生成AIガイドラインは作れるか:実効性のある方針をどう作るか
国立情報学研究所 - National Institute of Informatics教育テック大学院大学の学長・教授である竹村治雄氏は、「生成AI利用に関するガイドラインは作成可能か」という問いに対し、作ること自体は可能だと答える。そのうえで竹村氏が問題にするのは、実効性のあるガイドラインをどう作るかである。生成AIが登場した当初の文部科学省の通知は、生成AIの問題点を列挙し、大学側が安全策を取るという内容だった。竹村氏はいろいろ調べた結果、今はもうそういう時代ではないと考えている。ガイドラインは、AI時代の大学の教育・研究・経営を立て直すための基本方針として使えるのではないか、というのが竹村氏の立場である。
話者の経歴と問題意識
竹村氏の所属する教育テック大学院大学は、前年の4月に開学したばかりである。社会人を対象に、教育DXを起こせる人材を育成する大学院大学だという。竹村氏は、一般の大学でも18歳が成人年齢となった今は大学生のほとんどが成人だと述べる。そのうえで、社会経験のある人に何を教えるかを考える場面でも、生成AIの話題が次々に出てくると語った。
竹村氏は以前、大阪大学サイバーメディアセンターの情報メディア教育研究部門に24〜25年ほど在籍し、教育用計算機の面倒を見ていた。20〜25年前はパソコン教室にパソコンを並べておけば十分だった。しかし、遅かれ早かれ学生が自分のパソコンを持ってくるBYODの時代になる。そこで次に何を提供するかを考え、教育を効率よく届けるための学習管理システム(LMS)や、講義映像を収録していつでもどこでも見返せる仕組みを導入してきた。
竹村氏によれば、コロナ禍の際、大阪大学ではすでにクラウドでLMSと講義映像配信のサービスを始めていたため、ハードウェアや計算能力の確保には問題がなかった。一方で、教員にそれらを効率よく使ってもらうノウハウがまったく伝わっていないことが分かった。そのため当時は、ノウハウの伝達に多くの時間を割き、かなり苦労したという。
この経験を踏まえて、竹村氏は生成AIを、ITで教育を変革する教育DXのなかでも特に影響力の大きい基盤技術と位置づける。そのため、利用を禁止したり制限したりするよりも、使いこなす力を育てる制度設計が求められていると考えている。ガイドラインも同じ方向で設計すべきだ、というのがこの発表の趣旨である。
ガイドラインが求められた経緯と、大学の多様な利用者
ガイドラインが必要になったきっかけについて、竹村氏はChatGPTの登場を挙げる。登場時には誰もが衝撃を受け、これを使えば学生がレポートを簡単に書けてしまうのではないか、という懸念から議論が始まった。文部科学省も「大学・高専における生成AIの教学面の取扱いについて」を出したが、その内容は主に学生の利用に関するガイドラインの設定と必要性についてだった。
しかし竹村氏は、大学の利用者(ステークホルダー)は学生だけではないと指摘する。教員・研究者・職員もいる。大学教員は研究者であると同時に教える立場でもある。それぞれの使い方として、竹村氏は次のような例を挙げた。
- 学生:レポート作成、要約、翻訳、アイデア出しなどに日常的に活用している。
- 教員:教材の作成に使える。ルーブリックを決めたうえで、学生のレポートへのフィードバックの仕方をAIに尋ねる場合もあり得る。授業設計や評価の設計にも活用できる。
- 研究者:文献の整理、分析の補助、文書の構成、関連研究の調査などに、今では多くの研究者が日常的に使っている。
- 職員:業務効率化に使える。竹村氏は、教学DXの観点では職員に使ってもらうことが非常に重要だと強調する。文書作成や問い合わせ対応がその例である。さまざまな文書を読み込ませたチャットボットで問い合わせに答えさせることもできるようになる。
ただし竹村氏は、どの利用場面でも、生成AIが大規模言語モデルであるがゆえに抱える問題を意識しておかないとトラブルが起こると指摘する。これがガイドラインが必要な理由だという。
当初想定されたリスクと、不正判定の難しさ
竹村氏は、当初意識されたリスクとして次のものを挙げた。個人情報や機密情報が漏洩する可能性、著作権侵害、生成AIサービス側の利用規約への違反、知らないうちに起こる剽窃や不正利用、誤情報への対応、公平性・差別・バイアスへの配慮を欠いた文書が出力される可能性である。
評価の場面では、別の問題も生じる。「生成AIを使ってレポートを提出したら不合格」「それを不正とみなす」と定める大学もある。大学によっては、不正行為をするとその学期の成績が全部不合格になることもある。しかし竹村氏は、本人が「使いました」と認めれば分かるものの、生成AIを使ったかどうかを判定する技術は確立していないと言われていると指摘する。こうした場面で紛争が起こらないよう、予防のために何らかの防衛策が必要だというのが、当初のガイドラインの考え方だった。
積極活用を打ち出すガイドラインの登場
一方で、竹村氏が調べたところ、積極的な活用を打ち出すガイドラインもいくつか出てきている。世の中ではすでにどんどん使われているのだから、大学だけが使わない文化を作っても意味がない、という考え方である。そうしたガイドラインには、学生が社会に出たときに使えるAIリテラシーをどう育てるかが盛り込まれている。ほかにも、教員の教材作成を支援するなど、どうすれば積極的に利用できるかを盛り込む方向があるという。
海外大学の事例:コーネル大学のコースアイコン
国内外の大学のガイドラインの傾向について、竹村氏はいくつかの例を紹介した。なお、ガイドラインについては、この後に九州大学も講演する予定だと前置きしている。
コーネル大学では、課題やシラバスでAIの利用条件を明示している。利用の可否は教員の方針と学術的誠実性(アカデミック・インテグリティ)に結びつけられており、教員の裁量を尊重する設計になっている。竹村氏は、欧米の大学ではこうした支援を「Center for Teaching Innovation」や「Center for Teaching and Learning」といった組織が担っていると説明する。日本の大学では一部で整備されているものの、まだあまり整っていない組織だという。
竹村氏が面白いと紹介したのは、コーネル大学が設計した「コースアイコン」である。その授業でAIをどの程度使ってよいかをアイコンで示す仕組みで、教員は自分の授業でのAIの使い方を必ず表示するよう求められる。アイコンには「All use is permitted unless otherwise specified」(特に指定がない限りすべての利用を認める)、「Instructor-provided AI tools only」(教員が提供したAIツールのみ)などの種類がある。竹村氏は、クリエイティブ・コモンズのアイコンに似たところがあるかもしれないと述べた。
オハイオの大学のAIフルエンシーと、UCLの3分類
竹村氏は、オハイオの大学(字幕上は「おはよ大学」)の取り組みも紹介した。この大学は、ガイドラインを作ると同時に「AIフルエンシー」プログラムを設けている。情報リテラシーを全学生に身につけさせるのと同じように、一種のAIリテラシーであるAIフルエンシーを全学部の学生に身につけさせるプログラムである。竹村氏によれば2025年ごろに始まった比較的新しい取り組みで、ガイドラインを作るだけでなく、教育プログラムと組み合わせる動きになっているという。
UCL(ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン)は、成績評価における生成AIの利用を3つのカテゴリーに分けている。「利用不可」「補助的な役割での利用」「不可欠な役割を果たす利用」の3つである。UCLはこの分類を示すだけでなく、各カテゴリーの具体例もウェブページに載せている。UCLでは教育学習センターにあたる「Teaching & Learning」の組織に「Generative AI Hub」が置かれ、学生向けにもさまざまな情報を発信している。竹村氏は、日本の大学なら簡単な文書で済ませてしまうような内容も、UCLでは生成AIで作った動画で示している例を紹介した。
国内の近い事例:大阪大学の教育ガイド
竹村氏によれば、日本の大学でUCLに近いことをしているのは、おそらく大阪大学である。大阪大学の教育学習支援センター(TLSC)は、生成AIの教育ガイドを公開している。ChatGPT登場直後には多くの大学が総長レベルで生成AIの利用についての文書を出したが、大阪大学の教育ガイドはそれより詳しい。基本事項や、教育・学生生活での活用方法などが載っている。さらに大阪大学では、教職員向けのサポート窓口を明確に示しているという。
ガイドラインに必要な定義と基本原則
こうした事例を踏まえ、竹村氏はガイドライン作成でまず必要になるのは生成AIの定義だと述べる。一般的には、大量のデータで学習したAIモデルが、利用者の入力やプロンプトに応じて、文章、画像、音声、動画、プログラムコード、要約、翻訳、分析結果などの新たなコンテンツを生成する技術やサービスを指す。
竹村氏は、定義の難しさも指摘する。以前はサービス名を挙げれば済んだが、今ではパソコンやスマートフォンのアプリに生成AIが組み込まれている。そのため、どれが生成AIか分からず、知らないうちに使っていることもあり得る。こうした状況も含めて、きちんと定義する必要がある。そのうえで、一般的なガイドラインに盛り込むべき内容として、竹村氏は次の点を挙げた。出力は常に検証の対象であること、そして事実性・公平性・著作権・個人情報・機密保持の観点から利用者の確認が必ず必要であることである。
竹村氏はUCLによる生成AIの説明も例に挙げた。LLMはウェブ、ソーシャルメディア、データベースなどあらゆるものから集めたデータセットで学習しているが、そのデータセットが必ずしも公開されているわけではない。そのため、LLMの基本的な仕組みを知ったうえで、ハルシネーションを防ぐさまざまな仕組みがどうなっているかを理解する必要があるという。
基本原則として、竹村氏は多くのガイドラインに共通して次の内容が書かれていると見ている。生成AIは非常に便利な基盤技術・プラットフォームだが、最終責任は人間が負うこと。法令・倫理・学術的誠実性が非常に重要であること。使用したツール、目的、範囲、プロンプトやログを説明できるようにして透明性を確保すること。そして原則そのものを継続的に見直すことである。
教育テック大学院大学で検討中の方針
竹村氏の大学でも現在、学生向け・教員向けなどに分けて、何が重要かをリストアップしているという。竹村氏自身は、その多くは「よくある話」だと述べている。
例として竹村氏は、AI検出ツールだけで不正を認定しないことを挙げた。現状ではAI検出ツールの精度があまりよくないためである。また、学生がツールを使えない状況にも配慮する必要がある。学生が個人で使うツールの場合、課金しているかどうかで使えるツールが変わる。こうした状況を考えると、大学が提供するツールに利用を限定する場合もあり得る。特に、AIツールの利用が評価に直結する場合はそうなるため、教員が配慮しなければならないという。
研究データや研究ツールとして使う場合にも、さまざまな検討が必要だとした。職員の事務・業務改善については、学生情報、人事情報、非公開の経営情報の扱いに注意が要る。クラウドベースのLLMでも、入力を学習に使わないことが契約に含まれていれば、ある程度はよいかもしれない。それでも注意は必要だという。
ガイドラインの標準構成案として、竹村氏らは一般的な注意喚起にとどめず、実際に運用できる文書体系にすることを目指し、その方針で作成を進めている。
作って終わりにしない:運用と組織体制
実装上の課題として、竹村氏はガイドラインは作って終わりではなく、作ったところが出発点だと強調する。作成後には、FD・SD(教職員の研修)を行い、学生向けのQ&Aを作り、シラバスの記載例を示す必要がある。UCLなどはすでにこれを実践している。さらに、相談窓口や事故対応の窓口を明確にする。竹村氏は、こうした取り組みが責任ある積極的活用につながると考えている。
日本と欧米の取り組みの違いとして、竹村氏は組織体制を挙げる。欧米ではCenter for Teaching and Learningのような組織を持つ大学が多く、そこが中心となって取り組んでいる。一方、日本ではまだそこまで至っておらず、教務委員会やFD委員会が担っている大学もある。竹村氏は、この違いが今後の取り組みの差として表れてくるのではないかと見ている。
教育機関としての生成AIの提供方法と残る課題
最後に竹村氏は、教育機関として生成AIサービスをどう提供すべきかを論じた。情報漏洩の防止、個人情報保護、機密保持の観点からは、サービス提供者との個別契約の内容をきちんと確認して締結したうえで利用すべきだという。個人で使う場合には、利用規約などを全部読んでいないこともあり得るが、機関としてそれでは困る、というのが竹村氏の説明である。別の方法として、機関単位でローカルLLMを立ち上げて利用することも挙げた。
ただし竹村氏は、それ以外のサービスの利用を制限したりモニタリングしたりすることは難しいと認める。学内ネットワークでトラフィックを制限しても、学外のネットワークから使えば分からない。この点をどうするかは課題として残るとした。
結論:ガイドラインは作れるし、作るべきである
竹村氏の結論は、生成AIのガイドラインは作成可能であり、作成すべきだというものである。さらに、その中に機関としての生成AI利活用ポリシーを組み込むことで、各大学が特色あるガイドラインを作り、互いに切磋琢磨しながら生成AIを学内で前向きに活用していく必要がある。竹村氏は最近そのことを痛感していると述べて、発表を締めくくった。
よろしくお願いします。私の方からですね、「生成AI利用に関するガイドライン作成は可能か」という題で、実はこれは可能なんですけど、実効性のあるガイドラインをどうやって作ればいいかということです。
私どもの大学院大学は去年の4月に開学したばかりで、社会人を対象に、教育DXを起こせる人材とかを育成する大学なんですけども、ですから一般の大学、一般の大学も今18歳が成人年齢ですから大学生はほとんど成人ってことになりますけれども、それ以上に社会経験のある人に何を教えるか。で、その時にも生成AIってのはどんどん出てきまして、
ガイドラインと言うと、初期の頃、出たての頃の文部科学省の通達なんか見ると、非常にその生成AIの問題を列挙して、それに対して大学側が安全策を取るって話なんですけども、色々調べてみると今はそういう時代ではないよと。で、大学がAI時代の教育研究、教育や研究や経営を再建するための基本方針として使えるんじゃないかという風に思っています。
で、簡単な自己紹介ですけども、元々大阪大学サイバーメディアセンターというところで25年ほど、24年ですかね、情報メディア教育研究部門というところで教育用の計算機の面倒を見ていた。まあ25、20年前はパソコン教室を並べてればそれで良かったんですけど、そうではなく、そのうち遅かれ早かれ皆さんパソコンを持ってくる、BYODの時代になってというところだと、そういうサービスから次何に変えるんだということで、教育を効率よくデリバリーするようなラーニングマネジメントシステムとか、あるいは講義映像を収録してそれをいつでもどこでも見返すようなことができるというものを導入したりしてました。
おかげ様でですね、コロナの時は幸いにして大阪大学はハードウェアは全然問題なく、その時既にクラウドでLMSのサービスや講義映像配信が行われてたので、それは全く良かったんですけれども、分かったのは、教員、先生方にいかにそれを効率よく使ってもらうかというノウハウが全然伝授できていないと。だからそこから、結局その時我々はほとんどそういうことのノウハウの伝授に色々時間を割いてたと。なんて言うんですかね、リソースとか、コンピューテーションパワーをいかに確保するかという必要はなかったんですけれども、一方ではいかにうまく使ってもらえるかということでかなり苦労しました。
で、今の問題意識としては、生成AIっていうのはですね、教育DX、ITを使って教育を変革させる中でも特に大きな影響力を持つ基盤技術であると考えてまして、これはですね、禁止、こう使い方を制限するというよりも、使いこなす力を育てる制度設計、ガイドラインにしてもそういうのが求められているだろうというのが、本日の発表の趣旨かもしれません。それは分からないんですけれども。
まずですね、これは今更言うまでもないんですけれども、なぜこういう大学に生成AIのガイドラインが必要か。これは元をただせば、我々全員ですね、ChatGPTが出てきた時に衝撃を受けたわけですけど、これを使うと学生がレポートを簡単に書けるんじゃないのかというところから始まって、文部科学省も「大学・高専における生成AIの教学面の取扱いについて」というガイドラインを出して、このガイドラインでは主に学生の利用について、ガイドラインの設定とその必要性について言及してます。
で、実は大学のステークホルダーは学生だけではなく、教員、研究者、職員、教員と研究者って同じ、大学の教員は研究者でもあり、教える立場でもあるとこですけれども、学生はレポートや要約、翻訳、コード生成、アイデア出しですね、日常的に生成AIを活用するようになってますし、教員もその教えるという立場では教材を作成したり、あるいは学生が送ってきたレポートに対してのフィードバックを、ルーブリックを定めてAIにどう答えたらいいかを聞くという場合があるかもしれません。で、あるいは授業設計とか評価の設計にも活用できるものです。で、研究者としての文献整理や分析補助、文書構成、関連研究調査等にですね、多くの研究者が今ではですね日常的に活用されてるんです。
で、また職員にとってもですね、業務効率化、こちらが1番、大学の教学DX的には職員の方に使ってもらうのが非常に重要で、文書作成とか問い合わせ対応、これをチャットボットで実現する時に生成AIにいろんなドキュメントを読み込ませといて、それで答えてもらうってことはできるようになるという。ただ問題は、これら全てに対してですね、生成AIが持っている、大規模言語モデルであるがゆえに持っている問題について意識をしとかないとトラブルが起こるっていうのが、ガイドラインが必要なためです。
で、当初はそのためで、そのリスクっていうのは何かって言うと、もう皆さんご存知ですけども、個人情報や機密情報が漏洩する可能性があるとか、著作権や利用規約違反、これは生成AIの側の利用規約に違反する場合がある。あるいは知らない間に剽窃とか不正利用、誤情報への対応、あるいはその公平性や差別やバイアスへの配慮が欠けるような文書が出てくる可能性もないことはない。
あるいは生成AIを使ってレポートを提出したらもう不合格ですよ、それは不正と見なすというと、大学によっては不正行為を働くとその学期の成績が全部不合格になるっていうことがあるわけですけど、これはですね、だけど生成AIを使ったかどうかっていうのを、使ったらダメですよ、あなた使いましたねって、本人が使いましたって言ったら分かるんですけども、生成AIを使ったかどうかっていうことを判定する技術も実はあまり確立はしていないということは言われてますから、こういう時に紛争が起こらないような予防のためにも何らかの防衛策が必要だっていうのが最初の考えでした。
ところがですね、一方では積極活用をしようというガイドラインが、いくつか見たんですけど出てきてます。で、これはこういう時代でもですね、世の中はもうどんどん使ってるわけですから、大学だけがそれを使わないという文化を醸成しても何の意味もないということで、学生がいかに社会に出た時に使えるAIリテラシーを育成するかっていうようなことをガイドラインに盛り込んでる例が出てきています。それから教員の教材作成で、さっきも言いましたこういう教員を支援するとか、こういった積極的な利用で、これをどうすれば積極的に利用できるかということをガイドラインに盛り込むっていう方向があるようです。
国内外の大学のガイドラインに見られる傾向と言っても、この後で九州大学さんがガイドラインについてお話をされますから、いくつか調べたんですけども、コーネル大学なんかではですね、課題とかシラバスでAIの利用条件を明示するということをしています。で、利用可否は教員方針と学術的誠実性、アカデミックインテグリティに接続、関係していて、教員の裁量を尊重する設計になっています。
これは最後の参考のところにこれ全部リンクが貼ってありまして、ここをクリックするとご覧いただけるようになってるんですけども、コーネル大学の場合は例えばそのアカデミックインテグリティに関してっていうか、この欧米の大学でですね、後でも言いますけれども、こういうサービスをしてんのはCenter for Teaching InnovationとかCenter for Teaching and Learningと言って、まだ日本の大学では一部整備できてますけど、なかなかできてないような組織がこういうことに当たっていると。
で、例えばその面白いのは、これはコースアイコンというのをね、設計していて、このAIをどれぐらい使っていいよっていうのをアイコンで示すことによって、教員は必ずその授業に対してどういう使い方をしていくかというのを表示してください。で、All use is permitted unless otherwise specified by any AI。これなんかクリエイティブ・コモンズのアイコンみたいなとこがあるかもしれませんけども、それとかInstructor-approved AI tools onlyとか、インストラクターが言ったものとか、こういうような色々な形であります。で、こういうやり方をやってるところがあります。
で、また戻りまして、オハイオ州立大学は、AIフルエンシープログラムというですね、ガイドラインを作ると同時にですね、要するに情報リテラシーを全学生に身につけさせるのと同じように、AIフルエンシーという一種のAIリテラシーを全ての学部学生に身につけさせるプログラムを作ってます。これは割と最近で、2025年ですかね、割と最近から始まったものですけども、そういう動きになってる。だからガイドラインを作るだけでなくて、そういう動きをしてる。
で、UCLはですね、これも成績評価においては生成AIのカテゴリーを3つに分けてってことをやってるわけですけども、あ、ここですね。オハイオ州立大学じゃなくて、UCLは生成AIの利用の3つのカテゴリーというのは、利用不可か、補助的な役割での利用、あるいは不可欠な役割を果たす、こういうような形で3つに分けています。で、これはもちろんこういうことを言ってるだけではなくて、それに対するいろんな例をですね、このUCLのページに行くと載っています。で、これも終わりのところにリンクが貼ってあるんですけども、こっから見ていくと、3つのカテゴリー、1、2、3とかがありまして、
これ面白いのはですね、ここもUCLはですね、Teaching & Learningという、要するに教育学習センターというところにGenerative AI Hubというのが置いてあって、ここでStudentsということで、いろんな情報が発信されてます。よく見るような例ですけど、我々は簡単に文書で書いてしまうようなものも、生成AIで作ったようなビデオがありまして、再生してみるというようなことができてると。
で、これに近いことをやってるのは多分日本の大学では大阪大学ですね。大阪大学の教育学習支援センター、TLSCというところが、これ載せてありますけども、生成AIの、ここですね、教育ガイドというのを出しています。で、ここの生成AIの利用について、これはもう最初にChatGPTが出てきた時にいろんな大学が総長レベルで出したもんですけど、こっちの生成AI授業ガイド、教育ガイドに関してはもう少し詳しく、同じように基本とか教育と研究での活用方法とかも載せて、で、これは大阪大学の場合、教職員からのサポートは、それぞれ教職員に対してのサポート窓口を明確に提示をしています。
で、こういうのを見てますとですね、まずこのガイドラインを作る時に必要なのは生成AIの定義ということは言うまでもないわけですけども、これがですね、一般的にはこのように、大量のデータを学習したAIモデルが、利用者の入力とかプロンプトに応じて文章、画像、音声、動画、プログラムコード、要約、翻訳、分析結果等の新たなコンテンツを生成する技術、またはサービスで、昔はサービスであればですね、それはその、Google Geminiとかサービス名を言えば良かったわけですけど、今このサービス自体がパソコンやスマホで動くアプリ上にエンベッドされて出てきているので、どれが生成AIで、知らない間に生成AIを使ってるってこともあり得るという状況です。
で、そこも含めてきちんと定義をして、で、出力は常に検証対象であるということと、事実性、公平性、著作権、個人情報、機密保持の観点から利用者の確認が必ず必要っていうのをまず盛り込むっていうのが、一般的に見られるガイドラインの必要情報だと思います。
例えばUCLの生成AIの説明だとこういうことが言われてるわけですけれども、ちょっとなんか今ピンと鳴ったんで、あと5分じゃないかと思うんで、いろんな説明がありますけれども、例えばそのLLMの性質ですから、Webやソーシャルメディア、データベース、あらゆるものから学習したデータセットを用いて学習してるんですけども、その学習に使ったデータセットが公開されてるかというと、必ずしもそうではないと。で、従ってですね、元々のLLMのメカニズムを知って、その上で今例えばそのハルシネーションを防ぐためのいろんな仕組みがあって、それがどうなってるかというのになる。
で、基本原則としてはですね、結局それは基盤技術と位置付ける、非常に便利なプラットフォームだが人間が最終責任を、そして法令、倫理、学術的誠実性がすごく重要であるということと、使用したツール、目的、範囲、プロンプトやログを説明可能にするような透明性を確保して、継続的にその基本原則を見直すということが、どこの原則にも書いてあると思われます。
で、これはですね、今から出てくる方針というのは、教育テック大学院大学でも今考えていて、学生向けとか教員向けで、どういうことが重要ですよということをリストアップしています。で、これはご覧いただいたら分かるように、普通の、よくある話ですけど、例えばAI検出ツールだけで不正認定はできない、しないって、これはAI検出ツールの検出精度が今一つあまり良くないと。で、学生が使えない状況にも配慮すると、すなわち、学生が個人で使えるものだと、例えばそれを学生が課金してるか課金していないか、課金できない人は課金してる人に比べて使えるツールが違うので、そういう状況を考えると、大学が提供するツールに限定して利用するというような場合もあるかもしれないと。これはそのAIツールの利用が評価に直結するような場合はそうなるということを教員が配慮してないとダメです。
で、一方ですね、研究者の研究のデータとしても研究ツールとして使う場合にも色々考える必要があり、あと職員、事務、業務改善と説明に関しては、ここですね、学生情報、人事情報、非公開経営情報は、基本的にはクラウドベースのLLMで、きちんとそれは学習に使わないということが契約に入っていればある程度いいかもしれないですけども、そこは注意する必要があるということになります。
で、ガイドラインの標準構成案としては、このように一般的な注意喚起でなく運用できる文書体系とするということを考えて、我々は今こういう体系で作っています。
で、実装上の課題というか、結局ですね、これは今作らないとダメだって分かるんですけど、作って終わりでなくて、これを作ったところが出発点で、それに対してFD・SDをして、学生向けのQ&Aを作って、シラバスの文例を例えば提示してるという、これは先ほどUCLなんかではやってるんですけれども、相談・事故対応の窓口は明らかにすると。で、これが責任ある積極的活用へというところへ繋がっていくんだと思います。
で、ちなみに、日本と欧米の生成AIの取り組みの状況なんですけど、今見てきたように、欧米はですね、Center for Teaching and Learningという組織がある大学が多いので、そこが中心となって色々やってるんですけど、日本の現状ではまだそこまでいかないと、大学の教務委員会とかFD委員会がやってるところがあって、そこがこれからの取り組みに差が出てくるんじゃないかと思います。
で、あと最後まとめとして、教育機関として生成AIのサービスをどう提供すべきかで、情報漏洩防止とか個人情報保護、機密保持の観点からは、例えばサービスプロバイダーとの個別の契約をきちんと確認して締結して利用する。これは多分我々が使う時でも、例えば個人で使うものに関して全部情報を読んでるかっていうとそうではないっていうことはあり得るわけですけど、機関としてはそれはまずいので、個別の契約をきちんと締結すると。それから、あるいは機関単位でローカルLLMを立ち上げて利用する。ただしそれ以外のサービスを利用制限したりモニタリングすることは困難なので、ネットワークでトラフィックを制限しても、それは機関外のネットワークから使えば分からないわけですから、そこをどうするんだっていうのは少し課題が残るというとこです。
で、ということで、ちょっと駆け足になりましたけども、生成AIのガイドラインは作成可能で作成するべきで、かつその中に機関としての生成AIの利活用ポリシーを埋め込んでいくことによって、各大学が特色のあるガイドラインを作り、切磋琢磨してですね、このツールを教学にポジティブに利用していくということが必要だということを最近は痛感しております。以上でございます。
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