NVIDIAがラムダから自社GPUを借り戻す取引を、中島聡はなぜ「錬金術」と呼ぶのか

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概要

NVIDIAが、自社のGPUを買った小規模クラウド事業者ラムダ(Lambda)から、そのGPUを借り戻す契約を結んだ。中島聡氏はこの取引を取り上げ、NVIDIAが顧客企業への投資を通じて資金を循環させる構図を「錬金術」にたとえて解説する。仕組みとしては面白いと認めつつ、AIブームがバブルだとすれば、こうした動きはその兆候として気になるというのが中島氏の立場である。動画は聞き手が質問を投げかけ、中島氏が答えるインタビュー形式で進む。

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ラムダはNVIDIAの顧客であり、投資先でもある

中島氏によれば、ラムダは中小規模のGPUデータセンターを運営する会社で、NVIDIAから見ると顧客にあたる。同時にNVIDIAはラムダの投資家でもあり、話はここから複雑になる。

中島氏は、NVIDIAが以前から次のような手法をよく使っていると説明する。GPUを使うベンチャー企業の株を買い、その見返りに、市場で引く手あまたで品不足の最新GPUを優先的に回す。GPUを確保できたその会社は価値が上がるので、NVIDIAは株価の上昇で儲かる。しかも投資した資金は、その会社がGPUを購入する代金としてNVIDIAに戻ってくる。中島氏はこの仕組み自体を、そもそも錬金術のようなものだと評している。

今回の取引:売ったGPUを借り戻す

今回の件は、それよりさらに一歩進んでいると中島氏は言う。ラムダは現在、上場の準備を進めている。その過程で、NVIDIAはラムダが自社から購入したGPU約1万個分をリースする約束をし、それが発表された。金額について中島氏は「3年間で1.3ビリオンかな」と記憶をたどりながら述べ、すごい額だと語っている。

この取引で各社が得るものを、中島氏は次のように整理する。ラムダは、NVIDIAという確実な顧客からの収入を得られるので業績が良くなり、上場しやすくなる。NVIDIAにとっては、いずれにせよGPUを自社でもさまざまに使うので、借りること自体は無駄にならない。そのうえでラムダがきれいに上場して株価が上がれば、投資家としての利益になる。さらに、自社の顧客であるラムダが成長し、NVIDIAだけでなくMicrosoftなど他の会社にもGPUを貸すようになれば、NVIDIAにとってもよいことになる。中島氏はこれを「すごく分かりにくい錬金術のような話」と表現した。

CoreWeaveとの関係もほぼ同じ構図

聞き手が他にも似た例があるかを尋ねると、中島氏は、NVIDIAがCoreWeaveとも「はっきり言ってほぼ同じこと」をしていると答えた。CoreWeaveも中規模のGPUデータセンター事業者で、すでに上場している。NVIDIAはその株を保有し、ラムダと同様の取引もしている。

CoreWeaveは上場後に株価がかなり上がったので、NVIDIAは株主として報われている。中島氏は、それに加えて自分の顧客がきちんと育っているという意味でも報われている、と指摘した。

Microsoft・OpenAIとの比較

中島氏は、顧客になり得る会社に投資してその資金を売上として回収する手法自体は、他社にも見られると話す。例として挙げたのが、MicrosoftによるOpenAIへの投資である。Microsoftは投資の条件として、OpenAIにMicrosoftのデータセンターを使わせる形をとったという。

中島氏によれば、ひどい場合はお金すら動かない。Microsoftは現金ではなく、Azureを何ビリオン分か使える権利、つまりクレジットを渡し、その代わりに株を受け取る。OpenAIはそのクレジットでAzureのデータセンターを借り、ChatGPTを提供している、という説明である。

ただし中島氏は、通常こうした取引は、投資した分が売上として戻ってくる程度にとどまると述べる。今回のNVIDIAとラムダのケースでは、投資が売上として戻ってくるうえに、売ったGPUを借りるという形で今度はNVIDIAからラムダへお金が渡る。中島氏はこれを「わけが分からないお金の流れ」と呼び、非常に面白いケースだとしている。

AIバブル論と、こうした動きへの警戒

最後に中島氏は、視聴者に考えてほしい点として、AIブームとバブルの関係に触れた。今はAIが盛り上がっているが、AIブームはインターネットブームに似ていて、いずれ弾けるバブルだと言う人もいる。その危険は常にあり、多くの人がバブルの兆候を感じ取ろうとしながら、いざという時の対応を考えている。そうした中で、今回のような錬金術めいた動きはあまり気持ちのいいものではない、と中島氏は語る。

中島氏自身もCoreWeaveに注目しているが、同社は多額の借金をしてデータセンターを建て、それを貸す商売をしている。そのため中長期的に本当に大丈夫なのか、最後に「ババを引く」会社になるのではないかという心配があり、株を買う気にはなれないという。ラムダについても同じ面で少し心配だと述べ、話を締めくくった。仕組みとしての面白さは認めつつ、投資対象としては慎重に見ている、というのが中島氏の結論である。