段ボールだらけの3LDKで、夫婦の「物の持ち方」の折り合いを探る 古堅純子「週末ビフォーアフター」ダンボールパレスの家・完結編

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概要

3LDKのマンションに夫婦で暮らす家の片付けは、今回が3回目で完結編になる。前回は段ボールで埋まった部屋の中身をすべて出し、その部屋を寝室に作り替えた。残った問題は大きな家具と大量の段ボールをどうするかだった。

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片付けを担当する古堅純子は、この回で物の配置だけを扱ったのではない。「捨ててほしい」夫と「時間をかけて見たい」妻のあいだで、夫婦としてどう折り合うかを話している。そのうえで、この家には何が必要かを具体的に示していく。

作業の段取り:いつもと逆に、段ボールをリビングへ寄せる

古堅の通常の方式では、片付けたい場所の物を別の部屋へすべて寄せ、まずその場所をきれいにする。今回はこの手順を逆にした。「ダンボールパレス」と呼ばれた部屋の段ボールをすべてリビング側へ運び、午前中に妻が見られる物は見てもらう。寝室の隣の部屋は、物を寄せておく部屋というより書斎にする計画だった。物の山の一番奥の壁際には机が埋もれていた。これを使える状態に置ければ、今後そこでいろいろな作業ができると古堅は考えた。

古堅は仕分けの順番についても助言した。妻は本が好きなので、本は見られないのではないかと古堅は言う。好きな物ほど数が増えるので、好きな物と向き合うと1日が終わってしまう。だからまず「本当にどうでもいいもの」を探そう、というのが古堅の方針だった。また、亡くなった弟さんの物は記憶に新しく、見るのがつらいかもしれないと気遣った。自分の物でも何年も開けていない箱がたくさんあるはずだ、とも言っている。

古堅は自分では「捨てることを推奨していない」と断っている。ただ、この家では夫が妻に捨ててほしいと思っている。そのため、捨てられる物なら捨てて、頑張っている姿を夫に見せよう、と妻に促した。

「仕分け方が分からない」妻への具体的な手ほどき

作業が始まっても、妻の手はなかなか進まなかった。何から始めればいいのか、雑貨をどう分ければいいのか分からない、と妻は打ち明ける。古堅は、捨てなくていいから器を決めることを勧めた。たとえばこの小さい箱には文房具だけを入れていく。細かい分類は後でやればいい。こうして「入れる先」を先に決めるやり方を示した。スタッフのマナミさんも箱を開けるのを手伝い、妻は教わりながら作業を進めた。

2台のソファーをめぐる対立

家具の問題で大きかったのはソファーだった。夫は本気で片方を手放すつもりでいる。夫の不満は、妻がリビングのソファーで寝転がっていることにあった。夫は「ここでゴロゴロされてんのが嫌なだけ」と話し、座り心地の話ではないことが見えてくる。古堅は、奥の荷物がなくなれば窓際に2台置けるかもしれないと提案したが、夫は受け入れなかった。

最終的に、リビングのソファーをめぐる対決は夫の勝利に終わった、とナレーションで古堅は伝えている。後の振り返りでも、古堅は「ソファーはご主人に譲り、奥さんの希望も叶え」たと説明した。すべてを100%叶えることはできないので、少しずつ双方の希望を取り入れる形にしたという。

人生の後半に向けて「物をどう持つか」を考える

作業の合間に、古堅は妻に率直な見立てを伝えた。これは他の多くの家でも言っていることだと前置きしている。妻は片付けのやり方が分からないというより、片付けが好きではなく面倒で、興味がほかにある。物もあまり大事にされていない。妻は捨てたい物がある、時間をかけて見たいと言う。しかし古堅は、この先もそれはしない気がすると言い、片付いたら片付いたでまた別のことに興味が向く人だろうと見ている。

そのうえで古堅は、夫の言っていることは間違っていないと述べた。妻は物を探さずに新しく買うタイプだからだ。捨てろとは言わないが、人生の後半にどう物を持って生きるかは一度考えたほうがいい、と話した。理由として挙げたのは「結婚したから」である。古堅は「私もそうだったけど」と自分の経験に触れた。夫がきれいにしてほしいと望むなら、それに応えることも生活の上では必要ではないか、という考えだ。夫はおそらく、自分が言っても聞かないので誰かに言ってほしかったのだろう、と古堅は推測している。一方で、夫がなんだかんだで許しているのは妻が好きだからで、その好意に甘えすぎないように、とも伝えた。

この夫婦に必要なのは「引き出し」ではなく「オープンな棚」

古堅は、この夫婦に必要なのは棚だと言い切った。引き出しではなく、オープンな棚である。この家では衣類を畳んでしまわず、そのまま置く。置き場所がないので、結局どこにでも置いてしまう。床置きになるくらいなら、たとえば奥の部屋に置ける場所を作った方がいいという判断だ。

タンスを1つ処分して棚にした方がいいのかという問いにも答えている。着ない物をしまうことはできても、日々洗濯した物を戻すまでのエネルギーがおそらくない、というのが説明だった。どれだけ物が減っても同じだという。そこで、リビングには置かないが、奥の部屋やこの部屋には置いてよい、というふうに場所を決める。まず最低限、リビングダイニングと寝室を保つ。きれいな状態を気持ちいいと感じ、心にゆとりができたら畳むようになるだろう、と段階を踏む方針を示した。物量が多すぎるので、時間をかける必要があるとも述べている。

同じ量でも「こだわって持つ人」と「なんとなく持つ人」

会話の中で、古堅は妻の買い物がストレス発散になっているのではないかと指摘し、妻もそうかもしれないと認めた。さらに夫婦の物の持ち方の違いにも触れている。夫も物は多いが、自分の物にはこだわりを持って大事にしている。妻は適当とは言わないまでも、なんとなく取ってある。量が同じでもここが違うので、夫から見ればなぜ大事にしていない物をこんなに持っているのか、となる。本当に大事な物だとしても、この家には多すぎる、と古堅は言う。

家に「目的」を持つこと、結婚は「漏れなくついてくる」もの

古堅は、この家に目的を持った方がいいと提案した。今の家は寝られればいいという状態になっている。夫婦で何かをする、友人や親族を呼ぶ、といった目的である。親族は誰かが倒れたときなどに来ることはあるが、ゆっくりしてもらえる状態ではない。家族との時間を優先するのか、自分の過去を優先するのか、と古堅は問いかけた。

結婚については、人と関わることの究極の形で、相手の物も漏れなくついてくるものだと話した。例として自分の夫を挙げている。古堅の夫は小学1年生の誕生日プレゼントまで家に持ち込んでいる。何のためかと思うが、彼にはその思い出が必要なのだろうと受け入れている、という。この家の夫も好きな物を持っているので、理解がないわけではない。ただ妻の物がはみ出しすぎているので、そこがどうしても許せないのだ、と古堅は見ている。夫は本当は優しい人だ、とも付け加えた。

収納は「掘らない」、まず景色を変える

リビングに置く家具では、全体の雰囲気が合ってきたところに1つの家具が加わると印象が変わってしまった。古堅は三つの候補からどれを外すか夫婦に選んでもらった。外した物は捨てずに「一旦」向こうの部屋へ移した。

収納の中にもあふれそうな物があることは、古堅も把握していた。しかし、この家の収納は掘れば掘るほどはまり込んで終わらない、と古堅は判断した。だから今回は収納には手をつけない。「まずは景色。景色が変われば意識が変わる」というのが古堅の方針だった。

リビングダイニングの完成:7年分の物と4回の引っ越し

作業は大幅に残業になった。古堅はまず、夫がとても嫌がっていたリビングダイニングを見せた。夫は横幅が広がったように感じると言い、「こういう絵が欲しかった」と喜んだ。古堅は、声が響くほど広くなり、端から端までまっすぐ歩けるようになったと説明している。妻は、何年かけてもたどり着けなかった状態が1日でできたと驚いた。古堅によれば、この家では7年間物が増え続けた。2人それぞれの引っ越しの荷物に夫の単身赴任が加わり、合計4回の引っ越し分の物がここに積み重なって、片付かない状態になっていたという。

リビングには緑が多く置かれた。亡くなった弟さんの品も、洗濯物の前やテレビの陰から出され、部屋の中にしっかり並べられた。古堅はこの家には関係者が3人いたと言う。夫婦それぞれの意思が強く、その折り合いをつけるのに苦労した。最後は弟さんがいるからこうなった、という形で、弟さんが家の中心にいるような配置になったという。弟さんが入っていたロッカーも段ボールの部屋の中にあったもので、これまで物置き場になっていた。

古堅はテーブルについても念を押した。テーブルは物を置く場所ではない。これからはテーブルの上を何もない状態にして、夫と食事をし、その後は弟さんと一緒にテレビを見てくつろいでほしい、と話した。リビングダイニングは公共の場所で、公園にごみを捨てたり自分の物を置いたりしないのと同じだと説明した。最後に夫婦で「パブリックスペースには物を置かない」と声を合わせた。

古堅は、物が多い所で暮らしてきた妻には少しさっぱりしすぎているかもしれないとも言った。それでも夫はレストランのような雰囲気が好きなようなので、それには合わせてあげて、と妻に伝えた。

書斎の完成:「捨てる基準」を問い直す

一方、段ボールの部屋では物は思ったほど減っていなかった。それでも書斎はできあがった。床には絨毯が敷かれ、以前は1歩も歩けなかった部屋を周回できるようになった。物に埋もれていた長いデスクも掘り出された。妻はこの机を何年ぶりかに見たと話し、以前は夫から捨てろと言われていた机だったという。クローゼットの風船の下から救出された家具と組み合わせて、書斎のスペースが作られた。

古堅はここで捨てる基準について話した。家具が大きいほど、捨てればスペースが空くと思われがちだ。しかしせっかく素敵な家具があるなら、捨てるべきは細かい物の方だという。自分はなかなか捨てろとは言わないが、この家の捨てる基準は間違っている、と古堅は述べた。妻も、こうして生かされるとあってよかったと思う、と答えた。

引き戸の収納と、これからの進め方

古堅はこの家の収納で良いと感じた点として、引き戸が多いことを挙げた。扉式だと置き場所に困る物も置きやすい。今は売る予定の物などが詰まり、妻の冬物が奥に追いやられている。それらを手放せば大容量で使える、という。今後は夫婦で協力し、今日はここ、と1か所ずつ時間を決めて進める。おいしい物を食べて、ゆっくり寝る。そういう生活になればいい、と古堅は話した。

古堅は、夫がドライブばかりしていたのは家の居心地が悪かったからではないかと尋ねた。夫は、せっかくコーヒーメーカーがあるのだから、本当は家でゆっくりコーヒーを飲みたかったと答えた。これまでは物が多いため、コーヒーメーカーをいちいち隠したり出したりしていたという。

夫婦それぞれの感想

妻は、自分の書斎があればいいと思っていたので、それを実現してもらえたと感謝した。見えている物を全部捨てろと言われるのがしんどかったとも打ち明けた。依頼を自分が勝手に申し込んだので夫に何か言われるかと思っていたが、夫も来てもらってよかったと言っていて嬉しかった、と話した。夫は今回の結果を「大成功」と評価した。

撮影後、夫がかつて「センスが悪い」と言っていた妻の物が話題になった。古堅は、物が多い中ではごちゃごちゃして見えても、シンプルな空間に置くと温かみが出ると説明した。そして、シンプル好きな夫とポップで明るい物が好きな妻の組み合わせを「いい夫婦」と評し、この家ならではの景色を作ってほしいと話した。

残された課題:段ボールを出すのは「もう少し進んでから」

書斎にはまだ段ボールが積まれている。妻もここには棚が足りないと認めた。古堅はここでも引き出しではなく棚が必要だと強調した。書類整理は3か月以内などと期限を決め、不要な書類がなくなって本当に好きな本を並べる段階になったら本棚を置けばいい、という。リビング収納にある本をこちらの棚に移せば、リビング側には日常的な物が入るようになる。段ボールに入れて積んだままでは物を取り出せないので、棚に並べられる量にして、部屋を周回できる状態を保つのがいいとも述べた。

理想は段ボールを部屋から出すことだと古堅は言う。ただし今すぐではなく、片付けがもう少し進んでからだと釘を刺した。今出すと、段ボールがそこら辺に置きっぱなしになってしまうからだ。古堅は最後に、この冬のあいだに親戚を呼ぶといった目標を決めるよう勧めた。夫婦も、今の状態なら呼べると答えた。この家に一度にこんなに人が入ったことはなかった、という話も出た。遠くから来る親族にゆっくりしてもらえる家にすることが、夫婦の次の目標として示された。