イーロン・マスクはなぜ毎週工場へ飛ぶのか:中島聡が読むマーク・アンドリーセンのマスク評

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概要

この動画は、中島聡氏がマーク・アンドリーセン氏の動画「Marc Andreessen on Success of Elon Musk」を取り上げ、イーロン・マスク氏の働き方を論じたものだ。進行役はChatGPTが務め、内容の要約と質問を担当している。テーマは、テスラやSpaceXのCEOであるマスク氏が会社の現場にどう関わり、それがなぜ会社の強さにつながっているのかである。中島氏はマスク氏のやり方を高く評価しつつ、経営者が現場に関わることの難しさにも触れている。

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アンドリーセン氏の指摘:昔の大物実業家と同じ経営

最初にChatGPTが、アンドリーセン氏の話を要約した。アンドリーセン氏によれば、マスク氏はヘンリー・フォードやカーネギーのようなかつての大物実業家と同じスタイルで会社を率いている。自社のあらゆる面を深く理解し、その週に直面している最大の課題を自分で解決していくやり方である。社員はマスク氏が直接関わり、問題解決に取り組む姿勢から大きな影響を受ける。その結果、高いパフォーマンスと忠誠心が生まれる、という要約だった。

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現場に関わりすぎることの危険

これを受けて中島氏は、まず経営者が現場にどこまで関わるべきかという問題を挙げた。社員の日々の仕事に関わるかどうか、関わるとしてどこまで自分の権限で細かく指示を出すか。この判断が難しいと中島氏は言う。

やりすぎればマイクロマネジメントになる。そうなると、CEOが何か言わなければ何も決められない組織や、CEOに対するイエスマンだけが出世する会社になりやすい。中島氏はこうした組織を「いびつな構造」と呼んだ。経営者が現場に深く入ることには、こうした副作用の危険がつきまとうという前提を、中島氏は最初に示している。

決定的に重要なのは「技術者であること」

そのうえで中島氏は、アンドリーセン氏の話の優れた点として、マスク氏がまず技術者であることを挙げた。中島氏はこれを「決定的に重要」だと強調する。さらにマスク氏は非常に勉強家でもある。この二つが、後で述べる現場への関わり方を可能にしている、というのが中島氏の見立てである。

どの事業にも「一番大きな問題」がある

中島氏は、マスク氏のやり方を説明するために、ボトルネックという考え方を工場の例で示した。SpaceXでもテスラでも、普通のソフトウェアのベンチャー企業でも、会社は常にいろいろな問題を抱えている。そのなかに、一番大きな問題が必ずあるという。

工場でスループットを上げようとすると、全体の速度は最も遅い部分、つまりボトルネックに引きずられる。たとえば部品の調達が間に合わなければ、工場全体がフル稼働できない。逆に部品調達は順調でも、最終組み立て段階のテストに手間がかかって遅ければ、手前の工程で材料を入れて部品をいくら作っても組み立てが進まない。部品が溜まるばかりで、全体のスループットは出ない。中島氏はここから、どんな事業でもどこかに一つのボトルネック、一番の問題点があると述べた。

週に1回、プライベートジェットで飛んでくる

アンドリーセン氏の話として中島氏が紹介したマスク氏のやり方は次のとおりだ。マスク氏は週に1回ほど、テスラやSpaceXの現場にプライベートジェットで飛んでくる。そこでどんな問題があるのかを聞き出し、特に一番大きな問題を探る。テスラであれば、車の生産を遅くしているのはどこかを聞く。

たとえば最終組み立て工程に問題があると分かれば、マスク氏はその工程を担当している技術者に直接会いに行く。中島氏はここが非常に大事なところだと言う。副社長が立ち会うかどうかは関係ない。中島氏によれば、立ち会っていても何も貢献しない副社長は「お前はいらない」と言われてしまうタイプの経営者だという。マスク氏は一番の問題に直面しているエンジニアに直接会い、何に困っているのかを聞き、一緒に問題を解決する。

アンドリーセン氏によれば、マスク氏は今週はこの問題と決めると、担当エンジニアと直接話し、問題が解決するまで家に帰らず、徹夜で取り組むという。

普通の会社では問題が上がるのにも解決にも時間がかかる

中島氏は、これを普通の会社のプロセスと比べた。一般的には、工場担当の副社長が下から情報を集めてレポートをCEOに渡す。CEOはそれを読み、ここに問題があるから解決してくれと副社長に頼む。この流れでは、問題が上に届くまでに時間がかかり、解決にも時間がかかる。下手をすると、組織の都合で問題が隠されることもあると中島氏は指摘する。

中島氏はさらに、典型的な経営者の姿を「悪い言い方をすれば」と断ったうえで描いた。社長室にふんぞり返り、下から上がってくるレポートを見て、気にするのは月々の売上や利益だけ。うまくいかなければ副社長を呼び出して怒鳴りつけ、問題を解決しろと言って終わる。こうすると、問題を隠したり、他の部署に責任を押し付けたりすることが始まる。これに対してマスク氏は、工場や研究所のエンジニアの机まで実際に歩いて行って問題を解決する。中島氏はこの違いを強調している。

解決手段は工程改善から取引先CEOとの直談判まで

マスク氏が持ち込む解決策は技術的なものに限らない。単純に工程を改善すれば解ける問題もある。一方、部品が届かずに困っている場合は、マスク氏がその部品を供給している会社のCEOに直接電話し、きちんと部品を出せと交渉するという。中島氏は、NVIDIAのGPUをめぐって実際にそういうことがあったらしいと紹介した。こうして実際に問題を解決することが、マスク氏の一番の役目だという。中島氏は、そんな経営者は普通いないと述べている。

毎週の関与が事業への深い理解を生む

中島氏は、このやり方の効果をいくつか挙げた。一つは、問題そのものが解決しやすくなることだ。取引先のCEOと直談判してGPUを取り寄せるといったことは、マスク氏の立場だからこそできる。

もう一つは、毎週のように現場に入ることで、マスク氏が事業の細部、特に工場や研究所の細かな部分までかなり理解しているという点だ。普通のCEOは表面的な部分しか理解していないと中島氏は言う。突然「こういう問題があります」と言われても、話についていけない。特に文系の経営者の場合はそうだという。マスク氏には技術的な素養があり、勉強家でもあるので、理解できるまでちゃんと説明しろという姿勢で、膝詰めで取り組む。だから問題を解決できる、というのが中島氏の説明である。

社員の士気と、優秀なエンジニアが集まる環境

さらに中島氏は、このやり方が社員の士気を上げる点を重視した。会社は人の集まりなので、社員一人ひとりがどれだけ頑張り、どれだけ会社のためになることをするかが大事になる。足を引っ張り合ったり、自分の問題を隠したりするのではなく、問題解決に集中し、性能のいいテスラ車を1台でも多く工場から送り出すことに集中してくれれば、非常に良い状態になる。

中島氏によれば、プライベートジェットで飛んできて問題を解決し、また飛び去っていくマスク氏の行動が、そうしたカルチャーと環境を生んでいる。社員のモチベーションが上がり、優秀なエンジニアが働きたいと思う会社になる。中島氏は、優秀なエンジニアにとってテスラとSpaceXは働きたい企業のナンバー1とナンバー2だという見方を示した。そういう状況を作り出しているからこそテスラは強い、というのが今回のアンドリーセン氏の話だと中島氏はまとめている。

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中島氏自身の経験との比較

最後に中島氏は、自分の経験と比べた。中島氏もCEOを務めていたことがあるが、ここまではやらなかったという。エンジニアでもあるので、現場に深く踏み込んで問題を解決したことは1、2回あった。しかし、それを毎週続けるようなことはしなかった。中島氏は、学ぶ部分が多い話であり、マスク氏のやり方は本当に素晴らしいと思うと述べて話を締めくくった。

なお、動画タイトルは「イーロン・マスクがいる限りTeslaは伸び続けるのか」と問いかけているが、動画内でこの問いに直接答える議論はなかった。中島氏が語ったのは、マスク氏の現場への関わり方がテスラの強さの源になっているというアンドリーセン氏の見方と、それに対する中島氏自身の評価である。