卒業取り消しの翌日に北海道へ 京大医学部生・もごの2日間

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概要

京都大学医学部生のもごは、卒業を1か月後に控えて卒業取り消しを告げられた。このチャンネルの運営者トマホークが、その直後に一睡もしないまま北海道へ向かったもごに2日間同行した。カニや雪まつりの合間に、卒業取り消しに至った経緯、精神的な不調、医学部で過ごした6年間への考えが語られている。

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新千歳空港のピアノの前から始まる

動画は新千歳空港のピアノの前から始まる。「自分探しの旅」に出たら気づくとここにいた、ともごは冗談めかして話し、旅に出た理由は卒業取り消しになったからだと明かす。前夜は一睡もしていない。ゲーム「Slay the Spire」が楽しすぎて徹夜したのだという。空港の外の雪を見て「濁った僕の心とは全然違う」と言ってみせる。一方で「こっからテンションぶち上げて楽しんでいく。そうでもせんとやっていけん」とも言い、実習が1日か2日はみ出しただけなのに、と怒りも口にした。

卒業取り消しの経緯

もごの説明によると、ほとんどの学生は3月に卒業するが、臨床実習は12月までに終える必要があった。もごは精神科に通いながら実習に出ており、心身ともにつらく、高熱を何度も出していた。そのため終わっていない実習が残り、数日分が1月にずれ込んだ。

1月にその数日分をこなし、これで卒業できると思っていたところ、1月以降に実習をすると卒業取り消しになるらしいと分かった。本人は「また1年が始まる」と受け止めている。数日後に控えていた医師国家試験も受けられなくなった。勉強は少ししていたが、どうでもよくなって全部忘れたと話す。この日のもごは自らを「無職」と名乗っている。

札幌の街と雪まつり、北海道大学

札幌へはもごの希望で来た。「北海道大学医学部にマウントを取るまでが旅」と冗談を言いながら大学近くを歩き、道端の汚れた雪を「近くで見たら地雷系メイク」とたとえる。夕食はカニ本家に決めた。予約は満席で、整理券を取って順番を待つ。もごには、昔カニ本家を予約したつもりが友人に別の店を予約され、時間ぎりぎりに着いてコース料理を一気に出され、ほとんど食べられずに帰った経験があるという。

待ち時間には雪まつりを見て回った。初音ミクらしい雪像を見つけ、それが白い初音ミクだと気づく。歯や歯茎、胃袋の雪像もあった。胃袋を見たもごは、吐いた息を袋にためて調べる検査を医学生らしく説明する。通りがかりの人から写真を頼まれた際は、カメラを下に向けて脚が長く見えるように撮ったと得意げだった。この日はエナジードリンクのモンスターを2本飲み、飛行機ではコーヒーも大量に飲んでいたという。

北海道大学の南門では、学歴調査で知られるYouTuberのパロディを演じた。広いキャンパスを「公園大学」と茶化し、京大を卒業したら北大に再受験しようかとも冗談を言う。

カニを食べながら語った精神状態

カニ料理は2人前で9,200円ほどのコースを選んだ。もごは「俺のチャンネル炎上するかな」と言いながらも、自分を責める声には「精神病患者に何てこと言うんや」と思っていると笑う。

本人によれば、人と話しているときは調子がかなりいい。一方で、物を落としたとき、物が見つからないとき、一人になったときに泣いてしまう。テンションが高すぎるため、周囲からは躁っぽいと言われることもある。適応障害や不眠症の診断を受けてはいるが、自分が精神病だとは信じていない。信じたら本当にまずいから、というのが理由だ。

人と話していないと不安になるので、ずっと喋っているのだとも話す。話さずにいると、明日死ぬかもしれないという妄想が勝手に始まる。そのため実習期間中は寝るのが嫌で徹夜し、その反動で結局10分ほど遅刻することがあった。

不調のきっかけ

不調のきっかけについて、もごは次のように語った。7月に実習で行った病院に、もごの「アンチ」らしい医師がいて、もごが来た日に悪口を言っていた。最初は聞き間違いだと思ったが、同じ班の友人からも悪口を言われていたと指摘された。そこから、この診療科に行く意味はないと感じ、やがて実習そのものに行く意味がないと思うようになった。行かなければ卒業できないと分かっていても行けず、鬱っぽくなっていった。もごはこの件を大学の教員に伝え、京大の中でも問題になったという。

カニを食べるもごは、この料理のうまさを「かつてカニだったものの魂の叫び」と表現してはしゃいでいた。それでも、今話せる相手はトマホークともう1人の友人くらいしかおらず、「ガチ孤独」だとも明かしている。トマホークと話しているときは実際に元気なのだという。

宿と露天風呂、同人誌のサイン

この旅の目玉は宿だった。広い部屋にはなぜかピアノまであり、もごはここでも1曲弾いている。2階の露天風呂からは北海道の景色が一望でき、もごは人生で初めての体験だと喜んだ。温泉の成分表示を見て、2人でイオンや硫酸の化学式をネタにした冗談も交わしている。

もごはイラストも描く。この宿では『呪術廻戦』の虎杖悠仁と両面宿儺を描いた。所属サークルでは勉強法をテーマにした同人誌を作っていて、サイン入りのものも見せたが、破れてしまったため出さないという。トマホークは、見るたびに絵が上達していると話している。

2回目の夕食と『NARUTO』談義

宿での夕食は、カニの3時間後の「晩飯2回目」だった。話題は『NARUTO』に移る。もごが一番好きなキャラクターは自来也とイルカ先生で、自来也が死んだときは泣いたという。

もごは自分が漫画から学んだことをこう整理した。『ドラゴンボール』からは努力の大切さを、『NARUTO』からは育ての親と産みの親が別でもいいということを、『ONE PIECE』からは登場人物が多すぎるとつまらないということを学んだ。イルカ先生が好きな理由については、自分がいじめられていたとき、父親以外にそうやって支えてくれる先生がいたらと思ったからだと語る。トマホークがイルカ先生も死んだかと尋ねると、もごは背中を刺されただけで最後まで生きていると訂正した。トマホークが一番好きなのはマイト・ガイで、もごも、忍術漫画なのに忍術を使わず努力だけでラスボスに認められる人物として好きだと応じた。

冷笑について

食事中の話は「冷笑」にも及んだ。もごは生配信で冷笑を使いすぎて、現実の会話でも使ってしまうと冗談を言う。一方で、冷笑は一つの病のようなもので、みんながやり出すと人類の発展は止まると思うとも話す。冷笑で人を炎上させることもできるという。自分は冷笑に立ち向かう側だが、冷笑する相手には冷笑を使う、ともごは付け加えた。

これからの生活と「本当にやりたいのか」

食後、トマホークは今後の人生について尋ねた。もごは、最悪の場合はトマホークに雇ってもらうと答える。雇われなかった場合は、自分のYouTubeチャンネルとコミケの収入で生きていくしかなく、ぎりぎり生きていけるかどうかだという。

ここから話は医学部全体に広がった。今はやりたくないことを「やりたくない」と言えない時代だ、ともごは言う。医学部の同級生に「本当にやりたいの」と聞くと、言葉に詰まる人が結構いた。医学部の6年間は医者になるためだけでなく、この職業が本当に自分に合っているかを決める6年間でもあるはずで、このままこの学部でいいのかを考えたほうがいいとも話す。「税金で学んでいるのだから医者にならなければいけない」と第三者から言われることもあるが、それは聞かなくていい、というのがもごの考えだ。そうした要求を、税金で動く政治家に近い振る舞いを求めているようだとも表現している。

深夜の宅飲み:「魔虚羅」と社会への適応

夜は部屋で酒を飲みながら、言いたいことを言い合う時間になった。トマホークは、視聴者のコメントにあったように、もごは1日の密着では解明できないと話す。IQが高いのか、ADHDやASDの傾向なのか、よく分からないのだという。

これに対してもごは、自分を『呪術廻戦』の魔虚羅になぞらえた。どんな術式にも時間をかければ適応して効かなくなる存在で、もご自身も集中すると適応が非常に速いという。もともと得意なのは国語だったが、数学も英語も理科も、時間をかけて適応したら急にできるようになった。しかし社会にだけは適応できない、ともごは話す。トマホークは、社会に適合するという言葉の定義は難しすぎる、社会にはいろいろあり、誰でも適応できない部分を一つくらい持っているのではないかと返した。

話は恋愛経験にも及んだ。もごは自分を「チー牛」でモテない側だと言いながら、経験人数は二桁あると明かす。大学に入ると飲み会の場はあり、積極的に参加していたという。どの大学の飲み会かは言わなかった。眠れないため、毎晩ASMRを聞いているとも話す。2人で耳かきやマッサージ系のASMRを試しに聞いてみると、徹夜明けのもごは急に強い眠気に襲われた。一晩寝ずに動き続けていることを驚かれると、「体力は0になったところから本番」と答えている。

最終日、すすきのから友人のもとへ

翌日、2人は疲れを認めつつもすすきのへ出かけた。「メンエス」に行くとほのめかしたが、実際はアミューズメント施設での音楽ゲームだった。もごは眠気で思うように叩けなかったという。3回プレイして北海道勢として認定される仕組みがあると、もごは「僕北海道です」と名乗った。

時刻は13時24分で、帰りの飛行機は19時10分。最後に食事へ行く予定だったが、もごはやるべき用事を思い出したと言い出す。近くに住む友人に会いに行くことになり、密着はここで打ち切りとなった。締めくくりに、卒業取り消しのショックはなくなったかと聞かれたもごは、「あと一息」と答えた。旅で気持ちは少し持ち直したが、まだ足りないということだ。別れた後、トマホークが少しだけもごの後をつけてみるものの、雪道で滑るうちに見失い、「友達の家はこんなところにあるのか」と首をかしげる場面で動画は終わる。