoogleだけでなく業界全体で起きているUXの簡素化だと彼は説明する。データについては、彼が最もよく耳にする要望のひとつは「Google、私のものは全部そっちにあるんだから、とにかくちゃんと動くようにしてよ」といった類のものであり、多くの人がそのデータを競合製品に連携することに抵抗を感じていると言う。「今後に注目してください。皆さんの声ははっきり届いています」と彼は言う。彼は、パーソナルで、プロアクティブで、パワフルなGeminiというGoogleの「パーソナルインテリジェンス」の取り組みを、ここおよそ1年のビジョンとして挙げ、チームが取り組んでいるものの多くが近く公開されると言う。レニーは、Googleの強みは流通力だとコメントし、既存の流通網に乗って容易に成長した製品の例として、MetaのMuseとGoogleのAIモードに言及する。

27:25

過小評価されているもの:原則。過大評価されているもの:ベンチマーク。

過小評価されているものとして、ウッドワードは原則と価値観についての議論を挙げる。夏の間に、彼はLabsの原則についての社内文書を書いた。チームが何をどのように、そしてなぜ作るのかを扱ったものだ。Googleであれスタートアップであれ、「人は製品を通じて語る」のであり、製品には作り手の原則が刻み込まれている、と彼は強く信じている。業界が、何を作りたいのか、どんな未来を望むのかについて、もっと語ってほしいと彼は願っている。レニーはこれを、以前OpenAIのタラ・セシャンと交わした会話と結びつける。ほぼ何でも作れるようになったとき、問題は単に何ができるかではなく、どんな世界を望むかになる、というものだ。

過大評価されているものとして、ウッドワードは約1年前から抱いているという立場を繰り返す。モデルのベンチマークだ。多くのAIラボにいる友人たちは今も、ほとんど同じベンチマークを見ていると彼は言う。しかし、自分が育った環境や製品開発へのアプローチを踏まえると、世界のほとんどの人はEloレーティングなど気にすることはなく、「その発音すら知らないかもしれない」と彼は考えている。業界の話題は「速度や処理性能やベンチマーク」に支配されていると彼は見ている。それらが能力の代理指標であることは認めつつも、業界はそれらに偏りすぎており、何かが役に立つのかどうか、どの製品や機能が本当の価値をもたらすのかを見失っていると考えている。レニーは、新しい「史上最高のモデル」が実際に意味のある違いを生んでいるのかを判断するのは難しいと付け加える。プロダクトに携わる人々へのウッドワードのメッセージは、素晴らしい製品を作ること、なぜならあらゆる知能は最終的に人々が求める何かにならなければならないからだ、というものだ。毎週これほど多くの「ほぼ実現可能」なものが実現可能になっている今を、彼は「プロダクトに携わる人間として、なんという時代に生きているのか」と表現する。

31:38

価値を高めているスキル:アンラーニングの速さ、爆発的持久力、そして信頼

センス、判断力、バイブコーディングについてはすでに多くが語られてきたので、自分は「価格が誤ってつけられたシグナル」を探しているとウッドワードは言う。彼は3つを挙げる。

1つ目はアンラーニングの速さだ。人はよく、誰かの学習の速さやグロースマインドセットについて語る。ウッドワードが求めているのは、何かをどれだけ速く学び、そしてそこからどれだけ速く離れられるかだ。たとえば、自分の製品をテストしたときに目にしたものに基づいて、である。

2つ目は爆発的持久力で、これは彼が1年ほど前に読んだロジャー・フェデラーに関する本から取った言葉だ。彼はこれを、非常に激しく取り組み(爆発的な部分)、自分自身と周りの人々を大切にし、ペース配分の方法を見つけることで、それを長期間持続させる能力だと捉えている。

3つ目は協働と信頼だ。コーディングが多数のエージェントを指揮し、より少ない人数で働く方向へ移行しつつあっても、ウッドワードは、人とどう働くかがむしろ今こそ重要になっていると考えている。彼が求めているのは、エージェントやエージェントの群れとも、人間とも、優れた協働者になれる人だ。LabsとGeminiのチームは、今も「人と働くことには大きな喜びがある」と信じている。その根底にあるスキルは、信頼を築き、それを広げていく能力、そしてそれをどれだけ速くできるかだ。

なぜ信頼の重要性が高まっているのかと問われ、彼はその一部は大組織であるGoogle特有のものだと言う。そのうえで、そうではない理由を2つ挙げる。製品を実行に移すコストが下がるにつれて、より多くの製品が作られるようになり、人々はより頻繁に異なる協働者とチームを組むようになる。Labsのプロジェクトチームはかつて5〜7人程度だった。それが今では2〜3人、多くて4人程度だと彼は言う。彼は最も優秀な人々を、さまざまなグループを組んでさまざまな曲を演奏する才能あるミュージシャンにたとえる。Labsで最も価値のある人とは、たとえばコードもデザインもできるPMのように、どのプロジェクトに投入しても他の人とセッションできる人だ。製品が増え、こうした「フリーエージェント」が増えるにつれて、信頼を築く力はさらに重要になると彼は予測している。

35:52

役割は、ひとつの万能ビルダーに溶け合っているわけではない

レニーは、Labsのプロジェクトを率いるうえで、より成功するようになった職種はあるかと尋ねる。ウッドワードは、チームがこの点を研究し、検証してきたと言う。PMは、おそらくより横断的な職種であるためか、他の職種よりも早く適応しているように見える。これは社内全体で実施されている「ビルダーパイロット」に表れている。PMは会議の中で法務、事業開発、営業といった他の視点をシミュレーションすることに慣れており、PMを選ぶタイプの人はもともとそうした傾向があるのかもしれない、と彼は示唆する。それでも、最も優秀な人々はあらゆる職種から生まれており、戦略、オペレーション、事業開発、マーケティングの人々もみな、Labsで優れたビルダーになっていると彼は言う。

続いて彼は、過大評価されているものをもうひとつ挙げる。「誰もがビルダーだ」、それがひとつの新しい職種であり、あらゆる役割が収束しつつある、という考え方だ。彼が目にしているのは、人々が自分の専門性を保ち続けていることで、彼はそれを大学の専攻や副専攻にたとえる。もし誰もが汎用的なビルダーになれば、専門性とその背後にある専門知識に対する敬意や評価が失われてしまうのではないかと彼は懸念している。Labsが「より一種のビルダー集団に近いもの」を編成する場合でも、各チームにどの専門性が必要かは計画に入れている。

新人のPMやAPMへの彼のアドバイスは、バイブコーディングやプロトタイピングは素晴らしいが、それは卓越したPMになるという目標に資するものであるべきだ、というものだ。特にキャリアの初期には、「その専攻を失わないように」。

38:45

持続的な熱量のためのリズム:シーズン、モードの明示、休閑期

レニーは、このポッドキャストで繰り返し現れるテーマを指摘する。誰もがマラソンとスプリントを同時に走っているように感じている、というものだ。ウッドワードはLabsがこれにどう対処しているかを説明する。常に20〜30の実験が進行しており、それぞれの小さなチームにとっての目標は、マイルストーンとリズムを持つことだ。ある時期は「全力疾走」になる。リーダーとして彼が学んだ最も有益な教訓は、そうした時期に名前をつけて宣言し、人々が参加するか否かを選べるようにすること、そしてチームがそのモードにないときも同じくらい明確にすることだ。彼は例を挙げる。大きなモデルが登場し、それを披露するうえで5つの製品が重要になる。それが「爆発的な時期」だ。こうしたモードを明確にする略語や共通言語を作るのは、PMが得意とすることが多いと彼は言う。

激しい時期のあとは、意図的にモードを切り替える。Google I/Oのあと、多くのLabsチームは全力疾走し、その後の6月は「とにかくハックして、何が新しいかを再発見して、ひたすら作ってみる」時期になり、楽しむ時間になる。何もリリースされないので6月を非生産的だと見なしたくなるが、次のシーズンの種はそこから生まれる、と彼は言う。チームが常にこれをうまくやれているわけではないことも彼は認める。彼が従来の「ワークライフバランス」という枠組みよりも爆発的持久力のような枠組みを好むのは、目標がチームとしてこれを何年も続けることだからだ。「9か月でタンクを空にするわけにはいかない」が、同時に今という時代が速いことも認識しなければならない。

レニーは、その逆もまた危険だと付け加える。やることが少なすぎる人は退屈し、別の仕事を探し始めるからだ。ウッドワードは同意し、あるチームが言っていた「イベントを決して無駄にするな」という言葉に触れる。I/Oであれ、モデルのリリースであれ、スタートアップであれば何らかの外部の出来事であれ、世の中とどこで交差したいかを中心に計画を立てると役に立つ。

42:21

6か月の期間と100日のマイルストーンで計画する

ウッドワードによれば、最近ある人からGeminiの2年間のロードマップについて尋ねられたが、彼の答えは、複数年にわたるビジョンと並行して6か月のロードマップがある、というものだった。世界の変化があまりに速いのだと彼は言う。彼が2日前に目にしたものは48時間以内にプロジェクトになったが、そういうことは事前に計画できない。

Labsは通常、約6か月を見通して計画を立てる。彼はそれを「ほぼ実現可能」の時間枠と結びつける。各AIラボは年に数回新しい事前学習済みモデルを生み出し、その間に小規模なリリースがあると彼は想定しており、それが全体的なペースを決める。その中で、チームはおおよそ100日単位で、製品をどこまで前進させられるかを考える。最も優れたLabsのチームは、50〜100日でアイデアから意味のあるマイルストーンに到達すると彼は言う。それを可能にするには、障害を取り除き、チームが「とにかく人に腕を振るわせる」ことができる文化を設計する必要がある。彼は全体的なアプローチを「ローリング6か月」と表現する。

43:50

フロンティアチーム、そして大半の企業ラボが失敗する理由

レニーは、ダン・シッパーがLenny & Friends Summitで行った講演を取り上げる。企業は新しいツールを試して報告することを仕事とするフロンティアチームを持つべきで、そうすれば会社の他のメンバーは集中を保てる、という主張だった。ウッドワードは、組織の形はどうであれ、あらゆる企業にそのようなグループが必要だということに同意する。そうした人々は、もし過去24時間以内にXでバイラルになった最新のものを知らなかったら、いったい何をしているのかと思われるほど、情報に精通しているべきだ。「月200ドルのサブスクリプションをあらゆるものに8つも契約しているような人たちです」。

ただし、それは3つの要件のうちの1つ目にすぎないと彼は言う。2つ目は、そうした人々が実際に物を作れる環境だ。3つ目は、成否を最も左右することが多いと彼が考えるものだ。彼は企業ラボの歴史に関する本を何冊か読んでおり、データによれば、大企業がラボを立ち上げても、たいていは効果を上げられず、3〜4年で立ち消えになるという。仮に存続したとしても、企業はその成果を事業化できないことが多く、誰かがそこに未来を見出して別の会社としてそれを作り上げる。歴史上有名な例があると彼は言う。難しいのは、「いつも妙なギミックやおもちゃばかり思いついている、どこかの変なR&Dグループ」として片付けられないように、より大きな会社とつながれるフロンティアチームを作ることだ。そのためには、「あれは今はおもちゃに見える。でも5年後には我々の未来に不可欠なものになる」と言える人々が必要だ。彼の歴史の読み解きでは、チームが最初の2つをうまくやれても、3つ目で失敗すれば、すべてが無意味になってしまう。

レニーは、すでにフロンティアにいるAnthropicでさえラボチームを持っていると指摘する。続いてウッドワードは、Google Labs内部のリスクについて語る。NotebookLM、Flow、AI Studioなど一部のプロジェクトが大きく成長するにつれ、新しいゼロからイチの取り組みを押しのけてしまう危険が生じた。そこでチームは現在、「ゼロからイチのラボ」「1から10のラボ」「10から100のラボ」を、ライフサイクルの異なる段階として語っている。どれも同じ革新的なエネルギーを共有すべきだが、それぞれが異なる課題に直面し、異なるものを最適化する。ゼロからイチでは、人の目を見る。10から100では、コンバージョンのウォーターフォールやCPAを見て、人々を製品の「マジックモーメント」にどう導くかを見る。彼は後者の段階を「スケーリングのゲーム」と呼ぶ。

47:45

社内ラボを立ち上げる:独立性、明確なゲーム、そして「良いトラブル」

ウッドワードは、ラボを立ち上げる企業に向けて3つのヒントを示す。

1つ目は、「奇妙なものが育つ」場を作ることだ。既存の事業部門の下に置くことはできない、と彼は言う。独立性が必要であり、企業によってはそれはCEO直属にすること、あるいはコア事業から十分離れた報告ラインにすることを意味する。

2つ目は、正しいマインドセットを設定し、目標を明確にすることだ。Googleではそれが「ユーザー第一、Google第二、Labs第三」という優先順位だ。ラボはラボ自身ではなく、ユーザーとGoogleを成功させるために存在しており、そのためには謙虚さと協働が必要だ。企業は、ラボの目的が既存製品に成果を送り出すことなのか、それとも新しい製品ラインやカテゴリーを生み出すことなのかを決めるべきだ。Google Labsは成果を送り出すラボとして始まったが、AIがカテゴリーを変革し、その境界を曖昧にすることにチームが気づくにつれ、時間とともに範囲を広げてきた。自分がどのゲームをプレイしているかを知ることで、何が勝ちで何が負けかが定まる。レニーはこれを、ある面では隔離されていながら、それでも同じチームの一員であることだとまとめる。

3つ目は、製品や技術の探求のためだけでなく、会社の働き方そのものに挑むためにラボを活用することだ。チームの言葉では、LabsはときにGoogleで「良いトラブル」を起こしている。彼の例はこうだ。Labsは、職務の役割が曖昧になりつつあり、ビルダー向けのキャリアラダーが必要だと最初に言い出したチームのひとつであり、Google全体に展開する前に、Labsを使ってそのラダーを試験導入した。

採用について、ウッドワードは、チームが求めているのは「作ることをやめられない」人だと言う。彼は「Labs in a nutshell(ひと言でわかるLabs)」という文書と、「Gemini in a nutshell」という文書について説明する。新しいメンバーには最初の週にメールで送っており、多くの人は採用過程ですでに目にしている。そこに書かれた特徴には、次のようなものがある。常に何かを作っていること、知的好奇心が旺盛で、多くの読み物やポッドキャストに触れていること、自分のエゴや栄光ではなく人々の課題を解決することを大切にしていること、そしてエネルギーをもたらし、「その人となら壁だって突き破れる」と思えること。こうした特徴は17〜18個あり、番組のショーノート用に共有しようと彼は申し出る。面接では、「今作ったばかりのこれを見せてください」と言う候補者は即座に信頼を得る。彼はまた、進むべき道が見えない状況、つまり「未知で構造化されていない暗い洞窟」について尋ね、それに活力を感じる人を探す。ゼロからイチの人材は、1から10、10から100の人材とはやや異なると彼は指摘する。

組織上の過ちについて、彼は現在進行中の議論を挙げる。別々の小さなチームにそれぞれ独自の賭けをさせるべきか、それともテーマごとにまとめるべきか。彼が「釣りをしてみたい池」と呼ぶインタラクティブエンターテインメントについて、ひとつのグループが担当すべきか、それとも5人がそれぞれ5つの別々の挑戦をすべきか。人は急いで統合し、組織をすっきりさせたがる傾向があると彼は考えており、ときには乱雑さを受け入れ、何が生まれるかを見守りつつ、それでも変化をいとわないことが必要だと、「おそらく痛い目を見て」学んだと言う。もうひとつのよくある過ちは、あまりに多くの人をあまりに速く採用することだ。人員の拡大は中毒性があるが、彼はそれを「たいていの場合、本当に悪い」虚栄の指標だと呼ぶ。彼は何年も前のあるプロジェクトを思い出す。エンジニアが30人に達し、彼は嬉しく思ったが、「プロダクトマーケットフィットはゼロ、でもビジョンはとても刺激的」だった。それがどう終わったかは、レニーの想像に任せている。

54:07

1万の製品か、5つの製品か

レニーは、ローガン・キルパトリックからの質問を伝える。5年後、Googleは1万の製品を持っているのか、それとも5つなのか。ウッドワードは、これはローガンとの長年の議論であり、自分の答えは変わり続けていると認める。

彼が現在傾いている考えは、製品というものが同じようには捉えられなくなるかもしれない、というものだ。別々のブランドを持つ1万の画面は、たとえ「製品工場」がそれを生み出せたとしても、複雑で、望ましくないかもしれない。彼はますます、よりオーダーメイドな体験の世界を考えるようになっている。それはモデルによって生成されるかもしれず、Labsのチームはそうした体験の背後にあるエージェントを作り、それを共通の画面を通じて届けるのかもしれない。確信はないと彼は言う。Labsは、両方の立場の可能性を探るいくつかの実験を行っている。ひとつはスーパーアプリ、あるいはスーパーアプリ群への統合を想定したもの、もうひとつは極端な細分化を想定したものだ。

今のところ、彼はスーパーアプリから距離を置く方向に傾いている。世界の一部の地域では、一部の用途において非常にうまく機能してきたことは認めつつも、多くの人にとっては非常に複雑になりうるため、価値を生む行動を促すのが難しくなると考えている。また、この議論全体が、これらの体験の大半を人間がタップして操作するという前提に立っているが、それが成り立たない可能性もあると彼は指摘する。レニーは、この不確実性こそ、誰もがまだ手探りしていることの表れだと言い、ウッドワードは同意する。

56:28

フィードバックをめぐる未解決の問い、そして価値観を刻み込む儀式

リスナーに何を残したいかと問われ、ウッドワードは未解決の課題を挙げる。製品についてのフィードバックをどう集め、そこからどう洞察を得るか、という問題だ。彼は、起きていることすべてを要約するために夜通し動くエージェントに触れ、レニーや多くのリスナーはすでにそれを使っているだろうと想定する。しかし彼は、本当の問いを、優れたPMを優れたPMたらしめているものを軸に据える。つまり、特定の人々のグループについての洞察と、何がその人たちを喜ばせ、課題を解決するのかについての洞察だ。レニーはこれを、機会を見出すことにおいて、どうすればAIをトップクラスのPMと同じくらい優秀にできるか、と言い換える。ウッドワードは、それはひとつの分岐だと言う。もうひとつは、特定の人々の周りで自然に生まれるような洞察を、より多く生み出す人間とAIの協働モデルがあるかどうかだ。彼はそれを「もしかしたら面白いプロンプト」と呼び、アイデアがあればXで送ってほしいと呼びかける。

最後に、レニーはウッドワードがチームメンバーに贈っている賞について尋ねる。TPUハーベスターは、効率化やTPUの回収といった「地味で泥臭い仕事」をする人に贈られる。製品が成長するにつれて、ますます多くのTPUが必要になるからだ。受賞者には、Etsyで作ったミニチュアの熊手と賞金が贈られる。最も多くのトークンを使った人を称える賞なのかとレニーが尋ねると、ウッドワードはそうではなく、最適化を称えるものだと答える。金の絆創膏は、製品の中で積み重なる小さな不満である「紙で切ったような小さな傷」を修正する人に贈られ、受賞者はそれをデスクに飾っている。LLMウィスパラーは、驚くような、フロンティア的なやり方でモデルの限界を押し広げる人に贈られる。受賞者には、「他の人には聞こえないものをモデルから聞き取れる」ことから巨大な耳のセットが、さらに素敵なメカニカルキーボードが贈られる。ウッドワードは、こうした「ダサいシンボル」が価値観を刻み込んでいると言う。TPUの効率化は製品を成長させ、より多くの人に届けることを可能にし、小さな傷を直すことは製品を楽しいものにし、モデルの声を聞き取ることはブレイクスルーと新しい製品につながる。

彼はまた、秘密結社のようなものについても語る。4〜5人のチームリーダーが参加し、議題のない会議の招待が誰かのカレンダーに入る。これは不穏に見える。ウッドワードは「これは悪い会議ではありません、良い会議です」と切り出し、その後リーダーたちが順番に、なぜその人をそれほど高く評価しているのかを本人に伝える。それは人々を驚かせるもので、チームで最も価値のあるメンバーの一部のために取っておかれていると彼は言う。

対談は、ウッドワードが今も考え続けている問いで締めくくられる。優れたPMが持つような洞察を捉えるうえでAIがどのように役立ちうるのか、そしてGoogleの未来は何千もの製品なのか、ほんの一握りなのか、それとももはや製品とは認識できない何かなのか、という問いだ。