見た目は整った注文住宅で、なぜ物があふれるのか 古堅純子が5人家族の家を見て回る

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概要

片付けの専門家・古堅純子が、注文住宅に住む5人家族の家を訪ねた回である。玄関もリビングも一見すると整っていて、古堅も「めちゃくちゃおしゃれ」と繰り返す。それでも住人の母親は、この状態を保つのに毎回かなりの時間をかけていると打ち明ける。今回は作業前日の下見にあたり、古堅は家中を見て回りながら、子どもの物の置き場所とその先の扱いが問題の中心だと見立てていく。

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家族構成と「想定外」の6年間

家族は両親と子ども3人である。一番上は小学6年の兄、真ん中は小学2年(7歳)の長女、その下にまだ小さい子がいる。訪問時、兄は習い事で不在だった。家は建てて6年ほどで、母親は「この家を建てる時、想像していなかった人数になっちゃった」と話す。古堅が「6年前はまだ2人だったんだ」と確認する場面もある。母親は、自分の頭で考えていなかったことが今現実に起きていて対応しきれていない、と正直に認めた。古堅はその率直さを面白がりつつ、好意的に受け止めている。

玄関脇の「離れ」のような部屋

玄関を入ってすぐの場所に一室がある。母親によると、両親や親族を泊める場所として作った部屋だという。今は兄が窓越しに様子が見える状態でオンラインの習い事に使っていて、布団類もここにしまってある。古堅は「閉めても気配が分かる」と評価し、兄の部屋にしてはどうかと提案した。しかし母親は、事情があってそういうわけにはいかないと答えている。

小さい子が生まれて荷物が増えたのに、収納はそれほど多くない。そう感じている母親は、玄関からすぐのこの部屋を何かに活用できないかと考えている。古堅は「玄関だけでこんな尺を取っている家はない」と笑った。なお、玄関のそばには兄が身長を伸ばそうとぶら下がっているバーもある。

リビングで見えた「隠れた問題」

リビングは吹き抜けで、天井まわりには古堅が「玉」と呼ぶ凝った造作があり、その上にはファンまで付いている。古堅はこの眺めを、自分の番組でもなかなかない美しさだと褒めた。一方で、ベビーベッドが収納の前をふさいでいる点が気になるという。母親によると、中には普段ほとんど使わない物が入っているそうだ。古堅は、この家ならいくらでも隠せそうだと指摘する。

家族はこのチャンネルをよく見ているらしい。古堅が「見てる暇あったら手動かせってことですよ」と冗談を言う場面もあった。

母親の一番のストレス

母親が一番つらいと感じているのは、自分以外の家族が広げた物である。自分が把握できない速さと量で物が広がり、片付けるのは結局自分になる。出した本人に戻させる教育もうまくできていない。母親が片付けても、子どもは探し物や遊びのためにまた広げてしまう。この繰り返しで無駄な時間が生まれることが、一番のストレスだと話した。

物が広がるのは主にリビングである。小さい子がいるので「なるべくここに持ってこないで」と言っているが、持ち込まれた物で小さい子が喉を詰まらせかけたこともあった。常に見てあげられないことにもやもやしているという。古堅は、リビング・ダイニング・キッチンが一か所にまとまり、母親もそこにいるのだから、子どもがここにいたくなるのは当然だと述べた。そのうえで、問題は物が「どこから持ってこられるのか」だと指摘している。

夫の立場

同席していた夫は、妻の話に「おっしゃる通り」と同意した。母親によると、夫は掃除や家のことに協力するというスタンスではなく、自分も求めていない。夫には夫の仕事があるので、家のことは自分が頑張るという分担だ。ただ、夫がぼそっと何か言うことはあり、申し訳なく思う一方で、正直イラッとする時もあるという。そう言わせないためにも整えておきたい、というのが母親の気持ちである。古堅は、3人の子育てをしながらこの完璧さを保つのは無理に決まっていると返した。

中2階の子どもスペースとランドセル収納

リビングから少し上がった中2階に子どものスペースがある。下の子が生まれてから、ここから上には学校の物を置くと決めた。しかし子どもたちは一人で宿題をしたがらず、リビングのテーブルや床で勉強してしまう。

中2階では、兄と長女がもともと机を並べていたが、今は離して配置している。扉付きのボックスがランドセル置き場で、これは備え付けではなく後から買ったものだという。学校の物を探すのが嫌で導入したものの、うまく機能していない。机の上は物でいっぱいで、古堅は「勉強するスタートラインに立ててない」と表現した。小学2年生が抱える量ではないとも言い、せっかくの空間が物置になっていてもったいないと指摘している。

古堅は、すぐ近くにいるのに子どもが下へ降りたがる原因は、このボックスにあるのではないかと考えた。母親もそれには気づいている。ただ、下に置けば小さい子が開けて中身を出し、遊び道具にしてしまうため、触れないようにしているのだという。

2階の長女の部屋

2階の廊下にもたくさんの物が置かれていた。左右で部屋が分かれており、まず長女の部屋を見た。もともと一部屋だった空間に、子どもが大きくなったので最近壁を作って分けたばかりだという。引き出し付きで座れる収納家具があるが、今は物が載っていて座れない。部屋を仕切ったことで余計に物がぎゅっと詰まった状態になっていた。

古堅は「まだ7歳なのにこの先どうするの」と驚き、これは子どもの力ではどうにもならないと述べた。母親は、中2階と合わせてここを長女の部屋にしたいという。長女はまだここで寝ていないが、将来寝られるようにするにはスペースを作っておく必要がある。

クローゼットと兄の部屋

大人用、特に夫の物が中心のクローゼットには、布団の山のように見える大量の服が積まれていた。季節ごとに入れ替えをしているという。古堅は一人ひとりの物の量が多いのかもしれないと言い、「ぱっと見は何もなさそうで、よく見るとたんまり」と評した。

兄の部屋はやや広めで、実際に寝るのに使われているが、そこにドレスが掛かっているなど物が混在している。母親は、兄は寝るだけなので「ギリギリセーフ」だと言ったが、古堅は「アウト」だと即答した。一方で母親は、兄が物にそれほど執着しないことには感謝していると話した。

古堅は、両方の子ども部屋に共通する問題として、部屋のテーマが弱いことを挙げた。それぞれの物をそれぞれの場所に置いているだけで、個人の物置き場になっている。目指すべきは1階の空間だが、それを理想とするなら物を持ちすぎていて、倉庫でも作らないと狭いと見る。子ども部屋が広くないのに物が多いから散らかりやすく、遊びにくいから下へ持ってくる。古堅はここで、リビングに物が集まる理由がよく分かったと述べた。寝室にはベッドしかなく、兄以外の4人がそこで寝ていて、問題はないという。

ランドリールームと大きな脚立

階段を挟んだ反対側には、廊下に子ども部屋に入れたいベンチが置かれていた。古堅は「もう入らない」と言い切る。ここには古堅の本もあり、母親はそれを参考にしてきたからこそ、ここまでできていると話した。

その先にある広いランドリールームは、家族が普段着る物をまかなう場所で、引き出しがたくさんある。ただ、すでに入りきらず上にも物が積まれている。棚の上でアイロンをかけたいと考えていたが、今は一時置き場になっている。大きな脚立で上部の収納に上がり、冬物など季節外の物を出し入れしているという。古堅は「ものすごい体力を使う家」だと言い、危ないから登るのはやめるようにと伝えた。授乳などに使う休憩スペースもあるが、そこにも物が置かれ、下ろしてはまた載せるという動きが生じている。夜泣きの際に使うため、下の子が成長するまでは残したいという。

家族はどうしたいのか

見学を終えた古堅は、この家をどうしたいのかを改めて尋ねた。母親は三つを挙げた。散らかっても短時間で元に戻せること、家族それぞれが物を把握できること、物置のようになっている部屋を部屋として機能させること。景色だけでも良くしてあげたい、とも話した。

これに対し古堅は、「誰のためか」が弱いと指摘した。ママが楽をするためなのか、子ども本人がやりやすくするためなのかで、やり方は大きく変わる。子どもたちには自分のスペースだという自覚が弱く、要望も特にない。母親は、散らかしても自分が片付けるので子どもが困っておらず、甘えている面があると認めた。

意思表示ができるのは長女だけだとして、古堅は長女にどんな部屋にしたいかを尋ねた。友達を呼びたい、でも何でもいいと問いかけている。そのうえで古堅は次のように説明した。部屋や場所がもともと与えられているため、自分の部屋という意識も、何かしたい気持ちも持てない。物の置き場所がそのまま自分の部屋になっていて、夢も愛着も抱けない。今遊ぶなど実際に動く物はごくわずかなのに、動いていない物が多すぎて景色を圧迫している。吹き抜けの家なのに壁を作ってしまったことについては、「建築士に謝れ」というほどだと言い、母親も本当に謝りたいと応じた。

ランドセルボックスをめぐる夫婦の違い

この場面で夫が拍手したのをきっかけに、母親はランドセルボックスを選んだのは夫だと明かした。子どもにとって「しまう」のは難しいので、自分は背の低い、上に載せるタイプを買いたかった。しかし夫はランドセルも何もかもしまいたい派で、その意見を尊重したという。母親は、夫に一緒に考えてほしいと話した。

古堅は、夫がしまいたいのは片付いたように暮らしたいからで、夫自身もそういう家で育ったのだろうと推し量った。一方で、この家族は誰も隠すことが得意ではない。理想と現実がずれているのだと古堅は見る。

方針:まず「寄せて埋める」

古堅は、玄関のガラス越しに見えた部屋が気になってシューズクロークについて聞き忘れていたと言い、そこもすでに物が詰まっていることを確認した。そして、オープンに暮らしたい家では物を持ちすぎてはいけない、それなのに物を逃がす場所が弱いと述べた。

古堅は、自分が答えを出すのではなく、本人たちが出したい答えにどこまで折り合いをつけられるかが仕事だと言う。今回の中心は子どもの物をどこへやるかである。まずリビングから見える景色を変え、二つの子ども部屋の方向性を決めながら、寄せられる物は寄せればスペースは生まれるだろうと見込んだ。物の量が多いため、その後どうするかは夫婦で話し合ってほしいとした。まずは子どもが安心・安全に片付けられる環境を作るために、動いていない物を一旦寄せる。ただしその量が相当多そうなので、どこに寄せて埋めるかは相談が必要になる。母親は、本を読んでもそこは全く分からなかったという。

「理想が高い」ことをどう扱うか

母親は理想はそれほどないと言うが、古堅は「理想が高くない人はこんな玉をつけない」と返した。はしごが必要な上部収納も、最初はなかったものを頼んで作ってもらったという。設計者が時間をかけて作った家なのだから、その理想に合わせた暮らしをした方がいいと古堅は考える。

古堅はさらに、母親はそれほど器用ではなく、何でも途中のまま進んでいるように見えるので、物をため込まない方がいいと伝えた。母親はそれを認めた。一方で、理想が高いこと自体は素敵なことだとも言う。たくさん片付けるより、楽をして綺麗な家に住んでほしい。今は物のせいで家がだいぶ台無しになっている、と古堅は述べた。

母親は、捨てられないわけではなく、スペースがあるから入れてしまうのだと説明した。そこまで考える余裕がなく、生きるだけで精一杯だという母親に、古堅は理解を示した。そのうえで今回は、稼働していない物を一旦寄せて埋め、「一回スタートラインに戻る」ことを目標にし、残りは時間をかけて進めればいいとまとめた。作業は翌日に行われ、次回に続く。