ため込みママの一軒家で、パントリーを全部出してLDKを作り直す(6人家族の家・第2回)

YouTubeで開く ↗
概要

片付けのプロ、古堅純子が6人家族の一軒家を訪ねるシリーズの続編である。この家には収納がたくさんあるのに物量が多く、どの部屋も散らかっていた。第2回で扱ったのは、家族みんなが使うリビング・ダイニングとキッチン、パントリーだ。古堅は、この家の問題は自分一人の作業では解決できず、家族の意識を変えなければ難しいと考えている。そのため作業に入る前に、家族自身に「どうしたいか」を言わせることにこだわった。

9分で読めます

前日は結論が出ないまま帰った

2日目の朝、家には母親と娘3人、息子に加え、娘たちの友人4人が集まっていた。長女の同級生や、東京にいる小学校時代の友人の妹など、年の近い幼なじみだという。友人たちはこの家の状態をずっと見てきた。それでも今朝は「過去一きれい」だと言う。古堅も、この家が常に散らかりがちなことは分かっていると応じた。

前日はルームツアーだけのつもりが2時間も話し込み、結論が出ないまま「一晩考えて」と言って帰ったという。古堅はまず、その後家族で何か話し合ったかを尋ねた。

家族が出してきた方針:2階を「寄せ部屋」にする

家族を代表して答えたのは長女だった。全部を片付けるには時間がかかる。だからまずリビングをどうにかしたい、というのが家族の第1優先だった。父親も、机の上を片付けてほしいと言っていたそうだ。ところがその場のテーブルには、前日にはなかった物がもう置かれていた。古堅は、友人たちにも置き癖があると笑いつつ、この景色なら誰でも置いてしまうと話した。

古堅は、家族が「古堅式」を知っているかも確認した。家族は知っていたが、「テーブルの上は更地にする」「物は扉の中に隠す」といったルールは、この家では1つも守られていなかった。

長女の説明では、両親の話し合いで次の方向性が決まったという。1階にある物の置き場を父親の部屋に移す。将来は2階を父親の仕事部屋などにするので、動いていない物はひとまず2階に上げ、要るか要らないかを判断するための部屋にする。2階は子どもの遊び場にもできたが、実際には子どもたちは上からおもちゃを持ってきて下で遊んでいた。2階は使われていなかったのだ。

古堅は、前日とはまったく違う方向性だと驚いた。母親によると、父親がいるときに話し合ったという。自分が優柔不断で、古堅や父親から「こうしたらいい」と言われても決めかねていた。そこで言われた方針を呪文のように10回ほど復唱し、それでも自分ではうまく言えないので長女に話してもらったのだそうだ。

古堅は前日の粘りを振り返った。長居したおかげで父親の帰宅に間に合い、話ができた。父親の考えはシンプルで、まずはこのリビングの景色をどうにかしてほしいというものだった。ただ、父親の仕事道具、たとえばパソコンなどは、本人がいない日に動かすことはできない。そのため、仕事部屋の移動は今回は見送った。

「物のために生きている」家に、人が主役という言葉を

古堅は普段、キッチンにはあまり手を付けない。しかしこの家では、LDKとパントリーを抜本的に変えなければ難しいと判断した。そのうえで母親に「覚悟はできてますか」と念を押し、改めて「この家をどうしたいか」を聞き直した。

古堅の見立てでは、母親は物が好きだ。物を取るか家族のスペースを取るかという場面で、物の割合が多すぎる。まるで物のために生きているような状態だという。だからこそ、「人が主役の部屋にしたい」という言葉を、自分ではなく家族の口から聞きたかった。前日は2時間話しても、「ここはこうだから、あそこはこうだから」と物を中心にした話ばかりだった。

促された母親は、こう答えた。「ここの公共スペースをすっきり暮らして、パパが帰ってきた時に安心できるお家にしたいです」。古堅は「やっと出た」と喜んだ。子どもが多く、それぞれの部屋にも問題はある。それでもまずここを改善してみんなの意識を変え、一人ひとりが自分のスペースを大事にできるようにしていこう、と呼びかけた。全員で掛け声をかけ、作業が始まった。

パントリーを全部出す:「地獄になりますよ」

最初に手を付けたのはパントリーだった。古堅は中身を一度すべて出すと宣言し、「地獄になりますよ」と家族に覚悟を求めた。大事な物は各自で仕分けるよう指示した。

この日の作業には、ひとつ狙いがあった。1階に、物をいったん放り込める「穴」、つまり受け皿を作ることだ。前日の話から、古堅はこの家では誰も自分の部屋に物を持っていかないと気付いていた。そこで、共有スペースと個人の場所の境界線に受け皿を作り、そこにひとまず入れさせる方針をとった。

子どもたちへの接し方についても、古堅は意見を述べた。自分の子どもには全員、小さいころから物の整理をさせてきたという。この家ではそれをさせていない。母親が自分でやってしまうか、見直しをさせないまましまう場所ばかり作ってきた。見直せる物は見直さないと、子どもたちの部屋もまた物でいっぱいになる。リビングの景色を変えたいなら、同じ種類の物は同じ種類でまとめてほしい、とも注文した。

通り道と、2階に上げる物の見極め

次は、リビングを通る動線だった。父親は、ここを通れるようにしてほしいと話していた。子どもたちの日常の物を管理できる場所を設けられればいいとも考えていた。

置き場を2階にするか1階の奥にするかについて、古堅は慎重だった。一度2階に上げた物を下ろすのは大変なので、よく考えるよう促した。水のように重い物を上げるのも大変だ。父親はリビング脇の小部屋に水やお酒を置く案を出していた。しかし古堅は、その小部屋は子どもたちの避難場所として空けておいたほうがいいと話した。父親は「決められないなら古堅先生に決めてもらえばいい」と言っていたという。

棚板を下げて収納量を増やす

収納の中では、棚の位置が高すぎて空間を無駄にしていた。古堅は棚を下げ、棚板を増やそうとした。ところが棚板の数が足りない。さらに、ある部材を下げると扉と干渉して開かなくなるという問題もあった。

調べると、その部材はプラスドライバーで4か所留められているだけで、外せば動かせることが分かった。ここでは洋服は掛けないため、位置を下げても問題ないと判断した。

一方、冬物の上着などは小部屋に掛けておいたほうが母親は取りに行きやすい。子どもたちも戻しやすい。そこで、ひとまずそこに戻し、帰宅したら自分の部屋に持っていくか、そこに入れるかのどちらかにするルールを決めた。棚をずらし、棚板を組み替えて、物の位置を決め直していった。

キッチンにも食材があったため、それも仕分けた。古堅は母親を「この人が捨てない限り、この家からは物が減らない」と冗談交じりに評した。そのうえで、この家を父親がやりたいことをスムーズにできる家にしようと話した。子どもの物で溢れるのは仕方がないとしても持ちすぎだ、とも付け加えた。

収納用品が足りない、子どもも掃除に参加

2階に上げる物の受け皿となる収納用品は、カラーボックスくらいしかなかった。量が多いため、おもちゃ用、ぬいぐるみ用、食器系などとジャンルごとに分けて収めるしかない。足りない分は買い出しに行くことになった。

作業中には、子どもの一人が拭き掃除をやり遂げる場面もあった。古堅は、こんなに掃除ができる子だったのかと褒めた。友人たちの手際もよく、古堅は「片付けの師匠みたい」と評した。

お披露目:13人が集まったリビング

作業後のお披露目には、母親の妹と母親の母(祖母)も加わった。古堅が数えると、総勢13人になっていた。母親は「この家が片付くなんて思ってなかった」と言った。祖母は元の状態を知っていたため「素晴らしい」と喜んだ。ただ、子どもが4人もいるので維持できるかどうかは心配だとも口にした。

古堅はその心配に答える形で、今回の方針を説明した。この家の問題は、1階、特にLDK周辺に物が多すぎることだった。そこで物を徹底的に2階へ上げ、LDKの物をだいぶ減らした。ただし「捨ててませんから」と強調した。以前は壁一面に収納があり、壁そのものが見えなかったが、今はその壁が見えている。家族が歩いてきた場所も、以前はそもそも通れなかった。

境界線に「放り込める場所」を作る

リビングのL字の部分には、以前は物だまりができていた。壁沿いにもいつも物がたまっていた。それを防ぐため、仕切って放り込める場所を作った。

古堅は原因のひとつを、子どもの物の定位置が遠すぎたことだと説明した。隣の隣の駅ほど遠かった、と例えている。そこで一番下の中央を空け、ポイポイ置ける場所にした。

古堅が大事だと話したのは、個人の場所と共有空間の境界線をしっかり作ることだ。この家では、普段使う物はある程度決まっていた。それ以外の動かない物がたくさん入っていたせいで、いつも使う物が外に散らかっていた。そこで、自分の部屋に戻せない物はひとまずこの境界線の場所に置くことを、家族のルールとして約束させた。

足りないのは「思いやりと優しさ」

古堅は子どもたちに問いかけた。ここまできれいになると、物を置くのに気が引けないか、と。家が散らかるのは、みんなの思いやりや配慮がないからだという。母親がいくら頑張っても追いつかない。母親は食事を作り、洗濯をし、毎日子どもたちのためにいろいろなことをしている。そのうえで、子どもが使って戻さない物までわざわざ戻すのは本当に大変だ。だからこの家に足りないのは思いやりと優しさで、片付けではそれがとても大事なのだと語った。

最後に家族全員で、古堅式のルール「物は扉の中に隠す」を唱和した。この家の場合、扉といってもカーテンで、その奥に物を隠すことを約束した。

キッチンとパントリーの変化

キッチンでは、あまり使わない調理器具を別の場所に移した。その結果、1年間段ボールに入れっぱなしだった調理道具を収納に入れられるようになった。作業台のスペースもでき、母親は「嬉しいです」と喜んだ。

パントリーは、中身を全部出したせいで作業中は「地獄中の地獄」になったという。それでも最終的にすべて収まり、奥まで道ができた。古堅は、一歩も踏み外さずまっすぐ歩けたと話した。飲み物はきれいに並べられた。冷凍庫の上は緩衝地帯として空けてあり、買い物かごなどを置ける。古堅は母親に、とにかく床には置かないよう念を押した。

お菓子も大量にあった。古堅は、しばらくしたら見直し、食べて消費するのが一番いいと助言した。母親は、見やすくなったので消費しやすくなると思うと話した。古堅は、在庫が見えれば余計に買わずに済むとして、溢れるほど買わないよう伝えた。

残された課題は「寄せた物の行方」

父親の要望は、リビングの景色と通り道の2点だった。古堅は、子ども部屋にはまったく手を付けていないが、父親の部屋だけは少し手を入れたと明かし、みんなで見に行くことにした。

パントリーとリビング収納を見直したことで、散らかりにくいLDKには生まれ変わった。ただし問題は、2階などに寄せた大量の物がこの先どうなるかだ。その答えは次回以降に持ち越された。