30分で「戦争そのもの」を描いた回 岡田斗司夫が読む『機動戦士ガンダム』第25話「オデッサの激戦」
岡田斗司夫岡田斗司夫の「機動戦士ガンダム完全講座」は、テレビシリーズを1話ずつ解説する企画である。今回は第73回と第74回をまとめ、第25話「オデッサの激戦」を扱う。岡田がこの回で注目するのは話の密度だ。サブタイトルに戦場の名前が付く回はたいてい内容が濃くテンポも速いが、この回はシリーズの中でも特に高密度で進むという。岡田はその密度を、場面ごとの演出、セリフ、作画、玩具展開の事情から読み解いていく。そのうえで、レビル将軍は冷酷な人物であり、悪役と見られがちなマクベのほうに人間性がある、という独自の解釈も示している。
一話に詰め込まれた出来事
岡田はまず、第25話で起きることを順に挙げる。前回「迫撃!トリプル・ドム」で死んだ仲間を、ホワイトベース側はマチルダ、ジオン側は黒い三連星のマッシュとして、それぞれがどう受け止めているかが描かれる。次に、以前から伏線のあった「連邦軍内部のスパイ」が発見から拘束までアムロの視点で描かれる。さらに、復讐に燃える黒い三連星のガイアとオルテガを、ガンダムに乗ったアムロが激しい戦闘の末に倒す。
岡田によれば、ここまでで一話分として十分な内容である。レビル将軍に「よくやってくれた」と言われて終わってもいい。ところがこの回はその先へ進む。マクベが最後の手段として核ミサイルを発射し、ガンダムがそれを空中で真っ二つにする。その合間に、前々回から登場したGメカの宣伝もこなしており、この回だけで3パターンに変形する。最後はオデッサ作戦が成功し、アムロとレビル将軍が握手する場面を、ナレーターが歴史の1ページのような調子で語って締めくくる。
岡田はこれを「内容がパンクしている」と表現する。それでも画面はいつものロボットアニメと同じスピード感で進むため、普通に見ていると何がすごいのか分からない。だから細かく見ていく、というのが今回の講座の趣旨である。
「オデッサ・デイ」と、30分で戦争を描くという野心
冒頭には、岡田いわく「絵が下手な」進撃図が出て、地球連邦軍の反撃作戦「オデッサ・デイ」が始まったことが示される。岡田はこれを、第二次世界大戦で連合軍の大反撃となったノルマンディー上陸作戦が「D-デイ」と呼ばれたことになぞらえた命名だと説明する。それまで地球上では連邦とジオンの戦いは膠着状態にあり、決着がついていなかった。オデッサで一気にひっくり返り、以後ジオンは負けに向かう。オデッサはそうした転換点の回だと位置づけている。
岡田はさらに、それまでのガンダムの戦闘が「ホワイトベースが襲撃され、それに反撃する」形しか描いてこなかった点を指摘する。この回は初めて戦争そのものを描く。しかも30分アニメの実質的な尺は23分に満たず、Aパートが約10分50秒、Bパートが約10分40秒で、それぞれ11分あるかないかだという。その尺で戦争をまるごと描こうとしたことを、岡田は「野心的な回」と評している。
冒頭の出撃、崩れる作画と打ち切りの事情
冒頭はホワイトベースのハンガーである。アムロは整備を急がせて荒れており、整備員は「マチルダさんが死んだからだよ」とこぼす。岡田によれば、この場面は前回マチルダが死んだ場面の10分後か15分後にあたる。マチルダが死んでホワイトベースが助かったとき、レビル将軍は午前6時からオデッサ作戦を発動していた。そのためマチルダの死から30分も経たないうちに、アムロたちは出撃しなければならない。前回と今回は時間的にぴったりつながっているのだという。アムロはマチルダを思い出してセイラに注意され、心配そうなフラウを振り切って出撃する。
ここで発進するGアーマーを、岡田は「相変わらずかっこ悪い」と言い、描きにくいメカだとも話す。この回ですでに作画が崩れており、発進時はまともでも、カットが変わって飛んでくる場面では上半身の箱の部分が妙な形になっているという。
岡田によれば、この玩具はクリスマス商品として実はよく売れた。驚いたスポンサーは慌てて打ち切りを撤回しようとした。しかし放送局はすでに次の枠を決めていた。現場も打ち切りの予定に合わせて制作を進めており、スタッフは疲れ切り、作画監督の安彦良和は入院していた。そのため延長は無理だとして、結局打ち切りになったと岡田は説明する。当初52話の予定が、放送開始前後の早い段階で46話に短縮され、さらに43話になった。岡田は、ここからの回では描きにくいメカが出ると作画がガタガタしてくると見ている。
黒い三連星の弔砲と「名もなき兵士の墓」
場面が変わり、マクベの陸上戦艦の近くでドムがマッシュの葬儀を行う。カメラが下から舐め上げていくと、ドムがバズーカを空に向けて撃っている。仲間の死を悼む弔砲である。岡田はこれを、この回で好きな場面のひとつに挙げる。
前回のマチルダの葬儀は、地面に穴が開いているだけで皆が敬礼するという残酷な場面だったが、それでもマチルダの死は皆に悼まれていた。岡田によれば、黒い三連星はジオンの中でも嫌われ者である。三人の態度にも原因はあるが、何より大きいのは彼らの仲間意識の強さだという。岡田はこれを、身内しか信じないコルシカ島の人々にたとえる。仲間が唯一のよりどころなので、マクベに呆れられ、戦争はもう始まっていると言われても、仲間の葬儀だけはきちんとやる。
岡田が注目するのは墓の形だ。地面に銃を刺し、その上にヘルメットを載せる。岡田はこれを、おそらくアメリカの南北戦争から始まった「名もなき兵士の墓」だと説明する。墓標に名前は書かれておらず、後で誰かが見ても誰の墓かは分からない。兵士が死んだことだけが分かり、一緒に戦った戦友だけが誰なのかを知っている。
ガイアの弔辞は「マッシュの魂よ、宇宙に飛んで永遠に喜びの中に漂いたまえ」というものだ。岡田は、ここで「ジオンに帰り安らぎを得よ」と言わない点に注目する。普通の宗教ならそう言うはずだという。三人は遺体や遺品をジオンに持ち帰ろうともしない。岡田はその理由を、三人にはお互い以外の家族も仲間もいないからだと読む。神を信じず自分たちだけを信じているので、従軍神父も呼ばない。名前を刻んだ石を置くことも、認識票をかけることもできたはずなのに、銃とヘルメットの墓を選んだ。そこに三人のこれまでの人生が強く表れていて、岡田は「泣ける」と語る。
マクベとガイアのすれ違い、ランバ・ラルとの対比
一方のマクベには、こうした兵士の気持ちが分からない。岡田は、それもマクベの良いところだと笑いながら言う。マクベにしてみれば、ジオンの勝敗がかかったオデッサの戦闘が始まっているのに、あの二人は仲間の葬式をしている。仲間の死を悼むのは百歩譲って分かるが、それは戦争の後にやってくれ、というわけだ。岡田は、マクベの言い分も分かるはずだと言う。
しかし岡田によれば、ガイアとオルテガにとってジオンはどうでもいい。彼らはマッシュの敵討ちのために戦う。「敵討ちではない、戦争だ」と怒るマクベと、祖国など関係ないというガイアが怒鳴り合う。岡田はこの場面を、短いながら胸に迫る「いいすれ違い」と評する。たった三人の家族を失ったから、その悲しみを儀式にしたかった。そうしなければマッシュは何のために死んだのか分からない。対してマクベは、その前に大義があるだろう、お前たちは戦士だろう、と考えている。
岡田はここでランバ・ラルと比べる。岡田によれば、ガイアとランバ・ラルは同じ大尉である。ランバ・ラルは部隊を率い、愛人を戦場にまで連れてきて、いわば「ランバ・ラル・ファミリー」を作った。部下が本国に残した家族に仕送りできるように出世したいと考えており、そのつながりは外へ広がっていた。ガイアは大尉まで昇進しても直属の部下を持たず、恋人もおらず、遺品を届ける相手もいない。岡田はこの三人を純粋な戦闘民族と見て、「ガンダムの中に出てくるサイヤ人」と呼んでいる。
上手・下手で示す「未来」と「過去」
岡田は、この言い争いの画面構成にも触れる。マクベは画面の左に向かって怒鳴り、ガイアは右に向かって答える。無線機があるのだから本来は前を向いて話せばいい。それをわざわざ体をひねって向き合わせることで、二人が会話していることを強調しているという。
さらに岡田は、話が進む方向である上手に向かって叫ぶマクベは「未来のために戦え」と言っていると読む。一方のガイアは下手を向いており、マッシュの死という過去にこだわっている。岡田によれば、富野由悠季は演出の基本を書いた自著で、この上手・下手の関係がとても大事だと何度も強調している。『機動戦士ガンダム』はこうした小さな会話シーンでもそれをきちんと守っている、と岡田は指摘する。
スパイ発見と「軍の公式データ内蔵のカメラ」
ドムはマッシュの敵討ちのため、ホワイトベースへ向かう。ホワイトベースのブリッジには、レビル将軍から「6時半に敵の背後より攻め込め」という暗号通信が届く。ブライトは、慣熟飛行でセイラが訓練に出していたGアーマーを呼び戻そうとする。
そのころアムロは、空からマクベの陸上戦艦を偶然見つけ、そこから連邦のプロペラ機が飛び立つのを目撃する。なぜ連邦の機体がジオンの戦艦から出てくるのか。セイラは帰還命令を受けながらも、追跡しようと提案する。マチルダが言っていたスパイの話が気にかかっていたからだ。一方ホワイトベースは、地面すれすれを飛んで見つからないはずのコースを取っていたのに、ドムに発見される。ブライトは、位置も作戦参加の時刻も事前に敵に漏れていると判断し、アムロたちに調査の続行を命じる。
プロペラ機は、将軍クラスが乗る巨大な陸上戦艦ビッグ・トレーに着陸する。アムロもその横にGアーマーを降ろして「偉い人に会わせてください」と訴え、警備兵に囲まれる。応対したのが、実は裏切り者のエルラン将軍だった。アムロはそれに気づかず、この中にスパイがいると訴え、人払いを頼む。エルランの部下で、マクベとの間を取り持っていたジュダックは「話次第ではお前にも聞くことがある」として拘束される。岡田は、アムロの話がまったく信じてもらえないわけではない点に触れている。
アムロは証拠写真を出し、「軍の公式データ内蔵のカメラで撮ったものです。証拠になるはずです」と言う。岡田はこのセリフを考え抜かれたものだと評価する。普通のカメラではなく、コピーや修正が入っていないこと、何回ダビングされたかが分かることを示す言い方で、要するに画像がフェイクではないという意味だという。40年以上前のテレビアニメのセリフとは思えない、と岡田は語る。
「拡大すればパイロットの顔が確認できるはず」と言われて、エルランは正体を現し、アムロを殺そうとする。しかし外で様子をうかがっていた警備兵に撃たれ、ジュダックも逮捕される。アムロはホワイトベースが戦闘状態らしいと告げられ、急いで戻る。岡田は、主人公の活躍で戦争に勝ったという流れにすると富野演出としては失敗だと見る。アムロの役割はあくまで戦争の一部にすぎないが、この戦局には計り知れない影響を与えた。その程度に収めたこの場面はうまくできている、というのが岡田の評価である。
ここでようやくAパートが終わる。オデッサ作戦開始からまだ30分も経っておらず、両軍は進撃中でぶつかってもいない。残りわずか10分ほどで本当に戦争が始まり終わるのか、と岡田は問いかける。
Bパート:ナレーションなしの激突とドムのメガ粒子砲
Bパートは10分44秒しかない。冒頭、ナレーションなしで効果音だけの戦闘場面が示される。ジオンの陸上戦艦が砲撃し、連邦の陸上戦艦もぎりぎりまで近づいて撃ち返す。戦車が至近距離で撃ち合い、両軍の残骸が地平線まで続く。その後に「オデッサの戦いが始まった。マクベ軍もレビル軍も持てる物量を最大限に投入しての激突であった」というナレーションが入り、ようやくカメラがホワイトベースに移る。
ガンキャノンとガンタンクはドムの攻撃をなんとかしのいでいるが、ガンタンクはキャタピラを、カイのガンキャノンは足をやられる。そこへスパイ事件から戻ったGアーマーが到着して分離し、ガンダムが出てきて、敵討ちに燃えるオルテガとガイアのドム2機との戦いが始まる。
岡田が細かく指摘するのは、ここでドムの胸のメガ粒子砲が、前回までの目くらましのサーチライトではなく、ビームとして発射され、ガンダムが盾で受ける場面があることだ。岡田は、オデッサ・デイに合わせてドムの整備が完了したという意味だと読む。新兵器が出てきても、整備が済んでいないうちは目くらまし程度の効果しかないということだ。岡田によれば、攻撃に使っているのはおそらくこのBパートだけである。Wikipediaなどでは目くらましの効果として書かれているが「攻撃力あるよ」と岡田は言う。セリフによる説明がまったくないので分かりにくいのだともいう。
Gスカイ・イージーと玩具メーカーへの配慮
その間にセイラのGファイターは頭部を被弾し、ホワイトベースに着陸して消火を受けている。被弾した部分を外し、前にハヤトのコア・ファイターを付けて「Gスカイ・イージー」になる。後ろにはガンタンクが上下に分かれ、コア・ファイターが外された状態で見えている。
岡田はこれを玩具メーカーへの配慮と見る。まずGアーマーを見せ、次の戦闘のためにガンダムを出し、Gファイターが被弾したのでGスカイ・イージーを見せる。打ち切りが決まっているのにスポンサーに気を使っているのは偉い、と岡田は言う。打ち切り番組なら普通はつい手を抜いてしまうのに、頑張っているという評価である。
午前中で決着――ノルマンディーではなく関ヶ原
続いて、これも「下手な絵」の全体状況図が出る。ナレーションによれば、マクベ軍はエルラン将軍の裏切りを当てにして守りを薄くしていたところを突破された。さらにドム2機がガンダムに手間取って前線に参加しなかったため、連邦軍の足を止める大きな力を失っていた。
岡田によれば、オデッサの戦いは戦闘開始から1〜2時間ほど、つまり午前中で決着がついている。岡田はオデッサ・デイという名前から、ずっとノルマンディー上陸作戦のもじりだと思っていた。しかし実際に描かれたのは関ヶ原の戦いだったという。本格的な大戦争だから時間がかかるという思い込みを否定し、天下分け目の決戦をロボットアニメで堂々とやったのが面白い、と岡田は語る。
ただし岡田は、ナレーションが挙げる二つの敗因は表面的なものにすぎず、根本は物量不足の一点に尽きると主張する。エルランの裏切りも、すべての前線で連邦と戦えないから守りを薄くする場所を作るための策だった。ドム2機が抜けただけで戦力は大きく下がらない。ドムと慣れたパイロットを100機ほど前線に投入していれば問題なかったはずだ、と岡田は言う。ジャブロー攻撃作戦ではジオン参謀本部が直接指揮して何百機ものモビルスーツが参加しており、ジオンにはそれだけの物量があった。岡田は、参謀本部がマクベとその仕事を過小評価して補給を惜しんだため、マクベは物量で負けたと見ている。だからキシリアはあれほど怒っていたのだ、とも言う。
マクベの全軍放送と「水素爆弾」という言葉
劣勢のなか、マクベはあくまで策略で切り抜けようとする。岡田はここも関ヶ原的だと言う。マクベは敵のレビル将軍に直接話しかける。反響音から分かるように、巨大スピーカーで味方にも聞こえる形で話し、さらに暗号スクランブルをかけない平文の無線で呼びかけた。岡田は、韓国が北朝鮮に向けてスピーカーで放送し北朝鮮が激怒した件を例に挙げている。ブライトが「ジオンが核兵器を使うぞ」と知ったのも暗号ではなかったからで、マクベは敵味方全員に聞こえる放送をした。岡田はこれをマクベの一世一代の勝負と見る。
マクベは「オデッサ作戦の総司令官レビル将軍、聞こえるか。私はマクベだ」と名乗り、手を引かなければ水素爆弾を使うと告げる。岡田によれば、「水素爆弾」という聞き慣れない言葉を使ったのは、子ども向け番組のフィルムをテレビ局がチェックするからだ。「水爆」や「核兵器」と言えば最初のチェックで止められる。だから先に「水素爆弾」と言っておけば、スポンサーやテレビ局は気づかずに通してしまうだろう。その後で水爆と言っても気づかれないはずだ。岡田はそうした富野の工夫だと推測している。
続けてマクベは、南極条約に違反はするが負けたくはない、と言う。岡田は、マクベがこうした策を取ったのは人間を信じているからだと読む。核兵器を使うと言えばレビルは困るので交渉に応じるはずで、交渉さえ始まれば、どれほど不利な条件でも自分の戦略や交渉でなんとかできる。連邦兵も放送を聞けば核で死ぬのを恐れて戦線から逃げ出すだろう。ジオン兵も逃げるだろうが、それ以上に連邦兵が逃げる。人間は恐怖や合理的判断で動く、とこのときのマクベは「不幸なことに」信じていた、と岡田は言う。
レビルの沈黙に見る冷酷さ
ところが状況はマクベの予想をはるかに超えて「狂って」いた。ナレーションは、レビル将軍は一言も語らず、ただ前進を示すために手を振っただけだった、と伝説のように語る。
岡田はこれを当たり前だと言う。敵が核兵器を使うと言っている以上、本来は交渉に応じるべきで、それでも戦えと命じれば後で軍法会議にかけられる。だからレビルは言葉では命令せず、手を振るだけにして、後で何とでも言える状況を作った。ガンダムの働きを期待したわけでもない、そもそもそんなことは知らないからだ、と岡田は言う。
岡田によれば、このときのレビルは死ぬことより負けることを恐れている。岡田はこれを日露戦争の203高地における乃木希典と同じ「無能な軍人がやること」だとし、兵がどれだけ死のうと前進させ続ければなんとかなるという神頼みの作戦だと批判する。『機動戦士ガンダム』は、大人やプロが愚かな決断をして子どもたちがフォローするのが基本構造で、ここも同じだという。レビルはガンダムの作品世界でもファンの間でも扱いが良いが、マチルダの扱いやホワイトベースの配置のさせ方をよく見ると、かなり冷酷な人物だと岡田は考えている。
Bパート後半に入る前の休憩で、岡田はこの見方をずっと言いたかったと明かしている。最初に見たときはレビルをいい人だと思っていた。しかし大人になって見直し、特に講座のために見返すと、頭がおかしいと言われるマクベのほうに人間性があって合理的な判断をしている。一方のレビルは、負けるくらいなら死んだほうがいいとしか考えていなかったと分かってきた、という。
ブライトの独断と、闇に葬られた功績
その裏で、Gスカイ・イージーに乗ったガンダムはまずオルテガのドムを斬って倒す。そこへブライトから、マクベが水爆を使うつもりだ、発射まで30秒あるから破壊してくれ、と通信が入る。
岡田は、これはレビルの命令ではなくブライトの独断だと強調する。これまでレビルを気にしていたブライトが、オデッサではレビルを頼るような場面がまったくない。レビルの性格がそろそろ分かってきたからだ、と岡田は読む。ガンダムとアムロの可能性を一番よく知っているのもブライトだった。
岡田によれば、オデッサを乗り切れたのはブライトの判断とアムロの実行のおかげなのに、その後の話数ではまったく評価されていない。ベルファストでの昇進の場面でも、ジャブローに行ってからもそうだ。岡田はその理由を、作中の歴史ではマクベの核ミサイルが「なかったこと」にされたからだと推測する。核ミサイルの存在が知られれば、対抗手段なしに前進させたレビルの責任問題になる。そのためすべてが闇に葬られ、ブライトの働きも消されたのだろう。そうでなければ、昇進が遅いことも含め、テレビシリーズでのブライトの扱いは辻褄が合わないという。『Ζガンダム』の時代あたりになって、その闇が戦後に暴かれた可能性もあるかもしれないが、少なくとも戦争中は封印されたままだったと岡田は考えている。
「点線のところで叩き切れ」――ミサイルの断面図
ブライトからは、ミサイルの断面図が送られてくる。赤いところが水爆を起爆させる部分で、点線のところで叩き切ればいい、という。岡田は、球体部分が水素爆弾の本体で、赤い部分は起爆装置、つまり中性子の発生源だろうと解釈する。そのうえで、小学生の工作のような指示に思わず笑ってしまったと話す。
アムロが「こんないい加減な断面図が役に立つんですか」と聞くと、ブライトは、南極条約のときに互いに出した資料に基づいているから信頼できる、と答える。岡田は冒頭で、この短いやり取りがあるからこそ巡航ミサイルの破壊がリアルに見えると述べていた。そのリアルさが、ガンダムというロボットが存在する世界という嘘を本当らしく見せる、という不思議な作用をしていると指摘している。
アムロが向かおうとしたところへ、ガイアのドムが「ドムとてこういう攻撃はできるのだ」とロケットを噴かして空中から襲いかかる。この時点でBパートの8分20秒を使っており、残りは2分20秒しかない。
現用兵器そっくりのミサイルと三方向の構図
岡田によれば、レビルが交渉に応じないと聞いたマクベは驚く。人間は合理的判断をするはずなのに、レビルは狂っている。狂った相手に勝つにはこちらも狂うしかない、とマクベは考えて発射を指示する。
発射台から現れたミサイルは翼を伸ばし、ロケット噴射を始める。岡田は放送当時20歳ぐらいで、このデザインに驚いたという。色も翼も、当時評判になっていたアメリカ軍の最新兵器である巡航ミサイルとそっくりで、赤い胴体からせり出す翼まで同じだった。ここだけは未来メカのデザインをやめ、湾岸戦争が起きる前の現用兵器をそのまま出した。そのメッセージ性に強く感動した、と岡田は語る。
続くカットでは、Gスカイから落とされたガンダムに向かってドムが飛びかかり、向こうではミサイルが上昇し、自分を落としたGスカイは遠ざかっていく。岡田はこれを、追うべき対象、迫る脅威、遠ざかる味方という三方向の動きをひとつの構図にまとめた名シーンと評する。頼れるのは自分しかいない、という状況が一枚で分かる。パースが狂っていて(視聴者の指摘として)ユニコーンにしか見えない部分もあるが、この構図でやろうとしていることはすごい、と岡田は言う。
ガンダムはドムを貫き、再びGスカイに飛び乗ってミサイルを追う。岡田によれば、発射直後のミサイルはまだ時速400〜500km程度しか出ていない。一方Gメカは時速600km以上でないと失速するような欠陥メカで、速度だけはやたらと速い。この回で初めて、その速すぎる速度が役に立ったわけだ。岡田は、富野としては玩具メーカーに言われた無茶なメカにこれだけの大舞台を与えたのだからいいだろう、という思いだったのだろうと推測する。ただ、玩具メーカーが求めていたのはおそらくこれではなかった。どちらの気持ちも分かる、と岡田は語る。
ガンダムは言われたとおり点線で斬り、弾頭を起爆装置から切り離す。ビームサーベルを振り切って頭部も落とす。ミサイルが地面に落ちて爆発するのと同時に、ガイアのドムも爆発する。
ガイアの最期と「数週間前のアムロ」
ガイアは最期に「マッシュ、オルテガ、すまん」と言う。岡田は、仲間のためだけに戦ったガイアの姿が、作中時間でほんの数週間前、ランバ・ラルと戦う前あたりのアムロと同じだと指摘する。当時のアムロは、ホワイトベースの仲間を守るために仕方なく戦っている、戦争をしているのではない、という立場だった。しかし今のアムロは、戦争に勝つために核兵器を斬っている。ガイアはかつてのアムロのまま大人になった人物であり、だから行動が子どもっぽいのだと岡田は読む。
その後、マクベの鉱山基地が次々と破壊される。ホワイトベースの砲撃で、ジオン兵が入ったままの監視塔が倒れて大爆発する場面もある。岡田は、ホワイトベースが直接人を殺している描写だと指摘する。
壺を弾くマクベと「あと10年は戦える」
ナレーションは、オデッサの戦いが連邦軍の勝利に終わったこと、しかしマクベは黒い三連星を運んできた戦艦ザンジバルでいち早く脱出していたことを告げる。岡田は、タイムボカンシリーズや『ガッチャマン』のようなこれまでのアニメなら、味方を見捨てて一人逃げた悪役として描くところだが、富野演出はそうではないと言う。
カメラがザンジバルの中に入ると、マクベは地球から脱出するときにこれだけを持ってきた青磁の壺を指で弾き、音を聞いている。そして「戦いはこの一戦で終わりではない。我々が送り届けた鉱物資源の量を考えてみろ。ジオンはあと10年は戦える」という有名なセリフを言う。
岡田は、このセリフと映像では意味が違うと指摘する。セリフの上では、マクベは「ジオンは勝てる」とは言っていない。オデッサを失い、もう資源も送れないのだから、マクベにも負けは見えていた。それでも大量の資源を送ったから、あと10年は負けない状況が作れる。それだけあればキシリアがなんとかしてくれるだろうし、有利な和平にも持ち込めるだろう。これがセリフの意味だと岡田は読む。
映像の上では、壺を弾く動作に別の意味が込められているという。自分はジオンに尽くし、核兵器を使う汚名も引き受け、膨大な資源も送った。作戦ではベストを尽くし、負けたのは補給が足りなかったからだ。それでも誰も自分を評価しないだろうが、気にしない。この壺があるからだ。褒美はこの壺一つで十分だ。だから指でチーンと弾き、ジオンはあと10年戦えると自分に言い聞かせている。岡田は、これを悪役の負け惜しみとしてではなく、マクベの立場を思いやって見ると「男のドラマ」の見どころになり、生き様がかっこいいと語る。後にマクベが死ぬ際の、キシリアに壺を届けてくれというセリフが泣けるのもそのためだという。
さらに岡田は、ザンジバルが去る場面にも注目する。普通なら戦艦が空に消えていけばいい。ところがザンジバルは真っ黒な雲に隠れ、その後は黒い雲だけの空が映る。岡田はこれを、ジオンとマクベの暗い未来を暗示する、明らかに演出的な意図のある優れたカットだと評している。
握手で終わるラストと、三人の兵士の心
最後は、カメラが流れてレビル将軍とアムロが握手する場面で、「ホワイトベースの少年たちは、ここに親しくレビル将軍と会見した」とナレーションが入って終わる。岡田は、ここまで描いておきながら、次の回以降レビルがホワイトベースのクルーに何か良いことをするわけではない、と付け加える。第25話は作品の一旦の区切りで、次は「復活のシャア」からエピソードの性格がまるきり変わるという。
岡田は、この回の尺の使い方のうまさをこうまとめる。前半では、アムロが偶然スパイを見つけて暴き、戦争を有利に運ぶという個人的な動きを描く。さらにガイアという兵士が何のために戦っているのかを描き、次にマクベが何をしたかったのか、何を心のよりどころにしていたのかを描く。この三人の兵士の心の動きに焦点を当てて丁寧に描いたからこそ、30分で戦争を描けたのだと岡田は結論づけている。
補足:乃木希典の評価について
動画の最後に、岡田はレビルを乃木希典と同じ「無能な軍人」と呼んだことを補足する。乃木を無能とする見方は昭和の時代に広く支持されていた。昭和33年生まれの岡田もその見方にどっぷり浸かって当時ガンダムを見ていたが、21世紀、特に2010年代以降は疑問視され、見方が変わってきたようだという。
岡田は、乃木の評価が悪かった理由を四つ挙げる。一つ目は突撃による多大な犠牲である。ただ、バルチック艦隊が来るまでに旅順要塞を落とさなければ、はるかに多くの兵が死んでいたはずだ。だから突撃は仕方がなかったし、犠牲を出しつつも勝ったのだから評価すべきだ、という見方が出てきた。二つ目は、日清戦争の大勝利に国民も軍部もマスコミも浮かれていたことだ。弱腰の内閣は総辞職しろというデモが起きるほど好戦的な空気の中で、要塞の設備もろくに調べないまま見切り発車した。日清戦争のように楽勝だと思っていたら、機関銃が配備されクロスファイアが待っていた。第一次大戦で明らかになる戦争の恐ろしさを、当時はまだ分かっていなかった。三つ目は、その熱狂の責任を誰かに押し付けたい国民感情と新聞の扇動である。戦時中は英雄として祭り上げられ、岡田自身も子どもの頃、家にあった軍歌のレコードで乃木とステッセルが互いを称える「水師営の会見」を口ずさみながら学校に通っていたという。しかし戦後は評価が大きく下がり、犠牲を出すくらいなら戦わないほうがよかったという反戦思想も混ざって、悪評に拍車がかかった。四つ目は司馬遼太郎の『坂の上の雲』である。参謀の児玉源太郎を引き立てるために、乃木の失敗が実際の歴史より盛って描かれ、乃木無能説が大きく広まった。岡田自身もそれを信じてしまったという。
岡田は、江川達也の漫画『日露戦争物語』がおそらく割と正確だと見ている。司馬遼太郎の見方をひっくり返そうとして始まったはずだが、掲載誌の『スピリッツ』側の熱が下がったのか、最後は走り抜けたような終わり方になったのが残念だという。一人の天才を引き立てるために普通の人をあえて愚かに描くのはライトノベル作家がやることで、司馬遼太郎も案外ラノベ作家だったのではないか、と岡田は冗談めかして話す。
岡田個人の評価では、乃木は特別有能でも無能でもない。日清戦争の勝利に浮かれて侵略戦争に夢中になった人々全員の責任を背負わされ、長く悪者にされた不幸な人物だという。大炎上のなかで自分をかばってくれた明治天皇が崩御した後に自殺した最期まで含めて、時代に翻弄された人だと岡田は語り、次回の「復活のシャア」の予告で締めくくっている。
おはようございます。岡田斗司夫ゼミです。テレビシリーズのですね、機動戦士ガンダムを1話ずつ解説していくですね、ガンダム講座のお時間でございます。今日はですね、第25話ですね、オデッサの激戦についてですね、話していきます。
もうすごいですね、サブタイトルに激戦っていうのがついてるからですね。今日のオデッサの激戦の何がすごいかって話の密度です。あのね、こういうタイトルついてる時はすごいんですよ。だから、ソロモン攻略戦とかですね、ア・バオア・クーとかですね。こういうなんか戦地の名前がついてる時ってですね、大体すごい話で、おまけにテンポも早いんですけどもですね、今日は、ま、テレビシリーズの機動戦士ガンダムの中でもですね、かなりハイペースで高密度にですね、話が進んでいきます。
まずですね、前回の迫撃!トリプル・ドムですね、で、ドムの中ですね、死んでいった仲間の追悼ですね。ホワイトベースではですね、マチルダさんですね。ジオン側ではですね、黒い三連星のマッシュの死をですね、お互いどういう風に受け止めてるかという描写が入りまして、その次ですね、前々から伏線が貼られていたですね、連邦軍の内部にスパイがいるというですね、話をですね、スパイの発見から拘束まできっちり描く、それもちゃんと主人公アムロの視点として描くというのがなかなかすごい。
で、その後にはですね、敵のボスキャラである黒い三連星のガイアとオルテガをですね、ガンダムに乗ったアムロがですね、激しい戦闘の末、まあやっと撃破すると。さらにですね、もうここまでで十分なんですよ。普通、連邦軍のスパイ、だから連邦軍のスパイ捕らえた。それがアムロの働きだ。ここでレビル将軍と、よくやってくれた、君がアムロ・レイか、と思います。お前がホワイトベースの、で、もうこれで1本なんですけどですね。この後さらにですね、黒い三連星のガイアとオルテガ、復讐に燃える2人をですね、ガンダムに乗ったアムロがですね、きっちり倒すと。で、さらにそれだけで終わらずにですね、マクベが最後の手段としてですね、核ミサイルを発射ですよ。
この時の水素爆弾というかですね。水素爆弾というですね、あの、多分テレビ局がですね、オンエア前に機動戦士ガンダムのフィルムをチェックしてですね、これ子供に見せて大丈夫か、ご家庭に見せて大丈夫かとチェックがあるんですね。その時にですね、水爆って言ったらバレる。核ミサイルって言ったらバレて止められる。そうだ、水素爆弾っていう普段みんな聞かない言葉で逃げようというですね、この表現でなんとか切り抜けておいた作品ですね。
で、その水爆ミサイルをですね、ガンダムがですね、空中で真っ二つにするっていうですね、大活躍を見せると。で、ミサイルをですね、核ミサイルを真っ二つにして大丈夫なのかっていうのをですね、ちゃんとアムロの口から、そんなことして大丈夫なんですか?って言ったら、いや、一応の図面が、こんな図面になるんですか?っていうですね、短いやり取りをやってるからこそ、逆に巡航ミサイルのですね、破壊というのをですね、リアルに見せると。このリアルに見せることが、ガンダムというロボットが存在する世界という嘘事をですね、リアルに持っていくとですね、不思議な作用してるところが見所だと思います。
で、そんなことをしながらもですね、前々回から登場したですね、次はリアリティレベルを思いっきり下げるGメカですね。このGメカの宣伝きっちりこなす。今回だけで3パターン変形するんですからですね。すごいリアリティを上げといて、次はリアリティを下げるものを持ってくるっていうですね。最後はですね、オデッサ作戦が大成功してですね、アムロとレビル将軍がですね、握手を交わして、それをナレーターがですね、こう神々しい感じで言うてですね、もう歴史上の1ページっていう感じで言うわけですね。きっちり描き切るわけですね。もう内容がパンクしてるんですよ。
にも関わらずですね、この密度をですね、あくまでいつもと同じロボットアニメのスピード感でですね、表現してるわけですね。普通に見てるとですね、本当にこの回ですね、何がすごいかわかんない。とにかくいろんな事件があって面白いこと起こるんだけども、なんでこれがこんなすごいのかよくわかんないんですね。今回そんな第25話ですね、オデッサの激戦を細かく見ていきます。この動画はですね、岡田斗司夫ゼミ 機動戦士ガンダム完全講座 第73回から74回までをまとめたもの、ま、50分ですからですね、気軽に見てください。動画の1番最後にはですね、追加の話もちょっとあるので楽しみにしてください。それではですね、ここから無料動画スタートです。
機動戦士ガンダム第25話オデッサの激戦、前半の話をします。
えっと、まあまあまあ、もうね、ガンダムでこういうところね、あの、絵が下手なんですけども進撃図です。1番最初に状況が出されます。アバンタイトル。ついに地球連邦軍の反撃作戦オデッサ・デイが開始したと。で、これはね、第二次大戦の反撃作戦ですね。連合軍の大反撃作戦ですね。Dデイと同じく、ノルマンディー上陸作戦がDデイっていう風に言われたのと同じく、オデッサ作戦もオデッサ・デイっていう風に言われてます。
で、ここでですね、連邦とジオンの、なんだろう、戦局が大逆転すると。大逆転というかですね、それまで地球上においては連邦とジオンというのは膠着戦というやつで決着がついてなかったんですね。で、それを一気にひっくり返して、ここから先ジオンは負け戦になるっていうですね。もう本当に記録的なですね、ターニングポイント。それがですね、オデッサの激戦の回です。
というわけでですね、タイトル、オデッサの激戦。ま、これまでですね、ガンダムの戦闘っていうのは、例えばホワイトベースが敵に襲われるという襲撃と、それに対するですね、反撃ばっかり描いてたんですよ。逆に言えばそれしか描いてなかったんですけど、しかし今回は初の戦争そのものを描くんですよ。で、戦争そのものを30分のアニメ、つまり正味の尺って23分ないんですね。けどガンダムって、Aパートが10分50秒、Bパートが10分40秒ぐらいで、両方とも11分あるかないかぐらいです。多少ずれはあるんですけど。で、それでですね、戦争そのものをまるまる描いてしまうという、野心的な回なんですね。
冒頭はですね、ホワイトベース内のハンガーです。ま、いわゆるモビルスーツの発進するカタパルトですね。整備を急がせてですね、割と荒れてるアムロですね。整備員がそれに対してマチルダさんが死んだからだよという風に文句言ってます。実は前回の、このアムロ君が敬礼してマチルダさん、マチルダさんっていうのあるじゃないですか。あれのね、10分後か15分後なんですよ。もうマチルダが死んでホワイトベースが助かった時に、レビル将軍は午前6時からオデッサ作戦の発動を行ったのでですね、もうすでにオデッサ作戦始まってるんですね。だからマチルダさんが死んでまだ30分以内なのに、もうアムロたちは発進しなければいけないっていうですね、時間的に本当にぴったりくっついてる状態になってます。
で、アムロはマチルダさんを思い出してセイラに注意されます。で、心配そうなフラウを振り切ってアムロは発進します。ハッチ開いてですね、例の相変わらずかっこ悪いGアーマーが発進します。かっこ悪いし描きにくいんですよ。もうすでにね、この回でも作画崩壊しています。発進するG、この時はね、まともなんですけども、カット切り替わって飛んでくる時になったら、もうなんかこの箱部分が変になってるんです。上半身の箱が変な形になってるんですけども、描きにくいんですよ、このおもちゃ。
で、しかしこのおもちゃですね、クリスマス商戦で実はね、すごい売れたんですよ。で、驚いたですね、スポンサーはですね、慌ててガンダムの打ち切りを撤回したんですけども、すでに放送局は次の枠を決めているし、あと現場もちょっとこれ伸ばせません。もう23話で打ち切りと言われたんだ。23話で打ち切られる用意して、それでもう進めてるし、もうスタッフも疲労して、作画監督の安彦良和も入院してるんで、もう無理ですってことで、相まって打ち切りになったんですよね。52話の予定が結局は43話になった。元々52話で始まって、もう始まるか始まらないうちの早いうちに46話にっていうですね、短くすることが決まって、それがさらに43話になったという流れなんですけども、だからもう作画もここら辺からですね、ちょっと描きにくいメカがあったらガタガタしてきます。
場面変わりますですね。
マクベの地上戦艦の近くでですね、ドムがマッシュの葬式をやってますんですね。これ下からカメラが舐め上げていくんですね。最初このフレームから始まってずっと舐め上げていくと、ドムがバズーカを空中に向けて撃ってる、いわゆる弔砲というやつですね。仲間の死を悼むために兵士が銃を撃つ弔砲というやつを撃っています。
これね、僕ね、今回で割と好きなシーンなんですけども、前回ね、マチルダさんの葬儀のシーンというかね、ま、いわゆる地面に穴が開いてるだけでみんな敬礼してるって結構残酷なシーンだよねって言ったんですけども、マチルダさんの葬儀はそれでもみんなに、なんだろうな、死を悼まれる、悲しまれる話だったんですけども、でもね、黒い三連星って実はジオンの中でも嫌われ者なんですね。それはガイア、マッシュ、オルテガ3人の態度もあるんですけど、何より大きいのは自分たちの仲間意識が彼ら強烈だったんですよ。
いわゆるそのコルシカ島の島民のようにと言えばいいんでしょうかね。あのイタリアのマフィアの元になったコルシカ島ってあるんですけど、あそこの人達って、もう本当に自分たちの身内しか信じないですけども、それと同じですね。仲間意識がでかい拠り所だから、マクベに呆れられて、戦争がもう始まってんだ、オデッサは始まってるんだと言われてもですね、仲間の葬式だけはちゃんとやるんですね。
で、ここを見てください。地面に銃が刺してあって、その上にヘルメットが乗ってます。この地面にね、銃とか銃剣刺してヘルメットを載せるお墓というのは、おそらくアメリカの南北戦争から始まった、名もなき兵士の墓っていうやつです。墓標もない、いわゆる名前とかも書いてないんですね。だから死んだ人間も分からないんですよ。で、一緒に戦った戦友だけが知ってる。それでいいんです。後で誰かが見ても誰の墓かは分からない。ただ兵隊が死んだということだけが分かるとですね。
で、ガイアの弔辞、いわゆるガイアがですね、それに対して言うのがですね、マッシュの魂よ、宇宙に飛んで永遠に喜びの中に漂いたまえっていうんですよ。ジオンに帰りじゃないんですね。マッシュの魂よ、生まれ故郷のジオンに帰り安らぎを得よって、普通のね、なんだろうね、宗教とかだったら絶対にそれ言うはずなんですけど。そうじゃなくてガイアが言うのは宇宙に飛んでなんですよ。なんでかって言うと、死体をね、ジオンに持ち帰ろうともしないんですよね。で、それは死体をジオンに持ち帰ろうともしないのは、ま、死体が残ってなくても遺品ですね。あの3人はお互い以外に家族がいないからなんですよね。
このマッシュ、オルテガ、ガイアの3人っていうのは、なんでその宇宙に漂いたまえというのかと、なんで遺品を持ち帰られないのかって言うと、お互い以外の仲間がいない。お互い以外の家族がいないと。そういう特殊な3人なんですよ。で、マッシュの魂よと言うんですけど、神様を信じてないんですね。神様を信じずに自分たちだけを信じてるから。だから従軍神父に頼らないです。普通こういう時って従軍神父出します。従軍神父が祈ってくれるから彼の魂は天国へ行けたんだと言うんですけど、ガイアはそれを選ばないんですね。そうではなくて、あくまで自分たちが弔辞を読むっていうことを選ぶんですね。それがガイアなりの弔辞を読んだということです。
マッシュの墓標にですね、例えばここに名前を彫った石を置くとかですね、あと認識票をかけるみたいなこともできるはずだったんですけども、銃っていうですね、名もなき兵士の墓を選んだのは、ガイアとオルテガのその生き方ですね。マッシュと3人。このこれまでのね、人生が強く伝わってきて、ちょっと僕ね、泣けるんですよね。で、でもところがですね、マクベにはこういう兵隊の気持ちが分からない。この兵隊の気持ちが分からないのも僕はね、マクベのいいところだと思うんですけども。
えっと次のシーンですね。この2人だけでやってる葬式、仲間意識というのをマクベは全く分からないからイライラしてるんですね。ジオンの運命がかかってるんですよ。オデッサの作戦、オデッサの作戦はもう始まってるんだぞ。あの2人は何をしてるって言って激怒してるんですけど。そうなんすよ。ジオンが勝つか負けるかがかかってるオデッサの戦闘が始まってんのに、あの2人は仲間の葬式やってやがると。いや100歩譲って仲間の死を悼むのは分かる。で、マッシュという仲間が大事だった。それは分かる。分かるけどそれ戦争の後でやってくれと。オデッサの後でやってくれと。マクベの言いたいこと分かるでしょ。だってこれ本当にジオンの運命がかかってるんですよ。
しかしガイアとマッシュ、あ、ガイアとオルテガにとってジオンはどうでもいいんですよ。実はジオンはどうでも良かったんですよ。だから彼らが戦うのはあくまでマッシュの敵討ちなんですね。このお互いの気持ちの分からなさっていうのが割とね、短いシーンで出てきて、なんかちょっと胸に迫るものがあるんですね。たった3人だけの家族。それを失ったから、あくまで彼らはその悲しみというのをちゃんと儀式にしたかった。でなかったら何のためにマッシュ死んだんだってことな。それに対して、その前に大義があるだろう、お前たち戦士だろうと。で、これは本当に祖国の運命がかかってるんだ。祖国関係あるか?俺たちは実はジオンのために戦ってるので、自分のために戦えるんだった。だから、よし、マッシュの敵討ちじゃ、行くぞって言ったらですね、マクベは怒って、敵討ちじゃない、戦争だと怒鳴り合うシーンがあるぐらいなんですけど、なかなかね、いいすれ違いだと思います。
あの、ガイアのこの部隊、この黒い三連星の部隊とランバ・ラルっていうのは、実はね、ガイアとランバ・ラル同じ大尉なんですよ。ランバ・ラル大尉、ガイア大尉、同じ大尉なんですよね。でも全く違う生き方です。ランバ・ラルっていうのは自分の部隊を率いて、で、愛人を戦場にまで連れてきて、いわゆるランバ・ラル・ファミリーっていうのを作るんですね。彼は戦場でファミリーを作るし、そのファミリーにはお互いに生活がある。だから部下の生活のために俺は出世したいという。それはなんでかというと、部下が本国に残してる家族に仕送りできるようにしたいわけですね。で、ランバ・ラル・ファミリーっていうのは外に広がってるんですけども、しかしガイアはそういう繋がりというのを信じずですね、大尉まで昇進しても部下を持たなかったんですよ。仲間しか持たない。
ランバ・ラル違うでしょ。大尉でもランバ・ラルは自分の小隊があって部隊があって率いるものがいてっていう風にやってて、彼女まで連れ歩いてるのに、このマッシュ、オルテガ、ガイアの3人は同じ大尉なのに全くそういう風なそぶりを持たず、直属の部下も持たず、彼女も持たずで、遺品を届ける相手もない。そういう生き方なんですね。なんかこう純粋戦闘民族ですね。ガンダムの中に出てくるサイヤ人っていう風に僕は呼んでるんですけど、そこら辺が面白いところだと思います。ちょっとね、泣けると思うんですけどね。
今これ黙ってんの編集点ですね。
で、やり取りを見てください。マクベはですね、お前たち早く戦え、敵討ちじゃないという風に左に向かって怒鳴ってます。画面の左で、ガイアはですね、右に向かって怒鳴って答えてます。だからこれ本来無線機があるんですから前へ向かって喋ればいいんですよ。で、マッシュもです、あの、ガイアも無線機あるから前に向かって喋ればいいんですけどもですね。あえてこれ、体をひねってお互いに対応してる。このマクベは左側、ガイアは向かって右側を向くことによってですね、会話してるってことを強調してるわけですね、この2者が。
で、この画面の上手側に向かって叫んでるマクベっていうのはですね、未来のために戦えって言ってます。上手、つまりお話が進む方向に向かって話してるわけですから、未来に向かって戦い。ところがガイアは自分の過去にこだわってるんですね。そうではなくてマッシュの死をちゃんと悼むんだという風に言ってるんですね。過去を振り返ってると。実にね、基本に忠実な演出です。この上手下手関係っていうのは、富野さんがその自分の本のですね、演出の基本の本の中で書いてるように、すごい大事だっていう風に何度も何度も強調されてるんですけども、機動戦士ガンダムのこういう小さい会話シーンの中でも、上手は未来に向かって、で、下手に向かってる場合は過去にこだわってる場合というのをですね、きちんと守っています。
この後ですね、ドムは発進してホワイトベースへマッシュの敵討ちのために向かいます。その頃ですね、ホワイトベースブリッジではですね、レビル将軍からですね、6時半に敵の背後より攻め込めっていう風に暗号通信が入ります。すごいですね。もう即、6時に攻撃開始だと言って、6時半にもう敵の後ろから攻め込むという命令が来るんですね。で、ブライトはですね、慣熟飛行ですね、セイラさんが慣れるために一応訓練飛行に出かけたGアーマーを呼び戻そうとします。
その頃ですね、アムロはですね、偶然空中からですね、マクベの地上戦艦を発見するんですね。もうこんなとこまで来てるのか。で、そこから飛び立つですね、小さい飛行機を発見するんですよ。で、それが連邦のプロペラ機なんですね。なんで連邦のプロペラ機がジオンの戦艦から発進するんだと。で、不思議がるアムロです。で、セイラさんがですね、ブライトさんからの帰還命令を受信するんですけども、いや、ちょっとこれはやめとこう、追跡してみようという風に提案します。マチルダが言ってた、なんかスパイがいるんじゃないかって話も気にかかっていた。で、ホワイトベースのブリッジに連絡します。
ブライトもですね、あ、確かにスパイの可能性あるなと。スパイの可能性あるかもしれないと思ってるところですね、ホワイトベース、地面ギリギリを飛んでいて見つからないはずなのにですね、ジオンに見つかってしまいます。ドムに見つかっちゃうんですね。あ、この高度だったら見つかるはずがないのにジオンに見つかるということは、もう事前にホワイトベースの位置も、何時に作戦に参加するのかも敵にバレてるってことですね。ということでですね、これはスパイの話本気にしても良さそうだということでですね、ブライトさんはアムロたちにそのまま調査を続けるという風に命令します。
で、ジオンの戦艦からですね、発進したプロペラ機ですね。大型のプロペラ機はですね、そのまま連邦軍のビッグ・トレーっていうですね、レビル将軍たち、いわゆる将軍クラスが乗る巨大な陸上戦艦に着陸します。で、その横にですね、Gアーマーもそのまま着陸してですね、アムロ君はですね、偉い人に会わせてくださいって言うんですけども、たちまち警備兵に囲まれますね。
で、これがですね、実は連邦軍の裏切り者エルラン将軍ですね。で、アムロはですね、ま、この人が裏切り者とは気づかずにですね、この中にスパイがいますという風に訴えるんですね。で、人払いをお願いしますということでエルラン将軍と2人だけにしてもらった。で、エルラン将軍の部下で実はこいつがですね、ま、間に立っていた、しょっちゅうですね、マクベとも会っていたジュダックというやつは拘束されますね。ちょっと中の話次第ではお前にも話聞かなきゃいけないんだなという風なことで拘束されます。なんかアムロの話が全く信じてもらえないわけじゃないんですね。
で、証拠写真をアムロ出します。軍の公式データ内蔵のカメラで撮ったものです。証拠になるはずですって言うんですけども、結構ね、ま、凝ったセリフなんですよ。考え抜かれたセリフだと思います。軍の公式データ内蔵のカメラって言うんですね。つまりコピーや修正が入ってない証拠だということなんですよ。普通のカメラじゃない。そうじゃなくて軍の公式データが内蔵だから、何かこの映像をいじったり、あとはこれが何回ダビングされたか、コピーされたかっていうのがちゃんと透かしで入ってる状態だっていう風に言うんですね。
この画像が、ま、フェイクじゃないという意味のセリフなんですけども、今からね、40年以上前のテレビアニメのセリフでこれですね。軍の公式データ内蔵のカメラで撮ったものです。証拠になるはずですって。アムロのセリフってかなり考え抜かれたセリフだと思うんですけどね。ちょっと40年以上前とは思えないですよね。
で、拡大すればですね、パイロットの顔が確認できるはずですってアムロ言うんですけども、ま、そこまで行ってエルランは覚悟して、ま、馬脚を現すわけですね。で、アムロを殺そうとしますと。しかし様子を伺っていたこの外の警備兵にですね、撃たれてしまうわけですね。で、部下のジュダックも一緒に逮捕されます。で、アムロはですね、思わずちょっと行ってやりたくなるんですけど、警備兵から止められて、ホワイトベースが戦闘状態らしい、すぐに帰ってあげなさいっていう風に言われてアムロ君は走ります。Gアーマーが発進してですね。
ま、アムロの果たした役割の大きさっていうのは、戦争になんかね、その主人公の活躍で戦争に勝ったっていうような流れにしちゃうと、やっぱ富野演出としては失敗なんですね。そうではなくて、あくまで戦争の中の一部にしか過ぎないんだけど、でもこの戦局に対しては計り知れないぐらいの大きい影響を与えたぐらいにしたいから、このシーンっていうのはなかなかうまくできてると思います。
で、ここまででやっとAパート終わりなんすよ。30分アニメの1話で戦争をやるって言ったんですけど、ま、正味23分程度の、ま、22分何秒程度の尺でですね、半分Aパート終わって、まだオデッサ作戦が始まって30分経ってなくて、まだ両軍ぶつかってないんですね。両軍進撃中なんすよ。で、後半のBパートは正味の尺10分ぐらいなんですけども、これで本当に戦争が始まって本当に終わるのかということですね。Aパートはここまでです。
ご存知の通りですね、ここは編集点ですからちょっと1回休むね。
あのガンダム、ま、見たことない人もいっぱいいるでしょうけども、機動戦士ガンダム好きだよとかですね。あと、ま、模型作ってるとか、あと、ま、いろんな設定見たり、番外編見たりしてて、ガンダムの一年戦争と言われるものを知ってるよっていう人は多いんですけども、これ徹底検証してる人って案外少ないんですね。オデッサ作戦の戦いって一体どんなものだったのかっていうのも、割とね、考えたり妄想したりするとものすごく面白いのです。こう僕がやってるような楽しみをみんなも楽しんで欲しいなという風に思うんですけども。じゃあ行きましょうか。オデッサの激戦の後半。もういよいよこれで最後ですね。
機動戦士ガンダム第25話オデッサの激戦の後半Bパートです。Bパートはですね、たった10分44秒しかないです。11分弱ですね。戦争の初めから終わり。まだ戦闘始まってないですが、戦争初めから終わりまでを描くというですね、驚異のハイペースですね。お話は進みます。
まず地上シーンですね。いきなりもうこういう絵をドンと見せちゃうわけです。ついに戦闘開始で、これジオンの地上戦艦がバーっと弾撃ってたら、連邦軍の地上戦艦もそれのギリギリまで近づいていて撃ち返すと。こういうですね、戦闘みたいなものをまずナレーションなしで描きます。この時ナレーションなしで、もう効果音だけです。
で、次に、よいしょ。ジオン軍の地上戦艦に接近していく連邦軍の戦車と。これで至近距離の撃ち合いというのがあって、で、お互いですね、ジオンの地上戦艦も連邦の地上戦艦もお互いぶつかって破壊されて、そのなんだろうな、破壊されたお互いの残骸がどこまでもどこまでも地平線まで続いてくというですね、こういう映像が見せられますね。
で、ナレーションです。オデッサの戦いが始まった。マクベ軍もレビル軍も持てる物量を最大限に投入しての激突であったっていうですね、ナレーションが入ります。で、この中でホワイトベースもまた例外ではなかったということで、やっとホワイトベースにカメラが映ります。ガンキャノンとガンタンクがですね、なんとかドムの攻撃を凌いでます。しかしガンタンクのキャタピラがやられてですね、カイのガンキャノンもですね、足をやられる。両者とも足をやられてしまうわけですね。
で、そこにようやくスパイ事件から帰ってきたGアーマー、Gアーマーとは中にガンダムが入ってる飛行機ですね。これがですね、到着して、で、分離してですね、中からガンダムが出てきます。で、ガンダムとドム2機ですね、敵討ちに燃えるですね、オルテガとガイアとの戦いが始まります。
で、この戦闘でですね、ドムはついにこの腰というか胸のですね、メガ粒子砲をですね、ちゃんと目くらましのサーチライトではなくてですね、ビームとして発射しますですね。前回までの目くらましでの光源ではないんですよ。で、ちゃんとビーム発射して、その発射したビームをガンダムが盾で受けてしまうシーンもありますのでですね、ついにオデッサ・デイに合わせてドムの整備も完了したということだと思います。この辺りの描写、本当に細かいです。この新兵器が出てくる時は、整備ができてない時は、このいわゆる目くらましぐらいの効果がないっていうことなんですけど、ドムのここのメガ粒子砲でちゃんとね、ビームが出てきて敵を攻撃できるんですよね。
で、それをですね、オデッサの激戦で、多分だけだと思いますね、このBパートでのみ描いてるのですね。Wikipediaとかを見ても、ドムの拡散ビーム砲は、いわゆる目くらましとかそういう風な効果として使うって書いてあるんですけど、攻撃力あるよ。Wikipedia書いたやつ何してんだという風に思うんですけどですね。ま、セリフによる説明、この辺ね、ゼロだから分かりにくいんですけどね。
で、その間にですね、セイラは帰還します。で、ハヤトのコアファイターと合体します。こういう流れになってるんですけども、ま、セイラのですね、Gファイターも頭の部分やられたのでホワイトベースに着陸して消火受けてるわけですね。で、このまま下に降りていってカイのコアファイターと合体するわけです。ちゃんとカイのガンタンクがですね、上下離れて、真ん中のコアファイターが外されてるのが後ろに見えますね。で、セイラさんの乗ってた部分に敵の弾が当たったんで、これを取り外して前にですね、コアファイターをくっつけるというですね、Gスカイイージーという状態になるんですね。
ま、この辺はですね、おもちゃ屋さんに気を使った表現ですよね。まずGアーマーを見せて、次の戦闘のためにガンダムを出して、で、Gファイターは被弾してるので、コアファイターと合体したGスカイイージーを見せるってですね。もうおもちゃ屋さんへの配慮。この回も気を使ってるんですよね。打ち切りなのに、打ち切りも決まってるのに偉いな。拗ねなくてね、いわゆる打ち切り番組だったらついついね、みんなで手を抜いちゃうのにね、頑張るよなと思います。
で、これが終わった後でですね、全体の状況が出てきます。これも下手な絵なんですよ。で、まずこれが映ってナレーションです。マクベ軍はエルラン将軍の裏切りで攻撃力を薄くしていたところを一気に突破された。一気に突破されたんですね。で、次に2機のモビルスーツ・ドムがガンダムに手間取って前線に参加しなかったために、連邦軍の足を止めるべき大きな力を失っていたっていう風にナレーションがあります。
何かって言うとですね、実はこのオデッサの戦いというのはね、午前中で決着がついてるんですよ。戦闘が始まって本当に1時間、2時間ぐらいの間に、もうね、まずエルラン将軍が裏切ってくれるはずのところですね、だからここ守備薄くしてたわけですよね。守備薄くしてたんですよ。それを連邦に抜かれちゃった。これが第1の計算違い。あとドムが参加してくれなかったので、薄くなったところ次々次々と抜かれてしまったのでですね、本当に午前中だけで終わってる。
で、僕はずっとね、これまでオデッサ作戦のことをオデッサ・デイって言うから、ノルマンディーと同じようにDデイっていうのと同じようにですね、第二次大戦のですね、ノルマンディー上陸作戦の模倣だと思ってたんですけど、実は関ヶ原の戦いだったんですよね。本格的な大戦争だから時間かかるという思い込みっていうのをですね、ちょっと否定して、実は天下分け目があるっていうのをここで堂々とロボットアニメでやったっていうところがちょっと面白いなとは思います。まさかここでね、関ヶ原やると思わなかったんですけどね。
で、マクベがなんで敗けたのか。ナレーションの中ではまるでそのガンダム、アムロのおかげで、まずエルラン将軍の裏切りが分かった。で、次にですね、2機のドムが戦力として参加しなかったという風に言ってるんですけども、それらはあくまで表面的な要因で、もう結局ですね、根本にあるのは物量不足、もうこの一点に尽きます。エルランの裏切りもですね、物量不足をカバーするためなんですよね。全ての前線で連邦軍と戦えないから、エルランに裏切りをしてもらって、その部分だけ守りを薄くしてた。それをしなければいけないぐらい、実はマクベっていうのはですね、戦力が不足してたんです。絶対的に不足してたんですね。
で、黒い三連星のうちの2機、2機のドムが戦闘に参加しなかったからと言って、そんな戦力が下がるわけじゃないと。だって元々ですね、ドムと、あとドムに慣れたパイロット100機ぐらい前線に投入してたら全く問題なかったはずなんですよ。で、なんでそれができなかったのか、できたはずなんですね。なんでかと言うと、ジオンの参謀本部が直接作戦を指揮するジャブロー攻撃作戦。ジャブロー攻撃作戦では何百機モビルスーツが一戦、戦いに参加してんですよ。ジオンにはそれだけの物量があったし、モビルスーツがあったんですけども、それをさせてもらえなかったんですね、マクベは。
だからジオン参謀本部がマクベを過小評価して、おまけにマクベがやってることっていうのを過小評価したために補給をケチったためですね、マクベは物量で負けた。だからキシリアはあんなに怒ってたんですよ。しかしですね、マクベはこの状況になってもですね、頭脳で切り抜けようとするんですね。ま、ここら辺ももう関ヶ原ですよね。とりあえず多勢に無勢になっちゃったんだけど、あくまで策略でなんとか切り抜けようとしてですね、ピンチを逆転するためにとんでもないことを思いつきます。
この場面でですね、敵のレビル将軍に話しかけるんですよ。で、話しかけるのも、それもマイク持って、まず外にですね、ワンワンワンワンこう反響音が聞こえてることから分かるように、まず自分の味方も聞こえるように巨大なスピーカーで敵に直に話しかけるんですね。よく韓国が北朝鮮に時々脅しでやってる、なんか北朝鮮に向けてスピーカーを置いて、で、それで韓国のですね、いろんなものを流したら北朝鮮激怒って事件が、ま、10年ぐらい前にあったじゃないですか。あれと同じ超巨大スピーカーで敵に話しかけて、で、おまけに暗号スクランブルを一切かけてない平文のですね、電波ですね、電波無線でですね、直にレビル将軍に問いかけるんですね。
だからブライトはですね、えらいことだ、ジオンが核兵器を使うぞと知っちゃったのは、なんでかと言うと、これ暗号じゃないからですよ。マクベはですね、敵味方全員に聞こえるように放送やったんです。これもう本当にマクベの一世一代の勝負です。連邦軍兵士全てにですね、話しかけてしまったんですね。
賭けに出た。マクベですね。マイク持って、ま、恋立ってないだけまだ上等ですね。オデッサ作戦の総司令官レビル将軍、聞こえるか?私はマクベだ。自己紹介から始まります。ここで手を引いてくれねば、我が方は水素爆弾を使う用意がある。水素爆弾って言葉を使うのは、まあまだですね、富野さんにですね、これテレビで子供向け番組なんだというのがあるからですよね。水爆とか核兵器って言うと1回目のチェックで弾かれるんだけど、最初に水素爆弾って言っとくと、分かんないスポンサーとかテレビ局のやつはするっと通しちゃうだろうと。で、その後水爆とか言っても気がつかないに違いないと思ったので、わざわざ水素爆弾っていう風に1回言ってるんですね。ちょっと聞き慣れない単語を使ってるんですよ。
で、マクベのアップですね。核兵器を使わないと約束した南極条約に違反はするが、我々も負けたくはないのでねっていう風に言います。この時のマクベってなんでこんな作戦を取ったのかって言うと、マクベは人間を信じてるからなんですよね。人間を信じてる。だからレビルも核兵器使われたら困るだろうと思ってですね、交渉に応じるはずだと思ったんですよ。それがいかに自分にとって不利な交渉であっても、とりあえず交渉さえ始まってしまえば、次は自分の戦略なり交渉でなんとかなるという風に考えたんですね。だって核兵器を使うって言ってるんですから。南極条約違反、それは気にしない、核兵器を使うだったら、敵も絶対に動くと思ったらですね。
で、おまけに連邦軍の兵士もこの放送を聞いてたら、核兵器で死ぬことを恐れてですね、戦線から逃げ出す。もちろんジオン兵も逃げ出すだろうけども、それ以上の連邦軍の兵士が驚いて逃げ出すという風なことを思い込んでる。これもマクベは人間を信じてるからなんです。人間は恐怖によって動くとかですね、合理的に判断して動くという風に、この時のマクベは不幸なことに信じてるんですね。しかし状況はマクベの予想をですね、はるかに超えて狂ってるんですよね。
レビル将軍は一言も語らなかったという。ただ前進を示すための手を振っただけであるという風にですね、まるで伝説のように語られてるんですけども、レビルがね、一言も語らないのは当たり前ですよ。だってね、軍法会議にかけられちゃうからですよね。敵が核兵器を使うって言ってるんだから、交渉に応じるべきなんですよね。でもそうではなくてですね、それでも戦えっていうのは後で軍法会議なんですよ。だから戦えとは言わないんですね。手を振るだけなんですよ。で、自分はですね、やめろとかですね、後で何とでも言えるような状況にしてるわけですね。命令できない。核兵器使用すると言われてるのに前進を命令したら、後に軍法会議にかけられてですね。だからそれよりは無言で自分が持ってる兵士たちに前進と命令したシーンなんですね。
ガンダムの働きを期待したわけではなく、だってそんなん知らないですから。この時のレビル将軍は何かって言うと、死ぬことより負けることを恐れてる状態なんですね。日露戦争でのですね、二〇三高地の乃木希典将軍と全く同じ、無能な軍人がやることです。死ぬことより負けることを恐れて、そして手下の兵隊たちがとりあえずどんだけ死のうと、とりあえずずっとずっと前進させていけばなんとかなるだろうっていうですね、神頼みの作戦なんですね。
基本的に機動戦士ガンダムっていうのは、大人とかプロが愚かな決断をして子供たちがフォローするっていうのが基本構造になってるんですけど、それと同じだと思います。レビル将軍ってなんだかんだ言って、その扱いがガンダム世界とかガンダムのファンの世界の中ですごくいいんですけど、よくよく見てると、マチルダさんに対する扱いとか、ホワイトベースのポジションの取らせ方とかですね、かなり僕は冷酷な人だという風に思っています。
これやってる裏ですよ。その頃ガンダムはまだドムと戦闘してます。ガンダムはですね、Gスカイイージーに乗ってですね、戦っています。で、まずオルテガのドムをですね、叩き切りますですね。オルテガを倒します。で、その時ですね、アムロにですね、ブライトさんから通信があります。マクベは水爆を使うつもりだと。ミサイル発射まであと30秒あるから破壊してくれっていう風に言われるんですね。
もうこれもブライトさんの独断なんですよ。レビル将軍からの命令ではない。レビルは何にも言わないんです。とにかくみんな前進しろと。で、これが分かったのですね、ブライトさんはですね。だからオデッサとかに行ってもですね、一応ブライトさんがあんまりね、レビル将軍とかをこれまで贔屓にしてたから、頼るのかなみたいなのがあったんですけど、ブライトさん、あんまりね、レビル将軍を頼りにするようなシーン全然出てこないんです。で、なんでかって言うと、もうレビル将軍の性格がそろそろブライトさんには分かってるからなんです。なので、ブライトさんは戦場で独断でガンダムにですね、ミサイルを破壊しに行けという風に命令します。この状況の中でガンダムの能力というか、アムロのですね、その可能性っていうのを1番知ってるのがブライトさんだからですね。独断します。
しかしこのブライトさんの、結局はオデッサの戦いをなんとかしのげたのって、ブライトの判断でミサイル発射だ、破壊しに行けっていうのがあって、アムロがそれをできたからなんですけども、これね、後のガンダムの話数の中で全く評価されてないんですね。その後ですね、アムロたちがベルファストでですね、なんだろうな、出世するシーン、昇進するシーンでもですね、その後ジャブローに行ってからもですね、実はこのブライトたちの働きというのは何にも評価されてないんですよ。
それなんでかって言うと、歴史の中で、この機動戦士ガンダムの歴史の中で、このマクベの核ミサイルっていうのはおそらくなかったことになってるからなんですね。っていうのは、核ミサイルがあった、こんな事件があったっていう風なことが分かれば、その対抗手段なしに前進したレビル将軍の責任問題にもなっちゃうからですよ。だから全てが闇に葬られたので、このブライトの
働きもなかったことになってるという風に僕思ってます。でないと本当に辻褄が合わないですよ。後のガンダムのシリーズの中でですね。後のガンダムというか、このガンダムのテレビシリーズの中のブライトの扱われ方、出世が遅いことを含めておかしいんですよね。ひょっとしたら、そのガンダムがZガンダムとかそれぐらいの時代になってくると、その闇がもう1回暴かれて、実はこんなことがあったっていう風なことが戦後あったかもわかんないですけど、少なくとも戦争中はずっとこのレビル将軍の明らかに頭のおかしい決断っていうのは封印されたままだったと思います。
で、ブライトさんからですね、連絡があって、すごいですね、ミサイルの断面図が出てきます。赤いところが水爆を爆破させるところだっていう風です。赤いところと言われてるんですけど、爆弾の起爆装置という意味ですね。中性子の発生源でしょ。で、次のカットがアップになって、点線のところで叩き切ればいいっていう風に言われるんですけども、ちょっとね、面白くて笑っちゃったんですけど、ここのセリフ、点線のところで叩き切ればいいって言われて、この弾頭の丸い部分、この球体の部分がいわゆる水素爆弾の本体で、この赤い部分が中性子の発生源なんでしょう。だからここでぶった切ればいいっていう風なことなんですよね。
点線のところで叩き切れっていうですね、小学生の工作みたいなことを言われて、アムロは「こんないい加減な断面図、役に立つんですか」と言うと、ブライトさんはですね、「一応南極条約の時にお互いに出した資料に基づいてるから信頼できる。行ってくれ」と言います。アムロは「じゃあ行きます」っていう風に決断します。
で、それでよし、ミサイル発射のため、あの破壊に向かうぞと思ったところにですね、ガイアのドムが「ドムとてこういう攻撃はできるのだ」と言って、空中からですね、ロケット噴射して飛んでくるというですね、ものすごい攻撃を仕掛けていきます。さあどうなるか。後半Bパートですね、10分44秒しかないっていう風に言ったんですけど、ここまででも8分20秒使ってるんですよ。残りね、2分20秒で本当に戦争は終わるのか。まだガイアも倒してないということでですね。Bパート後半に入ります。
ああ、ちょっと興奮で手が震えちゃった。レビル将軍がね、ちょっとね、変だっていうこの辺りの流れって、僕ね、ずっと言いたかったんですよね。ガンダム最初見た時は僕もそれ気がつかず、レビル将軍って割といい人みたいな印象があったんですけども、改めてそのガンダムを見直して、大人になってからガンダムを見直して、で、特に今回ガンダム講座用に色々見直すと、ここら辺あたり、実はその頭がおかしいと言われてるマ・クベの方が人間性があって、実は人間性があって、だから合理的な判断というの。レビル将軍はこの時に負けることを恐れて、負けるぐらいだったら死んだ方がいいやという風にしか考えてなかったんだなっていうのが分かってきてですね、だんだんだんだん、ちょっとガンダムを見る目が面白くなってきましたね。
じゃあ最後ですね。オデッサの戦い、Bパートも最後の最後いきましょう。
機動戦士ガンダム講座第25話「オデッサの激戦」ですね。もう最後のですね、2分20秒の解説です。まずですね、ガイアのドムが最後の突撃してきます。空中からですね、ロケット噴射で飛んできて、「ドムとてこういう攻撃ができるのだ」と言ってアムロに飛びかかってくるんですけど。で、そのシーンの後ですね、カメラがパンと切り替わって、次はですね、マ・クベのシーンになります。
マ・クベはですね、レビルが交渉に応じないと聞いて驚くんですね。ちょっと待てよと[笑い]。人間は合理的判断するはずなんだったら、なんでなん、なんかもうレビル狂ってるよという風に思うんですね。で、狂ってるやつらに勝つにはこっちも狂うしかないという風にマ・クベは考えます。ということでですね、マ・クベは水爆発射を指示します。
で、ミサイル発射シーンです。これはあのミサイル発射で、ミサイルが発射台から現れて、翼が伸びてロケット噴射が始まります。で、これあの放送直後、放送当時ですね、僕が本当に20歳ぐらいの時に機動戦士ガンダムを初めて見た時に驚いたんですけども、このロケットのデザイン、ミサイルのデザイン、色、翼ってですね、全て当時のアメリカ軍の最新兵器ですね、巡航ミサイルっていうのが評判になったんですけど、その巡航ミサイルにそっくり、全く同じなんですね。赤い胴体からですね、せり出す翼まで完全にですね、同じデザインです。
で、ガンダム世界のここでもあえて、ガンダム世界のいわゆる未来メカのデザインをやらなかったんです。そうではなくて、ここだけ完全に現用兵器を出す。このメッセージ性というのにすごいちょっと強く感動しましたね。ここだけ本当に普通の兵器出したんですよ。普通の今現在、その当時、湾岸戦争とかが起きる前のアメリカ軍の巡航ミサイルってのをポンと出したんですよね。
で、それが発射されて、はい、このカット。Gスカイから落とされて、今ドムが飛びかかってきつつある。向こうにミサイルが飛び上がりつつある。自分が落とされたGスカイは遠ざかりつつある。ものすごい構図でしょう。この飛び立っていく核ミサイルは追いかけなければいけない対象で、この飛び降りてくるドムっていうのは自分に近づいてくる脅威で、自分から離れていくGスカイっていうのは遠ざかる味方なんですよ。だから頼れるのは自分しかないと。このこっちの動きの3方向の動きを全部1つの構図にまとめたですね、ちょっとあの名シーンですね。
これがね、宮崎がレイアウト取るともっとすごいんですけども、確かにね、書いてる人がいるように、安定の方向が明らか[笑い]に変なんですよね。パースが狂ってるんですよ。パースが狂ってるけど、この構図でやろうとしてることはすごいです[笑い]よね。確かにユニコーンにしか見えねえな。狂ってるよね。
で、どうなるのかと言うと、ガンダムはドムを貫いて、で、そのままGスカイにもう1回飛び乗って飛んでいくわけですね。で、ここら辺はゴタゴタやってもしょうがないから。で、これ下からの構図です。下から見上げていくと、ガンダムがGスカイに乗って、見上げるとロケットが見えていくってですね。ロケットにどんどんどんどん、核ミサイルに追いついていく。まだ核ミサイル発射直後ですから速度が出てないんですね。まだ時速400kmか500km程度しか出てない。
で、それに対してですね、Gメカは時速600km以下だったら失速する[笑い]ような欠陥メカだから、やたら速度だけは速いんですよ。だから、もうここで初めてGメカのあの速度が速すぎるというのが役に立ったんですって。発射してるミサイルに後から追いつくことができると。これもちゃんとね、設定通りで、富野さんにしてみれば、おもちゃメーカーが言ったこの無茶なメカを精一杯活躍する、こんな大舞台を与えたんだからいいだろうっていう風に思ってたんですけど、多分おもちゃメーカーが求めたのはこれじゃないと思います。そうじゃなくてっていう、まあ、どっちのことも分かりますね。
で、ミサイル破壊シーンです。次は言われた通り[笑い]点線でぶった切りますね。ガシャーンとぶった切ります。だから核弾頭をですね、起爆装置から切り離します。で、そのままですね、ビームサーベルを振り切って、この頭の部分をね、ちょん切ってしまいます。で、ちょん切って、これが地面に落ちて、ミサイルが地面に落ちて爆発すると同時にですね、ガイアのですね、ドムも爆発します。この時にガイアフレームの中にちょっと出てくるんですけども、「マッシュ、オルテガ、すまん」っていう風に言うわけですね。
自分の仲間のためだけに戦ったガイアの最期です。それは実は数週間前までのアムロと同じなんですね。このオデッサの戦いの数週間前っていうのは何かって言うと、まだランバ・ラルとかと戦う前あたりなんですよ。本当にこの作品の中では数週間前なんですけど、その数週間前のアムロっていうのは、ホワイトベースの仲間を守るために仕方なく戦ってるんだ、仲間のために戦ってるんだってことで、実はここにいるのは数週間前のアムロなんですね。自分の仲間のために戦ってるんだ、戦争をやってるんじゃないっていう風になる。
でもこの時のアムロはもうすでに戦争に参加してるんですね。戦争に勝つために核兵器をぶった切っていて。そして、かつてのアムロのまま大人になった。だから彼は行動が子供っぽいんですね。ガイアは子供っぽいんですね。アムロの少年のまま大人になったような性格のガイアがですね、同時に爆発すると、ドムが爆発すると、ミサイルが爆発してドムが爆発して全てが終わっていくというですね、クライマックスシーンですね。
で、この後ですね、次々にですね、マ・クベの鉱山基地が破壊されるシーンが映ります。マ・クベの鉱山基地が破壊されるシーンすごいですよ。ホワイトベースが大砲を撃ったら、ジオンの兵が中に入っている物見の塔が現れて、物見の塔というか監視塔が現れて、それが人間が入ってるまま倒れていって大爆発するシーンとかがあるんですよね。もう本当に直接的に人をホワイトベースが殺してるという描写をやりながらですね、次々とですね、マ・クベの鉱山が破壊されていく様が描かれます。
で、ナレーションです。「オデッサの戦いは連邦軍の勝利に終わった」ですね。「しかし、マ・クベは黒い三連星を運んできた戦艦ザンジバルでいち早く脱出していた」というですね、ナレーションが流れます。これもですね、そのタイムボカンシリーズとかガッチャマンとか、ああいういわゆるこれまでのアニメだったら、悪いやつがいた、で、乱れな発射を指示した、それでも勝てないとなると味方を見放して1人だけ宇宙に帰っていった、みたいな見方ができるんですけども、富野由悠季の演出はそんなんじゃないです。
ここでですね、その戦艦ザンジバルの中にカメラが入ります。で、マ・クベですね。この壺ですね、「いいもの」をですね、指で弾きます。あれ、壺持ってくるの忘れたか?忘れちゃったんだ。ごめんなさい。いいものをですね、この壺を弾いてですね、音を聞いてますですね。このマ・クベはですね、地球から脱出する時にこれだけ持ってきたんです。この青磁の壺だけを持ってきたんですね。
で、顔がアップになって、「戦いはこの一戦で終わるわけではないのだ。考えてみろ。我々が送り届けた鉱物資源の量を。ジオンはあと10年は戦える」。有名なセリフを言います。戦いはこの一戦で終わりではない。我々が送り届けた鉱物資源の量を考えてみろ。ジオンはあと10年戦えるって言うんですけども、あのセリフとですね、映像で、実はね、意味に差があります。
セリフの意味は、ジオンは勝てるとは言ってないんですよ。マ・クベ、面白いことに、ジオンは勝てるとは言ってないんですよね。オデッサを失って、さすがにマ・クベにもですね、負けは見えたんですよ。負けは見えたんですけども、でも大量に資源を送ったから、あと10年は戦えるって言ったんですよね。ジオンはあと10年戦えるっていうのは、ジオンは勝てるって意味ではなかったんですね。自分が負けて地球を去ったことによって、もうこれからジオンに対して資源を送ることはできない。だから最終的には負けるだろうけど、あと10年は戦えるっていうのをマ・クベは言ってるわけですね。あと10年は負けない状況を作り出せる。それだけあればキシリア様が何とかしてくれるだろうし、有利な和平にも持ち込めるだろうというのがですね、マ・クベのセリフ上の動きです。
それに対してですね、映像上の動きは何かって言うと、マ・クベはここであの壺だけを持って、それを指で弾いてるんですね。で、俺はジオンに尽くしたと。ジオンという国に尽くしたと。だから核兵器を使うという汚名も引き受けた。で、膨大な資源もジオンに送ったと。で、この補給作戦を見て分かる通り、今回ね、負けたことで分かる通り、俺は作戦では負けたのではない。作戦ではベストを尽くした。ただ単に補給が足りなかったから負けたんだ。つまり誰も俺のことを評価してくれないと。俺への見返りは。でも俺は気にしないと。なんでかと言うと、この壺があるからだと。だから俺の見返り、自分がやったことの褒美はこの壺1つで十分だっていう意味なんですね。だから指でチーンって弾いたわけですね。この指でチーンって弾くことで、ジオンはあと10年戦えると自分に言い聞かせる。ここら辺がですね、男ドラマの見所なんですよね。
これ、悪のなんかね、悪いやつの負け惜しみみたいにやるんではなくて、なんでこれ持ってくるのか、なんでこれやってくのかという風にマ・クベの立場を思いやるとですね、そこら辺が見えてきて、なかなかね、生き様がかっこいいなと思うんすけどね。だから核兵器を使う汚名も引き受けるし、なんか誰にも分かってもらえなくてもいいんだ、誰にも分かってもらえなくたって、俺にはこの壺があるからなっていうと。だからマ・クベが死ぬ時に「キシリア様にあの壺を届けてくれ」っていうセリフが、もう1回泣かせるポイントになってくるわけなんですけどね。
ところがまだあります。ところがそれをマ・クベが言った後ですね、その逃げ去るはずのマ・クベの戦艦、これね、普通ね、戦艦が空に消えてくでいいんですよ。でもそうじゃないんですね。ザンジバルはロケット噴射して加速するんですけども、ザンジバルは真っ黒な雲に隠れて、その後黒い雲だけの空が見えるんですよ。これはジオンとマ・クベの暗い未来を予言するカットなんですね。普通にロケット噴射してればいいだけなんですよ。それをわざわざ黒い雲に覆われて見えなくなって、黒い雲だけを映すっていうのは、明らかに演出的な意図があるんですよね。ジオンとマ・クベの将来、これを言ってるマ・クベとジオンの将来を暗示する黒い雲だけを見せるですね、割と演出的に優れた名カットだと思います。
で、最後ですね、こう2枚流せるになってるから、僕も2枚でやってみましたけども、こんな感じですね。ついにレビル将軍と会見しました。ナレーションです。「ホワイトベースの少年たちは、ここに親しくレビル将軍と会見した」っていうので終わります。カメラがこっからこっちにガーっと映ってきて、レビル将軍と握手してるアムロというとこで終わるんですけども、ところがね、これを見せているんだけども、次の回ではですね、全くこれと関係ないんですよね。ほとんど、レビル将軍はここまでやっときながら、ホワイトベースのクルーに何かいいことをするわけでもないというような感じのシーンが描かれるんで、一応25話でここまで描いたということで、機動戦士ガンダム、一旦の区切りですね。次は逆襲のシャアですから、またエピソードが丸きり変わってくるんですけどね。
ということでですね、機動戦士ガンダムですね。「オデッサの激戦」っていうのは、30分で戦争を描くというこの尺の使い方がうまかった。まず前半でアムロの個人的な戦いで、偶然見つけた、なんだろうな、連邦軍のスパイというのを発見して、それをばらして、そして戦争を有利に運ぶってアムロの個人的な動きと、あとはそのガイアという兵士が何のために戦ってるのかという個人的なもので、次にマ・クベは一体何がしたかったのか、何を自分の心の拠り所にしてたのかという、この3人の兵士の心の動きっていうのをですね、すごい丁寧に描きながら、そこに焦点を当てたからこそ、逆に言えば戦争を30分で描けたんだと思います。ではですね、これで今回ですね、機動戦士ガンダム講座終わりです。はい、お疲れ様でした。
今日の無料動画ここまでです。動画の中でですね、レビル将軍について話してるんですけども、日露戦争の乃木希典と同じぐらいですね、無能な軍人という風に言っちゃったんですけど、この乃木イコール、乃木将軍イコール無能な将軍っていうのはですね、昭和の時代にはものすごく支持された見方だったんですね。で、僕も昭和33年生まれなんで、もう本当にその見方にどっぷり浸かってたのでですね、ガンダム見てた頃、本当それに照らして見てたんですけども、現代ですね、その21世紀、特に2010年代に入ってからですね、かなり疑問視されてるとかですね、見方が変わったみたいです。
で、まず乃木将軍がですね、評価がちょっと悪かった理由が4つあるんですけども、まず1つ目は、バルチック艦隊が来るまでにですね、旅順要塞を陥落させなければ、突撃作戦で死んでいた人間よりもですね、はるかに多くのですね、兵士が死んでたはずなんですね。だから多大な犠牲を払ってでも突撃せざるを得なかった。無茶なですね、「行ってこい、万歳突撃しろ」って言っていっぱい兵隊を死なせたっていうのが乃木将軍をですね、批判する第一の論法だったんですけど、これはもう仕方がなかったんだと。で、おまけにですね、乃木将軍はですね、こういう犠牲を出しつつもなんとか勝ってるから評価すべきじゃないかと。こういう風な見方がまず出てきました。
で、次にですね、当時の日本はですね、その前の日清戦争のですね、大勝利にですね、もう完全に浮かれてるわけですね。だから国民、軍部ももちろんなんですけども、マスコミもそうですし、何よりも国民がですね、戦争はイケイケどんどんと、弱そうな国、勝てそうな国を近くで見たら、多少無理してでも戦争吹っかける。吹っかけないとは何事だ、今の内閣は弱気だ、内閣総辞職しろというデモがですね、日本人で起こるというですね、今では考えられないような好戦的な国民だったんですね、日本人はですね。
だから旅順要塞攻略もですね、要塞がどんなものなのかとか、どんな設備なのかっていうのをろくに調べないままですね、見切り発車でやってたわけですね。日清戦争の時みたいに楽勝だと思ってたらですね、まさか機関銃がそこら中に配備されて、それのクロスファイアが待ってるというですね、そういう第一次大戦の時に明らかになる、なんだろうな、戦争の恐ろしさっていうのがよく分かってなかったんですね。
あと3つ目ですね。乃木将軍の評判の悪いところはですね、そのイケイケどんどんの先にあったですね、責任をですね、これだから国民がイケイケどんどん、マスコミがイケイケどんどん、軍部がイケイケどんどんだった責任をですね、結局誰かに押し付けたい、その国民感情と、新聞各社のですね、扇動によって割とね、増幅されてるところにあるわけですね。
もちろん戦争中の最中はですね、すごい英雄として祭り上げられたわけですよ。僕がですね、小学校ぐらいの時に家にあった軍歌のレコードっていうのがあって、その中に「水師営の会見」っていう歌があるわけですよ。「所はいずこ水師営」というやつですね。乃木将軍はですね、敵のですね、将軍ステッセルをですね、よく戦いましたと称えてですね、ステッセル将軍はですね、乃木将軍、いや、あなたはすごかったって褒め称えてですね、美談にしたですね、浪曲みたいな[笑い]やつをですね、俺はなんか小学校の頃口ずさんで学校行く変な子供だったんですけど。
だからその第一次、第二次大戦の前ぐらいまで、本当に乃木将軍っていうのはすごい尊敬されてたんですけど、その後すごい評価が下がっちゃった人なんですね。だから戦後の反戦思想ですね、その犠牲を出すぐらいなら戦わない方が良かったんじゃないかという無茶な理屈も混ざってですね、悪評にですね、拍車がかかったところもあります。
で、最後4番目ですね。やっぱり司馬遼太郎ですね。司馬遼太郎のですね、『坂の上の雲』という小説の中で、参謀のですね、その児玉源太郎というキャラを立たせるためにですね、実際の歴史よりもですね、乃木将軍がこんな悪いことやった、こんなまずい判断をしたっていうのをですね、もう盛り盛りで語られたというです。で、これがですね、乃木将軍イコールダメな将軍説を大きく広めることになったわけです。僕もですね、その司馬遼太郎の『坂の上の雲』を読んじゃったのでですね、まともにあの辺を信じてしまったところがあります。
ここら辺ですね、なんか乃木将軍の働きをどういう風に見るのかっていうのは、割とね、江川達也のですね、『日露戦争物語』という漫画があるんですけど、多分ね、あれ割と正確だと思うんですね。江川さんはですね、あの漫画を開始する時に、とにかく司馬遼太郎が見てた日露戦争の物の見方というのをですね、ひっくり返したいという、なんだろうな、思いで書き始めたはずなんですけども、スピリッツ、掲載誌のスピリッツの方がですね、徐々に徐々になんか熱がなくなってきてですね、なんか描き切る感じではなくてですね、最後まで描いたんですけども、ちょっと走り抜けたような感じになっちゃったのが残念ですよね。
まあ、だからこういうですね、あるキャラクターを立てるためにですね、他の人を無能に描くっていうのはですね、司馬遼太郎先生もですね、なんだかんだ言いながらですね、『日本三國』みたいなことやってたわけですね。1人の天才を際立たせるためにですね、普通の人をあえて愚かに描くというですね、これね、ラノベ作家がやることをですね、司馬遼[笑い]太郎はやってたわけですね。いや、なんか案外ラノベ作家なんじゃないのかなと、僕ちょっと今思い始めてます。
個人的にはですね、乃木希典のですね、評価っていうのはですね、特別有能でも無能でもなくですね、日清戦争の勝利に浮かれてですね、侵略戦争に夢中になった人たち全員のですね、ケツ持ちをさせられたまま、長きにわたって悪者にされた残念な人、不幸な人っていう感じだと思います。責任を問われてですね、大炎上する中でですね、自分を必死にかばってくれた明治天皇がですね、崩御した時にですね、後追い自殺をしてしまうというですね、そういう最期まで含めて、なんかこう時代に翻弄された人だなという風に思います。
それでは今回の動画はここまで。次回はですね、第26話ですね、「復活のシャア」ですね。スポンサーからですね、シャア・アズナブルという男、殺せという風に、こんなんだからガンダムのおもちゃが売れないんだという風に言われたですね、シャア・アズナブルがですね。だから富野さんはですね、殺すのではなくて、こっそり隠すという方法を選んでですね、満を持してですね、さあ、もうGメカも出したと、おもちゃも売れてきたでしょう、この辺で出しますよとですね、復活させたシャア・アズナブルですね。「復活のシャア」の動画でお会いしましょう。じゃあ、また来週。バイバイ。
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