岡田斗司夫が読む『機動戦士ガンダム』第19話「ランバ・ラル特攻!」:目線の演技、理不尽、そして50秒の一騎打ち
岡田斗司夫岡田斗司夫による「機動戦士ガンダム完全講座」の第54回から第57回、計4回分をまとめた約3時間の動画である。取り上げるのは第19話「ランバ・ラル特攻!」。約30分のエピソードに、2時間以上の解説を費やしている。
岡田は、この回をドラマとアクションの両方が高い水準で成り立った回だと位置づける。前半では、アムロ、ランバ・ラル、ハモンが砂漠の酒場で出会う日常描写を、目線やしぐさの単位まで読み解く。後半では、グフとガンダムの約50秒の格闘を1秒刻みで追う。一見すると「主人公がライバルに勝つ話」だが、その下で何が描かれているのか。岡田はこれを、大人になってから見返して初めて見えてくるものとして語っている。
チャンバラの文法とリアルな兵器
岡田によれば、第19話はガンダムで初めて、アムロが強い敵と1対1で対決して勝つところまで描かれた回である。前半のガンダムは14歳の少年が戦場でなんとか生き残る話が中心で、強敵と正面から戦わせることができなかったという。
岡田は、ガンダムが日本人の好きなチャンバラや時代劇の「文法」を使っていると指摘する。名乗りを上げて1対1で戦うという古いロボットアニメの流れと、ロボットをリアルな兵器として描く方向性を、あえて両立させようとしている。リアルな兵器だけならロボットに刀を持たせるのはおかしいし、古い作法どおりならコクピットの叫び声が相手に聞こえてしまう。富野由悠季は両者の良いところを継ぎ足し、悪いところを打ち消し合わせたのだと岡田は見る。侍の風格を持つランバ・ラルにアムロが憧れるという流れも、チャンバラ物、時代劇、ひいては黒澤明という作者の発想が表に出たものだという。この回まで武器の一つにすぎなかったビームサーベルを、アムロが使いこなし始めるのもこの回である。
砂漠を歩くアムロの変化と、ホワイトベースの人手不足
冒頭、フードをかぶったアムロが砂漠で唇を舐める。岡田はこれを、わずかな湿り気で水場を探る砂漠の放浪者のしぐさとして読む。前回のアムロはゴーストタウンで盗んだ缶詰を食べて怯えていた。それに比べると、今回は何日も、あるいは何週間も砂漠にいて少したくましくなった姿として描こうとしている、というのが岡田の解釈である。水を求めて老人に追い払われてもいじけず、酒場では自分から「食事できますか」と声をかける。以前は大人の前で物おじしていたアムロの成長がここに表れているという。冒頭しばらく、風の音すらない無音が続く点にも岡田は触れている。
一方のホワイトベースでは、ブライトとミライが修理状況を確認している。岡田はホワイトベースの運用人数を試算してみせる。後の場面でブライトが「後ろのミサイルは?」と聞き、誰もいないと返される。各火器に担当者がいないと撃てない仕組みだということだ。岡田の見積もりはこうだ。ブリッジ、機関室などの運航に20〜30人、各種火器に20人程度、モビルスーツ整備に最低50人、ブリッジに10人、生活・医療に20人。これで約180人になる。8時間交代の三交代制なら400人を超え、交代制を無理にやりくりしても最低200人は必要だという。ところが作中でクルーが揃う場面でも50人ほどしかいない。夜中に誰かが舵を取り、順番に徹夜で見張るという状況は、この人手不足から来ていると岡田は説明する。
ブライトの焦りと、エヴァンゲリオンとの違い
岡田が第1回の見どころとして挙げたのは、ブライトとリュウの短いやりとりである。ブライトはリュウに、アムロのことをガンダムと切り離して考えるつもりだと打ち明ける。リュウは「やめとけ。その時のアムロ次第だからな」と止める。
岡田はここで『新世紀エヴァンゲリオン』と比べる。シンジが家出して電車の中で同じ曲を聴き続ける回は、アムロ脱走へのオマージュとして作られたと岡田は見ている。ただ、エヴァでは視聴者も作り手も主人公の感情にばかり気持ちが向き、ネルフの上の組織の大人たちが何に苦しみ、どこで踏ん張っているのかは描かれない。岡田はこれを「大人の視線が足りない」と表現する。対してガンダムは、脇役であるはずの人々が前に出てくる大河ドラマ的な作りであり、エヴァは主人公の気持ちにひたすらフォーカスする青春ドラマの作りだという。
岡田は第17話と第18話を振り返り、ブライトの視点からこの状況を組み立て直す。捕虜のコズンに「子供ばかりだ」とあざけられて尋問が成り立たない。アムロには命令を無視されてガンタンクで出撃される。コズンには素人集団と見抜かれて脱走される。独房に入れろと命じたセイラをリュウが勝手に出す。ランバ・ラル隊の襲撃ではミライが自分の判断で指示を出す。10代の終わりの青年が船一隻を任され、形の上ではリーダーなのに、いざという時に誰も命令を聞かない。岡田は、ブライトの焦りがこの時点で頂点に達していると言う。ブライトは「こいつさえいなければうまくいく」という思い込みにはまっており、岡田は自分にも覚えがあるが、たいていは間違いだと語る。
他方でアムロは、役割から逃げるつもりはなかったと岡田は見る。第17話でも深夜にデータを分析し直すほどやる気はあった。家出の半分は、実戦を分かっていない人間に命令されて失敗を責められるくらいなら、全部自分のリスクで一人で戦った方がましだという考えから来ている。第18話でマ・クベの採掘基地を一人で叩こうとしたのも、手柄を立てて堂々と帰るためだった。リュウの「やめとけ」は、いま処分のゴールを決めてしまうと、連れ戻したアムロをその方向でしか見られなくなる、帰ってきた時の変化で判断しろ、という意味だと岡田は解釈している。
無料パート後の追加解説で、岡田はこのアムロの家出を富野自身の経歴に重ねる。虫プロで主力が『ジャングル大帝』へ移り、『鉄腕アトム』の方が稼いでいるのにと苛立った。正社員にならずフリーを通し、テレビアニメを離れてCMの仕事に手を出したが、うまくいかなかった。結局「コンテを切るのが速い男」として日本サンライズに拾われた。一手柄上げて堂々と帰りたかったという流れがアムロと重なり、ガンダムは富野が自分の半生を清算しようとする誠実な作品だと岡田は言う。
ハモンの目線と「そうね」の嘘
後半では、ハモンの初登場場面を細かく読んでいく。ハモンがスカーフを取る場面では、2コマ目で目を閉じ、3コマ目で目を開け、4コマ目でまた戻る。たまたま目を開けただけならそこで終えていいのに、4コマ目で戻している。つまり一瞬だけアムロを見たことを示す演技だ、と岡田は言う。直後にハモンの主観でアムロへ視点が寄っていく。誰も気にしない汚れた14歳の少年に、ハモンだけが注目したことを印象づける演出である。横を通り過ぎる時にも、ハモンはもう一度アムロを横目で見る。
岡田はさらに、後で出てくるフラウのスカーフが「ダサい」ことにも意図を読む。前回のフラウはスカーフをしていなかった。わざわざ今回スカーフ姿で出したのは、大人の女のハモンとの対比を見せるためだという。アムロがハモンの前でフラウの手を離す演技も、その文脈に置かれている。ハモンはこうした目線のやりとりをランバ・ラルとは一切しない。20歳前後で初めて見た時の岡田はラルとアムロの男同士の戦いばかり追っていて、この演出に全く気づかなかったと振り返っている。
ハモンが店に「14人分」と注文すると、ラルが「1人多いぞ」と指摘する。ここで初めて部下たちもカウンターの少年に気づく。この世界でアムロはただの子供であり、誰も相手にしていなかった。ラルが「あんな子が欲しいのか」と聞き、ハモンは「そうね」と答える。当時のアニメ雑誌も視聴者もこれを文字どおりに受け取っていたが、岡田はハモンが返事の途中で一度目線を下に外し、またラルを見ている点に注目する。アニメの演技として、これは嘘をついている表現だという。ラルは子供を作る暇もなかったと思っているが、ハモンは「いい男を見つけた」と思っている。岡田の解釈では、ハモンはより強い男を見つけては乗り換えて生きてきた女であり、ラルを最後の男と決めてついてきた。それでもラルより強くなるかもしれない少年を見て、思わず目が行ってしまった。こうした演技は演技指定がないと絶対に出てこない、と岡田は言う。
限定放送の追加解説では、富野の人間観察は桁違いだと述べる。放送当時、富野はアニメ雑誌の取材にラルとハモンの関係を「愛人」と答えた。岡田はこれを、大人とは人間関係におけるフリーランスで何の保証もないということだと読む。ラルは一匹狼を名乗っても組織に守られており、ハモンこそ本物のフリーランスだという。そのハモンが最後はラルの仇討ちで命を落とす。そこが泣かせどころだと岡田は語る。一方で、この見方ができるようになったのは55歳を過ぎてからだとも述べている。
ロボットさえ出せば何をしてもいい時代
第2回の冒頭で、岡田はガンダムが放映された1978〜79年頃の日本の状況を話す。当時はエロ映画ブーム、エロ漫画ブームがあった。岡田によれば、それは日本人がエロ好きだったという話ではない。日本映画は予算が縮み、大監督の安全企画しか撮れず、若手に機会がなかった。エロさえ入れれば何をしてもいい場で、若い作り手が一般公開できないような文芸的な作品を作った。漫画も同じだったという。
日大芸術学部で映画監督を目指していた富野がアニメに来たのも、テレビ漫画で人間が描ける時代に賭けたからだと岡田は言う。高畑勲は『太陽の王子ホルスの大冒険』で東映を出るはめになり、『アルプスの少女ハイジ』を作った。その現場に絵コンテで参加した富野は、高畑に自分のコンテをほとんど使ってもらえなかったと語っている。岡田はこれを大げさな言い方だろうと見つつ、富野が高畑に演技観を否定された経験を持つと説明する。富野自身は、ガンダムでやりたかったのは名作劇場のような日常演技をロボットアニメの中でやることだったと、ファンイベントの打ち上げなどで語っていたという。岡田もイデオンのイベントの頃に本人から聞いた覚えがあるという。富野には人望はなくても「売れるロボットアニメを作る」という悪名はあった。だから、エロ漫画を作るようにロボットアニメを作ったのだ、と岡田はまとめる。
酒場の駆け引き:マントの下の銃
アムロは「ご好意は嬉しいんですけど、僕にはいただけません」と奢りを断る。ラルはここで初めて振り返り、「ハモン、一本取られたな」と笑う。「僕は乞食じゃありません」と言い返すアムロをラルは気に入り、自分からも奢ると言う。
空気が変わるのは、見張りのマイルが「怪しい奴を捕まえました」とフラウを連れてきた瞬間である。部下が連邦軍の制服だと言うと、ラルは「そうかな、ちょっと違うぞ」ととぼける。岡田は、制服のスパイは銃殺が当然の世界で、この時点のラルは子供を処刑したくないのだと読む。部下が「間違いありません」と言い切ってしまうと、ラルは「そうなのか、ハモン」とパスを出す。ハモンはラルを見たまま「この子のガールフレンドですって」と答える。
ラルはここで初めてアムロの正面に立ち、顔をまともに見る。睨み返すアムロの強い目に、ラルもハモンが気に入った理由を理解する。岡田はこれを、後にリュウが「野生の虎」と評するアムロの目だと説明する。ラルは「いい目をしている」と言いながら、目を動かさずにマントをばっと広げる。カメラがパンダウンすると、アムロの手が隠した連邦の銃を握っている。アムロは撃つつもりだったが、ラルが速すぎて固まった。ラルは「ますます気に入ったよ」と言い、「しかし戦場で会ったらこうはいかんぞ。頑張れよ、アムロ君」と背を向ける。
岡田が注目するのは、その後の各人の目線である。ラルは背を向けて表情を見せない。クランプはアムロから目を離さない。名もない兵士はラルを見て、なぜ見逃すのかと不満を抱く。ハモンだけは状況を気にせずアムロを見つめ、振り返ったアムロに手を上げて挨拶する。ラルとハモンは一心同体に見えて、別のロジックで動いていると岡田は言う。限定放送では、背中を向けたラルは子供と侮った自分への怒りを抑え、コズンを殺したのはこいつらかと思っていたと読む。クランプは番犬のように威嚇し、部下はラルが顎をしゃくった瞬間に撃てるよう構えている。その緊迫の中でハモンだけが平然としているのが恐ろしい、というのが岡田の読みである。視聴者の電助さんからは、股間に隠された拳銃を「まだ女を知らないアムロ」の暗喩と見る投稿や、アムロの回想のラルがハモンより大きく描かれている点を指摘する投稿が寄せられ、岡田は紹介している。
見逃しは策略だった:尾行とすれ違い
2人が出ると、ラルはゼイガンを呼び、後をつけろと命じる。「この辺りの連邦軍となれば木馬ぐらいしかおらん」。気に入ったと褒めながら脅して逃がせば、警戒せず基地へ逃げ帰るはずだ。岡田はこれをラルの戦略と見る。ここで岡田は、作画では身を乗り出して小声で囁く芝居なのに、声優のトーンが変わっていないと指摘する。アフレコ時に絵が間に合っていなかったためだろうと推測している。
外へ出たアムロはすぐフラウの手を離し、言い合いになる。アムロが突然バギーへ走ったのは、言い争いをジオンに聞かれたら立場がばれるので、早くこの場を去りたかったからだと岡田は読む。岡田の解釈では、アムロが手をつないだのは「馬鹿な恋人同士」を装うためだった。フラウはそれを当然の行為と受け取り、美人の前で手を離したと嫉妬する。「どんどん私から離れていっちゃうのね」は本気の台詞ではなく、反応を引き出す引っかけで、フラウは言った後にアムロの横顔を読もうとしている。アムロは戦争の理屈が分からないフラウを、フラウはハモンの色気に気づかないアムロを、それぞれ理解できていない。ロボットアニメと思って油断すると高度な人間ドラマを入れてくると岡田は言う。
アムロの回想と、騙されたという気づき
ラル隊は食事もそこそこに砂漠の真ん中へ移動しており、ゼイガンの暗号でホワイトベース発見を知る。トレーラーの幌の下からグフと、脚にミサイルポッドを付けたザクが現れる。ハモンの「あなた、ご無事で」は3回目なので、今回は車内の無線だけにしてある。ザクが歩き出すと車が揺れ、モニターが切れる。動きの少ない絵で状況を伝える説明のうまさを岡田は評価する。
砂漠に寝転がったアムロは、ハモンやラルの言葉を思い返している。その真上をグフとザクが轟音とともに通過する。アムロはフラウがつけられたと気づくが、岡田はここを、見逃してくれた大人の余裕に感心していた自分が利用されていたと気づく場面だと読む。ホワイトベースで認められなかった少年が、敵の強い大人に認められたと何度も味わっていた。その気持ちが打ち砕かれるからこそ、最後の「僕は、あの人に勝ちたい」が効いてくるという。
限定放送で岡田は、ジェット音を何度も繰り返して説明した理由を語る。ロケットマニアの富野や岡田にとって、実物の噴射音は想像よりはるかに大きく特異なものだ。監督の頭の中で鳴っているその音を伝えたかったのだという。また、会話を交わさないシャアはライバルとしての性格が見えにくかった。早い段階で会話させたラルによって、互いを意識する構図ができた点も、路線変更の成功として挙げている。
足からミサイルを撃つザクと、身体的な芝居
後半の戦闘では、グフが空に跳んでガンタンクの気を引き、その隙にステッチのザクが脚のミサイルで履帯を止める。岡田はこの場面を、ガンダムが「リアルロボット」である理由が最も分かるシーンだと言う。ザクはマシンガンの照準器で狙いながら、実際には脚のミサイルを撃つ。照準と発射が分かれているというメカ的なずれを一度見せることで、ロボットが銃を構えることの馬鹿らしさに理屈がつく。そのおかげで、後の剣豪小説的な一騎打ちもリアルに見えるという。
ステッチがタンクにとどめを刺そうとすると、ラルは「木馬を討ち取らねば我々の戦いの意味はない」と叱る。ハヤトはブリッジの許可なく「ガンタンクの上半身を強制排除します」と言い出し、砲台になると決める。ここで岡田が見るのは、ハヤトがコクピットの無線機ではなく、下にいるリュウの方へ身を乗り出して話しかける芝居である。ザクのメカ的なリアルさに対して、肉体的・身体的なリアルさを置いているという。分離した上半身は見晴らしのいい丘の上に丸見えで残る。一方、カイは岩陰に隠れて「そこから出た方が死なないで済むぞ」と消極的に言う。しかしハヤトに「弾丸があるんだ、やります」と返され、「へいへいご立派でござんすね」と言いつつ自ら敵を探しに動く。
リュウはコアファイターでアムロを呼びに行く。アムロはギャロップと戦いながら、グフ戦に備えてビームライフルを温存していた。アムロは「リュウさんが迎えに来てくれた」と喜ぶ。しかし岡田の読みでは、リュウはハヤトの男気に押されて呼びに来ただけで、この認識のずれが後につながる。ホワイトベースの背後に回ったステッチのザクは、ミライがとっさにエンジンを全開にした噴射で爆散する。エンジンを叩くグフは、ミライの背面飛行で振り落とされる。ここまで主観ショットが続いた後、ハヤトの「すごい、ミライさん」で一度カメラが引く。視聴者の緊張を緩めるとともに、命令系統の外で動いた者どうしが互いを認める形で、チームワークに近いものが自発的に再構成されると岡田は説明する。壊れたチームワークを、個々人が自分の判断で動くことで取り戻す。中高生向けとしても高度な構成だと岡田は評している。
限定放送では、足ミサイルの1カットの意味をもう一段掘り下げる。それまでの作り手は、ロボットに武器を持たせるのは馬鹿らしいとして拒むか、子供向けだからと割り切って嘘をつくかの二択だった。富野は、自分のドラマを持ち込むためにスポンサーの要求を全部聞くと啖呵を切った以上、馬鹿らしくてもやらなければならなかった。子供の中には、成長につれてロボットアニメの馬鹿らしさに気づき、離れていく層がいる。1カットで理屈を示せば、最初に離れていきそうなその層が逆に「ガンダムは違う」と味方になる、と岡田は説明する。
ガンダムの登場とラルの見切り
電磁鞭に絡まれたガンキャノンのカイが「もうダメだ」と叫んだ瞬間、ビームが鞭を断ち切る。ガンキャノンは両肩の砲の弾薬が誘爆しやすく、装甲もタンクほど厚くないからカイは怖がった、と岡田は補足する。ガンダムは水平飛行ではなく、狙撃姿勢のまま巨大なジャンプで飛んでくる。岡田はこの構図を思い切ったものと評価する。
限定放送では、この「ぎりぎりで主役メカが一撃を放って登場する」型の元ネタとして、富野が好きな『007 サンダーボール作戦』の水中戦を挙げる。岡田は『逆襲のシャア』で富野と仕事をした際、νガンダム登場場面について「これはサンダーボール作戦なんだよ」と本人から聞き、後でビデオを借りて納得したという。
ガンダムの射撃を、グフはわずかに体を傾けるだけで避ける。ラルは「正確な射撃だ。それゆえコンピューターには予想しやすい」とつぶやく。撃つ前に重心が動くので狙いが読める。これは機体差ではなくパイロットの差だと岡田は言う。ビームは砲弾と違って破片を撒かず、着弾の爆発も岩の瞬間蒸発による水蒸気爆発のようなものなので、軽くかわすだけで済む。これが科学好きには理にかなって見える、というのも岡田の見方である。鞭で接近戦に引きずり込まれたアムロは「どうせあと1回ぐらいしか撃てないんだ」とライフルを捨てる。有利な武器を手放すはずがないと舐めていたラルは、ここで「思い切りのいいパイロットだ。手ごわい」と評価を改める。
50秒の一騎打ち
岡田は、配信版で全長24分52秒のうち18分25秒から約50秒続く接近戦を、ロボットアニメの歴史を変えたと評し、時間を追って解説する。
ガンダムは左手に盾、右手にビームサーベルを持つ。グフは3秒かけてヒートサーベルを抜き、盾を捨て、腰を落として両手で斜めの正眼に構える。ここまでの姿勢変更に約6秒。岡田はこれを薩摩示現流、つまり「一の太刀を疑わず、二の太刀いらず」の構えだと見る。機体性能はガンダムが上であり、互角に持ち込むには盾を捨てて初太刀にすべてを賭けるしかない、とラルは判断したという。
大きな盾を構えて走るガンダムは動きが遅く、ラルはそれを未熟さと読む。グフは盾ごと胴を薙ぐが、切れたのは盾だけだった。モニターに赤い上向きの矢印が点滅し、ラルが上を見ると、盾の陰から跳んだガンダムが両手で大上段に振りかぶって落ちてくる。岡田は、上向き矢印の表示はロボットアニメで初めて意味のあるかっこいいモニター表示だったのではないかと言う。限定放送では「初めてというのは言い過ぎかもしれない」と留保しつつ、劇場版マクロスのロックオン表示と比べても、知識なしで分かる点でガンダムの方が圧倒的に分かりやすいと述べている。
ただしガンダムの斬撃は浅く、コクピットの前面を焼くにとどまる。盾と一緒に左腕を斬られてもいい覚悟で踏み込んでいれば、ここで勝っていたと岡田は言う。グフは即座に突きを返す。グフのコクピットは熱で溶け、ガンダムのガラスは打撃で割れる。岡田はこの壊れ方の描き分けに注目する。突きが見えたアムロは思わず後退し、間合いが開く。グフは片手に持ち替え、溶けた装甲を手袋の手で曲げて視界を作り、「操縦系をやられたわけではない」と、下から薙ぎ払う構えに入る。岡田はこれを『子連れ狼』で知った「あしずり」の構えと呼び、地面を擦るように、あるいは水辺の葦を薙ぐように下から払う剣だと説明する。ガンダムは脇構えで待ち、割れたコクピットの隙間からヒートサーベルが見える瞬間まで引きつけて、下から斬り上げてグフの両腕を断つ。
限定放送の補足で、岡田は機体性能の差とは関節モーターの反応速度と力の差だと説明する。ジオンの機体は体重の重い相撲取り型、ガンダムは軽いレスラーの空中殺法型だという。ジオンは厚い装甲のドイツ戦車的な発想から抜けられず、連邦は軽く大量生産できるアメリカ戦車的な発想だったのではないか、というのが岡田の見方である。最後の場面では、アムロはのけぞりたいのを我慢して姿勢を保ち、グフが斬れたと思った瞬間に自重でさらに沈み、下から払った。剣道の心得があったわけではなく、戦闘の天才ゆえだと岡田は語る。
勝ったのに負けた気がするアムロ
向き合ったコクピット越しに、2人は初めて互いの正体を知る。アムロは「やっぱり」と言い、「僕らを助けたのはホワイトベースを見つけるためだったのか」と問う。ラルは「まさかな。時代が変わったようだな、坊やみたいなのがパイロットとはな」と答える。岡田はこれを、性能さえよければ子供でも戦える時代に、自分の時代の終わりを感じた言葉と読む。
腹を立てたアムロは、両腕のないグフの背中にサーベルを突き刺して「どうだ」と言う。ラルはワイヤーのフックをガンダムに引っかけただけだった。爆発に驚いたアムロが自分から跳び下がったことで、結果的にラルを連れ出してしまう。相手の力を利用する柔道的なうまさにアムロは翻弄され続けていると岡田は言う。ラルは「自分の力で勝ったのではないぞ。そのモビルスーツの性能のおかげだということを忘れるな」と言い残す。限定放送で岡田は、ノーマルスーツ姿のラルと普段着のまま乗ったアムロの差にも触れる。保護板のない状態で目の前が爆発すれば下がるのは当然で、ラルはその力を使ったのだという。「夜になってハモンと合流するか」という独り言には、ラルの人間らしさが出ていると岡田は見る。一方で、ザクを失い補給もないラル隊は、この時点で実質的にゲームセットだったとも述べている。
独房という理不尽と「僕は、あの人に勝ちたい」
帰艦したアムロは独房に入れられる。ブライトは「どんな理由があろうとチームワークを乱した罪は罪だ」と言い、弁明は「聞くわけにいかんな」と退ける。リュウは「うぬぼれるな、ガンダムさえ戻ってくればいいと思ったからだ」と言い、カイも「その辺をよく考えるんだな」と去る。誰もいない廊下にアムロの叫びだけが響く。相手がいる時は見えていた目が、無人に叫ぶ場面では格子の影で隠され、表情が読めないように作画されていると岡田は指摘する。
岡田はこの結末を、正解のない理不尽な回だと言う。実際には、チームワークがなかったからこそ皆が助かった。それなのにチームワークの名で罰せられる。当時からファンの間で誰が正しいのか議論されたが、誰も正しくない、と岡田は言う。物陰でつぶやくフラウの「バカなアムロ」は、正論の通じない戦争の中で一人理屈を通そうとすることへの言葉だと岡田は読む。嫌になっても飛び出せない環境で、疑い合いながら生まれるのがチームワークであり、時には小賢しさを殺して我慢するしかない。
最後にアムロの脳内で、ラルの台詞が再生される。「ガンダムの性能のおかげで勝ったのだ」も「いい度胸だ。だからハモンに気に入られた」も、ラルが実際に言った言葉とは違い、アムロが言われたくないことに編集されている。戦う相手をラル一人に絞るための演出だと岡田は見る。「僕は、あの人に勝ちたい」と言いながらアムロは右手をゆっくり上げる。目元だけに光を当てる表現主義的な照明の中でのこの動作について、岡田は「意図は読み切れない」と認める。そのうえで、正解のない回全体と同じく、こういう時の人間がとってしまう行動としてリアリティがあると語る。ラルの側はアムロに勝ちたいとは思っておらず、できれば子供と戦いたくないと考えている、とも付け加えている。
限定放送で岡田は、リュウとカイの言葉の温度差を指摘する。次回カイは本当に家出するので、カイの言葉は本音だった。一方、リュウの「バカ野郎」はアムロの目を覚まさせるための突き放しだという。また、アムロがラルを勝手にライバルに仕立てるのは、理不尽な状況への対抗策だと岡田は見る。上層部やスポンサーに腹を立てたら終わりで、「高畑に勝ちたい」「くそ宮崎め」と戦う意味のある相手に怒りをすり替えなければ作品は作れない。富野は命を削って作っている、と岡田は語る。
数字ひとつにも無駄のない台詞
最終回の冒頭では、視聴者の指摘も紹介された。ホワイトベースが隠れる遺跡の背景が、ペトラ遺跡に似ているというものだ。岡田は、オデッサからはだいぶ南になり資料も残っていないので断定はできないとしたうえで、講座としては「ペトラ遺跡ではないか」ということにしておく、と述べた。
締めくくりのアップグレード解説で、岡田は、ロボットアニメのドラマは戦闘を見せるという最低限の務めを果たした後の余った時間で展開するしかない、と改めて述べる。『太陽の牙ダグラム』のような例外はあるが、スポンサーの玩具を売ると約束したガンダムはそうはいかない。その限られた中で、台詞がいかに無駄なく働いているかを示す例として、岡田は二つを挙げる。一つは、ラルの「サグレとマイルは見張りだ、交代を急がせる」。部下への細かな気配りと隊の統制を示すと同時に、フラウが見つかる伏線にもなっている。もう一つは、クランプの「13人だ」。これがハモンの「14人分」とラルの「1人多いぞ」を自然に引き出し、ハモンがアムロに向けた好意を浮かび上がらせる。数字は頭に入りやすいので、こういう場面で使うのがうまい、と岡田は言う。
次回は第20話「死闘!ホワイトベース」。ランバ・ラルはアムロの目の前で無駄に死に、その後ハモンが仇討ちに来る。「あの人に勝ちたい」と言った翌週には決着がつくという予告で、講座は終わっている。
おはようございます。岡田斗司夫ゼミです。今週もですね、テレビシリーズの機動戦士ガンダムを1話ずつ解説していくガンダム講座の時間、火曜の朝がやってまいりました。今回はですね、第19話「ランバ・ラル特攻!」です。
このランバ・ラル特攻ですね、ドラマもすごければアクションもすごいと、いわゆる神回の1つだと思うんですけども、ドラマパートではですね、ホワイトベースを家出して、砂漠を彷徨うアムロとですね、ランバ・ラル、そしてハモンとの出会いを描いたと。これ見応え十分なわけですね。で、アクションパートではですね、ロボットアニメの戦闘描写を変えたとさえ言われるガンダムとグフの荒野の決闘がですね、描かれるわけですね。
今日はですね、そんなドラマとアクションの両面たっぷり魅力詰まっています。この動画はですね、岡田斗司夫の機動戦士ガンダム講座第54回から57回までですね、4回分をまとめたものでですね、アニメの方はですね、アクションとドラマの魅力がたっぷりなんですけども、今回3時間超えですね、190分ありますからですね、もう今日1日は無理かもわかんないですね。動画の1番最後にはさらに追加の話もですね、少しあるので見てってください。それではこっから無料動画スタートです。
こんばんは。岡田斗司夫の機動戦士ガンダム完全講座のお時間です。今日からですね、第19話ですね、「ランバ・ラル特攻!」の解説に入ります。全4回のやつになるので、30分のアニメをですね、2時間かけて解説することになるんですけどもですね、アムロとランバ・ラル隊がですね、砂漠の酒場でですね、初めて顔合わせる場面とか、あと、昭和の剣豪ものというのかな。明治大正昭和時代に小説であって、あと映画化もよくされたですね、剣の達人同士がチャンバラで戦うようなシーンがよくあったんですけど、そういう剣豪もののような迫力あるグフとガンダムの一騎打ちなどですね、結構盛りだくさんの内容なんですよ。
で、今日のですね、解説、第1回の解説、前半無料放送の見所はですね、そういう有名な、ランバ・ラル特攻といえばこれだっていうようなシーンのはるか前にほんのちょっとだけ展開されるですよ、ホワイトベースの中のやり取りっていうのを取り上げたいと思います。
実はですね、アムロが家出したと、ガンダムに乗って家出したという事件は主人公のアムロの感情にばっかり焦点が行きがちなんですね。それは例えば後にこのアムロ脱走をですね、リスペクトして作られたエヴァンゲリオンのテレビシリーズの中で碇シンジ君がですね、逃げちゃう回あるじゃないですか。で、逃げて電車の中でですね、どこ行くともなく同じ曲を何度も何度も聞いて、で、最後捕まっちゃうというか、見つかってしまうというところがあって、あれオマージュとして作られてるんですけどもですね。あの回を見てもやっぱりその碇シンジの感情にばっかりやっぱりみんな気持ちがいっちゃうんですね。で、作り手もそっちの方に気持ちが行っちゃうんですけども、元ネタの機動戦士ガンダムではですね、そのアムロに残された人々の気持ちですか、そういうものをすごく丁寧に描いてるんですよね。
そこら辺がね、僕がガンダムとエヴァと比べる時に、比べるような問題ではないかもわかんないんですけども、大人の視線が足りないと思ってるのはそこなんすよ。結局その、例えばなんだろうな、ネルフのもっと上の組織、国連の組織の人たちがどんな思いをしてるのか、どんな辛い思いしてるのか、彼らの頑張りどころはどこであるのかっていうのが全然描かれずに、もう本当に脇役としてのポジションしか与えられないのに対して、機動戦士ガンダムはですね、その脇役であるべき人たちがどんどんどんどん前に出てくるという大河ドラマ的な作り方なんですね。で、それに対してエヴァンゲリオンっていうのは青春ドラマの作り方してるんですよ。主人公にとにかく、それも主人公の気持ちにですね、ひたすらフォーカスを当てていくというような作り方をしてる。もうそこら辺の差ですかね。
「ランバ・ラル特攻!」の中ではですね、指揮官としてのメンツが潰され続けてるブライトさんっていうのがここはね、やっぱ見所だと思うんですね。ブライトさんもやっぱりそのホワイトベースの指揮官としてですね、みんなからもっと立ててあげればなんとかなったかもわかんないですけど、ずっとね、プライドというかですね、メンツを潰されてしまってると。で、そんなブライトさんがですね、こいつにだったら相談できると思ったですね、リュウにですね、アムロの処分についてちょっと同意を求めに行くというか相談しに行くシーンがあるんですけども、そこら辺はですね、単なる時間合わせ、尺稼ぎに見えるんですけども、実はこれがですね、汲み取れる分がすごく大きいということが分かると思います。
今日もですね、無料の部分で追加の解説をちょっとしますんで、お楽しみにしてください。それでは前半ですね、機動戦士ガンダム第19話「ランバ・ラル特攻!」ですね。1回目の解説の前半です。スタート。
機動戦士ガンダム講座、ようやっとですね、19話は「ランバ・ラル特攻!」の回ですね。ランバ・ラル特攻はですね、もうアクション回。実はですね、なんだろうな、ガンダムってロボットが戦闘する、いわゆるロボットアクション漫画、アニメというような感じなんですけども、実はそんなに格闘してる回ないんですね。で、後半になってくるとストーリーがどんどんどんどん進行して1度に複数のロボット、モビルスーツが出てくるので、ようやっとアクション物っぽくなってくるんですけども、前半はとりあえず主人公アムロ・レイの成長をひたすら描くのでですね、そんなに対決させられないんですね。
とりあえずただ単に14歳の少年が戦場に出されてなんとか生き残っていくっていうのがメインストーリーなのでですね。強い敵と戦わすことがこれまでできなかったんですね。で、19話の「ランバ・ラル特攻!」でようやっと敵のですね、ランバ・ラルっていうかなり強いやつとアムロ・レイが1対1の対決をして、で、敵を討ち取るというとこまでやっと行きます。
で、ガンダムっていうのはですね、よく頭の形がですね、例えば日本の鎧武者、戦国時代の鎧武者の兜だという風に言われてたり、あと、おもちゃなんかで槍を持ってたりですね、背中に刀を背負ってたりするんですけどもですね、実は日本人が昔から好きだったチャンバラとか時代劇のアクションの流れの文法を使ってるんですね。文法っていうのはどういう意味かって言うと、戦う時にまず名乗りを上げて1対1で戦ってっていうようなかなり古いロボットアニメの流れと、それをリアルな兵器としてのロボットを描くっていうのの、両方を合わせようとしてるんですよ。
リアルな兵器だけだったら元々ロボットに刀を持たせることがおかしいし、で、じゃあ古いロボットアクションだったらどうなるのかって言うと、なんかこうコクピットの中で叫んでる声が直接相手に聞こえちゃったりするのが、もっと古いロボットのアクションの定番なんですけど、それはやらないってだ。だからそのそれぞれの、なんだろうな、リアルと、あと外連味のある時代劇との良いところを継ぎ足してですね。で、逆に言えば悪いところをいかに打ち消し合って、面白いものを作るのかという風に工夫しています。
で、今回はですね、敵の中でも真の風格というのかな。ちょっとかなり強いですね。ランバ・ラルというですね、侍にですね、アムロ・レイが憧れると。こういう流れができるのもやっぱ基本的にはですね、そのチャンバラ物でしょう、時代劇でしょ。ということは黒澤だよねっていうその作者のですね、考え方がちょっとずつ出てきてる回でもあります。
で、ガンダムの背中にさっき刀背負ってるって言ったんですけど、ビームサーベルっていう武器があるんですけども、この回までですね、この今回の第19話のランバ・ラル戦まで十分に使えてるとは言えずですね、あくまで武器の1つでしかなかったんですけども、今回やったアクションでですね、使いこなせるようになってきます。
今回はですね、「ジオンの脅威」で初めて登場した敵の2種類目のモビルスーツですね。ずっとこれまでモビルスーツ、ザクというのしか出てこなかったのが、「ジオンの脅威」から新型モビルスーツ。それも格闘戦専用のモビルスーツ、グフっていう紫色のやつが出てきた。これを倒すまでがですね、19話「ランバ・ラル特攻!」です。
お話が始まってですね、1番最初アムロ・レイですね、砂漠をフードかぶったまま歩いてます。で、最初顔が見えなかったんですけども、片目だけが見える状態で、で、唇を今舐めています。唇舐めてるのはですね、なんだろうな、湿り気を感じてるからですね。で、砂漠をですね、ずっと放浪してる人間はわずかな空気の湿り気ですか? 例えば近くに湖があったり、オアシスがあったりすると、あ、口がちょっと湿ってきたという風なことで分かると言うんですけども、そういうですね、砂漠を彷徨ってる者の雰囲気というよりは、実はですね、前回のそのなんだろうな、アムロ脱出からですね、砂漠で何日か泊まった時のアムロ・レイを描く時はこういう描き方してないんですね。
あくまで、人気のないゴーストタウンで寝泊まりして、で、持ってきた、盗んできた缶詰を食べてっていうなんか逃げ惑うアムロ・レイだったんですけど、今回ですね、いきなりフードかぶって、で、唇の湿り気をこう舐めて確認するところをやることで、多分何日も何日も、下手したら何週間も砂漠の中にいてちょっと逞しくなってる本人っていうのを描こうとしてるんですね。
で、アムロ、この時独り言で、キャンプかっていう風に言います。水はあるんだけども、なんだろうな、オアシスで泉が湧いてるというほどではないっていうのを確認します。で、その後アムロがまあね、これもね、予算の関係なんでしょうけど、本当は後ろの方を蜃気楼っぽく陽炎がもわーっと立ってるようにしたいんだと思いますけどもですね。ゴーストタウンの中にだんだんだんだん入っていくアムロ・レイですね。湧き水の和室があるというほどのですね、キャンプではありません。
テントがあってですね、そのテントの奥にずっと死んだように座ってる老人。これも昼の暑い時には動かないようにやってるんですね。その砂漠の民の知恵みたいなので。その人にですね、水はありませんかっていう風に聞くと、余分はない。近くに町があるからそっちで買えっていう風に追い払われるんですね。で、アニメが始まってからですね、ここの位置までこのおじいさんとアムロの簡単なセリフ以外はですね、ずっと無音の状態です。風の音もないような無音の状態がずっと続いています。
で、乗り捨てられてきたですね、このバスですね。このバスとかですね、ゴーストタウン化した町でですね、ようやっとなんかこう、アムロはですね、酒場のようなところを見つけて、中に入ります。で、食事できますかって言って酒場の中に入っていきます。この食事できますかっていうですね、この流れでですね、さっき言った成長が分かるんですね。大人を前にして、これまではですね、物怖じして話せなかった主人公のアムロがですね、自分の欲しいものをちゃんと堂々と話して、食事できますかと店の奥に声をかけるってですね。で、水はありませんかって言ったら、ここには余分なものはないと言われてもいちいちいじけないとですね。というですね、アムロの成長が描かれます。
で、一方ですね、ホワイトベースの方ですね、アムロが家出したお家の方なんですけどもですね。そっちではですね、ブライトさんがですね、ミライさんと一緒にメモみたいなものを見ながら修理をですね、チェックしています。とにかくずっとですね、ホワイトベースっていうのはですね、敵の攻撃を受けて臨時修理、臨時修理っていうの繰り返してるんですね。1回も、本当だったら船だったらドックと言われる専用の工場みたいなところに入れて修理しなきゃいけないんですけども、まだ1度もそういう修理を受けてないと。で、地球に降りてきた時にエンジンに、なんだろうな、攻撃を受けてるのでですね、衛星軌道まで上がることができない。多分出力が半分ぐらいしか上がってない状態のやつを騙し騙し使ってるんですね。
で、多分ですね、こういう絵になっちゃうのは運用する人数が足りないからなんですよ。で、ざっとですね、考えてみたんですけども、これ、今回、後で敵のモビルスーツが後ろから来た時にブライトさんが「後ろのミサイルは」って言うんですね。つまり、船があったら前方に発射するミサイル、横に発射するミサイル、後ろに発射するミサイルのそれぞれの場所に担当官がいないと発射できないんですよね。これは第1話でもですね、ホワイトベースのミサイルの発射するシーン出てくるんですけども、その場所にやっぱ人がいないと発射できないような軍隊の仕組みになってるんですね。で、ブライトさんが「後ろのミサイルは」と言うと「誰もいません」って返事だけが返ってくると。
これどういうことかって言うとですね、多分このホワイトベースって運用する、動かすのにね、かなり人がいるんですよ。ブリッジに5人か6人乗ってればいいって言うんではなくて、多分普通に飛ばすだけでですね、ブリッジに人がいて、で、エンジンルームに人がいて、候補室に人がいて、で、多分20人ぐらい、下手したら30人ぐらいいるだろうと。で、さらにこれが戦艦として戦闘するには、さっき言ったミサイルであるとか、あと周りに機銃っていう銃があります。機銃。あとビーム砲とか主砲とかいろんな攻撃兵器があるんですけど、それぞれに多分20人ぐらいが必要と。当たり前ですよね。いろんな場所にあるんですから。
で、モビルスーツの整備に大体50人ぐらい必要だと思います。モビルスーツがいくつもいくつもあるんだし、発進するたびに壊れて帰ってくるわけですから、最低50人で。ブリッジに10人ぐらいは必要だろうと。これはもう上の方の例から始めて連絡まで含めて。で、生活したりご飯作ったり、医療とかでまあ20人と。ここまでで180人なんですね。で、180人って言ったらね、多分ね、このアニメの中でホワイトベースのクルーが全員揃ってるシーンでも50人ぐらいしかいないんですよ。無理なんですよね。
で、この180人っていうのは理想の人員なんですけども、これをですね、1日8時間交代で働いてたら三交代制敷くのでですね、なんかその400人以上いるという話になっちゃうんですね。で、そこまでは無理だとしても、せめてそうですね、200人ぐらいいないと話にならないと思うんですね。交代制でやるとしても。ただそれがないので、夜中は誰かが舵を取ってなきゃいけないとか、順番で徹夜して見張りしなきゃいけないというそんな状況になってます。だからもう寝る時間だけで精一杯ですね。
ブライトさんがですね、リュウさんに声をかけます。この手前の太ったお兄さんがリュウさんです。「リュウ、お前もみんなと同じ意見なのか」って言うと、リュウが「アムロのことか」っていう風に答えます。ブライトが「ああ」って答えます。「アムロのことをガンダムと別に考えるっていうのか」っていう風にリュウさんが聞くと、ブライトは「まあ、ガンダムが戻ってからの話になるがな。アムロのことは」っていう風に答えます。リュウは「なら、やめとけ。その時のアムロ次第だからな」っていう風に、割とブライトの考えをちょっと止めるような感じで言うんですね。
で、相変わらずブライトはアムロをですね、ガンダムから下ろそうというかですね、ガンダムの担当から外そうとしているんですね。で、アムロ脱走の回でまず近くにいるミライさんに同意を求めて、ミライさんに俺の、なんだろうな、味方してくれっていう風に説得しようとして、それをアムロに聞かれて、アムロは逃げちゃったんですけども、今回は修理している、なんだろうな、リュウにちょっと意見を聞くようなふりをして、やっぱ自分の意見をですね、伝えようとしますね。
で、なんでこんなことになっちゃったのか。なんでブライトさんは、一応艦長なんだから、「アムロ、お前をガンダムから下ろす」と言えばいいはずだし、周りの人間にこんな根回しをいちいちしなくてもいいし、その根回しをしようとしちゃったからアムロにガンダムに乗って逃げられちゃったわけですよね。で、ガンダムもガンダムで、前回フラウ・ボゥという女の子が車で追いかけたらすぐ見つかったわけですよ。だ、そこに行ってただ単に取り返せばいいだけだし、問答無用で別にアムロをその場で銃で撃ってもいいわけなんですよ。
なんでそれができないのかっていうのがですね、アニメ見てる時はなかなか見えてこないですね。僕らアニメの中のロジックで生きていて、アムロは主人公だからそんな殺すわけにいかないだろう。で、ブライトさんも周りの話を聞いてっていう風に見えちゃうんですけど、実際どんなことがあったのかって言うと、まず17話「アムロ脱走」、18話「灼熱のアッザム・リーダー」っていうのをちょっとだけ振り返ります。
17話「アムロ脱走」ではアムロは捕まえたザクからデータを集めて分析してるところから始まりました。夜中のシーンです。で、自分なりの勝ち方のパターンっていうのをなんとか捕まえようとしてました。で、その結果ですね、命令を無視して、ガンダムに出ろと言われたのに勝手にガンタンクで出てですね。で、それがうまくいかなかったので後でブリッジに呼び出されてめちゃくちゃ怒られてへこみました。でもへこみながらももう1回深夜にですね、あれだけじゃデータわかんなかったなって言ってるんですね。つまりすごいやる気はあると。ところがそのブライトさんがミライさんに話してて、アムロを下ろすっていう話を聞いた瞬間に泣きながら家出しちゃったわけですね。17話のアムロです。
同じく17話のですね、ブライトさんはまずですね、どんなことがあったのかというと、前回捕虜にしたコズンというジオン兵ですね。これは自分たちと違って大人です。ブライトさんがまだ10代の青年なのに対して、コズンっていうのはもう30に手が届くかというですね、ブライトたちから見たら立派な大人なんですけども、それにですね、尋問して「私が艦長だ」と言ってるんですけども、子供たちばっかりだという風に馬鹿にされてですね。で、尋問にまともに答えてもらえないと。で、アムロにですね、ガンダムで出ろって言ったら勝手に指示を無視されてガンタンクで発進されてしまうと。で、結果的にはですね、素人集団めって言って楽々脱走されてしまうと。
で、その結果、セイラ、前回ですね、独房に入れたはずのセイラをですね、リュウが勝手に出して、で、銃を渡して「セイラさん、探してください」っていう風に言ってると。つまり自分が命令した、セイラを独房に入れろっていうのを勝手にリュウが無視してドアを開けて、で、なんかこう、脱走した敵を探すメンバーに入れてしまうんですね。で、もうここまででブライトさん実はかなり面目丸つぶれの状態なんです。
で、その後ですね、ランバ・ラルチームが襲ってきた時にですね、ミライさんはブライトさんの命令も待たずに自分でですね、指示を出してしまうんですね。で、帰ってきたアムロにですね、説教する。それでアムロはへこむんですけど、説教するんですけど、へこむ程度だから、なんかね、この状況コントロールできてる気がしないと。で、ミライに相談してもですね、なんか賛成してもらえない。アムロに結果逃げられてしまうということですね。
この17話「アムロ脱走」の回は、割とそのかわいそうな、家出をするまでに追い詰められたアムロ。だからかわいそうという、見てる人間の主観はアムロに行くように作られてるんですね。それはもうハイティーンと言われる中学生、高校生を対象にしてるアニメですから、絶対にアムロの心情というか主観に見てる人間は同情するように作ってるんですよ。
ところがそのブライトの方に視線をやっておいてみると、10代の終わり、もう本当に18、19ぐらいの青年というか、まだ少年の感じのやつが船一隻任されて、大人相手に命がけの戦いさせられて、なんとかリーダーシップ取ろうとすると。でもみんな自分がリーダーだって形では立ててくれてるんですけど、いざという時になると自分の命令を聞かずに違うモビルスーツで出ていったり、自分の命令を待たずになんか自分より年下の、彼女だと思ってたあの女の子が急に命令出したり、あとなんだろう、自分が独房に閉じ込めろって言ってた部下を出してしまったりですね。どんどんどんどん思惑と違うことをやられて、このブライトさんの焦りっていうのは割と頂点に達してるんですね。僕らには、っていうか視聴者の少なくとも中学生、高校生にはまず見えないんですけど。
で、その次の「灼熱のアッザム・リーダー」という回は、簡単にアムロの心理をトレースすると、砂漠のゴーストタウンで怯えて夜を明かすと。今回と違いますね。怯えて夜を明かして、で、偶然マ・クベという敵のボスの採掘基地を発見して1人で叩くことを決意と。これも1人で戦うことを決意なんですよ。で、すねてるんだけども、やる気はあるんですね。この戦争を終わらせようという風に考えて。で、結局その船になんかもう帰りたくないと。マ・クベのこの採掘基地を1人で壊滅させれたら俺は堂々と帰ることができるっていうロジックで動いてるから、実はかなり前向きなんですね。
で、ブライトはブライトでなんとかアムロを説得しようと、「灼熱のアッザム・リーダー」の回ではフラウ・ボゥって女の子に交渉に行ってもらうんですね。説得して。で、もうその自分の指揮能力にですね、ブライトは自信なくしてて、その自信をなくしてることの象徴がアムロになってると。だから多分そのアムロを外してガンダムを運用できたら、アムロさえ閉じ込めて、で、その結果ガンダムをリュウをパイロットにするかなんかで動かすことができて、で、それでこの状況から脱出できたら何もかもうまくできるような気がすると。
なんかね、僕、自分でもよく分かるんですよ。こいつさえいなければとかですね、こいつさえ外れてくれたらうまくいくような気がする時ってなんか人生で時々あるんですけども、大体それは間違いなんですけども、ブライトさんは今そのパターンにはまってるところですね。
で、アムロは実はさっきも言ったように、自分の役割から逃げるつもりがないと。どちらかというとですね、自分より実戦が苦手なこのブライトとか他の仲間を信頼してないんですね。なのでガンダムで逃げたのはですね、その辛くて悔しくて家出したっていうのは、なんだろうな、視聴者に見えてるのか、それが全てに見えるんですけども、もう半分は1人で戦った方がまだマシだという風に考えてるからですね。戦闘のことを分かってない人間から命令されてあれこれ言われて、ダメだったら後で言われるよりは、全部自分のリスクでやりたいというですね。1人で戦った方がマシだと。だから補給や整備っていうのはいらないとは言わないんだけども、補給や整備が必要になる前に勝って帰ってくればいいじゃんっていう風に考えてる。
そこまでアムロは思ってるので、この「ランバ・ラル特攻!」の後半でですね、リュウがコア・ファイター、飛行機に乗ってアムロを探しに行くと、実はアムロは1人でランバ・ラルのギャロップと戦ってるシーンで出くわします。つまりなんかアムロって漫然と逃げてるわけではなくて、1人で戦いたくて、で、何かピリオドを打つような出来事、戦果を上げたら、それでホワイトベースへ、ざまあみたもんだ、ざまあみたかって言って帰ろうとしたというのがこの流れで分かるんですね。
なのでですね、前回ではミライさんを説得しようとしたブライトさん、今回はですね、リュウを説得しようとするんですけども、「なら、やめとけ。その時のアムロ次第だからな」っていう風に答えられてしまいます。やめとけっていうのはアムロの処分を今考えるのはやめろと。今考えたらそれを決めたゴールに従って解釈することになる。例えば独房に入れるとか裁判にかけるとか、そういうゴールを決めちゃってアムロを連れ戻したら、そのゴールに向かってしかお前考えられなくなるだろうと。だから今考えるのはやめとけ。その時のアムロの状態次第だと。
で、アムロが家出した時のまま帰ってくるのか、もしくは家出した時と何か違って本人が変わってたんだったら、その差っていうので評価してやろうと。つまり1人でも戦えると、お前らなんかいた方が邪魔だと考えてるアムロだったら、ブライトが考えるように外すのもありだろうという風に、リュウは考えてるのが、ラストのですね、アムロに対する怒りのところではっきり分かります。
で、リュウはじゃあ何を考えてこのホワイトベースに乗ってて、で、黙々と修理を続けてるのかっていうのは21話ですね。この2話後の「激闘は憎しみ深く」でようやっと分かってくるんですね。ガンダムっていろんなキャラクターの思惑っていうのがセリフになってないことがほとんどなのでですね。こうやって解釈していって、何を考えてんのかっていうのを推し量らないとなかなか見えにくいところがあります。すいません。話がちょっと横に長くなりました。
はい、どうもお疲れ様でした。無料はここまでです。追加の話なんですけどもですね、アムロがですね、ホワイトベースを離れた、家出という風に僕は言ってるんですけど、離れた理由っていうのはさっきの本編の解説でも話したようにですね、なんだろうな、嫌になって逃げたという風な部分もあると思うんですけども、それよりはやっぱり、大人になってみてから思うのは、自分がやりたいように戦うため、つまりあくまでジオンに対して戦うという目標というかですね、ベクトルはホワイトベースのみんなと同じなんですね。で、ただそれをですね、あまりにもその例えばブライトさんのですね、しょっちゅう変わる指示とかですね、分かってくれない、いちいち了解を取らなきゃいけないと、そういうのが嫌でですね、1人で戦ってみようと思って出ていったっていう風に僕は今回考えてるんですけどもですね。
これはね、やっぱり富野由悠季の自伝として機動戦士ガンダムを見るとすごく面白いと僕はずっと思ってるんですけども、それの1つがですね、虫プロを離れて。いわゆる鉄腕アトムが終わってですね、ジャングル大帝が始まり、ジャングル大帝に主力班が行ってしまって、で、富野由悠季たちはですね、まあまあ虫プロの中でもどんどんどんどん仕事が貧乏くさくなりというような流れ。でも実はジャングル大帝より鉄腕アトムの方がずっと稼いでるんじゃないのかっていうですね、やっぱりそのホワイトベースの人が感じてるような苛立ちみたいなものが当時あったわけですよね。
で、結局富野由悠季はですね、虫プロの中で正社員にならずにフリーの立場を貫く、いわゆる正規軍ではなくて、囮部隊みたいなことやってるわけですね。で、そっからも離れてですね、フリーになり、というか、テレビアニメの専属というのすらもやめて、後にですね、広告代理店にですね、関わりを持ってCMなどを手掛けるようになるんですね。
で、このアニメを辞めて、虫プロというホワイトベースを離れてですね、で、完全独立のコンテを切るですね、演出の一匹狼になってですね、で、仕事を取るというこの辺りのですね、富野由悠季。結局彼はアニメ業界に帰ってくるんですけど、この辺がですね、何か一手柄あげて、で、堂々とした顔でアニメ業界に帰ってきたかったんですけども、結局そのCM業界でもうまくいかずですね、やはりコンテを切るのが単に早い男として、日本サンライズに拾ってもらうようになった富野由悠季というね、なんかこう流れで見ると、ああ、なんかすごい自分っていうのかな。純文学っていうのをその機動戦士ガンダムの中でやろうとしてると。だからすごくこの誠実な話だなっていうの僕思ってるんですね。
ガンダムに関してはずっとこう富野由悠季の人生と照らし合わせると、あ、自分のこの時代までのその総決算っていうのをロボットアニメの中でやろうとしてるっていうのがま面白いなとは思うんですけども。
さてですね、こっから後半です。いよいよアムロとランバ・ラル部隊の邂逅をですね、出会いを描いた名シーンの解説に入ります。ポイントはですね、ハモンの初登場のシーンですね。その時にハモンがですね、スカーフをするっと取るんですよ。で、その時にですね、そのハモンの視線がどこに行くのかですね。つまりなんだろうな、何をその時ハモンは考えて何を見ていたのかですね。あの、「あんな子供が欲しいのか」っていう風にランバ・ラルから聞かれた時の、「そうね」っていうちょっとしたなんだろうな、含み笑いはですね、一体何を意味してるのかですね。
これまで僕はランバ・ラルとハモンの関係を理想的な関係として、大人の関係としてずっと語ってたんですけど、こっからそのハモンのですね、もうちょっと恐ろしさというかですね、女の業ですね、富野由悠季が常に男は敵わないものとして描いてる女というのをどのように描こうとしてたのかっていう話になっていきます。
こっから先はですね、残念ながらですね、有料の放送になります。続きが見たい方はですね、YouTubeのメンバーシップ、ドワンゴのブロマガチャンネル、もしくは、岡田斗司夫アーカイブのどれか好きなものを選んで入会してみてください。是非ですね、入会をよろしくお願いします。後半が終わった後でもですね、生放送で追加の解説しますので、お待ちください。それでは後半の動画スタートです。
で、アムロがですね、また話がアムロに戻って、酒場でですね、なんか食べるものありますかってことで、なんか硬いパン買うんですね。で、硬いものをすごい一生懸命かじってると、酒場の外で音がすると。で、見るとこのドアの奥にですね、トレーラーがガーっと入ってくるんですね。アムロにはこのトレーラーの正体が分からない。でも見てる人間には、あ、ジオンだと分かるんですね。トレーラーの上に乗っかってるこの幌の部分にですね、モビルスーツが実は隠れていて、後で戦闘の時にこの幌外すんですけどもですね。
で、アムロがこの粗末な酒場に入ってパンを食べてるのは、いよいよホワイトベースから持ち出したというか、盗み出した配給食ですね。缶詰がもう切れたからです。で、まあ、一応こうやって知らない店に入ってご飯食べるぐらいのコミュ力は身につけたということなんですけども、店の外からですね、「腹減ったな」っていう声が響いてですね、店に入ってきた男たちを見てアムロはぎょっとします。ジオン兵が入ってきたからですね。
これまでですね、間近に見たことがない、自分が今殺し合ってる相手のジオンの兵隊たちがぞろぞろぞろぞろと入ってきたと。「親父、休ませてもらうぞ。13人だ」っていう風にこの先頭のクランプという人が言います。で、店が「へい、いらっしゃいませ」って言うと、クランプ、このちょっと偉そうにしてた人がですね、「ハモン様、こちらへ」って言います。で、「ハモン様、こちらへ」って言うと、アムロが、え、って見てると1人の女の人が入ってくるんですね。
この女の人がですね、まあめっちゃ優雅にですね、スカーフをすっと取るんですけどもですね、このスカーフをですね、はらーって取る時の3コマ目ですね。ガンダムって基本的にね、演技で見るもんなんですよ。で、この2コマ目と3コマ目の目線の差ですね。スカーフを外す時に目を閉じてるんですけど、3コマ目で目を開けてる。じゃあ、3コマ目で目を開けてるから、スカーフで目をつぶってて、目を開けただけなのかというと、4コマ目ですね。4コマ目を見るとですね、また目が戻ってるんですね。3コマ目だけ横をですね、ちょっと斜め向こうですね、じっと見てるんですね。
で、何を見てるのかって言うと、この時にですね、このハモンさんが見てたのがここですね。アムロの、テーブルの向こうにいるアムロに視点がぐっと寄って、次にアムロ・レイの顔の中の目にこのハモンさんの視界がすっと寄ってくのが分かります。お互いにですね、明らかにその目線を当てているんですね。返し合ってるんですね。ハモンさんはですね、スカーフを取った時に目を一瞬開いてちらっとアムロを見ると。で、ハモンさんの視界がぎゅっとアムロに寄っていって、アムロは、え、何だろうっていう風に見返してるんですね。
これもしですね、偶然目を開けただけの演技だったら、1、2、3コマ目で目を開けたらここで終えてもいいんですよ。でも4コマ目でもう1回目を真っすぐにしてるってことは、ハモンさんが一瞬だけアムロをチラ見したっていうことが表したくて、この3コマ目のこのなんだろう、目線を明らかに当てるのがあるんですね。で、それに対して次にハモンの主観にいきなりなるのはですね、ハモンはその時に何を見てたのかっていうのを演出家としては視聴者に印象付けたいからですね。そこにいたですね、汚いなりをした、うらぶれた、ただ単に14歳の男の子ですね。誰から見ても大したことがないという男にですね、ハモンさんだけは注目したっていう風になります。
で、まあまあまあ、これね、うまいなと思うのは、すいません。ちょっと戻りますね。ハモンさんですね。砂漠から入ってきて、髪の毛が乱れないように巻いていたスカーフをふわっと取るだけの演技でもうスローモーションで見せてるんですよ。で、後で出てくる仲良しの女の子フラウ・ボゥのこのスカーフのダサさですよね。意地悪だなと思うんですよ。だって前回フラウが来る時にスカーフしてないんですよ。わざわざ今回スカーフさせたのは何かって言うと、アムロのガールフレンドはダサい、そして大人の女ハモンさんはかっこいいっていうのが見せたいがために、このわざわざ前回やってなかったスカーフ姿でフラウ・ボゥを出すと。
で、フラウ・ボゥを出した時にフラウ・ボゥが手を握って「アムロ、行こう」っていう風に言ったから、アムロはハモンさんの前でフラウ・ボゥと手をつなぐのは恥ずかしくて手を外してしまうという演技を後で入れるんですね。全てこのハモンさんっていうのが実はアムロ・レイにとって何なのかっていうのを見せるために、ちょっと今回ね、いろんな手札を使ってます。
で、ハモンさんですね、スカーフを外してアムロに目線をやって、アムロに注目して、アムロもはっとこっちを見たらですね、アムロの横をゆっくり通り過ぎるシーンが、またこんなのわざわざ描いてるんですけどもですね、完全にアムロの方です。一瞬チラ見するんですね。一瞬くっと歩きながら目を開いてアムロを見てから通り過ぎます。
で、この辺もですね、正直言って僕は、20歳ぐらいの時に機動戦士ガンダム見た時に全く分からなかったんですね。ただ単にお話を追いかけるのだけが精一杯で、で、後で出てくるランバ・ラルとの男と男の戦いみたいな方にずっと気がいってしまってて。実はこれ、ランバ・ラルという男、大人の男とアムロ・レイっていう少年との戦いであって、いわゆるビルドゥングスロマンっていう成長物語としての流れとして見てるんですけども、このハモンさんをなんでいちいち登場するたびにスローモーションでやって目線やってるのか。ランバ・ラルには全くこれやってないんですね。ランバ・ラルとはこういう目線の交わし一切やってないので。
これを見るとですね、ようやっと、あ、富野由悠季は何がやりたかったのか、で、それを何がやりたくってコンテで伝えて安彦にこういう表情をさせたのかっていうのが、ちょっとずつですね、大人になってから見るガンダムでは分かってくるので、こう面白いなと思うんですよ。
で、アムロをこう盗み見してるわけですね。で、気に入ったので笑顔になります。アムロはずっと目が離せないんですね。で、ジオンのですね、その偉そうなおじさんたちがもう全員立ったまま待ってて、「ハモンさん、こちらへ」っていう風に言ったハモンがもう本当に当たり前に真ん中にすっと座ります。すごくみんなにですね、大切に扱われてると。それもなんだろうな、いわゆるモテる女の子が大切に扱われるというよりは尊敬されてる感じがこう出てるんですね。
このクランプっていうですね、ランバ・ラルの部下は、ハモンが座る時には椅子は引くんですけども、その横にランバ・ラルが座る時は何もしません。こう立ったままなんですよね。本当面白いです。で、ジオン兵たちもハモンが座る時は全員ハモンを見てるんですよね。これが面白いです。で、その後でですね、ランバ・ラルが座る時、こんな感じでですね、クランプさんはですね、見てるだけなんですけども、ラルもかっこいいのはかっこいいんですよ。
「すまんな。サグレとマイル、サグレ、マイルは見張りだ。交代を急がせる」と言って、店の中に入ってきて全員が一斉に食事取れないので。サグレとマイルってこの2人は、このサグレとマイルっていう名前なんだよって思うんですけど、なんかね、スパイする女の子にはミハルっていう名前を使ったりですね、敵を追いかけて探ったりするやつに探れって名前つけたり、結構ね、ダジャレみたいな名前つけるんですけどもですね。「見張りだ。交代急がせる」という、これ、ランバ・ラルはハモンと違った描き方してるんですね。部下にすごい細かく細かく気遣いする、すごい現場の男としてやります。
「はっ、ランバ・ラル隊長」っていう風にですね、返事が来たらですね、ランバ・ラルっていう風にアムロがびっくりします。敵の名前っていうのをはっきり意識したからですね。「親父、うまい水をくれ」っていう風にランバ・ラルはこう座りながら言うわけですね。で、「ハモン、すまんな。地球にこんな砂漠があるのは驚きだろう」って言うと、ハモンはごく自然に「自然の驚異です。星を見てるよりはずっと面白い」って言うと、ラルは「みんな座れ座れ。何を食ってもいいぞ。作戦前の最後の食事だ」って
言います。アムロは作戦前っていうことで、ひょっとしてこれ自分が戦ってる人ではないか、単なるジオン兵ではなくて自分が戦ってる人たちじゃないかなっていう風にだんだんドキドキしてくるんですね。
で、店の親父がですね、このソドは中立地帯でございます。ま、このゴーストタウンみたいな街です。戦争はやめてくださいって言うと、他でやる、心配するなっていう風にですね、ランバ・ラルはもう顔も動かさずに答えます。
で、ハモンはメニューを見て、何もないのね、できるものを14人分っていう風に言うとですね、なんで14人分なんだろうと。ランバ・ラルのチームメンバーですね、13人なんですね。で、ランバ・ラルが聞きます。1人多いぞ、ハモンって言うとですね、あの少年にもっていう風にハモンは答えます。
黙られるか。うんって。そこでようやく全員ですね、アムロの存在に気がつくんですね。アムロっていう男の子がカウンターにいてパンをかじって水を飲んでるっていうのは他の全員に見えてるはずなんですけども、全員ですね、見えてなかったんですね。ただの子供だから。
これが実はこのアニメの中のアムロ・レイという人間の立場です。連邦軍の、なんだろうな、占領している、かつての生まれ故郷に行った時に、アムロが自分の昔の家に行った時、連邦軍の人たちに何してるんですか?って言ったら、なんだ子供かみたいな感じに扱われるんですけども、この世界の中でアムロ・レイはただの子供なんですね。だから誰1人相手にしない。ところがハモンだけは、うんって気がついて見ちゃった。見ちゃったので、あの少年にも同じものっていう風に言うと。
で、ジオン兵とかランバ・ラルはハモンに言われて初めてアムロ・レイの存在に気がついて、で、アムロ・レイはですね、見られてめちゃくちゃ緊張します。で、えってびっくりします。あの少年にも同じものという。で、ランバ・ラルは横目でですね、アムロを見ます。あんな子、ふ、あんな子が欲しいのかっていう風にランバ・ラルは言います。そうするとハモンはそうねって言うんです。
で、これもですね、僕も昔見た時よくわかんなくて。当時からですね、アニメ雑誌っていうのがようやく、なんだろうな、メジャーになってきた時代だったんですね。で、アニメ雑誌の中でもこの回を書く時は、ハモンが入ってきてスカーフを取る、なんか美人のハモンにドキドキするアムロ。その後ランバ・ラルが来て風格負けしてしまう、みたいなことが書いてあるわけです。で、あんな子供が欲しいのかって。ふ、そうね、っていう風な。この「ふ、そうね」で見てる人間もですね、完全にそれを本当だと思っちゃうんですね。
もう本当に、僕はよくジブリの説明した時の高畑勲で言ってることなんですけども、見てる人間はセリフを本気にしちゃうんですよ。ランバ・ラルが、ふん、あんな子が欲しいのかって言うと、ハモンの、ふ、そうねっていうのはその通りに受け取ってしまうんですけども、あんな子が欲しいのかって言った時のハモンの顔がこれです。ふ、そうねって言ってから1回ですね、目線を下に外します。で、またランバ・ラルを見るんですね。
分かりますか?ランバ・ラルを見ている。返事してる時に1回目線を外す。またランバ・ラルを見ると。なんで目線外してるのかと、嘘を言ってるからですね。人間っていうのは嘘言ってる時に相手の目を見ずに外すんですけど、特にアニメ的な演技ではそうなんですけども、ランバ・ラルから見たらアムロは子供なんですよ。だからハモンがあの男の子を気にしてる時に、お前あんな子供が欲しいのかと。いや、俺戦争で忙しかったからお前と子供作る時間もなかったよなと。いや、ハモンちゃん俺にベタぼれだよねっていう風に考えてるわけです。これ本当に考えてるわけです。
ところがハモンはですね、あ、いい男見つけたって思ってるんですね。だからランバ・ラルにあんな子供が欲しいのかって聞かれた時に、そうねって答えながら一瞬目を外してしまう。本心が言えずに嘘をついたと。で、多分ハモンという女はこれまでに、なんかより良い男、より強い男を見つけるとそれに乗り換えて乗り換えて生きてきた女なんですね。で、ランバ・ラルに行きついた。これがもう最後の男だろうと思ってランバ・ラルについてきて、で、戦争に来るまで一緒になってきて、で、部下に慕われるまで自分のポジション持ってきてるわけです。その意味ではしたたかな女でもあるし愛情深い女なんですけれども、ところがそれもですね、ランバ・ラルより強い男の可能性を見つけたら話が別になっちゃったんですね。
だからハモンのこれまでの生き方の天性の勘が、この子はランバ・ラルより強いかもしれない、強くなるかもしれないと思ったので、思わずアムロに目線が行っちゃったんですね。で、それをランバ・ラルにあんな子欲しいのかって言われた時に、そうねって答えてみたんですけども、一瞬目をそらしてしまう。ランバ・ラルをまっすぐ見れなくてそらしてしまうと。だからこの目をそらして戻すっていう、この見てるんだけどそらして戻すなんて演技って、やっぱり演技指定しないと絶対やらないんですね。
でもこれも大学生でガンダム見てる僕に全くわかんなくてですね。いや、今でもですね、ようやくこれガンダム講座でわざわざ分析して、じゃあしょうがねえやるかと思う。散々ガンダム見たけどなと思って見たら、あれ、このハモンの演技何なんだよ。なんで目線外すんだよと思って、流れで考えたら、あ、これしかねえわと思って考えるんですけども、なんかもう変なんですね。
で、ハモンにですね、そういう風に、あんな子が欲しいのかと言われて、そうねって言われたアムロはドキドキして思わず目線を外してしまうんですけど、その後ハモンさんのことをチラチラチラチラ見てしまうわけです。で、ここまででこのカット終わり。このシーン終わりです。
で、酒場から離れていきなり、砂漠の中を走っているですね、フラウ・ボゥのシーンになります。さっきも話した通りですね、ダサいスカーフで、アムロったらって言いながら走ってるんですけども、そうかっていう風に分かります。そうか、いくらなんでも食事ぐらいはっていう風に気がつくんですね。そろそろ持ち逃げした缶詰がなくなってるのを、ま、フラウ・ボゥは知ってるんですよ。だから町にいるはずだという連想が働くんですね。しかしジオンのトレーラーが酒場の前にあるのを見つけて警戒します。大きいキャンバスが被せてあるのでモビルスーツとは、ま、フラウ・ボゥに分からないんですけど、緊張して慎重に近づくことをしますですね。相変わらずちょっとスカーフがダサいんですけどもですね。
以上ですね、機動戦士ガンダムですね、第19話は「ランバ・ラル特攻!」ですね。まだ始まってですね、コマーシャルに全然まだ行ってませんね。多分7分目ぐらいのところなんですけども、これぐらい語ることがあるのでですね。最初に予告したですね、今回ロボットアクション拒否ですとか、ちゃん物ですって言ってるんですけど、ちゃん物になるにはまだあと僕の語りのペースで1時間ぐらいかかると思いますけど、ではまた次回よろしくお願いします。
はい、どうもお疲れ様でした。今日の限定放送はここまでです。富野由悠季はやっぱり人間観察が桁違いなんですよ。で、それはもう本人の、なんだろう、自伝とかエッセイ……したりですね、ひねくれたりすることもあれば、なんだろうな、そこまでその人のことを信じなくてもいいのよってぐらい信じて、で、裏切られたふうのことはしょっちゅうあった。で、そういう経験を自分のアニメの中に、こう、なんだろう、惜しげもなく入れるっていうタイプの作家なんですね。
だから今回の、すいません、そのハモンとラルとアムロとの関係の中にもですね、一見平和そうに見えるやり取りですか?つまり、なんだ、俺の女は、この男の子のこと可愛いと思ってる、なんだ、子供が欲しいのかと思っちゃってるおじさんと。で、そんな風に俺は見られてたのか、舐められたもんだなとちょっと思ってるアムロと、あとハモンのどっちとも取れない態度ですかね。このどっちとも取れない態度っていうのが、富野さんがですね、ガンダムの本放送の時に、アニメの雑誌からですね、ランバ・ラルとハモンの関係を聞かれた時に、あえて子供向けの雑誌であるにもかかわらず愛人ですっていう風に答えた。ここなんですね。
大人っていうのは何かって言うと、フリーランスなんですよ。人間関係としてフリーランス。何の保証もないんですよ。で、ランバ・ラルは自分たちのことを一匹狼って言ってるんですけども、所詮は組織に守られた一匹狼であってですね、ハモンのようなフリーランスではないんですね。ハモンは本当のフリーランスですから、ランバ・ラルが次々と、例えばこの人に忠誠を立てようという相手を変える時にですね、考えるような重みではなく、ハモンはもう本当に生きていくために常に男を切り替えなきゃいけないと。
ただ、そんなハモンであっても最後は、ま、こっから先の話になっちゃうんですけども、ランバ・ラルのために、ランバ・ラルの仇を討つために命を落とすと。ここが泣かせるポイントなんですよね。つまりハモンはランバ・ラルのことが好きだったから敵討ちをしたんではなくてですね、その直前まで実はハモンは違うことを考えてたかもしれない。しかし、そのランバ・ラルが愚直にも自分のために色々やってくれて、結局命を落としたっていうのが分かって、じゃあ私はちゃんとあの男のために自分の身を立てようというかですね、身を捧げようと思って決死のですね、作戦を遂行して、そして最後の瞬間に言うのが何かと言うと、本当、好きだったよ、坊やっていうのが、ここが泣かせるポイントなんですね。
ただ、まあ、もうこの辺りの組み方っていうのは大人でなきゃわかんない。で、ガンダム見る時に、まさか僕らはこんな大人の話やってると思わないじゃないですか。だ、そのセリフの応酬っていうのを、セリフを切って切って切って切って、余計なこと言わないように言わないようにしていって、ここまで練り込んだので、なんだろう、機動戦士ガンダムというのができてるわけですよ。で、でも僕らはやっぱ見る時に、アニメなんだから、ロボット物なんだから、ガンダムなんだからっていうフィルターを外せないんですよ。外さないと通り一遍の解釈になっちゃう。
ま、ちょっとね、そこら辺がね、口惜しいところでもあるんですけども、それでも、ま、僕でもこの見方をするようになったのってやっぱ55歳を超えたぐらいからなのでです。仕方がない。なんで、それをね、40手前でやってる時のって、まあ、すごいなとか、かなわねえなと思うんですけども。
さてですね、次回はですね、ランバ・ラル特攻の第2回です。今回はですね、アムロとハモンの出会いのシーンを語りましたが、来週はですね、アムロとランバ・ラルの出会いを語っていこうと思います。今日話したのでランバ・ラルとアムロは出会ってるんですけども、それはもう表面的であって、本質的には出会ってない。どちらかって言うとランバ・ラルを中心としてハモンとアムロが出会ったというのが今回なんですね。
で、少なくともランバ・ラルはアムロのことを、どこにでもいる子供だと、ちょっと顔が可愛いと。だからハモン、あんな子供が欲しいのかという風に言って、でも実は銃を持っていたというところで、ほうという風に見るんですね。で、その銃の位置がまたいわゆる股間の辺りにあって、おじさん連中が若い男の子の時に、お前大丈夫かっていう風にガッとこう金玉握るっていうような昭和のおっさんっていますよね。あんな感じなんですね。ハモンがやったアムロへの揺さぶりっていうのは。で、ほう、なんかこんな時にビビらずに、つまり自分は抵抗の意思を示してる。つまり縮み上がってないじゃないか。ちょっとしたやつだな、お前っていう。ま、それぐらいの、昭和の親父的な流れをあそこでやってるんですけどもですね。そんなラルがですね、アムロを一人前の男として認識する瞬間っていうのが、次回の解説のポイントになります。というわけで来週をお楽しみにしてください。
今日はですね、第19話「ランバ・ラル特攻!」の第2回目ですね。今ちょっとコメントにも流れたんですけど、バンダイが出すですね、700円でしたっけ?山知ってる、あのパーフェ……えっと、何だっけな?エントリーグレードガンダムっていう頭のおかしいプラモデルがもう今度出るんだけども、なんかもう色プラというか、ま、塗装しなくて良くて組むだけでガンダムができて、で、ランナーからのゲート処理も全部手でパチパチパチパチちぎって良いと。で、目の周りが黒いじゃない、ガンダムって。目が光って目の周りの……あれって、これまではそれを表現するのは塗装とか、あと黒く塗るとか黒いプラだったのが、そこに物がないっていうので表現した。つまり影でやってるの。それって本当にガンダムがあったらそういう風になってるだろうという感じでね。あ、めっちゃかっこいいなと思った。すいません、ちょっとプラモのことで熱くなってしまいましてですね。
話戻します。戻しますと言っても1回ずれますけども、ガンダムが放映されたですね、1978年、79年あたりの日本の状況っていうのはですね、同時にですね、エロ漫画ブームというのがあったんですね。エロ漫画ブームで、その前はエロ映画ブームっていうのがあったんですよ。で、このエロ漫画ブーム、エロ映画ブームっていうのは、2020年の今になって聞いたらですね、あ、その当時日本人ってエロが好きだったんだとか、あ、その頃萌えが派生したんだっていう風に思っちゃうんですけど、そうじゃないんですね。そうでなくてですね、その日本映画界が持っていたそのエロ映画の中で人間が語れるのか描けるのかっていうのがあったんですよ。
っていうのはその当時、日本映画っていうのはどんどんどんどん予算が少なくなって、まあね、興行収入が少なくなってきたので、いわゆる大監督の、なんだろうな、安全企画しか映画が撮れなくなってきた。だからどの映画会社が作るような映画ももう全部似たようなものになっていって、やれ文芸作品だなんとかだっていう風に言って立派な大作をやって、で、それでもあんまお金が儲かんない。で、大作やるからにはもう50、60過ぎのおじいちゃんとかが映画監督やってるから、若手に全然チャンスが来ないと。その中でですね、そのエロ映画ブームもしくはそのエロビデオブームというのがゆっくり起こり出すんですね。
で、そん中ではですね、エロさえやってれば何をやってもいいと。で、何をやってもいいということは、そこで面白いことに人間というのは、エロさえやってもいいんだったら、じゃあもうエロをアリバイみたいに入れて、じゃあもうすごい真面目な映画作ってやれとか、いわゆる一般映画としては公開できないような文芸的な作品とか文学的な作品を作ってやれっていう風に考えちゃったんですね。で、漫画業界も同じだったんですよ。そのエロ漫画ブームっていうのは、エロ、つまり女の子の裸さえ出せば、パンチラさえ出せば、いくら難しいことをやっても構わないという風な部分があったんですね。
で、機動戦士ガンダムっていうのはですね、このムーブメントの中から出てきたものなんですよ。それは元々日大芸術学部に行っていて、その一般映画、劇場映画のですね、監督になろうとしていた富野由悠季がアニメという方向に行ったのはなんでかというと、これからはアニメ、テレビ漫画で人間が描けるんだという時代に賭けたわけですね。その可能性に賭けて、で、虫プロに行って、虫プロで思うようにやらせてもらえないというのがあってこその機動戦士ガンダムなんですよ。
だからその、高畑勲も同じように考えて、太陽の王子ホルスやって東映を出ていくはめになって、で、カルピス名作劇場立ち上げですね、アルプスの少女ハイジやるわけですね。で、それを見ていた、参加していた富野由悠季っていうのは、これをロボットアニメでできるんじゃないのかと。高畑さんみたいにそのスタジオをちゃんと作って、日本アニメーションというスタジオの中で定期的に回すような力や、ま、言ってしまえば人望ですね。人望は俺にはないかもしれないけれども、売れるアニメを作れるという評判はあると。いわゆる悪名ですね。悪名だけ俺にはあると。あいつが作るロボットアニメ、ちょっと変わってて面白いということで、まるでエロ漫画を作るように、エロ映画を作るようにロボットアニメを作った。
ロボットさえ出てくれば何をしてもいいんだっていう時代に、じゃあロボットさえ出せば、そのカルピス名作劇場のような、まあね、高畑のようなですね、日常演技のできる日常芝居があって、おまけに人間ドラマがあるものが作れるんじゃないのかですね。
第19話はですね、前半ではランバ・ラルとハモン、あとアムロの出会いというですね、もう日常演技の描写の連続です。それの裏読みから始まって、後半ではですね、ロボット同士のですね、ま、かなりアクロバティックなアクションです。どっちの要素も高いレベルでですね、表現しています。今回はですね、そんな19話のですね、前半Aパートですね、アイキャッチまでの残りの部分を解説します。
砂漠のですね、まあさびれたですね、酒場というのもおかしいですね。本当に、何でしょうね、水飲み場みたいなところで偶然出会ってしまったアムロとランバ・ラル隊の面々ですね。誰もがですね、アムロのことを取るに足らない子供だと思っていたんですけども、無視してたんですけど、その中でハモンだけがですね、気づく。アムロの存在ですね、アムロの持っている何かに気づくところからドラマが始まります。今回も無料の終わりでですね、追加の解説するので楽しみにしてください。それでは機動戦士ガンダム第19話「ランバ・ラル特攻!」のですね、第2回目の解説スタートです。
機動戦士ガンダム講座第19話ですね、ランバ・ラル特攻の2回目をお届けします。第1回目に続いてですね、今回もAパートはですね、日常描写なんですよ。富野由悠季さんっていうですね、この機動戦士ガンダムの総監督はですね、アルプスの少女ハイジにもう参加してて、コンテとして参加してたんですね。で、その時に高畑からですね、コンテ発注受けて上げたんですけども、富野さん本人の言葉によるとほとんど使ってもらえなかったと。多分、それは大げさな言い方で、そんなことなかったと思うんですけども、
その富野さんが考えていた、うん、なんだろうな、彼は彼なりにテレビアニメの演技ってこういう風なもんだろ、アニメの演技ってこんなもんだろうっていうのを高畑勲さんにですね、割と散々否定されて、で、ぺちゃんこになったと。で、後にですね、機動戦士ガンダムでやりたいこと、やりたかったことっていうのは、実はカルピス名作劇場と言われる、後にですね、世界名作劇場になっちゃったんですけども、いわゆるフランダースの犬とかですね。あと、ま、特に高畑さんがやっているハイジや、母をたずねて三千里、赤毛のアンですね。この辺りの作品の日常演技っていうのを、いかにそのロボットアニメの中でやるのかっていうのが目的だったという風に富野さんは語ってます。
割とファンのイベントとかですね。そういうのは内輪の席と、ファンのイベントの、なんだろう、打ち上げみたいなところでですね。その内輪の席みたいなところで語ってくださってて、で、僕もイデオンのイベントの時にですね、富野さんとちょっとそういうファン上がりの状態で、ま、ご一緒する時があって、その時にもなんか富野さんから聞いた覚えがあるんですけどもですね。なんでそんなに、僕らにしてみれば機動戦士ガンダムで十分面白いのに、なぜそんなに赤毛のアンやハイジを意識するんだろうというのがですね、この大学をちょっと上がったぐらいの自分にはあんまり理解できなかったんですけど、今になってその高畑勲演出がいかに凄まじいかっていうのを知るとですね、あ、富野さんが目指してたのはここだったんだ。じゃあ、ガンダムの中でやりたかったことっていうのがどのレベルだったのかっていうのを、ま、今回もですね、その辺紐解いてみようと思います。
前回第1回でですね、最後のところで砂漠の町にですね、ジオン兵がいて、ま、アムロがですね、そこに水と食料を求めていくと、ジオン兵たちもわらわらとやってくると。で、そのジオン兵の中からですね、ライバルのランバ・ラルとハモンが来ると。もちろんアムロはまだランバ・ラルもハモンのことも知らないんですけども、なんか立ち振る舞いでジオン兵の中でもなんか強そうだというのは分かるんですね。で、そこへですね、アムロを探しに来た、家出したアムロを探しに来たフラウが、彼らを見つけてくるというところまでが、ま、第1回でした。
ハモンにですね、あの子にも食事をと言われてアムロはですね、ドキドキしてしまうんですね。で、一方アムロを探して砂漠にバギーでやってきたフラウはですね、ジオン兵たちが溜まっている酒場をなんか見つけて近づいてきたというところまでです。
で、あの子にも同じものということで、ご飯奢るわっていう風にハモンさんに言われてですね、アムロはですね、立ち上がって、なんて言うか、ご好意は嬉しいんですけど、僕にはいただけませんっていう風にアムロははっきり言います。ハモンはなぜっていう風に悪気なく答えると、あなたに物を恵んでもらう理由がありませんっていう風に言います。この時まだランバ・ラルはですね、全然アムロの方見てないんですね。ずっとハモンだけを見てるんですね。で、ハモンとそのアムロのやり取りをですね、ハモンの表情を読んでいるんですね。
で、あなたに物を恵んでもらう理由がありませんってアムロが言うところで、初めてランバ・ラルは後ろをちらっと見て、ハモン、1本やられたな、この小僧にっていう風に嬉しそうに言います。ハモンは、君のことを私が気に入ったからなんだけども、理由にならないかしらっていう風に言います。ま、大人の女っぽく、いい女っぽく言うわけですね。アムロがそんなって言うと、ランバ・ラルがですね、小僧、ハモンに気に入られるなぞよほどのことだぞという風にやっとアムロに話しかけます。そうすると後ろのですね、副官のクランプですね、ちょっと、ま、ひょろっとした顔のやつがですね、ずっとランバ・ラルの、ま、忠実な部下として仕えてるんですけど、クランプがですね、全くだ、遠慮したらバチが当たるぞって言うと、他のジオン兵たちも、あやかりたいぐらいだ、坊主、男冥利に尽きるってもんだぞっていう風なことで、みんなランバ・ラルも一緒にわははって笑います。ま、ハモンさんがどれだけ慕われて信頼されているかってやつですね。
なんかね、ポイントはですね、そのアムロはですね、部屋の隅にいたんですけども、ランバ・ラルもジオン兵もですね、誰1人としてアムロの存在に気がつきもしなかったんですね。で、そういう、誰も気がつきもしなかった酒場でハモン1人だけがアムロの存在に気がついていた。なんかこの子何かあるわっていうのがピンと来て、ハモンだけがアムロを見つめていた状態だったんですね。
そうするとアムロはムキになってですね、僕、乞食じゃありませんしっていう風にちょっと強い口調で返すと、ランバ・ラルが、気に入ったぞ小僧、それだけはっきり物を言うとはなっていう風に、ま、なんかなぜか気に入られてしまいます。この気に入る時のランバ・ラルがですね、なんか、まこんな感じでですね、このいわゆる割れた顎ですね。イタリア系の男性みたいな割れた顎みたいなんで、気に入ったぞ小僧、それだけはっきり物を言うとはなっていう風に、こういう感じで、まあなんか男らしい感じでやるんですけど、ま、こういうポーズがなかなか様になってると。あとはこの煽り構図の絵でその人を描くっていうのが、ま、この頃から富野さんのですね、ちょっと見せ場を作る時の決め顔みたいになってくるんですね。ビデオの時にもっと、その小川さんっていう人がキャラクターデザインやった時は骨格がしっかりしてる顔だったんで、余計この構図使いがちになったんですけど、ま、ランバ・ラルはちょっと男らしい感じでエラも張ってて、顎がいわゆるケツ顎になってるという風になっていて、
で、気に入られてですね、ハモンだけの奢りじゃない、わしからも奢らせてもらうよ、なら食っていけるだろう、うん、っていう風に、急にアムロの方をこうガーっと抱いて、なら食っていけるだろう、うんっていう風に言うんですけども、そんなんじゃっていう風にアムロはですね、ひょろひょろとこう断ります。そうするとそこに部下のマインがですね、隊長、怪しいやつを捕まえましたという風にきます。
そうすると急にこっから雰囲気がくるっと変わるんですね。それまでですね、なんだろうな、部下を前にしてもそれなりに、休みだ、休みだ、みんな好きなものを食えっていう風なことで、割とみんなをリラックスさせてたランバ・ラルがですね、怪しいやつを捕まえましたって聞いた瞬間に、ま、アムロの方を抱いてたんですけど、それすっともう忘れたようになってですね、スパイかっていう風に聞きます。で、は、挙動不審の女がっていう風なことで、挙動不審の女が連れてこられます。
もう本当に連行される感じでフラウがゴーンと突き出されるんですけども、前回も話した通りですね、めちゃくちゃですね、ダサい、なんでしょうね、スカーフかけたフラウがですね、突き出されます。で、フラウが、あって言うと、ランバ・ラルがなんだ子供じゃないかっていう風に言うんですね。で、アムロが思わずフラウ・ボゥっていう風に声をかけてしまう。そうするとハモンの目がこうキラっと光ってですね、あなたのお友達ねっていう風に言います。もう、あなたのお友達ねっていう風に確認をするだけなんですね。
多分そのハモンはここの流れで、たった1人で男の子が砂漠の真ん中にいる不自然さですね。で、そこに連邦軍の制服っぽい服を着た女の子が探しに来たような感じで、で、それも、ま、ランバ・ラルの部下にうかうかと見つかってしまうと。この辺でその2人の関係をなんとなく見抜いて、あなたのお友達ねっていう風に確認だけ取ってくると、アムロはええっていう風に、ま、弱く答えます。で、それに対してこの捕まえた兵隊がですね、いや、しかしこいつの着ているのは連邦軍の制服ですっていう風に言います。そうするとラルが、そうかな、ちょっと違うぞっていう風に答えるんですね。
で、なんでランバ・ラルが、その明らかに連邦軍の制服なんですけども、そうかな、ちょっと違うぞって言ってるのは、なんだ子供じゃないかと。つまりスパイかどうかわかんないんだけども、こんなもん別にこの子供なんか逃してもいいよって。俺らの部隊っていうのは別にその子供に見つかったからどうこういうもんじゃないよみたいな感じで。多分この時のランバ・ラル、このあとのランバ・ラルですね、考え方が変わってくるんですね。この今日の回だけでもですね、考え方っていうのかな?アムロやフラウに対する考え方が変わってくるんですけど、この段階では割と優しい男なんですね。
だから、連邦軍の制服です。制服を着てスパイ行為働いたら、もう問答無用で、戦場で見つかったらそいつは銃殺っていうのはどの時代の国際法でも当たり前で、多分ガンダム世界でもスパイは見つかったら銃殺で当たり前なんですけども、ランバ・ラルはそういう風にしたくないのでですね、ちょっと違うぞという風に、部下の指摘に対して、ランバ・ラルももう連邦軍の制服って分かってるんですけど、とぼけようとするんですね。とすると、スパイかもしれないけど子供をなんか処刑するつもりもないと。
そうするとですね、この部下の方がですね、間違いありませんっていう風に言っちゃうんですね。ちょ、ちょっと違うと思うけどってことでランバ・ラルが問題を複雑にしないようにしてんですけど、部下はね、あんまりそこら辺は気がついてなくて、間違いありませんって言うとですね、ランバ・ラルがそうなのかハモンっていう風に聞きます。ここでハモンにパスを渡すわけですね。もう部下が間違いありませんとまで断言しちゃったからさあ、そうなのかハモンっていう風にパスを渡すとですね、ハモンは全く表情を変えずにですね、ずっとランバ・ラルを見たままですね、さ、そうらしいけど、その子、この子のガールフレンドですってっていう風に言うんですね。アムロの方に視線も投げずに、この子のガールフレンドですってって言うんですね。
そうするとランバ・ラルがほうっていう風に言って、このフラウが何も考えずにアムロっていう風にまた声かけちゃうんですね。で、ランバ・ラルがですね、もうフラウの方見もしないんですね。このままアムロの方にまっすぐ歩いてきながらですね、放してやれっていう風に言います。そうすると捕まえてる兵はいや、しかしって言うんですけども、ラルがいいからって言いながらですね、そのアムロの方へゆっくり歩いていくんですね。で、アムロの正面に立ってアムロの顔を見下ろします。
で、初めてこの時にランバ・ラルはアムロの顔をはっきり見るんですよ。っていうのはそれまでですね、気に入ったぞとかって言いながら、実はアムロの顔をろくに見てないんですね。こう振り返ってちらっと見たり、それぐらいはあったんですけどもですね。実はランバ・ラルという戦場の侍の目に、アムロっていう子供なんか映ってなかったんですね。でもここでですね、初めてアムロの顔をじっと見るランバ・ラルと。で、それに対してアムロはですね、やや睨み返すような反抗の顔になります。
で、ま、ここでですね、ハモンがですね、気に入ったっていう理由がやっとランバ・ラルにも分かるんですね。アムロの目がですね、いわゆる強い目してるんです。この時睨み返す時、強い目してて、後にですね、リュウはですね、ブライトに対して、あいつは野生の獣だ、虎だっていう風に言うんですけども、ホワイトベースのクルーも実はアムロをバカにしてるんではなくて、何かある時のアムロの強い目ですね。割と野生の目っていうのかな。そういうですね、目を怖がってたっていうところがもっと後になって分かってくるんですけども、
ランバ・ラルはこの時に、それまでまっすぐ自分を見なかった、おどおどした少年が、フラウが捕まって、で、ほう、そうなのかって言った時に自分をまっすぐ見返してくるんでですね、初めてこの少年の決意というのに気がついたと。で、いい目をしてるなってランバ・ラルは言いながら、これもすごいんですけど、いい目をしてるなって言いながら目をまっすぐアムロの方見ながら、アムロのマントをバッと広げるんですね。全く目を動かさない演技でバッと広げると。
そうすると、この連続ですね。マントをバッと広げられたら、アムロはランバ・ラルの方見てるんですけど、まずいと思って下を見ちゃうんですね。で、それに対してランバ・ラルはへえって言ってアムロの手元を見てて、こうアムロの顔を見上げるっていう構図になっています。アムロとランバ・ラルのこの睨み合いですね。アムロは下を見ていた。ランバ・ラルは下を見ていた目線をアムロに見上げると。で、まだこれが何があるのかは出てこないんですよ。ふふふ、それにしてもいい度胸だ。ますます気に入ったよ、アムロ。アムロとか言ったなっていう風に、ここでやっとアムロの名前を覚えてくると。
で、気まぐれなハモンの、いつもの気まぐれなハモンの、ま、お気に入りの男の子だと。あんな男の子が欲しいのかなと思ってたアムロが、実は1人の男、おそらく1人の敵としてランバ・ラルに記憶された瞬間ですね。バッとマント開けた時に何かをランバ・ラルが見たから、目線を見上げてアムロの目を初めて見て、ますます気に入ったよって言いながら見上げる。ちょっと怖い構図ですね。
で、カメラがですね、これ、ま、有名なシーンなんでいちいちフリップ作らなかったんですけども、アムロとか言ったなって言った時にはいって答えると、このアムロの顔からカメラがずっとパンダウンすると、ランバ・ラルに持ち上げられたマントがあって、で、そのアムロの手がですね、自分の護身用の銃ですね、連邦軍の銃をぐっと握ってると。つまりなんかこの環境でアムロは撃つもりだったんですね。ランバ・ラルがあまりに早くマントをバッと広げたから、アムロはその場で動かずに止まってしまったんですけども、もしランバ・ラルがあのままゆっくり近づいてきて、お前は一体誰だとかなんか言ったら、アムロはその場で、いわゆるお母さんと会った時にいきなりジオン軍の兵隊撃ったように、同じようにランバ・ラルを正面から撃とうとしてたと。でもそれが撃たずに固まっていたっていうのが分かるんですね。
で、この瞬間お互いが連邦とジオンという敵同士だという風なことを、ま、認識してる瞬間なんですけども。で、ランバ・ラルはですね、その銃を見てですね、アムロから離れます。で、アムロから離れながらですね、ゆっくりとこの右から左へ歩きながら、しかし戦場で会ったらこうはいかんぞ。頑張れよ、アムロ君っていう風に言います。ま、含みのあるセリフですよね。戦場で会ったらこうはいかんぞってな。戦場で会ったらお前を見逃すことはないと。じゃ、お前を殺すぞと。でも、ま、こういうようなところで会って、1回気に入ったって言っちゃったし、飯奢るって言ったから、とりあえず今日は見逃してやるっていうことです。頑張れよアムロ君っていう風に名前を覚えて励ましまでしてしまうんですね。
ラルがですね、大人の余裕を見せて見逃すという風に宣言してるんですけども、実はこれは狡猾なですね、ずる賢いランバ・ラルの戦略だったんですけど、まだこの頃のアムロにはそれが分かりません。アムロはですね、それに対して相変わらずおどおどとですね、ランバ・ラルさんもハモンさんもありがとうございましたっていう風に声をかけながら、フラウの方へ小走りに去っていきます。ありがとうございましたっていうのはですね、見逃してくれてありがとうございましたという意味です。
アムロはですね、ランバ・ラルがどういうつもりで、戦場で会ったらこうはいかんぞ、もうランバ・ラルは全て見通してるわけです。お前は連邦軍の兵隊だろうと。だから戦場で会ったら俺と殺し合っちゃうんだよなっていうのを見通してるんですけども、なんで今見逃してくれるのか分からなくて、あ、なんか気に入ってくれたから見逃してくれてるんだろうっていう風に思って、もう僕もそういう風に思ってましたし、
やっぱ当時のね、毎回毎回当時のアニメ雑誌の話するのはなんでかって言うと、この機動戦士ガンダムの少し前、宇宙戦艦ヤマトですね、1974年の宇宙戦艦ヤマトの頃からアニメ雑誌っていうのが誕生して、で、1979年ですねから80年にかけての機動戦士ガンダムの放映の時っていうのは、もうアニメ雑誌が何冊も何冊も出てて、そこの編集部の人たちっていうのは大体20代後半から30代前半のいわゆるもう大人の世代なんですよ。で、その人たちが、ま、中学生、高校生の読者に向けて、このセリフ、こういう風な意味だよとかですね、ランバ・ラルはこのこと考えてるんだよという風なことをちゃんと解説して書いてたんですけどもですね、ま、僕が見てる限り全くそういう風なこと書いてないですね。ランバ・ラルはこの時もう頭の中に計略があって、アムロたちを見逃すことを決めたんだっていうのは書いてなくてですね、なんかね、やっぱり大人の余裕で見逃したみたいにはですね、僕もそういう風に思ってたんですけどもですね。
ランバ・ラルさんもハモンさんもありがとうございますっていう風にアムロはここでお礼まで言っちゃうんですね。で、でもアムロはなんで見逃してくれるのかわかんないから、ランバ・ラルの顔を見ようとしちゃうんですよ。ところがランバ・ラルはですね、それに対して後ろ向いたままなんですね。全く表情を見せないから、ランバ・ラルが何を考えてるのかアムロには分からないままなんですよ。
で、ハモンは全然態度が変わらずアムロのことをじっと見てると。で、後ろに立ってるですね、クランプっていうですね、このランバ・ラルの副官ですね。一の子分はアムロをじっと見てるんですね。アムロの態度をじっと見てる。で、クランプの横にいるですね、このジオンのですね、ま、名もなき兵隊。こいつがですね、ランバ・ラルの方じっと見てるんですね。で、これどういうことかって言うとですね、そのジオンの兵隊にしても、なんでうちのボスはあいつを見逃すんだろうと。だって連邦軍の制服着てるから明らかにスパイで、なんかボスがマント引っ張り上げて何か見つけたらしいけど、それはもうボスのランバ・ラルにしかわかんないですね。でもそれを見たらランバ・ラルは急に見逃すっていう風に言い出したと。なんかボスは変だという風なことで。
で、クランプは、ま、なんでか分からないけども、じっとアムロから目を離さず、で、ハモンはそれに対して何も気にせずですね、ここで起きてることに何も気にせず、自分の感情でアムロをじっと観察してるんですね。ランバ・ラルは背中を向けて表情を、なんかこう見せてないで、この下っ端の兵隊だけが不満でですね。なんでボスはこいつを見逃すんだろうという風に、ちょっと不信感っていうことはないんですけど、不満を持ってランバ・ラルを見ています。
で、アムロはですね、フラウに行こうっていう風に声をかけます。行こうって声をかけてですね、で、行く時にですね、一瞬、ハモンさんの方をもう1回見てしまいます。そうすると見られてハモンさんはふって手を上げて挨拶してあげるんですね。
このランバ・ラルとアムロと、ハモンとアムロの関係って全く別に描かれてるんですよ。ランバ・ラルはあくまで背中しか見せずに、これ以上お前と顔合わせるわけにいかない。だって実はお前、俺とお前は敵と味方だろと。だから俺は今見逃してやるけど、お前の顔を見るなんていう馴れ馴れしいことはしないぞと言って背中を向ける。ところがハモンさんはですね、アムロがちらっと見たらわざわざ手を上げて挨拶してあげるっていうようなことするんですね。全くこのランバ・ラルとハモンっていうのは一心同体のようにありながら、別のロジックで動いてるっていうのが分かります。
はい、どうも無料はここまでです。お疲れ様でした。いや、もうね、すごいよね。やり取りが大人のやり取り。結局その後ろを向いてるランバ・ラルは怒りを抑えてるわけですよね。つまり油断して子供だと思っていた自分に対して怒ってるわけですし、同時にアムロを見てですね、ああ、コズンを殺したのはこいつらかっていう風に思ってるわけですし、クランプは威嚇してるわけですね。真正面からアムロを見て、とにかく目を離さないようにしてる
と猟犬みたいな、ドーベルマンみたいなもんですね。で、部下はその命令を待っていると。つまりランバ・ラルの顔を見てるのは何かというと、ランバ・ラルがちょっと顎をしゃくったりする、ほんの少しでもそぶりを見せるとアムロを即捕まえる、銃で撃つなりするっていうのを待ってですね。すごい緊迫感の中でハモンだけは平然と普通の態度でいるっていうですね。この辺の恐ろしさですね。
アムロとランバ・ラルに関してですね、YouTubeで電助さんって方がコメント残してくれました。ランバ・ラルとアムロの出会うシーン、アムロが股間にピストルを隠してる場面。そうなんですよ。股間に隠してるんですよ。が、まだ女を知らないアムロと男としての経験を重ねたラルとの差として感じられます。そう、さすがですと。撃つ体勢になっていない、ズボンに収まったままの拳銃=男性の暗喩メタファーと私は見ました。電助さんのコメントですね。さらにその後ぼんやり空を眺めるアムロの脳裏に浮かぶラルのシルエット。実際は小男のラルがハモンよりも大きく猛々しげに描かれています。ラルに対するアムロの記憶、敵わないという感情というか感触が描かれており、その直後に戦場へ向かうグフのシルエットがよぎる演出など素晴らしいと思います、というですね。電助さん、コメントありがとうございます。
さてここから先の後半では、相島てのドラマパートを一気に語ります。ここまでの講座を聞いていただいたら分かる通り、ランバ・ラルから見たアムロとハモンから見たアムロっていうのは明確に違ってるんですよね。そしてそういったアムロへの評価も、酒場のやり取りを通じてラルやハモンの中で少しずつ変わっていく、変化していくんですね。同じように、アムロから見たランバ・ラルとハモンというのも、19話は全体を通じてやっぱり変化していきます。最初は漠然と、初めてまともに接してくれたジオンの軍人というイメージですね。つまり敵という風に思った人を最初に見たのは、1つ前の戦場で、必要のない基地を破壊した時に敵の兵であったっていうのと、あとガルマ様の仇という風に言われたとかですね。そういうのはあったんですけども、初めてその関係を持てる程度に会話をしてしまったジオンの兵隊、大人の人っていうのが、最後は「あの人に勝ちたい」という風に強く決意するほど圧倒的に上の存在、憧れの存在になっていくんですね。こういったそれぞれの感情変化まで含めて読み取っていくと、機動戦士ガンダムという世界をもっと楽しめると思います。
こっから先は有料の配信になります。続きが見たい人は、YouTubeのメンバーシップ、ドワンゴのブロマガチャンネル、もしくは岡田斗司夫のアーカイブ、どれか好きなもの選んで入会ご検討ください。後半が終わった後でも、生放送で追加解説をします。それでは後半こっからスタートです。
で、「アムロ」っていう風にフラウが言うんですけど、嬉しそうに近寄るんですけど、アムロはそのまま「行こう」って言ってフラウの手を握って、そのまま外へ出てしまうんですね。
そうすると2人が外へ出た瞬間に、ランバ・ラルはちょっと目つきが変わって、部下を呼びます。部下を呼ぶ時のこの手が、「おい」って言って、本当に手をくっとやるだけなんです。で、「おい」って呼んで、ゼイガンっていう部下が「はっ」って言って手前に来ます。この手前にいるやつがゼイガンですね。そうするとランバ・ラルは、この下のコマで分かる通り、すごい身をかがめるんですね。「後をつけろ。この辺りにいる連邦軍となれば木馬ぐらいしかおらんはずだ」っていう風に言うんです。つまりランバ・ラルは最初から、この2人を今捕まえて処刑するとかよりも、逃して泳がした方が、脅したから、「俺が次に戦場だったらこうはいかんぞ」って脅したから、絶対に自分たちの基地に逃げ帰るはずだと。で、この辺りにいる連邦軍っていうのはホワイトベースしかないから、ホワイトベースを探るためにアムロを脅してから逃したんですね。で、それも脅す時には「気に入ったよ」とか、なんか「目がいい」とかっていう風に言いながら、褒めながら脅したので、多分警戒せずに一気に逃げるはずだって。ここまでがランバ・ラルの戦略なんですね。
ただ残念なのが、声優さんの演技が、この「おい」って言って「後をつけろ」、ゼイガンがその後、「この近くにいる連邦軍ということは木馬ぐらいしかいないはずだ」という時に、絵の動きが違うんです。絵の動きが、「おい」って言って、こういう風に言って「後をつけろ」って言った後、身をかがめ、上目遣いになりながら「この辺りにいる連邦軍となれば」って言うんですけど、おそらくこの後半は小声で言うはずだったんですよ。ところがアニメを見ると声優さんのトーンが変わってないと。多分作画が間に合ってなかったので、声優さんとしては、これなんだろうな、ニュアンスとして見るしかないんです。なので「後をつけろ」という風なものを同じ調子で読んじゃったんですけれども、演技しちゃったんですけども、絵を見ると明らかに身をかがめて小声でささやくような感じですね。外にいるアムロたちに聞こえないように言ってるニュアンスが本当は欲しかったはずなんですけど、ちょっとここら辺はね、もうテレビシリーズもキチキチのスケジュールでやってる悲しさみたいなもんですね。だから呼び出す時は割と体をのけぞらすように、この上のコマ、こののけぞらすような余裕があるんですけども、指示を出す時はぐっと身を乗り出してるってことで、多分後で見て声優さんも、と思います。そん時絵が間に合ったら、俺これ分かってたのにって思ったんですけども。
で、アムロとフラウですね。アムロはフラウ・ボゥの手を引っ張って出てくると、外へ出た瞬間にパッと手を離すと。これを後でフラウ・ボゥは責めるんですけども、手を振りほどいた瞬間に、フラウは「どうしたのよ」っていう風に聞いてしまいます。で、アムロだけ先に手を離してスタスタスタッと行ってから振り返って、「僕のことならほっといてくれと言っただろう」っていう風にいきなりフラウ・ボゥに言っちゃいます。そうするとフラウ・ボゥもカチンときてアムロに走って追いついて、「みんながあなたのことをいつまでも心配してると思ったら大間違いよ」っていう風に言います。そうするとアムロが「お前こそジオンの連中に捕まったりして」っていう風に言い合いになっちゃうんですね。そうするとフラウ・ボゥは「じゃああんたは何よ」という風に言います。で、言い合いが始まったんですけど、急にアムロが黙って振り返ってバーっと走って戻るんですね。で、「アムロ」ってフラウ・ボゥがびっくりして呼びかけると。で、アムロが黙って振り返って走っていったのは何かって言うと、フラウ・ボゥが持ってきた車、バギーにさっさと乗るためなんですよ。
最初アムロは酒場からとにかく離れて逃げることしか考えてなかったんですけども、フラウ・ボゥと言い合いになってしまったと。言い合いになってしまったのをジオンに聞かれたら、自分たちがどういう立場の人間か分かってしまうからですね。で、お互いに、フラウ・ボゥは何も考えてくれない、そういう風な大人の事情みたいなこと考えてくれなくて、自分もついつい興奮して大きい声を出してしまったので、とにかくこの場から去ろうということでアムロはバギーに乗ります。で、バギーを動かしてフラウ・ボゥの横にガッと寄せて、「乗れよ」っていう風にかなり乱暴な口調で言います。フラウが持ってきた車を運転してきて「乗れよ」もないんですけども、かなり乱暴に声をかける。アムロはこっから一瞬でも早く離れたくて仕方がないんですけども、フラウにはそういう男の理屈っていうのかな?戦争の理屈が全然分からないんですね。でもアムロも、フラウに見えていた女のサインですか?なんでランバ・ラルは背中向けてんのにハモンさんだけはこちらを向いて、アムロがちらっと目線向けたら手をあげて挨拶しているのかっていう、女だったら分かるような微妙なサインっていうのがアムロには分かんないのか。これが分からないんですね。両者とも分かってないと。
で、車に乗ってまだ2人は痴話喧嘩を続けるんですね。アムロは黙りこくって運転してるんですけども、フラウ・ボゥが「さっきの人が見てた、さっき女の人が見てたから私と手をつなぐのやめたんでしょう」っていう風に急に言います。そうするとアムロは「違うよ」っていう風に、もう本当に無言で、むっつりして運転してるんですね。ずっと運転してると。そうするとフラウ・ボゥは「嘘」っていう風に決めつけて、「どんどん私から離れていっちゃうのね、アムロ」っていう風に言います。で、フラウ・ボゥが言った後で運転席のアムロをちらっと横に見ると、アムロの横顔ですね。何も答えないアムロの横顔が映ってます。
この辺りも日常演技の、もう本当にやり取りなんですよ。アムロがなんでフラウ・ボゥの手をつないで出たのかって言うと、もちろん早く出たいからっていうのはあるんですけども、ランバ・ラルが敵だと、お互いの敵だと分かったので、わざとバカな若者のふり、バカな恋人同士のふりをしたんですね。だから手をつないで、フラウ・ボゥの手をつないで、「これは俺の彼女なんです。どうもすいません」っていうような感じで逃げたんですけど、フラウ・ボゥにとってアムロが手をつないだというのは、なんか当たり前の行為なんですよ。私たちだってそういう関係でしょと。だから手をつなぐのが当たり前のはずなのに、でもあの綺麗な女の人が見てたから、その人の前で手を離したのねっていう風に、フラウは嫉妬で言うわけですね。でもアムロはそんな嫉妬どころじゃないと。手をつないだのは、俺たちバカな恋人を見せないとあの場で殺されるかもしれなかったのに、もうこの女は戦争のことが分かってないっていう風にバカにしてるし、フラウはフラウの方で、なんかあの女が出してる変な色みたいなの分かるでしょあんたっていう風に思ってるんですよね。で、大人の美女がアムロに目線を送って、アムロがそれを明らかに意識してドキドキしてるのがもう許せないんですね。
フラウ・ボゥの、この「嘘」って言った後、「どんどん私から離れていっちゃうのね、アムロ」っていう風に言ってるのも、これ本気のセリフじゃないんですね。なんでそれが分かるのかと言うと、言った後でアムロの表情を読もうとしてるんですよ。言った後でアムロの表情を読もうとして、だからこんな割と喧嘩売るみたいな、「違うよ」とか「そんなの関係ないだろう」とか、何でもいいんですよ。アムロからのリアクションが欲しくて引っかけゼリフを言って、アムロの表情を読もうとしたら、アムロの表情が全く読めないっていうですね。ここもすれ違いの演技なんですね。だから、ロボアニメ見てると思って油断したら、かなり高度な人間ドラマをぶっ込んでくるので、ちょっとこのおっさん油断できないんですけども、あえて言い返したくなるような誘いゼリフを言わせておいて、アムロのリアクションを観察しているんですけども、しかしアムロは表情を変えないんですね。
で、アムロはバギーから降ります。で、「じゃあ」って言って、フラウ・ボゥだけをバギーに残して、またアムロは砂漠の中に歩いて去っていく。そうすると「ホワイトベースには帰らないの」っていう風にフラウ・ボゥに聞かれると、「うん、帰らない。お前も早く帰らないと日射病になるから」「後悔したって知らないからね」みたいな言い合いがあって、「1人だって俺は生きていけるさ」みたいな言い合いがあって、アムロは砂漠の中に消えていって、フラウ・ボゥはバーっと車を運転してホワイトベースへ帰ります。そうするとフラウ・ボゥのバギーを後ろから尾行してくるのが、さっきランバ・ラルから指示を受けたゼイガンっていう男ですね。ゼイガンという部下がガーっとバイクを走らせて、気配を察して、前の方に何か見えたと思ったら素早くエンジンを切って、惰性だけで砂丘の丘を、ガーっと音を立てないようにして、エンジン切ってバイクで下り降りて、そのままバイクを乗り捨てて岩陰から見ると。
これは下からのパンアップですね。この構図から、ゼイガンが見ている構図からずっと上に上がっていくと、ホワイトベースがあるのが見えるんですね。「木馬だ」っていう独り言を言って、そのままランバ・ラルに連絡を取ります。
このカットの次は、砂漠にいるランバ・ラルたちです。ランバ・ラル、砂漠のど真ん中にもうトレーラーが移動してるんですね。さっきまでのオアシスで飯を食べようとしていたランバ・ラルたちは、もうすでに移動済みなんですよ。これ何かって言うと、実はアムロたちは弱いとはいえ敵なので、このままホワイトベースがどの距離にいるのかわかんないと。通報されたら敵の攻撃が始まるかもわかんないんで、自分たちもさっさと場所を移動しようとして、おそらく食事ももうそこそこにするか中断するかして、ランバ・ラルたちは砂漠のど真ん中ぐらいにガーっと移動してるんですね。で、ゼイガンからの連絡を待っていると、自動車の中ですね。で、「来たか」って言うと、ジオン兵が「ゼイガンから暗号です」ということでホワイトベースが見つかったと。「よし、出撃準備にかかれ」って言うと、トレーラーから幌を外すと、中にはランバ・ラルのグフとザクが入っているんですね。
で、次はホワイトベースにシーンが移ります。ようやっとホワイトベースに帰ったフラウ・ボゥが、どんな状況か話します。ブライトたちに報告すると。そうするとそこになんかモビルスーツあったのかってことで、「トレーラーがあったから、あそこの幌は多分モビルスーツだと思う」っていう風にフラウ・ボゥが言って、ホワイトベースのチームはチームで迎撃準備を開始します。迎え撃つ準備があるんですね。で、またカメラが移って、ランバ・ラルの方に行って、ランバ・ラルたちがこれから出撃だという風な準備を始めるんですね。で、ランバ・ラルが、グフのこっから出てくる鞭の様子をビューンビュンと見ながら、「よし、調子がいいぞ。ステッチ、そっちはどうだ」って言うと、ステッチという部下が「はいであります」と。今回初登場の、ミサイルを装備したザクですね。この足首、くるぶしというか、なんだろうな、スネの辺りに、ミサイルポッドをつけた、見たことがないタイプのザクが、下からゴーと上がってきて、今回ちょっとこれの新兵器出しますよという風な形で紹介されます。なんかこのミサイルポッドが付いてる新兵器も、もうこの話数ぐらいになってくるといちいち説明しないんですね。で、後半になってこのミサイルを使うんですけど、この使い方もなかなかエレガントというか、見せ方が上品なので、僕も好きなシーンです。
で、こうやって準備してると、ハモンさんが「あなた、ご無事で」っていう風に声をかけます。ハモンさんがランバ・ラルの出撃の時に「あなた、ご無事で」っていうのは、これがもう3回目なので、同じような構造をあまり取りたくないので、今回は車の中から無線機で言うだけなんですね。でそれに対してランバ・ラルは、この小さいモニターの中で言うと。で、「うん。お前たちは5km前進して待ってくれ。これで無線を使うのは一時中止する」っていう風にセリフの後半になると、この後ろのザクの足が、あ、こいつですね、ゴンゴンと動いて、ザクが移動を始めると、ザクが歩いて移動を始めると、この車自体がガタガタガタっと揺れると。で、「これで無線を使うのは一時中止する」と言った瞬間に、ガタガタっと揺れる車の中でこのランバ・ラルの画面がオフになるっていうですね。割と、何でしょうね、構図はぴったり決まってて、動く絵は少ない割に何やってるのか分かるっていう、ちょっと説明がうまい絵になってるんですね。で、ハモンが「はい」って答えるとモニターがオフになると。で、そのままグフとザクは背中のバックパックからロケット噴射をして、バーンと空高く舞い上がるんですね。で、この2人が乗ってるトレーラー、他の部下が乗ってるトレーラーもみんな砂漠の中を発進していきます。こっから戦いが始まるってことです。
で、その頃、アムロは砂漠の中で黄昏れています。なんだろうな、上を向いてゴロンと寝転がってるんですけども、この1番上の感じですね。「あの人たちが僕たちが戦っている相手なんだろうか」っていう風にアムロが思ってると、アムロの心の中のシーンですね。ランバ・ラルとハモンが出てきて、「君を気に入ったからなんだけど、いけないかしら」ってハモンが言うと、「ハモンに気に入られるなんてよほどのことだぞ。わはは」って言うと、ジオン兵が「わはは」って言いながら、これがくるくるくるくる回るというですね。なんか心の中のイメージ映像みたいなもんです。「わはは」ってくるくるくるくる回ってたら、いきなりゴーってジェット音がして、アムロの見てる、これ空を見上げて寝転んでるんですけども、空を見上げてるアムロの見た目ですね、真上を通過するグフっていうのが、ジェットを立てて通過するグフっていうのがドンと来ます。
それに対してアムロが「あっ」て驚いて「えっ」て思ってると、そのままもう1回、今度は同じ、もうちょっと低い高度を、足にミサイルをつけた、見たことない新兵器をつけたザクが、同じように飛び越えていくんですね。で、アムロ驚いて立ち上がります。立ち上がって、「ホワイトベースを見つけたのか。ホワイトベースが見つかったんだ。フラウがつけられたんだ」と。どうやらこのグフとザクが。アムロはそれまで、なんでランバ・ラルとハモンを思い出してたのかって言うと、敵を見ながら、敵の兵隊を見ながら、「あなたのことを気に入ったわ」とか「ハモンに気に入られるなんてお前なんかすごいぞ」っていう風に、ホワイトベースの中では一切認めてもらえなかったアムロが、いきなり敵のすごい強そうな親父に認めてもらえて、だから俺ってひょっとして、みたいなことを何回も何回も繰り返して味わってたんですね。ところが目の前にザクとグフがバーっと飛んでるのを見て立ち上がって、「ホワイトベースが見つけられたのか。フラウがつけられたんだ」。まるで人のせいみたいに言ってましたけど、ここでようやっと、逃してもらったと思ってたのが騙されたのに、アムロは気がついたんですね。なんか大人の余裕みたいなもんで見逃してくれた、なんか大人ってすごいなと思ってたのが、そうじゃないんだと。自分たちは利用されてたんだと。何もかもこの人には敵わないという風に思ったんですね。
で、この「フラウがつけられたんだ」っていうところで、ドドドン、ドドドドンでアイキャッチになって、ようやっとコマーシャルが、前半が終わるんですけども、この後、話数ですね、「ランバ・ラル特攻!」最後まで行ったところで、アムロが暗い部屋の中で「ぼ、僕は、僕はあの人に勝ちたい」っていうシーンがあるんですけど、なんでそこまで勝ちたいと思うのかっていうのは、この1番最初に、ホワイトベースの中で認められなかった自分だから家出までして、砂漠の中で、自分を「あの子いいわ」って言ってくれた美人の女の人、その女の人の旦那さんっぽい人が「俺も気に入ったよ」って言ってくれて、敵なのに見逃してくれた。なんて余裕のある人たちなんだと思って、砂漠の中でそれを思い出して、精神的なオナニーにふけるみたいなもんですから。自分を褒めてくれたわけですから。ふけってると、目の前をザクとグフがぶわーっとジェット音やって襲いに行ってると。でそれで立ち上がって騙されたと。これはもう自分は人間的にも戦略的にも何もかも敵わないと思ったからこそ、最後の最後、1番最後になってきて「僕はあの人に勝ちたい」っていう風にドンとやるセリフが、なんかすごい効いてくるわけなんですね。
ガンダムのこの回はAパートここまでで終わるんですけども、Bパートって言われるコマーシャル明けの後半部分は、もういきなり戦闘シーンから始まるので、次回第4回はこの戦闘シーンから、アムロ君の、もう本当に絞り出すような「僕はあの人に勝ちたい」までを送ろうと思います。それでは今日はどうもお疲れ様でした。
はい、どうもお疲れ様です。今日の限定放送はここまでです。最後の方、僕がグフとザクのジェット音っていう風に繰り返してるんですけど、なんであそこ繰り返してんのか、僕も3年ぐらい前の自分の映像見ては思ってるんですけども、やっぱりね、監督というかクリエイターが、どんな音が実は自分に聞こえてるのか、それはやっぱ伝えたいなと思うんですよ。富野由悠季はロケットマニアで、僕もロケットマニアなんですけども、実際にロケットの発射を見ても、ジェット機の発進の時の音を聞いても、想像してる音と全然違うんですね。ものすごいでかいんですよ。やっぱものすごくでかいし特徴的で、日常生活では絶対聞かないような音なんですね。で、ザクとかグフが空を飛んで、アムロの上をジャンプして飛んでる時っていうのは、当然ロケット噴射なりジェット噴射なりをしてるわけですよ。で、アムロの瞑想っていうのかな、なんかずっと砂漠の中で思い出したりしてることを、一瞬で本当にぶち破るような、すごい音がして、目の前を、太陽の前を横切ってグフが通りすぎていくシーンっていうのは、もう監督の頭の中ですごいシーンなわけですね。そこでジェット音がギャーンっていうのがあって、頭の上をものすごいでかい巨大なロボットが通っていくシーンっていうのが、すごいかっこよく見えてるはずなんですよ。で、なんかね、それは分かるんです。でもそれは分かるんだけども、多分もうアニメを見てて、実際に飛行機とかロケットとかをあまり見ずに子供の頃からアニメのロボットを見てる人たちっていうのは、それを様式として捉えるので、あ、目の前を、太陽の前をロボットが通ったんだっていう風に取れるんですけども、多分なんかもっと、なんだろうな、重たいものというか、絵を見せたいんだと思うわけですね。だから本当はこれって、どういう風に実際に撮ればそんな風に見えるのかなという、ちょっとね、今考えてたりしてるんですけどね。これすごいシーンなのにな、と思うんですけど。
あと僕が思ったのは、ランバ・ラルを出して正解だったのは、ドラマとして出して正解だったのは、1番最初、シャア・アズナブルがライバルとして出てくるわけですね。ロボットアニメですから。普通、敵味方というか、アムロのライバルはシャアっていう風に最終的にはなるんですけども、シャアってね、見えないんですよね。アムロとの会話がないから。もう本当にアムロと出会って会話するのなんて、かなりアニメのラスト何話かになってからなので、結局お互いに会話がない。そこがリアルなんですけど、会話がないので、ライバルとしてのシャアが見えないんですよ。で、それに対してラルは見える。割と早い段階でアムロと出会わせて会話させてるので、お互いに相手のことを意識することができるわけですね。だからそこの意味でも、ランバ・ラルというキャラクター、シャアがなぜかその人気がスポンサー筋から出なくて、女の子から人気は高かったんだけども、あまり盛り上がらなくて、で、その後出したランバ・ラルでどのように路線変更したのかっていうのも、ちょっと分かって面白いですね。
次回は「ランバ・ラル特攻!」の3回目になります。で、この19話っていうのは、日常演技とドラマ、メカアクションが完璧に両立してると言ったんですけども、来週からいよいよ戦闘パートの解説に入ります。ガンダム、ガンキャノン、ガンタンクも全員出てきて、そしてグフとザクという、初めてモビルスーツの総力戦ですか、地上戦が描かれます。ここまで登場した全てのモビルスーツが入り乱れて戦うこの戦闘パートも、ドラマパートと同じぐらい様々な工夫が入ってますので、それを解説していきます。ということで、来週お楽しみください。
今回の第3回解説で注目してもらいたいのは、ガンダムとグフの一騎打ちの前の段階なんですけども、ホワイトベースに襲いかかるグフとザクを、ハヤトとリュウのガンタンク、あとカイのガンキャノンが迎え撃つシーンなんですね。この戦闘シーン、細かい演出を積み重ねて、その細かい演出を積み重ねて組み合わせたからこそ、クライマックスでのグフとガンダムの一騎打ちがより目立つ、際立つような構造になってるんですね。ということで、今日はそんなロボットアクションシーンの流れっていうのを再確認したいと思います。今回も無料の終わりで追加の解説をするので楽しみにしてください。それでは、機動戦士ガンダム第19話「ランバ・ラル特攻!」3回目の解説を、これより始めます。ではスタート。
機動戦士ガンダム講座。第19話、「ランバ・ラル特攻!」の回ですね。アイキャッチのところまで前回やりました。つまり前半パートやったわけで、これから30分アニメの後半部分をやります。後半はいよいよロボット戦闘シーンですね。前々回から予告した通り、機動戦士ガンダムっていうのは、実は日本人が昔から好きだった時代劇とかチャンバラの映画の文法でできていると話をしたんですけども、今日は具体的にそれがどういうものなのかを説明したいと思います。ついにロボットアクションで、ランバ・ラルのグフとの1対1の決闘シーンっていうのをやるわけです。
まずコマーシャル明け最初ですね。これ、アムロが砂漠の砂の中からガンダムのコクピット部分を掘り出してるシーンなんですけども、コマーシャル前に、グフとザクが、砂漠で寝転がってるアムロの上をバーっと飛んでいってしまった、フラウがつけられたんだという風なことで、アムロは砂の中に隠していたガンダムを掘り出すんですね。で、「グフってモビルスーツに出てこられたら、ガンキャノンもタンクもイチコロだ」っていう風にアムロは言いながら焦って、モビルスーツを掘り出してます。そしたらその頃、もう本当にマジで、ガンキャノンがやられてまして、イチコロだと言ってたら、アムロ君が言った瞬間にもう本当にその通りに、イチコロでやられてました。で、ガンキャノンの他にガンタンクも出動するんですけど、グフとザクとの連携っていうのがあって、敵わないんですね。これは、ホワイトベースの方はチームがバラバラで、なんだろうな、弱いのに対して、ランバ・ラルはモビルスーツが2体しかいないのに連携プレイをちゃんとやってて、だから強いんだっていうのを見せるようになってるんですね。で、これが後半、ランバ・ラルチームも自分たちの強さに油断して個別に動いてしまい、で、ホワイトベースは逆に、チームワークが取れていないがために、個人個人が自分の裁量で勝手なことをやり出して、それがなんか生き残ることにつながったという、ちょっと不思議な構成の回になってるんですね。
よいしょ。ガンタンク、ガンキャノンがやられてると。で、これ、「ステッチ、俺が飛び出す。その間にタンクをやれ」っていう風に、ランバ・ラルと、グフとザクとの連携が語られます。で、グフがこのままゴンと飛び出して、空を飛ぶんですね。で、上空から攻撃すると、ガンタンクがそのグフにうわーっと気を取られて、一生懸命グフのみを狙って空中攻撃してしまうと。で、そん時に、この手前にいるステッチというやつのザクがミサイルを発射するんですね。ザクの足のミサイルを構えて、で、「今だ」っていうステッチのセリフの部分に、ここでコマが急にポっと割れて、で、足の部分で爆発があったかと思うと、ミサイルがぐーンと伸びていくシーンですね。
で、このシーン、なんでこう見せようかと思ったのかって言うと、ガンダムっていうのはよくリアルロボットという風に言われるんですけども、僕はこのシーンがリアルロボットが1番分かるシーンだと思ってるんですね。ていうのは、ロボットが例えば剣を持って戦うとか、ロボットが銃を持って戦うっていうのも馬鹿らしいじゃないですか。そんな人間型のロボットがわざわざ機関銃とかピストル持って撃つっていうのは、すごく馬鹿らしいことなんですね。で、それを富野監督は、ザンボット3とか無敵鋼人ダイターン3の頃からずっとやってて、馬鹿らしい馬鹿らしいと自分でも思いながらスポンサーの要請でやってるんですけれども、機動戦士ガンダムもそれにちゃんと理由をつけたんですね。っていうのは、このザクが構えて足からミサイルが発射するシーンっていうのが入った瞬間にどう見えるのかって言うと、つまり、なんだろうな、別にここの目にレンズがあって、本当に銃を構えて撃ってるわけじゃないんだと。いわゆる銃を構えるっていうのは本当にその方向に銃口を向けるだけで、照準っていうのは別のところで行われてるんだっていう理論化が行われると。だから銃を構えてるんだけども、実際に発射するのは足のミサイル弾っていう、ちょっとなんかメカ的にずれたことをやってるんです。これがあるおかげで、ロボット同士の一騎打ちっていうちょっと馬鹿らしい話が、一気にリアルに見えてるんですね。
あと、もう少し分かりやすいようにこのフィギュアで解説しますけれども、こいつがやってるのが、左足をわざわざ分かるように1歩前に出して、ドスンと前に出して、その上でこの目でこの照準器を使って狙ってるわけですね。ちょっと分かりますか?こういう風にやればカメラ真正面になりましたね。この手前のマシンガンの照準器を使って狙いを合わせて、実際に撃ってるのはこの足のミサイルっていう風な撃ち方してるんです。だから、この辺で、なんかそのほんのちょっとしたミリタリーっぽさというか、メカっぽさっていうのを出してることによって、この後で出てくるガンダム対グフの一騎打ちっていうのは、逆にメカっぽさっていうよりは、剣豪小説、チャンバラ小説の宮本武蔵対佐々木小次郎みたいな戦いになってくるんですけど、そっちの方が割とリアルに見えると。ここで1回ザクの使い方っていうのかな?ロボットメカの使い方っていうのを一度、ちょっと意外な見せ方をしてくれてるおかげで、すごい見やすくなってるという風に思います。
で、このザクのミサイルが命中して、ガンタンクはキャタピラが止まってしまい、動けなくなるんですね。で、このステッチ君は大喜びですね。「はは、隊長やりました。タンクを仕留めましたよ。こいつにとどめを」って言うと、ランバ・ラルが怒って「何を寝ぼけとるかステッチ。木馬だ。木馬を討ち取らねば我々の戦いの意味はない」っていう風に怒ります。その通りなんですよ。ステッチは目の前の戦闘で勝つことでいっぱいになってしまって、じゃあタンクにとどめを刺そうとするんです。これランバ・ラルはそうじゃないだろうと。ホワイトベースというのを落とさなければ自分たちの戦いに意味はないということで、ステッチは反省して「そうでありました」っていう風に言います。
で、ガンタンクは下半身がキャタピラの戦車になってて、上半身がロボットなんですね。なので、下半身のキャタピラが潰されてしまったらもう動けないわけです。というわけで、もうガンタンクは終わりかと思ったら、ハヤト君が「リュウさん、ガンタンクの上半身を強制排除します。いいですか」っていう風にセリフを言います。この辺から、さっき話してたホワイトベースのメンバーが、各個人が勝手を言い出すあたりですね。これも、なんかその、言っちゃえば個人がブリッジに許可を取ってないんですよ。実はここら辺の動きっていうのは、全てはハヤトが勝手に言い出して、リュウがそれを追認するって形で、アムロがブライトの言うことを聞かないってことと全く同じことをやってるんですけども、それと同じことを始めてしまうんですね。
ということで、ハヤト君が「リュウさん、ガンタンクの上半身を強制排除します」っていう風に言います。これ見たら分かる通り、ちょっと手前を向けて下向いて言ってるんですね。大きく身を乗り出して、こういう風に身を乗り出してかがんで下を向いてるんですね。で、さらに正確に言うと、ハヤト君、実は僕で説明すると、正面位置こうなんすよ。で、さっきまでこういう風に撃ってたんです。弾撃ってたんですけども、ここで画面の右を見て「リュウさん」っていう風に、こんな感じで言ってるんですね。で、これ何かって言うと、本来ならコクピットの後で出てくるんですけども、ハヤトの通信無線機ってここにあるんですね。だから「リュウさん」って話さなくてもいいですし、別に顔を乗り出す必要ないんですけども、これが身体的な演技ってやつなんですね。つまりこうやって、リュウが下にいるからと言って、この無線機に向かって言ってると。さっきザクでメカニック的な演技やったんですよ。ザクの演技は身体的と逆なんですね。つまり狙いを込めてやると、なぜか足から弾が出るっていうのは、身体的ではなくメカ的で、それに対してハヤトが「リュウさん」っていう風に、わざわざ、なんだろうな、正面こっちなのにこちら向けて下を向いて言うことによって、この演技がものすごく身体的になるんですね。身体的になるんですね。で、この身体的な演技を使って、あえて身を乗り出して、それも体をかがめて下の方へ言うっていうことで、なんだろうな、肉体的なリアルさと、ザクが持ってるメカ的なリアルさっていうのが、ちゃんと対比できた構造になっています。
で、こんなこと言われたら、リュウはびっくりします。上半身を強制排除させるって言うと、「強制排除させるだと?ハヤト、お前はどうなる。動けんぞ」っていう風に言うと、ハヤトが「リュウさん、弾丸は十分残ってます。砲台になればいいことです」っていう風に言って、これね、何がすごいかと言ったら、「リュウさん、弾丸は十分に残ってます。砲台になればいいことです」って言いながら、左手でレバーをギュっと引いてるんですね。で、レバー引いたら、このまんま、これこっちの方向から見るんですけども、ハヤトが乗ってる上半身がバーンと上にロケット噴射で持ち上がって、で、これリュウが乗ってる下半分の部分なんですね。ここが剥き出しになってると。で、この上半身がゴーンと出てきて、手前にこいつがドンと着陸するんですよ。これ全部ワンカットなんですけど、ガンタンクの上半身がボーンとロケット噴射で上に上がって、それが手前にどんどん落ちてくる。で、やっぱり、リュウに声かける時、ハヤトは後ろ向いて喋るんですね。これもさっき言った身体的な演技の続きというやつですね。「戦力は無駄にできません。リュウさんはコア・ファイターでアムロを呼びに行ってください」っていう風に言うと。
これもその、うーん、ロボットの上半身が切り離されてそれだけが動くっていう、言っちゃえば気持ちの悪いことしてるんですね。生理的に言えば気持ちの悪いことをしながら、メカニック的には正しいんですよ。でありながら、やっぱりリュウに無線で話す時は、必要もないのに後ろを向いて。だってこれ後ろ向いても、全然リュウから見えなくなってるわけですから、こうすることによって、見てる人に対して身体的な動きっていうのもフォローしてるっていうわけですね。上半身がバーンと外れて、それが手前にドンと降りてくると、ハヤトが後ろ向いてリュウに話しかける。「リュウさんはコア・ファイターでアムロを呼びに行ってください」。そうするとリュウは「ハヤト、気をつけてな。カイ、ホワイトベースを頼む」って言って、このままこの赤いコアブロックの部分がドーンと打ち出されるんですね。で、打ち出されて、飛行機に変形して飛んでいくわけです。
やっぱりその、これまでも機動戦士ガンダムっていうのは、なんだろうな、飛行機が変形してブロックになったり、もしくはロボットの中から飛び出してきた部分が変形して飛行機になるっていう、いわゆるロボットアニメ的な変形っていうのをやってるわけですね。で、その辺がやっぱりリアリティがちょっとないっていう風に思いがちなんですけども、こういう風に、「その間に呼びに行ってください」って言って上半身を排除して、この赤い部分だけが上にドーンと打ち出されて、空中でなんかよろよろと飛行機に変形しながら飛んでいくのを見てると、なんかものすごくリアルに見えてくるんですね。ようやっとこの19話あたりで、富野由悠季がその1話の頃からすごく小さく積み重ねてきたロボットアニメのリアルさっていうのが、さっき言ったザクの足のミサイルなども含めて、ちょっと見えてきた辺りだと思います。結構ね、これね、隠れた名シーンだと思うんですけど。で、リュウはこのまま飛行機に乗って、「ハヤト、気をつけてな」って言いながら
さらにですね、カイにハヤトとホワイトベースを頼むとですね、さっきボロボロにやられたカイさんにですね、ハヤトとホワイトベースを頼むっていきなり責任を戻されてですね、カイはめちゃくちゃビビるわけですね。これなんかね、ちょっと丘の上みたいなところにこのハヤトの上半身だけ残るんですよ。すごい印象的なんですよね。ハヤトが着地したのが丘の上の、敵から丸見え、イコール自分も狙いやすいんですよ。見晴らしがいい丘の上に乗ってる上半身のロボットだけは、もう自分の身を守る術がないんですよ。
そこにドーンと降りて、そしたらその丘の下の影の方にカイがこう隠れてるんです。だってめっちゃ卑怯な感じで隠れてて、ハヤトとホワイトベースを頼むと。それですよ。もうこんななっちゃったら、例えばもうハヤトなんか体が動かないから、後ろの方向とかっていうのは守ってくれるのはカイだけだから、リュウは飛びながら言うわけなんですけども、カイが「冗談じゃないよ。グフとザクはどこに行ったんだ。ハヤト、お前そこから出た方が死なない。死なないで済むぞ」っていう風に言います。つまり「ハヤト、お前逃げろ」じゃないんですよ。「ハヤト、お前そこから出た方が死なないで済むぞ」っていうすごい消極的な言い方で逃げろって言うんですけどもですね。これを岩陰に隠れたままですね、カイは言うんですよ。
しかしハヤトはあくまで勇敢でですね、「何言ってんです。動けなくなったって弾丸があるんだ。やります」っていう風にですね。めちゃくちゃ勇気を持って言うんですが、そうするとなんかこうハヤトって丘の上で隠れる場所もなく敵に対して剥き出しでですね、ここまで男気のあるセリフ吐かれるとですね、ここまで言われたらカイも隠れる気がなくなっちゃうんですね。「ほう。へいへい、ご立派でござんすね」って言った後「ちっ、あの上かな? 敵は」っていうセリフになります。つまり隠れていてもうやり過ごそうと思ったカイは、じゃあ俺が行くしかないかなと思って、敵の場所を探して自分から動くっていうところまで、このシーンのお尻で伝えるんですね。
はい。お疲れ様でした。無料はここまでです。いやもうハヤト君立派ですよね。もうねぶりに見ながらですね。ハヤト君よくできたやつだと思いながらですね。収録した時はなかったですね、ガンタンクのですね、おもちゃなどをこういじってました。このガンタンクのおもちゃですね、ちゃんと上半身が取れるんですけども、上半身が取れてなるんですけどもね、本当にね、この部分だけが丘のてっぺんに残ってですね、何ができるんだって話ですね。
だからこの長距離砲はですね、もう使えないですよね。だからこの至近距離というかですね、これって元々地平線の向こうの敵と戦うような武器ですから、もう今使えないんですよ。で、それよりはこの手のところの小型の大砲、大砲と言ってもですね、ガンダムやガンキャノンが持ってるようなものよりははるかに火力が強いんですけど、それで戦うしかないわけですね。それを見ながらですね、いや、やっぱハヤトいい男だよなとかいう風に思ってました。
あとですね、追加解説というには変な解説なんですけども、自分で見ててもですね、後ろの棚が空っぽなのがすごい気になってですね、あれちょうどこの今のスタジオに引っ越した直後なんですね。で、引っ越した直後でIKEAのですね、棚がもう置いてるだけの状態で、こういうのもたまにはいいかと思って、たまには何にもない状態見せようと思ってやったんですけども、いざ自分が後でこの放送で動画を見るとですね、めちゃくちゃ違和感がありましたね。あとは今日ちょっと寝癖がこうついてたのがですね、さっきコメントで寝癖っていう風に書いてあったんで、やっぱ取れてなかったかとか思ってちょっと恥ずかしかったですね。
肉体的表現と、身体的表現とあとメカニック的表現って話はですね、本編の中で出てきたんですけども、ランバ・ラルのザクの、ザクが狙っていて、マシンガンを持っていて、足からミサイルが出るというシーンなんですけども、ああいうシーンってですね、富野さんが、本編の中でも説明したように、ロボットアニメでロボットが銃を持ったり、剣を持ったりして、刀を持ったりして振り回して戦ったりするっていうのは馬鹿らしいと。で、馬鹿らしいってのは自分も分かってると。でもそれまでのアニメの演出家、アニメの作家っていうのは全て、この馬鹿らしいからそんなことはやらないっていう風に開き直っちゃうか、馬鹿らしいんだけどスポンサーが要求してるんだし、これも子供向けのアニメなんだから仕方がないよという風に自分を納得させて嘘をついてやるのかの2択だったんですね。
しかしそこに富野さんがやったのはですね、馬鹿らしいけどやらなければいけないと。なんでやらなければいけないかって言うと、自分がやりたいドラマというのを持ち込むためにスポンサーに対して、そのテレビ局に対して、そちら側の要求は全部聞くっていう風に啖呵切ったからなんですね。だからやらなければいけないと。なので馬鹿らしいけどやらねばならぬ。じゃあもう、見てる子供たちも実は薄々馬鹿らしいと思ったでしょ。でもこれには理由があるんだっていうですね、そのワンカットですね。もう本当にザクのシーンなんてワンカットなんですよ。そのワンカットを足すことで驚きと納得が与えられると。子供たちに、あ、そういう理由があったんだと。
で、そこで驚いたり、あっと納得する子供っていうのは、逆に言えばロボットが剣を振り回すなんて馬鹿らしい、ロボットが銃を持ってなんて馬鹿らしいっていう、指摘する側の層なんですね。子供たちの中でもヒーローのロボットが好きな人はそれを馬鹿らしいと思わないんです。それはもう最初からある一定の層いるから関係ないんですけども、そうじゃなくて子供たちの中には、成長するにつれて、でもここって馬鹿らしいよなと思いながらなんか目をつぶってる人があると。で、そういう人たちは徐々に徐々にロボットアニメから離れていくんですよ。
だからロボットアニメっていうのは、ロボットアニメファンっていうのをお客さんにしてるだけではなくて、もうカテゴリー分けできない人たち全てを相手にしてると。そしてその人たちの中の何割かは、徐々に徐々に自分が成長していくにつれてロボットから離れていくんですね。そういう人たちに対して、いや、ガンダムは違うんだっていうのをですね、1カット見せるだけで、その中でも1番最初に離れていきそうな、いや、やっぱこれって子供っぽいよなと思った人たちが、逆に言えばガンダムは違うんだっていう風に味方になってくれる。なんかそういう見せ方をしてるのがですね、すごいという風に僕は思います。
さて後半でもですね、引き続きランバ・ラル特攻の戦闘シーンを語っています。危険を承知でですね、ボロボロのガンタンクの上半身だけで男気溢れるですね、砲台としてですね、もう死んでも構わないと思ってるですね、ハヤト・コバヤシですね。で、そんなハヤトを見てですね、こそこそ隠れていたのをやめて、強敵であるグフにですね、あえて自分から立ち向かっていくカイですね。泣かせますよね。ハヤトの男気にですね、感化されてですね、ガンダムを呼び戻すために戦場を離れるリュウ・ホセイですね。ホワイトベースにですね、取り付いたジオンのモビルスーツをですね、振り落とすためにですね、咄嗟の判断でアクロバットなですね、操艦を始めるですね、ミライさん。
こうやってですね、その他の人も含めてですね、一斉にキャラクターたちが生き残るためにっていうことで、なんか精一杯の勇気を振り絞るシーンがですね、なかなかこう燃えるんですよね。で、こうやって描かれるですね、彼らの行動は実は、後半ですね、ある部分で共通した特徴を持っています。それは何かというのが後半の講座のですね、テーマになります。
こっから先はですね、残念ながら有料になります。続きが見たい人はYouTubeのメンバーシップ、ドワンゴのブロマガチャンネルですね。もしくは岡田斗司夫アーカイブ、どれか好きなものを選んで入会してみてください。是非入会お願いします。後半が終わった後でもですね、生放送で今日このままですね、追加の解説をちょっとだけしますのでお楽しみください。それでは後半の動画スタートです。
で、その頃ですね、リュウがずっと飛行機に乗って飛んでいくとですね、ようやっとはるか向こうの方で、もう本当にかなりはるか向こうの方なんですよ。これなんですけども、戦ってるのが見えると。つまり地上を走るホバークラフトであるギャロップと、すっごい小さいですけどですね、ガンダムがですね、こう撃ち合ってるのが見えるんですね。これ引いてくれて、こう全フレームで見せてくれたら分かるんですけども、テレビ画面でこれですからですね。かなり小さいんですよ。で、そこで戦闘してるんですね。
で、次にこのシーンのアップになってですね、ガンダムの顔にガンガンガンと直撃でギャロップからの砲弾が当たると。しかしアムロはその時にですね、「えい、ここでビームライフルを使ったらグフと戦う時」っていう風に独り言を言うんですね。つまりこう、こんなですね、不利な状態で戦いながらガンダムは手に持ってる最大の武器、ビームライフルを全然撃たずに戦ってたんですね。それはなんでかって言うと、このギャロップと戦った後、さらにグフとの戦いがあるという風に思ってるから、このビームライフルを温存してる。実はアムロもアムロで考えてるわけですね。
で、そこにですね、リュウの戦闘機がビューンとやってきて、「俺がこいつを抑えてる。ホワイトベースに向かってくれ」っていう風に言うんですね。「リュウさん、すいません」って言ってアムロ君は喜んでホワイトベースの方へ、つまりリュウが飛んできた方向へ飛んでいきます。で、アムロはですね、こう振り返りながらなんか思わず感謝しちゃうんですね。「リュウさん、迎えに来てくれたんだ」っていう風にですね、独り言を言います。
アムロはですね、迎えに来てくれた、迎えに来てもらったつもりなんですけども、実はですね、リュウの動機ですね。リュウがなんでここに来たのかって言うと、ハヤトの心意気に感じたからですね。そのアムロを迎えに行ってください、僕は1人で引き受けますっていう。戦力的には確かにアムロのガンダムがないときついと思うから。リュウはそんなつもりなかったんだけど、その男気に免じて、もう1人で脱出というか、1人で上半身切り離してしまって降りちゃったから、もう本当にそれをするしかないんで、アムロを迎えに行ったわけですね。呼びに行ったわけです。
ところがアムロはですね、もうみんな俺を頼って呼びに来たんだ。で、その中でも僕が1番心許してるリュウさんが迎えに来てくれたんだというつもりでアムロは帰るんですね。だからこれが後で、この後のすれ違いというかですね、みんなとのギャップになってしまいます。
で、その間にですね、ホワイトベース側ではですね、ステッチですね、ランバ・ラルの部下のステッチがですね、ザクでホワイトベースの後ろ側に回ります。で、「後ろからエンジンを狙えばこのザクでだって」っていう風に狙おうとします。ブリッジの方には「後ろにザクがいます」と。「何、後ろのミサイルは?」「ミサイルの発射室に誰もいません」ってことでパニックになるんですけども、ミライがですね、「真後ろなの」っていう風に確認する。そうするとマーカー、レーダー手がですね、と、「全速前進、全員何かに捕まって」っていう風に叫んだかと思うと、もうホワイトベースのですね、ロケットのエンジンのスロットルですか、それを全開にガーっと持ってくんですね。
で、ノズル全開で噴射するとですね、このザクのステッチはせっかくね、今回新型兵器のですね、足のミサイルをつけて出てきたんですけどもですね、それを一発撃っただけでですね、ミライさんのですね、機転でもう全力噴射でですね、このまま爆発して死んでしまいます。ステッチの油断っていうのもあるんですけど、もう1つあるのがやっぱり、アムロやガンダムなしでのホワイトベースの個別の頑張りっていうのを見せるためですね。
いちいち最初に考えていた、そのブライトが考えていた、こんな指揮系統でこんな風にチームワークを組んでって言うんではなくて、実は個人個人が、俺たちが生き延びるには何をしなきゃいけないのかっていうのを考えた結果、ハヤトは自分が砲台になることを選び、カイはじゃあ自分は怯えてばかりじゃなくて積極的に前に出なきゃいけないという風に考え、ミライは全力噴射で後ろの敵っていうのを、そんな方法使ったこともないんだけどロケット噴射で倒そうと思い、リュウはアムロを自分で呼びに行こうと思った。もう個別でこう一斉に動き出してるんです。
だからそのチームワークが何かっていうのって、普通は最後チームワークをもう1回持つことでお話を作ることが多いんですけども、機動戦士ガンダムのこの回っていうのは、1度壊れたチームワークっていうのは、個人がチームワークっていうのを捨てて自分が頑張ることによって最終的に何かが得られるって形で、なんかこう自分の力を信じることでチームワークっていうのを信じられるようになるっていうです。かなりその、中高生向けのアニメとしても新しいことというかですね、すごいなんかレベルの高いことやってるんですね。
で、ですね、「えい、ステッチめ」っていう風にですね、ランバ・ラルさんは部下の、その真後ろから撃てばいいだろうと思ったらロケットにやられてしまったっていうですね。そのやられ方にですね、怒りながらホワイトベースの上に飛び乗ってですね、で、グフのヒートロッド、この電磁鞭ですね。電磁鞭でホワイトベースのまた左のエンジンをバンバンといじめますですね。で、直にエンジンを攻めてるとですね。で、ホワイトベースの中からではもう手の出しようがない。セイラさんがですね、「ハヤト、聞こえて? 外からグフを狙い撃ちできませんか? グフを倒してくれないとホワイトベースが」っていう風に言うんですよ。
すると、その返事を聞く前に、「そんなことできませんよ」とかっていう風にカイとかが言う、そんなことを聞く前にですね、ミライがですね、「ブライトさん、グフを振り落とします」っていう風に言います。そうするとブライトがびっくりして「なんだと、ミライ、できるのか」って言ったら「背面飛行に入ります。シートベルトを使ってください」っていう風に言うんですね。で、ブライトが「君は」って言ったら「構いません。行きます」って言ってガーっとなんかこうレバーをガッと下ろしたらですね、ホワイトベースの翼の、フラップっていうかですね、その胴がぐーっと互い違いになってですね、ホワイトベースがギューンと背面になるんですね。で、グフはそのまま落ちちゃうんですけどもですね。
ここでその砲台になってるですね、ハヤトがですね、「すごい、ミライさん」っていうセリフがあるんですね。ホワイトベースが背面飛行して、こう「すごい、ミライさん」っていう風にですね、言うんですけども、このね、セリフうまいんですよ。ホワイトベースが背面飛行になって、でグフが落ちて、そっから戦闘が続くより、1回ね、ずっと主観主観で続いてるんですね。つまりステッチの見た目でホワイトベースを追う。そうするとミライの見た目で、後ろ真後ろにいるロケット全て、ある。次のステッチの見た目でロケット噴射浴びて死んでしまうと。次はランバ・ラルの見た目で「ステッチめ、こうなればわしが」ってホワイトベースに乗り込んでエンジンをバンバンいじめると。
そうするとブリッジの方の主観が映って、どうすればいいんだ、ミライが「背面飛行に移ります」ってスロットルを入れると、ホワイトベースがガーっていう風に上下逆になると。ずっと主観っていうのがですね、見た目っていうのがそのカメラが見てるものが全てその登場人物が見てる風景になるんですけど、ここで1回うんとカメラを引いた方が確かにね、効くんですよ、これ。それも特に「すごい、ミライさん」って言うと、やってることはたかだか背面飛行なんですよ。ただ宇宙戦艦に背面飛行させるっていうことがですね、なんかすごいように思えてくるわけですね。
その「できるのか、ミライ」っていうブライトさんの驚きですね。「構いません」って言って、あの大人しいミライさんがいきなりやり出してですね、背面飛行したらですね、「すごい、ミライさん」っていうことによって、ミライもその命令系統の中に入らずに自分自身で生き残る様をやってて、それをまず最初に男気を見せたハヤトがですね、「すごい、ミライさん」っていうことで褒めることによって、何かこのチームワークに近いものがもう1回自主的に再構成されてるっていうようなシーンなんですね。で、あると同時に1回ここで客観的にしとくと見てる人間の緊張がちょっと楽になるんですね。ここら辺のね、緩急の取り方はものすごくうまいんですね。
で、ホワイトベースからですね、ランバ・ラルのグフが転げ落ちます。で、このまま転げ落ちるんですけど、転げ落ちながらもですね、そのままガンキャノンとの戦闘に入るんです。落ちた先を自分で調整してガンキャノンの位置に落ちてですね。で、ガンキャノンをまた電磁鞭でいじめるという風なことをします。で、電磁鞭がガンキャノンに絡んでビリビリビリってやります。で、ハヤトがじゃない、カイです。「うわ、ダメだ」って言うんですね。で、なんでダメだって言うのかって言うと、ガンキャノンってですね、ちょっと特殊なメカなんですよ。
ガンダムっていうのは、万能メカとは言うんですけど、基本的に白兵戦用、つまり長距離の兵器は持ってなくて、接近戦もできれば一応ビームライフルもあるから中距離ぐらいのものもできますと。で、ガンタンクっていうのは長距離専用の戦闘モビルスーツで、弾薬をいっぱい積んでると。だからこそ守りが硬いと。ちょっとやそっと敵に当たっても死なない。だからハヤトは砲台側になりますよって言って外れたのは、実はガンタンクがかなり丈夫な打たれ強い機体であるってことを知ってるからですね。
ところがガンキャノンっていうのはですね、長距離用の大砲を2門も肩にある、イコール爆発しやすい弾薬が体中にあると。だからと言ってガンタンクほど装甲が厚いわけじゃないんですね。なのであまりにその電磁鞭でいじめられると、カイが何が怖いのかって言うと、自分の体内にある爆薬が次々と誘爆を起こすことなんですね。で、これによってですね、なんか大爆発が起こってしまうというのがカイは怖いんですよ。
だからその、うわ、もうダメだという時になってですね、いきなりこう空からですね、1本のレーザービームがバーンと飛んできて、で、鞭に当たって鞭がブツンと切れるんですね。で、ガンダムが助けに来てくれたと。で、ランバ・ラルが「ガンダムというやつか。どこに隠れたんだ」。カイは「アムロ、今頃」って泣きそうになりながらちょっと嬉しそうに言うんですけども、ガンダムの飛んでき方がですね、やたらかっこいいです。ヒーロー的っていうのかな。この狙撃姿勢のまま飛んでくるんですね。
こういう時ね、ロボットアニメを作っていて、で、さあ、もう絶体絶命だ、主役メカが来たぞ、最初にまずビームが1発来た、で、どこだって言うと、向こうから飛んでくる時にね、この構図なかなか思いつかないと思うんですね。このなんだろうな、空中で明らかに人間が狙撃してる姿勢のまま飛んでくるっていうのはですね、割と思い切った。ついついね、水平にしちゃう。いわゆる鉄腕アトム型って言うんですかね、空を飛ぶ時のこういうなんかアイアンマンみたいな姿勢ってあるじゃないですか。そういう風なのにやりがちなんですけども、あえてそうじゃなくて、なんだろう、空を飛んできてるって言っても超巨大なジャンプをしながら狙撃しながら着地しようとしてるんで、この姿勢で来るわけですね。
で、そのままですね、グフをですね、あと何発も狙撃するんですけど、当たらないんですよ。バンバンバンバン、ガンダムはですね、ビームライフルを撃つんですけども、その度にですね、ランバ・ラルの乗ってるグフはほんの少しだけ体を歪めるんですね。こちら側にビームが来る時はこうで、頭を狙える時はちょっとだけ体を屈めるという風に。で、右の方に当たった時には体をちょっとこちらからそらすと言うんですよね。で、その説明がですね、ランバ・ラルがコクピットの中で「正確な射撃だ。それゆえコンピューターには予想しやすい」っていう風にポツンと言うと、アムロが「避けもしないのか」という風に興奮しちゃうと。
この2つの対決でランバ・ラルとアムロの爆発の差ですね。実はこれモビルスーツの差でもなんでもないんですよ。もう純粋にパイロットの差ですね。見切りであって、アムロはこういう風に自分が長物の銃を持ってるから有利だと思って上の方から狙撃するんですけども、ランバ・ラルにしてみれば落ち着いて見てみたら、ビームが出る前に必ず銃身が動くわけですね。で、そんな長物の銃身を使ってくれてるから、どこを狙ってるのか分かると。それゆえこちら側にはコンピューターもあるから避けやすいということで、動きもしない。相手が興奮するのを待ってるんですね。アムロはそれにもう乗っちゃって、「避けもしないのか」っていう風なことでビームライフルの弾を必要以上に使いながら近づいてきてしまうですね。
で、飛んできたガンダムをですね、ようやっとこの着地しようとしたら、もう電磁鞭に襲われてしまうとですね。ランバ・ラルの電磁鞭にまた襲われてしまうと。つまりそのガンダムはビームライフルを持ってるので中距離戦をしたいわけですよ。中距離戦ってのはどういうことかって言うと、またすいません、これで簡単に説明すると、いわゆるランバ・ラルが持ってるですね、鞭っていうのは伸びても、これぐらいなわけですね。だからこの範囲の戦闘、接近戦をやるためのモビルスーツなんですよ。
ところがガンダムっていうのはビームライフルを持ってるから、この机と机の端っこあたりぐらいの戦闘以上のがやっぱガンダムにとって圧倒的に有利なんですね。もちろんビームサーベルとか持ってるから接近戦もできるんですけども、ビームライフルがまだある間は、こういうですね、他のモビルスーツとある程度距離を取っての戦闘というのをしたいと。ところがグフはそれをさせてくれない。すれ違いざまにですね、ガンダムにですね、鞭を絡めてですね、無理やり地面に引きずり落として接近戦の方へ持ち込もうとします。
で、このままでは接近戦がやりにくいんでですね、アムロはですね、「えい、どうせあと1回ぐらいしか撃てないんだ」っていう風に言ってビームライフルを捨ててしまいます。まだエネルギーが残ってる。この2つのモビルスーツの間では圧倒的な戦力を持ってるビームライフルという武器をですね、もうここでは接近戦になるから使いにくいということでビームライフルを捨てちゃうんですね。そうするとラルは初めて驚いて、「ほう、思いきりのいいパイロットだな。手強い」っていう風に独り言を言います。このシチュエーションになっても「手強い」っていう風に自分のある状況をふっと説明してもらえる、このランバ・ラルの余裕っていうのはなかなか怖いんですけども、こっからですね、アムロがビームライフルを捨てたところから接近戦が始まります。
実はですね、これ、バンダイチャンネルの映像からですね、僕は見て話してるんですけども、ここにタイマー表示があるの分かりますか? これ、24分52秒というのが尺です。機動戦士ガンダムの第19話の尺、長さっていうのは24分52秒あるんですよ。で、この位置が18分25秒ですね。番組が始まってから、CMとか入ってないので18分25秒あるんですけども、これがですね、ランバ・ラルとガンダムがようやっと接近戦で対峙すると。
これまでランバ・ラルとガンダムは対戦したことないんですね。1番最初に対戦した時はランバ・ラルはちょっとちょっかい出して、遠くからですね、いろんな武器を繰り出してですね、様子見て逃げたと。で、2回目の時は他にジオンのですね、砲台とかがあるところで、アムロがですね、ガンタンクに乗ってるので万全の状態になるように戦ったと。この3回目の戦闘がようやっと初めてのですね、ガンダム対新型モビルスーツ・グフの1対1の戦闘なんです。それも接近戦なんです。
で、これがですね、こっから18分25秒からですね、50秒間、19分15秒までのですね、50秒間続くんですね。この50秒の戦闘がもう本当にロボットアニメの歴史に残るというかですね、ロボットアニメの歴史をまるまる変えちゃうぐらいすごいんで、ちょっとここをですね、細かく話してみたいと思います。
「ほう、思いきりのいいパイロットだ。手強いな」と言ってランバ・ラルが初めてガンダムを見て、ガンダムは左手に盾を持ってます。そして右手にビームサーベルを抜きます。これは脇構えっていうですね。剣道のですね、五行の構えというやつの中の脇構えというやつで、でもそれを片手だけでやってる状態ですね。左手に盾を持ってる。右手にビームサーベルを持ってる。で、ここでドンドンドダって音楽かかって、戦闘シーン18分25秒からスタートします。
機動戦士ガンダムですね、第19話ランバ・ラル特攻。第3回はですね、ここまでになります。では第4回はですね、この位置ですね、50秒間の戦闘からですね、紹介を始めたいと思います。ではまた次回。
はい。お疲れ様でした。今日の限定放送ここまでです。いや、もう燃えるよね。かっこいい。まずですね、ガンダムの登場シーン。ようやっとですね、ガンダムの登場シーンですね。カイが苦戦してるところ、グフのですね、電磁鞭が巻きついてるところにですね、ビームが1本ピューっと飛んできてですね、で、うーっといってグフが見たところにですね、ガンダムが向こうの方から飛んでくるんですけど、このですね、ギリギリでようやっと溜めて溜めて溜めて、仲間のピンチで主役メカが登場っていうのは、よくあるシーンに見えました。よくあるシーンに見えるんですよ。
例えばスター・ウォーズのですね、第1作でもですね、もうダメかと思ってルーク・スカイウォーカーが覚悟しかけたところにですね、宇宙空間からビームが1発飛んできてですね、ダース・ベイダーの飛行機をちょっとガタつかせて、で、ファルコンが飛んでくるシーンですね。これよくあるように見えるんですけど、これ何かって言うと、元ネタがあってですね、それは007シリーズのサンダーボール作戦なんですね。で、このサンダーボール作戦っていうのは富野監督もすごい好きな映画なんですけども、なんでそのサンダーボール作戦なのかって言うと、サンダーボール作戦ね、このクライマックスの戦闘がね、全部水中シーンなんですよ。
1960年代の映画で水中シーンだからですね、セリフゼロなんですよね。だってもう出てる人間全員スキューバダイビングのですね、みんなこれ、これ口につけてるからなんですよ。で、水中戦車と呼ばれるですね、まあまあなんだろう、水の中を進む飛行機みたいなの出てくるんですけど、それもコクピットの中が密閉されてるのではなくて、みんなやっぱスキューバのやつを口につけてボコボコボコボコってやりながら操縦してるわけですね。だから敵も味方も全員セリフがない状態で、ハンドサインとかですね、そういう「よし、お前行け」とかいう中での戦闘シーンなんですよ。映画だから効果音というか音楽はあるんですけどもですね、登場人物のセリフが全然ないんですね。
で、その中で徐々に徐々にいわゆる正義の側が苦戦していって、悪のスペクターの側が押していって、で、彼らのですね、攻撃武器がですね、どんどん残酷に味方を殺していくと。水中銃っていうですね、銛を撃つ兵器とか持ってるんですね。で、それで押していって、もうだめかという時にですね、なんと007がですね、とんでもなく巨大なボンベを背負って、このボンベがジェット噴射みたいなやつやるんですけど、それで戦場の中ずーっと、007ジェームズ・ボンドですね、ショーン・コネリーなんですけど、ショーン・コネリーの時点のジェームズ・ボンドがですね、その超巨大なボンベ背負って水の中をシャーっと走ってきて、で、そこで全部の状況が逆転するんですよ。
で、それをなんかその若い頃に見た富野由悠季はですね、もう大感動してですね、逆襲のシャアを作った時に、νガンダムが出てくるシーンがそれなんですね。ネオ・ジオンの攻撃力がすごいすごいすごいという時にですね、νガンダムがついにやってきたというシーンですね。ここで富野さんは、僕はその時、逆襲のシャアは富野さんと一緒にお仕事させていただいたんですね。直にに聞けるチャンスだったんですけど、ここはね、「岡田君、007のね、サンダーボール作戦なんだよ」って言われて、僕それ言われた時はサンダーボール作戦よく覚えてなかったので、後にTSUTAYAに行ってですね、VHSを借りたらですね、あ、確かにこれはかっこいいやと。
で、このサンダーボール作戦ではセリフを一切使えない中でこんなかっこいいことやってるんだ。じゃあセリフが使える俺たちはもっとそれを超えなきゃいけない。なんかそういう風な流れが分かったんですけど、やっぱこのガンダムの時からですね、サンダーボール作戦やろうとしてるわけですよね。まあまあ皆さんもですね、もし時間があれば見てみてください。すごいね、かっこいいです。
ただνガンダムが登場した後、逆襲のシャアではですね、かっこよく登場した後、ネオ・ジオンがすぐに撤退するというですね、ちょっと肩透かしな。つまり主役メカがかっこよく登場する、そのかっこいいシーンは見せるんだけども、でもそれはすぐに撤退されてしまって、なんだ、あんまりかっこいいとこ見せられないですね。この辺のですね、逆襲のシャアっていうのは全てこのすれ違い演出なんですよね。すれ違い演出だから、かっこいいセリフを言うとそれに対する批判するセリフがすぐに現れるとかですね。何かこのいいことやってるように見えてっていうのが多いんですけど、それはいずれ逆シャアを語る時、逆シャアとは何なのかっていうですね、演出論があるんですけどもですね。
あとですね、ランバ・ラルのですね、かっこよさですね。見切りというやつですね。ビーム兵器ですね。敵がビームライフルを撃ってくるの、ガンダムが撃ってくるのを軽く避けるだけなんですけども、あれもですね、ビームライフルだからできるんですね。っていうのは、普通の砲弾だったら軽く避けると言っても後ろで弾自体が炸裂して大爆発して破片を撒き散らすから、あんな怖いことできないんですよ。ところがビーム兵器っていうのは、当たったらそれは無敵なんですけども、その近くにいたらちょっと熱いだけなんですよね。なので軽く避ける。本当に避けるだけでいいんですよ。爆弾みたいにその着弾した位置の周り全てが被害を受けるというようなものじゃないし。
あと岩場に当たってるだけだから、岩に当たっても溶けた岩が一瞬水蒸気爆発みたいなのを起こして爆発みたいに見えるんですね。ビームが着弾したら地面がボンってなってるから爆発してるように見えるんですけど、あれは違ってですね。ビームが当たることによってその岩が一瞬にして蒸発して、近くにある水分が水蒸気爆発を起こしてるだけなんですよ。だから実は被害が少ないんですね。だからランバ・ラルはですね、軽くこう避けるだけでいいってですね、ちょっとその科学オタクをですね、ワクワクさせるようなですね、あ、この避け方でいいんだっていう一瞬でですね、このSF的な辻褄が合う感じもですね、僕好きなんですよね。
あと、ランバ・ラルがですね、なんでアムロのことを手強いと言ったのかですよね。ライフルがですね、あと1発しか弾がない。これアムロにしか分からない理屈なんですよ。でもビームライフルを捨てるガンダムを見てですね、ランバ・ラルは手強いと言うと。で、なんでね、手強いって言うのかって言うと、もちろんなんですけども、長距離兵器であるライフルを持ってる方が戦いやすいんですよ。で、ランバ・ラルはですね、ただ相手はあんまり戦争に慣れてないっていう風に見切ってるんですね。戦争に慣れてないという風に見切ってるのでですね、有利になる兵器を手放すはずがないと思い込んでるんですね。舐めてるんですね。
だからライフルを持ってる限り、それに弾がある限りライフルを捨てないだろう。イコール相手は絶対に近くに来ずに、あえて長距離戦、長距離戦っていう風にやるだろうから、こちら側は考えやすいと。もちろんビームライフルを持ってるから恐ろしくもあるんですけど、その分相手はその自分の有利な兵器に頼ろうとするだろうから、どういう風に戦争を持っていくかの、なんだろうな、段取りが、先が読めるわけなんですね。ところが、そのライフルをあえて捨てるという風なことで、あ、こいつ肝が大きいんだという風に思ってですね、逆に、あ、こいつ手強いだという風に思わせたわけですね。
ここら辺あたりもですね、なかなかうまい、アムロにとってですね、ライフルを捨てることっていうのは、見てはないんですけども、その前のですね、シーンの、ハヤトがですね、砲台になることを決意することと同じなんですね。これ、2人の人間の男気っていうのをちょっと交互に見せることによって、徐々に徐々に全員が成長してる様を見せてるんですけれどもですね。
次回はですね、いよいよランバ・ラル特攻のですね、最終回、解説の最終回となります。見所はもちろんですね、動画の中でも予告していたグフとガンダムの荒野の一騎打ち90秒間の戦闘ですね。この90秒間の、あ、50秒間、ごめんなさい。50秒間の戦闘ほどですね、ロボットアニメにおける格闘の歴史を変えたものっていうのは僕はないと思うんですけど、1つ1つの動作を見ながらですね、たっぷり語っていきます。
さらにはですね、その後アムロがですね、独房に放り込まれ、でもその独房に放り込まれるんだけどもランバ・ラルに対する決意を固めるシーンですね。つまりなんだろうな、一見平和に終わった中でちょっと陰口を叩かれただけで家出を決意するアムロと、独房に放り込まれながら、ホワイトベースの危機を救っていながら独房に放り込まれるんですよ。でもその時にですね、ランバ・ラル打倒を決意すると。このエピローグの部分まで一気に語ります。この最後のシーンもですね、解説するところがいっぱいあるので、30分かかっちゃうわけですけど。というわけでですね、来週ですね、お楽しみください。
このこの後プレミアムの方でちょっとまた解説少し残りがありますんで、待っててください。それではまた来週ガンダム講座で会いましょう。ではまた。バイバイ。
よっしゃ。オッケーです。ありました。おい。はい。プレミアムもう大丈夫ですね。はい。えっとね、お便りですね。よいしょ。
ペトラ神殿の話が出てきて、これ何かって言うと、このですね、ランバ・ラル特攻の回でですね、こちらの絵なんですけども、これホワイトベースなんですよね。で、ホワイトベースが隠れてるのをですね、ジオンのバイク兵が見つける時にですね、ここに遺跡があるんですよ。で、これがですね、ペトラ遺跡じゃないですかっていう風に言われて、で、僕もあ、それ考えたことなかったなと思ってですね、かなりオデッサがある位置よりは南になっちゃうんですけど、ペトラ遺跡って調べたらですね、こういうような形してるんです。で、確かにこれなんですよ。で、柱しか残ってないですね。こちらの方はおそらく長い間の戦争でこの遺跡のですね、壁の部分が抜けてしまって柱しかないやつなんですけども。
何でしょうね。本当にペトラ遺跡かどうかは分からないんですけども、ガンダムがですね、あ、違う。ホワイトベースが、なんかな、砂漠の中の遺跡みたいなとこに隠れるというシーンだけでですね、美術の人がこんなバッチリいい感じのですね、背景を描いてくれるのかっていうと、なかなかそうじゃないと思うんでですね。柱の配置からしてペトラ神殿あたりですね、指定したんじゃないかなと。もう今になったら資料も残ってないし、多分ね、描いた人も覚えてないし、富野さんも覚えてないと思うんで、はっきりは言えないんですけども、一応この岡田斗司夫の機動戦士ガンダム完全講座の中ではですね、ペトラ神殿ではないでしょうか、ペトラ遺跡ではないでしょうかというようなことにしたいと思います。指摘どうもありがとうございました。
さてですね、全4回で解説してきた第19話ですね、ランバ・ラル特攻、今日でですね、4回目、最終回になります。前半の見所はですね、ランバ・ラル対アムロ・レイですね、グフ対ガンダムのですね、荒野の一騎打ちですね。僕はこの50秒のですね、ロボットアクションをですね、ロボットアニメの歴史に残るですね、名勝負だと思っています。今日のですね、前半の無料放送ではですね、この50秒間の出来事ですね、この50秒間の中で繰り広げられるお互いの一手一手ですね、こういう風に受けたらこういう風に返すっていうこの1つ1つの手順をですね、15分かけて徹底的に語っていってます。
今回もですね、無料の終わりでですね、追加の解説をするのでお楽しみください。それではですね、お楽しみにしてくださいですね。それではですね、機動戦士ガンダム第19話ランバ・ラル特攻ですね。第4回目の解説これからスタートです。
機動戦士ガンダム講座。第19話ランバ・ラル特攻ですね。今日は第4回ですね。ついにロボット同士ですね。アムロの動かすですね、ガンダムとですね、ランバ・ラルの動かすグフとの1対1の決闘シーンですね。アニメの歴史に残る、ロボアニの歴史に残る、歴史を変えた戦闘シーンだと思います。わずか50秒ですね。18分25秒のシーン。18分25秒。ランバ・ラルの見た目です。ガンダムは左手に盾を持ってます。で、ビームサーベルを抜いてます。で、音楽がスタートします。で、すると
これに対してですね、あ、こんなに乗せられないか。3枚ぐらいが元だね。
アムロのガンダムの構えを見てですね、ランバ・ラルのグフは構えを変えます。ランバ・ラルのグフも左手に盾で右手にヒートサーベルというのを持ってたんですよ。で、ラルのグフですね、ゆっくりとヒートサーベルを抜きます。18分28秒、3秒かかって抜くからかなりゆっくりです。で、抜いたと思ったらですね、左手に持ってる盾を捨ててしまいます。29秒ですね。
で、そのままですね、ぐっと体勢を落とし、頭の位置が落ちてるの分かりますか? 頭の位置と腰の位置が落ちてですね。で、ヒートサーベルを斜め正眼に構えます。いわゆる正眼の構えを斜めに崩してるんですね。で、ガンダムはですね、右手だけにビームサーベルを持ってて、で、グフもですね、右手にヒートサーベル持ってたんですけども、盾を捨てて両手になるんですね。で、サーベルがガーっと輝き出して熱を持ったのが分かると、ここまでで31秒ですね、6秒間かけてこのグフの姿勢変更やってます。
これ何かって言うとですね、ランバ・ラル実はですね、薩摩示現流というですね、剣法の流派を使ってます。どういうことかって言うとですね、薩摩示現流というのはですね、一の太刀を疑わずっていう概念なんですね。二の太刀いらずと言ってるんです。つまり髪の毛1本でも早く振り下ろせっていう風に教えられるんですよ。で、もう初太刀、1番最初の太刀からですね、勝負の全てをかけて斬るのでですね、先手必勝の強い斬撃、振り下ろしの強いあの落とし方っていうのがですね、特徴なんですね。
正直ですね、モビルスーツの性能で言ったらガンダムの方が上なんですよ。で、それはもうランバ・ラルは十分承知してますね。モビルスーツ同士の戦闘ではガンダムが上で、最初ですね、ガンダムは盾を持っていて剣を持ってる。で、ランバ・ラルもですね、盾を持って剣を持ってるですね。だからこれで五分五分かって言うと五分五分ではない。モビルスーツの差があるから五分五分ではないんですね。性能の差の分、ランバ・ラルのグフが不利なんですよ。
なので、あえて盾を捨てて身軽になってですね。で、サーベルを片手でなく両手で構えて頭を落として腰を下げると。つまりもう初太刀でですね、勝負をつけるため盾はいらないっていう方式で戦おうとしてるんですね。薩摩示現流の考え方です。
で、ランバ・ラルのですね、初太刀です。ガンダムはですね、盾を前に構えたまま走ります。で、ランバ・ラルから見たモニターにピピピっていう風に表示が出て、ま、ガンダムとのですね、おそらくなんだろうな、あと何秒でですね、ガンダムがこの近くに来ると、距離計みたいなものだと思うんですけども、ただですね、ガンダムはラルに比べてですね、巨大な盾を持ってるだけ速度が遅いんですね。動きが遅いと。で、それをランバ・ラルはこの時パイロットの未熟っていう風に考えてしまうんですよ。これがランバ・ラルの後の敗因になります。
ガンダムは盾を持っていて片手にビームサーベルを持ってると、一見防御が堅固に見えるんですけど、大きな盾を持ってるからその分動きが重いんですね。ところがランバ・ラルはただでさえ動きが速いグフで、その盾を捨てて、もう何合も何合も、剣で打ち合うことを合という風に言うんですけど、何合も何合も打ち合うつもりないんですね。お互い初太刀、1番最初の一合か2撃目、3撃目でもう勝負はつくと思ってるから盾なんか余分だと。しかしあのパイロットはまだ未熟だから盾で身を守ろうと思ってるという風にランバ・ラルは考えるんですね。なのでなんでガンダムがこんなにこれ見よがしに盾を前に出してるのかということに思い至らないんですね。
でグフはですね、この一撃に全てを込めて横方向に薙ぎ払います。バシッと斬ります。盾ごとガンダムの胴体をぶった斬るつもりだったんですけども、ぶった斬ったのが盾だけでですね、ガンダムが目の前にいないと。手応えがないと。胴まで斬るつもりで、だからこそヒートサーベルっていうビームサーベルより劣った兵器なんですよ。
ビームサーベルっていうのはいわゆるレーザービームの塊みたいなものを剣のように振り下ろすんですけども、ヒートサーベル、グフが使ってるのは高々、ま、剣の表面温度が数千度ぐらいになるようなですね、いわゆる熱い鉄の棒みたいなもんなんですね。でもそれでもですね、両手で握って思い切り振ればガンダムの胴体を真っ二つにできるだろうと思って、ランバ・ラルのグフは真横に振ったんですけども、盾しかない。
何?と思うとですね、モニター表示がパパッと出てきて、で、この上から2コ目のモニター表示、これね、ほぼ意味ないんですね。意味ないっていうかですね、ロボットアニメにおいて戦闘が行われてますよと。
で、敵が来ますよ。で、雰囲気みたいな感じでここに数式とか数字が出てるんですけども、やっぱりこれがですね、多分ロボットアニメで初めて意味のあるかっこいい出方っていうのをしたんですけど、
これランバ・ラルが見たんですけど、数字が出てくるんですけど、ここに赤い矢印が上向いてピンピンピンって点滅するんですね。もう本当に何秒かのことですけど、ピンピンピンって点滅したらですね、上っていう風に注意してですね、ランバ・ラルが何って上を見ると上から来てるって言うんですね。
ここまでです。でですね、18分50秒です。25秒から戦闘が始まってですね、ここが32秒ですね。で、ラルのモニター40秒溜めてるでしょ。で、盾のみが斬られてガンダムがいない46秒で、ピピピって50秒のところで上を見たら、ラルが上を見たらガンダムがいるってですね。実は緩急がすごいんですね。戦闘はすごく短くて、そこに至るまでのための時間とかが長く作られている。
で、真上見るとですね、次はですね、ガンダムがもう上段も上段、大上段でですね、もう薩摩示現流に対するですね、坂本龍馬のですね、何かもう本当に真っ当な剣法、江戸道場みたいな真っ当な剣法ですね。自分の斬られた盾の影に隠れてですね、ガンダムがバーンと飛び降りてくるんですね。
で、このままですね、見たら分かる通り両手で剣を掴んでですね。実はガンダムも初太刀、一の太刀で全てを決めるつもりだったから、大上段に振りかぶって両手で剣を持っているんですね。で、盾はもうとっくに捨てていた。で、それでグフを真上から振り下ろすんですね。
で、ま、これ見てもですね、分かる通りガンダムは最初の太刀でグフを倒すつもりだったんですけども、ぶった斬られてもですね、浅いんですね。コクピットまで一応剣の先は届いてるんですけど、先がなんとか届いてる程度ですね。で、この間合いが浅いっていうのはやっぱりね、アムロが怖かったからなんですね。
ランバ・ラルの読みはやっぱ正しいんですよ。盾を持っていたんですけども、それはランバ・ラルの読みより1段深くて、ランバ・ラルを油断させるためだから、その太刀だけを斬らせて自分が斬るつもりなんですけども、あと一瞬間合いを詰められたら、つまり盾と一緒に左腕も斬られてもいいつもりだったら、ガンダムこの時点で勝ってるんですね。
ただその左手を守りながら盾だけを捨てて、そしてランバ・ラルを斬ろうというですね、自分自身は無事でランバ・ラルに勝とうっていう浅い考えだったためにですね、あと1歩踏み切れずにですね、グフをですね、モニターのところまで斬るだけにとどまった。
そうするとグフはグフでモニターまで斬られたんですけど、返す剣でですね、今度は突きに出るんですね。振り下ろしよりやっぱ突きの方が剣道で言うと速いんで、この自分がやられたダメージに対して相手のコクピットさえ狙えればいいということで、突きをビューンと繰り出すと。突かれたら、そしたらランバ・ラルのですね、コクピットはですね、熱で溶けてもうすごいんですよね。グフのコクピットが前のモニターがぐにゃぐにゃで熱に溶けてぐわーって溶けたのに対して、グフのヒートサーベルで突かれたガンダムのコクピットはガラスがバリンって粉々に割れる描写があるんです。
この熱でやられるコクピットと、打撃によって粉々に壊れるコクピット、2つの壊れ方を出しながら、アムロはコクピットの真正面から剣がまともに伸びてくるのが見えて、思わず後ろに下がって間合い取っちゃうんですね。だからお互いにですね、この同士では勝負がつかなかったんですね。
いい戦略だったんですよ。盾の影から隠れて上から大上段に振りかぶって振り下ろすと。これでこいつも薩摩示現流だったらですね、この時点でグフは真っ二つに叩き斬られたんですけど、間合いが浅い。間合いが浅いっていうのを読んで、うまいなと多分ランバ・ラルは思いながら、うわ、まだ若いと思ってコクピット目がけてバッと出す。そうするとコクピットを貫けなくてもガンダムは自然に間合いを取っちゃうんですね。で、この戦略でもう1回間合いを取れたら俺にも勝機があるっていう風にグフのランバ・ラルは考えたわけですね。
で、そのまま1歩2歩後ろへ下がってしまったガンダムですね。間合いを取ってますですね。19分0秒ですから、これで戦闘開始から35秒のところですね。で、グフはですね、このままヒートサーベルを片手に持ち替えます。ガンダムはこのままですね、思いっきり正眼の構えのまま腰を低く落としてって、で、グフの方はグフの方で次で決まると分かってたので、片手にしていますですね。
で、「やるなガンダム」っていう風に言ってて、これ左手で何してるのかって言うと、目の前でモニターと一緒にですね、防御板も熱で溶けてしまったので、ま、無理やり手袋でですね、自分の前のモニターというか鉄板をぐにゃぐにゃぐにゃぐにゃ曲げて、なんとか視界を確保してるんですね。もう前のモニター頼れないから、具体的に前にある鉄板とかを曲げて、自分が見える視界っていうのを確保してですね。で「やるなガンダム。しかしこちらとてまだ操縦系をやられたわけではない」って言ってですね。
これ足釣りの構えって言うんですけど分かりますかね? 『子連れ狼』で僕は見たことになるんですけどもですね。柳生に対してですね、拝一族が持ってるですね、水鴎流っていうのがあるんですけども、足釣りっていうのは地面をするようにっていうのと、あと水面にですね、生えてる葦っていうのありますね。あの葦を薙ぎ払うように下からこうやるやつでですね。まあなかなかスピード感のある剣法です。
「こちらとてまだまだ操縦系をやられたわけではない」ということで、グフはですね、下からお腹の方へすり上げるように足釣りの構えでですね、ガンダムをですね、斬りに来ます。そうするとガンダムはですね、五行の構えの1つ、脇構えっていうやつをですね、こう左手でやってるんですよ。なかなかこれすごいんですよ。本当に剣法ものとしては割と面白い戦いになってるんですけども。
ま、ここでですね、足釣りの構えのところでですね、19分10秒で、この構えで12秒ですね。2秒間溜めがあってですね、アムロの「来た」っていうセリフがあるんですけども、これ分かりますか? ガンダムのコクピットが割れてる割れ目からですね、グフのヒートサーベルが見えてるんですよ。だからこれね、1番最初、この裂け目からグフが見えてたんですけど、グフが見えなくなって、で、サーベルの剣だけが見えてる状態までアムロは待ってですね。
で、アムロは下げてた剣をですね、脇構えからですね、斜め上向けて思いっきり振り上げるんですね。で、それでグフの両腕をぶった斬ると。ようやくですね、この間合いギリギリの勝負でですね、戦闘が終了ですね。これが19分15秒ですから、ま、戦闘終了までここまでで50秒なんですよ。
50秒間までに実はですね、グフの初太刀があって、それに対して斬ったらガンダムの盾だけだったと。で、これ偽の初太刀だったんですね。本当のガンダムの太刀はその後の大上段の構えからの振り下ろしにあったんです。で、これでお互い痛み分けで距離を1度取っちゃったと。距離を1度取ったので、グフはこっちの方が有利だろうとランバ・ラルは考えて、足釣りの構えで下から薙ぎ払いに行ったら、ガンダムはさらにそれより低い位置から、相手の腕をですね、ギリギリまで間合いを読んでですね、じっと見て、恐怖ですよね。自分の方へ飛んでくる何千度というですね、鉄の塊が来るのをギリギリまで見ながら腕をぶった斬るということでですね、50秒間かけたアニメの歴史に残るですね、戦闘シーンが終わりました。
はい、どうもお疲れ様でした。いや、もうね、アムロとランバ・ラルの戦い、手に汗握りますよね。ま、追加説明するとですね、解説するとですね、モビルスーツの性能ではガンダムが上っていう風に言ったんですけど、これどういう意味かって言うと、最初ですね、宇宙空間でアムロとシャアが戦った時に、シャアがですね、「連邦のモビルスーツは化け物か」って言うんですね。
これは何かって言うと、宇宙空間でモビルスーツみたいなロボット同士が戦闘した時にですね、相手の性能に驚くっていうのは、もう加速性能と、あとね、機動性と2つしかないんですね。で、加速性能っていうのはもう完全にロケットブースターなんですよ。そのモビルスーツについてるロケットブースターの出力がどの程度のもんですかっていうことと、そのロケットブースターを正しい角度へ持ってくような、ま、内蔵ジャイロですね。そういう風なものの性能がどれぐらいか、ここだけなんですけども。
機動性能に関してはですね、モビルスーツってのは手足を振り回しながら、ま、姿勢制御を行うわけですね。で、これがですね、そのガンダムというのが桁違いに、ま、いいというか、関節の各モーターのモーメント力が強いっていうことなんですよね。関節の反応速度っていうことは、つまりモーターが回り出してからの初動速度とかですね。あとそのトルクが強いので関節が早く動いて早く止まるっていうですね。この速度が速いということだと思います。
ということは言い換えればどういうことかって言うと、グフのようなジオンの開発したモビルスーツは、一応ですね、戦闘用とか対モビルスーツ戦用と言いながらもですね、極端に言っちゃえば体重が重い人の戦闘方法なんですね。相撲取り型に近いと思ってください。で、それに対して、ガンダムっていうのは体重が軽い、いわゆるプロレスラーでもですね、体重が軽い人の空中殺法に近いような動きができると、そういう風なもんだと思ってください。
で、このジオンと連邦のその関節速度の差って言うんですかね。どういうモビルスーツを良しとするのかっていうのは、ジオンというのはやっぱりどうやっても装甲が分厚くて、でお互いにですね、同じ距離で撃ち合った時に相手の関節を撃ち抜けるような、そういうなんかドイツ戦車のようなそのモビルスーツを、やっぱどうやってもドイツは目指してしまった。
で、連邦のモビルスーツというのはアメリカ軍の戦車のように、とりあえず大量に作って、軽くて、整備性が良くてですね、ま、ぐちゃぐちゃの地面のところでも自重が軽いからある程度走り回れると、なんかそういう風なものだったんじゃないかなという風に思います。
あと、ガンダムとですね、グフとの戦いで、ま、上向きのモニター表示が出てきてですね、初めて意味あるモニター表示って言ったんですけども、ま、初めてっていうのは言いすぎかもわかんないんですけど、僕これガンダムの後だいぶ経ってから、劇場用の『マクロス』で、ミサイルのロックオン画面っていうのがこうちゃんと自分のヘルメットに映り込む形で見えたあたりぐらいから、やっとね、アニメーションでもそのディスプレイ表示っていうのを演出に入れるようになってきたと思います。
ただこのガンダムのが圧倒的に分かりやすい。いわゆるマクロスのやつはロックオン表示っていう知識がないと見ていてあんま面白くないんですけど、ガンダムって上向きの赤い矢印がビカッと出てるから、で次にですね、ランバ・ラルが「うん」って言って「上か」っていうシーンがあるから、もう本当にね分かりやすいんですよ。で分かりやすいことがまずアニメでは大事で、その上にやっぱ達した演出っていうのが乗っかってると思います。
あと、ま、本編中で言ってたですね、グフの足釣りの構えに対してですね、ガンダムの構えっていう、もう本当に剣法解説みたいになってきたんですけど、『子連れ狼』の柳生烈堂ですね。つまり足釣りの構えっていうのを持ってきたの。で、足釣りの構え、つまりグフが体勢を落とし、横にですね、剣を持っていて薙ぎ払おうとしてるんだから、普通で言えばのけぞって逃げたいんですよ。つまり腰が浮いてくるはずなんですけども、アムロがですね、その割れたモニター越しにグフのヒートサーベルが来るのが見えてる。
あれ何かと言うと、のけぞるのを我慢してたからですね。自分はあくまで姿勢を高いままに、高いままというか、普通のままに置いていて、で、グフがよし、斬れたと思うとこまで行った瞬間に、自分の重さを利用してさらにガクンと体勢を落として、そして下から上へと薙ぎ払うっていうことをしたわけですね。ま、本当にここら辺は、アムロ・レイはですね、別に剣道の心得があったわけではないので、ここがま、戦争の、戦闘の天才というところなんですよね。
さて、後半はですね、一騎打ちシーンから先をですね、一気に語ります。まずは勝負が決した後でですね、ま、腕斬られちゃったわけですからグフですね、初めてお互いを確認し合うアムロとランバ・ラルのシーンですね。つまり、アムロの方はランバ・ラルさんっていうのがやっぱ見て分かるわけだし、ランバ・ラルの方もそうでやっぱりあの坊やかっていうのが分かるわけですね。
で、ランバ・ラルは去り際に言い放ったですね。ま、負け惜しみなんです。負け惜しみ。お前、自分のおかげで勝ったと思うなっていうんですよ。そ、じゃあお前はなんで負けたんだよっていうことになるんですけど、戦いに勝ったはずのアムロはですね、なぜか敗北感を感じちゃうんですね。で、独房に放り込まれます。独房に放り込まれるのもやっぱアムロにしてみれば、勝ったのに敗北感を感じていて、そしてホワイトベースに凱旋して帰るはずが、いきなり独房に閉じ込められるって、こういう流れになってるわけですね。
独房の中で1人ランバ・ラルを思い出し、「あの人に勝ちたい」とつぶやきます。19話はですね、本当に最後までですね、名シーンがもう立て続けに叩き込むように続いていくんですけども、こっから先はですね、有料の放送になります。続きが見たい方はYouTubeのメンバーシップ、ドワンゴのブロマガチャンネル、もしくは岡田斗司夫アーカイブのどれか1つですね、選んでご覧になってください。是非ご入会お待ちしてます。後半が終わった後でもですね、生放送でですね、ちょっと追加の解説をします。それではこっから後半スタートです。
ギリギリまで見ながら腕をぶった斬るということでですね、50秒間かけたアニメの歴史に残るですね、戦闘シーンが終わりました。でもこれね、戦闘が終わったところで互いのコックピットが見える位置なんですよ。で、初めてこの位置に来てですね、アムロとランバ・ラルはお互いの正体に気がつきます。
アムロの方は「やっぱり」って言うんですね。やっぱあのいかにも強そうなですね、いい女連れた親父がグフのパイロットだったかと。前々からあいつすげえやるよと思ってたよということで「やっぱり」って言うと、ランバ・ラルは「お前はさっきの坊やか。アムロとか言ったな」。もうちゃんとやっと名前覚えてくれたんですね。そうするとアムロはですね、「僕らを助けたのはホワイトベースを見つけるためだったのか」っていう風にですね、なんかそのランバ・ラルの読み、あの深読みしちゃうんですね。
そうするとランバ・ラルはですね、「まさかな。時代が変わったようだな。坊やみたいなのがパイロットとはな」っていう風に言います。ランバ・ラルとしてはなんだろう。戦場っていうのはあくまで武士がいる場所、大人がいる場所だったんだけども、性能さえ良ければ子供でもパイロットになれるという風なことで、自分の終わりっていうの、自分の時代の終わりっていうのを感じてるんですね。
で、そんなこと言われてですね、アムロは腹立ったんでですね、ランバ・ラルのグフの背中ですね。もうランバ・ラル、グフ両手ない状態ですから、ランバ・ラルの背中にビームサーベルをぐさっと刺して「どうだ」っていう風に言います。あんまりね、アムロこんなこと言わないですよ。敵が見えるとこで戦って、背中からビームサーベル突き刺して「どうだ」と。なんか分かったか、お前に勝ったんだぞっていう風な感じで「どうだ」って言うんです。
で、ランバ・ラルのグフは背中を刺されたもんですから背中から爆発が始まるんですね。ここら辺もうまくですね、背中を刺されたので背中から爆発が始まって、全身に爆発が広がる最中にですね、ランバ・ラルはですね、ふっとロープを投げてガンダムのコクピットに引っ掛けるんですね。で、これコクピットに引っ掛けたおかげでランバ・ラルが脱出できてるんですけども、実はですね、ランバ・ラルはフックを引っ掛けただけなんですよ。
ところが目の前でグフが爆発を始めたので、アムロはガンダムをですね、後ろへボーンと自分でジャンプして下がっちゃうんですね。で、そのガンダムがジャンプして下がっちゃったおかげで、ランバ・ラルは脱出できたんですよ。このランバ・ラルのですね、その柔道的な相手の力を利用するうまさっていうのに、アムロはずっと翻弄されるんですね。
本来で言えば、ここでアムロが下がらなかったら、つまり自分が少々被害を受けるのを覚悟で下がらなかったら、ランバ・ラルはフック引っ掛けただけで手繰り寄せる時間も何もなかったから、このままグフと一緒になんか爆発に巻き込まれて死んじゃったはずなんですね。ところがアムロがですね、あ、グフが爆発してるという風なことで、ついつい自分のガンダムごと何十メートルも後ろへ下がってしまった。そん時にランバ・ラルも一緒に助ける結果になってしまったと。
で、アムロは、あ、あれは俺助けちゃったんだと思うと、ランバ・ラルはぶら下がったまま「見事だな。しかし小僧、自分の力で勝ったのではないぞ。そのモビルスーツの性能のおかげだということを忘れるな」っていう風に言った。アムロは「負け惜しみを」って。ま、確かに負け惜しみなんですが。「負け惜しみを」って言ってランバ・ラルを追いかけるんですけど、その直後にグフが目の前で核爆発とかですね、大爆発を起こして、もうアムロもですね。
で、あとランバ・ラルも意外にもかっこ悪くうわーってふっ飛ばされてですね、ランバ・ラルはゴロンゴロンと転がってですね、砂漠の中になんか落とされて、で、砂漠の中でそのままぐっと身を伏せて「夜になってハモンと合流するか」っていう風に独り言を言ってですね、ランバ・ラルとの戦闘はこれで終わります。
で、アムロはですね、その後ホワイトベースにようやく戻るんですけども、そのままですね、独房に放り込まれてしまいます。
独房に放り込まれてですね。よいしょ。ブライトさんがですね、「どんな理由があろうとチームワークを乱した罪は罪だ」って言うと、アムロがですね、「一方的すぎます。僕だって好きでホワイトベース降りたんじゃない。僕の言い分だって聞いてくれても」って言うと、ブライトは「聞くわけにいかんな」って言ってそのまま独房の前を去ってしまいますね。
で、アムロはですね、「ブライトさん、どうせランバ・ラルが攻めてくれば、僕がガンダム動かさなければ戦えないんですよ」っていう風に一生懸命後ろ姿にですね、声かけるんですけども、そうするとリュウさんがですね、「アムロ」って言うと、で、てっきり自分の味方をしてくれるんだと思ったら、「なぜ俺がお前を呼びに行ったと思う」って聞かれて、「いや、僕がいなければ戦えないからですよね」って聞くと、「うぬぼれるなよ。ガンダムさえ戻ってくればいいと思ったからだよ」。で、カイが「その辺をよく考えるんだよ、アムロ」って、ま、憎まれ口言って2人とも去ってしまいます。
独房にアムロはたった1人で残されてですね、「リュウさん、カイさん」っていう風にですね、まあまあ、ま、虚しく叫ぶわけですね。で、誰もいない。もう本当にホワイトベースのですね、アムロの独房だけがあって、ひたすら無人の廊下だけが続くシーンが延々映されてですね、アムロの、ま、セリフというか叫びですね。「話をすれば分かるんだ。出してください。こんなとこに入れることないでしょ。ブライトさん、ミライさんでもいいんだ。セイラさん来てください」。もう誰でもですね。「話を聞いてください。リュウさん、セイラさん、話を。僕にだって言いたいことがあるんです」って言うんですけども。
これ演技的なポイントはですね、「話をすれば分かるんだ、出してください」って言う時ですね。こっち目の前にですね、この相対してるキャラクターがいる時、アムロの顔がちゃんと分かるんですね。目が見えていて、で、顔に一応、ま、罪を象徴する十字架っぽい影が落ちてるっていうエフェクトになってるんですけど、ところがですね、誰もいないところでアムロが虚しく叫ぶ時っていうのは、結構これね、秒数長いんですけども、延々アムロの目の黒目が隠されてるんですね。このシーンからこのカットに至るまで割と長めのカットなんですけども、アムロの両目がですね、この格子で隠されてる状況です。つまり表情が読めないように作画されてる。
で、これ何かって言うとですね、このシーンね、かなり理不尽。一見ブライトにはね、理屈があるように見えるんですよ。どんな理由があってもチームワークを乱すものは許せないって言うんですけども、でもその後「僕にも理由、事情があるんです。聞いてください」ってアムロが言うと「聞くわけにいかんな」って言っちゃうんですね。つまり何かって言うと、なんかこれってチームワークの問題じゃないからですね。チームワークがなかったからこそ今回みんなは助かったわけで、なんかその
カイが「その辺をよくよく考えるんだな、アムロ」って言うんですけども、よく考えても絶対に答えは出ないんです。理不尽しかないと。命令には従うしかないし、上の奴が言ったことは不当であってもなんかこう従うしかない。それを飲み込むしかないっていう結論があるのでね、めちゃくちゃ味です。
当時からやっぱり、じゃあアムロはどうするのが良かったんだ、誰があの場では正しいんだっていう話がよくアニメファンでもあったんですけど、これね、誰も正しくないんですよ。ただ理不尽があってそれに従うしかないっていう回なので、すごい後味悪いです。
「聞いてください。僕の言うこと聞いてください」って言うと、フラウ・ボゥだけがかなり離れたところから物陰から首を出して「バカなアムロ」っていう風にこうつぶやくんですね。で「テレビモニターで聞こえてるはずです。答えてください、セイラさん。僕が、僕が1番ガンダムをうまく使えるんだ。1番うまく使えるんだ」っていう風にアムロが絶叫してると。
で、なんでフラウ・ボゥは「バカなアムロ」、アムロはなんでバカだって言ったのかって言うと、本来が正論とか正義が通じない戦争という環境の中で、1人正論、正しいことを言おうとしてるからなんですよ。フラウ・ボゥだって、アムロのことみんな分かってるでしょとか、迎えてあげましょうって反対されてて、みんなのことがもう嫌になってると。でもここしかいる場所がないと。嫌になったから飛び出していいわけじゃない。
チームワークってのは何かって言うと、嫌になっても飛び出せないその環境の中で、お互いが疑いながらもなんとか生まれてくるのがチームワークだっていうのが、ま、テーマとしてあるわけですね。だからそこでは自分の小ざかしさ、賢さっていうのを殺すことが大事なんだっていうのが本当は生き残り戦略なんですね。でもアムロはまだ理屈が通ると思って、みんなに歯向かってしまう。それがそのフラウ・ボゥには「バカなアムロ」っていう風に見えてしまうんですね。
理屈が通じないところで、理不尽の中で我慢するしかないのかって言うと、我慢するしかないシチュエーションだってあるだろうと。そん時はもう騒いでもしょうがないよっていうですね。もう本当に理不尽な回なんですね。この回で視聴者がもうね、どんなに考えても分からないように作ってるんですよ。ものすごい理不尽感、逃げられない作りをしますということですね。
最後のフリップになります。アムロはですね、その理不尽な廊下の中で閉じ込められながらですね、最後にですね、ランバ・ラルが言った言葉を思い出します。「うぬぼれるなよ。お前の力で勝ったのではない。ガンダムの性能のおかげで勝ったのだ」。ランバ・ラルこんなこと言ってないんですよ。そのモビルスーツのおかげだって言ったんですけど、いつの間にか脳内でいい感じで編集されてるんです。ランバ・ラルが真正面にいてですね、ガンダムの性能のおかげだって、アムロが1番言われたくないことを言うと。
で、次にですね、「ふふふ、いい度胸だ。だからハモンに気に入られたというわけか。怒らせてもらうよ、アムロ君」って。ランバ・ラルそんなこと言ってないんですよ。似たようなこと言ってるんですけども、実はアムロの脳内でランバ・ラルがですね、アムロを意識して色々語りかけてくるっていう、なんかその憎む相手、戦うべき相手っていうのをランバ・ラル1人に焦点を合わせるために、あえて1つの話数、エピソードの中でランバ・ラルのセリフをわざとアムロが間違えて覚えて脳内で再生してるっていうのを、これ見せてるんですね。
で、「僕は、僕はあの人に勝ちたい」っていうですね。「僕はあの人に勝ちたい」っていうアムロのセリフですね。これもなんだろうな。俺これ好きなんですけども、「僕はあの人に勝ちたい」って、この右腕握ってるんですけども、これをですね、ゆっくりこう上に上げるんですよね。上げる理由ないんですよ。だからもうここね、うーん、決意みたいなものかもしれないんですけども、目だけにライトが当たって、ま、これはいわゆるドイツ表現主義という、なんだろうな。うーん。表現主義というかね、映画の手法としては、うーん。
昔の探偵映画とか、ちょっとミステリっぽいのでよくこの目元だけライティングするっていうのをやって、でその時の人間が何考えてるのか分からない、ちょっと恐ろしいことを考えてるかわかんない、孤独さを感じてるみたいな技法で、そういう風な場面で使うんですけども、この右手を上げてるのだけはですね、ちょっと僕にも、なかなか読みきれてないんですよ。
ただ言えるのはですね、「僕はあの人に勝ちたい」っていう風にアムロは言うんですけども、ランバ・ラルはアムロに勝ちたいとは思ってないんですね。戦場で勝って手柄を立てようとしてるだけで、できればこんな子供と戦いたくはないという風に思ってるんです。でもこの右手上げるシーンっていうのは、僕は意図は読みきれないんですけども名シーンだと思います。
こういう時の人間っていうのが取ってしまう行動としては、なんかやたらリアリティがあるから。さっき話した全体が理不尽で正解がないのと同じで、この演技にもですね、何か正解がなくて、「僕はあの人に勝ちたい」っていう時に右手を上げてしまうというとこに、なんかこう納得しちゃうんですけど。
しかしですね、アムロはですね、ランバ・ラルはそんなこと思ってないですけど、アムロは戦って勝ちたい相手っていうのができてしまったんですけども、次回第20話「死闘!ホワイト・ベース」でランバ・ラルはですね、アムロの目の前で無駄に死んでしまいます。で、その次の回ですね、「激闘は憎しみ深く」の回ではですね、ハモンがですね、敵討ちということでアムロ1人を殺しに来るっていう回があります。ますますですね、目が離せなくなるガンダム講座。第19話「ランバ・ラル特攻!」は以上です。お疲れ様でした。
はい。お疲れ様でした。今日の限定放送はここまでです。やっぱ僕自分でも解説したんですけども、フック引っ掛けるだけっていうランバ・ラルの戦い方すごい好きですよね。初めてですね、20歳ぐらいの時に機動戦士ガンダム見た時に、19か19ぐらいの時は分かんなかったんですね。やっぱあのシーンがその。
アムロはノーマルスーツ着てないんですね。ランバ・ラルはちゃんとノーマルスーツ着てる。ノーマルスーツは何かと言うと宇宙空間でも耐えるものなんですよ。だからランバ・ラルが手袋したまま溶けた鉄をグイっとこう、装甲板を歪めるという描写が成立するわけですね。しかしそれに対してアムロっていうのは砂漠の中をですね、ま、普通の服で歩いてただけなので、そのままガンダム乗ったわけなんですよ。
なのでその目の前でグフが爆発する時に、前の保護板がもうなくなってる状態で、でノーマルスーツも着てないから、そりゃ下がりますよ。うわっと下がろうとすると。だからその下がろうとする力を利用して爆発現場から抜け出すですね、ランバ・ラルっていうのが、ま、もう本当にやり取りがうまいですよね。こん時の本当にランバ・ラルが勝ってると思うんですけどもですね。
ただ、ま、ランバ・ラルもですね、そうは言いながら命のやり取りでヒヤヒヤしながら、この後なんだろうな、助けを待とうとかですね、この後クランプたちを待とうではなくて、ハモンと合流するしかないかっていうところのこのセリフにですね、ちょっとランバ・ラルの人間らしさっていうのが現れてますね。もうとりあえず彼女に助けてもらおうというかですね。早くお家に帰って奥さんの膝に甘えたいみたいなのが出てきて好きなんですけども、勝手な想像ですけど、この日の夜ですね、ランバ・ラルとハモン、めちゃくちゃセックスしてると思います。
で、正直ですね、そのランバ・ラル隊全体はですね、もう持ってないわけですね。この今回の作戦でもですね、もうかなり無茶だったわけですね。エンジンの上に乗ってエンジンを壊そうとしてるランバ・ラルで、それをですね、そのミライさんが、なんだろうな、背面飛行して落とした時点でもうこれ勝負ついてるんですよ。もうこっから先勝ち目ないわけなんですけども、まだやらなきゃいけないと。ま、正直言えばザクが減ってしまったと、あと補給がないという時点でゲームセットなんですけど、ランバ・ラル隊だからここまでま、ずっと頑張れたわけですね。
で、それがもう次回以降ですね、よりもう、どの戦争もどの戦闘もホワイトベースが基本有利で守る立場になってきて、ランバ・ラル隊は1回ごとに隊員の半分が死ぬ、もしくは全員が死ぬことで目的を達成しようというですね、戦いが2回続くことになります。
あとですね、最後アムロを独房に入れた時のリュウとカイのセリフですね。リュウがですね、なんでお前を迎えに行ったか分かるのかって言った時に、アムロが生意気なことを言うと、「バカ野郎、ガンダムが欲しかっただけなんだ」ってリュウが言うと。で、カイはですね、「そういうことだ。よく分かっとけよ」って言うんですけど、この2人の言葉、温度差あるんですね。
っていうのは次の回で本当にですね、カイはハヤトたちを誘ってですね、ホワイトベースを家出しちゃうわけなんですよ。つまりカイの言葉は本音であって、リュウの言葉はそれに対して「バカ野郎」っていう風に言うところから分かるように、あくまでアムロを反省させるために、目を覚ますために、ま、突き放したような感じで言ってるわけですね。ここら辺のですね、この差っていうのが面白いなと思います。
あと、なんでアムロがその最後牢屋の中で妄想してるのかと。つまりランバ・ラルが言ってないことを脳内編集して言われたような気になったりですね、してるのかって言うと、ラルが自分のことをライバルだと思ってるとこで、一生懸命に自分の中で闘志を燃やしてるんですね。で、それなんでかと言うと、理不尽な状況になった時っていうのは、なんか合理化できる敵を見つけて闘志を燃やすっていうことが対抗策なんですよね。
それはなんか、うー、アニメ作る時にもある話なんですけども、スポンサーとか局とか、あと会社の上層部の理不尽に対して、そいつらに腹を立てたら負けなんですよ。負けっていうか終わりなんですね。もちろん腹が立つのはその上層部であってなんですけども、それに対して、いや、俺は高畑に勝ちたいとか、クソ宮崎めって思わないとガンダムなんか作れないし、仕事なんかできないんですよね。
この理不尽なことを言ってくる、本来自分が怒ってる相手から、もっと戦って意味がある相手っていうのに怒りをすり替えるうまさですよね。ここら辺がそのなんでしょうね。ロボットアニメとは言いながら富野さん命削ってなんか作品作ってるなっていう風に思って、僕は好きですね。大好きです。
さてですね、次回から第20話「死闘!ホワイト・ベース」の解説に入ります。今回のですね、「ランバ・ラル特攻!」でですね、ロボットアクション的なライバルの、ま、新型モビルスーツ・グフとの戦いは終わりました。ただランバ・ラル編のストーリーラインはまだ続いてるんですね。で、ホワイトベースの仲間たちとの人間関係、ついに限界迎えて、さっき言ったようにですね、カイやハヤトまでもですね、脱走を始めてしまう。
で、そんな中ランバ・ラルが子飼いの部下を連れてきて、ま、ホワイトベースに白兵戦、つまりなんだろうな、身1つでホワイトベースに乗り込んできて銃撃戦を始めるわけですね。もうまさに特攻隊のような肉弾戦になります。で、ま、「僕はあの人に勝ちたい」というようなフリをやった、もう次の週に決着ついちゃうんですけどもですね。当のランバ・ラルの死に様がいかなるものだったのかっていうのを、ま、できれば予習しておいてください。
ま、次回のですね、「死闘!ホワイト・ベース」も本当に解説することが盛りだくさんなので、4回分の放送になります。1、2、3、4ですね。ということでですね、できれば予習して、機動戦士ガンダムを一緒に楽しみましょう。ということで、来週お楽しみにしてください。はい、お疲れ様でした。
今回の動画ここまでです。もう皆さんどうでしたか? 1回で見れましたか? それとも土曜日まるまる1日使ってしまったのか、まあまあ飛ばし飛ばしなのかわかんないですね。もう今回はですね、ドラマ、アクション両方ともかなり詳しくしたのでですね、アップグレード情報さらっといきます。
これまでですね、この講座ではですね、機動戦士ガンダムの人間ドラマ、日常描写、どっちも演技とかすごいって散々言ってきたんですけども、ま、この、ガンダムに限らずロボットアニメのですね
ドラマっていうのはあくまでもですね、巨大ロボットの戦闘を見せるのが目的であってですね。で、そのドラマの中、そのロボットアニメの中で最低限やらなきゃいけないことをやった後で、その余った時間を使って展開されるなんかこう、まあね、全部の時間を人間ドラマに使えるわけではないんですね。『太陽の牙ダグラム』とかですね、例外はある、あるんですよ。そっちの方に全振りした作品もあるんですけども、まあ『機動戦士ガンダム』はですね、あくまでスポンサーのおもちゃを売るっていうですね、富野監督が約束した上で作ってるやつですから、どうしてもその余った時間の中で人間もですね、ちょっとずつ、ちょっとずつやっていくことになるんですね。
で、それがですね、ちょっとずつやってく中で最大限のですね、まあ効果を出そうとしてるんですけど、例えばですね、今回の「ランバ・ラル特攻!」のですね、Aパートですね、酒場の中にですね、まあ砂漠の中のさびれた酒場に入ってきたランバ・ラルが言うですね、「すまんな。サグレとマイルは外の見張りだ。交代は急がせる」っていう風なセリフがあるんですけども、これはもうですね、ランバ・ラルチームの仲の良さですね。部隊長がですね、常に周りの人間に気を使っている様子とですね、部下にきちんと統制が取れてる様子を表現してる。同時にこれはランバ・ラルという人間の人格があってこそなんだというのが分かると。
で、後にですね、フラウが見つかって、中に連れ込まれるという展開の伏線にもなってるわけですね。サグレとマイルがですね、見張ってたからフラウは見つかったわけです。ちゃんとそいつらが働いてた。あとすぐに見張り交代させると言ってるから、すねずにふてずに、みんなが休憩してご飯食べてる間も見張ってたわけですね。
で、他にもですね、酒場に入る時にですね、ラルがですね、「親父、休ませてもらうぞ。13人だ」っていうさりげないセリフがあるんですけど、これも後のですね、ハモンがですね、「食事を14人分お願い」っていうセリフがあるんですよ。で、そうするとラルが「14人? 1人多いぞ」って言うんですけども、これを言うためにちゃんと伏線になってる。13人っていう風に最初に言ってて、「14人分お願い」「1人多いぞ」っていうことでですね、アムロに対してハモンが持ってる好意みたいなものが出てくる。それを自然と引き出すね、数字のセリフ。数字ってね、人間の頭の中にね、入ってきやすいし覚えやすいから、こういう時にですね、出すのすごいうまいなと僕、本当に無駄がないですね。セリフ回し、しびれます。
それじゃですね、もう3時間以上喋ったんでですね、今日の動画この辺で終わりにしましょう。次回ですね、第20話ですね、「死闘!ホワイトベース」ですよ。こんだけやっといてさあ、ランバ・ラルの部隊がですね、「死闘!ホワイトベース」ですから、どんなことになるのかですね、来週までですね、できれば皆さん予習で『機動戦士ガンダム』の方も見といてください。ではまた来週。バイバイ。
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