両親の介護を終え、子どもが巣立った家をどう組み直すか 古堅純子が訪ねた「抜け殻になった家」前編

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概要

片付けの専門家・古堅純子さんが、子どもが独立して夫婦二人暮らしになった一軒家を訪ねた回の前編である。この家では祖父母の介護が終わり、子どもたちも家を出た。部屋の使い方だけが昔のまま残り、奥さんは片付けたくても自分では体が動かない。古堅さんが家の中を見て回りながら、どこから手を付けるかを奥さんと決め、家具の大移動を始めるまでが描かれる。

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最大6人が暮らした家に、夫婦と犬1匹が残った

家に住むのは夫婦2人と犬のマロンである。奥さんによれば、娘と息子は今年独立した。冒頭では「この春」と話しているが、後半では娘の独立は8月だったとも述べている。どちらも週末にはよく泊まりに来る。この家では祖父母の介護もしていたので、一番多い時期には6人が暮らしていた。今は2人で夜な夜な酒を飲んでいる、と奥さんは笑って話す。

玄関には酒瓶を並べた棚がある。これはもともとリビングの飾り棚だったが、犬を飼い始めてリビングを犬のスペースにしたため玄関へ移したものだ。今のリビングは、人が犬の場所にお邪魔してテレビを見ながら犬に癒される空間になっている。ご主人はお酒が好きで、いつか自分のバーを持つのが夢だという。リビングには野球の道具も目立つ。息子さんが今も週末に地域の社会人野球をしているためだ。

古堅さんはリビングについて、やや物は多いが散らかってはおらず、一部の物の置き場所を変えれば何とかなるのではないかと見た。ただ奥さんは、その「置き場所を変える」ことが自分ではどうにもならないのだと答える。

2年前の依頼と、その後の変化

途中で古堅さんは、この家に以前も来たことを思い出す。2年前の2月、奥さんの母親が亡くなったときに依頼を受けていた。和室にあった巨大なクローゼットを2階へ上げ、そこへ祖父を迎えてベッドを置けるようにした。当時はYouTubeの撮影ではなく、作業はマナミさんらが担当したと古堅さんは説明する。奥さんによると、古堅さん自身もその頃に身内の不幸があったという。

その祖父も昨年12月に亡くなった。和室は今もすっきりしているが、家の中にはまただんだん物が溜まってきた。家族の状況がめまぐるしく変わった2年間だったと古堅さんはまとめている。

奥さんの体の事情と「一度下ろしたら上げられない」問題

今回の依頼の背景には、奥さん自身の体調がある。コレステロールを下げる薬の作用で筋肉が溶けてしまう症状が出たという。字幕では病名が崩れているが、横紋筋融解症のことと思われる。朝は膝がほとんど曲がらず、手も上がらない。大きな物は動かせず、背丈より高い場所に手が届かず、しゃがむこともできない。奥さんは55歳で、古堅さんは「ちょっと私の姉さんね」と応じ、自分もいろいろな所が痛いから分かると話した。

この事情が片付けにも響いている。奥さんが困っていることの一つ目はキッチンで、特に背面の食器棚だ。最初は上の段に置いていた物も、一度使うと下ろしたまま溜まってしまう。上の段にも下の段にも手が届きにくいが、まだ下のほうが取れる。古堅さんは「1回下ろしたら終わりで、もう上げることもできない」と状況を言い表し、その結果食器棚の半分が死んでいると指摘した。

二つ目は2階である。娘さんが出ていって空いた部屋に、奥さん自身の物を集めたいという。

キッチンへの助言:動かない物を作業場から出す

古堅さんは、キッチン作業と2階の大移動を同じ日に両方やるのは状況によっては難しく、どちらかを諦める必要があるかもしれないと前置きした。そのうえでキッチンを見て、次のように助言している。

このキッチンは広くないので、物が多いと動きにくい。今の体の状態を考えると、あまり動かない物はこのスペースから出し、よく使う物を手の届く「ゴールデンゾーン」に集めたほうが作業しやすい。それでも手放せない物は、たとえば和室に移す。コンロ周りに便利だからと置いている物も、かえって作業場を狭くしている。作業台は、物を出したときに一時的に置く場所として空けておくべきだという。

どちらを優先するか聞かれた奥さんは2階を選び、キッチンは自分で頑張れるかもしれないと答えた。古堅さんも、キッチンは狭い範囲なので自分で改善できる余地があるが、2階は大移動が必要で自力では無理だと判断した。

玄関の酒棚と、家じゅうで起きている「玉突き事故」

2階へ上がる前に、奥さんは玄関の飾り棚も2階へ上げたいと言い出した。リビングには戻さず、ご主人の部屋に置きたいという。古堅さんは、棚の上に埃が溜まっていることにも触れ、飾り物はガラス戸や扉の中にしまったほうが掃除が楽で綺麗だと述べた。ご主人はこの日、急に仕事を休めなくなって不在だった。奥さんによれば、事前に聞いた際の返事は「もう好きにしていいよ」だったという。

棚がなくなると、今度は玄関の靴置き場が丸見えになる。玄関にはもっと広い収納があるのに使いにくく、うまく使えていない。靴も「これ誰の靴」という物が混じり、子どもたちはもう成人して出ていったのに昔の物が残っている。古堅さんは、2年前にキッチン以外がいったん落ち着き、その部分はうまく回っているが、それ以外の場所には長年溜め込んだ物が動かないまま残っていると見る。一か所を動かすと別の場所に押し出される「玉突き事故」の状態で、家全体を見直す時期に来ているという。

2階の寝室:夫婦が別々のベッドで寝ている理由

2階の突き当たりの部屋にはベッドが2台並んでいた。今は夫婦の寝室である。2年前には、息子さんと奥さんが起きる時間帯が同じだったため、この部屋を二人で分けて使い、ご主人は下の和室で寝ていた。そのときに部屋をセパレートにしてほしいと依頼したのが古堅さんで、今の配置はその名残だ。息子さんが出ていった後にご主人がここへ移り、夫婦が別々のベッドで寝る形になった。奥さんは、仲が悪いわけではなく、それぞれで寝たいから分けているのだと説明している。

この部屋のタンスの中身はすべて奥さんの物である。奥さんの希望は、それを空いた娘さんの部屋へ移して自分のプライベートルームを作ることだ。寝る場所はこれまで通りこの寝室でいい。娘さんが週末に泊まりに来たとき、布団を1枚敷けるスペースも確保したい。息子さんが泊まるときは下の和室を使う。

娘の部屋を「衣装部屋」にする条件

娘さんの部屋を見た古堅さんは、奥さんの物を移すというのは、実際にはあの量のタンスを持ってくることだと念を押した。寝室は広いのでタンスが並んでも気にならないが、この部屋に入れれば相当な圧迫感が出て、タンスの部屋、衣装部屋のような雰囲気になる。それでもいいかと聞くと、奥さんはそれで構わないと答えた。

そのためには、使わない家具を減らす必要がある。子どもたちが学生時代に使っていた学習机が2台あり、どちらも今は使われていない。古堅さんは、こうした物は処分に困るものだと認めつつ、今の奥さんの体で大型家具を解体したり運び出したりするのは大変な作業だと指摘する。手放すつもりなら、まず2台とも和室へ下ろせばいい。押入れの中身は布団類なので、下の押入れに入るなら下ろしてもいい。この部屋は母と娘の服の定位置になるワードローブで、いつでも誰か1人が寝られる環境にする、という方針が決まった。

ご主人の夢「寝室にバー」

もう一つの要望はご主人の夢から来ている。玄関の酒棚を使い、自分の部屋をバーのようにしたいという。奥さんは、寝室とバーがどう共存するのか分からないと思いながら話す。古堅さんは「夢なので」と受け止め、酒棚が映えるように置き、グラス類を並べて寝る前に少し飲めるようにすればいいと提案した。今は合宿所のようになっている寝室を「大人の寝室」にする方向で、この日は2階を中心に作業することが決まった。

前回作ったクローゼットと、高所の「隠し場所」

前回、和室から2階へ上げた巨大クローゼットは、今はご主人のエリアになっていた。古堅さんは「こんないい場所があるのに」家具が多く外に出ていると見る。奥さんは、クローゼットの上に隠し場所のような収納スペースがあり、家族が使わなくなった物や季節物をそこへ上げていると明かした。

古堅さんはすぐに止めた。手足が不自由な状態で上に上げるのはまだいいが、下ろすのが危ない。よく使う物を高い所に上げてはいけないという。ただ、ここまで作り込まれた収納を壊す流れにはならなかった。周辺には、娘さんがメルカリで売ると言っていた物もあちこちに残っている。

ご主人にこれほどいい場所を一人で与えていいのかと古堅さんが聞くと、奥さんは構わないと答えた。二人暮らしなので、自分は娘の部屋のほうを使う。娘さんは泊まりに来るが、基本的には奥さんのスペースが中心でいい。娘さんの衣類はかなり詰めることになるが、それも了承した。

交通整理の方針と「全部は入らないかもしれない」という警告

部屋には、ほとんど使われていない息子さんの衣類も残っていた。古堅さんは物の行き先を整理した。ここはお父さん、ここは奥さん、息子さんの物は和室、娘さんの物は奥さんと共存させる。奥さんの物を上げると同時に、息子さんの物を下へ下ろす。今ある収納をやりくりし、足りない分だけ入れ物ごと持っていき、そうでない物は中身だけ移して入れ物は残す。

一方で古堅さんは、物は意外と多く、全部は入らないかもしれないと警告した。測れば壁一面にタンスが並び、残るのは通路だけで、その通路に布団を敷くような形になる。奥さんは、布団1枚が敷ければ本当にそれで大丈夫だと答えた。娘さんの部屋のクローゼットの中はほぼ空で、残っているのは仕組みの残骸と、上に上げたいと思っているぬいぐるみ程度だという。

階段下に溜まる物と、工事の範囲の広がり

2階へ上がるのが面倒で、帰宅後の物が玄関や1階に溜まりがちだという話も出た。空になった衣装ケースやハンガーラックもある。ハンガーラックに掛かっている物が毎日使う物でないなら、ここも上に上げられると古堅さんは見る。そして、キッチンを綺麗に掃除すればいいと思っていたら「2階だけじゃないじゃないか」、だいぶ大工事だと笑った。

作業の段取りは次のように組まれた。まず下から上げる物を上げる。空いた場所に息子さんの物を収めてから、学習机2台を下ろす。机が下りないと娘さんの部屋のデザインができないので、午前中にそこまで終わらせたい。同時に玄関の酒棚も2階へ上げる。2階の布団は、娘さん用の1組を残してすべて下ろす。押入れのうち奥さんの物は上げ、空いた所に息子さんの物を入れる。

古堅さんは、奥さんが自分でここまで具体的に指示を出すことに驚き、「週末ビフォーアフターをこんなに活用する人もなかなかいない」と述べた。要望が明確なので分かりやすいという。前回も奥さんは自分のイメージを持っていたそうだ。ただ、言われた通りにすると一つの部屋がタンスの部屋になるという点は、古堅さんも何度か繰り返している。スタッフ側からは、言っていることは分かるが「だいぶ無謀なこと言ってます」という声も上がった。

作業中の会話:55歳で考えること、実家から流れてくる物

作業が進むなか、犬が来てから使わなくなったクッションの扱いが話題になった。新しい物なので、2階で使うか捨てるかを検討する。学習机のうち、12畳の部屋にある1台は下部が傷んでいるので処分し、娘さんのボロボロの椅子も処分する予定だ。残りの1組は、12畳の部屋でちょっとしたワークスペースとして使ってもいいという話になった。

奥さんは、実家の片付けをして思ったことがあると話す。親の介護を経験したから、子どもたちに迷惑をかけたくない。古堅さんも、55歳になれば少し考えたほうがいいと応じた。古堅さん自身は20歳で家を出てバッグ1個しか持たないような暮らしをしていたので、物への執着はあまりないという。一方で、実家に物があると片付けても子どもの家へ流れてきて行ったり来たりする。この家では、それが今年まで続いてしまったのだと古堅さんは見ている。

奥さんは2年前の依頼以前から番組を見ていた。デジタルが苦手なため、連絡先を手帳に書いておき、それをたどって依頼したという。古堅さんは今は個人宅の依頼を一切受けていないと話しつつ、久しぶりに整理収納アドバイザーのような仕事をしていると漏らした。まず景色から作る「ブルドーザー」モードが発動すると、細かい引き出しの中まではなかなか手が回らないという。

12畳の使い方と、タンスの搬入

古堅さんは12畳の部屋についても一つの考え方を示した。今は6畳と6畳に分けて使っているが、たとえば4畳と8畳のように配分を変えることもできる。息子さんの物はここへ寄せても入り切らないし、奥さんの部屋もタンスが入ればかなり埋まる。高い所へ上げるのは良くないので、あとは捨てていくしかない。今日中に捨てられない物は、寄せておける場所があればいいという。

前編は、奥さんのタンスを傾けながら娘さんの部屋へ押し込む場面で終わる。ナレーションは、暮らしが変化しているのに部屋の使い方は昔のままだったとまとめ、次回、夫婦が快適に暮らせるよう大改造した様子を伝えると予告した。タンスを並べた娘さんの部屋に本当に布団1枚分の通路が残るのか、ご主人の「寝室のバー」がどう形になるのかは、後編に持ち越された。