捨てても片付かない3LDKマンション、収納の中身を入れ替えて「物だまり」を消す(完結編)

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概要

整理収納の専門家・古堅純子が、3LDKのマンションに家族で暮らす家を片付ける2回シリーズの後編である。前回の訪問で古堅は、素敵な住まいなのに物があふれ、物を寄せておける部屋がない「逃げ場ゼロ」の家だと見立てていた。依頼者である母親の希望は、リビングで快適に過ごしたい、視界に入る邪魔な物を見えなくしたい、家族が暮らしやすく友達も呼べる家にしたい、という3点だった。母親自身は、あちこちに片付けるべき物が分散しているせいで、何をしても中途半端に終わっている気がすると話している。

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今回の作業で古堅がとったのは、収納の外を整えるより先に収納の中身を入れ替え、隠す場所を掘り出すという方法である。

いつもと逆の手順:まず収納の中身を出す

古堅によれば、普段の片付けは「まず部屋の景色から」と、表に出ている物を一気に寄せる「ブルドーザー」から始める。しかしこの家では収納がすでに詰まっていて、中の物を一度出さない限り、寄せることも「埋める」こともできないと判断した。そこで、多少手荒な手段になると断ったうえで、各所の収納の中身をいったんリビングに集め、それぞれをどこに埋めるか、寄せるか、隠すかを決め直す計画を立てた。古堅は、そうでもしなければこの家は根本的に変えられないと説明し、今日は1日中バンカーズボックス(段ボールの収納箱)と格闘することになるだろうと予想していた。

ダイニングの棚:物は整理されているのに、動いているのは3分の1

最初に中を確認したのはダイニング脇の収納である。酒器がたくさん出てきたため、古堅が「酒飲みなの?」と尋ねると、母親は以前は友人がよく遊びに来ていたからだと答えた。ほかに、入りきらないほどの薬と、半分ほど処分したというグラス類が詰まっていた。

古堅は、アイテムごとにきちんと分けて入れてはいるが、詰め込みすぎていて実際に使われているのは3分の1くらいではないかと指摘した。母親も、こちら側はほとんど使っていないと認めている。古堅は、一生懸命整理して分けても物が動かなければ意味がないと述べ、大事なのは「このライン」、つまりダイニングの高さに、使うときはすぐ出せて人が来たときはさっと隠せる場所を作ることだと話した。ここに隠し場所ができればダイニングの景色が変わる、というのが古堅の見立てである。

娘の部屋にしたかった一室:寝床の確保を優先する

玄関から入って右側の部屋は、本来は娘の部屋にしたい場所だった。しかし実際には、父親が寝たり、体調を崩した家族が休んだりする寝室として使われていた。古堅は、娘の部屋にする話は後回しにして、まず寝床を確保すると決めた。

そのうえで、よく使う物は使う場所の近くに置き、使わない物はいったん「穴の中に埋める」という考え方を示した。たとえば部屋の端に毎日取りに行く物があるなら面倒なので、譲歩してでも寝起きする場所の近くに置いた方がよい、という理屈である。プラスチックケースが部屋に出てしまうのは嫌かもしれないが、動いていない物が山ほど積まれているよりはましではないか、と古堅は母親に問いかけ、母親も同意した。

前の家から持ってきた棚が「死んでいる」ことも話題になった。見栄えのよい家具は人目につく場所に、ケース類は目に見えない場所にという方針で、この棚を寝室側へ移す案が出た。母親も、寝る前に絵本を読むので向こうにあると便利だと話した。一方で、ソファや絨毯が引っかかって家具を動かすのは難しく、業者を呼ばないと無理だろうという話になり、大型家具は動かさずに進めることになった。棚には絵本だけでなく、母親のアクセサリーなど細かい物を入れてもよいのではないか、と古堅は提案している。

前の家から収納が「一部屋分」消えた

作業中、母親は物があふれる背景を説明した。前の家はもっと広く、リビングの横に押入れつきの和室があり、ウォークインクローゼットにはキャンプ道具や靴をたくさん入れていた。今の家に移ったことで、和室とその収納をまるごと一部屋分失ったくらい収納が減り、それまで入っていた物がまったく収まらなくなったという。

古堅はこれを受けて、家のサイズに合わせて持つ物の量を決める、今持っている物の一部をどこかに預ける、などいろいろな考え方があると述べた。そのうえで、少し物を減らし、ここまで完全に片付いた状態にはしていきたいと話している。

奥行きのあるクローゼットと、残った課題

もともとクローゼットだった場所を押入れサイズに改装したという奥行きの深い収納では、子どもの工作、アルバム、過去の写真などを入れたバンカーズボックスが出てきた。古堅は、ここは中身が把握できていて整理もできていると評価し、本来はここの中でやりくりできればよいと話した。前に積まれていたキャンプ用品は出し入れが大変なため、バンカーズボックスとの置き場所の入れ替えをスタッフと相談しながら進めた。

課題として最後まで残ったのは薬である。父親が毎日使う物で量が多く、古堅は「ここに絶対置いておかなければならない物」だけを絞り込む方向で考えた。別の場所ではスタッフのあいこが「もう入りきらない」と訴え、掃除機の置き場所をあきらめるかどうかでやり取りする場面もあった。作業は3人が同時に進めていて、古堅は右側の部屋、まなみは左側、奥はあいこが担当した。

リビング・ダイニング:物だまりが消えた

作業後、前日に物が山積みになっていた場所には何もなくなっていた。母親は「何もない」「どこに消えたっていう感じ」「嬉しい」と驚いた。ちょい置きの物が転がっていた一角も、観葉植物が並ぶリビングダイニングに変わった。ダイニングテーブルの上も物が片付き、母親は天板を見るのは本当に久しぶりだと話した。古堅はテーブルの上をもう少し何とかしたかったが、最後の1時間ではここまでが精一杯だったと明かしている。

ダイニング脇の収納は、プラスチックケースで埋まっていたため隠し場所にするのが難しかった。古堅はケースを別の場所に移すことで、ここに「穴を掘った」と説明した。母親は、テーブルに出していた物もさっとしまえると話し、こんなに入るとは思わなかったと驚いていた。古堅は、放っておくとすぐまた物がたまるので定期的に見直すこと、人が来たときはここに隠すことを勧めた。父親の薬はまなみが空けたスペースに収め、そこで飲んで扉を閉めれば片付いた状態を保てるという。これまで薬を置いていた天板の上には物を置かないよう、古堅は母親と約束した。

照明好きの母親に向けて、古堅は玄関を入ってすぐの物だまりにも照明があったことを示し、物が多いと電気をつける気にもならないと話した。

娘の部屋にしたかった一室:3つのくぼみにケースを収める

寝床として整えた部屋は、入り口が広くなり、角に置かれていた物がなくなったことで広く見えるようになった。古堅は、プラスチックケースの数はむしろ増えたが、3か所のくぼみにうまく収まったので目立たないと説明した。

ケースの移動には連鎖がある。母親の寝室の入り口付近にあったケースと、クローゼットにあった娘の服のケースがこの部屋のくぼみに移った。これまで母親は娘1人の服のために行き来していたので、動線を考えて近くに置いたという。娘の服が移ったことで元の場所に大きな空きができ、さらに別の棚から移したケースの跡にも隠し場所が生まれた。そこは娘が普段使う物の置き場所になった。古堅は、ランドセルもこうした場所にぽんと置けるとよいので、母親の方で工夫してほしいと話した。母親は、自分では思いつかなかったと感想を述べている。古堅は今回を「いかに穴を掘って開けて入れるか」というチャレンジだったと表現した。

この部屋のクローゼットは、もとは娘の服と親の着物が中心だったが、長男の部屋の奥にあったスーツケース4つほどと、メルカリに出品中の品が大量に入った。古堅はクローゼットを素敵に変えたのに見る影もないと笑い、メルカリの品が減れば物は相当減り、使い勝手のよいクローゼットになると述べた。母親は「すぐ減らします」と答えている。部屋には布団が敷けるようになり、入った瞬間に家族が優しさを感じられるはずだと古堅は話した。一方で、物が減っていないためこの部屋を娘の部屋にする目標は今回叶わず、古堅は今後考えてほしいと述べ、叶えられなかったことを謝った。母親は、ここまでしてもらえれば本当に嬉しいと答え、この部分は「大成功」だとした。

夫婦の寝室:ケースが家具に変わっただけで印象が変わる

後半は長男の部屋と夫婦の寝室である。夫婦の寝室では、大量のプラスチックケースと物がなくなり、本棚が移動した。母親は、ケースが棚に変わっただけで印象がかなり違うと話した。

特に反応が大きかったのは、シルバニアファミリーの置き場所である。以前はピアノの上にあり、子どもが自分で取れない高さに置きっぱなしだった。棚に移したことで子どもが取りやすくなり、古堅は「ものすごい高級な住宅に見える」「おとぎの国みたい」と評した。古堅は、娘は自分の部屋ができなくても、このコーナーができただけで自分の部屋のように感じるかもしれないと述べ、母親も喜ぶだろうと答えた。照明もあわせて見せ、古堅はホテルのようだと話し、これを「景色を変える片付け」と呼んだ。この部屋はまなみが担当した。

長男の部屋:入り口の背の高い棚をなくす

長男の部屋はもともと作業予定になかった。しかし古堅は家の中の動線をすべてクリアにしたかったため、あいこに依頼したという。入り口にそびえ立っていた棚がなくなり、母親は視界が開けたと話した。

古堅は、この家はどの部屋も入り口に物がどんと置いてあって狭いと感じていたが、リビングも寝室も長男の部屋も、そびえ立つ物がなくなっただけで広く見えるようになったと振り返った。

母親が最も心配したのは、あれだけあった物が消えたぶん、どこかにしわ寄せが来ているのではないかという点だった。古堅も「一番怖いのはここ」と応じて、最後に長男の部屋の奥の収納を開けた。中は前とまったく違い、息子の好きな物が目線の高さにあって、開けるとすぐ見えるようになっていた。息子の「隠しお菓子」もまとめられ、キッチンペーパーも入れてあった。古堅は、これなら開けても問題ないと話した。

収納を増やさず、動く物だけを見直す

長男の部屋について、古堅は、もともとの部屋に大きめの収納を作ったことで部屋自体が狭くなったと指摘した。部屋の中に収納を増やすより、既存の収納の中でやりくりした方が暮らしやすくなるという考えである。

この収納の奥には、使っていない物が実はかなり埋めてある。ぱっと見ただけでは分からないが、そうしなければこの景色は生まれない、と古堅は説明した。そのうえで、動いていない物は見直さなくても生活に支障はなく、見直すべきなのは稼働している場所だと述べた。使いながら少しずつ手を入れ、まずは家族でこのきれいな状態を保つことを優先してほしいという。

結び:「これでも捨てたんです」の行き詰まりから

古堅は、夫はどうせまた散らかると思っているだろうとしたうえで、1日かけて物を動かしたのだから、ここからは母親が家族に協力してもらいながら、無理せず維持してほしいと話した。

母親は、このままずっと片付かないのかと思っていたと打ち明けた。古堅によれば、母親は作業中「これでも捨てたんです」と何度も言っていた。母親自身も、捨てたのにどうしようもなくなり、自分の能力の限界を感じて行き詰まっていたところに道が開けた感じがすると語っている。

番組は最後に、収納の中身を大幅に入れ替えることで部屋の景色を変えられた、埋める場所がない人は参考にしてほしいとまとめた。ただし、娘の部屋を作るという目標とメルカリ品の削減は、母親に残された課題である。