物置になった受験生の部屋をどう立て直すか 古堅純子が注文住宅の子ども部屋を組み替えた完結編

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概要

5人家族が暮らす注文住宅の片付けシリーズの完結編である。前回は、使われていない物を1階から2階へ移し、リビングの景色を変えた。今回の課題は、2階に集まった物の行き先だ。整理収納の専門家である古堅純子は、受験を控えた長男の部屋を最優先に立て直し、そのために長女の部屋をいったん物の受け皿にするという判断を下した。

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幼稚園のまま止まっていた長男の部屋

長男の部屋を見た古堅は、まず「幼稚園のまま止まってる感じ」と評した。部屋にはショベルカーのおもちゃや幼い頃の本が並んでいた。親は「そうなんです」と認め、事情を説明した。もう使っていないはずなので寄付の話を子どもにすると「嫌だ」と言われ、そのまま置いてしまっているという。

受験が迫っていると聞いた古堅は、本人をその気にさせるなら「こんな倉庫みたいなところに寝かせちゃだめ」と話した。ただ、本人から寝る環境への苦情が出たことはない。眠くなれば自分で寝ていて、部屋をどうにかしてほしいという要望もないという。ベッドは下に収納がないと困るという理由で買ったもので、本人に特別な思い入れはない。一方で、壁の色は本人が自分で選んだ。ここが自分の部屋だという認識はあるようだが、勉強してやる気が出る場所にはなっていない、と親は見ている。

「自室では勉強させない」という設計と、コロナ禍で変わった習慣

家を建てたときのコンセプトは、自分の部屋で勉強させず、個室は寝るだけの場所にすることだった。親の目の届く範囲で勉強させるつもりで勉強用のスペースも設けていた。最初は2人の子どもがそこで勉強していた。しかし古堅の指摘どおり物がどんどん集まり、勉強できる環境ではなくなった。今はそれぞれが好きな場所で勉強している。

親はもう一つの事情も挙げた。小学校に入った途端にコロナ禍となり、授業がオンラインになった。一緒に機材をセットして下の階で授業を受ける流れがそのまま定着したという。長男には、ある場所へ「靴を履いて行ってきます」と出かけるような感覚ができているらしい。古堅はその習慣を「いいじゃん」と肯定した。

そのうえで古堅は、物さえなければオンライン授業は実はどこでもできると指摘した。この家は物が占める割合が多いので、物のない場所にパソコンを持っていけばよいだけだという。古堅自身の家でも、コロナ禍に突然家で勉強するようになり、モニターが4台増えたと話した。もう一つの問題として、下の子の声が大きくなっていることも挙げた。

本の扱いと、長男の「プライド」

部屋にある本は、兄妹が幼い頃から共有してきたもので、幼稚園時代の本が中心だった。長男は今は小説を読んでいる。古堅は、これが長男の部屋にあるのは違和感があると話した。親によれば、長男は本そのものが好きで眺めるのも好きなので、整理しようと言っても取っておきたがる。

古堅は「ご主人の前で言うのも何ですが」と前置きし、長男はプライドが高いものだと述べた。自分に合わない物が部屋にあるのは本来あまり良くない。物を厳選してあげれば、本人は応援されているように感じるのではないか、という見立てである。どの子も応援するが、優先すべきはお兄ちゃんだと古堅は判断した。

部屋の割り振りも確認された。2つの部屋は同じくらいに見えたが、長男は自分で広い方の部屋を選んでいた。古堅は「そりゃそうだよ」と応じ、父親そっくりだと笑った。

長女の部屋を一時的な受け皿にする判断

そこで古堅が出した結論は、長女の部屋をいったん物の置き場にすることだった。長女とはいえ3人きょうだいの真ん中の子で、スペースさえあればどこでも何でもできるタイプだという。親は、その性格に甘えている部分があるかもしれないと話した。

長男の部屋について古堅は「保育園よりもひどい」「受験生の部屋とは思えない」とまで言った。ベッドは買い替えず、今の位置のまま使う。そのうえでベッド下を収納として「埋めていい」ことを確認し、ここをどうデザインするかが課題だとした。

物の量をめぐる古堅の指摘

作業中、古堅は物の量そのものにも触れた。まだ何年も生きていない子どもにどれだけ物を持たせているのか、という問題提起である。子どもに物をくれる人は、自分が片付けたくて要らない物をこの家に渡しているだけだという。その心理を理解しないと物は増え続ける、というのが古堅の見方だった。作業の途中では「いるものがあれば失うものがある」とも口にしている。

洋服についても聞き取りをした。子どもたちは平日は制服だが、習い事には制服で行けないため私服が要る。古堅は、それにしても1人あたりの服の量が多いと感じると述べた。子どもが3人いるのだから気づいた方がいい、これを当たり前と思って育つ3人の将来を考えてほしい、とも話した。

収納の組み替え作業

作業では、2つの収納はどちらも扉を外して使うことにした。中身をいったん出し、側を配置してから入れ直す。蓋付きの箱2つは長女の部屋へ移し、長男の部屋には机を置けるスペースを確保した。長男が以前使っていたおもちゃは取り出しやすい下の方に置き、箱を上に積んで細かい物をまとめて入れた。引き出しも追加している。

洗濯物を置く部屋の並び替え

最後に手を入れたのが、洗濯物が積まれていた部屋だった。家具の並びを検討する中で、以前は横一列に並べていたが、椅子が邪魔で扉が開かないことが何度かあったため配置を変えた、という経緯が語られた。古堅は並びを組み直し、ソファに座って洗濯物を畳める形にした。倉庫に持っていける物は倉庫へ移した。

古堅によれば、この部屋の作業は最後の20〜30分で行ったもので、急ごしらえだという。母親はしまうことが苦手なので、畳んだ物をここに並べておき、家族が各自で取っていく運用を提案した。机もあるのでお茶も飲める。見た目が変わるだけで気持ちが全然違うでしょう、と古堅は話した。

地獄と化した廊下が走れる通路に

午前中、2階の廊下は運び込まれた物で埋まり、古堅いわく「地獄と化した」。全員が絶望するほどの状態だったという。それが片付き、下の子が乗り物に乗って一直線に走れるようになった。この子は乗り物で歯磨きに行くらしく、その通り道から障害物がなくなった。以前は立派な本棚が廊下に置かれ、家族は横歩きで通っていたという。古堅は、今思えばぞっとすると振り返った。

長女の部屋のお披露目

長女の部屋は、廊下や1階から来た大量の物を受け止めつつ、まずは本人が休めるように整えた。机も置いた。古堅は、物量としては小学2年生が持つ量ではなく、見上げるとかなり危険な場所になっていると率直に認めた。1階の景色を作るためにこの部屋にはいったん犠牲になってもらった、と謝ってもいる。

ただし、収納は引き出し式なので整理はしやすい、と古堅は補足した。今後は両親が少しずつ整理し、もっと広いスペースで遊べる部屋にしていってほしいと長女に語りかけた。長女は「嬉しい」と答え、母親は自分にはこんな発想はできないと話した。父親もこの発想は全然思いつかなかったと述べた。

長男の部屋は「図書館のある部屋」に

長男の部屋は、好きな本が並ぶ大人っぽい空間に変わった。古堅はこれを「図書館のある部屋」と表現した。ショベルカーであふれていた場所が本人好みのスペースになり、ベッド下には本人の好きな物がたくさん収められている。好きな物が多い子なので、それが寝床の下にあるだけで頑張れる、というのが古堅の説明だ。この家には「埋める場所が山ほどある」とも話した。

勉強は当面下の階で続け、寝るときはこの部屋でぐっすり眠る。古堅はこのオンとオフの切り替えで長男が頑張れるのではないかと述べた。中学に上がれば机をこの部屋に持ち込んでもいい。そのためにスペースを空けてあり、椅子はすでにあるので机を持ってくるだけでよい。母親は、自分たちでは用意してあげられなかった環境だと話した。父親は、やっと小学6年生の男子の部屋になったと感想を述べた。

残された課題:増やさないこと、10年かけて減らすこと

作業中ずっと下の子の面倒を見ていた母親の妹は、配置や組み合わせでここまで家が変わるのかと驚き、気持ちも変わりそうだと話した。父親は、荷物がこれほど多かったと実感した。これ以上増やさず現状を維持できるよう家族で話し合う、「増やさない」がテーマだと語った。

古堅は、何もしなくても物は増えるので厳選することも大事だと応じた。下の子もいるので一気には捨てられないかもしれないが、「10年かけて増えたものは10年かけて減らしていく」つもりで、少しずつ家を進化させてほしいと話した。今回の成果は、長男と長女の物を分けて長男だけの個室を作れたことである。長女の部屋に寄せた大量の物をどう減らすかなど、課題はまだ残っており、家族で協力して見直していくことが求められている。