床置きだらけの一軒家、娘の結婚相手を呼べる家にできるか 古堅純子の片付け事件簿①

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概要

「週末ビフォーアフター」第288回で、片付けの専門家・古堅純子は、どの部屋も床に物が置かれた2階建ての一軒家を訪ねた。依頼者は仕事と母親の介護を抱え、片付けに手が回らなくなっている。家を下見して事情を聞くうちに、娘がもうすぐ入籍するのに、結婚相手をこの家に一度も招けていないことが分かる。今回はその初日の訪問と作戦会議の回で、実際の作業は次回以降になる。

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玄関と廊下から続く床置き

依頼者は普段からこの番組を見ており、画面の中の人が来たことに涙ぐみながら古堅を迎えた。古堅は「ずっと隠してました」と話す依頼者に「隠しきれてないけどね」と返し、玄関の時点で物が多いことを何度も指摘する。

最初に案内された廊下もほとんど歩けない状態だった。依頼者によると、普段はここを通らない。家の一部をリフォームした際に物をよけ、そのままになっているという。リフォームの内容は壁紙の張り替えと畳の交換だが、古堅は物に埋もれてどこをリフォームしたのか分からなかったと話している。

リビングには仏壇や洗濯物をはじめ、いろいろな物が積まれていて、古堅は「何がなんだかよくわかんない」と表現した。ダイニングもあるが、依頼者は母親にリビングで食事をしてもらっている。家族がそろって食卓を囲むことはなく、それぞれ別に過ごしているという。

仕事と介護に追われる暮らし

いま住んでいるのは依頼者、依頼者の母親、30歳ほどの息子の3人だ。母親は目が離せない状態で介護が必要だが、撮影当日は片付けに合わせて外泊していた。

依頼者はフルタイムで働いている。平日の日中は母親がデイサービスに通い、依頼者は母親が帰る時間に合わせて帰宅する。休みも少なく、休日には母親を病院へ連れて行くので、片付けに取りかかる時間がない。家具を動かして片付けを始めたこともあったが、途中で止まって今の状態になった。これに対して古堅は、どうなりたいかという目標がないと片付けは難しいと指摘している。

母親は寝るときだけ2階に上がり、食事中やテレビを見る時間は1階で過ごす。一日の大半を過ごす場所がこの状態になっている。

和室に置き去りにされた娘の荷物

リビングの隣の和室も、古堅が「ひっくり返ってる」と表現するほど物が散らかっていた。子どもは2人いる。娘は以前一人暮らしをしていたときの荷物をここに置いたまま、今は別の場所で一人暮らしをしている。和室は、娘が帰省したときの寝床になっている。

片付けが苦手な家系

古堅が、もともと物が多い家なのかと尋ねると、依頼者は片付けられないのだと答えた。依頼者は子どものころから片付けが苦手で、母親も同じだった。片付いた家に住んだことが一度もないという。母親の実家は今は依頼者の弟夫婦が住んでいて、依頼者によるとそちらも「大変なこと」になっている。依頼者はその実家から母親を引き取った。

困っているのは全部屋だと依頼者は言う。自分がこういう状態なので息子にも片付けを教えられず、息子の部屋もひどくなっている。古堅は、1階がこの状態で2階だけきれいというのは難しいと考え、2階も見ることにした。

息子の部屋と空っぽの押し入れ

息子の部屋は、床の物を踏まないと奥へ進めない状態だった。依頼者が片付けについて息子に話しても、反応はないという。作業日も息子は仕事でいない。

古堅は、大事な物が多そうな部屋なので、触ってよいかどうかを本人に確かめないと分からないと慎重な姿勢を見せた。息子は成人しているし、作業時間は6時間しかない。古堅が一番良いと考えるのは、1階の景色が変わるのを見て、息子自身が自分の部屋もきれいにしたいと思うことだった。

ただし事前のオンライン面談で、息子は「捨てなければいい」と話していた。物を動かすのは構わず、空いている押し入れに入れるなら良いという。押し入れを開けると、きれいな布団が入っているだけで、中はほぼ空だった。依頼者は10年以上開けておらず、何を入れたかも忘れていた。古堅は最近ぎっくり腰をしたばかりで、押し入れの奥をのぞき込むような「アクロバティックなこと」は控えていると話していた。

部屋の外の廊下にも、息子の服を中心とした洗濯物が積まれている。息子は服が多く、依頼者もどうしまえばいいか分からない。古堅の見立てでは、問題はしまい方ではなく、そもそもしまえないことだ。収納はすでにいっぱいで、使う物はすべて外に出ている。この家の物は全部出しっぱなしで、全部しまいたいと言われると考えることが多くなる、と古堅は述べた。

「衣装部屋」になった元夫婦の寝室

次の部屋は扉の前に物が置かれ、入るのも難しかった。依頼者はここを衣装部屋と呼び、片付けている途中だという。必要な物を取りに入るので、ときどきは使っている。古堅は、荒らされた跡のようだ、泥棒が入った後のようだと表現した。撮影中は外が嵐になり、雷のような音が響いていた。

この部屋はもともと夫婦の寝室だった。夫は7年前に亡くなったと依頼者は話す。1階にある遺影は夫のものだという。ここ数年は大変なことが続き、それでも働かなければならなかった、という事情が語られた。

依頼者の希望は、服の出し入れがスムーズになることだ。着物が多く、これからも着たいと考えている。古堅は、着物が埋もれている様子を「着物殺人事件」と呼び、日本文化を受け継いでほしいから直したいと応じた。部屋は奥まった位置にあるので、整頓すれば素敵な空間になるし、本来の衣装部屋として機能すれば他の部屋も片付くかもしれない、というのが古堅の見立てだ。雷の音の中で、古堅は「晴れたらいいね、この家と一緒に」と声をかけている。

母娘が寝る最後の部屋と、娘の入籍

最後の部屋では依頼者と母親が2人で寝ている。意外と広いが、ここにも布団と服がたくさんある。古堅は、夫婦の寝室があの状態なので、親子で静かに寝る場所になっているのだと受け止めた。そのうえで、この部屋も奥まっているので、よく使う物は別の場所にあった方が動かしやすく管理しやすいと述べている。

娘が帰ってくる予定を尋ねると、予定はないが、もうすぐ入籍するという答えだった。古堅は祝福したうえで、入籍すれば相手がこの家に来ることになると指摘する。相手はまだ来たことがなく、依頼者は「呼べない」と答えた。古堅は、実家がこの状態だと知られるのは良くない、自分が相手ならちょっと嫌だと率直に伝え、なんとかしなければいけないと話した。

作戦会議:リビングを何のための部屋にするか

1階に戻って作戦会議を始めた。古堅は改善の余地は大きいとしつつ、時間が限られているので全部を改善できるかは分からないと前置きし、まず何をしてほしいかを尋ねた。

依頼者の答えは「リビング」で、「すっきり」させたいという。リビングで何をしたいかと聞かれても、テレビを見ることくらいしか出てこない。古堅はここを重視した。したいことがないから何も出てこないし、「まあいいか」で終わる。少し変えては挫折するのは、目的がはっきりしないからだという。せっかく来たのだから意味のある部屋にしたい、と古堅は重ねて求めた。

そこで依頼者から具体的な希望が出た。2階にある机をリビングに下ろし、家で仕事をしたい。今も母親が寝た後に、物に囲まれたこの部屋で仕事をしているという。古堅は、依頼者は仕事が好きで家のことは好きではないのだと受け止め、夫の遺影も物の山の中にあることに触れた。

もう一つの希望は、母親が安全に暮らせることだ。古堅も、通り道が細く物が多いので、つまずくと危ないと同意した。母親自身はこの状況に慣れていて、片付けるようにとは言わないという。古堅は、娘の世話になっている立場なので言い切れないのかもしれないと推し量っている。休みが少ない中で母親の帰宅に合わせて帰り、家でも仕事をしている生活に、古堅は疲れが取れていないのではないかと尋ね、依頼者も取れていないかもしれないと認めた。

こうして当面の目標は、母親が安全に暮らせることと、依頼者がリビングで仕事をできるワークスペースを作ることにまとまった。

客はどこへ通すのか

依頼者はさらに、客は和室に通したいと話した。和室には玄関側にも入口があるので、リビングを通らずに入れる。リビングはプライベート、和室はパブリックな空間にし、和室は「埋める収納」にも使いたいという考えだ。古堅は、扉の中に収めるなら良いが、表に物が積まれている状態は人を呼ぶ場所には向かないと述べた。夫の遺影は、常に一緒にいたいのでリビングに置いたままにしたいという。古堅は、その気持ちがまだあってよかったと言いつつ、今は「動物園みたい」になっていて、夫も心配しているだろうと冗談交じりに話した。

来客について聞くと、毎月ケアマネージャーが来るが、いつも玄関で話を済ませている。引っ越して間もないころは人を招いていたが、今の状態になってからは呼んでいない。

ここで古堅は、自分の考えだと断ったうえで反対の見方を示した。新しい家族ができるのに、リビングに通さないのは難しいのではないか。リビングをプライベートな空間にすると、いつまでたってもまた同じ状態に戻る気がする。譲るとしても、2階を完全なプライベート空間にし、1階はワークスペースを作りつつ、いつでも人が来られる状態にしておく方がいい。ただしどちらの案でも、まっさらにするのは難しいとも付け加えている。

整理の不足と、物を2階へ上げる限界

古堅は、この機会にもう少し整理したい気持ちはないのかと尋ねた。古堅のチームは物を埋めたり寄せたりするが、整理そのものは依頼者がする必要があるからだ。依頼者は、整理はしたがこの状態で、細かいことばかりして前に進まないと答えた。

これに対して古堅は、物が大切にされているようには見えないと言う。必要な物だと言われても、物自体が機能しておらず、置き去りにされているという。古堅たちが埋めて寄せて帰れば、その後は物が動かなくなる。1階の物を2階に上げるとなると相当な量になり、寄せる先も着物と服の部屋くらいしかない。あまり上に上げると、下ろすのも大変になる。

一晩かけて決めること

古堅は結論を翌日に持ち越し、一晩考えてほしいと依頼者に伝えた。今の時代、家族が増えるのはめったにない、とても喜ばしいことだ。それを踏まえて1階でどう暮らすかを考え直してほしいという。1階の物が2階に上がるので、2階についてもある程度の希望がないと、息子の部屋はあのままになるかもしれない。物量が多いので、一部屋が物置としてつぶれてしまえば、服の出し入れがスムーズになる、などと言っている場合ではなくなる。

何を優先するかは自分が決めることではない、と古堅は念を押した。依頼者自身がしっかり考え、今回の片付けをきっかけに、これからも仕事を頑張れるようにしてほしいと話し、答えは翌日に聞くことになった。

番組のナレーションは、片付けが苦手なうえに仕事と介護に追われ、全部屋が物であふれた家が生まれ変われるのかと問いかけて、次回へ続く。