実家の荷物と体調の変化で散らかった3LDK平屋、依頼者が一番悩むのはキッチンだった

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概要

整理収納の専門家・古堅純子が、雪の降る地方の3LDK平屋を訪ねた。住んでいるのは母親と息子の二人。当初の相談は「キッチンが使いにくい」というものだったが、相談後に実家の荷物が大量に持ち込まれ、家全体が散らかった状態になっていた。今回は片付け作業に入る前の現地確認が中心で、古堅が家を一周しながら依頼者の事情と希望を聞き取り、何を優先するかを探っていく。

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雪の中の訪問と、手伝いに来た幼馴染み

訪問当日は雪だった。古堅は「この地方は雪は降らないと言ったじゃん」と冗談交じりにぼやき、依頼者が焚いていたストーブに当たりながら「冬の作業はなるべく西の方でやることに決めた」と笑う。依頼者がそのストーブを「災害用」と説明すると、古堅は「私を災害扱いするな」と返している。

この日は家の住人である母親に加えて、幼馴染みの友人が同席した。友人は前日に横浜から前乗りしていた。古堅も横浜出身で、友人の存在感の強さに「どっちがこの家の人なのかわからない」とつっこむ。息子は人が苦手なため、この日は外出していた。

玄関の防水スプレーの後ろには茶道具が置かれていた。依頼者はセットにして綺麗に飾っていたが、子どもが物を置いたりして崩れてしまったという。

2年前は「何もなかった」家

依頼者がこの家に住んで2年になる。それ以前は引っ越しを何度か繰り返し、そのたびに荷物を入れては一部だけ出す生活をしてきた。この家に越してきた時も段ボールの山になっていたが、それを崩して片付けてくれたのが幼馴染みの友人だった。ただ、その際に大事なものの置き場所が分からなくなってしまったとも話している。

家に入ってすぐ、古堅は「入った瞬間に物で大変なことになっている」と驚く。依頼者は、これまで古堅のYouTubeを見ながら「なぜみんな来る前に少しは片付けないのだろう」と思っていたが、自分がこうなってみてその気持ちが分かったと語った。

依頼者は夫とは別居中で、息子と二人で暮らしている。2年前の入居時には物はほとんどなかった。散らかった理由として依頼者が挙げたのは、実家から急に大量の荷物が持ち込まれたこと、そして去年の夏に更年期障害でいろいろなことがあったことである。

玄関脇の部屋を「人が来られる場所」に

玄関を入ってすぐの部屋は、もともと使っていなかった場所だった。そこに実家から着物などが一気に持ち込まれ、収拾がつかなくなってキャパオーバーになったという。古堅は、本来リビングとして使われることの多い位置なのに衣装部屋のようになっていると指摘する。

依頼者は茶道の先生で、春からは着物の仕事も始まる。人が来た時に通す場所がないので、この部屋を人を迎えられる状態にしたいというのが希望だ。依頼者は、このままでは流派の関係者の顔に泥を塗ることになってしまうとも話していた。

後の聞き取りで、春からは仕事で「もう絶対に人が来る」ことが前日に決まったと明かされる。古堅は、それなら入ってすぐのこの部屋は必ず空けなければならないと重要性を確認した。ひとまずこの部屋を基点に進め、着物は当面この部屋にあったほうがよいという方向になった。依頼者は、ベッドが来れば寝室を空けておけるとも考えているが、どこまで実現するかは作業しながら確認することになった。

古堅は、ここを客間として使うなら「一旦更地だよね」と話している。現状この部屋には洗濯物も干されており、依頼者は冬はストーブを焚くことが多いので、別の部屋に干してもいいかと考えていた。依頼者が洗濯物が邪魔ではないかと尋ねると、古堅は「こっちのほうがよっぽど邪魔」と周囲の荷物を指している。

車椅子仕様の借家と、なじまない間取り

隣はキッチンとリビングだ。リビングには布団が敷かれていたが、これは前夜に友人が泊まりに来たため、依頼者がここで寝たものだった。友人は依頼者の部屋で寝ており、古堅は「一番いいところ」を取っていると笑う。

この家は借家で、建てた人が車椅子で生活できるように設計したものだという。そのため全体が広く、ドアはなくすべて引き戸になっている。家の中は車椅子でぐるりと一周でき、トイレにも車椅子で行ける造りだ。依頼者は、この造りが自分の感覚とは勝手が全然違うと話す。

キッチンは細長いが中途半端に広く、依頼者は机と椅子をぎりぎり置いてみたという。古堅は、その机の前に掃除機がバリケードのように横たわっているのを見つけた。依頼者は古堅が来る前にできることはしようと前日に片付けを始めたが、やらなくていいことまで手をつけて物を出したため、かえってひどくなったと説明している。

キッチンで食べたいという希望と、合わないテーブル

現在、母子はリビングで食事をしているが、依頼者はリビングでは食べたくないという。キッチンで全部やりたい、というのが依頼者の希望である。キッチンで食べて、リビングはリラックスする場所にし、キッチン以外は綺麗にしておきたいと話す。

キッチンのテーブルは幼馴染みの友人が買ってきたものだった。テーブルが高くて食べにくく、セットの小さな椅子ではお尻が痛くなる。そこで友人がテーブルの下に何かを取り付けて使っているが、とても不自由だという。依頼者は普通の机で食べたいと話し、古堅は、この仕組みが物溜まりを生む原因になっているように見えると指摘した。

背の高さとめまい症という制約

キッチンについて依頼者が強調したのは身体的な制約だ。背が低く、めまい症があるためくるくる回る動きが苦手で、椅子に乗るのも苦手だという。そのため高いところが使えず、低いところのほうが得意で、しゃがむのは平気だと話す。棚の上に物を置くこと自体はできるが、置いた後に奥まで掃除ができず、手前しか届かない。だからそこに物を置くのはまずいと考えている。

コンロの上には炊飯器が乗っていた。前日に友人と一緒に、古堅たちの昼食用の豚汁を炊飯器で作ってくれたのだという。冷え切っていた古堅は「嬉しい」と喜び、昼までそこにたどり着けたらいいと話している。

依頼者によれば、家の他の場所が綺麗だった時期でさえ、キッチンだけはうまくいかなかった。引っ越してから模様替えは10回ほど繰り返し、冷蔵庫もあちこちに動かしてきた。今しっくりきているかと古堅が尋ねると、依頼者は「しっくりきてないから先生に来ていただいた」と答えている。

依頼者の部屋と、手芸という趣味

依頼者の部屋は広く、古堅は「そりゃ友達はここで寝たいわ」と話す。玄関脇の客間にしたい部屋よりも広く感じるほどだ。依頼者も当初はこの部屋を客間にしようと考えたが、そうすると依頼者自身の部屋が別になり、息子が台所へ行くのに母の部屋を通らなければならなくなる。夜中に動き回る息子がそれを嫌がり、依頼者のほうが移ることになったという。

部屋には手芸の材料が多かった。趣味だが、春からは半分仕事になるという。依頼者は勤めにも出ている。古堅は細かい作業が好きだから材料が増えるのだろうと話すが、依頼者によれば、それも実家から来たものだった。

実家から荷物が来た経緯

依頼者の両親はすでに亡くなっている。姉の夫が荷物を全部捨てると言ったのに対し、姉がもったいないと言って全部持ってきてしまったという。両親の写真も含まれていて、捨てづらく、どうしていいか分からないまま今はあちこちに置いてある。

古堅はこれを聞いて、依頼者がSOSを出した後に状況が変わったのだと確認する。依頼者は「思いっきり変わりました」と答え、相談した時点で困っていたのはキッチンの使い勝手だったが、その後に荷物が一気に増え、事業も始まり、体調も悪くなったと説明した。古堅は「雪も降って騙されたと思ってぷんぷん怒ってる」とまとめて笑いを取っている。

クローゼットと、友人の手助け

依頼者の部屋のクローゼットは、以前に友人が整理してくれたものだった。大容量だが中はあまり入っておらず、上段には友人用の布団が入っている。依頼者は背が届かないが、友人が下ろしてくれるという。古堅は二人の身長差に触れ、高いところのことは全部友人がやってくれているのだと確認した。友人は横浜在住だが、この家にはよく来ているという。

納戸のタンスという「使える家具」

最後に見たのが納戸と廊下だ。納戸は浴室の近くにあり、依頼者は朝ここで着替える。洗濯が終わった衣類もすぐここに持ってくるので、便利だと話す。古堅は、ここが洗濯物を戻す位置になっていると見て取った。

納戸にはタンスがあった。子どもが生まれた時に依頼者の母が買ってくれたもので、捨てられずに持ってきたが、ほとんど使っていないという。友人が泊まる時のグッズが置かれていた場所もあった。古堅は、着物がたくさん出てしまっているのだから、このタンスに入れればいいのではと提案する。依頼者は「そんなこと考えてもみませんでした」と答え、古堅は「やっといい家具が見つかった」と喜んだ。たまに来る友人のものは別の場所にしようという方向になった。

納戸の前にも物が積まれていたが、これも前日に出したものだという。片付けようと出してみたらストーブが見つかり、朝つけてみたら壊れていた。家にはストーブがいくつもある。布団もあったが、依頼者は使いにくいので要らないと話した。

廊下と、諦めた絵本の棚

廊下には本が並んでいた。依頼者は絵本が大好きで何百冊も持っているが、一か所に置く場所がなく、夫の実家に置いてある。本当はこの廊下に本をきれいに並べたかったが、できずにこうなっているという。古堅が並べたいのかと尋ねると、依頼者はもう諦めた、飾らなくていいと答えた。人が来ても大丈夫なように景色を良くすることを主眼にする、というのが確認された方針である。

キッチンの配置をどう考えるか

一周した後、古堅は改めて問題はキッチンの配置だと話す。依頼者は古堅が来るにあたって収納家具を買っていた。何も収納がなかったので入れる場所があったほうがいいと考えたが、買ってそこに物を入れるだけで疲れてしまい、中身はほとんど入っていない。振り向く動作が苦手なので、そこに食器を入れるのも難しいという。

古堅は、依頼者には「こうするとこれが嫌」という条件が多く、そのせいで何がベストかが決まらないと指摘する。ここで食べたい、調理もしたい、と要望が多いので、何をメインにするかを決める必要があるという。依頼者が「食べたらダメということですか」と尋ねると、古堅は食べてもいいと答えたうえで、今のテーブルの仕組みは廃止し、どこでどう食べるか、どこに何を置くかを考えることが重要だと話した。

古堅は冷蔵庫について、飲み物なども入っているのでダイニングとリビングの境目あたり、水回りのラインにあったほうがいいのではないかと考えを示す。ただ、そうすると冷蔵庫の上に家電を置くことになるが、依頼者は上に置くと手が届かない。10回模様替えしても解決しなかった堂々巡りに、また戻ってしまう形だ。

前編はここで終わる。訪問直前に実家の荷物が増え、身体的な制約と多くの要望を抱えたこの家で、キッチンまで改善できるのか。答えは次回に持ち越された。