『無職転生』最大のバトルは「準備万端で挑む戦い」になる:岡田斗司夫が語る魔導鎧と魔法陣の仕組み

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概要

岡田斗司夫ゼミで恒例になっている『無職転生』のアップグレード動画である。今回のテーマは「作中で一番盛り上がる戦闘シーン」だ。岡田によれば、ルーデウスがこれから迎えるある強敵との戦いは、これまでの戦闘とは性格がまったく違う。準備の時間がなく、偶然始まってしまう戦いではない。ルーデウスが初めて全力で準備を整え、自作の武装「魔導鎧」を身につけて臨む戦いになるという。本編は2021年2月7日配信の岡田斗司夫ゼミ第381回の会員限定部分の一部を無料公開したもので、その後に追加のアップグレード情報が続く。

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ネタバレを前提にした回

岡田は冒頭で、今回はアニメの今後の展開のネタバレを含むと繰り返し断っている。ネタバレを避けたい人は「3年後ぐらいに見てください」と言い、アニメ版がその辺りで追いつくだろうという見通しを示した。取り上げるのは、ルーデウスたちの前に立ちはだかる非常に強い敵との戦いと、その戦いのために彼らが作り上げる武装である。

地下の人形から見つかった魔法陣

魔導鎧の原理は、ルーデウスが買い取った屋敷の地下にあった人形から始まる。この人形には、夜になると動くというホラーめいた噂があった。よく見ると木や土でできていて、部品を組み合わせて作られている。その組み合わせを丁寧に外していくと、断面に魔法陣が描かれていた。

岡田によれば、この世界では魔法はほぼ詠唱で使うものであり、魔法陣は廃れたものだと思われていた。ところが人形の中には、見たことがないほど精密な魔法陣がまだ残っていた。ここから魔法陣の解析が進み、最終的には元の世界へ戻るための魔法陣を作るという話にまでつながっていく。岡田は、それだけで一つのエピソードになるほどの要素だと述べている。

魔法陣は「プログラム言語」である

岡田の解釈では、この人形の発見で、魔法陣の正体がプログラムであることがはっきりする。第1話でロキシーはルーデウスに魔法の種類を説明し、その中に精霊魔法が含まれている。岡田はこの精霊魔法について、私たちが想像する精霊召喚とは違うと言う。この世界のプログラムそのものを組み換えて物を動かすのが精霊魔法の正体であり、精霊を使う、つまりプログラムするために必要なプログラム言語が魔法陣だ、というのが岡田の読み方である。

後にはスクロール(巻物)も登場する。巻物を広げれば、呪文を唱えなくても魔法が発動する。背景には、声に出して詠唱するのでは速度が遅いという問題がある。スクロールの存在によって、魔法陣は魔力を少し流すだけで自動的に魔法を発生させる装置だということがわかる、と岡田は説明する。

スクロールバーニアとガトリングガン

解析が進むと、ルーデウスはパワードスーツを作る。これが魔導鎧である。岡田が特に熱を込めて語ったのは、その武装の構成だった。

背中には、魔法陣を描いて丸めた紙を筒に収めた装置を背負う。ボタン一つでスクロールが一気に広がり、魔法が発動する。岡田はこれを「ランドセルバーニア」になぞらえ、「スクロールバーニア」と呼んでいた。左手にはガトリングガンが付いている。もちろん魔法のガトリングガンで、ルーデウスが得意とする岩を撃ち出す魔法を、スクロールが次々と開いて発動させることで、1分間に何十発、何百発と撃ち出す。こうした装置を作って大戦闘に臨むという。岡田は、この辺りの仕掛けや戦闘が、ロボットアニメやロボットが好きな人には「本当たまんない」と評している。

話はザノバ王子にも少し及んだ。岡田はザノバについて語りたいことがたくさんあると言い、特に物語の終盤のザノバは、ルーデウスにも理解できないような考え方をよくここまで複雑に書いたものだと感心している。ただしこの話題は掘り下げず、ここで本編の部分は終わる。

これまでルーデウスが戦った4人の強敵

追加のアップグレード情報では、戦いの位置づけが整理される。アニメ第3期、つまり現在放送中のシリーズが始まる時点までに、ルーデウスが下手をすれば死んでいたような強敵は、岡田の数えではおそらく4人いる。

1人目は北聖ガルスである。北神流の使い手で、奴隷商人のリーダーだった。獣人族の村が襲撃された際に戦うことになり、苦戦した末にギースの助けでかろうじて勝った。

2人目は龍神オルステッドだ。旅の途中で偶然出会った、この世界で最強の人物である。そのまま戦闘になり、エリスやルイジェルドとともに倒された。ナナホシが間に入ったことで、命だけは取り留めた。

3人目は魔人バーディガーディである。魔界大帝キシリカの夫で、不死の魔王だ。突然現れてルーデウスと決闘になったが、ルーデウスが最大火力の魔法で上半身を吹き飛ばすと、実力を認めて友達になった。

4人目はマナタイトヒュドラだ。転移迷宮の奥にいたモンスターで、魔法が効かない。どうにか勝利したものの、父親のパウロが命を落とした。

なぜ「準備なしの戦い」ばかりだったのか

岡田は、この4つの戦いに共通点を見ている。どれも偶発的で突然始まり、準備ができないまま、たまたま戦うことになったものばかりだという点だ。

岡田によれば、その理由はルーデウスのキャラクター設定が強すぎることにある。十分に力を溜めて発動したルーデウスの魔法の破壊力は、無職転生の世界でも明らかにトップクラスだ。不死の魔王でもない限り倒せるほどだ、と岡田は言う。さらにルーデウスには前世で得た科学技術の知識もある。そのため、ヒュドラのように魔法が効かない天敵でも、うまく対抗策を練れば多分倒せるだろうと岡田は考えている。ヒュドラ戦についても、あの時点で一度引き返してきちんと準備していれば、パウロは死ななかったと思っている、と自分の見方を述べた。

魔力と知識を100%発揮できる戦いなら、ルーデウスはたいていの相手に苦戦せず勝ってしまう。しかし、勝つか負けるかぎりぎりの勝負でなければエンタメとして面白くならない。だからこれまでの強敵戦には、準備の時間がないまま急に戦う、ルーデウスが怖がって戦いを避ける、といった縛りが数多くかけられてきた。これが岡田の分析である。

縛りが一切なくなる戦い

岡田によれば、第3期アニメの後半で戦うことになるある強敵との勝負では、こうした縛りがすべてなくなる。異世界に転生した30代のニートが、努力して手に入れた幸せな生活。それを守るために、ルーデウスは人生で初めて戦いに全力を注ぐ。家族と別れても、離れてもいいという選択をする展開になっていくだろう、と岡田は見ている。

その姿を岡田は『HUNTER×HUNTER』の団長になぞらえた。徹底的に準備をして、負けないための布陣を敷く。この死闘で見せるルーデウスの強さは、これまでの無職転生とはスケールが桁違いだという。小説は全26巻で、バトルシーンはいくつもある。しかし、ここまで周到に準備を整えた戦いはこの一つだけであり、バトルとしては作中で一番盛り上がるのではないか、と岡田は語った。そして、これは間違いなくアニメ向きだと言い切る。戦いを決意するきっかけになる事件や、戦いの前の準備も含めて、アニメ版でどう表現されるかが楽しみだという。

第3期の構成への読みと、一つの不安

岡田は、第3期の序盤についても自分の見方を示した。第3期の第1話から第3話は、岡田の目には「幸せ男のどうでもいい話」をまだ見せられるのかと感じられたという。ただ、これほど丁寧に幸せな生活を描くのは、シリーズ構成として意図があるからだと岡田は推測する。これだけの幸せを失うかもしれないと思ったからこそ、ルーデウスは初めて全力で戦うことを選ぶ。その流れにつなげるための描写だろう、というのが岡田の読みだ。今週あたりからターニングポイントに入るのかもしれないとも述べたが、そこは「わかんない」と留保している。

一方で、岡田には一つ不安がある。今シーズンは第1話と第2話以外、目を見張るような展開が少なめだった。そのうえ、肝心の戦いに届く前にシリーズが終わってしまうかもしれない。エリスだけが帰ってきて「さらに3人目か」というハッピーな雰囲気で今回のシリーズを締めくくったら、もう誰も見てくれなくなるのではないか、というのである。それでも岡田は、最後にものすごい戦いが待っていると考えており、それを楽しみに待ち続けると述べて動画を締めくくった。