草を噛んだマンホールの蓋はなぜトグサの侵入を知らせたのか 岡田斗司夫が読む『攻殻機動隊』第2話「スーパースパルタン」後半
岡田斗司夫岡田斗司夫が漫画版『攻殻機動隊』を1コマずつ読み解くシリーズの、第2話「スーパースパルタン」後半の回である。2019年6月16日配信の岡田斗司夫ゼミ第286回の再配信で、冒頭では、サイエンスSARU制作の新しいテレビアニメ版について、第3話あたりから独自の解釈や表現が出てきて「スタッフが本気になってきた」と楽しんでいると話している。前回はブリーフィング会議の場面までを扱った。今回はフチコマを使った突入からアクションシーンの決着までを追い、最後にアニメ版との比較を「アップグレード情報」として加えている。
35年後という「中未来」の書きにくさ
本編に入る前に、岡田はこの作品の舞台設定の難しさを指摘する。士郎正宗は1989年に2029年の世界を描いた。岡田はこれを約35年後の予想だと言い、その世界ではフチコマのようなロボットが実用化され、人がその背中に乗り込んで活躍していると整理する。
岡田によれば、30年ほど先の未来は予想が難しい。5年後、10年後なら、たとえば『パトレイバー』のように「作業用のレイバーと呼ばれる人型の工作機械が実用化され、生活に入ってきた」という一つのアイデアで世界を作れる。100年後、200年後なら「人類は超光速航行を開発して宇宙に進出した」と言い切ってもよい。ところが30年後でリアリティを出そうとすると、大国の対立のような現実の社会背景を入れなければならない。200年後ならドルや円やユーロが消えていてもおかしくないが、35年後の世界でそれらが消えているとは思えない。そのため非常に書きにくい、と岡田は言う。
岡田の見立てでは、30年後くらいを舞台にしたSFで典型的なのは『北斗の拳』のように一度世界が壊滅して作り直された世界くらいである。文明社会を覚えているのは老人だけで、若者は生まれたときから核戦争の後、という設定なら書きやすい。現在の世界とつながったまま進んでいく未来は、近未来と遠未来の間の「中未来」と呼ぶべきもので、珍しいと岡田は述べる。
「プシュシュシュ」はアーマーを膨らませる音
前回の終わりは、洗脳装置が顔を出したところで全員が突入を決める場面だった。岡田はまず、そこに描かれた「プシュシュシュ」という擬音に注目する。これはプロテクターを体に合わせて調整している音だと岡田は読む。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』で主人公が履いた靴や、着ると自動的にサイズが合う未来の服のような装置を想像すればよいという。
狭い車内ではレオタードのように体に密着していたスーツが、この場面では肩の厚みが明らかに増している。岡田は、スイッチを入れると中にゲルのような半液体か空気が入って膨らみ、防弾性能を持つのだろうと推測する。飛行機の中では救命胴衣を膨らませてはいけないのと同じで、狭い車内では膨らませず、外に出る段階で膨らませるわけだ。こうした連想が働く読者なら「いよいよアーマーを膨らませて突入準備だ」と分かるが、SFを読み慣れていない人には分かりにくい場面だと岡田は言う。
警備員の「!」は何に気づいたのか
続いて、今回のタイトルになっている場面に入る。前回、トグサが仕掛けを施した子供は、政府の洗脳組織から逃げ出したところを警備員に捕まっていた。その横で、一人の警備員だけが何かに気づいて「!」という表情を見せる。
岡田はここを『攻殻機動隊』を読むコツの一つとして説明する。登場人物が驚いた表情を見せたら、何に驚いたのかをよく観察しないと、そこから先を読んでも分からない。この場面では、マンホールの蓋に草が巻き込まれている。警備員はそこから、誰かがマンホールから出てきて子供に何かを仕掛け、また戻って蓋を閉めたと読み取った。侵入者はうまく隠したつもりだったが、蓋を閉めるときに草を巻き込んだことに気づいていなかった。警備員はそれを見抜いたのである。
気づかれたことを受けて、「トグサ緊急脱出、敵は同業のプロだ」という指示が出る。この程度の痕跡で気づかれたことから、相手がただのガードマンではないと分かる。前回の描写から、相手が自衛隊などが使う最新の装備を持っていることにトグサはすでに疑いを持っていたが、ここで同業のプロだと確定した、と岡田は整理する。通信はより厳重な暗号化モードに切り替えられ、バトーはトグサを連れ出し、石川が援護に回る。
有線接続と攻性防壁の初登場
警備員は、子供の中に監視プログラムが仕込まれたことに気づいている。そのため、それを逆探知する仕掛けらしきものを子供の首の後ろから有線で引き出して接続する。岡田によれば、実質的な第1話にあたるこの時点では、まだ有線接続が使われている。単行本2巻以降ではこうした描写はまったくなくなるが、この段階では首の後ろからラインを引いて繋ぐことが「一番安全な回路」を示す記号になっている。
ここで「何してる、敵の攻性防壁にやられるぞ」というセリフとともに、目を開いたまま倒れる人物が描かれる。死亡を示す描写である。ただし、その後の「スピーカーだ。公安部が修理する」「ゴーストがないお人形は悲しいね」というやりとりで、これが人工知能のロボットだったことが分かる。死んだのではなく壊れただけであり、機械にすぎないのだから感情を動かすな、と仲間に言っているのだと岡田は解説する。
岡田はこの場面を、以後何度も出てくる「攻性防壁」が初めて使われたシーンとして重視する。読者はこの時点では、それが何なのかまったく分からない。「防壁」は守るための壁なのに「攻性」、つまり攻撃性を持つという矛盾した言葉だからだ。その意味がここで初めて示される。こちらが相手を探っていると、相手がそれを遡って入り込み、探っている側を殺してしまうのである。
岡田はこれをスマホのたとえで説明する。よくあるハッキングのイメージでは、パソコンを操作してスマホに侵入し、そのカメラで相手を盗撮する。しかし『攻殻機動隊』の世界では、スマホの側が操作すれば、逆にハッカーのパソコンをフリーズさせたり、パソコンのカメラからハッカーを見張ったりできる。互いにハッキングし合える世界なのである。作品はそれを当たり前のこととして描いているので、非常に複雑になっている。発表当時はスマホもなかった。脳がネットにリンクし、ハッキングが当たり前になり、それが相互に行われる。岡田は、一つの技術だけでなく、複数の技術が当たり前になったときにその上に何が積み重なるかを予想している点がすごいと述べ、攻性防壁に「やられる」ことを絵でどう見せたかという意味で、このページは覚えておいてほしいと言う。
気づいていないトグサの失敗
一方、相手の警備員も「ゴーストを焼いたときの抵抗感がなかった」「敵は遊び半分のハッカーじゃない、プロだ」と言い、双方が互いをプロだと認識する。逃げるトグサのフチコマは、排水路の出口が大きな金属製のロックで塞がれていることに気づかず、そこに激突して壊れる。素子が呼びかけても、冒頭で出てきた聴覚素子の不良のせいでトグサの声がよく聞こえない。
岡田がこのページで注目するのはトグサの判断である。この事態は実はトグサ自身のミスが原因で、後で彼は反省を強いられる。子供の首の後ろに機械を仕込んだとき、マンホールからそっと出て、そっと戻った。そのとき蓋で草を3か所巻き込むことをしなければ、警備員は気づかなかった。気づかれなければ、相手に逆に侵入されてチーム全体を危機に陥れることもなかった。
しかしトグサは自分のミスにまったく気づいていない。「なんで排水路だと分かったんだよ」「情報漏れか、やっぱり罠か」と言い、チーム内の裏切り者か、自分たちを公安に引き入れたい荒巻部長の罠かと、他人を疑っている。岡田は、トグサが徐々に成長していくことが漫画版の裏テーマになっていると言う。トグサはかつて刑事で、おそらくそれなりに優秀だった。引き抜かれてきたので、自分はまだできるつもりでいる。だからこそ勝手な判断をしてしまうのだと岡田は読む。
4発の弾痕が示す「いつでも殺せる」
排水口での激突音を聞いて、警備員のグループが駆けつける。フチコマは足先で木の枝をつかみ、猿のように登って銃を構える。「ドカドカドカドカ」という銃撃が起き、警備員の一人は逃げ、もう一人は立ち尽くす。
岡田はここで弾痕の描き方に注目する。着弾の順番は穴の大きさで分かる。今当たった瞬間のものはまだ穴が小さいからだ。弾は順番に並んで当たっていて、つまりこれは「お前をいつでも殺せるが、あえて外した」というデモンストレーションである。それを目の前で見せられた坊主頭の警備員は、怯えたというより、プロとして「ここから先は仕事の範囲外だ」と判断した。だから「俺はもう行けねえ、後は頼む」と言う。
岡田はこの二人の違いを細かく読む。素早く逃げた髭面の方は戦場慣れしていて、軍人としての能力が高い。立ち尽くした坊主頭は軍人としてのスキルは低いが、判断力は髭面より高い。それが次のページで分かる。坊主頭は「命を粗末にするな」「大戦はもう終わったんだ、これ以上殺すのは嫌だ」と言う。ガードマンとして雇われたのであって、戦争を生き残ったプロの傭兵同士が命を取り合っても意味がない、というメッセージだと岡田は説明する。一方の髭面は、弾を避けるスキルがあるばかりに判断を誤る。「俺はそんな腰抜けじゃねえぜ」と言った瞬間、すでに狙いをつけていたおそらく石川のフチコマに撃たれて死ぬ。
この撃ち方について、岡田は確実に殺すための順番だと解説する。本来は頭を撃てばよいが、外すかもしれないので、まず人体で一番動きにくい腰を撃って動きを止め、次に胸を撃って心臓を止め、最後に頭を撃つ。そして、撃たれて倒れるまでのわずかな間に、一番腕の立つ警備員が真後ろに忍び寄っている。先に腕の部分だけが描かれていて、岡田はおそらく左腕がワイヤーのように伸びるのだろうと推測する。撃たれて穴が開き、倒れるまでの間に別の場所で起きたドラマを並行して描いており、アクションシーンとしてすべてが流れるように進んでいると岡田は評価する。
ハッキングを絵で見せた最初の場面
気絶したトグサを回収しようとしているところに、突然銃撃が来る。撃ってきたのは石川のフチコマだった。狙撃していた石川の横に警備員がついていて、石川が操られて仲間を撃っていることが分かる。警備員は石川を通してフチコマを操っているが、なかなか当たらないので「なんで相手の照準装置を使ってやがる」と腹を立てている。
岡田は、この場面を「ハッキングしている場面を絵で分かりやすくした、おそらく世界最初のシーン」だと言う。警備員が石川の脳に入って通信している様子が、フラッシュのような流れとして描かれる。ここで岡田は漫画の読み方を解説する。日本の漫画は右から左に読むので、原因が右や上にあり、結果が左や下にある流れになることが多い。また、登場人物が進行方向を向いているときは何かを前進させようとしているとき、逆を向いているときは何かの力を止めようとしているときだと覚えておくと、歌舞伎の上手・下手のように話が受け取りやすくなるという。侵入経路には英語のような文字ではなくバーコードのような図形だけが描かれていて、それがデジタル通信であることを表現している。
侵入は石川を通り越してフチコマに及び、さらに素子の脳に入ろうとする。素子は回線を切って閉鎖モードにしようとするが、すでに警備員が入り込んでいる。岡田は、これが攻性防壁の仕組みだと説明する。自分の中に入られないために築いたはずの壁が、相手が入ってくるための鍵にもなってしまうのである。素子は左手のスイッチを押そうとするが、すでに操作されているので押せない。
素子の反撃と「身代わり装置」
素子がどうやって侵入を跳ねのけたのか。岡田の読みでは、素子はスイッチを入れるのではなく、フチコマのユニット全体から装置を引き抜き、フチコマから飛び出すことで強制的にラインを切った。それまでの人物はフチコマの中にいたまま対応しようとしたが、素子は機体から飛び降りることで潜入を防いだのである。そのうえで素子は、相手が作ったゴースト侵入鍵を複製して逆流させ、アクセスしてきたら攻性防壁を突っ込んでやれ、と同じことをやり返すようフチコマに指示する。
反撃はさきほどと逆の順序で、フチコマから石川を経て警備員のところへ向かう。ここでもフチコマが原因で警備員が結果という、右が原因で左が結果の流れになっていると岡田は指摘する。警備員は肩に付けていた装置のおかげで侵入を免れる。岡田はこれを、無理やり侵入されたときに飛ぶヒューズのようなものだと説明する。家庭で電気を使いすぎるとヒューズが飛ぶのと同じである。侵入が外れた石川たちは、警備員のいる場所に向かって銃撃する。
警備員は「危ねえ、身代わり装置をつけといてよかった」と言う。岡田は、この頃の士郎正宗はまだ読者に親切で、何かをした後で必ず理由を言ってくれると述べる。2巻になるとこうしたフォローを一切しなくなり、一般読者を置いてけぼりにする。1巻は分かるが2巻が分かりにくいと言われるのはそのためだという。ただし、本来は絵だけで分かりそうなところに説明のセリフを入れるのは、少しダサくなってしまうとも岡田は付け加える。
光学迷彩の最初の形
素子はあちこちに地雷を仕掛けたうえで、漫画で初めて光学迷彩の服を着る。単行本の冒頭には、部長がサイボーグを見るなか素子がすっと消えていくオールカラーの話があり、映画などでもよく使われる場面なので、そちらを初登場だと思っている人が多いかもしれない。しかし岡田によれば、その話は全話を描き終えた後に単行本収録のために描かれたもので、光学迷彩というアイデアが最初に出てくるのはこの場面である。
ここでの素子は全身を専用の服で覆い、顔もフードで隠している。岡田はこの光学迷彩を、布状になった液晶モニターのようなものだと説明する。折り曲げられる液晶モニターの先にある、柔らかいモニターでできた生地を着て、真後ろの風景を映すことで姿を消す。この時点の光学迷彩は、そういう原始的なものとして描かれている。
警備員は素子を追い詰めたつもりだったが、そこにあったのは「ダミー」と書かれた地雷だった。そして目に見えない相手から撃たれ、「姿も音も熱もない、噂の隠れ蓑か」と驚く。この「隠れ蓑」が光学迷彩のことである。
プロ同士の降参と交渉
警備員はすぐに「分かった、降参する。脳は焼かないでくれ。お互いプロだ、仕事でやってるんだ」と言う。素子は洗脳装置とゴースト侵入鍵を渡せと要求し、警備員は「別に大事なものじゃない」と応じる。
岡田は、この警備員の素早い降参も優秀さの表れだと読む。この時点では勝てるかどうか分からず、実力は五分五分、ひょっとすると自分の方が上だとさえ思っているかもしれない。しかし相手は明らかに想定外の装備を持っている。彼自身も軍の最新装備を持っているが、相手が持っているのはおそらく実験段階のものだ。それを見て、かなうはずがないとプロとして判断した。プロは実力差や装備差があれば、戦うのをやめて交渉を始めるのだと岡田は言う。
素子が「5時間ほど前にハッカーを焼いたか」と問うと、警備員は知らない、焼いたとしても通常の対応だと答え、「あんたら一体何なんだ」と尋ねる。素子は大規模なゴーストハック、電脳倫理違反の現行犯で逮捕すると告げる。政府の組織にガードマンとして雇われていた彼にとって、自分たちが襲われることはまったくの想定外だった。ここでアクションシーンはほぼ終わる。
岡田が面白いと感じたのは、「姿も音も熱もない」という少し説明的なセリフである。プロとしてまず相手を目で見ようとし、音を探り、どう身を隠しても赤外線くらいは出るはずだと熱を探る。その熱まで遮断されていることで、完全な隠れ蓑だと分かって降参する。この流れが面白く、欄外に脚注を入れてくれるところも含めて、この頃の士郎正宗は親切だと岡田は述べる。
アップグレード:アニメ版と「マンホール問題」
再配信にあたって追加された後半では、サイエンスSARU版アニメと原作の比較が語られる。岡田が避けて通れないと言うのが「マンホール問題」である。
原作では、トグサがマンホールの蓋を雑に閉めて草を巻き込み、警備員のリーダーがその痕跡を目ざとく見つけた。そこから、少年が倒れたのは何かが接触したからで、侵入者はマンホールを通じて地下の排水路にいると見抜かれ、警備体制が即座に切り替わって素子たちは大ピンチに陥る。岡田は、素子がフチコマから飛び降りて強引に接続を切らなければ、石川から斎藤、斎藤から素子の順にハッキングされ、公安9課は設立前に壊滅していたことになっただろうと言う。
作戦後の反省会で、石川はこのミスをトグサに指摘する。ただし言葉ではなく、丸印をつけた写真を見せるだけである。岡田はこれを、説教せずに事実だけを突きつけたものであり、「トグサ君、君がこの蓋を雑に閉めてくれたおかげで僕たち全員死にかけたんだよ、ありがとね」というような態度だと表現する。それを見た斎藤は「やだやだ、じじいは陰険で」と言う。
岡田は、もしここで石川が先輩風を吹かせて「バカモン」と怒鳴れば、トグサは「すみませんでした」と謝り、先輩後輩のロールプレイが成立して、体育会的な流れで組織に自然と入り込めただろうと言う。しかし石川は、それをすると人は腑抜けると考えている。プロフェッショナルの世界は、先輩が怒って後輩が反省するような世界ではないということだ。岡田はここに士郎正宗の職業論が見えると言い、作品の元になったイギリスの特殊部隊もののテレビドラマにもこうした、直接言わない陰険なやりとりの描写が多く、それが出ているところが面白いと述べる。
アニメ版で草が巻き込まれていない理由
では、この重要なマンホールの場面はアニメ版でどうなっていたか。岡田は「よくわからない」と前置きする。放送当初から多くの人が指摘しているように、アニメ版では草が巻き込まれていない。
岡田は、サイエンスSARUのスタッフが漫画の草の巻き込みを見落とすはずはないので、おそらく演出上の理由だろうと推測する。アニメ版のこの回は、「機密」と大きく書かれた画面で終わる。この画面が後々どういう意味を持つのかは最終話あたりにならないと分からないだろうが、作りとして重要な画面だと岡田は見ている。原作通りに作れば、丸印のついた写真を見せる絵を入れなければならず、そうすると「機密」の画面を見せられなくなる、というのが岡田の読みである。
アニメ版では、石川が「説教したら泣いて帰りやがった」と言っている。原作の写真を見せるだけの対応が、説教という直接的な行動に変わっているのだ。岡田はここに引っかかりを覚える。説教されるような失敗とは何だったのか。下水道でシャッターに激突して気絶したのははっきり事故で、トグサには予見不可能だった。責められる謂れはないと思う、と岡田は言う。そのため今のところ、アニメ版の石川の行動は理不尽な説教だと解釈しているが、自分にもまだ分からないので、アニメ版のこの場面を解説するときに改めて考えたいと留保している。
二人の石川、そして弾痕の描き方
原作の石川は説教すらせず写真を見せただけだった。そのためトグサは打ちのめされて一人で家に帰り、妻に隠れて泣きながら就職情報誌を読む羽目になる。岡田は、これは怒られて悔しいのではなく、冷静に自分の無能さを痛感し、同僚に迷惑をかけたことで泣いているのであり、なかなか職業意識の高い男だと評する。アニメ版と原作の石川にはそれぞれタイプの違う厳しさがあるが、自分の上司にするなら説教してくれるアニメ版の石川の方がいい、イギリス人っぽいのはちょっと嫌だと岡田は笑う。
岡田がマンホール以上に気になっていると言うのは、フチコマによる威嚇射撃の場面である。原作では弾が一直線に当たっていき、最後の1発だけわざとずらして外したことがはっきり分かるように描かれている。アニメ版では弾がどんどんと着弾し、後ろで煙が上がっているので、わざと外したことはなんとなく分かるものの、漫画ほどはっきりしていない。漫画通りでは画面として華がないので変えたのだろうと岡田は推測しつつ、自分は漫画版の方が好みだと述べて、この回を締めくくっている。
サイエンスSARU版のですね、あの攻殻機動隊のテレビアニメも相変わらずすごい面白いんですけども、第3話あたりからですね、独自解釈というかですね、独自の表現が出てきて、本気になってきたなスタッフ、で僕もなんか楽しんでます。ということでですね、今日も漫画版の攻殻機動隊動画をですね、再配信します。
おはようございます。岡田斗司夫です。先週に引き続いてですね、今回も第2話スーパースパルタンのですね、エピソードの解説なんですけども、前回の動画ではですね、組織への突入前の、ブリーフィング会議のシーンまでの話をしたんですけども、今回はいよいよフチコマを使ってですね、アクションシーンに入っていきます。今回の動画はですね、2019年の6月16日に配信した岡田斗司夫ゼミの第286回の再配信です。
動画終わった後もですね、ちょっと長めのアップグレード動画あるので、楽しみにしてください。それではここから無料動画スタートです。えっと、攻殻機動隊のですね、これは第何回になるのかな?3回かな?4回ですか?あ、ちょっと待ってください。はい。とりあえずエピソード2ですね。エピソード2のスーパースパルタンの後半をやります。なかなか士郎さん大変ですね。
1989年に2029年のことを考える。だから何年後だ?35年後のことを予想して書いている世界、世界を書いてるんですね。で、35年後の世界では一応こういうロボットが実用化されていて、その背中に乗り込んで活躍するという、そういうかなり思い切った遠未来ですね。
で、あんまりね、言う人いないんだけどね、この30年ぐらいの未来って予想しにくいんですよ。っていうのは、5年後、10年後の未来だったらばアイデア1つ、例えばパトレイバーだったら、作業用レイバーと呼ばれる人型の工作機械が実用化して人の生活に入ってきたっていうワンアイデアでいけるし、あと100年後、200年後だったら、人類はその時、恒星間飛行を開発して宇宙世紀に突入したみたいなこと言えるんだけども、この30年後っていうのはリアリティを出そうと思えば、例えば、わ、びっくりした、米ソ2大国が対立しとか、そういう現実の社会背景も入れなきゃいけないし、あと100年後、200年後だったらもうすでに、ドルとか円とかユーロなどの通貨が消滅しててもいいんだけども、35年後ぐらいの世界の中ではそういうものがとても消滅してるとは思えないしっていう風なことで、なんかめちゃくちゃ書きにくいは書きにくいんですね。
だから割とね、探してみたら結構珍しいです。多分30年後ぐらいのSFで典型的なのは北斗の拳ぐらいじゃないのかな。あれぐらい1回世界が壊滅してリビルドされた世界。世界が滅びて、そこから文明社会を覚えてる人がおじいさんみたいになってて、「わしの若い頃はこういう世界があっての、しかしもうお前らは生まれた時から核戦争の後じゃ」みたいなものは書きやすいんだけど、こういうね、なんか世界が繋がりながらの、近未来って言うんじゃなくて、中未来って言うんだけどね。近未来、遠未来の間の中未来だけど、中未来もって割と珍しいです。
で、前回はここまでやりました。攻殻機動隊の、よいしょ。いよいよ突入だという風なことで、全員突入。洗脳素子が顔出した。突っ込むぞという風なことで、やってやろうじゃないの。そうしろ、と囁くの、私のゴーストが、ということで、いよいよ突入することになりました。
このプシュシュシュシュというのは何かって言うと、このPに対応してるわけですね。このPという音で何やってるのかと言うと、このプロテクターを体に合うように調整してます。おそらくこのプロテクターっていうのは、バック・トゥ・ザ・フューチャーのですね、主人公が履いてた靴みたいなものを想像して、あとは服みたいな、未来で着る服っていう、あれ着たら自動的にサイズが調整されましたけども、多分そういう装置なんですね。
それまでこの狭い狭い部屋の中で活躍してるから、体にこうぴったりとくっついてるレオタードみたいに見えるものが、この肩の厚みが明らかに上昇してますね。これはスイッチを入れることによって、おそらくこの中にゲルみたいな半液体が入れられるか、もしくは空気圧なんでしょうね。それがこう膨らんできて防弾性能を持つと。狭い車の中で、いわゆる飛行機の中で、なんだろうな、非常ジャケット、ライフジャケットを膨らましてはいけないのと同じですよね。中ではしないんだけど、いよいよ外へ出るので、こうシュっと膨らますと。
ここら辺もですね、そういう連想が働く人にとっては、このPでシュシュシュという風なことで、お、いよいよアーマー膨らませて突入準備だっていう風に分かるんですけども、ちょっとSFを読み慣れてない人には分かりにくいシーンになってます。俺の足元にすげえでかい穴があって怖いから、ちょっと穴塞いときます。あ、した。大丈夫。塞いだ。
で、次です。はい。前回でですね、トグサが小群を仕込んだと言ってる子供ですね。これが政府の洗脳組織から逃げ出した子供なんですがですね、警備員に捕まえられてると。で、警備員に捕まえられてて、ハッとしたと。ハッとしたのは何かと言うと、こいつは気がついてないんだけど、こいつだけは気がついたわけですね。
で、これ、マンホールがあって、で、びっくりしてると。で、これよく見るとこのマンホールの中に草が巻き込まれてるんですね。で、この辺がですね、その攻殻機動隊読む時のコツの1つなんですけども、基本的にですね、「!」っていう表情があったら、何が「!」なのかっていうのをよく観察しないと、そこから先読んでもよくわからないんですよね。
で、一応「大至急、排水路、草、枝がついてる」という風なこと。こいつはわけも分からなくて「おっ」て言ってるんですけども、枝がついてる。つまり、誰かがここに来て、こいつに何か仕掛けをしたっていう風にこいつ言ってるんですけども、その理由は、このマンホールの中から誰かが出てきて閉めたと。で、うまく隠したつもりだけども、敵はマンホールの蓋を閉める時にこの草を巻き込んだことに気がついてないっていうのを、こいつは分かったわけですね。なのでびっくりマークがついてると。
で、「気づかれた、トグサ緊急脱出、敵は同業のプロだ」と。これはこの程度のことで気づかれてしまったという風なことで、同業のプロだということが分かる。単なるガードマンじゃなくて、これ前回も出てた、どうもこいつらの設備っていうのは自衛隊とかが使ってる最新の設備だと、最新の装備を使ってると、そのことで草薙は大体ちょっと怪しんでたんだけども、同業のプロだという風なことが分かった。で、通信をより厳重なモードに切り替える、暗号とかの変換がより深いモードに切り替えるという風に言ってます。
で、「バス隊とはトグサを連れ出せ、石川援護」ですね。「フチコマは、サイトー、私とバトーが援護する」という風なことで、完全に逃げる体制になって、何かスイッチ入れてるところまでやってます。
で、こいつは小群っていう、この中に監視装置が仕込まれたことが分かってるわけですね。彼の中に監視プログラムが仕込まれたことが分かってるので、それを逆探する仕掛けか何かを、この首の後ろから有線で引っ張っていってます。前回も話しました通り、この攻殻機動隊の実質第1話では、まだ有線通信っていうの使ってるんですね。ここから先の攻殻機動隊の2巻とかになってくると、そういうの全く使わなくなってきますけども、この首の後ろからラインを引っ張ってきて繋ぐっていうのが1番安全な回路っていう風な記号になってるんで、ここに繋ぐわけですね。トグサ緊急脱出っていうのは、この作業して逃げたのがトグサだから、トグサが1番危ないと思われてます。
次のページに行きますと。はい。「何してる?敵の攻性防壁にやられるぞ」「ロックされてます」という風なことで、この中、ギャーっといって、目が開いたまま倒れるから死んだっていう描写ですね。で、「行くぞ」「そいつはスピーカーだ。公安部が調査する」「新しいプログラムを注入してか」「ゴーストがないお人形は悲しいね」という風なことで言います。分かりにくいですけども、これ普通にずっと会話してたんだけども、こいつは人工知能のロボットなわけですね。なので死んだんじゃなくて、ちゃんと壊れただけだという風なことで、公安部が修理するという風なことで、こいつはスピーカーだ、機械にすぎないって言って、感情を動かすなという風に言ってます。
で、「敵の防壁にやられるぞ」っていう。この漫画の中で以降も何回も出てくるんですけども、これが初めて攻性防壁ってのが使われたシーンです。で、僕ら読者側もこれが何のことか全然わかんないんですよ。ただ攻性、攻撃性の防壁、守る壁ですよね。矛盾してるんですよ。守る壁なのになんで攻撃性なのかっていうのがここで初めて分かると。何か敵がですね、遡ってきて、こちら側が探ってる人の中に入り込んで、その人を殺してしまうようなものだ。
つまりもうこれ、なんだろう、ハッキングとかが当たり前の世界で、例えばこれがでっかい、なんだろうな、スマホみたいなもんだと思ってください。で、ここにカメラが付いてるとします。で、よくあるハッキングのイメージでは、僕はパソコンをカチャカチャカチャカチャといじってると、ハッキング成功で、このスマホの中に侵入する。で、このスマホのカメラを通して皆さんを盗撮するっていうような、そういうハッキングのイメージでよく出てきますよね。攻殻機動隊もそういうハッキングのイメージの中で、ただこちら側の使い手側が操作をすれば、逆に僕の方のパソコンをフリーズさせたり操作したり、もしくは僕のパソコンの側のカメラから僕を見張ったりできるっていうのが、この世界観の中の相互にハッキングできる世界なんですね。
で、それをもう当たり前のこととして書いてしまってるのですごく複雑です。最初に言いました通り、35年後ぐらいの未来なのでですね、予想がかなり難しいは難しいんですよ。で、35年後の世界なのでですね、この発表当時まだスマホなかったですから、そういう風なものがあって、脳の中でリンクされていて、でハッキングっていうのがあって、それが相互にハッキングされてるっていうですね。1つの技術だけでなくて、それぞれが当たり前になってったら、どんな技術がその上に積み重なっていくのかというのを予想してることになるので、この「攻性防壁にやられるぞ」という風なことで、やられるっていうのを絵でどう見せてるという風なところで、このページぐらいは覚えといてください。で、これ逃げてるのは、さっき逃げろと言われたトグサたちですね、が逃げてます。
ね。あ、トグサじゃないな。これ顔がちゃんと書いてありましたね。バトー君ですね。これが草薙で、これがバトーさんですね。僕てっきりこう画面転換したからトグサかと思ってましたけど。よいしょ。
ゴースト的な、あの同業者のガードマンが、「変だ、ゴーストが焼ける時の抵抗感がなかった。俺が焼いたのはAIか。敵は遊び半分のハッカーじゃない。プロだ」という風なことで、双方がプロだと分かりました。
これトグサ君逃げてる最中です。「なんで排水路だと分かったんだよ。情報漏れか、やっぱり罠か」っていうんだ。で、この出口が大きい金属製のロックでゴーっと塞がれてるのが分かって、トグサ君の、フチコマですね、乗ってるロボットがガンとそれにぶつかって壊れてしまいます。で、「おい、どうした?トグサ、いけて」と、「クソ、肝心な時に」、この「不良、クソめ」という風なことで、この言ってるのは素子ですね。トグサどうしたっていう風に言ってトグサの声を聞こうとしてるのに、冒頭出てきた聴覚素子が不良のためによく聞こえないということです。
で、このページで見るべきは、このトグサ君の判断ですね。トグサ君はですね、実は自分のミスなんですよ。こんなことが起きたのは。書いてる通り、後でトグサ君は反省を強いられるんですけども、トグサがこいつの首の後ろに機械を仕込んだ時に、このマンホールからそっと出て、もう1回そっと帰る。その時にもう少し慎重にして、ここの葉っぱ、この3箇所の葉っぱ、あ、これもか、の巻き込みっていうのをやらなければ、こいつは気づかなかったんですね。気づかなければ、こいつが遡って入ってきて侵入して、チーム全体を危機に陥れることなんかなかったんですよ。でもトグサは自分がそんなミスをしたとは全く気がついてない。
全く気がついてないので、「全員撤退、トグサすぐに脱出しろ」って言われたのを、自分のミスだと思ってないと。なんで排水路だと分かったんだろう。自分がマンホールでミスしたからですね。でも分かってない。なんで排水路だと分かったんだと、情報漏れか、やっぱり罠かと。情報漏れというのは、自分のチームに裏切り者がいるのか、それともやっぱりこれは、公安に自分たちを引き入れたいための、猿と言われる公安部長の罠か、という風に他人を疑ってますですね。
これ、全体にですね、このトグサ君が徐々に徐々に成長するっていうのも、攻殻機動隊の漫画版の裏テーマになってるので、1番最初はこのように、かつて刑事だった。多分それなりにB刑事だったんですね。で、B刑事だったのがここに引き抜かれたから、ちょっと自分ではまだまだできるつもりになってるんですよ。でもそれゆえの、こういう勝手な判断しちゃうわけですね。で、ロックかけられてガーンと壊れると。で、トグサから話を聞こうとしても、聴覚素子が不良で役に立たないとですね。で、ようやく草薙とバトーの2つのフチコマが排水路から出てきて、ここから助けに行ける体勢になってます。
次行きます。はい。「この先の排水溝で音がしたぜ」という風に言って、これ素子グループの奴らが来ます。で、よいしょ。ちょっと待ってくださいね。これどういう風に並べるといいかな。えっと、あ、すいません。これ素子グループじゃなくて、これはこの服からしたら、ガードマングループですね。ガードマングループの方が、トグサが排水溝でガーンと出口にぶつかった音を聞いて走ってくると。
で、フチコマがこういうこともできるんですね。フチコマというロボットが足の先で枝に捕まって、猿みたいに登って、銃を構えてます。で、ドカドカドカドカドカっと音がして、1人は逃げると、もう1人はここにつったってます。で、「バカ、何つったってる」と。この2人の反応ですね。1人目のこの坊主頭は思わずつったってしまう。こいつの髭の方がちょっと戦争に慣れてるんですね。素早く逃げて、「バカ、何をつったってる」と言うと、「俺は行けねえ。あとは頼む」「何で向けてやがる」という風になります。
はい。これはもう皆様お分かりの通り、なんでこんなセリフになったのかと言うと、ドカドカドカドカドカと書いてるんだけど、弾の着弾順ですね。当たる順はこの順番です。この方がやや小さいから分かるんですね。これ、ここに弾が今当たった瞬間だから、まだこの穴が小さいんですけども、この順で当たってる。つまりこれは4発撃って、お前をいつでも殺せるけども、あえて外したっていうデモンストレーションです。お前を殺そうと思ったら簡単なんだけど、今外したよというデモンストレーションを目の前で見せられたので、この人はもうビビったというよりはプロとしての判断。これ全員プロなんですよ。
で、「俺はもう行けない。後は頼む」という風なことで、ここから先行っても、プロとしては仕事としてやるべきではなくて、もう自分はここから先はもう仕事の範囲外というのが分かってしまう。「何ボケてやがる」と、彼は素早く逃げるだけ、軍人としての能力がこの人より高いんですね。なので「何を受けてやがる」とついてしまう。でもこの人は軍人としての、なんだろうな、スキルは低いんですよ。つったっちゃったから。その代わり判断力はこの人よりは高いんですね。それが分かるのが次のページです。
これは「命を粗末にするなってメッセージだ。大戦はもう終わったんだ。これ以上殺すのは嫌だ」と。「ち、戦争。俺はそんな腰抜けじゃないぜ」ということで、「さあ、じゃあ死にな」ということで、こいつが次の瞬間殺されると。で、ふんは、ということで、こいつがちょっと分かりにくいですね。
これはこの髭面です。もう俺も名前忘れてるんですけど、攻殻機動隊の登場人物の、このガードマンの1と2がいるんですけど、この坊主頭の方がさっき言った警告で、もうこれ以上前進したら殺し合いになると。俺はガードマンとして雇われたんであって、最悪殺しがあるかもわかんないけど、お互いの命の取り合いなんかしてもしょうがねえじゃないかと。お互いに戦争で生き残ったプロの傭兵同士が戦っても意味がないということで、さっさと撤退と。
で、この人はこの人で、なまじ避けるスキルがあるばかりに判断間違えちゃうんです。「俺はそんな腰抜けじゃねえぜ」という風なことで、まだやめないという風なことを言った瞬間に、これ多分石川ですけど、石川のフチコマが狙いをつけていて、もうすでに狙いをつけていて、絶対に死ぬような殺し方ですね。頭狙って、胸狙って、腰狙う。腰は人間の体で1番動きにくいところですから、まず狙うんですね。で、次に心臓を止めて、1番、本当は撃てばいい頭を狙うんですね。ここを撃ったら外すかもしれないから、まず腰を撃って動きを止めて、胸を撃って命を絶って、脳を撃って殺して、この人が情報性を動かそうとするのを止めてるわけですね。
この瞬間死んでしまって、こいつが、ちょっとプロとしての軽蔑でしょうか、してるところに、1番できるガードマンが後ろから忍び寄ってきた、でサインですね。で、石川の、あ、違う。こいつが撃たれて倒れたところに、こいつが真後ろに来てるんです。この腕の部分だけが先に来てる。多分この左腕がビューンってワイヤーのように伸びるんでしょうね。それが引っかかった跡があって、次のページで、つまり撃たれて穴が開いて倒れるまでの間に、こちら側でこんなことがありましたっていうドラマを書いてます。アクションシーンですから、もう全て流れるように進んでいます。
「少佐、トグサの野郎伸びてますぜ」という、トグサの野郎という言い方ですね。ドジ踏んで、みんなをピンチに陥れた後に、排水路の出口でやられちゃって、気絶してますぜっていうような報告があって、「叩き起こしてそこから離れろ」と。で、「少佐は?」「バカ、侵入するのに決まってるだろう」と。もう素子はここから先、侵入することしか考えてないので、トグサ脱出っていうのはですね、トグサをこの場から逃して、自分たちは突入します。「おい、ワイヤーかけて引きずり下ろそうぜ、その方が早い」「人遣い荒いぜ、うちの姫様はよ」という風なところに、いきなり何かが現れます。で、撃たれます。
「あれは石川のフチコマじゃないか。どうなってんだ?」そうですね。石川のフチコマで、石川というのはさっき狙撃してたやつですね。あの狙撃してたやつは、横にガードマンがついて、今こいつに操られてるのが分かるんですね。操られて仲間を撃ってるわけですね。で、どうなってんだ?
で、石川のフチコマを操りながら、例のやり手のガードマンは「なんで相の照準装置を使ってやがんだ」という風に怒ってます。こいつがコントロールしてフチコマで撃ってるんですけど、なかなか当たらないので照準が甘いなと思ってると。で、「今逃げたやつは石川、石川で受けてやがる」ということで。
はい。その辺が、攻殻機動隊がハッキングしてる場面をですね、絵で分かりやすくした、多分世界最初のシーンだと思うんですけれども、こいつですね。こいつが石川の脳に入って通信してるのを、こいつが見てると。で、このフラッシュみたいなものが、ここにこういう流れになってるんですね。
漫画、日本語の漫画っていうのは基本的に右から左に読むんですよ。なので主に右に原因があって左に結果がある。上に原因があって下に結果があるという流れに大体なります。次のシーンでもそうですね。このシーンでもこの上に原因があって、この左下に結果があるという風な流れになると。大体この主人公がこちら側を向いてる時は何かを前進させる、進める時であって、反対に登場人物がこちら側を向いてる時は何かの力を止めようとしてる時だという風に覚えといてくれれば、歌舞伎のですね、上手下手みたいに、お話が受け取りやすくなると思います。
こいつがこの猿の、固め猿の頭の中に侵入しようとしてるシーンですね。はい。で、この侵入しようとしてるというところに、ここに一応、英語みたいなものを書かずに、バーコードリーダーのこのバーコードみたいなものだけを書いてるところが、デジタル通信になってることを表現しております。
ということで、もうすでに脳が操作されている石川を通りすぎて猿を操作して、で、警備員が洗脳装置をっていう風に言おうとしてるんだけども、その彼の脳の中にこいつが入ってるんですね。で、これを操作して草薙素子の脳の中に入ろうとしてると。で、「フチコマ、回線を切る、閉鎖モードに」という風なことで回線を切ろうとしてるんだけど、すでに素子の中にもこのガードマンが入ってきてると。これがその攻性防壁ってやつです。攻撃性、いわゆる自分の中に入らせないために防壁、壁を築いてるはずが、それがですね、相手が入ってくるための鍵にもなってしまうという仕掛けです。で、この左手のスイッチを一生懸命入れようとしてて、なかなか押せない。もうすでに操作されてるからですね。
ただ、うんと、よいしょ。で、ですね、素子はなんとかこいつを跳ねのけて、これどうやって跳ねのけたのかって言うとですね、こう左手に持ってるんですけども、フチコマのスイッチ入れるんじゃなくて、フチコマのユニット全体から、多分そういう装置を引き抜いちゃうかなんかなんですね。だからこれまでの人たちっていうのは全部フチコマの中にいながら何か対応しようとしたんだけども、素子はフチコマから飛び出すことによって、強制的にワイヤー、ラインを切ってですね、潜入されるのを防ぎました。
で、飛び上がって、「攻性防壁より早く侵入できる」とそういう風に言います。で、「フチコマ、奴が作ったゴースト侵入鍵」、さっきのバーコードみたいなものですね、「これを複製して奴に逆流させろ。アクセスしたら攻性防壁を突っ込んでやる」と、同じことをやり返せっていう風にフチコマに指示します。そうすると、はい、さっきの復讐です。
フチコマから固めを通って、石川を通って、こいつのとこ行きますね。これも同じです。フチコマが原因で、このガードマンが結果だから。日本の漫画において必ず時系列、因果関係というのは右が原因で左が結果だっていう風にこう流れてるわけですね。なのでこいつの左肩の、多分これ、無理やり侵入された時のヒューズみたいなもんですよね。家庭で電気を使いすぎるとヒューズが飛ぶみたいなもんで、こういうヒューズ装置を肩につけてたから、こいつは侵入されなくて済んだんですね。
で、その瞬間、こいつらの、なんだろうな、洗脳というか、侵入されたのが取れて、「野郎、よくも」という風なことで、このガードマンがいる場所に向かってバンバンバンバン撃つことになると。「危ねえ危ねえ、身代わり装置をつけといてよかった。あの変な女隊長さんにやられるとこだった」と。
この頃のその士郎正宗先生はまだちょっと読者に親切です。何かやった後で必ず理由を言ってくれます。後に2巻になってくると、これを言わなくなってくるんです。よく攻殻機動隊1巻はまだ分かるんだけど、2巻が分かりにくいって言われるのは、こういうフォローをもう一切しなくなってしまった。一般読者を周りと置いてけぼりにしちゃうんです。ただダサいはダサいんですね。これはいわゆる、これだけで本来分かりそうなものを、「身代わり装置をつけといてよかった」っていうセリフを入れることって、ちょっとダサくなっちゃうんですね。
で、素子はいろんなところに地雷を仕掛けて、ようやく漫画第1話で初登場する光学迷彩の服をつけます。で、光学迷彩ですね、第1話っていうのかな?オールカラーのですね、なんだろう。あ、今日持ってきてない。最初に、部長が双眼鏡とかを見るシーンですね。映画とかでよく使われている、双眼鏡とかで見る中すっと消えてくシーンが初登場と思うんですけども、これ、1番最初に言いました、あの話数っていうのはですね、全部書き終えた後、単行本に収録するために書かれた話数であって、実は光学迷彩というアイデアが初めて出てくるのがこのシーンです。
で、このシーンではですね、素子は全身をちゃんとこういう服を着ます。で、顔もこんなフードで隠してですね、あくまで光学迷彩というのは機械的に、何でしょうね、柔らかいモニターでできた生地ですか?よく僕らは液晶モニターと、次に折り曲がり式の液晶モニターみたいなものをよく言うんですけども、布状になった液晶モニターなんですね。それを着ることによって、真後ろの風景を映すことによってっていうですね。この時の光学迷彩ってのはすごくそういう原始的なものです。っていうのを、やっと着込むとですね。
で、さっと出た。で、こいつが、「あの女隊長、何とかしなければ」ということで素子を追い詰めたつもりが、そこにあるのは「ダミー」って書いてある地雷なんですね。で、その地雷みたいなものがあってですね。で、そこでもういきなり何か目に見えないものに、こちら側から撃たれてるとですね。で、「姿も音も熱もない。強連の隠れ蓑か」という風にびっくりします。この隠れ蓑というのは光学迷彩のことです。
「分かった。降参する。脳は傷つけないでくれ。お互いプロだ。仕事でやってるんだぞ」と。「洗脳素子とゴースト侵入素子を渡せ」と言うと、えっと、あ、これが素子の要求ですね。洗脳素子とゴースト侵入鍵を渡せっていう風に素子が言います。「わ、分かった渡す。別に大事なものじゃない」。こいつはもうすでに降参体制に入ってる。これ彼も優秀ですね。
なんで彼がこんなに素早く降参したのかって言うと、まだこの時にはですね、勝てるかどうか分からない。実力は半々ぐらいだろう。ひょっとしたら俺の方が上かなと思ってるんですけど、相手の装備が明らかに自分の想定外のものを持ってると。彼は彼で軍の最新装備を持ってるんですけども、そうじゃなくて、おそらく実験段階のものを持ってるという風なことで、あ、もうこれ敵うはずがないという風にプロの判断をします。プロっていうのは実力差とか装備差があれば、簡単に、じゃあもうお互いプロだから戦うのやめようという風に言って交渉を始めるんですね。
で、「5時間ほど前、ハッカーを焼いたか」「それは知らん。もし焼いたとしても通常の対応だ。あんたら一体何なんだ」と。「大規模のゴーストハック、電脳倫理侵害の現行犯で逮捕する」というようなことで。政府の組織にガードマンとして入ってるから、自分たちがこんな風に襲われてるの全く想定してないんですね。全く想定外のことなので彼は驚いて。ここまででほぼアクションシーンは終わりです。
僕がやっぱり面白いなと思ったポイントは、やっぱりこのちょっと説明的なセリフを入れるんですね。「姿も音も熱もない」というこの言い方ですよね。つまりこの人はプロの資格として、まず相手を見ようとして、音を探ろうとして、おまけに、どんな風に身を隠してもそこから熱は出るだろう、赤外線ぐらいは出るだろうという風なことで、熱もない。その熱までも遮断してるということで、完全な光学迷彩のが分かって、この強連の隠れ蓑が出て、ここで降参してるところが、こう流れとして面白いところですね。で、一応こういう風に脚注とかを入れてくれるところが、この頃の士郎正宗の親切なところです。はい、お疲れ様でした。今日の動画ここまでです。
アップグレード情報なんですけど、スーパースパルタンの後半をですね、サイエンスSARU版のアニメ版と絡めてアップグレードしようと思います。それをやろうと思ったら避けて通れないのがですね、例のマンホール問題。何のことかというと、原作のこのシーンなんですね。動画内で散々解説したので簡単に話すんですけども、施設に潜入したトグサがマンホールの蓋を雑に閉めたと。この時、開けた蓋を雑に閉めたことで、周りの雑草をですね、蓋に巻き込んでしまったんですね。
で、警備のリーダーが、このマンホールに巻き込まれた草、蓋を開け閉めした痕跡を目ざとく見つけたと。その結果、少年が倒れたのは何かが接触したから。そして侵入者はですね、マンホールを通じて地下の排水路ですね、にいるということがバレて、即座に警備体制がですね、変わったと。素子たちのチームは大ピンチに陥ると。これでですね、素子がフチコマから飛び降りてですね、強引に接続切らなかったら、石川から斎藤、そして斎藤から素子の順番でですね、相手の警備員のリーダーにハッキングされて、機動隊をですね、実は設立前に解散するというか、壊滅してたことになったと思います。
で、ちなみにですね、このミスをですね、作戦終了後の反省会で石川がトグサに指摘するシーンがここですね。はい。それも言葉ではなくてですね、丸印をつけた写真を見せるだけという形で、シンプルな事実を突きつけた。説教してないんですね。で、トグサ君、君がこのマンホールの蓋を雑に閉めてくれたおかげで僕たち全員死にかけたんだよ、ありがとね、みたいな感じなんですね。で、これに対して斎藤は、「わあ、やだやだ。おじいは陰険で」という風に言ってます。
例えばですね、ここで石川がですね、先輩風を吹かせて「バカモン」と怒鳴ってあげれば、トグサ君は「はい、先輩すいませんでした」という風にですね、先輩後輩のロールプレイという、体育会ノリの話が進んで、そうすればトグサもこの組織の中に自然と入り込めるわけですね。でも石川はですね、それをすると人は腑抜けると。プロフェッショナルの世界ではですね、そんな先輩が後輩を怒って、後輩が反省してっていうような、そんな世界ではないと。
この辺は士郎正宗の職業論みたいなものが見えてるというかですね、元々その攻殻機動隊の元になってるイギリスのですね、特殊部隊物のテレビドラマがあるんです。あれこういう感じの描写が多いんですよね。イギリス人が作ったドラマですか。直接言わずにですね、陰険なこうやり取りなんですけど、それがちょっとね、出てるところが面白いと思います。
で、さて、この重要なですね、マンホールのシーンがですね、アニメ版ではどうなってたのかと言うとですね、実はこれね、わかんない、よくわかんない。アニメが公開された時から多くの人が指摘してるんですけども、なんか草が巻き込まれてないんですね。で、サイエンスSARUのスタッフがですね、あんなもの見落とす、漫画の方ね、草の巻き込み見落とすわけないから、これおそらく演出の問題で、というのもですね、第1、ラストアニメ版ではですね、機密とデカデカと書かれたこの画面で終わるんですね。で、この機密という画面が後々どういう意味を持ってくるのか、多分これ最終回ぐらいにならないとわかんないですね。でもこの辺の演出上ですね、この画面は割と重要なんだ、作りとして重要だと思います。
で、原作の通りにですね、サイエンスSARU版が作られたとしたら、絶対に丸印をつけた写真という絵を見せなきゃいけないんですね。で、そうするとですね、多分これが見せられない。機密という字が見せられない。で、「説教したら泣いて帰りやがった」という風にしてる。これも説教するっていうですね、直接的な行動に変わってるんですね。この辺ね、なんでなのかなと。説教されるようなね、どんな失敗があったんだと思いますよね。だって下水道の中でシャッターに激突して気絶したのは、はっきり事故だし、トグサには予見不可能ですね、責められる謂れはないと思うんですよ。なので僕は、今のとこアニメ版の石川がやったことは理不尽な説教という風に解釈はしてるんですけども、なんかね、うん、どうなんでしょうね。ここら辺ね、まだ僕にもわかんないので、攻殻機動隊のアニメ版のこのシーンの解説の時はね、色々考えておこうと思います。
ちなみにですね、原作版の石川はですね、説教すらしてくれなかった。写真を見せただけだから、トグサ君が打ちのめされて1人で家に帰ってですね、奥さんに隠れて泣きながらリクルート雑誌を読むという羽目になったんですけどね。怒られて悔しいんではなくてですね、冷静に自分の無能さを痛感してしまったのでですね、だから転職しようかと。つまり同僚に迷惑をかけたって言って泣いてるんですね。まあなかなかね、職業意識の高いやつです。
アニメ版と原作版の石川にはですね、それぞれタイプの違う厳しさがあると思うんですけども、自分のもし上司にするんだったらですね、どっちの石川がいいのか。俺はね、なんか説教してくれる石川の方がいいかな。イギリス人ちょっとやだなと思いますからね。
あと、スーパースパルタンのアレンジで言うと、ちょっと僕ね、マンホールよりですね、石川の砲弾の後、つまり、フチコマを使った銃撃の後の方が気になるんですけども、このシーンですね。これ、原作版ではですね、フチコマの銃弾がどんどんどんどんと当たってですね、こいつをわざと避けてこちらに行ってるんです。つまり一直線に撃って、ちょっとずらしてるわけですね。つまり最後の1発をわざと外したというのがはっきり分かるようになってるんですよ。
で、原作版に対してアニメ版はですね、これ弾がですね、こう割と、なんだ、どんどんどんどんと来て、後ろで煙が上がってるからですね、もう1つ、わざとこう外したんだっていうのがなんとなく分かるようになってるんですけども、漫画版ほどですね、はっきりしてないんですね。カジでわざと外した。まあね、これだったらちょっと華がないので、こういう風にしたんでしょうけども、僕はね、漫画版の方が好みなんですけどもね。
いつもならですね、ここから有料ですとなるんですけども、今日の動画ここまでです。来週同じ時間にですね、また攻殻の動画を公開しますので、そちらの方でまた楽しんでください。じゃあまた。バイバイ。
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