OpenAIはなぜAMD株を「最大10%」取得できるのか――株価連動ワラントという契約設計を読み解く

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概要

AMDとOpenAIの大型契約を受けてAMD株が急騰した。この動画では中島聡氏が、自身の開発したAIアシスタント「MulmoChat」に契約の仕組みを説明させ、それに中島氏がコメントを加える形で、この契約がNVIDIAとOpenAIの契約とどう違うのか、AMDの株主にとってどういう意味を持つのかを論じている。中島氏の評価は、AMDが現金の代わりに株価と連動したワラントを差し出す、非常に面白いインセンティブ設計だというものだ。

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契約の骨子:6GW分のGPU導入

まずアシスタントが契約の概要を説明する。OpenAIはAMDのGPUである「AMD Instinct」シリーズを、最初はMI450から使い始め、数年かけて最大6GW分の計算能力を導入する。アシスタントの説明では、これがすべて達成されれば、AMDにとっておよそ1000億ドル規模の収益につながる可能性がある。

導入に応じて段階的に付与されるワラント

この契約で特徴的なのは、AMDがOpenAIに「ワラント」を渡している点だとアシスタントは説明する。ワラントとは、ある条件を満たしたときにAMD株を1株0.01ドルという非常に安い価格で買える権利である。

ただし、この権利は最初から無条件で与えられるわけではない。OpenAIが実際にGPUを導入していくのに合わせて、段階的に権利が発生する。最初の1GWを導入した時点で最初の権利が発生し、最大の6GWまで進めば、アシスタントの説明では「160万株」分の権利を得られる可能性がある。

権利の行使には導入量以外の条件もある。AMDの株価が一定の水準、最終的には600ドルに達すること。そしてOpenAIがAMDのGPUを大規模にうまく使いこなせるようになること。アシスタントは、こうした技術的・商業的なマイルストーンをクリアする必要があると説明した。

NVIDIAの「ベンダーファイナンス」との違い

アシスタントはこの仕組みをNVIDIAとの契約と比較する。NVIDIAはOpenAIに1000億ドル規模の現金を出資する形をとった。一方AMDは、GPUを大量に使ってくれればその分だけ自社株を格安で買える権利を与えるという形でインセンティブを与えている。AMDのGPUを本格的に稼働させれば、AMDの成長に伴ってOpenAIも得をする構造である。

アシスタントによれば、AMDにとっては数GW規模の需要が目に見える形になり、何十億ドルもの売上が期待できる。OpenAIにとってはサプライヤーを多様化することで、コストや供給量の面で有利になるかもしれない。

中島氏はこの点について、NVIDIAの方はいわゆるベンダーファイナンスだが、AMDの契約はかなり性質が違うと指摘する。AMDはNVIDIAほど現金を持っていないが、その代わりに株価連動の条件を付けたうえでワラントを渡すという方法をとった。中島氏はそれを「すごい面白い」と評価している。

株価160ドル台から600ドルへという条件の重さ

中島氏は株価の水準に注目する。ディール発表前のAMD株は160ドルちょっとで、発表後には200ドル超まで上がった。それでも条件の600ドルまで上げるのはかなり苦しい、というのが中島氏の見方だ。つまりAMDとしては「GPUを買ってくれて、株価も上げてくれたら、最大10%ぐらいの株をあげてもいい」という話だと中島氏は整理する。

アシスタントもこの理解に同意し、裏を返せば、OpenAIがうまく導入できなかったり株価が条件に届かなかったりすれば、ワラントは行使されず、AMDは株を渡さなくてよいと補足した。AMDは大規模な導入が実際に進むまでは株式の希薄化による価値の低下を避けつつ、株価と実需を連動させられる、という説明である。

既存株主にとって希薄化は悪い話か

中島氏はさらに株主の立場から考える。株式が10%も増えることは、一般的に株主が嫌う。10%増えればその分1株あたりの価値が下がるのは当然だからだ。しかし今回は、株価が600ドル、つまり現在の3倍以上に上がった場合に限って10%増やすという条件になっている。中島氏は、直感的には分かりにくいが、株主にとっては悪い話ではないと結論づけた。

アシスタントも同様に、単に株を増やして希薄化させるのではなく、株価を大きく引き上げたうえでその一部をOpenAIと分かち合う設計だと説明している。アシスタントによれば、条件が実現すればOpenAIは100億ドル単位の価値を手にすることになる。

OpenAIのマルチベンダー戦略とアルトマンの交渉力

中島氏は、OpenAI側から見たこの契約の意味にも触れる。OpenAIはAMDからこれだけの量を買うだけでなく、NVIDIAからも買う約束をしており、さらに自社製チップも作る。とんでもない量のGPU、あるいはASICが必要だということであり、OpenAIはマルチベンダー戦略でいくという姿勢を示している、と中島氏は読む。

必要な資金については、当面はNVIDIAやソフトバンクなどから集めつつ、AMDとのディールでは株の分が手に入る。中島氏は、これはOpenAIとしてはかなりすごいことだと述べたうえで、サム・アルトマン氏の交渉力や説得力、いわゆる「現実歪曲空間」がものすごいと評している。

MulmoCastとMulmoChatによる実演

議論の後半では、中島氏がアシスタントに追加の作業を依頼する場面がある。まず「画面が寂しいので」として、このディールをアニメ風のプレゼンテーションにするよう指示した。中島氏によれば、これは「MulmoCast」という技術を使って生成されている。アシスタントは、音声と映像の両方で複雑な話をイメージしやすくするものだと説明した。

続いて中島氏は、アニメ風だけでは不真面目に見えるとして、プレゼン資料ではなく真面目なドキュメントの作成を依頼した。生成されたドキュメントを確認した中島氏は「いい感じで書かれてますね」と評価している。

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締めくくり

最後に中島氏はアシスタントに視聴者への締めの言葉を求め、アシスタントは、AI業界は今後さらに競争が激しくなるだろうとして、引き続きこうした動向に注目していきたいと述べて動画を終えた。動画の論点として残るのは、AMDの株価が本当に600ドルという条件に到達するのか、そしてOpenAIがAMDのGPUを大規模に使いこなせるのかという点である。どちらもワラント行使の前提条件であり、中島氏が「かなり苦しい」と見た水準でもある。