ダンボールパレスが2部屋同時に:夫の提案で夫婦の寝室を分けた「段ボール御殿の家」後編

YouTubeで開く ↗
概要

片付けのプロ・古堅純子さんが、3人家族の住まいを再訪した続編である。前回は十分な広さがあるにもかかわらず、どの部屋も物で溢れていた。今回、家族は1か月のあいだに自分たちで片付けを進めており、夫が大胆な部屋割りの変更を提案してきた。古堅さんたちはその案に沿って、過去の「ダンボールパレス」回と同じ作業を2部屋で同時に行う。夫婦それぞれの個室を作るまでの経緯と、まだ終わっていない部分を追う。

10分で読めます

1か月で家族が動き出していた

古堅さんが訪ねると、リビングの様子は前回から大きく変わっていた。大きなテーブルには物が載りっぱなしで使われておらず、リビングを広く使いたいという理由で、ソファ、テーブル、本棚を1つずつ処分したという。新たに収納家具も買っていた。

妻は「ゴロゴロする生活はもうやめています」と話したが、これからどんな生活にしたいかと聞かれると、まだそこまでは考えていないと答えた。この日の妻は古堅さんとまったく同じ格好をしていて、古堅さんは「ここまで私に寄せてくる女初めてよ」と笑った。そのうえで、やる気は十分に伝わるが、部屋でどう過ごしたいのかはもう少しはっきりさせる必要があると指摘している。

変化を起こしたのは妻だけではなかった。息子もかなりの量を捨てたという。妻によると、当初は古堅さんと2人で話したかったので、夫と息子には挨拶が済んだら出かけてもらうつもりだった。ところがこの1か月で家族そろって片付けに乗り気になり、2人とも家に残っていた。古堅さんは、お母さん1人が頑張って落ち込んでいる家が多いなか、家族が一緒に盛り上がることが大事だと話している。

リビングは「物を置かない公共の場」に

夫と息子に改めて聞くと、リビングには基本的に物を置かず、家族でゲームをしたり体操をしたりできる場所にしたいという答えだった。古堅さんは、捨てたからといって何もない状態になったわけではなく、普通の家以上の量はまだ残っていると念を押した。そのうえで、ほかの部屋をうまく使えばリビングを「公共の場」にすることはできると話した。

家族は番組の「ダンボールパレス」回(本シリーズの#272〜#274)を最近見て、影響を受けていた。「リビングには物を置かない」というルールもそこから来ている。夫は、リビングを公共の場にする代わりに、ほかの部屋を倉庫にしてもかまわないと考えていた。

実はこの家にも、段ボールが積み上がった部屋がある。古堅さんは「ダンボールパレス2」だと言う。本をブックオフに出したときに、引っ越し業者の大きな段ボールに本がぎっしり入っていることは分かっていた。妻は試しに少し掘ってみたものの、自分では歯が立たず途中でやめていた。

この日の第1段階の目標は、リビングを人を呼んでも楽しく過ごせる公共の場所にすることだった。全員で掛け声をかけ、息子が学校に行ったあと、夫婦と古堅さんたちで作業に入った。

夫の提案:いびきを理由に寝室を分ける

家族は前夜から古堅さんたちが来る直前まで、最後の片付けをしていた。そして夫が思った以上にやる気になっていた。妻は、夫の部屋までは手を付けないと思っていたのに、夫が「できれば」と言い出し、作業範囲に含まれることになったと話す。夫は、こうなることはある程度予想していたと応じた。

古堅さんは、息子の部屋は本人が自分で片付けているので今回は手を付けないと決めた。ただ、前回より服が増えているように見えると指摘した。妻によると、洗濯物をどんどん洗って各自の持ち場に戻すとこうなるという。洗濯をさぼりがちな時期にたくさん買ってしまったことも理由に挙げた。古堅さんは、全員の服の絶対量が多いと話している。

この家でいちばん広いのは奥の寝室である。暮らし方の希望を聞くと、妻より先に夫が話し始めた。夫はいびきがひどく、2人で寝ていると妻が眠れないことがある。そこでベッドを分けて別々に寝たいという。新婚当時から夫のいびきがひどく、妻がトイレで寝たこともあった。リビングでゴロゴロ寝ていたのもそのせいかもしれない、という話も出た。

夫の具体案は次のとおりである。

  • ダンボールパレスの部屋に妻のベッドを置き、妻の部屋にする
  • 夫がいま使っている部屋にベッドを入れ、夫の部屋にする
  • 両方の部屋の荷物をすべて今の寝室に移し、巨大な倉庫にする
  • 机も寝室側に移し、狭くてもいいので仕事部屋をそちらに作る

夫は、ダンボールパレス回で書斎にベッドまで収まった結果を見て、こうすればいいと答えが見つかったと話した。古堅さんが「自分たちでやんなよ」と冗談を言うと、自分たちではできないから先生の力が必要だと返した。古堅さんは、毎回自分で考えなければならない方針を先に考えてくれてありがたいと話し、この案を抜本的な改革だと評価した。息子に確認したところ、今の部屋がいいので隣に誰が来てもかまわないと答えたという。

設置中のベッドを見ると、2台に分かれていた。古堅さんは、以前は物が多くて大きなベッドに見えたが、分けてみるとそうでもないと話した。

「パレスを2つ同時に」という作業手順

古堅さんは、方針がここまで決まっているなら引っ越し業者を呼べばよかったと冗談を言った。ダンボールパレスのときは作業しながら住人を説得したが、今回は最初から方針が決まっているので、あとはやるしかない。

作業手順はダンボールパレスのときと同じである。あのときは古堅さんが1人で段ボールの山に突っ込み、穴を開けた。今回はそれを2部屋同時に行う。スタッフからは、あのときの大変さを2部屋分味わうのかという声も上がった。まず片方の部屋の中身を出し、もう片方にスペースを作る進め方をとった。この日は新しく加わった「重量級」のスタッフもいた。

掘り出して見えた汚れと物の量

収納の奥からは、前回の作業後も手を付けていなかった物が出てきた。息子が頑張った跡を目に見える形にしたかったという話も出たが、古堅さんは「見えてなかったよ」と返し、それがあるかどうかはあまり関係ないと話した。

床は物が置かれていたため長く掃除されておらず、汚れがたまっていた。古堅さんたちはこの日、片付けと並行して拭き掃除も行っている。妻は改めて掘ってみて物の多さを実感し、自分の部屋は覚悟していたが、夫の部屋も意外に多かったと話した。古堅さんも、夫は被害者ぶっているが何年掃除していないのかというくらい汚れていたと言い、夫の側にも問題があったことを指摘した。

妻は、入居前の内見のとき以来の景色を見たと話した。もともとこの部屋は妻が片付けて自分の部屋にするはずだった。古堅さんは「私の物の部屋じゃなくて私の部屋」を作るのだと応じた。一方で、物をリビングに寄せたために、リビングは取り返しがつかないように見える状態になっていた。古堅さんは、ダンボールパレスの家も3回かかったので、この家も間違いなく3回はかかると見立てている。

外には妻が捨てたごみ袋が並び、妻の話では少なくとも6袋ほどになっていた。

ベッドの配置と行き場の問題

作業の途中では、ベッドの配置が問題になった。部屋の入り口は1か所しかなく、ベッドの長さは210cmほどある。置けるのは奥しかなく、両脇に歩ける幅を残すと、本当にベッドしか置けない。部屋には収納が2つあり、ベッドのせいで片方は使えなくなる。テレビ台とテレビ、本棚をどちらに置くかも調整した。本棚は置きたいという希望があったが、動かせない収納の前はふさげないため、配置は現場で決めていった。

妻は、明日の手続きのことを考えると先に物の行き先を決めてから捨てないといけないと話した。古堅さんも、物がなくなって困ることはプロでもあると同意している。

古堅さんから夫への言葉

作業の合間に、古堅さんは夫に話しかけた。この家は妻が片付けに対して弱いというか、動きが遅い。だからすべては夫にかかっている。妻を変えることはできなくても、自分を変えることはできる。これが古堅さんの見方である。

さらに、夫には自分にとって必要なものを勝ち取る力があるように見えると言い、それを仕事だけでなくプライベートにも生かしてほしいと話した。重要な物とそうでない物が一緒になっていると、大切な物を見失うことがある。とりあえず置いておいて目先のことばかりやっていると、どんどん溜まっていく。そこにメリハリがつけられるようになれば、この家はもっとトラブルに遭いにくくなるだろう、と古堅さんは伝えた。夫は「分かります」と応じている。

妻の部屋:段ボールが動いた

作業後、まず夫婦の個室が披露された。ダンボールパレスだった部屋は妻の部屋になっていた。妻は「信じられない」と繰り返した。

以前は入り口までしか入れなかったが、今はベッドの両側から出入りできる。妻のリクエストだった足のマッサージ器も部屋で使え、テレビを見たいという希望に合わせてテレビも置いた。妻は、結婚してから自分1人の部屋を持ったことがなかったので嬉しいと話した。古堅さんは、そもそもこの場所に座れること自体が奇跡だと言い、この光景を見たくて作業の延長を繰り返したと明かした。リビングでゴロゴロしすぎてソファをボロボロにした妻にとって、奥の寝室よりリビングの隣にあるこの部屋のほうが使いやすいだろうとも話している。

段ボールはつぶれ、底のガムテープが溶けていた。スタッフはそれをすべて出して床を拭き上げた。息子が学校に行っている間にすべてをリビングに出したため、リビングは「地獄」のようになり、みんながドン引きしたという。その代わりにこの部屋が手に入った。

ただし、古堅さんは妻の部屋の収納の中は1mmも見せていないと断っている。まず部屋の景色を変えて意識を変え、この先のビジョンを描けるようにするのが今回の狙いで、収納の中は今後の課題だという。

夫の部屋:デスクがベッドに

続いて夫の部屋が披露された。古堅さんによると、もともとダンボールパレスと同じくらい物があり、リビングに運び出したことで「聞いてる話と違うぞ」という状況になったという。夫は、同じ部屋とは思えないと驚いた。

デスクがあった位置が寝床になった。夫が集めていたベイスターズのグッズは寄せて置かれ、最後に布がかけられていた。夫はこの布の存在も初めて知ったと話した。ベッドには転落防止の柵が付いている。夫がベッドから落ちるので付けてほしいと頼んだもので、古堅さんは「お前いくつだよ」と突っ込んだ。

帰宅した息子は、まず壁の白が見えることに驚いた。古堅さんも「新築の家に来たみたい」と応じている。この部屋の主な役割は寝ることと着替えることで、収納の中も段ボールばかりだった状態から、服を中心に入れる形に変わった。本来、夫の書斎になるはずの部屋は妻の服で満杯のため、収納スペースは少ない。夫にはこの部屋で着替えながら、自分で配置を工夫して暮らしてほしいと古堅さんは伝えた。

残された課題:リビングと元寝室

こうして個室2つはなんとか整い、3人家族が1人1部屋で寝るという、古堅さんの言う「歴史的な快挙」が実現した。

一方、リビングと、元寝室で書斎兼倉庫になる予定の部屋は、この日の最後になっても手が回らなかった。古堅さんは、時間が押して最善は尽くしたが道半ばの状態だと認めている。リビングに寄せられた大量の物がどこへ行くのか、そしてリビングが家族の望む公共スペースに変わるのかは、次回に持ち越された。