扉のないオープンな注文住宅で、子どもの物をどこへ「逃がす」か:古堅純子の片付け2日目

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概要

5人家族が暮らす注文住宅の片付けシリーズ第2回である。前回、片付けのプロで「幸せ住空間セラピスト」の古堅純子は、素敵な家なのに散らかりやすいという悩みを聞き、家じゅうを一通り見た。今回は作業の本番となる日で、テーマは二つある。リビングダイニングから見える1階の景色を変えること、そして子どもが勉強したくなる場所をつくることだ。古堅はこの家の散らかりの原因を「子ども問題」と見ており、子ども用の物をどこへ移すか、誰がどこで勉強するかを整理すれば1階は片付く、という立場で作業を進める。

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勉強する気が起きないテーブルと、遠すぎる物の定位置

冒頭、家の中から誰かが勉強している声が聞こえる。長男がオンラインの習い事を受けているところだった。1階の一角にはランドセル置き場と「お兄ちゃんの場所」が設けられているが、物が出しっぱなしになっている。古堅はテーブルの上を見て「勉強する気ゼロ」と評する。

当日は子どもたちは学校で、生後10か月の次女は奥さんの母親と妹が見ている。古堅は、置けばその場にいる時期はもう終わったと言い、次女が動き回ることを前提に片付けを考える必要があると指摘する。奥さんは次女の手が届く所にはあえて物を置いていないという。古堅が唯一気にしたのは次女用のおもちゃで、この景色の中に残すべきかどうかも含めて考える、と話した。さらに、そこには扉があり、開かずの扉ではないのだから、その前に物を置いてはいけないとも付け加えている。

前日の指摘を受けた夫婦の反応

前日の訪問のあと、夫婦で改めて話し合い、やはり物が多いと認識したという。第三者にはっきり言われる機会はなかなかない、というのが夫婦の受け止めだった。古堅は、ご主人が自分の話に「その通り」とうなずいていたと振り返る。そのうえで、奥さんが一人で頑張っている状態では子どもも頑張れない、今後は親自身がどうするかにかかっている、と述べた。

古堅は前日の話で、リビングダイニングの景色の中にある子どもスペースが物を集中させている、と夫婦に気づいてもらえたと考えている。ただ、そこにある物を「逃がす」場所がどこなのか、夫婦には分からない。奥さんが思いついたのは2階くらいだった。

長女は2階の部屋に行かないだろう、という見立て

ここで古堅は自分の考えを説明する。まず、子ども部屋が奥にありすぎて、子どもが行きたくなる雰囲気がそもそもない。長男はそこで寝ているので、長男のスペースはもっと過ごしやすくすべきだという。ただし、古堅が問題だと考えるのは長女のスペースである。

長女には現状、2階と1階の2か所に自分のスペースがあるが、本人にその自覚はない。古堅の見立てでは、2階の部屋を長女が気に入るように整えても、長女はおそらく行かない。1階が居心地よすぎるからだ。壁に囲まれた2階の部屋と、明るい家族がいる1階とでは居心地がまったく違う。長女が年頃になって自分だけの時間を過ごしたくなれば2階に行くかもしれないが、前日に見た限りでは長女は1階が好きだ、と古堅は判断している。

さらに、この家では今後、次女の物の問題も出てくる。今の物の量のままなら、物置をひとつ作らないと暮らしていけない状態になる。そうするのか、物を最小限にして3人の子どものスペースをきちんと作り、回していくのか。古堅は、今すべてをかなえることはできないが、段階を追って進めれば、今回で言えば1階の景色は変わるだろうと説明した。ご主人は「全くその通り」と答え、この方向性でよいと同意した。古堅は、現実を知るとびっくりするはずだとも付け加え、リビングにある白い大きな家具をいったん外してみることを提案した。

長男の勉強場所に合わせて「物の地図」を引き直す

もう一つの論点は長男のスペースだった。長男は客室とされる和室でオンラインの授業を受けている。普段の勉強も基本的にはその和室でしているという。古堅がこの確認で納得したのは、物の定位置は勉強する場所のそばにある方が散らかりにくい、という点だった。長男の物は1階リビング側に置かれているが、実際に勉強するのは和室である。これでは定位置が遠すぎる。

奥さんによると、長男はかなり散らかす方で、そのあたりに物を置いたままにする。片付けるのは奥さんなので、結局は親の側が妙な動き方をさせていると分かってはいる、という。リビング側に勉強スペースを作れば長男はそこでやるのか、と奥さんは迷っていたが、古堅は、和室で勉強するスタイルがあるならそれに合わせた物の配置にすればいいと答えた。

古堅の整理はこうだ。リビング側を長女が自分のスペースとして気持ちよく使えるようにするなら、そこには色々な物を置かない方がいい。子どもの物をどうしてもここに集めたいなら、今使っている物だけに絞って定位置を作る手もある。しかし定位置が遠いと、いつも取りに行かなければならず、戻すのが面倒になって和室にも物が溜まる。奥さんもこれを認めた。そこで古堅は、客室という位置づけにこだわらず、長男が自分のことを自分でできるようになって2階を使うまでは、和室に長男専用の置き場を作ってもいいのではないか、と提案した。夫婦はこの発想を持っていなかったという。

古堅は、この家では「ここは誰の場所」と決めない方がいい気がすると述べる。和室が長男の部屋になるわけではないが、たとえば受験が終わるまで、あるいは自分の部屋で勉強するようになるまでは和室で勉強してもいい、と考えるのも手だという。帰宅したらランドセルを和室に置けば、リビングは散らからない。二人の子どもの「交通整理」ができれば、ここは片付くはずだと古堅は見ている。

オープンな間取りへの執着はあるか

リビングは落ち着いた趣のある空間だが、古堅は、ここが大事な場所なのだから手を入れるしかないと言い、自分もなぜここに壁を作らなかったのかと思う、と冗談まじりに話す。ご主人は当時それが流行っていたのかもしれないと答えた。古堅がこの形にそこまで執着があるのかと尋ねると、ご主人は、現実を理解できていなかっただけで執着があるわけではない、と答えた。古堅は、面倒なだけ、時間に追われているだけなのだと受け止め、1階の景色を変えつつ子どもの学習意欲が湧く部屋にしようと作業を始めた。

1階をいったん空にして、戻す物を選ぶ

作業の方針は、理想の高い夫婦のために、1階から見える景色を変えることだ。まず1階をいったん空にし、そこから何を戻すかを決める。子どもスペースの収納家具は解体するか2階で使うことにして、中身は人別に分けてもらう。

中身を確認すると、実際に動いている物はごく一部だった。奥さんによれば、学校関係の物だけは混ぜないようにしていたという。古堅は、動いていない物が場所をとっているせいで収納を増やしてしまっているだけで、実際に必要なのはこの一部だけだと指摘する。棚には0歳ごろから勧められて買ったパズルなどの幼少期の物があり、長男の区画には推しのグッズや財布、塾に通っていた5年生の頃のノートなど、ときどき見返す思い出の物と教科書が入っていた。これらは長男の部屋に移すか、いったん和室の収納の一部に集めて受験が終わってから見直すか、という話になった。

長女については、奥さんが勉強をあまり好きではないと認め、古堅は見れば分かる、必死にやらせている感じがすると言う。ただ、必死にやらせてするものではない、というのが古堅の考えだ。

奥さんの服を置く場所についても話が出た。当初は今ある家具で足りると思っていたが、学校の物が多すぎて入りきらず、入れ物を買い足してきたという。古堅は、扉の中にしまって戻すという方法はこの家族にはまだハードルが高いのかもしれないと見る。勉強する場所のそばにとりあえず置き、その代わり余計な物は置かない、くらいの方がいいという判断だ。

物に合わせて入れ物を増やすな、という約束

古堅がこの家族に「絶対的に」約束してほしいと念を押したのが、増える物に対して入れ物を増やしてはいけない、という点である。物の量は暮らしに合わせて決めるべきで、物の量に合わせて入れ物を増やすと、スペースがどんどんなくなる。そして空いているスペースに人が集まってしまう。古堅はこれを最悪のスパイラルと呼んだ。そうならないためにも、長女のスペースは「大好きな私の場所」という雰囲気を出した方がいいという。

動いていない物は2階へ上げる。次女の物のうち使っている物は1階に残し、使っていない物は上げる。長女の2階の部屋は物を置いているだけで、長女はそこで遊ばない。古堅は、1階で物を広げ続けていては片付かないので、いったん2階に上げようと話す。判断がつく物は箱に入れ、残すか上げるかは奥さんに分けてもらう。当日は奥さんの母親と妹もいるので、こういう機会はなかなかないと古堅は言う。

仕分けについて古堅は、奥さんは細かく全部分けたい様子だが、意外とざっくりの方がいいと助言した。細かく仕分けても結局どこに入れたか分からなくなるし、今使う物だけにすれば探す物もなくなる。とりあえず入れておく場所が多すぎると、物が紛れてしまうという。パズルなどの長女の物は、しつらえた場所に置けば入れ物に入れなくてもよく、この家の景色の中にあると美しい、とも述べた。

奥さんの物については、ふたのある箱が3つとも空いていることが分かり、いちばん上を奥さんのスペースにして、ふたを外して上から入れられるようにした。古堅は、奥さんの物を突っ込める場所がこれまで1つもなかったと指摘している。

仕上がり①:リビングとママのスペース

作業後、途中で物があふれ返ったリビングは元の状態に戻った。ご主人は「引っ越し当日」のようだと喜んだ。古堅は今回のテーマを「この家のスタートラインを作る」ことだったと説明する。3番目の子がリビングで遊ぶため、そこにあまり物を置きたくない、というところから始まった。

リビングの一角には扉があり、その前にはベビーベッドが置かれていた。古堅によれば、それはベビーベッドという名の物置台になっていた。古堅は、自分のYouTubeを見ているのに、扉の前に物を置くという自分が絶対にやってはいけないと言っていることをやっていた、と奥さんを冗談まじりにとがめる。その扉の中身をすべて出し、テレビ周りの機器以外は赤ちゃんと奥さんの物で埋めた。扉の少ない家なので、ここにおむつなどを入れたり、散らかりがちな物をさっと隠したり戻したりできるゾーンにしたという。赤ちゃんの物は下の2段に入れた。奥さんはこれまでこういう場所がなかったのでありがたい、これならできそうだと答えた。

仕上がり②:長女のスペース

もっとも気にしていた子どもスペースは、長女の場所として作り直された。大きな白い家具がなくなったことで空間が広くなり、古堅は宝塚のように舞台ができると表現した。長女の勉強スペースと、その横で出し入れできる置き場も作った。

この場所は、次女が大きくなったときに長女と並んで一緒に何かをできるように配置したという。ただ、今は絵本が多すぎて余裕がないので、ランドセルなどが置けるように少しずつ整理して、長女の場所として使ってほしいと古堅は伝えた。さっきまで邪魔に見えたピクニック用品も、今なら素敵に見えるという。布団を敷いて寝られるくらい広くなった、と古堅は話す。ご主人は、先ほど写真を撮らせてもらったが素晴らしいと評価した。

学校から帰ってきた子どもたちにも見てもらった。今までここにあった大きな白い物がなくなり、広くなったという感想が出た。古堅が「ここで勉強できるかな」と尋ねると、子どもはうなずき、ここにランドセルを置いて大事に使うよう古堅は声をかけた。

仕上がり③:和室を長男の勉強場所に

次は長男のスペースである。2階の2部屋を長男と長女の部屋として使う想定は変えないが、今は違う形で受験を応援しようということで、客室の和室に手を入れた。これまで客室は神聖な場所で触るな、という扱いだった。しかし話を聞いた古堅は、すぐに勉強に取りかかれる状態にした方がリビングダイニングが散らからないと判断した。

奥さんは、すりガラス越しに長男が勉強している姿が見えると安心するという。そこで、すりガラスから見える位置に机を置いた。この家としては客室として使いたいが、受験期間中や、長男が2階の自分の部屋で一人で勉強するようになるまではこの形で使い、その次は妹が使うかもしれない、と古堅は説明した。長男の置き場も作った。長男の感想は「勉強しやすそう」だった。

残された課題:2階に上げた物の行方

古堅は長男に、勉強で大事なのは休む場所だと伝え、長男の寝室も変えてあると話して2階へ向かう。その中身は次回に持ち越された。

今回は、1階で動いていない物を2階へ上げることで、リビングの景色を変えることに成功した。一方で、2階に寄せられた物をどうするのか、2階の子ども部屋は片付くのか、という問題は残っている。番組はその問いを次回に残して終わる。