勉強机がテレビの裏にある3DKの家 姉の学習スペースを優先するか、弟のゲームの場所を先に決めるか

YouTubeで開く ↗
概要

片付けの専門家・古堅純子さんが、3DKのマンションに暮らす4人家族の家を訪ねた回である。この家では、4年生の姉の勉強机がリビングのテレビの裏に置かれ、2年生の弟には自分の場所がない。部屋割りを決めるには、家族がどう暮らしたいかを先にはっきりさせる必要がある。古堅さんはこの点を何度も確かめながら、今回は家の現状を見て回り、家族と作戦会議をするところまでを進めた。実際に家具を動かした結果は次回に持ち越されている。

9分で読めます

家族構成と間取り

玄関先の虫かごにはカブトムシがいて、土に潜っていた。家族は妻(48歳)、夫(47歳)、4年生の娘、2年生の息子の4人である。下の子は妻がちょうど40歳のときに生まれたという。古堅さんが訪れたとき、息子はゲームの最中だった。

間取りは3DKで、中央のダイニングを挟んで片側にキッチン、反対側にリビングがある。妻の悩みは、子どものスペースが赤ちゃんの頃からまったく変わっていないことだ。子どもたちは大きくなったのに、机があるのは上の子だけで、その机もとりあえずリビングに置いてある。下の子にはパーソナルスペースがない。そのため弟はリビングで遊び、物を出しっぱなしにする。散らかりやすく、それを見た姉が本気で怒ることもあるという。

テレビの裏にある姉の机

姉の机はリビングのテレビの裏側にある。古堅さんはこの配置を「ここだけ見ると勉強する気はゼロみたいな感じ」と冗談めかして評し、テレビの向こうに部屋があるように見えるとも言った。そのうえで、勉強する気がないのではなく、勉強しづらい雰囲気になっているのだと言い直している。

姉に困っていることを聞くと、弟が「邪魔してくる」と答えた。古堅さんは、境界線がないから邪魔されてしまうのだろうと受け止め、自分のスペースにたどり着くまでに障害物が多いという印象も伝えている。姉にとって今回いちばん大事なのは勉強スペースだという。机まわりの棚には教科書や本が入っているが、姉の物だけでなく一部ほかの物も混ざっている。姉は物を置ける棚が欲しいと言う。古堅さんは、明るくていい感じではあるが上の方は手が届かないと指摘し、そもそもここでいいのかも含めて考えようと話した。

寝室と押入れ:キャンプとスキーの道具

2つ目の部屋は家族4人の寝室で、何も置かれていない。子どもたちがサッカーボールで遊ぶこともあるらしい。布団は毎日出し入れしていて、その作業は妻が一人で担っている。妻も働いていて忙しい。古堅さんが「そんなに散らかっている感じでもない」と言うと、妻は、パッと見はそうでも押入れの中はひどく、収納の仕組みがまったくできていないと答えた。みんな片付けられない、あるいは片付けづらいのだろう、だから自分がやるしかない、というのが妻の説明である。息子に悩みを聞くと「部屋がない」とだけ答えた。

押入れには布団のほかにキャンプ道具、季節物、スキーやスノーボードの道具が入っている。夏はキャンプ、冬は雪山に行くという。本人たちは年に数回だと言うが、古堅さんは「すごいアクティブな家」だと驚いていた。一方で古堅さんは、この家は物をそれほど持っていないとも見ている。キャンプ道具が押入れに収まっているからで、ひどい家ならその中がキャンプ用品で埋まっている、という比較を挙げた。これから息子の場所も必要になり、物をあまり増やせない。それでもキャンプはこの家にとって欠かせない活動であり、子どもたちの思い出にもなると古堅さんは認めている。ただ、キャンプ道具の置き場所がここでいいのかは検討課題として残した。

ダイニング横の押入れ:動線上のブーツと、ちょい置きの山

食卓の隣にも大きな押入れがある。古堅さんはこの配置を面白がった。中には雪用のブーツが入っていた。靴箱が小さく、シーズンごとの靴をどこにしまうか悩んだ末に、とりあえずここへ入れたのだという。ブーツは一番出し入れしやすい「ゴールデンゾーン」に置かれていた。寝室の押入れのキャンプ道具は一番奥の壁側だからまだいい。しかしこの押入れは動線上にあるのでブーツを置く場所ではない、と古堅さんは指摘した。この動線上にあるのはトイレくらいで、古堅さんは「大きい収納があっても使いやすい収納がない」とまとめている。

押入れの下段には掃除道具などの細かい物がある。中段は妻の仕事用で、妻は週の半分ほどテレワークをしており、パソコンや資料をここに置いている。本来はもう少し空いていたが、本や遊ばなくなったおもちゃをどうにかしようと思ったまま数か月が過ぎた。古堅さんはこれを「ちょい置きしてったら物置になっちゃった」状態と表現した。大量に入るのに稼働率が低く、収納の設計をし直す必要があるかもしれないと述べている。子どもの学習スペースとどうつなげるかも考えどころだという。

キッチンの先の部屋:父の机と衣類

3つ目の部屋はキッチンを挟んだ先にある。古堅さんは入るなり「仕事のできる男の部屋」みたいだと言った。父の机と家族の洋服が置かれ、オフシーズンの衣類もここにある。父は「ほとんどテレワークはない」と言うが、古堅さんはその割に「俺の場所」のような存在感があると笑い、部屋の雰囲気も他と違うと話した。

この配置には経緯がある。夫婦は結婚当初からおよそ15年この家に住んでいる。2人暮らしのとき、夫が机を置きたいと言ってこの部屋に置き、それがそのまま残った。子どもが生まれて赤ちゃんだった頃は家族がいる場所で何となく過ごし、その使い方のまま全員が年を重ねた。その結果、今の暮らしに合わなくなっている。古堅さんは、夏はキャンプ、冬は雪山と忙しく動いていれば片付ける時間もないだろうと理解を示した。妻は、要らない物はすぐ捨てるようにしているが、「これをこう移動して」という仕組みづくりがとても苦手だと話した。

家族それぞれの希望

作戦会議で古堅さんは、直すべき所はあるが家族がどうしたいかによって直し方が変わると前置きし、改めて希望を聞いた。

妻が挙げたのは次のような点だ。弟のスペースを作りたい。性別は違うが、姉と共有でもいいと子どもたちは言っている。姉は友達を家に呼びたくて片付けを頑張っているが、弟が細かい物を散らかしてしまう。そこで、出した物を片付けられる環境にしたい。息子は今テレビでゲームをしているのでテレビが占領され、姉は何も見られなくなる。息子自身は、自分のスペースができたらゲームモニターを買ってそこで遊びたいと考えている。

妻自身の負担も語られた。家で仕事をしながら家事をするのが疲れる。取り出しやすく戻しやすい収納になっていないので、毎日なんとか片付けている状態だ。仕事が忙しくなると部屋がすさまじく散らかり、子どもたちにきつく言ってしまう。家で仕事をしながらでも暮らしやすくしたい、というのが妻の願いだった。

「この家は今ゲーム中心」

古堅さんは、3DKをどう使うかが重要で、優先順位としてはまず子どもたちのスペースだと述べた。姉の場所がテレビの裏にあり、弟の場所も同じような扱いになるのはよくない、とも言った。

父の見方はこうだ。娘はあの場所で実際に勉強していて、自分の場所として気に入ってもいる。ただ、勉強しない下の子がそばで遊ぶと集中できない。空間が分かれていないので、勉強の場所としては難しい。

これを受けて古堅さんは、何を中心に考えるかで配置がまったく変わると言った。それが決まっていないから「この家って今ゲーム中心なんだよね」という。姉があの場所を気に入っているなら、変えるべきはリビングの配置かもしれない。今は勉強スペースまでの動線が遠く感じられ、勉強しようとしてもテレビがあるので見てしまう。勉強スペースと、テレビを占領するゲームの場所を分ける必要がある、というのが古堅さんの整理だった。

寝る場所も論点になった。4人でいつまで一緒に寝られるのか。姉はもう4年生なので、子どもたちだけ別に寝るという選択肢もあると妻は言う。古堅さんは、寝る場所に焦点を当てるのか、勉強スペースに焦点を当てるのかで話が変わると整理した。そのうえで、何かを諦めてもらう必要もあると父に向けて言った。父の場所は今のままでは残せないかもしれない。父は「しょうがない」と受け入れた。

息子に個室を与えることへの懸念

古堅さんは逆方向の懸念も口にした。奥の部屋に息子の「俺の場所」を作ったら、2年生から引きこもりにならないか。今は目の届く場所にいるから声をかけられるが、奥の部屋に入ってそこでゲームをされたら見えない。だからこそ、親の方針がないと自分が勝手に「こうした方がいい」とは言いづらいという。

妻は、ずっとここ(リビング)でゲームをされるのは困ると答えた。見えなくなるとしても管理の仕方はあるだろうから、ゲームの環境はリビングから移したいという。これで、リビングを家族がくつろぐ場所にし、姉の学習スペースは勉強しやすい環境に変える、という方向が見えてきた。

残るのは奥の部屋の用途である。今は衣装部屋と父の部屋を兼ねている。妻は、洋服をどうするか考えるとあの部屋には着替えができそうな余裕があると言う。古堅さんは、今は家族の服の定位置になっているたんすをその部屋に移してもいいかもしれないと応じた。では長男の部屋をそこに作るのか。その場合、弟だけが一部屋を持ち、姉は部屋の一角になる。姉は、自分のスペースがあるならそれでもいいと答えた。機能で分けて「勉強するときはこっちの部屋」という考え方も出たが、いちいち移動するのは面倒で、静かに勉強したいという姉の気持ちも確認された。

姉を優先するという結論

古堅さんの見立ては、息子はゲームさえできればどこでもいいのではないか、というものだ。一方の姉は勉強がしたい。したい子にはさせた方がいいと古堅さんは言い、本当に勉強したいならテレビの裏はよくないと「はっきり」伝えた。妻も、息子はじっとしていないし、できる物があればどこでも遊ぶので、今の段階でわざわざ個室を与える必要はないと考えている。ただし姉が勉強したい場所で弟にゲームをさせれば、同じ環境の繰り返しになる。

別案として、姉の部屋を奥に作る場合も検討された。そこには父のスーツなどがあり、ワードローブの扱いが問題になる。古堅さんは、子ども一人だけの場所をこの家で確保するのはなかなか難しく、この家なりの最適化を目指すしかないと話した。

最終的に古堅さんは、今日の様子を判断材料にした。姉は古堅さんの訪問を待ち望んでいて、弟はまったく関心がない。姉には自分のスペースをきちんと持ちたい思いがあるのだろう。だから姉を優先して考え、そのうえで息子の場所を決めるべきで、2人を同じ土俵で考えると今は難しい、というのが古堅さんの意見である。2人で考えていたら「どうしよう」で終わってしまうが、せっかく来たのだから動かしたい、とも言った。

方針は次のようにまとまった。まず娘の希望をできるだけかなえるよう最善を尽くす。そこから洗濯動線や息子のスペースを微調整していけば、配置は自ずと決まっていく。家族全員で掛け声をかけて作業を始め、「勉強したい姉とゲームしたい弟」の部屋割りに向けて大物家具を動かしたことが告げられた。どのような配置になったかは次回に明かされる。