小田切ヒロが語る、記憶と場面で選ぶ香水34本

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概要

ヘア&メイクアップアーティストの小田切ヒロが、多数の香水の中から自分で一つずつ嗅ぎ分けて選んだ推しの香りを紹介した。小田切によれば、並べたのは「ストーリーがありながら心に届いた」香りである。紹介は香調の説明だけで終わらない。朝に使う、商談に向かう、月を眺める、昔の自分を思い出すといった場面や記憶と結びつけて語っている点が特徴だ。最後に小田切は、今回は自分の人生と好みを重視して選んだと断っている。

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朝と日中に向く、爽やかな柑橘とグリーン

最初はルイ・ヴィトンの「パシフィック チル」だ。小田切は「海の夜明け」を感じさせる香りだと言う。太陽が昇る手前の、薄く青みがかった時間帯のイメージで、アロマティックな香りが心を落ち着かせる。ビーチを思わせる香りなので、名前どおり「チルしたい」人に勧めている。

ジョー マローン ロンドンの「グレープフルーツ コロン」は、小田切が朝につけることが多く、すでに1本リピートしている香りだ。グレープフルーツの果実そのままのシンプルな香りで、日常的に使っているため朝向けとして推している。

ディオールの「ミス ディオール ブルーミング ブーケ」については、以前より爽やかさが増したと感じたという。昔はもう少し甘く感じたが、自分の嗅覚が変わったのか香水自体が変わったのかは分からないと留保している。現在の印象は「グリーンを感じるようなお花」で、ディオールを代表する香りなのでディオール好きにはたまらないだろうと話した。

メゾン マルジェラの新作「レプリカ ネバーエンディング サマー」は、太陽に照らされたオレンジの香りで、異国のオレンジを思わせる清涼感があるという。小田切はマルジェラの中でもかなり推していると述べた。

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甘さに「エッジ」や「引き算」を加えた香り

ヴァレンティノ ビューティの「ドンナ ボーン イン ローマ」は、甘みとエッジの両立が特徴だと小田切は言う。甘さの中でバニラが効いていてエネルギーを感じるので、「甘あま攻めしたい」人に向くとしている。

シャネルの「ココ マドモアゼル フレグランス プライマー」は、オレンジ、ジャスミン、ローズにパチュリが加わった香りだ。小田切は甘さの中に少しスパイシーさがある点が好きだという。この製品は上から好きな香水を重ねるためのプライマーで、かなりライトな香りなのでどんな香水とも比較的合わせやすいと説明した。小田切自身は自分をアンドロジナスだとしたうえで、これをベースに、少し重さのあるビンテージっぽいスモーキーな香りを重ねるのが好みだと話している。

クロエの「オードパルファム インテンス」は、クロエの中で一番素敵だったという。ローズの甘さがベースだが、ソフトウッドの香りで甘さが「引き算」されている。小田切は最近のトレンドかもしれないと推測しつつ、甘すぎない点を特徴に挙げた。パリのおしゃれな女性が路地裏を散歩しているような雰囲気で、フレンチなおしゃれを好む人に合うとした。

プラダの「パラドックス ヴァーチャル フラワー」は、ひと吹きでフローラルが広がる香りだ。小田切が好きなネロリが入っていて、甘さはあるが「フレッシュな甘み」だという。小田切はここで今回の選び方にも触れた。甘さはあっても甘すぎず、フレッシュなグリーンやネロリを感じる香りを選んでいるので、プラダもジェンダーに関係なく使いやすいという。

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イタリアへの思い出――アクア ディ パルマ

アクア ディ パルマの「ボンジョールノ」には、特に長く語った。レモン、スペアミント、ローズマリーが配合されていて、小田切は「マジでイタリアのレモン畑に行ける」と表現する。このブランドを好きな理由として、百貨店に勤めていた頃に給料が入るたび毎月買っていた時期があったと明かした。その場にいた人物が「全部大地の感じがする」と言うと、小田切はイタリアのリゾート地の日差しと大地のエネルギーを受けた植物のイメージだと応じ、レモンがとてもエネルギッシュだと話した。

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海、檜、そしてチェリー

タンバリンズの「EGG PERFUME BLUE HINOKI」は、小田切が夏に使っていた香りだ。海に流れ着いた檜を使っているという説明を紹介し、単なる檜の香りではなく「檜と海の融合」だと表現した。好きな人は多いだろうと見ている。

トム フォードの「ロスト チェリー」について、小田切はトム フォードに好きな香りが多い中でも今回は特にすごいと言う。「チェリーボーイ卒業後の香り」だとして「大人の階段登っちゃった」と冗談めかしつつ、香り自体はとてもフレッシュなので若い人に向くかもしれないとした。相手がつけていたら自分はかなり反応してしまう、とも話している。スタッフが最近のお気に入りだと言うと、小田切がからかう場面もあった。

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NOSE SHOPの3本――吸引力とレイヤリング

NOSE SHOPで扱う3本もまとめて紹介された。1本目はイタリアのブランド、ラボラトリオ オルファティーボの「ニードユー」だ。小田切はまず「嗅覚の実験室」という意味のブランド名に惹かれたという。シトラス、ペッパー、ジャスミン、ムスクの香りで、爽やかだが肌と混ざると魅惑的になる。小田切は「深さというよりはちょっとした爽やかな複雑さ」と表現した。この香りをきっかけに人と会話した記憶もあり、ブランドの中で一番良かったとしている。

2本目はオルト パリシの「セミナリス」で、小田切がこれまで何度も紹介してきた「精子の香り」だ。女性も男性も引き寄せる吸引力の強い香りで、とにかく引き寄せたい人向けだという。レイヤリングのベースにもよく、足首につけると香りが下からふわっと上がってくると使い方を説明した。

3本目はナーゾマットの「ナルコティック V」(魅惑のヴィーナス)である。まだ使い切っていないが、もう1本リピートするつもりだという。バラの濃縮液のような香りで、まとった瞬間にバラの強さを感じる。内なる女神を出したい人に向くとした。小田切はセミナリスとの組み合わせが好きだと明かし、同時に重ねるのではなく、片方を足首、もう片方を手首につけると「すごいことが起きる」と語った。ミステリアスな印象を目指す人に勧めている。

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寝室と浴室のための香り

ゲランの新作「ラール エ ラ マティエール ペッシュ ミラージュ」は、嗅いだ瞬間に魅惑力の強さを感じたという。フレッシュなピーチと温かみのあるレザーという相反する要素が混ざっている点が、魅惑力を高めていると小田切は見る。フルーティーでフレッシュなのに深いレザーが来るので、「これこそアンドロジナスの香り」だと言い、性別を問わず使えるとした。寝室に置こうかと考えているという。

タンの「フレグランスミスト OE」(オリエンタル エッセンス)は、小田切が何本もリピートしているもので、風呂に入るときに使っている。浴室に吹きかけると驚くほどスパの雰囲気になり、タンのスパでリラックスした記憶がよみがえるという。浴室やトイレといった水回りに置いていて、相性がよいと話した。

10:19

月光とパチュリ――ヴァン クリーフ&アーペル

ヴァン クリーフ&アーペルの香水を使ったのは今回が初めてだったが、「ムーンライト パチュリ」は本当に良かったという。月の光に包まれたパチュリの香りで、魅惑的でありながらフレッシュで新しいと感じた。小田切は心の底からパチュリが好きだが、これほどパチュリをダイレクトに嗅げる香りはなかったと言う。月の力とパチュリの香りで心がほぐれるので、日常使いより、月を見るときや月光浴をするときに合うと述べた。

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過去の自分を呼び戻す香り――CK one、ブルガリ、ロエベ

後半では、個人的な記憶と結びついた香りがいくつか続いた。カルバン・クラインの「CK one」は新作ではなく、小田切が高校生の頃ずっと使っていた香水だ。小田切はこの年齢になって、昔の懐かしさや苦しみ、悲しみ、強さを呼び戻し、糧にしていると語る。CK oneを嗅いだ瞬間に当時の苦しみや悲しみがよみがえり、この気持ちを忘れてはいけないと思い直したという。同世代の人なら「あの頃の気持ち」を呼び戻せるだろうと話し、この香りを糧にこれからも頑張れる、だから絶対に忘れないと述べた。

ブルガリの「オ パフメ テ ヴェール」は、名品が深みのある新しい香りとして登場したものだ。小田切は若い頃、この香りのボディクリームを何本もリピートしていた。頑張って買っていた頃の自分を思い出すうえ、海外の高級ホテルでアメニティとして置かれていた香りでもあるという。小田切にとってブルガリの香りは「いい時、ターニングポイント、そして人生頑張っていた時の香り」だ。新しいものは濃厚だが、少しフレッシュさが加わった印象だと述べた。

ロエベの「001 マン」については、初めて出会った男女が一夜を過ごした翌朝の感情を表現した香りだという説明を紹介した。性別もセクシュアリティも問わないジェンダーレスな香りだとしている。さらに小田切は自分の経験として、ワンナイトもあったと率直に明かした。それはお互いに事情があったからで、相手は翌日から海外移住が決まっていたという。この香りはそうした甘酸っぱい記憶を思い出させるものだと語った。

11:58

戦いに行く日の香り――クリード アバントゥス

クリードの「アバントゥス」は小田切が3本リピートしている日常の香りで、本人は「戦いに行くための香り」と位置づける。男性性が内側から強く出てくるので、ビジネスマンに勧めたいという。商談や新しい挑戦のときには必ずつけると話した。有名な製品なので共感する男性も多いだろうとし、紳士でありたい人、キャリアを高めたい人に向くとした。

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モロッコを思い出させる香り、自分自身を映す香り

ラルチザン パフューマーの「イストワール ド オランジェ エクストリーム」は、小田切が大好きなブランドのものだ。今は黒いパッケージだが、当時は透明だったという。かつてはアクア ディ パルマとラルチザンのどちらを買うかいつも悩みながら買っていた。この香りからはモロッコがふっと浮かぶといい、今モロッコが大好きな小田切の気持ちを引き戻してくれたと話す。静けさと輝きのコントラストを感じる香りだと表現した。

グッチでは「グッチ ブルーム パルファム」が一番グッと来たという。甘いバニラとスパイシーなウッディノートが組み合わさっていて、とても甘く、とてもスパイシーでもある。小田切は「この感じがまさに私って感じ」と言い、自分はスパイシーでありながらスイートで、男性的・女性的のどちらでもありながらどちらでもないと語った。複雑な香りだが甘さとスパイシーの融合として分かりやすいので、自分自身に迷っている人や自分を知りたい人に勧めている。

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誰にでも好かれやすい香りと、選び方

カルティエの「ピュール ミュゲ」は、清々しいグリーンノートの中に可憐な小花が香るという。小田切は、客の前で香水をつけることはリスクのある行為だと考えている。香りが苦手な人がいるからだ。ただ、この香りを嫌いな人はおそらくいないだろうと述べた。癖のある香りや内面を引き出す香りにも魅力はあるが、これは万人受けする爽やかな香りだとしている。

モルトンブラウンの「ブルーベル&ワイルドストロベリー」は、まずボトルの色と飾りの玉にインスピレーションを感じて選び、実際に嗅いでみたらそれが正解だったという。深みのある爽やかなストロベリーの香りで、ジェンダーを問わず清々しくいたいときに向くとした。店舗では玉の色で選び、実際に試して良いと思えばそれが正解だと、選び方も勧めている。

アルマーニ プリヴェの「ピヴォワンヌ スジョ」は、小田切の好きなフレッシュローズとピオニーの香りだ。ピオニーが入ることで人を惹きつける吸引力があるという。日常でカジュアルに使いやすく、ジェンダーを問わず比較的嫌う人がいない香りだと感じているそうだ。

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夜と大人のための香り

ランコムの「ローズ フロム ザ ダーク」は、砂漠の夜空にきらめく星をイメージした香水だという説明を紹介した。アンバーウッドとホワイトローズの深い香りだが、小田切は「経験値を積んだ熟した人」ではなく「経験値豊かなフレッシュな人」だと表現した。限りなく爽やかで、夜にまといたい香りだという。ミステリアスでありながら爽やかさも欲しい人に勧めた。

ディプティックの「フルール ドゥ ポー」は、うっとりするようなムスクが主体で、小田切は吸引力が「やばい」と評した。魅惑的な自分を演出したいときや、魔女的な志向の人に向くミステリアスな香りだという。

エルメスの「ナイルの庭」は、緑の庭園の香りだ。上品でフレッシュなグリーンでありながら深みがあり、洗練された印象になると小田切は言う。フレッシュな香りは若い人向けのイメージがあるが、これは上質な大人に勧めたいとした。フレッシュな朝を迎えたいときやプレゼンテーションの場面に向くと述べた。

16:36

季節と時間帯で選ぶフレッシュな香り

バーバリーの「バーバリー ハー オードトワレ」は、フレッシュなマスカットの香りで「本当に美味しそう」だと言う。みずみずしいグリーンの香りなので日中に合うとした。フレッシュなので、見た目や気持ちにフレッシュさが残っている人、比較的若い人と相性がよいとしている。

ミラー ハリスは2本が紹介された。「ティー トニック」はイタリアン ベルガモットとスモーキーなバーチタールの香りで、なんとなく紅茶を感じるという。小田切はロンドンの田舎町の路地裏にあるおしゃれなカフェを思い浮かべ、少しビンテージ感があると話した。「メロディ」は踊り出したくなる香りで、屋外のビーチパーティーのように、太陽の下で水辺が見える場所で踊るイメージだという。爽やかで少し甘く、暖かい季節に向くとした。

ヴェルサーチェの「エロス エナジー」は、ボトルの見た目にも触れながら紹介した。ベルガモットのエッセンスをベースにオレンジ、レモン、マンダリン、グレープフルーツを配合した柑橘の香りで、最後に小田切の好きなパチュリが来て全体を引き締めるという。エネルギッシュな一日を過ごしたい日に合うと感じたそうだ。

22:31

日本人としての自分を呼び戻す香り――ビュリー

最後はオフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリーの「オー・トリプル セードル・デュ・リバン」だ。ピンクペッパーとベチバーが織りなすシダーウッドの香りで、フランスのブランドなのに少し「和」を感じると小田切は言う。これまでの人生に寄り添ってきた香りが新しい形で現れたように、他人事に感じない香りだという。日本で生きてきた日本人としての誇りを呼び戻してくれるように感じるので、日本人と相性がよいだろうと話した。

締めくくりに小田切は、各ブランドから自分の好きなものを選んだこと、そして今回は自分の人生と好みを重視して選んだことを改めて述べ、気になる香りがあれば試してほしいと呼びかけた。