「30万rpm」をうたう2900円の電動エアダスターを分解したら、実測は9万rpmだった

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概要

Amazonで約2900円で購入した電動エアダスターは、パッケージで「30万rpm」をうたっている。話者はこの数字を疑い、実際の使用感、バッテリーの持ち、回転数を確かめたうえで分解し、部品構成と原価を見積もった。結論はスペックの誇張だった。ただし話者は、この価格で製品として成立していること自体に驚いており、同時に安全面の懸念も挙げている。

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30万rpmはどれくらいの数字か

話者はまず、30万rpmがどれほどの高回転かを比較で示した。Dysonの掃除機が最高14万rpm、歯医者のドリルが最高40万rpm、自動車のターボチャージャーが10万〜30万rpmだという。ファンのサイズや空気の温度、相対的な流速が違うので単純比較はできないと断ったうえで、かなり高回転な製品だと位置づけている。話者の計算では、30万rpmならファンの周速は440m/sで、音速を超える。2900円の製品でこれを実現しているなら相当すごいことなので、分解して確かめるというのが動画の出発点である。

使用感とバッテリーの持ち

用途は、キーボードやパソコンにたまった埃を飛ばしたり、洗車後の水滴を飛ばしたりすることだ。実際に使うと埃やゴミ、水滴は飛ばせる。ただ話者の感想は「思ったよりもパワーはない」というものだった。小型製品であることを考えれば十分なパワーはある、とも付け加えている。本体裏面の表記によれば中国製である。

バッテリーの持ちは、用途を考えて風速最強の設定で測った。動作音はかなり大きい。残量は3分後に87%で、話者は「結構いい」と評価した。その後は69%、45%と減り、10分経過時点で39%だった。さらに使い続けると、39%表示から一気に0%になって止まった。連続使用時間は10分ちょっとというのが話者の結論で、残量表示の後半は当てにならないことも分かった。

実測回転数は最強でも9万rpm

分解すると、中身はバッテリー、充電回路と制御回路の基板、ファンモーターに分かれていた。ファンモーターはESC基板を載せており、その内側にモーター、外側にファンが付いている。ファンモーター部分には型番があり、検索すると同じ部品がいろいろ見つかるという。

この状態で回転数を測ると、4段階の風量ごとに40,000rpm、53,000rpm、68,000rpm、92,000rpmだった。話者は回転計の精度に自信がないため音からも回転数を推定したが、ほぼ同じ結果だった。最強でも公称の30万rpmには届かない。話者は予想通りの「詐欺商品」だったと認めつつ、2900円でこの製品を出せること自体はすごいとして、部品ごとの検討に移る。

バッテリー:5Cの高レート品で、最強時は約10A

バッテリーはメーカー不明の2直列、2000mAh、14.8Whで、充放電レート5Cの高レート品だった。先ほどの減り方から見て消費電力が大きいため、このくらいの高レート品は必須なのだろうと話者は推測する。実際に電流を測ると、最強モードで約10A流れていた。消費電力は70W程度というのが話者の見立てだ。

バッテリー裏側の出っ張りには保護回路が入っており、その出力にモーターモジュールをつなぐ構成である。話者は、高レートのバッテリーは貴重なので取り外して別の用途に使うこともできると話す。保護回路込みの価格は「多分500円もしない」と見積もった。

制御基板:充電は遅め、回転数はPWM1本で制御

もう一枚の基板には、バッテリーの充電回路とモーター回転数の制御回路が入っている。放電レートは5Cと高いのに、充電には1時間ほどかかる。話者はこれをバッテリーの安全性を考慮した設計だと推測している。

回転数はPWM方式で、青い線1本で制御される。オシロスコープで波形も確認した。話者は、線1本で制御できるので扱いやすいと評価する。9万rpmで回るモーターは貴重なので、ファンモーター部分だけ取り外して別のことに使う余地もあるという。この制御回路の価格は100〜200円程度と見積もった。

削り出しのファンとESC基板

ファンには切削痕があり、ブレード部分にも痕が残っていることから、話者は削り出しのファンと判断した。どんな工作機械で作っているのか気になるとし、中国の人件費が安く製造インフラの層が厚いとしても、こうした超高速回転部品を使った製品が2900円で作れるのは「ちょっと信じ難い」と述べている。空気の流路と回転方向も映像で確認した。

モーターを回すESC基板には、MOSFETの制御・ドライブ用ICがあり、裏面にMOSFETが3つ並ぶ。左上にはホールセンサーがあり、話者は磁束の向きを見て回転を制御するためのものだと説明した。このESC基板も100〜200円程度という見積もりである。

モーター内部:壊して分かったこと

ファンモーター本体も分解しようとしたが、接着剤で固められていて開けられなかった。軸を後ろから叩いて抜こうとしたところ、ローターの磁石が割れた。ローター径は約6mmで、軸の外側に磁石があり、話者はネオジム系だろうと推測している。

意外だったのは固定子の巻線がかなり細いことだ。10A近く流れているのに、これで大丈夫なのかと話者は疑問を持った。ただ考え直して、ファンが常に高速回転して空気が流れ続けるので、放熱には実は余裕のある設計なのかもしれないと述べている。ファンモーターのアセンブリの価格は分からないが、1000円以内には収まっていそうだという。

原価と利益の見積もり

話者の見積もりでは、主要部品だけで1500〜2000円程度になる。これに筐体、組み立て工賃、輸送費、Amazonの手数料、返品率が加わるので、ほとんど利益は出ていないように見えるという。一方で、中国の量産インフラは厚いので、実はきちんと利益が出ているのかもしれないとも述べ、断定はしていない。いずれにしても2900円という価格はかなりすごい、というのが話者の評価である。

安さを素直に喜べない理由:信頼性と安全性

ただし話者は、安いことをそのまま喜んでよいわけではないと強調する。軸受の寿命はそれほど長くなく、長時間・長期間の使用に耐えられるかは疑問だという。9万rpmで回る回転体が入っているのに、バランス取りがされているかも分からない。最高速の9万rpmでアルミのインペラが破損すれば、破片は毎秒132mで飛んでくると話者は計算している。インペラ破損時の試験はモジュール単位では行われているだろうが、製品に組み込んだ状態ではどうなのかは分からない。超高速の回転体を手に持って使う製品なので、安全面で気をつけるべき点があるというのが話者の指摘だ。

結論

実際の最高回転数は約9万rpmで、公称30万rpmは予想通りのスペック詐欺だった。それを差し引いても、製品としては意外と使えるというのが話者の結論である。話者は、こうした中華製品のスペック表記はインフレしがちで、「100万rpm」をうたう製品も見たことがあると述べて締めくくった。