物で埋まった家で「1階を犠牲にする」と決めた一日 古堅純子が片付けの優先順位をどう決めたか

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概要

片付けの専門家・古堅純子が、過去最大の敷地に建つ一軒家に挑むシリーズの2回目である。前回の訪問では、敷地内の2軒の家がどちらも物であふれ、敷地が広すぎるせいで片付けの方向性が決まらなかった。今回は作業当日の朝、家族会議の結果を聞くところから始まる。すべての希望を叶える時間はない。そこで古堅は、2階を人が過ごせる空間に戻すため、稼働していない物を1階へ下ろすと決める。1階は一時的に「もっと地獄」になるが、それを承知で進める判断である。

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家族会議で出た希望:娘を中心に、父の居場所も

前日に古堅は家族に、限られた時間でできることは限られているから家族会議をしてほしいと頼んでいた。当日は、この家を番組に紹介した母親のママ友も同席している。

最初に紹介されたのは、娘のTちゃんの希望である。1番目は「綺麗なお部屋」、2番目は友達を呼んで泊まったり人形遊びやままごとをしたりできる部屋、3番目は本を取り出しやすい部屋だった。家には本がたくさんあるが、寝室や上の階に押し込まれている。勉強部屋についても、物がすぐに見当たらなくなるので、なくさない部屋にしたいという。古堅はこれを聞いて、大切なものとそうでないものがごちゃごちゃになっている印象だと述べた。家族が娘中心で進めると結論を出したことについては「だいぶ進歩」と評価している。

父親の希望は、ロフトにベッドとパソコンを置いた「隠れ家」だった。今は物置にしか見えないが、ベッドはそこにある。これに加えて、物をコンパクトに収め、必要な場所ですぐ取り出せるようにしたい、結婚して20年一度も掃除していない場所も綺麗にしたい、という要望もあった。床に物があるから掃除もしない、という状態である。古堅は、空間が綺麗になれば掃除は簡単になるので、まず掃除しやすい環境を作るところから始めるのがよいと応じた。母親が「どこもかしこも物置で、物置に暮らしている」と自嘲すると、古堅は物置に暮らしている自覚はあるのね、と返している。

母親の本音と、自分たちでは手が届かない場所

母親はこの企画を「すごいチャンス」だと思って応募した。ところが訪問日が近づくと恥ずかしさが出てきたという。今座っているソファも、以前は物で埋まって座れなかった。それを自分で少し片付けたと聞き、古堅は、できることはやろうという気持ちが大事だと言い、母親を器用だと褒めた。

母親は素人ながら間取りのラフ案を描いていた。そのうえで、自分たちではどうしても手を付けられない場所があると打ち明けた。夫の希望は優先順位をずっと下げてもいいから、下の階と娘の部屋をやってもらえれば生活が変わる。それが一番のポイントだと思う、と母親は話した。

古堅の診断:稼働していない物が半分以上

古堅の見立てでは、この家の問題は稼働していない物の量である。これは向こうのもう1軒の家にも共通する。亡くなった母親の物のように、完全に使われていない物が通路をふさいでいる箇所も多い。服も非常に多そうなのに、本人は昨日も今日もラフな格好をしている。古堅は、普段使われない物がおそらく半分以上を占めているのではないかと推測した。

2階について古堅が特に気になったのは、服・寝る場所・服という並びだった。寝る場所が服に「サンドイッチされている」状態で、ここが物置でなければ空間を開けられる、と指摘している。

「下はもっと地獄にする」という結論

古堅の結論は、2階を人を呼べて泊まれる場所にするなら1階は犠牲にするしかない、というものだった。1階にTちゃんの部屋を作り、友達が泊まったり遊んだりできる場所にする計画もあったが、そうすると物を寄せる場所がなくなる。

判断の根拠として古堅が挙げたのは階段である。この家は「そこも階段、そこも階段」という造りで、上に上げた物を後から下ろすのは、この家族には難しいだろうと考えた。だから今日のうちに2階の物を1階へ大移動させる。1階は「地獄」になるが、もともと地獄なのだから、もっと地獄にしていい。その先でTちゃんの部屋を作るのは次の段階だ、と説明した。2階がさら地になれば夫婦はそこで寝ればいい、とも話している。

一方で古堅は、この案は「一番やっちゃいけない」Tちゃんの部屋を後回しにすることになり、家族が受け入れるかどうかが問題だとも述べた。母親はむしろ喜んで受け入れ、古堅は自分の思いがちゃんと通じている感じがする、と受け止めた。

「Tちゃんが生まれてきたからこそ、この家が救われる」

方針を説明するなかで、古堅は家族のあり方にも踏み込んだ。祖父母の環境も大事かもしれないが、Tちゃんが生まれてきたからこそこの家が救われるような気がする、と繰り返した。そのことに大人が気づかないと、この家は大変なことになる。古堅は前日にそう気づいたという。

ただし、それを自分が「こうじゃなきゃダメ」と押し付けて変えるつもりはない、とも言う。まず変わるべきは両親である。祖父母はとても一生懸命やっていると思う。そのうえで古堅は、この家の夫婦が忙しすぎることが一番の問題だと見ている。物のために家族の人生を壊すのはやめたほうがいい、目の前に幸せがあるのに見失いすぎだ、とかなり強い言葉で語った。仲良く暮らせる空間さえあれば乗り越えられることはたくさんある。だからこそ、自分がどれだけ動いていない物を持っていたかを1階で一度見ればいい、とも述べている。2階より1階からのほうが家の外へ物を出しやすい、という実務的な理由も添えていた。

作業開始:下ろすが、捨てはしない

この日は最高気温が非常に高い日だった。古堅は、暑さと階段の上り下りで怪我をしやすいから気をつけようと声をかけ、全員で気合を入れて作業に入った。

2階からは、母親が中学時代の参考書まで取ってあったことが見つかる。「これも捨てていいの?」と聞かれ、古堅は方針をはっきり伝えた。1階に下ろすところまではスタッフがやるが、自分たちは捨てない。あとは本人次第だ。最終目標が1階を子ども部屋にすることなら、そこは頑張らなければいけない。捨てる決断をしなければ、1階はずっと物置のままになる。それでも2階を二度と物置にしてほしくないから、まずは下ろすところから始める、という。

布団置き場になっていた場所は、最近外した布団をしまっていたものだった。父親の場所にするなら父親の物以外は下ろしたほうがいい、家具はそのままでいい、と古堅は判断した。作業は階段を使ったバケツリレー式で進む。扉の中に隠せるようにするため、稼働していない物は徹底的に下げ、使う物だけを残して扉の中に収める方針が取られた。

帰宅した父親への説明と「しまう意識」から「出す意識」へ

作業の途中で父親が帰宅した。古堅は、お父さんの願いは2つ叶った、実は簡単に叶う話だったと伝える。そのうえで、当初話していた1階の子ども部屋は難しいこと、2階を人を迎えられる形にするために稼働していない物をいったん下ろし、どれだけ物を持っているか現実を見てもらうことを説明し、下ろす作業への協力を頼んだ。

古堅は、人間よりも物のほうが好きな状況になっていることを自覚してほしいと言う。この家では、とにかく「しまいたい」という意識ばかりで収納が増えている。これからは「出す」意識を持ってほしい、というのが古堅の求めである。仕事が忙しくてストレスがあったのかもしれないが、家族が満たされる空間を手に入れれば、そういうことはどうでもよくなる気がする、とも話した。さらに、20年この状態が続いているこの家の回は、視聴者から「何が大事なのか」と怒られてコメント欄が荒れるだろうと冗談交じりに語り、怒られたほうがいい、それくらい見失っている、とも付け加えた。物を引き算すればこの家はとてもいい家だ、という評価も口にしている。

午前の成果①:ホテルのロビーのようなリビング

午前の作業が終わった時点で、外の気温は35度を超えていた。最初に披露されたのはリビングである。余計な物を引き算した結果、古堅は「ホテルのロビーのよう」と表現した。母親は「うちの家じゃないみたい」と驚いている。

古堅によれば、母親は収納グッズを山のように持っていた。物があふれていたため、素敵な家具があることにも気づけなかった。リビングからつながるバルコニーと外の景色も素晴らしいのに、友達を呼ぶことすらできていなかったという。父親は「本当に広いです」と感想を述べ、声が響くほど空間が空いた。Tちゃんに「これなら友達を呼べる?」と聞くと「呼べる」と答えた。同席したママ友は「うちの家より綺麗になっていて焦る」と笑っている。

洗面台も映える造りだったのに物で埋まっていた。テーブルの上もさら地にした。古堅は、何でもかんでも布をかければ綺麗になると思いがちだが、何もなければ少し汚れたときにさっと拭く気になる、と説明した。景色が変わると気分が上がってワクワクし、力が湧いてくるでしょう、と家族に語りかけた。

午前の成果②:3畳ほどの父親の居場所とメモリーステーション

続いて、手すりのない危険な階段を上った先の、父親の場所が披露された。父親は「今日からここで寝ます」と喜び、娘たちは「ずるい」と声を上げた。エアコンもついている。広さは3畳ほどしかないが、古堅は「広さじゃない」と言う。この家は広いのにどこも物だらけで、居心地のいい場所がひとつもなかった。家具のポテンシャルは非常に高いので、物をどかすだけでこうなる、というのが古堅の説明である。

ここには家族の写真を飾る「メモリーステーション」も作った。以前は中学・高校時代の本が並んでいた場所である。古堅は、写真を見るまでこんなに仲のいい夫婦だとはわからなかったと話した。そして視聴者に向けて「掃除ができない人は飾っちゃだめ」と強調し、家族と一緒に唱和した。ガラス扉の棚の中ならほこりがたまりにくい、という理由である。以前の品物はすべてほこりまみれだった。

古堅は、この場所を「神聖な場所」にすることで、何よりも夫婦の意識を変えたいと語った。古堅自身も午前中ずっと掃除をしていたという。家族にはほこりまみれの環境でなく、綺麗なところに住んでほしい。せっかくいい椅子とテーブルがあるのだから、ここでゆっくりしてほしい。夢だった家なのでしょう、と語りかけている。ここからの眺めを見て、いい家だったのだと改めて思った、とも述べた。

午前の成果③:20年ぶりに使えるシャワー室

父親のもう1つの願いは、シャワーを浴びることだった。古堅はこれを「人間として当たり前のこと」と言い、それすらできていなかったと指摘する。朝の段階では、シャワー室はハンガーだらけで一歩も入れなかった。家族は隣の駅ほども離れた実家まで行って風呂に入っていたという。実家では祖母が入浴中だと順番待ちになる。食事をするスペースもないため、ご飯も実家で食べていた。

古堅はカメラが回っていないところでこの浴室を掃除し、汗と水でびしょびしょになったという。これまで数回しか使われていないのではないか、20年分の汚れだった、と語った。家族は、使いたいときに使えなかったと喜んだ。古堅は、シャワー室には物を置いてはいけないと念を押し、次のようにまとめた。やりたいことがたくさんあるから物を買ってくるのに、物のせいでやりたいことが何もできない。寝ることもシャワーを浴びることもできない。物が多いのは本当に怖い、と。

子ども部屋は「1ミリもできていない」

ここまでの成果を見せたあと、古堅は現実も示した。今日は子ども部屋を作るために来たのに、それは「残念ながら1ミリもできていない」。娘の部屋を作る予定だった場所は、ドアもなかなか開かない状態になっていた。古堅が風呂掃除をしている間に、1階も大変なことになっていると報告が上がっていた。

午後の方針を決めるために1階を見に行くと、家族からは「やばい」「どうすんのこれ」と声が上がった。まだ下ろしていない物もあるのに、古堅自身も「もう少しスペースがあると思っていた」と漏らしている。古堅は「これが現実ですよ」と伝え、この家の中に天国と地獄が同居していると表現した。

それでも古堅は、この状態は完全に想定内だと言う。こうでもしないと景色を変えられなかったし、一度でいいからこの家族に綺麗になった家に住んでほしかった、という説明である。Tちゃんの一番の希望は綺麗な家に住むことだった。だから汚れをたくさん取って綺麗にしたが、あれだけ物が置いてあったら掃除はできない。親は娘を愛しているからこそいろいろ買い与えてしまったのだろう、と古堅は推し量る。しかしこの子に必要なのは物ではなくスペースだ、と続けた。友達が来られるスペースと、両親がいつもにこにこしていること。今のTちゃんは大人の顔色ばかりうかがっている、と古堅は見ている。

残り3時間で目指すもの

後半戦に残された時間は3時間である。古堅は、2階の部分だけでもいいから、友達が来たときに寝たり遊んだりできるスペースを作りたいと宣言した。リビングの景色の変化を力に変えて頑張ろう、と家族と気合を入れ直している。

回の締めくくりでは、方向性が決まったことでリビング・ダイニングの再生には成功したと報告された。そのうえで、問題は1階に寄せた物の行く末であり、この家が本当に片付くのかは次回に持ち越される。