事業譲渡の当事者が語る「フランチャイズの窓口」再譲渡とFC BANK構想

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概要

フランチャイズ加盟募集サイト「フランチャイズの窓口」の事業は、上場企業のシェアリングテクノロジーから株式会社オズビジョンへ事業譲渡された。この動画では、同事業を立ち上げて2017年にシェアリングテクノロジーへ譲渡した島袋直樹氏が、現在の事業責任者である川口貴生氏に話を聞いている。聞き手の問いは、譲渡を知らされた当事者は何を感じたのか、受け入れ側は何をしたのか、という点だ。後半では、島袋氏が新たに始めた「FC BANK」と、「いいフランチャイズ」の基準に話が移る。

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10年前に手放した事業と、その後の成長

島袋氏によると、フランチャイズの窓口は10数年前に同氏が始めたウェブサイト兼事業である。新設分割したうえで、確か2017年12月末にシェアリングテクノロジーへ譲渡したと振り返る。その後に事業を大きく伸ばしたのが川口氏だと島袋氏は紹介する。川口氏の説明では、当時100社あるかないかだった掲載本部数を、現在のリアルタイムの掲載件数で約430件まで増やした。島袋氏は、売上などの数字も何倍にもなっているだろうと述べ、川口氏が担当で本当に良かったと思っていたと語る。

今回の譲渡のニュースは島袋氏にとっても驚きだった。発表の数週間前に2人は会っており、川口氏は「これからもっと伸ばしていきます」という様子だったという。川口氏自身も事前には何も聞かされていなかった。週明けの月曜の朝にボードメンバーに呼び出され、まず川口氏1人だけに伝えられた。そのとき真っ先に頭をよぎったのは、前の週に島袋氏との撮影で「フランチャイズの窓口まだまだ頑張ります、島袋さん応援よろしくお願いします」と大きな声で言ったことだった。川口氏は、申し訳ない気持ちになったと笑う。

オズビジョンとはどんな会社か、何が期待できるのか

オズビジョンは原宿に本社を置く会社で、フランチャイズの窓口の事業は名古屋で運営している。オズビジョンの主力事業はポイントモール「ハピタス」だ。いわゆる「ポイ活」のサービスで、ハピタスを経由して買い物をするとポイントが付き、貯めたポイントでまた買い物ができる。川口氏によると会員数は600万人以上で、その購買データを持っていることがオズビジョンの強みの一つだという。

川口氏は、フランチャイズ業界には競合サイトもあるが、ビッグデータを基盤に持つ企業が運営するフランチャイズサイトはこれまで基本的になかったのではないかと見ている。そのため、オズビジョンへの参加は将来に希望を持ちやすいと期待を語った。

シナジーについて島袋氏が尋ねると、川口氏はペルソナの重なりを挙げた。買い物をする人の中には投資に関心のある人もいる。フランチャイズにも投資型の案件や、人を採用して自分は資金だけを出す形がある。こうした層と合いやすいという見立てだ。600万人の会員にフランチャイズの窓口がオズビジョンのサービスだと知ってもらえれば、フランチャイズで独立開業するという選択肢の認知が広がる。川口氏は、フランチャイズはまだマーケットとしてニッチであり、そこを広げることはずっとやりたかったことだと話す。ニッチな業界の中で攻めづらい部分もあったが、もっとポピュラーになれば業界が明るくなる可能性がある、というのが川口氏の考えだ。

知らされたときの心境と、9人のメンバー

最初に聞いたときの心境について、川口氏はこう説明した。シェアリングテクノロジーで5年ほど事業責任者を続け、ちょうど6年目に入るところだった。心の片隅では、どこかのタイミングでそうしたことが起こるかもしれないとずっと考えていた。だから自分の役割は、事業の価値を上げて「引き渡すにはもったいない」と思われる事業にすることだと考え、力を入れてきた。それでも譲渡は会社の意思決定であり、自分がどうこう言える立場ではない。そのため「そうですか」と受け止めたという。

真っ先に不安になったのは、専属で動いていた9人のメンバーのことだった。営業担当やコールスタッフが含まれる。川口氏は予期していた部分もあったが、メンバーは違った。島袋氏が反応を尋ねると、川口氏は全員驚いた、「ポカン」だったと答えている。

そこで川口氏は1人ずつ面談をした。伝える前に、まず自分がどの道を選ぶかを決め、それをメンバーに伝えるのが自分の立場だと考えた。早々に自分の意思を決めたうえで、「自分はこうすることにしている」と示した。そして、その道にどんなメリットや希望がありそうかを一人ひとりに伝えたという。

「たられば」は一つも出てこなかった

島袋氏は、視聴者に経営者が多いことを踏まえて質問した。M&Aはもはや経営にとって必然になりつつあり、事業の売買は今後さらに活発になる。一方で、事業を担っていた人たちには動揺が生じる。売却される事業の責任者として、経営側にもっと配慮してほしかったことはあるか、という問いだ。

川口氏の答えは意外なものだった。譲渡は4月1日で、撮影時点は6月。約2か月、新しい会社で働いている。受け入れ後は、オズビジョンのスピード感に合わせて事業計画書を作り直すなど、やることは多い。そうした中で「こうしてほしかった」という点が出てくるかと思っていたが、実際には一つも出てこなかったという。川口氏は、お世辞ではなくオズビジョンの人たちのサポートがすごかったと述べる。とにかく声をかけてくれて、川口氏が1人で抱え込んで仕事をする状況を打開してくれた。本当に助けられた、と振り返っている。

100日目標と週1回のPMIミーティング

島袋氏が具体的な中身を掘り下げると、川口氏はオズビジョン社内の「100日目標」を説明した。事業を引き受けてから100日間で正式運用に戻せる体制を作る、という目標である。事業計画に加え、契約関連や顧客管理など、引き継いだものをすべて取り込み、正式に運用できる状態にするまでを100日で終える。

中身を知っているのは川口氏なので、本来ならアクションプランの多くは川口氏のタスクになるはずだった。しかしオズビジョン側が声をかけながら作業を巻き取り、役割分担を整理してくれた。チームとして進めた結果、100日目が近づいた撮影時点でもオンスケジュールで進んでいる、と川口氏は話す。

川口氏は基本的に名古屋にいるため、この作業はリモートで進めている。島袋氏が「いわゆるPMIですね」と確認すると、川口氏は同意した。PMIの責任者が伴走し、週1回の固定ミーティングですべてを動かす体制を作ってくれたという。オズビジョンには過去にもM&Aの実績があり、その経験から体制ができあがっていたのだろうと川口氏は見ている。さらに、メンバーが全員名古屋在住であることから、名古屋駅の近くにオフィスを用意するという条件もあった。川口氏は、ありがたい条件で受け入れてもらえたと語った。

残る道を選んだ理由――メディアの特権

川口氏には、シェアリングテクノロジーに残る選択肢も、離れて新しい道に進む選択肢もあった。島袋氏は独立という道もあったはずだと指摘する。顧客も押さえているので資金も集まりそうだから、というのが島袋氏の見方だ。

それでも川口氏がこの事業を続けた理由は、譲渡を告げられた初日の夜に1人で考えたことにある。フランチャイズの窓口、そしてフランチャイズ業界には、まだ深掘りできるところがたくさんあると感じたという。アーリーステージの本部やブランドが数多く増えていることは、最近実感している。どの本部やブランドも特色がそれぞれ違う。そうした企業を見られる立場にいて、世間やビジネスを知ることができ、情報がたくさん集まってくる。川口氏はこれをメディアの特権だと考えており、それが楽しいのだと語った。

「選択肢を増やす」という裏テーマ

フランチャイズの窓口には、運営側で決めている「裏テーマ」がある。フランチャイズを検討する人は、人生のターニングポイントで次の選択肢を考えている。転職するのか、フランチャイズで独立開業するのか、ゼロから起業するのか。フランチャイズへの加盟を検討しているなら、できる限り多くの選択肢を提供する。これがフランチャイズの窓口のあるべき姿だと川口氏は考えている。シェアリングテクノロジー時代に掲載件数を急激に増やしたのも、この考えが理由の一つだった。メディアが良い悪いを選別するのではなく、選択肢を増やすことならできる、という考え方だ。

もう一つの問題意識は、テキストの限界である。川口氏は個人的な所感と断ったうえで、今の時代に文字の記事を全部読み込む人は少なくなっていると見ている。そこで昨年から「おさんぽフランチャイズ」を始めた。掲載している本部を、川口氏が1人でカメラを持ってロケに訪れる企画だ。島袋氏も見ていると応じている。

川口氏は、記事で分かる情報と、映像と音声で理解できる情報とでは量がまったく違うと考えている。特に重視しているのが本部の理念だ。加盟を検討する人にとって、理念が自分に合うかどうかは非常に重要であり、加盟後のオーナーのモチベーションにもつながる。しかし理念をテキストで長々と書いても、おそらく読まれない。また、文脈によって人それぞれ受け取り方が違ってしまう。本部の社長の声色や、語っているときの表情があれば、受け取り方に一貫性が出るのではないか。こう考えて、そうした映像を撮るために自ら出向くコンテンツを始めたという。ここでも狙いは、選択肢を絞らせるのではなく広く持ってもらい、その中でより濃い情報を得てもらうことにある。島袋氏は「僕も出たい」と言い、クラブピラティスへの訪問の話で盛り上がった。

島袋氏がFC BANKを始めた理由

後半は川口氏が聞き手に回る。島袋氏がフランチャイズ業界に戻ってくるという「FC BANK」の動画を見た、と切り出した。

島袋氏の説明はこうだ。譲渡後にシェアリングテクノロジーが事業を大きくしてくれて本当に良かったと思い、遠くから応援してきた。今回のニュースを見て考えたとき、まず良かったと感じた。シェアリングテクノロジーに収益面でもしっかり貢献できたと思えたからだ。それは川口氏やメンバーの頑張りがあってこそだと島袋氏は付け加えている。そして、一つ役目が終わったと感じた。

島袋氏はクラブピラティスを手がけている。それとは別に、他のフランチャイズについての相談も実は多く受けていた。ただ、事業を譲渡した経緯がある中でそれをやるのは違うと考え、これまで手を出してこなかった。約10年が経ち、以前とは違う形でなら、やり残したことができるかもしれないと思って始めたという。

島袋氏は自分を、収益ありきではなく理念でやりたいタイプだと言う。フランチャイズは動く金額が大きく、騙そうと思えばすぐに騙せてしまう。だからこそ、自分たちの評価として誠実に良い本部を紹介できれば楽しそうだし、感謝されそうだと思った。これが始めた動機だと説明した。

これに対して川口氏は、視聴者に知ってほしいことがあると付け加えた。譲渡は2017年で、今は2026年。約10年が経ち、競業避止の制約はとうになくなっていた。もっと早い段階でFC BANKを構想することもできたはずなのに、その領域に手を出さずにずっと応援してくれていた。その約10年という年数に島袋氏の思いが詰まっていると感じ、「さすが島袋さんだ」と思ったという。

「いいフランチャイズ」の基準

川口氏が勉強のためにと、島袋氏にとっての「いいフランチャイズ」の基準を尋ねた。島袋氏はまず、それは難しいと答える。一概に「このブランドが良い」とは言えないという立場だ。同じブランドでも、本部がアーリー、ミドル、レイトのどのステージにあるかでリスクが変わる。出店エリアの競合環境も変わる。そのため、このブランドをここに出すなら今の成功確率はこうだろう、という分析をしたうえで出店できれば、それで良いのではないかと島袋氏は考えている。逆に、分析をせずに出店して失敗すると後戻りができない。それをなくしていきたいという。

島袋氏はこれを自分たちの反省でもあると語った。伸びている時期には本当に分からない。ミドルステージになってデータが溜まり、分析してみて初めて、こういうことをもっとやっておけばよかったと気づいた。その反省を、なるべく加盟を考える人たちに届けたいという。

FC BANKとしての定義も具体的に示した。フランチャイズの加盟者は個人と法人に分かれるが、対象は法人に絞る。法人が5年経過した時点で、複数店舗でEBITDA年間1億円程度を稼げる事業になるフランチャイズを対象にしたいという。店舗あたりの利益が数十万円程度だと、多店舗展開すれば可能かもしれないが、人のマネジメントを考えると物理的に1億円の達成は難しい。そう考えると、1店舗で月150万〜200万円、できれば300万円ほどのキャッシュを稼げる事業を軸に紹介したいと島袋氏は語った。川口氏が、それだと紹介ブランドはかなり限られると指摘すると、島袋氏も同意した。

本業との掛け合わせという加盟の考え方

川口氏がFC BANKを、法人向けに選び方を支援するサービスだと整理すると、島袋氏は加盟する側、つまりフランチャイジー側に立つサービスだと補足した。

島袋氏は例としてクラブピラティスを挙げた。仮に初期投資が6,000万円で、月の利益が100万〜200万円だとすると、投資回収に不安を感じる人もいるかもしれない。しかし、その加盟者の本業がウェブマーケティングのプロや内装工事のプロだったらどうか。本部とうまく関係を作れれば、本業の仕事が流れてくることがある。その利益がスタジオ1店舗分、あるいはそれ以上になることもありうると島袋氏は言う。クラブピラティスでは実際にこうしたことが起きていて、出店のたびにある加盟者のところに広告の仕事が流れ、別のオーナーには内装工事が発注されているという。

島袋氏は、こうした加盟の仕方は「あり」だと考えている。一方で、加盟前の人の多くは「フランチャイズだけを選ばなければならない」と思っていて、こうした可能性を知らない。そこで、有料で本気で取り組みたい人に向けて、コンサルティングと情報共有を提供したいと語った。

海外の情報――シンガポールの3年ルールと茶飲料ブーム

川口氏は、島袋氏が業界に戻ることをプラスだと捉えている。島袋氏は海外のフランチャイズを数多く現地で見てきており、世界のフランチャイズを見たうえで日本の業界を支援できる人は数少ない、というのが川口氏の評価だ。ただ、競合になるのではないかと冗談めかして付け加え、島袋氏は競合にはならないと応じた。

島袋氏は、海外の情報は発信していきたいと話す。普段住んでいるシンガポールでは、物件契約が3年で、延長できても残り3年だという。そのため、基本的に3年で投資を回収するモデルしか成り立たない。そうしたモデルは多くないので、店ができては潰れることが繰り返され、流行っていても移転しなければならないことがある。その代わり、工事費は比較的安いという。

島袋氏によると、シンガポールで今トレンドになっているのは茶飲料だ。中国発の「チャギー(CHAGEE)」のミルクレモンティーが流行っていて、非常においしいという。そこから派生して同様のブランドも出てきており、ティーのブームになっている。島袋氏は、これが日本にも来るだろうと予想する。日本には抹茶をはじめとするお茶文化がある。ミルクレモンティーのようなフランチャイズ本部ができてブランディングに成功すれば、抹茶に次ぐ本部が生まれるのではないか、と見ている。シンガポールに住み、クラブピラティスの関係でアメリカに行く機会も多いため、こうした情報は入ってきやすく、発見するのも好きだと島袋氏は語った。

川口氏は、広い世界の情報を持つ島袋氏がもう一度フランチャイズ業界で腕を振るうことを、ありがたく嬉しく思っていると述べた。島袋氏は「競合にならないように頑張ります」と応じ、2人は今後も協力していくことを確認して対談を終えた。