『機動戦士ガンダム』第20話「死闘! ホワイト・ベース」を岡田斗司夫が読む――崩れていくクルーとランバ・ラルの最期
岡田斗司夫岡田斗司夫は、TVシリーズ『機動戦士ガンダム』を1話ずつ解説する講座で、第20話「死闘! ホワイト・ベース」に4回分を費やした。この回ではランバ・ラルが部下を連れてホワイトベースに乗り込み、アムロたちと銃で撃ち合う。主役ロボットのガンダムはほとんど活躍しない。岡田は、この回がシリーズ全体の大きな転換点だと位置づける。白兵戦のアクションだけでなく、冒頭の何気ない日常描写からクルーの不和を読み取ることを重視している。
4つの出来事と、ロボットアニメとしての異質さ
岡田によれば、第20話には4つの出来事が重なっている。1つ目は、ホワイトベースのクルーの対立が頂点に達し、ついに脱走者が出ること。2つ目は、ジオン内部の政治的対立に振り回されるランバ・ラルの悲劇。3つ目は、敵が乗り込んで起きる艦内の白兵戦。4つ目は、ランバ・ラルの最期と、ホワイトベース側で「要」になっていたリュウ・ホセイの負傷である。
岡田は、敵が基地に乗り込んで銃撃戦になる展開そのものは『マジンガーZ』の頃から多くのロボットアニメにあったと認める。ただし従来の作品では、それはロボット戦闘でスカッとさせる前の「抑圧」の段階だった。基地がさんざんにやられたところで兜甲児がマジンガーZで出撃する、という流れのための「ドキドキハラハラ」の部分である。これに対して「死闘! ホワイト・ベース」は艦内の戦いを真正面から主題にしている。岡田はこの点を「かなり画期的」だと評価する。
5話かけて積み上げた不和
クルーの対立は、第16話「セイラ出撃」から続く伏線の回収だと岡田は説明する。第16話では、いい子だったはずのセイラがブライトの命令に従わず、不協和音が表に出た。第17話でアムロが脱走し、第18話では迎えに行っても戻らないアムロをめぐって艦内が険悪になる。そして第19話「ランバ・ラル特攻!」を経て第20話に至る。岡田は、この5話という長さを第6話「ガルマ出撃す」から第10話「ガルマ散る」までに匹敵する分量だと言い、それだけの話数を人間関係に割いた点に注目する。
なぜここまで丁寧に不和を描くのか。岡田の読みでは、ガンダムはアムロという少年がいつの間にか兵隊になっていく話である。「再会、母よ…」で帰る場所がないと知り、「時間よ、とまれ」で殺し合いが日常の世界にいると悟り、「イセリナ、恋のあと」では殺した相手を埋める。このまま平気で兵隊になってしまえば作品は薄っぺらくなっていた、と岡田は言う。兵隊になりきれない少年の心情を追い、後半の宇宙編でクルーが自信を持った兵隊として戦えるようにするには、ここで人間関係のドロドロを出し切っておく必要がある。だからこの5話はずっと苦しい、というのが岡田の説明である。
前回の時点のアムロについても、岡田は分析している。アムロは帰るつもりになっていたが、フラウ・ボゥが迎えに来るだけでは不満で、ブライトのような上の人間が頭を下げて迎えに来るのを待っていた。それなのに、グフを倒して戻った直後に独房へ放り込まれた。これがアムロには大きなショックだった。
ブリッジの「一軍」と、富野監督の虫プロ体験
本編は、ブリッジで子供たちの服を繕うミライの姿から始まる。その背後でブライトとセイラが「暗号解読は間違ってないんだろうな」「オデッサ・デイ発動までは動くな。何度も調べてみたわ」と話している。2人はクッションを持ち込み、だらけた格好でいる。岡田は、アムロが独房にいてガンダムが使えないため、部屋に戻って休めない緊急配置が続いていることがここから読み取れるとする。やがてミライが加わり、セイラはミライの膝枕でくつろぐ。
岡田が指摘するのは、このブリッジが「いつものメンバー」だけが本音を語り合う場所になっていて、その状態に危うさがあることだ。見た目が良く、年齢が少し高く、頭もいいミライ、ブライト、セイラの3人が常にここにいる。カイ、ハヤト、リュウは用事があるときにしか来ない。ホワイトベースという「スクールカースト」の一軍が、画面を見るだけで分かるように描かれている。
岡田はここに富野由悠季監督の経歴を重ねる。富野は虫プロで『鉄腕アトム』に関わったころ、手塚治虫のもとに集まった優秀な絵描きたちの輪に入れなかった、という趣旨のことを自伝に書いている。一方、別の人が書いた虫プロの本では、誰も富野を排除したつもりはなく、プライドの高い富野が自分から輪に入らなかったとされているという。岡田は、そのすれ違いがブリッジの描写にリアルに表れていると見る。
問題は、ブリッジでアムロの処遇を話し合うブライトやセイラが、実際には独房のアムロに会いに行っていないことだ。現場の不満を吸い上げているのはフラウ・ボゥとリュウである。
独房のアムロとリュウ
独房の場面で、アムロはフラウに「ドアを閉めろよ、逃げ出すかもしれないぜ」と言い、ランバ・ラルは必ず攻めてくると告げる。岡田は、これは忠告であると同時に、自分を閉じ込めていていいのかという脅しでもあると読む。リュウが「来たら来たでいい、その時は自分がガンダムに乗る」と口を挟み、お前はどうするのかと問う。アムロは「ホワイトベースを降りてもいいと思ってます」と答え、「どうせみんな気まずくなっちゃったんだし」と続ける。
岡田によれば、これは言ったらおしまいの本音である。リュウもみんなが気まずくなっているのは分かっている。それでも気づかないふりをして「仲間じゃないか」という「ごっこ」を続けなければ、チームワークは保てない。本音を気軽に口にできる無責任なアムロと、分かっていても飲み込まなければならない立場のリュウ。その対比がここで示される。リュウはアムロを本気で殴り、マチルダがアムロをエスパーかもしれないと言っていたと励まそうとする。するとアムロは、自分の言葉で説教したらどうですと鼻で笑う。岡田は、当時小学校高学年向けとされていたロボットアニメの台詞のやり取りではないと言う。そしてここでアムロの挑発に乗らず、呆れてフラウと出て行ったリュウを「偉い」と評価する。
一人になったアムロは「一人でむきになったって人間が変わるもんか」とつぶやく。岡田はこれを、正論は分かるが自分はどうせ輪を乱すダメな人間だ、というすね方の表れだと解釈する。そのうえで、この台詞はこの先への伏線だと見る。ランバ・ラル、ハモン、リュウという3人が「むきになって」命をかけることで、アムロの心が変わっていく。ここはアムロの心が底を打つ瞬間として描かれている、という読みである。
岡田は自分の見方の変化も語った。大学生のころは、こうした仲の悪い場面が嫌いで早く戦ってほしいと思っていた。しかし30歳を過ぎてから味わい深くなったという。アニメ業界で働いて実感したのは、能力のある者ほど平等主義に苛立つということだ。当時のTVアニメでは動画は1枚150〜200円程度で、上手い人も下手な人も同じ単価だった。しかも上手い人ほど難しいシーンを回される。絵コンテも上手くても下手でも1本15万円だったと岡田は言う。富野は一時期CMの仕事をしており、能力でギャラに差がつく世界を見てからTVアニメに戻った。岡田は、アムロの「平等ごっこはやめてくれ」という苛立ちのリアリティはそこから来ているのではないかと推測する。また、高畑勲の客観演出の系譜で見るようになってから、このやり取りが面白くてしかたがなくなったとも語った。
ハヤトがブリッジで見たもの
続いてハヤトがブリッジに上がってくる。時間にすれば1分にも満たない場面だが、岡田は富野らしい演出の見本だとして細かく読み解く。エレベーターを降りたハヤトは直立して敬礼し、「よろしいですか」と声をかける。画面にはハヤトの目線で、座ったままくつろいでいる3人が映る。もともと全員避難民だったのに、いつの間にかミライまで「上の人」になっている。台詞で説明せず、この異様な絵を見せるだけでハヤトの心情を読み取らせる。岡田はこれを、見る側に読解力を要求する演出だと言う。岡田は冗談交じりに、とりわけセイラの寝そべり方はハヤトの目には刺激が強すぎる、とも付け加えた。
ハヤトは、アムロを独房に入れるのは反省を促すため、つまりブライトはアムロを当てにしているのだろうと確認する。するとミライが、アムロを外そうと言い出したのはブライトだがどうなのか、と自分しか知らない話をあえて持ち出す。岡田は、ミライは合議制で問題を分かち合おうとしてこの場を本音の場にしようとしたのだと読む。しかしハヤトは脱走の判断材料を探しに来ていた。岡田によれば、ハヤトの中で起きたのは激しい怒りではない。ここはこういう場所なのか、もう一緒に戦う動機はないという「冷たい決断」である。
ブライトが、アムロはガンダムを持ってジオンに逃げてもよかったのに戻ってきたと言うと、カイは一時的なホームシックだと切り捨てる。後から入ってきたリュウは、アムロのことかと言ってまずブライトの方を見る。そこで一瞬カイの表情を読み、前を向き直して「うん、大丈夫だろう」と答える。さっきアムロを殴ってきたばかりなので、実際は全然大丈夫ではない。それでもカイの前で本音は言えない。岡田はこれを「政治的な発言」と呼ぶ。リュウから見れば全員が甘く、ブリッジで不用意に合議をするミライも、それに乗るブライトも間違っている。結局ブリッジの人々は気まずい対立を避け、身内で話し合うだけで解決しようとしており、それでは何も解決しない、と岡田はまとめる。
マ・クベの謀略と届かないドム
場面は夜の砂漠のギャロップに移る。クランプが、マ・クベ経由で中継されたドズルからの電文を渡す。ランバ・ラルは、陸上用モビルスーツ・ドムを3機回してもらえると喜ぶ。グフを失い、古いザクが1機しか残っていないラル隊にとって、補給があってこそ攻撃ができる。岡田は、オープニング後ここまでわずか2分20秒しか経っていないと指摘し、ドラマの密度の高さを強調する。
2分50秒あたりで、マ・クベの本拠地がカメラの縦パンで映される。岩山、地上戦艦、巨大な砲台に続いて、幌をかけたトレーラーが3台見える。岡田はこれをドム3機だと読む。マ・クベは、ランバ・ラルはこの辺りの鉱山を知りすぎた、実態はギレンにも知らせられない、と語る。ウラガンが依頼を握りつぶしたことになるのではと懸念すると、マ・クベは「ランバ・ラルはそうは考えんよ」と答える。補給に喜ぶ場面の直後に、実は補給は来ないと見せる構成である。
その後、脱走の報を受けたリュウが「どいつもこいつも勝手な真似しやがって」と怒りながら飛び出していく。岡田はその姿を男塾か番長漫画のようだと笑った。ここまでで開始から3分50秒だという。
「リュウ、頼む」――ブライトの弱さと成長
格納庫で車を出すリュウに、ブライトは走ってきて「リュウ、頼む」と言う。岡田は、頼むならお前が行けと思う場面だとしつつ、ここにブライトの弱さを見る。人望がない自分が行っても戻ってこないだろうから、人望のあるリュウに任せる。その発想がいけない、と岡田は言う。ただし自分がそれを理解したのは50歳を過ぎてからだと認め、当時のブライトを責めるわけにはいかないとも述べた。リュウの「殴り倒してでも連れて帰る」という返事について、岡田は、逃げる者の気持ちが分かるリュウには説得の言葉がないからだと解釈する。それでも一緒にいなければ生き残れないので、殴るしかないのだという。
遅れて来たミライは「私も行くわ」と言う。行かないブライトと、行って対話しようとするミライの対比である。ただ岡田は、ここでブライトを駄目、ミライを優秀と決めつけるのは気の毒だとも言う。ブライトは艦長という立場の重圧で潰れそうになっているが、ミライにはその重圧がない。後にブライトが倒れてミライが艦長代理になる回では、判断ミスを続けて意外なほど役に立たない、と岡田は振り返る。人の能力は立場とプレッシャーで出たり出なかったりする、というのが岡田の見方である。
その後ブライトは、ミライに「みんなが一つ考え落ちしてたのさ」と語る。アムロがいない間、指揮者としての自分はひどく不安だった。その不安は絶大だった。一体何なのだろう、と。岡田によれば、ブライトはここで、カイやハヤトの反発の奥にも同じ不安があると指摘している。アムロがいないときに自分でも驚くほど不安だったからこそ、戻ったアムロを素直に許せず、アムロを当てにしていそうなブライトも認められない。岡田は、ブライトが自分の弱さに気づいて口に出し、ミライに弱音を吐けるようになった点を成長として重視する。
追加の解説では、ブライトは最初、士官学校で教わった「理想の指揮官」を演じようとしていたと岡田は言う。自分らしい艦長になれたのは、ジャブローで独立行動を命じられ「おとりということですか」と言い返せたあたりではないか、と推測している。組織の下の方では自分を殺すほど成長につながるが、上に行くほど模範を崩す方が成長につながる。岡田はこれを、日本舞踊や落語で基礎の型を叩き込まれた者が段位を上げて表現力を得る話に重ねた。
補給を断たれたランバ・ラルの決断
ランバ・ラルはポイントA13でドムを待つが、30分過ぎても来ない。現れたのは小型機のウラガンだった。補給艦は撃破されたと告げられると、ランバ・ラルは「ドムは届かんというのか」と声を荒げる。ガンダムにグフを倒されても余裕を見せていた男が、味方に後ろから刺されることは予想していなかった、と岡田は言う。ウラガンの説明はもちろん嘘である。ランバ・ラルは言い訳を遮り、「このランバ・ラル、たとえ素手でも任務はやり遂げて見せる」とマ・クベに伝えるよう言う。去り際にウラガンが見せる笑いについて、岡田は、マ・クベの「ラルはそうは考えん」の意味が腑に落ち、戦馬鹿を憐れむ表情になったのだと読む。
ランバ・ラルはハモンに「お前の言う通りになったな」と言う。岡田は、何話も前からマ・クベを信じるなと進言していたハモンへの謝罪のニュアンスだとしつつ、いちいち謝って落ち込まないところに2人の信頼の厚さがあると評価する。「補給戦力を当てにせず、元々……」という台詞はウラガン機のエンジン音で遮られる。そのあとランバ・ラルは、絞り出すように「元々ゲリラの私の戦法で行こう」と言い直す。クランプは「その方が兵も喜びます」と返す。有利な条件で戦う方がいいのは当然で、この返事も嘘だが、クランプもここで男気を示しているのだと岡田は言う。岡田はクランプのヘルメットのひさしが微妙に歪めて描かれている点を挙げ、それが油断ならない軍人らしさを生んでいると安彦良和の絵の力を称えた。ランバ・ラルの鼻とひさしの向きにも同様の「嘘」があるという。
砂漠での説得――カイとハヤトの違い
リュウが追いつくと、脱走組のバギーは砂漠の真ん中で止まっていた。岡田は、出たはいいがどこへ行けばいいか分からなかったのだろうと推測する。ハヤトは「戦うのはホワイトベースでなくたってできます」と言い、カイは「ブライトにはアムロがついてるんでしょうが」と本音をぶつける。ハヤトは「僕にはホワイトベースで戦う意味がなくなったんですよ。これは仕方がないでしょう」と言う。
岡田はここで2人の違いを強調する。カイは感情で怒っているので、その感情が収まれば納得しそうに見える。しかしハヤトは考え抜いた末に怒っていない。誰が悪いのでもないという冷静な態度に、「昭和の若者」であるリュウは困り果てる。感情を失った相手に何を言っても通じない絶望感がここにある、と岡田は読む。
リュウがカイを殴り、ハヤトが力づくは無理だと止める。そこへ遠くから音が聞こえると、3人は一瞬で揃って伏せる。明確な敵が現れた瞬間にチームワークが戻る場面だ。リュウは戻るかどうかは自分たちの良心に聞けと言い残して去る。残されたカイは「いやに冷え込むじゃないか」と言う。岡田は、帰る理由を探して格好をつけているのだと解釈する。
一方、ランバ・ラルの作戦は通常とは逆である。火力のあるギャロップとザクを前に出しておとりとし、弱い歩兵をキュイに乗せて背後から艦に乗り込む。確実に勝つか相打ちに持ち込むため、味方にも犠牲の出る戦い方を選んだのだと岡田は説明する。兵士の報告にある、ホワイトベースは推定位置から10kmしか移動していない、という一言にも岡田は注目する。脱走があったため艦は動けなかった。脱走がなければ戦闘なしに抜けられていたかもしれない、という「歴史のもしも」がここにあるという。Aパートは、キュイの上でランバ・ラルが「この風、この肌触りこそ戦争よ」と言う場面で終わる。オープニング後9分20秒である。
岡田は追加の解説で、この台詞をブライトの「あの不安は何なんだ」と対になる自己分析だと読んだ。圧倒的に不利なのに血がたぎる自分を、馬鹿だなと認めているのだという。両陣営の指揮官がそれぞれ自分を再発見する構造になっている。
カットバックで高める緊張
Bパートは、アムロ、ランバ・ラル、ハモンの3者を台詞なしで交互に映すカットバックから始まる。独房で黙々と食事をするアムロ、風を受けるラル、ずっと下着姿だったアムロが誰にも言われずに制服を着る場面、爆走するギャロップ、シャドーボクシングをするアムロ、腕を組んで動かないハモン。最後にハモンが「白いモビルスーツのパイロット……いい少年、さてどう出るか」とつぶやく。岡田は、ハモンがここでアムロを殺す覚悟を固めたのだと読む。カットバックについては、刑事と犯人を交互に映す例を挙げ、『大列車強盗』のころから使われてきた技法だと説明した。
岡田は、下着姿はアムロの反抗の印だと言う。第1話でも、その後の回で出撃を急かされたときも、アムロは下着でいた。その下着を自分から制服に着替える場面をわざわざ入れたのは、成長を示すためだと解釈する。戦闘前に顔に化粧をする部族の男たちのように、内面を奮い立たせる意味もあるという。さらにカメラの動きにも注目する。アムロの側は徐々に引いていき、ハモンの側には徐々に寄っていく。主役に寄って相手から引くのが普通なので、これは逆である。岡田は、この逆転が戦いの結果がハモン側に不利になることを映像で先に示す伏線になっていると見る。
岡田は、ブライトがリュウを行かせたことについても新しい解釈を示した。ブライトが自分で脱走を知ってしまえば、4人ものメインクルーを独房に入れなければならなくなる。それは自殺行為なので、「知らなかったこと」にするためだったのではないか、という読みである。
白兵戦の描写
警報が鳴り、ホワイトベースは着陸中で動けない。ミライは飛行再開まで1分20秒かかると告げる。岡田はエンジンを「臨界」まで上げないと浮かない感覚を重い電車の発進にたとえ、リアリティのあるやり取りだと評した。セイラがガンダムで出るが、高所のザクに対して下から撃つ不利な位置にいる。窓から見ていたアムロは、下がって後ろにジャンプし、射程距離の差を生かすよう助言する。セイラはザクの頭を撃ち抜き、アムロは素直に喜ぶ。
背後から迫るキュイにバギーのカイたちが気づき、「奴ら、肉弾戦で来るつもりじゃないのか」と言う。ジオン兵はジェットで飛び上がり、艦に取りつく。岡田は噴射炎を青みがかったグレーで描いた色指定に注目する。富野監督は子どものころロケット科学者を志していたと対談で語っており、高温の噴射は青や白に近いという考え方が反映されている、と岡田は説明する。明るい色を避けて地味な画面にしたことで恐怖感が出ているという。撃たれた兵士が甲板に落ち、艦から転げ落ちる。血を直接描かない以外は残酷描写を一通りやっている、と岡田は言う。セイラは、ガンダムの武器では威力がありすぎて兵隊だけを倒せないと言い、手が出せなくなる。
クランプはブリッジの窓に爆弾を仕掛けようとして、中に子供がいることに驚き、「下がってろ、怪我するぞ」と怒鳴る。岡田によれば、窓を破れば結局は殺し合いになるのに、それでも危ないから下がれと言ってしまう。冷静に目的を追う男として積み重ねてきたクランプの人間味がここで出る。ランバ・ラルはフラウの銃を払い、「銃を持っていれば殺す。どこかに隠れているんだ」と言う。岡田はこれを、最初に言うべきことを言い、一度だけ警告する覚悟であって、クランプより一枚上手の貫禄だと評する。ジオン兵に組み伏せられたアムロをブライトが撃って救い、「ホワイトベースを壊してもだ」と、ガンダムで第2ブリッジの敵を撃退するよう命じる。
ランバ・ラルとセイラの再会
ランバ・ラルの狙いは、窓の少ない戦闘艦橋である第2ブリッジを占領し、クランプ班が第1ブリッジを破壊したうえで艦を無傷のまま奪い、少年たちを捕虜にすることだった、と岡田は説明する。ガンダムを交代するとき、セイラが「敵は?」と聞き、アムロが「第2ブリッジです」と答えた。そのためセイラは一番近い出口から第2ブリッジへ向かうことになる。この問答がなければ再会は起きなかった、と岡田は言う。前回までセイラをガンダムに乗せておいたのも、2人が顔を合わせる可能性に視聴者が気づかないようにするミスリードだった、というのが岡田の読みである。
煙の立ちこめる廊下で、ランバ・ラルはセイラに銃を向けて驚く。「姫様か」「ジオン・ダイクンにお仕えしたジンバ・ラルの息子、ランバ・ラルですぞ」。セイラは一瞬の回想を経て顔つきを変え、「アルテイシアと知って、なぜ銃を向けるか」と言う。岡田は、長年封印してきた立場を思い出した瞬間だと読む。岡田はこの場面を舞台劇として分析する。下手のラルと上手のセイラを交互に映し、中央の奥から「花道」を通ってリュウが走り込んで状況を破る。姫様と家臣の臭い大芝居、チャンバラ映画のような場面なので、あえて分かりやすい舞台の構図に落とし込んだのだという。撃たれたランバ・ラルはセイラには撃ち返せず、第2ブリッジに逃げ込む。
第2ブリッジの破壊と70年代アニメの表現
ランバ・ラルはハモンに「すまん、木馬をギャロップで撃破してくれ。ランバ・ラル、戦いの中で戦いを忘れた」と通信する。ハモンが「どうなさったのです」と聞いた瞬間、無線機が爆発し、ビームジャベリンが室内に突き込まれる。ランバ・ラル以外の兵士はすべて焼き殺される。岡田は、狭い空間の戦いの後に抜けのいい画面を見せる富野の映画的な感覚を指摘する。一方で、他の兵士の死は直接見せず、ランバ・ラルだけが立っていることで分からせている点にも触れる。
岡田はここで、当時は見る側が補完する必要があると強調する。1981〜83年の『超時空要塞マクロス』のころまでアニメは子供向けとされ、ガンダムにも絵本が出ていた。ランバ・ラルは顔に血を一筋流す程度にしか描かれていないが、実際は立ち上がれないほどの状態だと読むべきだという。第1話でフラウが祖父母を揺する場面も、本当はバラバラの遺体を前にしていたからアムロが愕然とした、と岡田は解釈する。『未来少年コナン』第1話で爆発を受けたおじいが毛布で覆われていたのも、描けない状態だったからだと述べた。
「兵士の定め」――ランバ・ラルの自爆
意識を取り戻したランバ・ラルは、穴から覗き込むガンダムに向かって歩き、「わしの戦っていた相手が、年端もいかぬ少年とは皮肉なもんだ」と言う。岡田は、この場面のガンダムは悪魔的に見え、視聴者はラルの側に共感するように作られていると言う。駆け込んだブライトたちに、ランバ・ラルは「君たちは立派に戦ってきた。だが兵士の定めがどういうものか、よく見ておくんだな」と告げ、手榴弾のピンを抜く。
なぜ投げなかったのか。岡田の答えはこうだ。ランバ・ラルは、生活の苦しい部下の暮らしを良くするため、そしてアムロやフラウを見逃してきたように、弱い者を守るという自分の男の道のために戦ってきた。ところが部下を犠牲にしてまで勝とうとした相手は、自分が見逃し続けてきた子供たちだった。勝利者になるはずの部下たちは、子供の操るガンダムに無慈悲に焼かれた。子供と部下を守るという美学そのものが自分を敗北させた。それが「皮肉」の意味だと岡田は言う。
ガンダムは手を伸ばすが間に合わず、ランバ・ラルは艦外で自爆する。セイラが顔を背けるのは、残酷さのためではなく、知り合いだったと口に出せない艦内でのただ一人の孤独のためだ、と岡田は読む。アムロは、ガンダムの性能で勝ったに過ぎないと言われたあの人に、外から第2ブリッジを壊すという手で勝ってしまい、その人が負けを認めて自爆したことに凍りつく。
追加の解説で、岡田はランバ・ラルの死をのちのドズルの死と比べた。自分の戦いに価値がなくなったとき、どう意地を通すか。ランバ・ラルは侍の死に方ではなく人間の死に方を選んだ、と岡田は言う。数分で死ぬと悟り、これ以上子供を傷つけず、ハモンにも復讐をやめて帰ってほしかった。だから殺されたのではなく自分で死ぬのだと示すため、ハモンから見える位置で自爆した。しかしハモンはかえって復讐心を燃やす。そこは「計算違い」だったのだろうと岡田は言う。これに対してドズルは、部下を逃がした後、将軍や弟という枠から解放されて、純粋に戦いたかった自分を最後に出したという。
ハモンの反撃とリュウの負傷
カメラがガンダムの上へパンすると、肩に砲撃が当たる。ギャロップのハモンが、ホワイトベースではなくガンダム1機だけを狙っていた。岡田は、ガルマの仇を討とうとしたイセリナと同じことが起きていると指摘し、そこに女の怖さを見る。アムロは「ハモンさん、ランバ・ラルは死んだんだぞ、やめるんだ」と言ってビームジャベリンを投げる。岡田は、本来腰をひねれない箱の組み合わせのガンダムが、作画で大きく振りかぶる点を挙げ、デッサンが狂っても動きが格好いい例だと言う。ギャロップは爆発するが、ブリッジ部分だけが切り離されて脱出する。
脱出したハモンは逆光で目だけに光が当たり、表情が読み取れない。岡田はこれをフィルム・ノワール的な照明と説明する。夜のパリを走るタクシーの後部座席で男の目だけにスポットを当て、何かを考えていると観客に分からせる映画のモデルがあるという。ハモンは「隊長から連絡は?」と確認し、「そう」と答え、「ランバ・ラル」とつぶやく。
ラストでは、ブライトが「静かに運ぶんだ」と言いながら重傷のリュウを担架で運ぶ。カメラはトラックバックで彼らを小さく映す。岡田によれば、名もなきジオン兵が死んでいくのと同じく、リュウの死もクルーにとっては一大事だが戦場では当たり前のことだ、と示す演出である。次の第21話「激闘は憎しみ深く」で描かれるハモンの復讐について、岡田は、イセリナの回と何が違うのかはアムロを知っているかどうかにあると予告した。ハモンの復讐とリュウの死によって、バラバラだったクルーの心がようやく一つにまとまっていくという。
追加:オデッサ・デイまでの「5日間」
最後に岡田は、「重箱の隅」の話としてオデッサ作戦の日程を取り上げた。第16話冒頭でホワイトベースは「オデッサ・デイは5日後、それまでにカスピ海を越えろ」と指示されている。しかし第25話「オデッサの激戦」まで、それだけの出来事が5日に収まるのは無理だと当時のファンの間で言われていた。岡田は、作品の無理をファンの考察で救う「SFレスキュー」を試みる。
岡田の手がかりは、第20話冒頭で「オデッサ・デイ発動までは動くな」と言っていることと、艦が大きな水辺に着陸していることだ。1日目にセイラの出撃とコズンの捕虜、2日目に鉱山基地の発見とアムロの脱走、3日目にアッザムとの戦い、4日目にランバ・ラルとの遭遇と独房入り。そして5日目にカスピ海を渡り、アゼルバイジャン付近で待機していたところで作戦延期の命令が届いた、と岡田は組み立てる。延期の日取りが未定のまま動けずにいたため、足の遅いギャロップに追いつかれた。そう考えれば筋は通るという。アムロの脱走も実質「1泊3日」程度で、14歳の少年が砂漠で3泊も4泊もできるとは思えないので、むしろリアルだと岡田は結んだ。
おはようございます。岡田斗司夫ゼミです。毎週土曜日はテレビシリーズの機動戦士ガンダムを1話ずつ解説していくガンダム講座のお時間でございます。今回はですね、第20話「死闘!ホワイト・ベース」というですね、エピソードです。
「死闘!ホワイト・ベース」というのはですね、兵隊同士がですね、直接近くに寄って、昔だったら剣とか、現代だったらですね、小銃ですね、銃とかで戦う、白兵戦って言われるやつですね。白兵戦についてのエピソードです。ロボットアニメであるにも関わらずですね、主役ロボがほとんど、つまりガンダムがほとんど活躍せずですね、生身の人間同士の撃ち合い、殺し合いがアクションのメインとして描かれるですね。大変ですね、ロボットアニメとしては、ないことはないんですよ。あるはあるんですけど、珍しい話ですね。とんでもないです。
今日の動画でもですね、もちろん白兵戦の話はするんですけども、でも、この「死闘!ホワイト・ベース」っていう回はですね、アクション部分以外もすごいんですね。特に1番最初から始まるですね、ホワイトベースのメンバーですね、メインキャラクターの間にだんだんと軋轢が生まれてきて、すれ違いがあって、お互い疑心暗鬼になっていくというですね、日常がすごいのですね。是非このドラマの部分の解説を聞いてください。
この動画はですね、岡田斗司夫の機動戦士ガンダム講座第58回から61回までをまとめたものです。動画の1番最後にはまだ追加の話もあるので楽しみにしてください。それではここから無料動画スタートです。
さてですね、今回から第20話ですね、「死闘!ホワイト・ベース」。いよいよですね、「死闘!ホワイト・ベース」の解説に入ります。生身のランバ・ラルがですね、部下を連れてホワイトベース内に侵入して白兵戦というやつをするんですね、アムロたちと銃撃戦を繰り広げるというお話です。前回のですね、「ランバ・ラル特攻!」と比べると派手なロボットアクションは全くありません。ただシリーズ全体として大きなターニングポイントになった回です。
ここまでですね、4話かけてじっくり描いてきたホワイトベースのクルー同士、ホワイトベースの仲間たちの間の喧嘩とかですね、確執ですね。あとアムロのコンプレックス、さらにジオン本国の政治に巻き込まれるランバ・ラル、こういうですね、いろんなストーリーをですね、紹介してあったんですけども、この1つ1つの話がですね、この20話ではですね、1つになって大きく動くんですね。
今日のですね、前半の解説ではですね、そんな「死闘!ホワイト・ベース」の全体の概要とですね、あと見るべきポイントを話します。あとはなんてことない、ホワイトベースの日常の風景から読み取れるクルー間の、乗組員の間の反目っていうのかな。ちょっとしたですね、みんな心の中にちょっと溜まってる不満みたいなものがこうポロポロ出てくる。これについて考察していきます。今日もですね、無料の終わりにですね、追加の解説をするので楽しみにしてください。それでは機動戦士ガンダム第20話「死闘!ホワイト・ベース」ですね。全4回あるですね、1回目の解説です。ではどうぞ。
機動戦士ガンダム講座。今日はですね、第20話「死闘!ホワイト・ベース」の1回目です。「死闘!ホワイト・ベース」、今回全体の話としてはですね、4つの出来事があるんですけども、1つ目はですね、ホワイトベースのクルーが対立してですね、その対立がもうついに頂点に達してですね、ついに脱走者が出てしまうということが1つ目。2つ目がですね、ジオンのですね、内部の対立、政治的な対立に振り回される、ランバ・ラルの悲劇ですね。
で、3つ目がですね、ホワイトベース内で直接殺し合いですね。戦闘が、ホワイトベースの中の白兵戦って言うんですけども、敵が乗り込んできて銃の撃ち合いになって殺し合いになってしまうと。これ過去のロボットアニメと大きい差があります。これちょっと後で話します。で、4つ目がですね、ランバ・ラルの最期とですね。これまでずっとお話を引っ張ってきたランバ・ラルの最期と、あとその人と人との繋がり、ホワイトベース側の実は要になっていたリュウ・ホセイというですね、キャラクターの負傷ですね。この4つのですね、出来事が重なっています。
で、過去のロボットアニメとの差って、さっき言ったの何かって言うとですね、その基地に敵が乗り込んできて銃撃戦になるっていうのは、割とそのマジンガーZの頃からですね、どのアニメも結構やってるはやってるんですね。ところがその機動戦士ガンダム、この20話の「死闘!ホワイト・ベース」、これとの差は何かって言うとですね、大体どのロボットアニメも敵が基地に入ってきて銃撃戦やるっていうのは、その後のロボット戦闘シーンで、なんだろう、スカッとするためのある種の抑圧みたいな部分が大きいんですね。
つまり基地の中が散々やられてもうダメだという時になって、兜甲児君がマジンガーZに乗って出ていって敵と戦ってっていう、なんかこうスカッとする前の段階としてドキドキハラハラの部分として置いてるのが多いんですけどもですね、「死闘!ホワイト・ベース」はですね、そうじゃなくて真正面からこのホワイトベース内での戦いっていうのをメインに置いたところがですね、かなり画期的じゃないかなという風に思ってます。
クルーの対立っていうのはですね、今回20話なんですけど、16話からですね、ずっと撒いてた伏線っていうかですね、お話の回収なんですね。表面化してきたのがもう16話の「セイラ出撃」ですね。ブリッジにいたいい子ちゃんであるはずのセイラさんっていうのが、実はそのブライトとかのですね、命令を聞かずにっていうことで、ここで不協和音が発生して、で、17話の「アムロ脱走」、メインキャラクターが脱走する。で、18話は「灼熱のアッザム・リーダー」で、呼びに行っても帰ってこない。ホワイトベースの中ではなんであいつを呼びに行くんだよっていうことがですね、こうドロドロになってて、19話は「ランバ・ラル特攻!」、前回ですね。
ランバ・ラル特攻までですね、5話かけてるんですよ。で、この5話かけるっていうのは、例えばその機動戦士ガンダムで言えば第6話の「ガルマ出撃す」から第10話の「ガルマ散る」までの話数に等しいんですね。これだけ念入りにメインストーリーの中に入れ込んでお話をですね、作り込んでるっていうところがですね、今回の、なんだろうな、見るべきところだと思います。5話かけてずっとホワイトベースのクルーの中の不満が溜まっていったところをですね、ようやく消化するという流れになっています。
で、なんでこれを、そのホワイトベースの不和っていうのを入れたかって言うとですね、アムロという男の子がですね、その1人の男の子がいつの間にか兵隊になってるわけですね。で、「再会、母よ…」という回で、もう家族の元には戻れない、自分には帰る場所がどこにもないんだという事実をもう出したと。その事実を突きつけられたわけですね。で、「時間よ、止まれ」という話数で敵とは殺し合うことが当たり前の世界に住んでるということも分かり、「イセリナ、恋のあと」という回ではですね、殺されないために殺す、殺した相手を地面に埋めるっていうですね、そういうショッキングな出来事で、アムロという人間が、少年がですね、だんだんだんだん兵隊になってきてるんですけども、これこのまんま平気のままやっとけば、機動戦士ガンダムって多分すごい薄っぺらい話になってたと思うんですね。
その兵隊になりきれない1人の少年というのの心情を丁寧に追っていきながら、後半宇宙空間にもう1回帰って戦闘する時にですね、その時にはもう、ホワイトベースのクルーたちも自信を持って兵隊になっている状態になるんですね。だからそこに持っていくために、今そのなんだろうな、出しておくべき人間関係のドロドロっていうのを全部やろうとしてるので、この5話の間ですね、ずっと苦しい感じになっています。
で、前回はですね、一度ホワイトベースを脱走したアムロなんですけども、なんか脱走してもですね、なんかいつの間にか自分が納得できる形ですか、ただ単にフラウ・ボゥが「いい加減にしなさいよ」って迎えに来るんではなくて、例えばブライトさんなり、誰々なりの偉い人が頭を下げて、もしくはちょっと照れた感じで「もう帰ってきてくれよ」っていうような感じで、こう迎えに来てくれるのを待ってるだけの、いつの間にかアムロはそういう風になってしまってた。もうアムロも意地を張っても仕方がない。ずっと外で下手にキャンプしてるだけの状態になっちゃうんで、もういつ帰ろうか、あとはもう迎えられ方だけだっていう、自分の気に入った迎えられ方を待ってる状態なんですね。なので前回のですね、そのランバ・ラル特攻でですね、グフを倒したのにですね、そのまま独房に放り込まれてしまったというのが、アムロにとってはですね、すごいショックなお話になってました。
えっとですね、「死闘!ホワイト・ベース」冒頭はですね、このように繕い物をするミライさんのシーンから始まります。ブリッジにいてですね、その小さい子供たちの洋服をですね、ほつれを繕おう、針と糸で繕おうとするミライさんっていうのを出すんですね。で、この映像をずっと見せたまま、ミライさんの映像をずっと見せたまま、ブライトとセイラがですね、その背後で会話してます。「暗号解読が間違ってないんだろうな」ってブライトが聞くと、セイラが「ええ、オデッサ作戦発動までは動くな。何度も調べてみたわ」っていうこの会話が続くと。
で、その2人がですね、映ると、こういう感じになってるんですね。仮眠を取るということでもなく、だからと言って戦闘配置というわけにもいかないので、もうクッションをですね、ブリッジに持ち込んで、そこでお互いだらっとした格好で話してるとですね。部屋に帰って寝ることもできないような緊急体制、配置がずっと続いてく。なんでこんな緊急配置が続いてるのかというと、アムロを独房に入れててガンダムが今使えないから、ずっと警戒しっぱなしになってるからですね。
ブライトが「ランバ・ラルって言ったな」。セイラが「ええ」と。「このままでは奴に捕まるぞ」っていう風にブライトが言います。「そりゃそうだけど、マーカーとオスカを休ませなくっちゃ」という風にセイラが言います。で、「あの2人が1番疲れてるかもしれないな」っていう風に言ってるところへ、ここにですね、ミライさんが帰ってきて、「仲間に入れてもらえて?」ってミライが言うと、「ちびちゃんたちの繕い物は終わったわ」「あなたもマメね」っていう女同士の会話が続いて、ミライの膝でですね、くつろぐセイラ。このセイラがミライの膝枕でくつろぐっていうシーンがあります。
このシーンの目的は何かって言うと、もちろんホワイトベースが今どんな状態にあるのかという状況整理というか説明なんですけども、と同時にですね、そのブリッジのね、その、いつもの面子って言うんですかね、いつもいるメンバーたちのみが本音みたいなものを語り合う関係になっていると。それの危険性っていうのを語ってるんですね。いつの間にかこのブリッジにいるのは、見た目も良くて年齢も比較的ちょっと高くて頭がいいっていうですね、なんかそういうリア充っぽいクルーの集まり場所になってると。
だから実はそのカイ・シデンにしてもハヤト・コバヤシにしてもリュウ・ホセイにしても、実はこのブリッジでくつろいでないんですね。そうじゃなくて用事がある時しか来ないと。でもこの3人ですね、ミライ、ブライト、セイラの3人はですね、いつもブリッジにくつろいでると。いつの間にか一軍って言うんですか?ホワイトベースのスクールカーストの中の一軍みたいなものが作られてるというのが、ちょっとこう見た目で分かるようになってます。
で、富野喜幸という監督自体がですね、虫プロで『鉄腕アトム』を作った時に、そういう仲間に憧れ、つまり日本中から手塚様の元でアニメ作りたいと言って優秀な絵描きたちが集まってるんですよ。で、富野もその中に入っていったら、自分より絵がうまいやつがいくらでもいると。でも仲間に入れなかったっていう、なんかそういうエピソード自体は富野喜幸が自伝の中で書いてるんですね。なんかね、それをちょっと彷彿させる。その中に富野喜幸はいないんですよ。この中にいなくて、そうじゃなくて、なんかいつも結局、なんだろうな、森とかですね。そういううまくて手塚さんにも気に入られてる人たちが近くにいて、本社のいい部屋にいて、俺はなんか仕事で呼ばれてすぐ帰るだけっていうような拗ねた感じなことを自伝で書いてると。
でも、別の人が書いたですね、虫プロの本を読むと、別に富野さんっていうのはみんなは排除したつもりなくて、そうじゃなくて、富野さんってのはプライドが高くて、みんなの仲間に入ってこなかったっていう風に言ってるんですね。だからなんかそこら辺がリアルにですね、このホワイトベースのブリッジに現れてるなと思います。
で、これですね、何が問題かって言うと、例えばそのアムロをどうするのかみたいな話をここでこうやってるんですけども、実際にですね、ここにいるセイラとかブライトはアムロに会いに行ってないんですね。じゃ、誰がアムロに会いに行って、誰が現場の不満をリアルに吸い上げてるのかというと、実はですね、そのフラウ・ボゥとかですね、リュウ・ホセイなんですね、これ。
独房にいるですね、アムロをですね、フラウ・ボゥとリュウが訪ねていくシーンです。で、フラウ・ボゥが「食べてないんじゃないの?」、いきなりここからセリフが始まります。アムロは「ドアを閉めろよ、逃げ出すかもしれないぜ」って言うと、フラウが「そんなこと言わないでよ」っていう風に答えると、アムロは「あのランバ・ラルって人、必ず攻めてくるよ。ザクやグフがなければなおさら、あの人は来るんだ、絶対に」。自分でライバルと思って勝ちたいと思ってるから、ランバ・ラルのことを言うんですけども、それでもいいのかっていうニュアンスがあるんですね。こんなところに俺を閉じ込めててもいいのかと、あの人は来るぞっていう風にアムロは忠告すると同時に、ちょっと脅してる部分もあるんですね。
そうするとリュウがですね、外で見てたリュウが辛抱たまらなくなって口出してくるんですよ。「来たら来たでいい。その時はガンダムに乗る」と。俺がガンダムに乗るって言ってるんですね。で、「じゃあお前はどうするんだ」っていう風にリュウが聞くと、アムロが「ホワイトベースを降りてもいいと思ってます」って答えちゃう。リュウが「本気か」っていう風にムカッとすると、アムロが「ええ、いけませんか?どうせみんな気まずくなっちゃったんだし」っていう風に答えると、リュウが「貴様」って殴りかかると。
なんかこの「いけませんか、どうせみんな気まずくなったんだし」、だからもう僕降りますよっていうのはアムロの本音なんですけども、それを言っちゃおしまいな本音なわけですね。で、リュウが怒るのは、みんな気まずくなってるっていうのをリュウも知ってるんだけど、それを認めない、あえて気づかないふりをして、仲間じゃないか、お前反省しろよっていう、いわゆる何でしょうか、ごっこなんですけども、そのごっこを続けないと、俺たちもう1回、なんだろうな、チームワークというのが保てないぜっていう。リュウはリュウなりにギリギリ追い詰められた感じで、アムロにもうちょっと大人になれよっていう風に迫ってるんですけど、アムロはそういうのをですね、分かってても、なんだろうな、従おうとしないと。もう僕たち気まずくなっちゃって、もう人間関係バラバラじゃないですか、だからもう降りますよという。
で、リュウは思わずですね、売り言葉に買い言葉みたいなもんですけどもですね。本音を気軽に口に出せる無責任なアムロと、それをですね、知っててもちょっと飲み込んでなきゃいけない、気がつかないふりをしなきゃいけない立場のリュウっていうのがここで分かります。
そうすると、リュウがですね、「貴様」って言って思いきり殴っちゃうんですね。「本気で殴ったんだね、リュウさん」っていう風にアムロが言います。アムロはこれまでリュウに叩かれたことはあったんですけども、本気で殴られたのが初めてなんですね。で、殴ったと。そうするとリュウがですね、「いつかマチルダさんがお前のことをエスパーかもしれないって言ってたのは、俺はいかにもらしいと思ってたんだ。いい加減、いじけ虫は」っていう風に言うと、つまりなんかお前はできるやつなんだっていう風に一生懸命言おうとするんですけども、アムロはですね、もう完全にこの舐め切った顔になってるですね。せせら笑いながら「マチルダさんか。自分の言葉でお説教したらどうです」っていう風に返すと。
もうこの辺り、その当時の、なんだろうな、小学校高学年ぐらいの子供が見るもんだとされていたロボットアニメのセリフのやり取りじゃないんですね。リュウが「マチルダさんがいつか言ってた」って言うと、お前思い出せ、お前はできるやつなんだって励まそうとすると、「マチルダさんですか」と、自分の言葉で説教できないんですかっていう風に本当に小バカにしたように言うと。でもリュウがここで偉いのはですね、アムロの挑発に乗らなかったんですね。アムロの挑発に乗らずにですね、そんなことをアムロに言われたので呆れ果てたように「フラウ・ボゥ、行こう」って言って、フラウ・ボゥと一緒に出ていってしまう。
でアムロはそこでですね、独房でドアが閉まって1人きりになった時に独り言でポツンって言うのが、「1人でムキになったって、人間が変わるもんか」っていう風にポツって言うんですね。「1人でムキになったって、人間が変わるもんか」。どういうことかって言うと、このリュウさん1人がムキになったって、俺っていう人間が変わるわけじゃないしっていうことなんですよ。これもね、かなりちょっと複雑なセリフなんですけども、結局、俺はお説教とか、リュウさんが言ってるの正しいの分かりますよと。でも正論で説得されないぞと。なんでかと、俺はどうせダメなやつで、どうせみんなの輪を乱すやつで、自分の判断でやったことが間違ってるって言われて、で、結局ガンダム連れて家出したのも脱走したのも間違っていて、で、それでみんなの助けになると思って帰ってきて、で、グフと戦って倒したんだけど独房に入れられてると。俺にはよくわからないんだけど、どうせ俺が間違ってたんでしょと。なんか正しいこと言われてもできないんだよっていうような、そういう拗ね方してるから「1人でムキになったって、人間が変わるもんか」っていうですね。そういう拗ね方してるんです。
アニメとしてかなり複雑なセリフなんですね。この後、ランバ・ラル、ハモン、リュウという3人の人間の死にざまですね。で、アムロがだんだん変化する伏線です。「1人でムキになったって、人間が変わるもんか」と言いながら、3人の人間がムキになって命をかけることでアムロの心がだんだん変わっていくっていうのをですね、この後こうずっと見せていくために、一応ここがアムロのボトムって言うんですか、心が1番落ちて底を打つところの瞬間っていうのを描いています。
はい、お疲れ様でした。もう前半はですね、アムロの独房のワンシーンだけで解説終わってしまいましたけどもですね、昔見た時、この辺の、昔見た時の僕、大学生の時に機動戦士ガンダムを見たんですけども、この辺りのそのホワイトベースのみんなの仲が悪いシーンって嫌いだったんですよ。すごい嫌で、もっとみんな仲良くすればいいのにっていうですね。すごい単純に見てたんですよ。さっさと戦ってくれよとかですね。だからちょっとでも戦うシーンがあったら、クルー同士の仲がいいシーンを見つけようとして、そういう風な見方をしてたんですね。
ところが30超えてからですね、この仲の悪いシーンってすごい味わい深いなっていう風に思い出してですね、割と会社の中っぽいし、アニメ業界で働くと本当にですね、実感するんですね。そのアムロの苛立ちっていうのは何かって言うと、アムロってこう結局能力持ってるんですね。能力を持ってるんですけど、ホワイトベースの中ではなぜか平等に扱われるんですね。パイロットとはみんな能力の差があるのに平等に扱われて、どちらかというと年齢順みたいな感じで偉い人が決まっていくと。でも実際そうじゃないですよね。でホワイトベースの中のクルーも一応その艦長代理とか艦長とかですね、いろんな立場があるんですけども、でもそうじゃないだろう、能力って差があるだろうっていうのが、アムロぐらいになるとこう分かるんですよ。
で、それはアニメやってる時にすごく強く感じたんですけども、アニメってその単価、ギャラを決める時ですね、能力によって変わらないんですよ。どんなに下手なやつが描いても、うまいやつが描いても、当時のテレビのアニメだったらですね、動画は1枚150円とか200円ぐらいなんですね。だから本当はうまい動画の人はイライラして当たり前なんですよ。みんな口に出さないんですけど。で、うまい動画の人ほど難しいシーンを回されるから、せっかく俺うまいのになんであいつらと同じ200円なんだと、そしてなんで俺んとこだけややこしいシーン回ってくるんだと、こういう風なイライラがあるんです。
絵コンテも同じです。富野さんがやってた絵コンテっていうのも同じでですね。うまい絵コンテも下手な絵コンテも1本15万円なんですよね。どんなにですね、下手くそな人が作画の手間ばっかりかかって、なのにあんまり面白くない絵コンテ描いても15万円だし、すごくうまい人が枚数を制限してるのにすごく面白いの描いてもですね、やっぱ15万円なんですね。で、それはやっぱりその悪平等主義みたいな、同じアニメ作ってて、同じ少ない予算の中でやってんだからみんな一緒じゃないかみたいな。なんかね、こうテレビCMとかそういうところだったら差がつく、値段に差がつく。特に富野さんは一時期、虫プロ辞めてテレビCMとかやってるから、やっぱそういうとこ見てるんですね。
能力によってギャラの差があるところ見ると、もう1回テレビアニメの業界に帰ってきて、その平等主義みたいなとこ入ると、多分かなり心の中でも色々あったと思うんですけど、だからその辺が、その平等ごっこやめてくれよっていうアムロのですね苛立ちになった、あのセリフのリアリティはそういうところから来てるんじゃないかなと思います。
だからね、アムロの脱走とか見てもですね、本放送の時にはですね、アムロのことを心配しちゃってアムロの方の主観に入っちゃうわけですね。お前それだから浮くんだよという風に思ったんですけども、ただね、『未来少年コナン』の解説とかをしてると、本当に富野喜幸って高畑勲の弟子なんだとか、高畑派に属すんだってのが分かってて、その客観演出っていう見方が分かってきたんで、今はもう最高にこの、なんだろうな、やり取りが面白くてしょうがないんですね。
ここからの後半はですね、引き続き「死闘!ホワイト・ベース」のですね、冒頭部分についてまだ語ります。これまで解説していたですね、アムロの独房を訪ねるフラウ・ボゥとリュウ。このシーンの後にあるのがですね、ホワイトベース脱走を考える、ホワイトベースを脱走することを考えるハヤトがですね、ブライトたちの思いっていうのを確認するためにブリッジに行くシーンがあるんですよね。で、なんとなくそんなシーンあったかなって覚えてる程度のシーンですけど、これね、実はすごいんですよね。
ブライトにですね、話を聞きに来たハヤトにしても、そのちょっとした、なんだろう、トゲのある言い方にどうにか間を取り持とうとするミライさんにしても、たまたまそこに居合わせてしまったリュウにしてもですね、みんな考えてること違うんですよね。で、それを1人1人のですね、思惑を汲んでやりながらこの会話の推移を見ると、すごいリアルでえげつない、なんかこうやり取りが展開してるのが分かるんですね。尺で言うと本当に1分に満たないぐらいなんですけども、富野喜幸らしい演出というのが見れる回です。
後半はですね、そんなブリッジのシーンの徹底解説と、だからまだ戦闘しに行かないんですよ。「死闘!ホワイト・ベース」にならないんですよ。まだランバ・ラルは「この風、この肌触りこそ戦争よ」とか言わないんですよ。後半も言わないです。一瞬だけ映るマ・クベ基地の背景から推察されるですね、新型モビルスーツ・ドムの行方という話もしてるのでですね、ここから先は有料の放送になります。続きが見たい方はですね、川年アーカイブがおすすめなんですけど、YouTubeのメンバーシップですね、ドワンゴのブロマガチャンネル、どれでも結構ですが、好きなもの選んでみてください。後半が終わった後でもですね、ちょっとだけ生放送のですね、追加の解説をします。それでは後半スタートです。
で、その後ですね、またシーン変わってホワイトベースのブリッジに変わります。ホワイトベースのブリッジにですね、いきなりハヤトが現れて、エレベーターの前でこうちゃんと起立というかですね、シュッと立ってるんですね。で、「あ、よろしいですか?」っていう風に声をかけると、このさっきの、これハヤトが見ていた目線、風景なんですけども、ブライトさんとミライさんとセイラさん3人が話し合ってる。これハヤトの見た目のシーンです。
で、ここにですね、エレベーターで上がってきてパッと直立して敬礼して「あ、よろしいですか?」っていう風に声をかけると。で、ハヤトの気持ちをこれ考えてみたら、なんかね、もう身分差みたいなものがハヤトから見てできてるんですね。自分はですね、エレベーターから降りて起立して敬礼してるのに、彼らはなぜか座ったまま、なんかこうくつろいだままなんですよ。ここでもう身分差を感じてると。みんな元々は避難民で、少なくともブライト以外は同列だったはずなのに、でもいつの間にか自分と違う偉い人たちが形成されてると。で、プライドの高いブライトやセイラはともかく、ミライさんまでもいつの間にか上の人になっちゃってると。
だからそういう理屈はやっぱりハヤトも分かりながら、なんなんでしょうね。分かりながらもですね、ちょっと愉快ではない。別に愉快ではないというとこを見せないんですよね。富野の演出っていうのは、このハヤトの見た目をポンと見せることで、ハヤトがどういう心情か、ちょっとこの異常な絵を見て分かってくれと。ハヤト・コバヤシはなんで敬礼してんのにこいつらこんなダランとしてるんだっていうのを見せるだけで、こう演出として流してるところが、なかなか見てる者に読解力を要求するんですけども。
ハヤトのセリフです。「すいません。アムロのことなんですけど、ブライトさん、彼を外すつもりないでしょう」っていう風に問いかけます。ブライトが「なぜそう思う」って言うと、ハヤトは「独房に入れるってことはアムロの反省を促してるわけで、つまり当てにしてる」という風に言い当てるですね。そうするとセイラが「そうね」っていう風に言うと、ミライが「元々アムロを外そうと言い出したのはブライトだけど、どうなの」っていう風に聞きます。
このセイラとかミライの話っていうのは、アムロを外そうと言い出したのはブライト、これは実はミライさんしか知らない話なんですね。で、それをですね、あえてセイラとかハヤトの前で自分から言う。これどういうことかって言うと、ミライはミライで、この自分となんだろう、ブライトだけの話で進んでいくのが良くないと。もっと合議制っていうのかな。ホワイトベースの中のことはみんなともっと話し合って分かち合って解決すべきだと思ってる。だから本音を話す場として、せっかくだからこの場を作ろうとしてるんですね。
でもしかしハヤトはですね、この後脱走するんですね。脱走するための判断材料を探しにブリッジに上がってきたわけですよ。ブリッジに上がってきたのは、独房に入れるってことはアムロの反省を促すわけで、だからブライトさんはアムロを外すこと考えてないわけですよねっていう風に確認に来たと。で、この確認ができたので、ハヤトの中ではすごい冷たい決断、熱い決断じゃないんです。どうせっていうような、カイのような怒りではなく、ハヤト・コバヤシの中で起きたのはすごい冷たい。ああ、そうなんだ、ここはこういう場所なんだ、もう俺の中ではここで一緒に戦うモチベーションっていうのはなくなっちゃったよな、じゃあもう船から降りようかっていう、すごい冷たい決断をやることになるんですけども、それを知ってか知らずか、ミライさんはせっかくだからここで情報シェアしましょうって言って、みんなで話し合う感じに持ってってしまうわけですね。
と、ミライにですね、「アムロを外そうと言い出したのブライトだけど、どうなの」っていう風に本音っぽく聞かれたので、ブライトさんもついつい本音で答えてしまう。「アムロはガンダムを持ってジオンに逃げたってよかったはずだ」と。ガンダムを手土産にして、なんだろう、ジオンに降伏できたはずだと。「それをしなかったのはなぜかと考えてみたのさ。そしたら」っていう風に言うと、カイがですね、こういつの間にかカイが入ってきてですね、こんな感じでですね、「望みが持てそうっていうのかい」っていう風に話しかける。ブライトが「ああ」って答える。そうするとカイが「アムロが帰ってきたのは一時的なホームシックみたいなもんさ」っていう風に言い切ってしまうんですね。
で、「しかしなあと一息だと思わんかな、リュウ」って言うと、どんどんこう増えてくんですけど、ブリッジにリュウが入ってくるんですね。で、「なあ、リュウ」っていう風に聞かれると、リュウが入ってきたらですね、「アムロのことか」って言った後、これ「アムロのことか」という時にはですね、正面のブライトの方を向いてるんですよ。ところが何も言わずに一瞬カイの表情を読んで、これカイの表情を読んでから、もう1回前を向いて「うん、大丈夫だろう」っていう風に言うんですね。この辺りもやっぱガンダムの、そう、すごい微妙な演技なんですけども。
この、うんとですね、大丈夫かどうかって聞かれたら、リュウはついさっきアムロをぶん殴ってきたところだから全然大丈夫じゃないんですよ。でも今聞かれたらですね、そのカイとかの前では本音を言うわけにいかないですね。なので「大丈夫だろう」っていう風に言わざるを得ないんですね。リュウにしてみれば全員が甘すぎるんですね。全員が甘すぎて、ブリッジでこんな話を不用意にみんなで共有するっていうのもミライさんの甘い考えだし、それに乗っかっちゃうのもブライトは間違ってる。ブライトがその全部決めるつもりだったら他の人間に相談しちゃいけないし、みんなで合議制みたいなことやっちゃいけないっていうのは分かってるんですけども、一応ですね、そこでこれ以上こじらしてもなんだということで、カイの顔をちらりと見てから「うん、大丈夫だろう」って答える、政治的な発言っていうのをするわけですね。
ブライトはアムロを気遣うようなことを言ってるんですけども、実際に独房に足を運んでないんですよ。で、それはハヤトにしてもカイにしても、結局アムロの独房に足を運んでないんですね。アムロの独房に足を運んでちゃんとアムロと話し合って、たとえ喧嘩になろうともぶつかり合ったのって、そのフラウとリュウ・ホセイだけなんですね。この辺のそのリュウ・ホセイの立ち回りっていうのがなかなか分かりにくいんですけれども、かなりすごいことを彼は、なんだろうな、内側でやってるんですね。
気まずい対立を避けて、結局ブライトたちがやってるのは何かって言うと、もうこういうことなんですよ。気まずい対立を避けて身内同士で話し合うだけで、なんか解決しようとしてるわけじゃないですか。でも本当はそれで何も解決はしない。でシーン変わります。えっとですね、夜の砂漠なんですけども、分かりやすいように引っ張ってきて見ました。歩哨が立ってて、見張りが立っていて、その奥にギャロップ、カーゴ、ザクです。
ギャロップっていうのはこの大型のホバークラフト、地上戦艦みたいなもんですね。で、それに引っ張られるですね、トラクターというかですね、何でしょう?トレーラーですか?トレーラーがこのカーゴです。で、戦闘兵器のザクがですね、ロボットがここに置いてあります。これを見せてですね、で、このギャロップの中にですね、カメラが入ります。
クランプっていうですね、ランバ・ラルの副官が「ラル隊へ、ドズル閣下からの電文です。マ・クベ閣下から中継していただきました」っていう風に報告します。そのラルが「ハモン、いいニュースだ。陸上タイプのモビルスーツ・ドムを3機回してくれるそうだ」という風に言います。クランプは「ラル隊へ、ドズル閣下からの電文です」っていう風に電文、紙を渡すと。で、これどっから来たかっていうのは「マ・クベ閣下から中継していただきました」。つまりマ・クベはこの内容をすでに知っているっていうことを伝えながらラルに渡す。そうするとラルはその電文を読んだら、ハモン、いいニュースだと。陸上タイプのモビルスーツ・ドムを3機回してくれると。
もうランバ・ラルはグフも倒されてしまったので、この古いザクが1機しかないんですね。そこに新型のですね、モビルスーツ・ドムを3機一度に回してくれるってことでランバ・ラルは喜びます。ハモンは「ドム?」、モビルスーツ。ここで初めてドムっていうモビルスーツって言葉が出てきます。なんかまたジオンの新兵器が出てくるのかっていう風にですね、ちょっとロボットアニメとしてはテンション上がるところです。ラルは「ハモン、移動するぞ。ドムを受け取ったら我々は直ちに木馬に攻撃をかける」という風に言います。
ランバ・ラルたちが苦戦していることを知ったドズルがですね、ドズル・ザビですね。ジオンのですね、宇宙軍の総司令官がですね、新兵器のドム、地上戦専用のドムをですね、3機、いっぺんに3機手配して送ってくれたという知らせです。で、ランバ・ラルの「ドムを受け取ったら我々は直ちに木馬を攻撃できる」、ホワイトベースを攻撃できるっていうセリフは、この補給があるからこそ戦争ができるって意味なんですね。攻撃できると。前回の戦いでグフを失って、そのもう1つ前の戦いでパイロットと同時にザクを失った、もうランバ・ラル隊にはですね、もはやガンダムとの真正面の戦闘継続は不可能なんですね。やっても勝てない状態に追い込まれてるわけです。なのでランバ・ラルはですね、この知らせにすごい喜びます。
しかしですね、これ僕ずっとね、長々話してるんですけども、このカットまでですね、オープニングのタイトルが終わってセリフ始まってから2分20秒しか経ってないですよ。なぜかその、なんだろうな、「死闘!ホワイト・ベース」っていうのが出てからですね、2分20秒でここまでドラマを持ってくるっていうのはですね、こうかなりすごいんですけども、今回も本当にドラマ密度が強すぎて、1秒も無駄もなくずっとお話が進んでいくんですね。ここまでが2分20秒です。
で、このセリフのやり取りで2分50秒の位置でですね、マ・クベ本拠地っていうのが映ります。これカメラが上から下にこうずっとパンして降りていくんですけども、上の方にですね、こう地上戦艦みたいなものがあって、岩山があって、地上戦艦があって、ずっと岩山の下にですね、巨大な砲台があって、戦艦とかに載ってる大きい砲台があって、ここにですね、覆いをかけたトレーラーが3つあります。それがおそらくドム3台、モビルスーツ・ドムってやつが3機あるんですよね。で、ここにエレベーターがあって、このエレベーターがすっと消えてくところまで、こう上から下までカメラがパンしてきたら、それと同時にこのエレベーターがすっと下に降りるところで、カットが変わります。
ナレーターですね。「キシリア配下のマ・クベ大佐の部隊は地球で最大の鉱物資源を押さえていた。ここはそのマ・クベの本拠地である」。マ・クベの本拠地ってのがちゃんと映されるわけですね。で、マ・クベがですね、自分の部屋でのセリフです。「ランバ・ラルはこの辺りの私の鉱山を知りすぎた。キシリア様がジオンを支配する時にこの鉱山は役に立つ。実態はギレン様にも知らすわけにはいかんのだ」っていう風に言います。ウラガンっていうですね、マ・クベの手下が「はっ」と言います。マ・クベが「次の手は分かっているな」っていう風に聞くと、ウラガンが「しかし、あの方の依頼を握りつぶしたことに」って言うと、マ・クベが「心配ない。ランバ・ラルはそう考えません」って言うと、ウラガンが「はっ」って答えます。
これどういうことかって言うと、ここにもうドムが来てるのにですね、これを渡さないようにしてるんですね。マ・クベはこのなんだろうな、ものすごい、うーん、防衛された深い要塞の奥にいてですね、で、ランバ・ラルをこれから謀略で陥れようとしてるんですね。せっかく配備されてきたドムっていうのを渡さない。では、だったらランバ・ラルは攻撃をやめちゃうんじゃないかっていう風にウラガンが考えると、いや、そうじゃないと、ランバ・ラルはそういう男ではないっていう風に言って、これからですね、追い落としていくのが分かるんですけれども。
で、このシーンですね、ランバ・ラルが補給をもらえると思って喜んでるシーンを見せた後で、このシーンで実はその補給がもうないんだぞっていう風に見せます。そうすると次またホワイトベースになって、部屋でですね、寝ていたリュウ・ホセイですね。部屋で寝ていたリュウ・ホセイのところにバッと無線が入って、内線が入って、で、セイラからですね、「リュウ、ハヤトたちが出ていったのよ」っていう風に言うと、リュウが寝ぼけ眼で起きて、「なんで、セイラさん」って言うと、「ハヤト、カイ、ハワード、マクシミリアンの4人が出ていったの。追いかけて」っていう風にセイラに言われた。で、リュウが「とにかく追いかける」っていう風に言って、こういう風に怒ってるんですね。「全くどいつもこいつも勝手な真似しやがって」ともうブリブリに怒ってるんですけれどもですね。
ということでですね、その対立っていうのがですね、もうどういう風に進むのかわかんないんですね。リュウはリュウでなんとか収めようとしてると。みんなが不満があって、さっきアムロを殴ってきたばっかりなのに、ブライトに「いや、アムロはなんか反省してるよな」っていう風に言われたら「まあ大丈夫だろう」という風に答えて、自分を抑えて一生懸命やってるのに、みんなが勝手なことやって、でついに安全牌だと思ってたハヤト・コバヤシとかですね。カイはちょっと危なかったんですけど、他の2人、マクシミリアンとかですね、ハワードとか聞いたこともないようなキャラを誘ってですね、4人で脱走するようなことで、もういい加減にしろと、どいつもこいつもどうなってんだと思って走っていくですね。
ここまでですね、まだ3分50秒しか経っていませんけれどもですね。では20話ですね、「死闘!ホワイト・ベース」の第1回を終わります。お疲れ様でした。はい。どうもお疲れ様でし
もう笑っちゃったんですけど、リュウが怒ってこんな感じで怒り狂ってこう出ていくところですね。なんか男塾みたいですよね。番長漫画見てるみたいなですね。なんかあそこでちょっと気が抜けて面白かったです。解説、やっぱね、もう1回見てと思ったんですけども、やっぱねセイラ嫌な女ですよ。本当にセイラが悪い。
ブリッジにいる人たちってやっぱり自分たちで意識してないんですけど、エリート組なんですよね。エリート組というか、クラスのカースト制度で言うと、スクールカーストで言うと1組みたいなもんなんですよ。で、そこにハヤトが行って、ハヤトはルール守って夜中でもやっぱブリッジに行くから、軍服着てエリまでちゃんと詰めて入ってるわけですね。で、そこにブライトたちは、自分たちはもうずっとブリッジに詰めてるからこれぐらい当たり前だよと思ってリラックスしてると。で、そん時の寝そべり方が、みんな寝そべってるんですけど、セイラさんが1番やっぱすっげえ寝そべり方してて、おまけに足立ててんですね。足あげてるんですけども、あれ本当にね、なんかヤリマンの格好っていうかですね。本当スクールカーストで言うと、髪の毛をもう金髪に染めた1番派手な女が足ガーってやって、でも育ちがいい。お姫様だからってですね。まあ、またたまんないというかですね。勘弁してくれよと。童貞のハヤト君にはもう本当刺激が強すぎる。こいつら俺がいないところだったら何やってんだとか思ってもしょうがないようなシチュエーションなわけですね。セイラさんの、なんですかね、人を見下げる感じがよく出てるですね。この後性格がどんどん良くなってくし、割とアニメ見てる間、この子は実はいい子なんだって分かるようになってるんですけど、こん時のハヤト君の目線で考えたらどうなるのか、高畑演出的に見ると、このシーンやっぱね、趣深いですよね。
童貞感の強いハヤト君から見たら、ブライトさんはどう見ても女はべらしてるように見えると。見えるというかですね、富野さんはそう描いてるわけですよね。1人パツキンですよ。はべらしてる女。ムカつきポイントなんでしょうね。
さて、次回は「死闘!ホワイト・ベース」の2回目です。前半Aパートの最後までを解説します。ハヤトが脱走したと聞いて、もう本当に肩をこんな風に怒らせながら、男塾みたいになりながら1人飛び出していくリュウ・ホセイですね。解説した通り、今回の話の中でリュウさんの、責任感があって男らしくかっこいい。そして自分の感情を抑えるところもあるし、あとあえて感情を爆発させてみんなをなだめに行くと。でもみんなと車を走らせながら会った時は割と冷静に話をするって、そういうところがよく描かれたりしました。これはもちろんリュウさんに徐々に徐々に死亡フラグが立っていく。見てるものにしてみたら、もう他全部ダメでもこいつがいるから大丈夫だと3、4話がかりで思わせといてという、富野の集ですね。
それに対して、やっぱりこの、なんだろうな、5回ぐらいで運が悪いというかですね、悪いところが描かれてる、かっこ悪いのがブライトさんなんですよね。ハヤトたちが逃げ出したと聞いて、殴り倒してでも連れ帰ってくれ。リュウは殴り倒してでも連れ帰ってくるって言うんですけど、実際そんなことしないわけですね。そんな時に、本当言えば、ホワイトベースはこん時に戦闘体制になると思ってないので、俺も行くと言うべきなんですよ。やっぱりなんかトラブルがあったらリュウに頼むんではなくて、俺も行くっていう風に一緒に行って、怒ってくれるリュウをなだめるようなポジションでブライトさんが行けばまた変わるんですけど、やっぱこの時もブライトさんは頼むっていうだけなんですね。頼むっていうだけ。ここんところがやっぱりね、まあ情けないんですけど、そんな情けなそうに見えるブライトさんは、割とかなり成長してるところがある。それどこかということで、次回はブライトさんのそんなかっこ悪いところと同時に、そんな中でもちょっとずつ成長を描いている、そういうのを語っていこうと思います。
まずは前回の流れを軽くおさらいすると、一旦は家出したものの、ホワイトベースの危機を知りアムロは帰ってきたんですよね。ところがブライトさんは、アムロの言い分を聞くんではなくて、もうとりあえず独房に放り込んでしまいます。で、リュウさんとかフラウ・ボゥは、そんなアムロに会いに行って、リュウさんは「お前のこと褒めてたぞ」とか言って励ますわけですけど、アムロ君は完全に腐ってると。ところが、そんなアムロの処置を見て、独房に放り込まれてアムロはもう大不満でぶくれてるんですけども、逆にハヤトやカイといったアムロ以外のモビルスーツのパイロットたち、これも不満を持ち始めます。なんでかと言うと、独房に入れるということは要するに反省を促してるんであって、独房期間が終わったら、またこれまで通りアムロがパイロットとして、いわゆるガンダムのエースパイロットとして持つことになるんじゃないか。そういう不満があるんですね。なので、その件もあって、ハヤトたちが家出をしたっていうのが前半でした。
今日は、そんなハヤトたちを連れ戻すためにリュウさんが激おこぷんぷん丸になりながら、もう言わねえかそんなの、ホワイトベースを飛び出して迎えに行くって話ですね。前半の無料放送での注目ポイントは、飛び出していくリュウを見送ってしまったブライトさん。一緒に行かずについつい見送ってしまったブライトさんですね。本当は自分も説得に行かないとダメなんですよ。ダメなんですけども、頼りになるリュウについつい任せてしまうというのはリーダーとしてはどうかなと思うんですけども、同時にそういう自分のダメさを自分自身でちょっと認め始めた、ここら辺に成長ポイントがあるんですね。ハヤトたちが出ていった本当の理由っていうのを、そこで語ってくれるという回です。今回も無料の終わりに追加の解説をするのでお楽しみにしてください。それでは、機動戦士ガンダム「死闘!ホワイト・ベース」第2回目の解説です。では講座スタート。
機動戦士ガンダム講座第20話、「死闘!ホワイト・ベース」の第2回をお送りします。前回は、ホワイトベースの中で色々トラブルがあったんですけども、リュウさんが寝てるところに、カイ・シデンとハヤト・コバヤシ、ハワード、マクシミリアンの4人が脱出した、追いかけてっていう風にセイラさんから叩き起こされて、リュウさんがブリブリに怒りながら、「全くどいつもこいつも勝手な真似しおって」という風に怒って走っていくんですね。で、ホワイトベースの、なんだろう、あれ何て言うんだっけな。ハンガーだ。格納庫に行って車に乗って、ガーっと車を出そうとしてると、ブライトが向こうから走ってくるんですね。で、「リュウ、頼む」っていう風に言うんです。いや、頼むって言うんだったらお前が行けよって思うんですけども、ここがブライトさんの弱いところで、俺はどうせ人徳がないから、人望がないから、行ってもみんな帰ってくれないと。ここは人望があるリュウに行ってもらおうと。この発想がいけないんですね。人望がなくても行った方がいいんですけども。そんなこと俺が分かったのは50過ぎてからですからね。やっぱり20代、30代、40代のもついついそういうことは、人望があるなんとかさんに行ってもらってとかに考えちゃうんですよね。でもトップの人間はそういう時に、その手間を惜しまずというか、怖さを抑えて、なんかみんな言うことを聞いてくれないんじゃないかっていう怖さを抑えて行かなきゃいけないって分かったのは、俺が50過ぎてからですから、もうこん時のブライトを責めるわけに俺はいかないんですけども、まあ分かると。
「リュウ、頼む」っていう風に言うと、「任せとけ。殴り倒してでも連れてきてやる」っていう風にリュウが言うと。この「殴り倒してでも」っていうのもすごいセリフで、どういう意味かって言うと、逃げるやつの気持ちがリュウにはよくわかるわけですね。だから帰ってこいっていう説得する言葉なんかないんですよ。ないので殴るしかないんです。殴り倒してでも連れて帰ってくるっていうのは、もう殴り倒すぐらいしか連れて帰る方法がないけど、それでもみんなで一緒にいなきゃ生き残れないんだ。だから殴り倒してでも連れて帰ってくると。
そうすると、そこにリュウが車を、バギーをガーンと走らせてから、ようやっと走ってきたミライさんが、リュウの後ろから声かけます。「リュウ、私も行くわ。連れてって」って言うと、リュウが「すぐ戻りますよ」って車をバーって行くと。ミライさん偉いですよね。ミライさんは、こういう時はトップが行かないとダメだというのはよく分かってるんですよ。「リュウ、頼む」っていうブライトと、「私も行くわ、連れてって」っていうミライさんの、この、行かないブライトと、行って対話しようとするミライっていう対比を見せてるんですけど、しかしね、この場面とかでブライトのダメさとミライさんのできる部分っていうのを見比べするのはね、実は気の毒なんですよ。
ブライトには立場があって、その立場、艦長という立場のおかげでプレッシャーで潰れそうになってるんですね。でもミライにはその重いプレッシャーがないから、気軽に正しいことができるんですよ。で、これだから目も配れるし、いろんなとこに目も配れるし、一見優秀に見えるんですけども、これ後で、ブライトが倒れてしまってミライさんが艦長代理になる回っていうのがあるんですけど、そん時のミライさんはもう判断ミス続出で、全く意外なほど使えないのが分かると。だから人間っていうのは、その立場とかプレッシャーで、その能力っていうのがやっぱこう、なんだろうな、出せたり出せなかったりするんで、この1つだけを見てブライトはダメだ、ミライはすごいっていう風に言うのは気の毒なんですけど、今回はとりあえず「頼む、リュウ」っていうのと、「連れてって、私を連れてって」っていうので、ちょっとお互いの器が見えちゃったところがあります。
その後、リュウが行ってくれた後、ブライトとミライがハンガーで本音を言うシーンがあります。「はっきりしたやつだしな」っていう風にブライトが言います。ミライが「私たち、アムロのことをそんなにひいきにしてたのかしら」って言うと、ブライトが「みんなが1つ考え落ちしてたのさ」。「考え落ち?」ってミライが聞くと、ブライトが「アムロがいない間、指揮者としての僕はひどく不安だったってこと」。ミライが「不安?」って聞く。これ演出でよくやるんですね。相手の言葉尻の同じ単語を聞くっていう聞き方をして、聞いてる人間、視聴者にとってはっきり分かると。みんなが考え落ちをしてるって言うと、ミライが「考え落ち?」、言葉だからミライが聞き直す。指揮者、僕は不安だったってブライトが言うと、「不安?」っていう風にミライが聞くと。こういうセリフの使い方してます。
ブライトが「君も星回りのいい女性だと思ってる。しかしアムロだ。あいつがいなくなった時感じた不安っていうのは、これは絶大だ。一体何なんだろうな」っていう風に言う。ブライトがようやっとここで出した本音みたいなもんなんですけども、カイとかハヤトは、アムロをひいきしたから不満になって出ていったわけですね。ところがそれが本当の不安だろうかと。みんな考え落ちしてるっていうのは、ブライトが言ってるのは、それぞれ全員が考えている自分の動機っていうのは違うよと。そこの奥に1つ隠れてるだろうっていうのをブライトは指摘してるんですね。アムロがいなくなった時の不安っていうのがあるから、だからブライトはアムロにきつかった、独房に入れといたと。同じように、今アムロに対してひいきだと思ってる奴ら、あん時アムロが逃げた時に怒った奴らっていうのは、なんでそんなに怒ったのか、なんでそんなにひいきだと思ってるのかと言うと、自分と同じようにアムロがいなかった時にすごい不安だったからじゃないかっていう、なんか人間として自分の弱さに気がつくっていうのを、今実はブライトがしているっていう大事なシーンなんですね。ブライトはその不安をはっきり口に出して認めたと。そういう成長があるんですよ。だからカイやハヤト、セイラもその不安を感じてるはずなのに、気づかないふりをしてると。だからこそ余計に、アムロに頼っているように見えるブライト、アムロをひいきしてるブライトを認められないわけですね。それは自分の中の、アムロが実はいなかった時の不安というのが大きいからこそ、そこでブライトに対して怒ったり、もうこの船の中でやっていけないっていう風に不安を、不満を口にして脱走するっていうのは、それがあるからだと。でもそれは自分でも気がつかなかったことだから仕方ないなっていう風に、こうブライトは頭掻いてるんですよ。
本当にね、すごい難しいセリフ、難しい人間関係っていうのをやろうとしてるので。機動戦士ガンダムっていうのは、こんなことを別に押さえなくても、ホワイトベースの中でいろんな不満があったっていう風に考えてスッと流してみることできるんですけども、なんでこの回で、それまですごいいい子だったハヤトが脱走したのか。カイが一緒に脱走したのは、普段からいっぱい文句言ってるからっていう風に見えるんですけども、その奥に人間の心理っていうのはどんなものが流れてるのか。富野さん自身が、すごい、人の言ってることの裏を探ったり、グチグチ考えたり、すねたりする、言っちゃえば人間としては嫌な性格、最低な性格だからこそ、そこで作られてる人間ドラマというのはものすごいレベル高いんですね。だから、その辺ちゃんとこう、なんだろう、見取ってあげないと、このままハリウッドでガンダムが映画化されるという時に、かつて富野がどこまでやったのかっていうのが分かんないままされちゃうのはちょっと嫌なので、話しておこうと思いました。
で、シーン変わります。リュウが、逃げたハヤトたちを追いかけてる時に、またカット変わって、この奇怪な岩山が現れます。この奇怪な岩山、この後カメラがパンして、同じような岩山がずっと続いて、そこに全部四角い穴が空いてるんですよ。これ岩山の中腹あたりに掘られた四角い穴なんですけども、おそらくこれジオンの砲台なんです。隠れた砲台か、もしくはここに大砲があったんだけど撤去した後なんですね。それが地平線までずっとこう続いてるんですよね。だからこれだけ大規模に中央アジア全体を勢力下に置いているっていうのの証拠なんですよ。このなんだろうな、巨大な岩山に掘られた穴。かつてあった砲台。それが地平線までずっと続いてる。このマ・クベの本当は持っている軍事力、勢力こそ、ランバ・ラルに1番見せたくなかったものなんですね。これを隠すために、これまでマ・クベというのは色々策を弄してきた。しかしこの岩山がパンしたら、そこの間をランバ・ラルのギャロップがバーっと走ってると。もうついにマ・クベの秘密を見てしまうわけですね。それもこういう、穴が開いてる岩山を見せるだけのシーンでやってます。
で、そこの岩山の間でギャロップが止まってると。そこでブリッジで、ランバ・ラル、ハモン、クランプの3人が待っていると、時間になっても補給のドムが来ないですね。さっきの岩山の間の待ち合わせ場所で待ってるんですけども、補給のドムが来ない、不安になってる。ランバ・ラルが「ポイントA13、間違いない、間違いないのだな」って言うと、クランプが「はっ、30分は過ぎている」って言うと、ハモンが光を見つけて「あなた、光よ」って言うと、「いや、あれはマ・クベの部隊のものだ」。その光もすごい小さいですね。見たらウラガンっていう、マ・クベの部下が小型機で着陸してくるわけですね。
で、いきなり、見たことがないようなランバ・ラルの、ショックを受けた顔。「ドムは、ドムは届かんというのか」と。もうずっと期待したドムが結局届かないという報告を受けて、ランバ・ラルはパニックになっちゃうわけです。声を荒げてしまいます。アムロのガンダム相手で腕を切り落とされて、グフを倒された時でも余裕こいてたランバ・ラルが、これは予想してなかったと。まさか敵ではなくて味方に後ろから刺されるとは思ってなかったからですね。「ドムは届かんというのか」っていう風にランバ・ラルがパニックになると、ウラガンが「はっ、誠に残念です。我がマ・クベ部隊の援護も間に合わず、中央アジアに入る直前で補給船は撃破されて、ドムは」っていう風に言い訳します。もちろん嘘です。さっきも見た通り、マ・クベの基地にはランバ・ラルの、ドムを乗せたトレーラーが3台到着してるから、ウラガンが言ってるのは口から出任せなんですよ。で、ウラガンがずっと言い訳をすると、ランバ・ラルはそれをもう遮ります。「いや、このランバ・ラル、たとえ素手でも任務はやり遂げてみせるとマ・クベ殿にはお伝えください」。もう、たとえ素手でも任務はやり遂げてみせますという風にマ・クベに伝えろっていう風に言って、相手の言葉を遮ってしまうんですね。
で、ウラガンが「失礼いたします」という風に帰っていく。ウラガンが帰る時に、ランバ・ラルを後ろでちらっと見ながら、「なるほど。戦バカとはこういう男のことを言う」っていう風にあざ笑います。あざ笑う理由は、なんかマ・クベに、ランバ・ラルにはドムを届けるな、嘘を言えっていう風に言われた時に、それはなんか、なんだろうな、依頼を握りつぶしたことになるし、後でまずいことになりませんかっていう風に反対しかけたんですよね。だからその反対が、実はマ・クベへの抗議っていうのが正義感からではなくて、バレたらどうするんですかという意味だったと。でもマ・クベのセリフの「心配ない、ランバ・ラルはそうは考えはせん」っていうのを思い出して、なるほどって腑に落ちたわけですね。戦バカとはこういう男だという。俺は、ウラガンは、俺は賢いので、上司に恵まれてるので、こんなバカな目に遭わずに済んだ、ああ戦バカでかわいそうだなっていう風に、ランバ・ラルにちょっと同情したような感じの表情になっています。
で、ウラガンを帰してしまった後のランバ・ラルたち、3人でギャロップの前で話し合います。もうランバ・ラルは焦ってないです。さっき見せたパニックの表情が収まって、割り切ってできることのみを考えてます。で、ハモンが聞きます。「で、どうなさいます?」っていう風に聞くんですね。
そうするとランバ・ラルは「お前の言う通りになったな。補給戦力を当てにせず」っていう風に言います。「お前の言う通りになったな」っていうのは、やっぱり何話も前からハモンは、マ・クベ様を信じぬようにとか、マ・クベ様はちょっと信用できない方と聞きますというようなことで、ずっと進言してたんですね。で、「案ずるなハモン」とか「心配するなハモン」という風にずっと言ってたんですけども、押しとめたんだけども、いやあハモン悪かった、お前の言う通りだったよ、ごめんなっていうニュアンスなんです。「お前の言う通りになったな」っていうのは。でもいちいち謝らないんですね。ここでいちいち落ち込んで、俺が間違ってたという風に言うんではなくて、「お前の言う通りになったな、補給戦力を当てにせず」、元々の俺たちのやり方でやろうかっていう風に、もう気持ちを取り直してくんですね。ここでなんかね、その謝らない、ハモンがこれまで正論を言ってて、それを自分が押しとめたんですけども、それに関していちいち謝らないところが、ちょっとこのキャラクター同士の信頼関係の厚さだっていう風に見えますね。この辺説明しにくいんですけどね。ここでランバ・ラルが「お前の言う通りだったな、ハモン。すまん。わしの間違いだった」っていう風に言っても、多分状況は何1ついいことないんですね。それよりは「お前の言う通りになったな」っていう風に言って、ハモンの、なんだろうな、悔しさみたいなものを一旦受け止めて、すぐ体制を立て直すことを考えてる。この頼りになる感じが、やっぱランバ・ラルの、今回もずっとランバ・ラルはいい男なんで、魅力だと思います。
で、「補給戦力を当てにせず、元々」っていうシーンで、ギュイーンっていうエンジン音がかかって、さっきの笑って去っていったウラガンの飛行機が垂直上昇をするシーンが入ります。で、垂直上昇をすることで会話が遮られます。で、この3人はその垂直上昇する飛行機をずっと見てるんですけども、「補給戦力を当てにせず、元々」のシーンで、ギュイーンってエンジン音で会話が切られたわけなんですよ。そうするとランバ・ラルのセリフが、「元々ゲリラの私の戦法で行こう」っていう風に言います。この2回目の「元々」が絞り出すような言い方するんですね。「補給戦力を当てにせず、元々」、ギュイーンって言って飛行機がヒューっと行って、なんかこう嘘をついて俺たちを騙した奴らが去っていった後、「元々ゲリラの私の戦法で行こう。どうだ?クランプ」っていう風に副官のクランプを見ると、クランプがなんか笑って、「その方が兵も喜びます、隊長」っていう風に答えます。その方が私たちの部下も喜びますっていう風に言うんですね。このクランプのセリフももちろん嘘なんですよ。もう全員がゲリラで実戦で鍛えられてきたから、有利な条件で戦うのがいいのが当たり前。その方が生き残れるのが当たり前なんですけども、もう状況がこういう風になったので、元々の俺たちのやり方で行こうっていう風に言われると、「その方が兵も喜びます」っていう風に、もうこいつも男気で返してるんですね。なかなかかっこいいシーンです。
はい、お疲れ様でした。前半ここまでです。今コメントで流れたんですけども、本当安彦さんいい絵描きますね。このクランプなんて、その顔と、ヘルメットの庇のパースなんか変なんですよ。歪んでるんですけど、歪んでるからかっこいい。いわゆるその帽子を斜めに被ってる感じになってるんですね。よくドイツ軍とかアメリカ軍とかの兵隊が、帽子をちょっと斜めにしてかっこいい感じになってるのは、クランプ、ヘルメット真正面からかぶってんです。ここの庇だけが、なんだろうな、斜めというか、ちょっと向きを少し歪めて描いてるのが、クランプのこう、なんですかね、油断ならない感じ、できる軍人感が出てきて、いや、安彦さんの絵っていうのは本当に力あるなという風に思います。でも最後のやり取り、やっぱかっこいいですよね。ああいうの描かせると本当に、溜めて描いてる、ずっと溜めて溜めて描いてるところに、ようやっと3人の芝居がすごい生き生きしてると思います。
また前半の追加解説なんですけども、やっぱブライトが、ミライに弱音を吐けるようになった。つまりあそこで、みんなの心の分析、みんなはアムロがいなかった時に自分でもびっくりするぐらい不安になったから、帰ってきたアムロに対して素直に喜ぶことができない、許すことができずに、逆に許せないって気持ちになっているっていう、すごい、人間としての分析をするんですけども、それをミライに対して弱音として言えるようになったっていうんですね。すごい不安になった、あれは一体何なんだっていう風にミライに言うんですけど、こういう、徐々に徐々に他人に対して不安が言えるようになってるところが、ブライトの成長だと思います。ブライトは最初は、その指揮官というのはこうでなければっていう、だってもう軍人が自分とリュウ・ホセイしかいなくて、他全部素人なんだから、軍人っていうのはこういうもんだという風にはっきり見せなきゃいけないわけですね。で、軍規っていうのも、軍のルールは必ず守る。上官の命令は復唱する。復唱して必ず守るっていうのも、士官学校から入ってるブライトにしてみれば当たり前のことなんですけども、その他の子供たちはそういうの知らないわけですから。自分が人一倍、その、なんだろうな、立派な、あら、ちょっとすいません。今チャイムが鳴ってしまいました。処理してますから、気にせずにこのまま続けます。自分が人一倍立派な司令官、指揮官にならないとダメだという風に、ついつい思っちゃうわけですね。ところが、その立派な指揮官っていうのはこの世の中には存在しないんですよね。立派な指揮官っていうのが存在しなくて、そのパーソナライズされたって言うんですかね。つまり艦長っていうのは、望ましい艦長っていうのはこんなもんだっていう像ではなくて、自分が艦長になるとしたらこんな艦長だろうな、これがその自分らしいパーソナライズされた指揮官像なんですよ。でもブライトはまだそこに至ってないんですよね。ブライトはまだまだその理想の指揮官っていうのかな、理想の艦長みたいなものがあって、自分はそれを演じなければいけない、割り切らなければいけないという風に思ってるので、なかなかそこら辺、割り切れなかったんですね。
多分ね、ブライトが自分らしい指揮官になれたのは、ジャブローに行った辺りぐらいからですか。ジャブローで、ホワイトベースは以後こういう風に独立して動いてくれっていう時に、「それはつまり囮ということですか」っていう風に言い返せた辺りですか。言い返せた辺りがブライトの自分らしい指揮だと思います。そこは多分ね、それまでのブライトだったら、ちゃんとした軍人、ちゃんとした艦長だったらそういうこと言わなかったんですけども、その辺が、なんかブライトの成長だと思います。変なもんですよね。ちゃんとした指揮官にならない方が成長につながるっていうのがですね。まあまあ面白いもんです。軍、多分組織は末端に行けば行くほど自分を殺してる方が成長につながるんですよね。でも組織の上に行けば行くほど、その模範ではなくて、それを崩す方がこう成長につながると。なんか武道の達人の話とか、そういうの聞いてるみたいです。武道にしても何にしても、多分日本舞踊のやつとかにしても、日本舞踊でも、そのうまくなる秘訣っていうのは、自分を殺して殺して殺しまくって、そして徹底的に古典の動き、師の動きをたどることだと。なんでこれがうまいことにつながるんだ、もっと自分らしさを出すことじゃねえかという風に若い頃は思うんだけども、ところがそれが段位が上に上がってくると、徹底的に基礎の決まりきった動きを叩き込まれたからこそ今のこの表現力があるんだと分かってくると。落語家にしても何しても同じですよね。とりあえず、なんだろうな、二つ目あたりから個性を出すようなやつはうまくならないみたいなもんで、ここら辺が、芸能の世界にしても軍事の世界にしても共通してるところで、面白いなという風に思います。
後半も引き続き「死闘!ホワイト・ベース」について解説していきます。脱走したハヤトたちにようやっと追いついたリュウは、どうにかして彼らを説得しようとするんですけど、やっぱね、いきなり殴るというんではなくて、一応説得はするんですよね。ここで注目して欲しいのは、ハヤトとカイの態度の差なんですよ。感情的に怒ったり拗ねたりする態度を見せるカイに対して、ハヤトはちょっと違う。だからこそリュウも困っちゃう。つまりカイは最終的に説得されて帰るつもりだから、なんかちょっとストレスをぶつけさせてもらったっていうのを分かってるから、収めどころを探してるんですけども、ハヤトはもっと本質的に、もうこんなのやってられないと思ってるので、リュウも困っちゃうわけですね。そして、ついにゲリラ作戦を展開するランバ・ラルですね。幸いにして、すぐにホワイトベースの位置を特定することができるんですけども、ここにもちょっとした運命のいたずらがあります。
こっから先、有料の放送になります。続きが見たい方は、岡田斗司夫アーカイブで後で見ていただくか、YouTubeのメンバーシップ、あ、違う、岡田斗司夫アーカイブだったらもうね、すぐに見れるんだ。YouTubeのメンバーシップか、ドワンゴのブロマガチャンネルですね。お好きなものを選んで入ってみてください。是非入会お願いします。後半が終わった後でも、生放送でちょっと追加の解説します。それでは後半スタートです。
ようやっとシーン変わって、リュウのバギーが追いつきます。追いつくってのはどういう状態かと、この3、4人乗ったバギーがもう砂漠の真ん中で止まってたんですよ。多分出たはいいけど、どこ行ったらいいかわかんないから止まってて、リュウのバギーが追いついてくるんですね。「連中め、やっと止まりやがって」っていう風にリュウが怒って、隣に停車させます。「お前たちまで何ということをしてくれたんだ」っていう風にリュウが怒鳴ると、「戦うのはホワイトベースでなくたってできます。近くの連邦軍を探してそこに」っていう風にハヤトは言います。もう単なるこれも言い返しなんですよね。近くの連邦軍を探すんだったら探しに行きゃいいのに、当てもなく飛び出して、どこ行ったらいいのかわかんないから車止めてって、そこにリュウが来て帰れって言ったら素直に帰れないから、やっぱそのアムロと同じように、ただ単に戦うのだったらどこでもできます。僕たちは、なんだろう、敵前逃亡したわけじゃありません。アムロみたいに逃げたんじゃないです。軍服も着て出ていって、戦うんだったら別にホワイトベースでなくてもできるから、だからどっか行こうとしてるんですよっていう風に言い訳すると、リュウが「ブライトを見捨てるつもりか」っていう風に言います。もう本質はそこなんですね。結局俺たちはブライトを立ててやってきたんじゃないか。そのブライトを見捨てるつもりなのかっていう風にリュウが聞くと、カイが「ブライトにはアムロがついてるでしょうが」っていう風に言います。もう本音なんですね。つまり、俺たちよりブライトは結局アムロの方を大事にしてるから、独房に入れて反省させて、もう1回ガンダムを任せるってことを考えてるんでしょうっていう風にカイが言うと、「いい加減にせんか」っていう風にリュウが怒鳴ります。
そうするとハヤトが「僕にはホワイトベースで戦う意味がなくなったんですよ。これは仕方がないでしょう」っていう風に言う。するとリュウがびっくりして「はっ?」っていう風に言うんですね。カイはふてくされてるから、まだ話が通じるんですよ。ハヤトは考え抜いた末で、怒ってない。ここが怖いんですね。だから余計に厄介。というのは、どうせブライトはアムロを頼りにしてるんでしょうっていうカイは、なんかその感情で怒ってるから、話し合って、その感情が収まったら納得してくれそうな気がすると。ところがハヤトは、別に僕はホワイトベースでこれ以上戦う理由がなくなったんです、誰が悪いんでもないんです、あなたが悪いわけでもない、ブライトさんが悪いわけでもない、僕が悪いわけでもない、仕方がないことでしょうという、すごい落ち着いたクールな、その今時の若者的なことを言われて、昭和の若者のリュウはすごい困っちゃうわけですね。この辺の、なんだろうな、感情を失ってる状態の人間に何を言っても通じない絶望感っていうのが、ちょっとここら辺出てきて面白いです。
こういうやり取りをしてる間に、ギャロップの中では作戦指示、作戦の説明というのがあります。モニターの上でランバ・ラルが指差し説明してるんですけど、僕が分かりやすいように、それぞれに描いてみました。ホワイトベースが中央にあって、ギャロップ、ザクですね。で、キュイっていう、兵隊がいっぱい乗る戦車の1台目と2台目です。
「ギャロップは木馬の前面に出て、ザクと共に囮だ。そこを後ろからキュイで木馬に突っ込む。ハモンにギャロップの指揮を任せる。そして私とクランプで第1キュイ、第2キュイの隊長を務める。いいな」っていう風にランバ・ラルが言います。どういう意味かって言うと、これ本当はギャロップの後ろにカーゴっていうでっかいトレーラーを引っ張ってるんですけど、これも離すと。で、この戦闘指揮はもうハモンに全部任してしまうと。本来、戦争する時に、戦力があるものを前に立てて戦うのが当たり前なんですけど、逆をやろうとするんですね。この戦力があるギャロップとザクを前へ出して、これを囮にして、弱っちい兵隊だけでホワイトベースに乗り込もうという戦いを考えます。普通の司令官だったらその逆なんですね。弱い奴らが前に出てきて油断してるところを、兵力のある、火力のある武器で攻撃するってやってるんですけども、ランバ・ラルはそれでは確実に勝てないと。もうこんだけ自分たちが弱体化してるんだから、100%勝てるか相打ちまで持ち込める体制で戦おうと思ってるから、その最大戦力をもう使わずに、中に乗り込んで戦うという方向を選ぼうとしてますね。ホワイトベースに直に乗り込んで、中の兵隊を殺しまくって占領するっていう、味方にもかなり犠牲の出る戦い方を選ぼうとしてます。
で、ギャロップのエンジンが始動して、ギャロップが最大戦速になって、いよいよ戦闘開始です。で、ブリッジにはもうハモンしかいません。ジオンの兵隊が報告します。「木馬です。推定位置より10km移動してるだけです」っていう風に言います。ハモンが「良好です。ザク、キュイ各隊、30秒後にギャロップ発進」っていう風に指示を出します。凛々しく指揮を取るハモンですけども、ここのセリフの、ジオンの兵隊の報告ですね。「推定位置より10km移動してるだけです」。ホワイトベースというのは推定位置より10km移動してるだけです、運がいいですねっていうニュアンスなんですけど、なんで移動してないのか。これはホワイトベースからハヤトたちが脱走したので、ホワイトベースは止まらざるを得なかったんですね。だから、歴史にも物語にも、もしもというのはないんですけども、もしもハヤトたちが脱出してなかったら、ホワイトベースはさっさとこのややこしい地域を抜けて、オデッサの方へ行けたかもしれない。そうすると結局ランバ・ラル隊たちとは1回も戦闘なく、この場が終わっていたかもしれないという、そういう歴史があるんですけども、タイミングが悪いところでハヤトたちが脱出した。結局ホワイトベースは足止めを食らった。そうすると足の遅いギャロップたちにもホワイトベースは見つかって、これから死闘が始まる、こういう風な流れになってますね。
で、ランバ・ラルは「よし、ハモン、我々が木馬に取りついたら脱出していいぞ」。お前たちは囮だから脱出していいぞって言うと、「あなたこそお気をつけて」っていう、いつもの下りがあります。
その間も、まだリュウたちは押し問答になって、いきなりボカーンと殴られて吹っ飛ぶカイから始まるんですけども、ボンって殴られて吹っ飛んだら、もうこの殴られるシーンがね、こういうシーンね、カイがすごい似合うんですね。で、殴られて、いい感じでここら辺を押さえながら、「殴らなくていいだろう、リュウ」って、アムロも言ってるようなこと言うんですけども、めちゃくちゃ表情がいいんですね。殴られるのが似合うなって思うんですけども。そうするとハヤトが横から腕を握って、「そうですよ。力づくで人に言うことを聞かせようたって無理ですよ」っていう風に、まあ普通のことを言うと、リュウは「殴らなきゃわからんのだろう、お前らは」っていう風に言うんですね。もう説得するリュウの理屈がむちゃくちゃなんで、説得になってないです。リュウは逃げるやつの気持ちも分かってて、1番腹が立って1番やるせないのは俺なのに、なんでお前らはっていう怒りがあるから、とりあえず殴ってでも連れて帰ると言ったので、話し合いにはならないんですね。とりあえず殴って引っ張って帰ろうとしてるんですけど、ところがこれ押し問答してる時に、向こうの方でゴーって音がして、このカイ・シデンが「うん?」って言って振り返るんですね。で、「なんだ、あの音?」とカイが真っ先に気がついて、リュウとハヤトがびっくりして、リュウが「伏せろ。見つかっちゃまずい」って言うと、3人とも綺麗にパッと一瞬で、すごいチームワークでバッと伏せるんですね。で、はるか向こうに砂煙だけが、そのはるか向こうの地面をずっと走ってるんです。ギャロップとかは見せないんですね。砂煙だけが走ってると。するとハヤトが「あの音、捕虜の言ってたギャロップだ」。ホワイトベースに向かっているということで、「ランバ・ラル隊か。戻るか戻らないか、お前たちの良心に聞くんだな」っていう風に言って、リュウはバギーで去ってしまいます。
3人とも地面に伏せたまま、「あの音、捕虜の言っていたギャロップだ」っていうのは、なかなかちょっと名シーンだったんですけど、一瞬にして3人が、何でしょうね、理屈じゃないのは分かってるし、リュウも殴るぐらいしかなかったんですけど、ところが明確な危機、明確な敵が現れた瞬間に、一斉にチームワークがもう1回生まれて、殴ってでも連れて帰るって言ってたリュウは、もう帰る帰らないはお前に任す、自分たちの心に聞くんだなって言って、リュウだけ1人でバギーでバーっと帰ってしまうんですね。
で、ギャロップはその頃、砂漠を走ってたギャロップの前面がガーっと開くんです。で、そっからザクが発進して、次にランバ・ラルたちが乗ったキュイっていう小さい戦車がガーっと走っていくと。で、残されたハヤトたちは、
もう毒が抜かれた状態になってるんですね。で、彼がもう仕方なく「行くか」っていう風に言うと、「はい」っていう風にハヤトが答えると。で、「いいだろう」っていう風にカイが後ろを向いて聞くと、ハワードとマクシミリアンっていうですね、その雑魚キャラですね、「はいはい」って答えると。そうするとカイが「やけに冷え込むじゃないか」っていう風に腕を抱えてブルっとこういう風にするんですね。
これ何かって言うとですね、カイももうこれホワイトベースで帰るしかないってのが分かってるんですけど、帰る理由を探してるんですね。なので、寒くなったから帰ろうっていうことなんです。「やけに冷え込むじゃないか」って。決してリュウに殴られたからではないし、ランバ・ラルが来てるからでもないんだと。ただ単になんか外へ出たんだけど連邦軍見つからない。寒くなってきたなっていう風なことを言ってかっこつけようとしてるんですけども、「カイさん」っていう風に言うと、もうそんなことを言わなくていいじゃないですかっていう風に言うと、カイが「うん、しゃあねえな」って言って、このままひらりっとバギーの横に飛び乗ってですね、そのままバギーがホワイトベースへ帰っていくんですね。
で、ギャロップから切り離された走っているキュイ。これがキュイっていう戦車なんですけども、キャタピラが3つ、この両側と真ん中にあって、ここにブリッジみたいなもの。ランバ・ラルはこのブリッジのところに乗ってるんですけども、他に兵隊が後ろに左右5人ずつ貼り付いてる。これが乗り込んで、ホワイトベースに乗り込もうという決死隊ですね。敵に乗り込む専用の、装甲車程度のものなんですけど、で、このブリッジにいるランバ・ラルにカメラが寄っていきます。
で、ランバ・ラルがもうめっちゃいい顔してるんですね。この目の端の方にですね、まつ毛まで描いてもらってですね、「ふふふ。この風、この肌触りこそ戦争よ」っていうですね、めっちゃいいこと言ってですね、この回後で死ぬんですけどもですね、最後のいいセリフを言います。ここまでが、オープニングが終わってからですね、9分20秒ですね。ここでAパート終わりでアイキャッチですね。前半がようやっと終わりました。次回はですね、第20話「死闘!ホワイト・ベース」の後半戦をお送りします。それではまた。はい、どうもお疲れ様でした。
今回の限定放送ここまでです。追加解説なんですけど、さっきピンポンってなったのはですね、黒猫ヤマトさんがですね、間違えてですね、「佐藤さんですか」って書いてあってです。バカ野郎と、表には株式会社オタキングと書いてるぞって。おまけにうちはインターホンにチャイム鳴らさないでくださいって書いてるんですよ。これスタジオだから、ここ事務所でもなくですね、本当にスタジオ専用の場所なんですよ。だから、なんだろうな、普段人が来るはずがないからチャイムは鳴らさないでくださいって書いてるのです。ピンポンって鳴らしやがってバカ野郎って思いました。Uber Eatsでありません。今日はそんなことしません。
で、じゃあ追加解説しますね。「インターホン切れば」うん。そうですね。切りましょうか?もう本当に切っちゃいましょうか。その通りだな。えっとですね、ランバ・ラルですね。最後のですね、かっこいい絵ですか。かっこいい絵もですね、皆さん後で自分で確かめてみてください。ラルの高い鼻があるから分かるんですけど、ラルの鼻の方向と日差しの方向がやっぱ違うんですよね。だから、やっぱあれもですね、パースが狂ってるというかですね、嘘をついてるんです。嘘をついてかっこいい感じに仕上げてるんですね。本当にこの回はね、絵が見事ですね。
で、ランバ・ラルのですね、「ふ、この風、この肌触りこそ戦争よ」って言うんですけども、やっぱあのセリフ面白いんですよ。あのセリフ何かって言うとブライトのセリフ。今回のブライトのセリフの「アムロがいなかったらすごい不安になった。なんだろうあれは」っていうのと同じ、その自己分析なんですね。自己分析なんですよ。もちろん強がりもあります。こんな状況になってしまった。だから自分を奮い立たせなきゃいけない。だからあんなことを言ってみるっていうのもあると思うんですよ。でもそれ半分で、もう半分はですね、バカだなっていう風に言ってるんですね。
こんな不利な条件で戦わなきゃいけない状況になって、部下を危険にさらしてっていうことで落ち込むはずなのに、なぜか血が滾ってるよと。なんでこの嬉しい感じなんだろうと。この圧倒的に不利なのに嬉しい感じなんだろう。俺って本当にバカなんだなと。これは多分マ・クベたちから俺はバカだという風に言われてるよって。それ分かるよ。それ同意するよ。俺バカだよっていう。ブライトが前半で言ってるですね、アムロがいなくなったことによって不安になっちゃった自分っていうのは何なんだろうっていうのと対比して、それぞれの指揮官が自分自身を再発見するっていうですね。なんかすごいうまいバランスでできてるんですね。本当にこの回ですね、セリフでですね、両者均等に描いてるところが面白い部分なんですよね。それでもです。やっぱああいうセリフ聞くとちょっとね、戦争としては見てるこちらがだんだん熱くなって血が滾ってくるところありますよね。
ランバ・ラルの作戦としてはですね、この作戦は決していい作戦ではないんですよ。まずモビルスーツの戦闘できないんですよね。ドムの補給来なかったから。モビルスーツ補給できなかったから、もう選択肢として、ホワイトベースといかに戦うか、ガルマの敵討ちってどういう風にするのかっていうのは選べる手がないんですよ。モビルスーツ戦とかできないから。正直言ってですね、モビルスーツとギャロップを捨てる覚悟なんですね。だから、モビルスーツは1機だけあるザクを出しても、これはもうホワイトベースの攻撃を受け止めるために出すんであって、で、ギャロップも、ハモンが指揮するからそんな下手なこと打たないんだけども、言っちゃえば自分たちがですね、後ろからこっそり忍び寄るための囮として出すわけですね。だから実はこの戦闘で1番最初危険なのは、ランバ・ラルたちが乗り移るまでリスクが1番高いのはザクとあとギャロップなんですよ。そこにハモンを置いてきたわけですね。だからハモンは脱出カプセル付きのブリッジに乗ってるわけです。
で、このモビルスーツとギャロップを捨てる覚悟で敵のホワイトベースに入り込んでしまえば勝てるかもしれないっていう戦いです。こんな乗り込んで白兵戦っていうこんな作戦がありだったらですね、実はこれまでもシャアとかガルマだったらやってるんですね。特にシャアだったらやってるはずなんですよ。で、やらなかったのはなんでか、なんでこのホワイトベースに乗り込んで戦うってのやらなかったかって言うと、成功率が低いからなんですね。こういう突入部隊のことを決死隊という風に言うんですけど、決死っていうのはですね、もう成功するか死ぬか2択しかないと。途中で退却っていうのがありえないような戦闘なんですね。
さてですね、来週は「死闘!ホワイト・ベース」の3回目。今週でですね、Aパート前半が終わって、来週はですね、いよいよBパートに入ります。頼みの綱だった新型モビルスーツ、ドムが支給されず、ついには白兵戦を開始するランバ・ラルですけども、その一方でホワイトベースもですね、大変な状況です。アムロは相変わらず独房に入ったままだし、カイやハヤトはですね、まだ外にいるんですね。頼みのリュウも、そんなハヤトたちを連れ戻してもらうために外行ったままなのでですね。ホワイトベースはまともに戦える人が今本当に在庫0の状態だったんですよ。で、その結果、出撃で実戦はダメダメだったということがですね、もう証明済みのセイラさんをもう1回ガンダムに乗せて出すことになるんですね。だからお互い不本意な戦いなんですよ。ホワイトベース側は実はアムロは独房で、出せるはずのそのカイとかハヤトが脱走、リュウは追いかけて行ってる。そこで、ダメなパイロットと分かってるセイラさんをガンダムに出すしかないという状況ですね。本当にお互いハンディキャップ戦としてですね、うまく作ってる回です。次回はですね、両陣営ともにですね、こういうダメダメな状況でですね、始まるホワイトベース内のですね、肉弾戦、ついにお互いにですね、銃で撃ち合って殺し合うというですね、本当に子供向けのアニメとは考えられないですね。そういう状況をですね、細かく分析しながら語っていきます。
さてですね、今日はですね、いよいよ第20話なんですけども、「死闘!ホワイト・ベース」の3回目ですね。全4回なんですよ、これ。で、3回目の解説です。前半の話での注目ポイントは、戦闘が開始するまでの盛り上がりだったんですけども、決死の覚悟で戦場に向かうランバ・ラル、あと後方からそれを見守るハモン、そしてホワイトベースの独房で1人ですね、ランバ・ラルを待ち受けるアムロっていう構造になってました。この3人を次々と映し出すカットバックという技法を使ってですね、セリフを一切使わずに緊張感と高揚感を盛り上げています。今回もですね、無料の終わりでですね、作品の解説するので、お楽しみにしてください。それでは早速ですがですね、機動戦士ガンダム第20話「死闘」3回目の解説です。それでは動画よろしく。
機動戦士ガンダム講座。今回はですね、第20話「死闘」の後半です。今回後半の見所ですね、戦闘開始までの緊張感の盛り上げの仕方なんですね。このカットバック技法をですね、Aの場面とBの場面を交互に映すことによって緊張感を盛り上げると、これはすぐ説明します。あとはですね、後半の見所というかこの20話全体の見所なんですけど、モビルスーツ戦の省略ですね。もうとにかくモビルスーツがほとんど出てこないと。で、ガンダムもアムロ最後には乗るんですけど、最初セイラが乗っててですね、戦闘シーンっていうのはそのセイラが乗ってる時にちょっとあるだけなんですね。なので、そのホワイトベース内部の戦いと、ガンダムの戦闘シーンなしでとりあえず見せ、ストーリーを進めていくというところが注目ポイントだと思います。
では1番最初から解説します。Bパートですね、始まったらすぐ荒野を走るギャロップですね。ランバ・ラルとハモンの母艦、地上を走るホバークラフト、超大型ホバークラフトの戦艦みたいなやつです。ギャロップが走っていて、で、そっから進路を変えたキュイというですね、ランバ・ラルたちが乗る、二手に分かれたですね、小型の戦車っていうのかな?装甲車両みたいなものが分かれて走ってるところから始まります。Aパート終わってBパートの始まりはですね、このランバ・ラル隊の動き、メインの囮はですね、ギャロップ、大型地上戦艦で、正面から走って、で、キュイというですね、装甲車が両側からです。ホワイトベースの背後をつくと、こういうところの動きから始まります。
で、シーン変わりまして、後半ですね、ようやっと出てきたアムロですね。前半でですね、もうアムロがですね、全く出てこないんですね。これもガンダムにというかですね、ロボットアニメとしてすごいと思いませんか?えっとね、主人公が全く出ないままにですね、Aパートが終わってしまって、Bパート映った時にはもうこれ食事してるシーンなんで、もぐもぐ食事してる。ずっと無言で食事してると。だから、それまで緊迫感があって両陣営ですか、ホワイトベース内ではこういう風に読むっていう話があって、で、ランバ・ラル隊の方ではこのように戦おうっていうのがあって、やっとコマーシャルが終わってBパートに入った瞬間に主人公がやってるのが、独房で黙々と1人で食事をしてるなんですよ。で、みんなが大騒ぎしてる時に戦闘準備してるんですね。もう今、自分にできることは準備しかないっていう風に考えてるからです。
で、カット変わってですね、ギャロップがまあまあ真正面からバーっと爆走してくると。ここら辺がカットバックというやつですね。2つのシーン、独房内のアムロとあとその襲ってくる側のランバ・ラル側の動きというのを交互に見せて緊迫感を高めていきます。で、爆走するギャロップが映ったら次はですね、アムロがですね、誰にも何も言われてないのにですね、制服を着ると。これまでずっと独房に放り込まれてからアムロはずっとまあなんか下着姿のランニング姿だったんですね。で、下もパンツずっと履いてて、で、食事とか運ばれてきたり、他の人が話しかけてくるシーンもベッドの上で膝抱えてずっと下着だったんですけど、誰にも言われてないのに戦闘服を着出すんですね。ここら辺もですね、アムロが黙々と1人で決心して準備を始めてるのが分かります。あとはそのホワイトベースの中にいる人は外をレーダーとかで見て、それで行動するんですけど、アムロだけは自分の勘で動いてるわけですね。で、自主的に制服に着替えます。
で、キュイのまたカットバックで、キュイっていうですね、その装甲車の上が映るとですね、ランバ・ラルが腕を組んでるわけですね。Aパートの終わりがですね、キュイの上で風を受けて、「この風、この雰囲気、これが戦場の空気よ」という風に言ってたランバ・ラルが無言で立ってる。これもカットバックで交互にシーンが映ります。で、その次にですね、またシーンが変わって、ギャロップって大型戦艦のブリッジの中で腕組みして、ずっと前を見てるハモン。この、1人黙々と準備をするアムロで、風を受けながらいよいよ戦場だということでちょっと興奮して、嬉しがってる風にすら見えてしまうランバ・ラルで、ギャロップという中で、なんだろうな、何を考えてるのか分からないハモンですね。全く動かないハモン。この3者の様子っていうのを交互に交互に見せていきます。
で、カットバックっていうのはですね、こういうその対照的な2つの場面の切り返しなんですよ。例えばよく言われるのが、追いかける警官と逃げる犯人を交互に映すと。この交互に映してると、今同時に2つの、なんだろう、起きてること側をカメラが切り替えて追ってるんだっていうのがごく自然に分かるんですね。えっとね、『大列車強盗』っていうですね、その映画がいわゆる商業作品っていうのかな。ストーリーを持ち出した最初の作品あたりからこのカットバックという技法が使われるようになってきました。これで言うとですね、順番で言うと、左右左右左右っていう風な順番で画面が映ります。食事をしてるアムロ、戦場の風を受けてるランバ・ラル、服を着るアムロ、真正面から爆走してくるギャロップで、シャドーボクシングをするアムロですね。で、ブリッジの上で何を考えてるのか分からないハモンってですね、この3つの場所をですね、交互に映すことによって、徐々に徐々にですね、今回の戦闘シーンの盛り上がりが始まりますね。
このカットバックの特徴はやっぱセリフが全くないことなんですね。セリフが全くないのに、うまい演出家であればどんどんどんどん場を盛り上げてくることが、場を盛り上げることができると。実はこれ3人ともですね、戦いのための準備を始めてるんですけれどもですね。で、カットバックの最後のシーンはですね、このハモンの腕を組んでいるところによってですね、あの少年、白いモビルスーツ、ガンダムのパイロットとか、「良い少年、さてどう出るか」っていう風にハモンが言います。まだこの時のハモンはですね、この回でランバ・ラルが死んでしまうとは思ってないので、まだアムロのことを思ってですね、これから戦争するのにその戦う相手のですね、ガンダムに乗っているアムロのことを考えるとですね、「良い少年、さてどう出るか」っていう風にハモンが独り言を言います。
なんかね、これは何かって言うと、もうこれからアムロを殺すことになるっていうのがハモンには分かってるんですね。ハモンはそのアムロのことを気に入ってたんですけど、もうこの、全てですね、グフとかですね、あとよく動くザク、ちゃんと動くザクがもう全くなくなってしまった状況で、この敵の陣地に乗り込んで、なんだろうな、乗っ取る。ホワイトベースの内部に入る白兵戦っていうことになったら、少なからず犠牲者が出るだろうと。自分の側にも。だからそれは自分たちの可愛い部下かもわかんないし、ひょっとしたらランバ・ラル本人かもしれないと。この時になって、最後にハモンは1回だけアムロのことを考えるんですね。で、良い少年、さてどう出てくるかと、あれを殺さずに済めばいいけども、殺すことを覚悟しなきゃいけないなっていうですね、この時にかなりハモンはですね、割り切った表情になっています。別に割り切った表情っていう顔があるわけではないんですけどもですね。
で、シャドーボクシングをしてるアムロになるとですね、ホワイトベースの中で警戒警報が鳴ります。こっからストーリーがスタートします。セイラが警報を鳴らして、そうすると、ブライトとですね、ミライがブリッジに走り込んできます。ホワイトベースこの時はまだ着陸してる最中なんですね。着陸してる最中ということは、動いてる敵が来たらもう敵から狙い放題になってしまうということで、ブライトはですね、まず前部ミサイル用意、前のミサイルでとりあえず近づいてくるギャロップを攻撃しようとします。
で、ミライに対して指示、「ミライ、エンジンパワー臨界、急げ」。エンジンパワーっていうのはですね、これ何でしょうね、ガンダムの世界の中の言葉なんですけども、臨界っていうのはですね、とりあえず出撃するに至る通常出力みたいなもんですか?重たい電車のですね、前の操縦席を見たことある人だったらですね、電車の操縦席って、なんだろうな、スロットルというか、アクセルをガーっと思い切り入れますよね。で、ガっと思い切り上げても電車がなかなか動かない。で、上げっぱなししてるとしばらくすると電車がガタンガタンガタンと動いて、で、それを通常のところにまで戻すっていうのが電車の動き方でですね。自動車もそうですね、アクセルを1回強くと前出るという。最近の自動車いいですから、オートマの位置でですね、ブレーキを外すだけで前進んでくれるんですけど、電車なんかはボディが重たいもんだから、本体がとてつもなく重いもんだから、1回、なんだろう、アクセルをいっぱい入れないといけません。で、同じくホワイトベースのエンジンも臨界っていうのは何かと言うと、ある種100%出力っていうやつなんですけど、100%出力までエンジンを持ち上げないと船が浮き上がらないわけですね。なのでミライの返事が「はい、エンジンスタート終了。飛行再開まで1分20秒待ってください」っていう風に言います。エンジンのスタートシーケンスですね。エンジン点火して噴射するまでのスタートシーケンスはもう開始してます。で、飛行再開まで1分20秒、80秒待ってください。なかなかリアリティのあるセリフの応酬です。
で、レーダー手のオスカとマーカーが入室してきましてですね、やっとレーダーが使える。で、レーダーが使えるようになって、えっと、前にギャロップがいるのが分かります。はい。で、とりあえずギャロップが見つかったのでですね、主砲を撃ちます。で、主砲を撃つと、ギャロップの方も主砲を撃ち返してきてですね、とりあえず撃ち合いになります。と、この時にはまだですね、正面同士しか見えてないです。で、オスカとマーカーのレーダー手もですね、山が後ろにあるのでですね、周りが見晴らしが悪いです。早く飛行開始して高度を取ってレーダー使えるようにしてくださいって言うんですけども、ミライが言う通りまだ1分20秒空へ飛べませんですね。
で、独房に閉じ込められてるアムロはですね、窓の外を見ます。そうするとアムロがいる独房の窓からはですね、ザクが見えるんですね。で、その隠れていたザクがホワイトベースにミサイルを発射してきます。そうするとミサイルがホワイトベースに命中する。これによってホワイトベースは正面のギャロップからではなくて側面から少なくともザクが来てるっていうのが分かります。で、このシーンです。もうすでにセイラがですね、ガンダムに乗り込んでいます。で、「セイラ、発進します」っていう風にブライトさんにですね、報告するとブライトさんが「よし、頼む」っていう風に言ってるシーンですね。ようやっとここでセイラ、今回はガンダムはですね、アムロではなくてセイラが乗り込んで発進します。で、セイラのガンダムこの後ですね、一生懸命ですね、すいません。ザクを攻撃するんですけども、ザクの乗り手がですね、巧みに避けてなかなかセイラの攻撃が当たらないというシーンが続きます。
で、敵が横からザクからも来てるのが分かったのでですね、ブライトはですね、フラウに命令してですね、アムロを独房から出せという風に命令します。このシーンですね、もうフラウもブリッジにいないので子供たちがブリッジを見てる状態ですね。一応子供たちなりに手伝おうとしてですね、セイラがいつもいる、セイラとかですね、フラウがいるコントロールルームっていうのかな。通信のところのブースに立ってます。で、ブライトはですね、電話でフラウ・ボゥを呼び出して「アムロを独房から出せ、ドアのキーはタイプ6で開く。分かってるな」という風に言います。で、釈放します。で、子供がブリッジに入ってきて、ブリッジから外を見るとですね、そしたらバギーを見つけるんですね。
この話数の前半ですね、リュウと、ハヤトとか、なんだろう、カイが逃げ出して脱走して、で、その後リュウが追いかけてきた、この2台のバギーが地平線の向こうからやっと帰ってきたのが見えるんですね。で、「バギー帰ってきたよ」って言うとですね、さすがのブライトさんもう嬉しそうにですね、「帰ってきたか」っていう風にですね、こうやるんですね。
今回どういう状況かって言うと、アムロは独房に閉じ込められている、で、頼りにしていたそのカイとかは脱走してしまう。だから、アムロ以上に何とかしなきゃいけないわけですね。アムロの場合はいわゆる軍服を着替えて、ガンダムを盗んだとはいえ軍を辞める覚悟って言うんですけども、カイとかハヤトに至ってはもう軍服着たままですね。同じく備品、ガンダムと同じ備品であるですね、バギーを盗んで出ていってるから、もう本当にどうしようもないわけです。で、それを追いかけるのに、今ホワイトベースの中で1番の戦力であるリュウを追いかけに行かせたもん。それはブライトが自分で行きにくいから「説得してくれ。俺からは言いにくい」って言って1番の戦力を行かしちゃったわけですね。だからもうガンダムにはですね、これまで乗って、いわゆる土地しか踏んだことがないセイラさんを乗せてガンダム発進させてるので、本当にホワイトベースこの時に多分最大のピンチだったんですよ。シリーズ上。なので、カイたちがですね、リュウと一緒に帰ってきたのを見てさすがにブライトさん嬉しそうにですね。
で、アムロは独房から出してもらってですね。で、「ガンダムは?」って、フラウに聞くと、「いや、セイラさんが乗ってる。アムロは左の機銃座をお願い」って言ってたということで、左の機銃座に派遣されると、アムロは割と張り切っています。で、アムロ張り切っていってる。で、一方、ハヤトたちはバギー2台でですね、ホワイトベース、もうホワイトベース1分20秒経ったから飛行始めてるんですね。逃げた時は着陸してたからバギーで乗り降りできたんですけど、ホワイトベースはすでにエンジンが臨界に達して飛行を始めてる、空を飛び始めてるんですね。で、後ろからですね、とりあえず近づくしかないってことで、ホワイトベースの後ろに回ってですね、ホワイトベースに追いつこうと、丘陵地帯、丘の上をですね、バギーが並走してると。
で、一緒に並走してるとですね、ハヤトとかが気づくと「なんだあれは」ということで、左を見てるとですね、何か装甲車、小型の装甲車みたいなものがホワイトベースの後ろ、見えないところからぴったりくっついて走ってるのが見えると。カイが「あれは白兵戦用のやつだ。奴ら肉弾戦で来るつもりじゃないのか」。ここで初めて正面のギャロップと側面のザク以外にですね、後ろからですね、本隊である乗り込み部隊ですね、白兵戦のために乗り込んでくる、いわゆる刀を抜いて乗り込んでくるですね、奴らみたいなものです。それとそいつらが本隊だというのに気がつくんですね。しかしこれまだブリッジは気が付いてないんですよ。で、ホワイトベースにですね、とりあえず高さだけを合わせてバギーがボンって乗って無理やり乗り込みますですね。
で、ここでようやっとブリッジもですね、高度が上がってきたので、後ろ向きのレーダーが使えるようになって、レーダーオペレーターですね、マーカーがですね、このレーダーに反応したのでテレビモニターに出してるんですけども、これでキュイを発見します。これがキュイっていうですね、装甲車です。この後ろ側にびっちりとジオン兵が乗っています。ですね、「後ろから2機の戦車が来ます」っていう風に報告するとブライトが「何だと」と驚く。「白兵戦用の戦車、キュイです」って言うと、車名を知ってるってことはある程度これまで戦争に使われたんでしょう。ブライトがめちゃくちゃ驚きます。
で、ようやっとアムロは左舷ですね、船の左側の機銃座についてですね、銃を撃ち始めるんですけども、目の前でもうセイラが乗ってるガンダムが一方的にバンバンバンバンザクにやられてるんですね。で、ここまでの展開とにかく早いですよね。20話の後半って1番最初ほとんどセリフもなくて、さっきも言ったようにカットバックで3者の動きを交互に見せてるだけで動きがないんですけど、一旦セリフが始まってからもう怒涛の展開なんですね、ここまで。はい、どうもお疲れ様でした。
無料はここまでです。アムロがですね、独房の中に入って下着からですね、制服に着替えるシーンがやっぱ印象的なんですけどもですね。まあね、アムロが下着で部屋の中でうろうろしてる時とかゴロゴロしてる時って、下着っていうのはですね、反抗の証なんですね。つまり制服なんか着るもんかっていうですね、これまでも何回もあるんですよ。第1話で下着着てるのもですね、やっぱそのなんだろう、フラウ・ボゥが迎えに来た時に「まだ着替えてないの」って。着替えなきゃいけないっていうのはもうコロニー全体に警報があるから行かなきゃいけないんだけど、アムロはそれに対して夢中になってたって言うんですけど、やっぱ反抗してるわけですよね。で、同じようにですね、ホワイトベースの独房に閉じ込められてる時にずっと下着なのもそうですし、あとこれまでの回も「戦闘に出ろ。早く行け」っていう風に言われて、アムロがまだ下着なのもやっぱ反抗の印なんですね。で、その反抗を自らやめて制服を着てるシーン、制服を着るシーンをわざわざ入れるというのは、やっぱそこで何か言いたいことがある、作者として。それは何かって言うと、彼は成長していますってことなんですね。
で、そのアムロにとってまた制服を着て、シャドーボクシングなんかやってるんですけども、それはね、その蛮族ですか、いわゆるその、なんだろうな、蛮族の男たちがですね、戦闘前に化粧っていうのしますよね。自分たちを勇ましく見せるための化粧で、例えば顔に泥を塗ったり白いのつけたりですね、なんか鳥の羽を飾り付けたりですね、そういう戦闘のですね、化粧するんですけども、まあ大体そういう風な感じのですね、自分の内面を高ぶらせるためにですね、戦闘衣装着てるというようなニュアンスもあると思います。アムロとしてはもうとにかくやる気満々なわけですね。
で、その後のですね、カットバックシーンです。カットバックシーンでですね、さっきのですね、カットバックシーン思い出して欲しいんですけども、アムロは徐々に引いてるんですね。つまり、もぐもぐ食べるの次はですね、服を着る、シャドーボクシングっていうのは、カメラが徐々に徐々にアムロから離れていってる。つまり体を見せるようになってる。それに対して例えばそのなんだろうな、ハモンに対しては最初にですね、その戦艦の、地上戦艦の外から見えていて、そしてハモンの方にカメラが寄っているとですね、徐々に徐々に寄るようになるんですね。普通逆なんですよ。普通は主役側にですね、寄っていって相手からカメラ引くんですけども、ここはあえてアムロが戦闘準備をしていって、カメラが引いていって、逆にハモンの方にカメラが寄ってくことによって、最終的な戦闘はハモンたちに不利になるっていうですね、ちょっとした映像による伏線になってるんですね。ドキドキ感っていうのを見てる人にですね、伏線としてこう先渡しするような構造になっています。
で、僕は、今回ですね、ちょっと気が付いたんですけども、リュウを迎えに行かせた理由ですね。僕は散々悪口言ってたんですけどもですね、1つ、ブライトは知らなかったことにできるというのがあると思うんですね。なんでかって言うと、ブライトが知ってしまったらですね、この後ですね、4人ものですね、メインクルーをですね、全員独房に入れなきゃいけなくなるわけですよね。で、それはもうホワイトベースにとってほとんど自殺行為なんですよ。アムロにしてももう本当にちょっと建前的にですね、反省の色見せるまで独房に入ってもらおうかみたいなところなんですけどもですね。これで4人も入れたらですね、アムロも含めてですね、5人ですか、5人独房に入れたらもうね、それは取り返しがつかないというかですね。すぐにまあまあまあホワイトベース次に攻撃受けたら負けちゃうわけですね。なので、リュウが迎えに行った。で、ブライトはなぜか報告を受けてなかったから別に罰せないと。その後リュウが「俺がブライトには黙っといてやるから」みたいな形で言いながら一発殴っておしまいみたいなことも考えてたんではないのかなと。そういう風に考えることもできるということですね。
さてですね、後半も引き続き「死闘!ホワイト・ベース」について解説していきます。ランバ・ラルの作戦はですね、3つの段階に分かれてます。まずギャロップとザクを囮にしてですね、ホワイトベースに後方から接近する。あくまで本隊はホワイトベースの後ろですか?ホワイトベースがようやっとですね、浮き上がって前進してるところにですね、後ろからですね、キュイというですね、戦車で近づいていって人間が直接乗り込んじゃおうっていうことですね。この第1段階ですね。次にキュイから飛び立ってホワイトベースの外壁に取り付く、壁に取り付いてですね。そして内部へと侵入する。もう中へ侵入しちゃうですね。で、第3段階、ホワイトベースを白兵戦で占領し、このメインブリッジはともかく、ここにあるサブブリッジですね。この2つ目のこの出っ張りです。これがサブブリッジなんですけど、ここを制圧して、で、全ての情報、これね、いわゆる航海艦橋と戦闘艦橋みたいな形になってると思います。つまり、宇宙戦艦であればですね、第1ブリッジは、外へ出る時、宇宙港から外へ出る時の見晴らし用であってですね、この戦闘艦橋というやつが全く同じ機能を果たすはずなんですけど、こっちの方を制圧しちゃうという考え方ですね。
戦闘もどんどん激しくなっていき、ロボット対ロボットではなくて、人間対人間のですね、撃ち合い、殺し合いになっていきます。後半ではですね、そんな70年代当時のロボットアニメとしては革命的とも言えるですね、白兵戦のシーンについて解説します。こっから先はですね、有料のですね、配信になります。続きが見たい方はですね、岡イブ、YouTubeのメンバーシップ、ドワンゴのブロマガチャンネル、どれか好きなものを選んでですね、ご覧になってください。ご入会よろしくお願いします。後半終わった後でもですね、生放送で追加の解説をします。それでは、後半これからスタートです。
これ機銃撃つところからですね。窓からアムロが見てるとザクとガンダムが戦ってます。もうこれを見ても位置見ても不利なのが分かりますね。上から見下ろしで戦っているザクと、それに対して下から見上げる姿勢で戦争の初心者であるセイラさんが戦ってるんで、ガンダムの方の不利が明らかなんですね。で、一生懸命このシーンを見ながら、これもうモニターでも何でもないです。窓から偶然見えた映像なんですけども、アムロは一生懸命セイラに助言します。「セイラさん、もっと下がって狙うんです。後ろにジャンプです」と。これ、この位置からだったらもう本当に不利でしょうがないから、1回後ろにこうジャンプして、後退して距離を取って。ガンダムの方が実は攻撃兵器としては強力なんですね。ザクが撃つのはマシンガンかミサイル、いわゆる射程距離が決まってるもの。それに対してガンダムがこの時に持ってるのはビームライフルです。つまり射程無制限のもの。こちら側は射程に一定の制限がある。なんか2kmとか3kmとかそれぐらいのものだから、とりあえずこの距離で撃ち合っては初心者としては不利なので、後ろに大きく下がりながらジャンプしてですね、できれば遠く向こうの射程外からビームで狙えっていう風にアムロは言います。
で、アムロの援護ですね、ついにザクをビームライフルでセイラが倒します。この通りですね。アムロが言った通り後ろに思いきり飛び上がって距離取ったところで、このビームライフルという飛び道具で、ザクの頭をですね、撃ち抜くんですね。で、アムロ「やった、セイラさん」っていう風に言うんですけども、なんか、ちょっと微妙な感じ。まだまだこれガンダムの当時は、女の人が、いわゆるヒロインタイプの女の子がロボットに乗ってっていうところでもう抵抗があるんですよね。で、おまけに敵をですね、撃破する、つまり殺しちゃうという風なことになるとなんかためらいがあったんですけど、この回のアムロ君ですね、セイラが敵を倒すと「やった、セイラさん」っていう風にすごく嬉しそうに言うんでですね、なんかこう見てる方もちょっとこうためらってしまいます。
で、ザクがやられてもですね、ランバ・ラルは全く動じない。これはなんだろうな。ホワイトベースに対する攻撃、仕留めようというんではなくて、内部に入って戦おうという風に決めてるからですね。で、ランバ・ラル、「木馬が逃げにかかる」と「射撃用意」っていう風に言い出してですね、ホワイトベースの背後にこのように迫ってきます。これランバ・ラルの後ろ姿で、マルチという技法っていうか、この場合マルチ使うまでもなくてですね、ぼんやり描いてるんですけどもですね、ホワイトベースの後ろ姿が見えてきて、砂埃でもう前が見えなくなってきて、ランバ・ラルがどんどん迫ってくると。で、もう隠れるのをやめてですね、このキュイという戦車の前についてる砲で攻撃を始めてるところですね。
で、この敵の動き方でついにミライが動きを読みます。「ホワイトベースを乗っ取るつもりがなければギャロップだってもっと当ててるわ」っていう風に言うと、マーカーが「あ、そういえば」っていう風にはっと気がつく。敵は乗り込んでくるつもりなんだっていうのが分かると。アムロは「あの人が来るんだ」という風に機銃座の中で、ランバ・ラルが見えてないところから徐々に徐々に迫ってくることに気がつきます。
で、えっとですね、敵がなんか乗り込んで戦ってくることが分かったのでですね、ブライトはですね、全員に銃を持って戦いに出ることを命じますですね。もうなんかなんだろうな、「後ろから攻撃が始まりました」っていう風に報告が始まってですね、「リュウ、他にも戦闘できるのは後ろへ回れ、敵の侵入を阻止する」っていう風に言うと、全員がこういう狙撃用のライフルとかですね、機関銃を持ってホワイトベースの廊下をですね、とりあえず後ろ後ろへと走ると。ホワイトベースの後ろからキュイという装甲車が走って追いかけてくるので、とにかく後ろから乗り込んでくるということで、手が空いてるものは全員銃を持って後ろに行って、敵が入ってこないように撃ち落とすっていう風なことを命令するんですね。で、アムロは「あの人が来るんだ」とランバ・ラルが来ることを分かって、アムロもですね、甲板に出ます。銃を持って機銃座から離れて。
で、これ甲板のドアを開けて外に出た瞬間のアムロの見た目です。アムロの見た目で見るとですね、外へ出て空を見た瞬間にもう飛んでいるジオン兵が見えるんですね。このジオン兵はさっき言ったキュイという戦車をですね、捨てて、それぞれが背中に背負ってる、パーソナルジェットロケットみたいなもので飛び上がってます。で、僕やっぱここで注目するのはですね、このジェットの噴射をですね、あえてちょっと青っぽいグレーで噴射を描いている、この色指定の妙ですね。こういう時にですね、ついつい明るい色使いたくなるんですね。ロケット噴射だって分かるように。でも、ガンダム世界においてこういう、なんだろうな、力強い噴射っていうのはそれまでの定番の黄色とか赤の噴射ではなくて、もっと高温の青で表されます。で、これはもう富野喜幸さん自身が元々
アニメとか映画をやる前はロケット科学者になりたかったっていう風に、対談した時にですね、富野さんすごいおっしゃってたんですけども、元々小学校、中学校ぐらいの時はロケット科学者になりたかった。でも成績が足りなかったので科学の道に行けなかったって風に言ってたんですけども、燃焼温度が高い、噴射速度が速いですね。つまりなんだろうな、少ないエネルギーで人間みたいなものを持ち上げるような噴射っていうのは、どちらかって言うと黄色とか赤よりはもっと温度が高い青とか白の色に近づくんですね。なのでこういう噴射の色になると。
で、なのでこのなんだろう。これは砂埃というか砂嵐が巻き上がってる空にジオン兵が飛んでる時もですね、すごい地味な配色なんですけども、ちょっとここら辺でリアリティが出ていますね。多分ね、これを噴射を明るく描くと恐怖感が伝わってこないですね。ゲリラ戦でこれから自分たちがこいつらに乗り込まれて戦わなきゃいけないっていうのを描写するのでですね、恐怖感を出さなきゃいけないですね。こういうちょっと地味な画面にしています。
で、ホワイトベースにですね、こいつらが次々と取り付いてくる、乗り込んでくるってか、まだ甲板に着陸しただけで内部に侵入してないんですね。で、アムロたちがですね、必死で応戦します。応戦っていうのはつまり狙撃するわけですね。で、もう「時間よ、止まれ」の回でジオン兵を撃ち落とせなかったアムロはですね、もう消えてですね、こういう風に生き延びるためにですね、ためらいなく人を撃てるようになってきます。
で、アムロに撃たれてですね、死んでいくジオン兵を画面に映してるんですね。これもやっぱりこの当時のテレビアニメ界の革命だったと思うんですけども、主人公がですね、銃を撃って敵が倒れるシーンがあまりないで、倒れたとしても肩とか腕とか撃たれたぐらいでこう転ぶみたいな描写っていうのやってるんですけども、この時のガンダムで撃たれて空を飛んでるやつが撃たれて地面かホワイトベースの上にドンと落ちるとかですね。さらにホワイトベースから転げ落ちるとかですね。そういう風な場面をバンバンバンバン描いてるんですね。直接的な血液を描かない以外はですね、大体もうなんだろう、残酷描写っての一通りやっています。
で、「守れ、ホワイトベースに入れるな」っていう風にアムロ自身が他の人に指示してですね、これは飛んでるのが薬莢ですから、マシンガンっていうのが分かりますね。マシンガンで敵を撃ってると。で、その背後からもこのジオン兵が迫って、こいつも銃を撃ってるのが分かると。もう本当に命がけの戦いがここで始まっていますね。
で、こうなるとですね、もうガンダムに乗ってるセイラはもう無力なんですよ。敵のザクを倒したんですけども、じゃあこの細かく飛んでる敵っていうのはできないし、あと今からガンダムの大型兵器使おうとするとどうやってもですね、ホワイトベースを壊すことになってしまう。セイラ、コクピット内の独り言で「ダメだわ。ガンダムの武器では威力がありすぎて兵隊だけをやっつけるわけには」っていう風なことで、もう打つ手がないのが分かります。
で、敵がどんどん乗り込んできて、ランバ・ラルの副官クランプですね。ランバ・ラルの副官クランプはホワイトベースのブリッジに取り付きます。で、ガラスの向こうにですね、来てこのガラスを破ろうとするんですけど、爆弾取り付けて破ろうとするんですけど、この時に彼が驚いてるんですね。ホワイトベースの中に子供が乗ってるの発見したと。ホワイトベースというのは実は民間人しか乗り込んでないですね。あの船なんですけども、ブライトですらいわゆる士官候補生ですね。リュウもそうなんですけど士官候補生ということで正規の軍人とは呼べないもんなんですけど、そういう子供たちだけが乗ってる船ということをランバ・ラルたちは知らなかったのでですね。
副官が窓のところに爆弾仕掛けようとすると中に子供たちが何人もいるのに気がつくと。で、「なんでこんな子供がいるんだ」っていう風にクランプが驚いています。で、それに対してキッカ、この小さい女の子はですね、「行っちゃえ、落ちちゃえ」っていう風に言うんですけども、クランプはですね、爆弾を取り付けながらですね、「下がってろ、怪我するぞ」っていう風に怒鳴るんですね。で、このキッカを守るために「そこどきなさい」と言って走ってきたミライさんがですね、爆弾に気がつくと。で、クランプはですね、とにかく殺したくないから下がってろっていう風にやると、ミライさんびっくりしてキッカをガッと抱えて後ろへ飛びのくと、ここで窓ガラスがバーンと爆発するですね。いよいよメインブリッジにですね、敵の攻撃用の穴が開けられてしまったですね。
で、その頃外でですね、まだホワイトベースの甲板で戦闘が続いていて、で、甲板のドアですね、そこの中にですね、ジオン兵が手榴弾を投げ込みます。で、手榴弾が中で、通路の中でドンって爆発するんですけど、その時にもうちゃんと「うわっ」ていう悲鳴まで起こるんですね。で、この悲鳴が起きて、通路の中の人間が死んだというの分かることで、ついにジオン兵がですね、ホワイトベースの内部に侵入し始めます。で、クルーがですね、「78番ハッチが突破されたぞ」ってことで、いよいよですね、戦闘がですね、中に入っていくことが分かります。
で、さっきも言ったようにですね、もう戦闘が激化してですね、アムロはですね、バンバン敵を撃ち落としてるんですね。撃ち落としてます。で、ランバ・ラルはですね、侵入したのでですね、「急げ、サブブリッジを占領するぞ」っていう風に言って、ブリッジの中に入っていきます。あ、ブリッジの中じゃない。ホワイトベースの中に入っていきます。ホワイトベースの中の地図っていうのはランバ・ラルたちは持ってないので、とりあえずやらなきゃいけないことはサブブリッジ。みんながいつもいるのはメインブリッジなんですけども、メインブリッジの1つ下の階層に第2ブリッジっていうのがあるんですね。ここをとりあえず占領しようとしてランバ・ラルたちはですね、廊下の中をどんどんどんどん進んでいくと。
でも外側でアムロたちがいくら撃って食い止めようとしてもですね、ホワイトベース外側の戦闘は終わってしまうと。第1段階、ホワイトベースと敵戦艦ギャロップとの戦いで、第2段階、取り付かれて中に入れる入れないの攻防戦。でもこの第2段階まで終わってしまって、こっから先は第3段階、ホワイトベースの中の戦いになっていきます。
ホワイトベースの中です。えっとですね、銃を構えたフラウがですね、入ってきた敵をやっつけようとしてると、ランバ・ラルにこう出会い頭でダンと会ってしまうと。ランバ・ラルはフラウのですね、持ってる銃を簡単に跳ねのけてしまうと。で、撃つのかと思ったらですね、フラウをなんだろう、ぐっと押さえてですね、叩き落としてですね。で、「銃を持ってれば殺す。どこかに隠れてるんだ」と。お前が銃を次持ってたらもう問答無用で撃ち殺すぞっていう風に言って、どっかに隠れてなさいっていう風にランバ・ラル言うんですね。敵なのに。で、フラウは「あなたは」っていうことでようやっとランバ・ラルのことを思い出す。
なんであの時アムロがあんなに一生懸命ですね、あの場を離れようとしたのかっていうのがフラウやっと分かるんですね。1つ前の話ですね。フラウ・ボゥはもうハモンのことしか見えてなかった。あのお姉さんみたいな美人の人が見てるから私と手を繋いでくれないでしょうっていう風に言ってたんですけど、あの時にアムロがどんなに緊張してたのか、自分たちがどんな危険な状況だったのか、この時にやっと分かるんですけども、それももう瞬間の出来事なんですよ。ランバ・ラルが言うのは、銃を持ってれば殺すから隠れてろっていうことです。一緒に戦おうとするなっていう風に言います。ランバ・ラルやっぱこの段階になってもですね、その子供相手の戦争っていうのができないですね。相手をやっぱ殺せない人間臭さっていうのを見せるんですけども、ここの段階でようやっとランバ・ラルはですね、クランプと同じようにこのホワイトベースに乗ってるのは子供たちばっかりだっていうのに気がつくと。でももうやめられないっていう状況になってるわけですね。
で、アムロはですね、サブブリッジに助けに行こうとしてですね、ジオン兵と格闘になってしまうと。アムロはその時は拳銃しか持ってないんですけど、ジオン兵マシンガン持ってて格闘戦になってしまう。格闘戦になってしまうとやっぱ大人と子供、あとプロの軍人対所詮は子供なのでアムロに分がないんですよ。で、アムロはですね、押さえ付けられて必死に抵抗してるんですけど、このままやられてしまうかなっていうところでバーンっていう銃声がして、撃つ音がしてですね。で、ブライトが助けてくれるんですね。これその時の構図なんですけど、下の位置から上の方へカメラがパンアップします。で、下の位置でもうちょっと下まで本当は見えてるんですけども、撃たれたジオン兵、撃った銃ですね。で、見ているアムロですね。撃ってくれたから助かったんですけど。で、ブライトはですね、撃ち殺した直後ですね。
で、ブライトがですね、このまま相手にまだもう1発とどめ撃つかどうか必要か考えながら銃を向けながら、「ガンダムをセイラと代われ、第2ブリッジの敵をガンダムで撃退する」っていう風にアムロに命令します。で、アムロはびっくりします。「どうやってホワイトベースの内部に入った敵をガンダムで撃破しろと言うんですか?」って言うと、「ホワイトベースを壊してもだ」っていう風にブライトさんはやっと言うと。で、アムロは「はい」って答えて走っていくんですね。ここでもうセイラと交代してホワイトベースを壊してまで第2ブリッジの敵を撃破するという、今回のですね、ようやっとホワイトベース側の反撃の糸口が見えてきましたですね。
ここまでですね、第20話ですね、「死闘! ホワイト・ベース」のですね、第3回になるんですよね、を終了します。第4回はこのまま一気に最後までですね、ランバ・ラルの最期までですね、語ってみようと思います。それではまた次回。
はい、お疲れ様でした。もう今回もガンダムかっこいいですよね、本当にこの戦闘シーンですね。まずクランプですね。ラルの副官クランプがですね、ブリッジの窓に爆弾を仕掛けるシーンなんですけども、爆弾でね、ブリッジに入れば、中にいるですね、もうミライを撃たなきゃいけなくなると。いわゆる後ろに下がってろと、危ないから下がってろって言っちゃうんですけど、その下がってろと言った相手は、結局は窓を爆弾で吹き飛ばしたら中に入ってですね、殺し合いになるの分かってるんですね。で、それでも危ないから下がれとなってしまう。ここでようやっとそのクランプの人間味みたいのが出たんですよ。
ここまでずっとね、ここでやっぱりそのクランプの独り言とかですね、なんか色々入れないんですね。そのためにこれまでの積み重ねをやってきたわけですね。これまでそのクランプを描く時っていうのはいつも冷静でランバ・ラルに忠実であって、目的のためにはですね、ランバ・ラルより冷たく色々助言したりするような人間だったのがですね、その彼ですらパニックになってですね、殺さなければいけない敵をかばってしまうんですね。だからそういう人間味を出すと、それまでのその積み重ねがあるからあそこでですね、「危ない、下がれ」というところにこうぐっとくるっていうのができるわけですね。
で、ランバ・ラルはランバ・ラルでですね、やっぱフラウ・ボゥへの対応ですね。「銃を持っていれば殺す。だから隠れている」、隠れてろっていう風に言うんですけども、銃を持ってれば殺すっていうので、言わなければいけないことはもう最初に言うわけですね。だからこそもう隠れてなさいって言うんですけど、クランプと同じように見えるんですけど、もう1段上手っていうのかな。もう腹をくくってるわけですね。これを俺が1回言ったから、次に会ってたらお前が女であろうと子供であろうと殺すぞっていう風に、1度言ったから。そういうですね、迫力ですね、命のやり取りで、その命のやり取りの中でも1回目ちゃんと警告するっていうですね、ここら辺はですね、クランプのさすが上官というですね、貫禄を見せてると思います。
さて、来週はいよいよですね、「死闘! ホワイト・ベース」の4回目になります。長かった20話の解説も次回でいよいよ完結です。そこまでの状況をですね、整理するとですね、ランバ・ラルとしては若干の犠牲を出しつつもホワイトベースへの潜入というですね、第2段階まではクリアしてます。で、残りはサブブリッジを落としてですね、ホワイトベースを制圧するという第3段階のみです。そしてこの作戦、実はこの今話した段階まででは、今日話した段階まででは、ほぼ成功してるんですね。
そんな中ですね、ガンダムのパイロットがですね、まあ悪いとは言わないんですけども、平凡なセイラさんからですね、アムロへと交代すると。ここがですね、ランバ・ラルの運命の潮目の変わり方ですね。この交代こそは、この後のセイラとランバ・ラルの再会。これやりたかったわけですね。つまり最初ランバ・ラルとセイラがあえてその顔を合わさないためにですね、セイラをガンダムに乗せた。で、ようやっと交代したことですね。見てる側は、なんかアムロが早くガンダムに乗れ、ガンダムに乗れ、ガンダムに乗れって思ってるからここに気がつかないわけですね。セイラがホワイトベースに入ったことで劇的な再会っていうのがあるんですけど、その可能性に気がつかないようにミスリードするために、あえてセイラをガンダムに乗せていたっていうですね、演出家の狙いが分かるシーンなんですけどもですね。まあですね、そのおかげでランバ・ラルがですね、一瞬油断したおかげで全部変わってきてしまうというですね、話になります。
ジオン兵にやられそうだったアムロを助け、セイラとの交代を命じたのは、これまでですね、散々ですね、情けない姿もしたし、あとアムロにもですね、なんかこう反発していたですね、ブライトだというところもですね、全体行動して面白いと思います。ランバ・ラル、セイラ、アムロ、ブライトですね。この4者のですね、関係が一気に動き出す、すごい回になります。ということでですね、来週もお楽しみにしてください。
今日はですね、いよいよ第20話「死闘」のですね、4回目。もうこれで「死闘! ホワイト・ベース」終わりです。4回目ですね。ホワイトベースに侵入してですね、第2ブリッジを制圧しようとするランバ・ラルですね。で、ガンダムの操縦をですね、アムロと交代したセイラさんがですね、同じく第2ブリッジに向かいます。両者第2ブリッジに向かうわけですね。で、この2人が出会ってしまうことで今回のドラマ、クライマックスを迎えます。前半のですね、無料放送のですね、注目はもちろんこのランバ・ラルとセイラの再会シーンです。ここで使われてるですね、構図的なですね、演出方法についてですね、ちょっと詳しく解説しています。今回もですね、無料の後ろでですね、追加の解説をするのでお楽しみにしてください。それではもう早速始めましょう。機動戦士ガンダム第20話「死闘! ホワイト・ベース」4回目の解説、最後の解説です。スタート。
機動戦士ガンダム講座「死闘」、第4回ですね。今回最終回になると思います。「死闘! ホワイト・ベース」第20話ですね。「死闘! ホワイト・ベース」のいわゆるAパート、Bパート、テレビアニメでいうAパートBパート後半のですね、ここまではですね、ホワイトベース内についに乗り込んできたランバ・ラルたちですね。で、ランバ・ラルたちはですね、第2ブリッジっていうですね、ホワイトベースのメインブリッジの1つ下にある指揮所を押さえようとしてます。
なんでかと言うと、これもう戦艦とかを襲う時の定番みたいなやり方なんですけども、メインブリッジっていうのはですね、いわゆるその海軍の、第1、第2大戦で言うところですね、露天ブリッジに近いんですね。窓があって見通しがいいんだけども、敵にやられやすい環境にあると。それに対して戦闘艦橋とか第2ブリッジという風に言われるのはですね、窓がほとんどないんだけども、内部の指揮を全部できると。なので、いざという場合第1ブリッジを捨てて、敵にやられた場合捨てて、第2ブリッジで全ての指揮が取れるように、簡単な指揮系統の装置は全て揃ってると。
ランバ・ラルたちが狙ってたのはですね、第2ブリッジを占領して、で、第1ブリッジが壊れたかのような信号を出すと。クランプたちが窓を開けてますから、もう第1ブリッジ破壊できるわけですね。で、その破壊した後で第2ブリッジ、ランバ・ラル班とクランプ班があるんですけど、クランプ班が第1ブリッジを破壊すると。それに対して、ランバ・ラル班は第2ブリッジを占領して、で、こっからホワイトベースの全てのですね、動きをコントロールして、少年たちを捕虜にしてホワイトベースをほぼ無傷のまま持って帰ろうとですね。これがランバ・ラルたちの作戦です。
第2ブリッジに入られそうになってるところですね。アムロはですね、ブライトからですね、もう第2ブリッジを壊してもいい、外から破壊してもいいからガンダムで戦えという風に言われます。で、セイラさんと交代します。セイラさん今回はガンダムに乗り込んでたんですけども、ここでですね、アムロと交代します。で、アムロが乗り込んでセイラさんが降りていく。で、この時にですね、2人の間でちょっとした会話があります。「頼んだわね、アムロ」っていう風にセイラが言うとですね、アムロは「はい」と答えると。「敵は?」ってセイラが聞くと、「第2ブリッジです」っていう風に答えちゃう。この「第2ブリッジです」と、敵は第2ブリッジにいると答えたおかげで、セイラはこのまままっすぐ走っていって、実は1番この位置から近い第2ブリッジに登っていくことになると。
ホワイトベースのクルーは第2ブリッジが今危ないって集まってるんですけど、なんせ巨大な船なんですよ。で、セイラとアムロが乗り換えたところがたまたま1番近い出口だったので、セイラが1番最初に第2ブリッジに行くことになると。ここでランバ・ラルと出会ってしまうんですね。だからこの時にセイラが「敵は?」と聞かなかったら、アムロが「第2ブリッジです」と答えなかったら、おそらくセイラとランバ・ラルの出会いは起きなかったんですけどもですね。こういうですね、運命の出会いっていうのは偶然起きてしまうんですね。「僕は外からガンダムで第2ブリッジを」、アムロがやっぱ言いたかったのは、僕は外からガンダムで第2ブリッジを攻めますので、セイラさんたちも内側から第2ブリッジで敵を追い詰めてくださいっていうようなことを言いたかったんですね。その通りにしてしまうので悲劇が起きると。
で、ランバ・ラルたちはその頃ですね、ちょうど第2ブリッジに入ったとこです。第1ブリッジ使ってたので第2ブリッジは無人です。ホワイトベースの中は常に人材不足、子供たちしかいないのでですね、敵が来たら全員で銃を持って後ろに行かなきゃいけないぐらいの人数不足なので、第2ブリッジなんか普段は人は誰もいません。ランバ・ラルたちはその中に簡単に入ってですね、指揮系統の切り替えを始めます。で、中に部下を入れてランバ・ラルは第2ブリッジの外の廊下でですね、銃を構えて敵が来れば食い止めようという風に待ってます。
そうするとそこでもう中がですね、ホワイトベースの中が、銃の煙ですね。銃を発射する時のですね、爆発の煙、火薬の煙でもう充満してるんですね。で、見通しが悪い中、もうこっから先の、なんだろう、廊下とかの映像はですね、全部こういう煙った感じの映像になってるんですけど、見通しが悪い中ですね、セイラがこのドアからドンと入ってくると。これ第2ブリッジのドアです。こちら側の第2ブリッジのドアに人が入らないようにランバ・ラルが立って待ってたんですけど、このドアが開いてさっきアムロと交代したばっかりのセイラが飛び込んできてしまう。2人はバンってお見合いになってしまうわけですね。で、ランバ・ラルはですね、銃を向けるんですけど、その瞬間にですね、顔を見て驚いてしまうと。
で、ここもですね、ちょっと、これ、2つの画面が交互に映ります。この順番ですね。左の1、右の1、左の2、右の2と、この順番でお話が進んでいきます。で、ランバ・ラルは銃を向けて驚きます。これが驚いた時ですね。えっと、「あ、姫、姫様か」っていう風にびっくりしますね。そうするとセイラは何を言われたのか分からないと。ハッとするんですね。で、ランバ・ラル、銃を向けてるままですね、「間違いない。アルテイシア様に間違いない。私をお忘れか。あなたの父君、ジオン大公にお仕えしたジンバ・ラルの息子、ランバ・ラルですぞ」。かなり長いセリフですけども、まだ一応銃を構えたまま言うんですね。
で、セイラは驚きます。セイラのこの間に実はセイラの回想シーンが入るんですね。で、ランバ・ラルに子供の頃ですね、可愛がられた思い出の回想シーンが一瞬入って、セイラの顔つきがキリッと変わります。「アルテイシアと知って、なぜ銃を向けるか」っていう風にこの時に言うんですね。つまりなんかそのセイラはそれまで、なんだろうな、多分15年間とかずっと封印してきた自分の立場っていうのをですね、忘れてたんですね。で、ホワイトベースの中に乗って、サイド7に住んでる普通の民間人、お医者さんの卵みたいな立場でずっと生きてたんですけどもですね、「アルテイシア様に間違いない」という風に言われて、かつての自分の立場を思い出した。で、かつて自分を可愛がってくれたと言っても、もう本当に自分の父親に仕えていた、いわゆる下っ端ではないんですけども、子供の頃ですね、自分の機嫌をずっと取ってくれたランバ・ラルというのが分かって、一瞬ですね、アルテイシアに戻るんですね。アルテイシアと知ってなぜ銃を向けるかと。もちろんこれはですね、今銃をはっきり向けられてるということに対する怒りというか恐怖もあります。
そうするとランバ・ラルは思わず銃を、向けてるのをですね、外してですね、「は、やはり。では、なぜ」っていう風に聞きます。じゃあアルテイシア様ではないのかって聞いたら、アルテイシアだと答えられると、やはりと。じゃあなぜあなたは連邦の船に乗ってるんですかという風に聞いてしまうんですね。
ここまでですね、その画面の左側、これをですね、その何て言うのかな、下手と言います。舞台用語ですね。下手、上手、下手、上手という風に、ドラマが進んでいくんですね。「アルテイシアです」「あなたはアルテイシア様ですか」と下手が言って、上手が驚いて、「お忘れか」って言うと、上手が「ならばなぜ私に銃を向ける」と。そうすると下手側がですね、「あなたはこのようなところで」って言うと、次のここを見てください。これ、リュウがですね、そこへこんな2人の事情を知らずにですね、真正面から突っ走ってくるんですね。これ何かというと舞台の花道なんですよ。ここですね。すごい舞台劇に作られていて、下手上手が交互に出てきて、で、中央の花道をですね、1番遠いところから演技者が走ってきて、この状況を打開するという流れになってますですね。
で、花道からですね、リュウが走ってきて、これ見えにくいんですけど、この後ろからさらにブライトもですね、一緒に走ってきます。で、下手側の最後の映像ですね、ランバ・ラルは撃たれてしまうですね。で、自分で「不覚」と、失敗したという風なことでしゃがみ込むと。撃たれてですね、いわゆるしゃがんでしまうんですね。で、それでしゃがみ込んでもなおも立ち上がって撃ち返すと。次はですね、花道から走ってきたリュウが上手に立っていて、で、下手側のランバ・ラルを撃ってると。それでなおもランバ・ラルに対して反撃して撃つんですね。で、最初驚いていたセイラも一緒になって下手側のランバ・ラルを撃つっていう行動に出ます。こういう風にですね、ここのシーンはですね、下手上手というのを交互に映しながら、途中で花道から状況突破のきっかけというのを持ってくることで、舞台演劇的なですね、ちょっと、なんでかっていうと、ここね、言っちゃえば臭い大芝居なんです。「あなたは私がかつて仕えていた殿様の姫様」「姫と知ってなぜ銃を向ける」「は、それは」っていうですね、チャンバラ映画を言ってるんですよね。なのでここ舞台劇に1回落とし込んで、すごい分かりやすい構図に持っていってますですね。
で、「姫様」っていう風にランバ・ラルは言うんですけどですね、もうこうなってラルは、そのリュウはともかくですね、怪我したリュウはともかく、セイラも一緒に拳銃を連射してくるわけですね。でもランバ・ラルは撃ち返せない。戦闘を放棄するしかないので、ランバ・ラルはさっきの第2ブリッジのドアに飛び込んで内側からドアを閉めてしまいます。
で、ドア前ですね。ようやっと走ってきて間に合ったですね、ブライトです。で、セイラはまだ銃を構えているですね。で、リュウは撃たれて、とりあえず一生懸命気力で撃ち返したんですけども、立てる状態ではないんでうずくまってるんですね。で、ブライトはこれで、まあ、一応ドアがロックされたので、アムロに指示を出すですね。「アムロ聞こえるか? 第2ブリッジを占領された。撃破してくれ」という風に言います。もうこうなるとブライトは第2ブリッジを破壊するっていうのが最適手段だと分かる。アムロは「了解」と答えます。で、アムロのガンダムは第2ブリッジを外から攻撃することを命じられます。
で、その頃ですね、これランバ・ラルですけども、第2ブリッジに逃げ込んだ、内側からロックしてるんですけど、もう今からですね、切り替えてですね、主導権を取ろうとしても遅いわけですね。ランバ・ラルたちの目論み、狙いはバレてしまったのでですね。この作戦失敗なんです。ランバ・ラルはですね、部下に「ハモンと連絡は」って聞くと、ジオン兵が「周波数を合わせました」と言うと、これからランバ・ラルはハモンに連絡するんですけど、「お前たちは引け」と、逃げろと、作戦は失敗だっていう風に短く答えます。で、これランバ・ラルの最後の交信の時の映像ですね。
で、ハモンがどうなったかっていうことで「あなた」と一言だけ聞きます。そうするとランバ・ラルが「ハモン、すまん。木馬をギャロップで撃破してくれ」。外側からもう弾を当ててくれと。ミライが読んでた通り、元々はホワイトベースを占領するつもりだったので、ギャロップはわざとホワイトベースに弾を当ててなかったんですね。なのでもう構わないと。ホワイトベース、木馬をギャロップで撃破してくれ。「ランバ・ラル、戦いの中で戦いを忘れた。アルテイシア様が」っていう風に言うんですね。で、ハモンが「どうなさったんです」。全く状況読めないハモンがこう聞いてくるんですね。
そうするとこれ、次がこうなってるんですけども、1番上ですね。ハモンが「どうなさったのです」って言って、ランバ・ラルはもう声を出せない状況なんですけど、この無線機がいきなりドーンと爆発してですね。で、ランバ・ラルが吹っ飛ばされて、何かって言うと、ガンダムのですね、ビームサーベルの槍型の兵器、ビームジャベリンがこの部屋ん中にぐわーっと入ってくるんですね。ビームを持ったままこの部屋の中にガーっと入ってきて、ランバ・ラル以外のジオンの兵隊を全て焼き殺してですね。で、この第2ブリッジを破壊すると。
この構図ね、めちゃくちゃかっこいいんですよね。かっこいいって言ったらランバ・ラルに悪いというかですね、かわいそうなんですけども、最後の最後に自分が惚れた女にですね、すまないと、俺ここまでだっていう風に報告してて、その女の人が「どうしたんです」って言った瞬間にその無線機が大爆発して、そうすると巨大な無慈悲なですね、そのガンダムの兵器が部屋の中にぐわーっと入ってきて、部屋全体をいわゆるナパームという高熱で焼き尽くして、自分の部下を全て焼き殺してしまうというシーンなんですね。かなりこのショッキングなシーンなんですけども、やっぱガンダムうまいなと思うのは、その狭い空間の中で戦いやった後、いわゆる抜けのいい画面ですか、すごい広い画面のところの戦闘とか構図を見せることで、映画的な絵的な要素がですね、すごいこう面白くなる、明るくなるっていうのは分かってるんですね。
で、ランバ・ラルは吹っ飛ばされて、残っていたジオンの兵隊たちは全員ジャベリンで焼き殺されてしまう。これなんで分かるのかって言うと、最後、第2ブリッジ破壊され尽くした中でランバ・ラルだけが立っていて、で、ホワイトベースのクルーが入ってきた時にランバ・ラルだけが生きて動いてるからなんです。他の人間が死んでるっていうのを見せないんですけども、実はこういう残酷なことをやってるってのは分かるんです。
はい、どうもお疲れ様でした。無料ここまでですね。ランバ・ラルがですね、吹き飛ばされるシーン、第2ブリッジにですね、ビームジャベリンがどんどん入ってきて、ランバ・ラルが吹き飛ばされるシーンで、その後ですね、ランバ・ラル起き上がってきてですね、最後のですね、セリフ言うんですけども、この辺のですね、シーンでですね、ちょっと今になってみると、修正、見てる側がですね、修正を頭の中でこう入れてあげる必要があるんですね。で、それは何かって言うと、機動戦士ガンダム、この時代はつまり1970年代のアニメでですね、80年代になってもそうなんすけど、えっとね、超時空要塞マクロスとかですね、その辺の作品ですか? 81、2、3年あたりからようやっとアニメーションの潮目が変わって、そのアニメーションっていうのが青少年が見るものっていう風にですね、こう言われるようになったんですね。ただそれまではですね、アニメーションはもうスポンサーは、おもちゃ会社もあるんですけども、その他に運動グッズメーカーとかですね。あと絵本とかですね。だから機動戦士ガンダムもですね、絵本が出てたんですよ。で、そういう風な時代なんですね。本当に子供向けの番組という風に言われたんですよ。
だから、ランバ・ラルが吹き飛ばされて、目の前でパネルが爆発して、ランバ・ラルが吹っ飛ばされて起き上がった時っていうのは、ランバ・ラルはうーって言って体抱えて、ちょっと顔に汗というか血みたいなものが流れてる程度なんですけども、見る側がですね、少しですね、解釈してあげないといけないですね。あそこでですね、ランバ・ラルってのはどういう風になってるのかって言うと、もう本当に子供向けのアニメだから、とりあえず顔かなんかに血を1筋流しておいてぐらいに留めてるんだけども、実際はもう立ち上がることができないぐらいのぐちゃぐちゃの状態だっていうことなんですね。
ガンダムの第1話や2話でもですね、えっとですね、連邦軍のですね、ザクを攻撃しようとするミサイルが外れてだったかな。で、結局フラウ・ボゥの家族とかですね、避難民がサイド7で吹き飛ばされるシーンがあるんですよ。で、その時もですね、やっぱ倒れてる人間がパラパラパラっと描いてあって、そこにフラウが走っていって、「おばあちゃん」って言ってですね、体を揺するんですね。で、それをアムロが見て愕然としてるんですけども、なんでアムロがそれを見てショックを受けてるのかというと、別に人がいっぱい倒れてるんじゃないんですよ。実際にあそこであったものっていうのは何なのかって言うと、手足バラバラの状態の人間がいっぱい散乱していてですね、そこにそのフラウ・ボゥが行ってですね、もう明らかに生きてないであろう人間のかけらをですね、揺すっていて、上半身しかないであろう人間の死体揺すって「おばあちゃん」って言ってるのが、それがこのアムロにはショックなんですね。でもそれはアニメでは描かないし描けない。それが70年代アニメの常識というか良識、良心だったんですね。
で、同じなんですよ、これ。未来少年コナンもですね、そうなんですけども、未来少年コナンでですね、第1話でおじいがですね、ミサイルを抱えてますよね。で、ミサイルを抱えてきてですね、インダストリアから来たですね、ファルコの乗組員に向かってですね、彼らに向かって「出ていけ、わしの島から出ていけ」ってミサイルを向ける。そうするとクズが撃ったですね、機関銃の弾が当たってミサイルが爆発するですね。ミサイルが至近距離で爆発して、ミサイルの発射装置が爆発してですね。で、その後おじいさんはすぐにもうベッドへ寝て、毛布で体隠してるんですよ。なんであれ毛布できっちりかけてるのかというと、やっぱそこは描けないから、70年代アニメなんですね。あれはもう本当に生きることができないぐらい、直後に息絶えてしまうようなぐらいのですね、状態だから、おじいさんはこの毛布をかけてるわけですね。
で、そこら辺はもうね、見る側が汲み取るしかないですよ。子供向けのアニメだからここまでしか描いてないんだけども、本当はこういう状態なんだと汲み取るしかない。そこら辺がその今のアニメっていうのは、その深夜枠のアニメとかですね、そういうのも増えてきて表現が大人向けになってるのが当たり前なんですね。だから全て描こうと思ったら描けてしまうのでですね。なかなかその例えば、人間の首が飛ぶシーンでも描けちゃうしですね。手足を失うシーンもシルエットだから描けてしまうしっていう風なことなんですけど、僕らはですね、それを見て当たり前だと思ってるんですけども、70年代アニメぐらいを見る時に、逆に言えばこのシーンっていうのは実はすごいんだろうなっていうのをちょっと頭の中で補完してあげなければいけないっていうですね、ちょっとそれだけ一言言わせていただきました。
で、実際にですね、ちょっとここにホワイトベースの模型は置いてありますが、普段ですね、ブライトたちがいるのが先頭ブリッジですね。これ第1ブリッジ、先頭ブリッジです。で、この下のその出っ張ってるところが第2ブリッジですね。で、ここの第2ブリッジをですね、ランバ・ラルたちは制圧しようとしてるわけですね。だから、この後です、ランバ・ラルたちがおそらく上陸してきて向かっていった入り口ってのはこの辺りなんです。で、この辺りから上がっていった。で、ガンダムはですね、おそらくこう寝転んで中を覗いてるような感じになるんじゃないのかなという風に思います。そんな風にですね、実際はここの画面どういう風になってるのかというのをですね、推理するのも機動戦士ガンダムの楽しみだと思います。
では、後半は引き続き「死闘! ホワイト・ベース」について解説します。こっから先はですね、いよいよ今回のドラマのクライマックス、ランバ・ラルの最期のシーンに入ります。見ていただきたいポイントは2つで、1つは破壊された第2ブリッジの壁の穴から中を覗き込むガンダム。今話したやつですね。ここ、作画というかですね、ガンダムの口の線が1本多かったりですね、妙に横長だったりですね、ちょっと絵は崩れてるんですけども、それとかは置いといて、なんだろうな。アムロが行った、えっとね、その前の回で解説した、アムロが実は機関銃でジオン兵を撃ち殺してるとかですね、そういう行いと合わせるとかなり印象的に描かれてます。もう1つはランバ・ラルが自爆した理由ですね。なぜランバ・ラルは隠し持っていた手榴弾をですね、駆けつけたブライトやアムロにですね、投げつけなかったのかですね。1人でも敵をやっつけようとするんではなくてですね、自分のために、自爆のために使ったのか。そもそも戦いの中で戦いを忘れたという言葉の意味はどういうことなのか。その辺についてもですね、詳しく語っていきます。
こっから先はですね、有料の放送になりますので、続きが見たい方は岡田斗司夫アーカイブかですね、ドワンゴのブロマガチャンネル、YouTubeのメンバーシップ、どれでも結構ですから、どれか好きなもので見てください。入会よろしくお願いします。後半が終わったあとですね、生放送で追加の解説ちょっとだけしますのでお楽しみにしてください。それではこっから後半ですね。スタートです。
ランバ・ラルが吹っ飛ばされて気絶して、一瞬気絶するんですけど、目を開けるとですね、目の前にですね、破壊されたその第2ブリッジを覗き込むガンダムの顔っていうのがあるんですね。で、ランバ・ラルは呆然とそのガンダムに向かって歩いていきます。かなりね、すごいシーンですね。第2ブリッジの壁がガンダムのジャベリンで破られてですね。で、ガンダムがこれ何やってるのかと、生き残ってるやつはいないかっていう風に見てるんですね。で、それに対してランバ・ラルが最後の気力を振り絞ってゆっくりと歩いていきます。かなりですね、そのガンダムが非人間的というか、悪魔的に見えるんですね。見てる視聴者っていうのは完全にこのランバ・ラルの方に同情するような、共感するような視点でこう作られてます。
で、「またモビルスーツのガンダムか。わしの戦っていた相手が皆、年端のいかぬ少年とは皮肉なもんだ」っていう風にランバ・ラルは言ってゆっくりと歩いてきます。これね、なんでランバ・ラルがですね、わしの戦っていた相手が年端のいかぬ少年とは皮肉なものかっていうのは、もうちょっと後で説明しますけど、ここのセリフにもやっぱり意味がありますですね。
で、ランバ・ラルがですね、ゆっくりとガンダムの方に歩いていくと、ようやっとですね、第2ブリッジのドアを破壊することに成功したブライトであとはですね、セイラたちが部屋に駆け込んできます。で、部屋に駆け込んできた彼らが見たのはですね、このランバ・ラルがですね、こちら側をくるっと向いて喋り出すところですね。「君たちは立派に戦ってきた。だが兵士の定めがどういうものかよく見ておくんだな」っていう風
ランバ・ラルが遺言めいたことを言って、手に持っていた最後の手榴弾のピンを抜きます。この時に実はランバ・ラルは手榴弾を持ってたんだから、これを投げればブライトなりセイラなりハヤトなりを殺せるし、ガンダムに最後一矢報いることもできるんですけど、それを選ばないんですね。「よく見ておくんだな」っていう風に彼らに言ってですね、手榴弾のピンを抜くと。
ただそれで、なんだろう、もう子供と分かっているブライトたちを攻撃するのは、もうランバ・ラルの戦いではないんですね。ランバ・ラルの戦いっていうのは何だったのかって言うと、弱いものを基本的に実はこの人は守ろうとしてるんですね。それは、生活レベルが低くてジオンの兵隊にようやっとなれて、そのことによって国に仕送りをしようとしてる部下たちだから、部下たちの生活レベルを上げるっていうことをハモンに言ってたんですけど、あとは戦場でアムロを見逃して、フラウ・ボゥを見逃して、今回も銃を持ってるフラウに「銃を持ってたら今度は殺すぞ」って言って見逃すと。こういう風にですね、常に弱いものの立場に立っているはず。
だからザビ家に対する反感などはあったんですけども、基本的にランバ・ラルの中で自分が戦ってるのは、なんだろうな、一方の側っていうのは重々分かるんだけど、一応正義のため、自分の男の道っていうのがちゃんとあったはあったんですね。でももうそれが、なんだろう、通用しなくなってると。それに反する行動を自分はしていると。だから部下を犠牲にしてまでホワイトベースに乗り込んでゲリラ戦で勝とうとしたんですけども、それで戦わなきゃいけない、殺さなきゃいけない相手っていうのは、ランバ・ラルがずっとこれまでの戦いでおそらく見逃し続けていた、助けてきた子供たちだったというショックなんですね。
で、第2ブリッジを一緒に占領していたランバ・ラルの部下たちっていうのは、この戦の勝利者となって生活レベルが良くなるはずだった。でもその勝利者となるはずだった、第2ブリッジを一緒に占領した部下たちっていうのは、ガンダムのビームジャベリンですね、子供が操縦してるガンダムのビームジャベリンで無慈悲に殺されてしまったと。これがランバ・ラルがさっき言った「皮肉なものだな」っていうことなんですよね。自分がこいつら、こいつらっていうのはつまり部下と子供たちをですね、助けるために戦うという美学それ自体が、ランバ・ラルを敗北させてしまったわけです。
なのでランバ・ラルは手榴弾のピンを抜いて、最後に一声叫んで外へ飛び出していきます。で、アムロのガンダムが慌てて手を伸ばして、落ちていくランバ・ラルを捕まえようとするんですけども、それより一瞬早くランバ・ラルは自爆してしまいます。爆弾で自爆してしまうんですね。
で、その自爆して吹っ飛ばされるランバ・ラルを見てセイラはすごいびっくりするんですけど、その後やっぱ顔を背けます。顔を背けるのは残酷で見てられないってことじゃないんですね。この中でこのことが言えないから。「ランバ・ラル」っていう風に声に出して言えないからですね。この人が私の知り合いであったっていうことを言えない自分の立場ですね。ホワイトベースの中でのたった1人の孤独っていうのを噛みしめてセイラはですね、この時に顔を背けます。だからちょっとね、複雑なドラマが何種類もこう進行してるという風に思ってください。
で、アムロはですね、もうすごいショックなんですよ。慌てて手を出して助けようとしたですね。かつて自分を見逃してくれたランバ・ラルに、「お前は俺に勝ったんではない。そのガンダムの性能で勝ったんだ」という風に言われて怒って、あの時散々勝ちたいと思ってたあの人、ランバ・ラルに対して、自分はビームジャベリンで第2ブリッジを外側から破壊するっていう、まあ卑怯と言えば卑怯なんですけど、そういう風な手を使って勝った。で、勝ったんですけど、その人が負けを認めて自爆してしまうんですね。それでショックでやってるんですよ。
で、この手の上で燃えカスだけが残ってて、凍りついてるガンダムで、カメラがこのままこの上ずっと上がっていくんですね。で、こうやってずっと上がっていって、なんだろうな、呆然とするアムロっていうのを映すのかと思うと、カメラが上に上がってくとガンダムの肩あたりにガーンって砲撃があるんですね。これ何かって言うと、ギャロップからの砲撃なんですよ。つまりなんだろう、かつての「ガルマ様の敵」と言ってガルマの元彼女に攻撃を受けたガンダムと全く同じことが、この時起こると。
この時ハモンはですね、ランバ・ラルが殺されたことが分かってですね。で、ガンダムと戦うことにならなければいいのになと思ったんですけど、もうホワイトベースを狙ってないんですね。ランバ・ラルの最後の無線では、ギャロップはもうホワイトベースを攻撃してくれ、当てて構わないって言ったんですけども、その時にですね、ハモンが狙ったのがガンダムただ一機だったって分かるんですね。ちょっとこの般若のようなというかですね、女の怖さっていうのが分かると。
ランバ・ラルが死んだことによって、自分の孤独を噛みしめて目を背けるセイラ、アルテイシアと、それによってアムロ・レイという自分が気に入ってた子供が自分の敵だと分かってですね、それでガンダムに攻撃を集中させるハモンですね。
で、「ハモンさん、ランバ・ラルが死んだんだぞ。やめるんだ」っていう風にガンダムが言ってですね、さっきランバ・ラルたちを倒したジャベリンをもう1回抜いて、ギャロップの方へブーンと投げるんですね。この投げるの作画がまたなかなかいいんですけども、なかなかいいってのはどういう意味かって言うと、本来ガンダムって腰をひねって槍を投げるような動作ができるロボットじゃないんですね。もう箱の組み合わせですから。で、それがですね、無理やり作画でですね、結構いい感じでオーバーアクションでやり投げするからですね、途中でなんか顔とかのサイズがこうバラバラになるんですけど、めちゃくちゃそれでもかっこいいんですね。だからデッサンが狂っても動きがかっこいいってことがあるっていうのが、このガンダムのジャベリン投げです。
で、「ランバ・ラルが死んだんだ、やめるんだ」って言いながら槍をブーンと投げるんですね。そうすると手加減して投げたんですけども、槍がバーっとギャロップの正面に命中ですね。正面に命中しても、実はハモンはこの横のこの小さい箱の部分ですね、実はここにブリッジがあって、ここにハモンがいたのでですね、この部分だけはガチャンと外れて飛んで逃げていきます。ギャロップが最後大爆発するんですけども、このブリッジ部分だけは外れてハモンは脱出すると。
で、脱出したハモンのブリッジ内の映像です。もう表情が読み取れなくなって、逆光状態で目だけに照明が当たってると。これは1900……そうですね、50年代のヨーロッパ映画、フィルム・ノワールっていうタッチでよく言われるんですけども、例えばタクシーの後部座席に乗ってる2人の同士で、周りが暗いと。パリの街が外側にあると、外側はネオンで明るいんだけど夜だと。で、車の中は暗い。だから2人の顔はほとんど見えない。だけど目だけに照明を当ててると。これはフィルム・ノワール的な光の使い方なんですけど、その技法に近いですね。目だけが白くあって、表情が逆光で読みにくくなってるんですね。
で、ハモンは最後に部下に確認します。「隊長から連絡はありませんか」って言うと、ジオン兵が「はい、あれが最後です」っていう風に言う。ハモンが知りたかったのはランバ・ラルが本当に死んだかどうかなだけなんですね。なのでそのことだけを確認して無表情に答えると。で、「そう」っていう風にハモンは答えてですね、「ランバ・ラル」っていう風に独り言を言います。最後の独り言っていうのは、おそらく死んだという風なことを諦めたのか、最後にその名前が口の端から出てしまったのか、こういう表現ですね。
で、20話「死闘! ホワイト・ベース」のラストシーン。ブライトが「静かに、静かに運ぶんだ」っていう風に言いながら、担架でですね、今もうほとんど致命傷に近い、死にかけてるような傷を受けてるリュウを担架で運んでる。このシーンがですね、カメラがずっと後ろに下がって、彼らの姿が小さく小さくなってく、いわゆるトラックバックという方法ですね。カメラ自身が後ろに下がっていくことで、彼らの存在を小さく見せて、このちっぽけな出来事っていう風に見せてるんですね。
戦争の中で兵隊が死ぬのは当たり前のことなんですよ。このお話の中でもジオン兵、それまで名前も出てないようなジオン兵ですね。名前も出てるやつもいるんですよ。いわゆるフラウが来た時にフラウの跡をつけた人とかですね。あと、ランバ・ラルたちが食事しに行った時に一緒に入ってきたメンバーとかですね、ランバ・ラルたちがちょっと話をしてる時に外側で見張りに立っていた、そういういろんな兵隊が死んでいくのと全く同じく、リュウもですね、今怪我をして死につつあるんですね。それをカメラがトラックバックしてることで、このリュウの死っていう、ホワイトベースのクルーにとっては一大事かもしれない、これから起きる出来事も戦場の中で当たり前のことなんだっていうのを、このトラックバックで教えてきます。
機動戦士ガンダム講座第20話「死闘! ホワイト・ベース」ですね。次回21話はですね、「激闘は憎しみ深く」ということですね。ハモンの復讐戦ですね。女が惚れた男のために復讐戦をするっていうのは、実は1回、えっと、「イセリナ、恋のあと」でやってるんですね。「イセリナ、恋のあと」でやってるから、なんでこれを繰り返しやるのかですね。それはイセリナの立場と、あと今回のハモンの立場っていうのが違う。アムロ・レイを知ってるかどうかだったんだっていうのが次回ですね。
で、同時にですね、ハモンと同時に、今回重傷を負ったリュウも死んでいきます。この2つの出来事で、これまでずっと何話にも渡って舟であって、今回ついに脱走まで出してしまったみんなの心がようやっと1つに固まっていくっていうのが描かれるので、楽しみにしてください。それでは機動戦士ガンダム講座第20話「死闘! ホワイト・ベース」をお送りしました。これで終わります。お疲れ様でした。
はい、どうもお疲れ様でした。今回の限定放送ここまでです。ランバ・ラルの死に方に対してはもう本当に考えさせられるものがありますよね。ランバ・ラルとドズル・ザビと比べた時に、やっぱり両者ともにですね、もう自分には価値がないと。つまりこの戦争に価値がないという時に、どうやって自分の意地を通すのかっていう部分なんですね。
もちろんランバ・ラルは致命傷を負ってて、もう死にかけてて、じゃああと自分の最後はどうするのかって、ここの差はあるんですよ。ドズルの方は体の方は元気なんですけども、もうジオンはこのソロモンを抜かれた時点で後がないと。ジオンというのはもうここからは敗戦になっていくんだろうなと思う時に、それぞれがですね、じゃあ自分の個人として何を通すのかっていうのを、もうずっと後の話になるんですけども描くので、ちょっと比べてみると興味深いなと思うんですけども。
やっぱりランバ・ラルとドズルの差っていうのはですね、なんだろうな、最後に人間性を選んだランバ・ラルですか。つまりずっと非情な戦士というのかな、まあ非情ではないんですよね。人間味たっぷりな武人ですか。侍として生きていたランバ・ラルがですね、最後に選ぶのは、侍の死に方ではなくて人間の死に方なんですね。
人間として、本当はもうね、ハモンと通信が取れないわけですよ。で、ハモンと通信取れないわけなのでですね、ハモンにもう逃げて欲しいわけですね。これ以上ホワイトベースを攻撃して何にもならないことをランバ・ラルは分かってるんですね。自分ももうすぐ死んでしまうだろう。このままで怪我でもう出血して、多分数分後には死んでしまうだろうというような状況なんですね。だからハモンにもうやめろ、逃げろという風に言いたいと。現にさっき無線で言ってた、もうこれで終わりだという風に言ってたんだけども、ハモンは納得してくれないだろうという風なことで、ランバ・ラルがギリギリで選んだ手段っていうのが、せめて手榴弾で自爆するという方法なんですね。
で、これでもうこの戦いを終わりにして、ハモンには本当は帰って欲しいという、どちらかというと戦士の生き方ではなくて人間の生き方なんですね。これ以上子供たちを傷つけることはしたくないし、ハモンにも復讐なんかして欲しくないっていうのがランバ・ラルの本音なんだけれども、それを分からせるためにわざわざ自爆という、ハモンから見える方法を選んでるわけですね。見ろと、俺は殺されるんじゃないんだぞ、自分で死ぬんだぞっていうのを分からせるために、わざわざホワイトベースのサブブリッジから飛び降りて、ハモンが見える位置で死んでるわけなんですよ。ところがそれに対してハモンは余計に復讐心を持ってしまったとかは、ここはランバ・ラルの計算違いなんでしょうけど。
で、それに対してドズル・ザビっていうのはですね、それまで結構人間味がある人だったのがですね、最後にもう部下を全部逃して、「じゃあ俺1人の意地を通させてくれ」と言って、たった1人で戦うことを選ぶ。で、それでビグザムが落とされた後は、最後じゃあもう機関銃持って宇宙に1人で出てっていう風なところでですね、最後の最後に自分がやりたかったことですか。ずっとジオンの将軍だ、上に兄貴がいて自分のポジションを守らなければいけないと。で、兄貴が暴走してるから父親を守らなければいけないという風な、そういう枠がある人間がついに解放された時に何をするのかと言うと、実は純粋に戦いたかったんだ、俺はっていう。
それはいちいち「お前はロボットで、俺はこんな身1つだから卑怯だから降りてこい」とか、そういうのじゃないですよ。どんな環境であろうと、どんな実力差であろうと、俺はただ戦いたいんだっていうんです。だからこの2人の差がね、すごい悲しいっていうかですね、こう胸に来るものがあって、なんかいい回だなと思います。
あとさっき、ちょっとハモンの最後の表情ですか、目が見えてるやつでですね、フィルム・ノワール的っていう風に説明したんですけど、もうちょっと詳しく言うとですね、実際にあのシーンはモデルがあって、映画のモデルがあって、本当にパリの街を走ってるタクシーの中で男女がこう座ってるんですよね。で、女の人と男の人がですね、肩を寄せ合ってタクシーの後部座席に座ってて、タクシーの中は暗くて、両者の顔はですね、暗いけども、なんとか見える程度なんですよ。で、男性の目の周りにだけスポットライトが当たってて、で、目がこうちょっと動いてるんですね。
で、それによって見てる人間はどう思うのかというと、この男の人は何か考えてる、何考えてるんだろうという風に思わせると。こういう照明の演出方法をフィルム・ノワール的っていう風に言ったんですけども、一時期のハリウッドも取り入れたし、本当にヨーロッパ映画で時々あるポイントに照明を当てる方法なんですけど、それは何かって言うと、目を見せることによって観客にですね、何か考えてることを分からせようとする、そういう風な手法なんですね。だから、ハモンが何か考えてる、企んでるっていうのを分からせるようなシーンだった。その部分が伝わればいいと思います。はい、お疲れ様でした。
今日の無料動画ここまでです。まあ、もう160分の動画ですから、3時間お疲れ様でした。本編の解説は十分すぎるほどしたのでですね、追加情報はですね、重箱の隅の話をするんですけども、オデッサ・デイについてですね、重箱の隅をついたような話ですね。オデッサ・デイについてです。
第16話の「セイラ出撃」という回の冒頭でですね、まあまあ大怪我をした連邦軍の伝令がですね、来て、もう息も絶え絶えに「オデッサ・デイは5日後の予定、ホワイトベースはそれまでにカスピ海を超えろ」という風に指示を受けます。え、サボに飛ぶのは、サボテンのトゲって言ってたあの人ですね。で、オデッサ・デイというのは、連邦軍が計画してるオデッサ作戦。これを通じて地球っていう惑星そのものから、ジオンの勢力圏をなくしてしまうと、地球からジオンを追い出そうという大作戦の、まあとっぱなの作戦なんですね。
で、オデッサというのはですね、現在も存在するウクライナの港町オデッサのことですね。しかしアニメの画面に表示されるのは、実際のオデッサの位置からちょっとずれてるんですけども。このオデッサっていうのはですね、第25話「オデッサの激戦」で描かれる。これでついにオデッサの戦闘があるんですけど、セイラ出撃から5日後なんですよね。5日後にって言ってるからですね。
で、5日間でアムロ脱走からですね、さらに「迫撃! トリプル・ドム」で、マリラサの会までですね、全部起きたっていうのは、ちょっと無理があるんじゃないかとか、当時もですね、アニメファン、ガンダムファンの間で言われたんですけども、「セイラ出撃」の解説の中でこの5日間っていうのはいくらなんでもおかしいって話をしましたよね。
で、今回の「死闘! ホワイト・ベース」の冒頭でですね、さらっとこんな情報が入ってくるんですよね。ブライトさんがですね、「本部からの暗号解読は間違ってないんだろうな」って言うと、セイラさんがですね、「『オデッサ・デイまで動くな』。何度も調べてみたわ」っていう風に言ってるんですね。で、さらにですね、カメラがブリッジの中に入る前にですね、ホワイトベースがですね、水辺というかですね、明らかに海かでかい湖の横に着陸してる絵が映るんですね。
で、ここら辺からですね、SFレスキューって僕は呼んでるんですけども、つまりアニメとかですね、SF作品の中で明らかに無理があることをファンの力でなんとか考察してですね、それできるんじゃないかという風に言ったりする。これをSFレスキューって僕は言ってるんですけど、やってみたいと思います。
で、第20話の「死闘! ホワイト・ベース」の冒頭時点で、ホワイトベースはですね、明らかにこう指示待ちをしてるんですね。なんか湖の隣みたいなところでですね、岸辺みたいなところで着陸して。で、これはですね、ホワイトベースはレビル将軍の指示通りにちゃんと従って、セイラ出撃から5日後に予定されてたオデッサ・デイに合わせてカスピ海を渡り切ったということだと思うんですよね。で、地図で見るとですね、カスピ海のこのアゼルバイジャンの辺りにですね、ホワイトベースを下ろして待機してたんだと思います。
で、ただ届いた指示は「オデッサ・デイ発動まで動くな」だったのでですね、で、動かなかった結果、足の遅いランバ・ラル隊のギャロップに追いつかれて、ホワイトベース内部に侵入されるという今回の戦闘になったわけですね。で、「オデッサ・デイ発動まで動くな」と指示が来たということは、5日後の予定だったけども延期になった。しかも延期の日はまだ決まってないという風に考えればいいんじゃないかと。
で、まとめるとですね、こういうことなんですけども、ちょっとまとめてみました。「オデッサ・デイまであと5日、本当か」と。1日目、セイラさんが勝手に出撃してコズンを捕虜にして帰還して、アムロはですね、米辺指定、つまり徹夜でですね、ガンダムのシミュレートをしてる、真面目にです。で、2日目、鉱山基地をたまたま見つけて戦闘して、その日の夜にですね、ブライトさんのガンダムから下ろすっていう発言を盗み聞きしてしまって、アムロは拗ねて脱走。もう翌日ですね。だからセイラさん勝手に出撃、アムロ勝手に脱走ですね。
で、その次の日がアムロ家出1日目、つまり徹夜で過ごしたかなんかわかんないけども、その1日目で、これでですね、アッザムとですね、鉱山基地撃破、つまりもうそろそろ帰りたくなって手柄をと思ってですね、鉱山基地を撃破で、そこでアッザムとですね、キシリアさんの2人乗りのモビルアーマーと戦ってという流れですね。
で、4日目、家出2日目というかですね、2泊目と言えばいいんですかね。ランバ・ラルと出会ってですね、グフと対決して、で、その後アムロはですね、ホワイトベースに戻ったら檻に入れられてしまうと。で、その次の5日目ですね、なんとかカスピ海を渡ったけれど、作戦は延期、その場で待機してろという命令が届いたという、今回の流れになると。で、こう考えればですね、なんとか5日間でいけるんですけども。
この後ホワイトベースはですね、マ・クベの鉱山基地を破壊しながら、トルコを横断してイスタンブールの辺りまで進むことになると。つまりレビル将軍からですね、イスタンブールあたりまでは来いという指示が出たということになると思うんですけども、セイラ出撃から「死闘! ホワイト・ベース」までが5日間しかなかったというのも、考えてみればギチギチのスケジュールだけどもですね、別にこれは連邦軍の作戦に無理があったんではなくて、ホワイトベースに次から次へといろんなことがあってしまったという風に考えればいいし。
あとアムロの脱走は、せいぜいその徹夜含めて2泊3日ですか、実際はですね、1泊3日っていうですね、なんか貧乏なハワイ旅行みたいな[笑い]ですね、無理やりな旅行みたいなスケジュールと考えたらリアルじゃないかなと思います。でないとね、やっぱ14歳の少年ぐらいが砂漠でですね、いくらガンダム盗んだからと言っても、3泊も4泊もできないと思うんですよね。ということでですね、SFレスキュー、こんな感じでやってみました。
それではですね、今日の動画この辺ですね。来週はですね、第21話「激闘は憎しみ深く」の動画でお会いしましょう。じゃあ、また来週。バイバイ。
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