シンガポールの一等地モールで見た中国茶チェーンと、フランチャイズ相談の現場から

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概要

シンガポールでピラティスチェーン「CLUB PILATES」を運営する島袋直樹が、オーチャードの商業施設で中国発の茶チェーンを飲み比べた回である。島袋は、日本ではまだ実感しにくいが、アジアではすでにお茶のブームが来ており、次は日本にも来ると繰り返し主張する。それは抹茶ではなく、ジャスミンティーやミルクジャスミンティーだという。後半では、同行した相方と、フランチャイズ(FC)に特化したサロン「FC BANK」に寄せられた相談を題材に、FCとの向き合い方を語っている。

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「アジアのGINZA SIX」としてのオーチャードセントラル

撮影場所はオーチャードセントラルである。島袋は、日本でいえば銀座のGINZA SIXのような場所で、シンガポールに進出するならこのテナントは欠かせないと説明する。4つの建物が1つにつながった構造で、オーチャードにはもう一つ「アイオン」という施設もあるが、アジアのブランドが自分たちを大きく見せたいときに出す場所だという。日本で言えば銀座や原宿に出店するのと同じ感覚だと島袋は位置づける。CLUB PILATESの15号店もこの建物の5階にある。

島袋によれば、この建物はテナントの入れ替わりが激しく、数年経てば基本的に出されてしまう。CLUB PILATESはコロナ禍の最中に入居したため優遇されたが、それは例外だという。だからこそ、シンガポールで何が流行るのか、何がシンガポールに進出したいのかを知りたければ、ここに来ればよいというのが島袋の見方である。館内には、商標の関係で「ドン・ドン・ドンキ」を名乗るドン・キホーテやユニクロ、かつては東急ハンズなど日系の店も入っており、日本推しの印象もあると二人は話している。

1階には茶のチェーンが並び、特に中国から来た主なブランドが3つある。島袋の説明では、1つ目のMolly Teaは中国・広東省発で5年で2000店舗。2つ目のCHAGEE(チャジー)は9年で7000店舗で、「もうすぐ日本に来るのではないか」と島袋は見る。デザインについては、以前はクリスチャン・ディオールに似せていたが変わったという趣旨の発言がある。3つ目のHEYTEAは最も古く2012年頃の創業で、4000店舗ほどだという。これらのフラッグシップが全部ここにある。店舗数はいずれも島袋が口頭で挙げた数字で、CHAGEEについては店頭で「9年で6000店舗」と言い直している場面もある。

茶チェーンの間には、オーストラリア・メルボルン発のフローズンヨーグルト店もある。島袋によれば開業から1年以上経つがずっとティーンエイジャーの行列が絶えないという。撮影時は平日の17時頃で、多くの客でにぎわっていた。

Molly Tea:ロゴとポップアップ、そして出店スピード

最初に訪れたのはMolly Teaである。島袋は、ロゴがルイ・ヴィトンにそっくりだと指摘し、訴えられてもおかしくないのではないかと冗談交じりに話す。一方で相方は、真似ているだけあって高級感はすごいと評している。注文はモバイルオーダーで、番号が店内の掲示板に表示される仕組みだ。持ち帰り用のバッグもデザインにこだわっていて、島袋はこうしたポップアップ的な見せ方のうまさが重要なのだろうと述べる。

店構えは相当大きい。家賃について島袋は、月3万〜5万シンガポールドル、日本円で300万〜600万円ほどではないかと推測した。ただし本人も「わかんない」と前置きしており、確かな数字ではない。厨房には特殊な機器があまりなさそうだという観察もしている。

注文では、店員のおすすめに任せてプレミアム・ジャスミン・ミルクティーを頼んだ。島袋は砂糖少なめのつもりで「レスシュガー」と伝えたが、実際には氷30%減・ブラウンシュガー入りになっていたという。島袋は、シンガポールでは「レスシュガー」と言ったのに通らない経験が多いと笑う。受け取った飲み物について、島袋は「きなこ餅のお茶」のような味だと評した。中の粒は餅ではなく大きなタピオカだった。相方が頼んだマンゴーの飲み物も美味しかったという。Molly Teaはシンガポールではここともう1店舗の計2店舗で、これからの段階だそうだ。

二人が特に驚いたのは出店スピードである。5年で2000店舗、つまり60か月で2000店舗という数字について、相方は、日本のように「1店舗成功したらFCをやってみよう、2店舗目を出してみよう」という感覚ではないのだろうと述べる。島袋も同意し、相方は「駆け上がりながら修正しながら一気に行くのだろう」と推測した。どうやっているのかは二人とも分からないとしている。

HEYTEA:ブームの火付け役と、お茶ではなかった看板商品

次はHEYTEAである。島袋はここを、お茶ブームの火付け役と言われるブランドとして紹介し、創業からおよそ13年経っているとする。今度は砂糖少なめ・氷普通の注文が通り、価格は7.3シンガポールドル、日本円で1000円弱だった。

相方は、あの店構えでこの値段でやっていけるのかと疑問を投げた。島袋は、こちらはMolly Teaよりやや小さいので、自分の勝手なイメージでは家賃2万ドルほどだとし、こうしたテナントには売上に応じた歩合がつくのが普通だと思う、と答えている。また、会員登録を求められることから個人情報を取っているのだろうという見方や、シンガポール限定商品を前面に押していることにも触れた。

実際に届いたのは、看板商品の「クリスプ・グレープ」だった。砂糖不使用で果肉入りのブドウの飲み物で、お茶ではなかった。二人とも「めっちゃうまい」と絶賛しつつ、お茶ではないことに笑っている。島袋はこれを、うどん屋でうどんを頼んだら美味しいラーメンが出てきたようなものだと例えた。果肉の甘さで作っているのだろうと二人は推測している。HEYTEAは店頭で抹茶も押していたという。

シンガポールの暮らしと為替の実感

移動の合間に、シンガポール生活の話も出た。島袋のシンガポール在住歴は6年ほどだが、半分は日本にいるという。島袋は、住みやすく人も優しい国だと評する。物価は高いが、お手伝いさんが家で料理を作ってくれるぶんには、それほど高いとは感じないという。

為替について、相方は自分が通い始めた頃は1シンガポールドル120円ほどで、今は126円程度なので大きな変化は感じていないと話す。一方、島袋が来た頃はまだ80円台だった。相方はそれを「やばくないですか」と驚いている。

CHAGEE:最もお茶らしい一杯

最後に訪れたのがCHAGEEである。注文したのはジャスミン・グリーン・ミルクティーで5.9シンガポールドル、バッグは0.1ドル。3店舗の中で最も安かった。相方は、店の前に立った感覚では3店舗の中で最もお茶の香りが強いと話す。島袋は内装の豪華さに注目し、カップにカロリーが表示されている点も評価した。

飲んでみた島袋の感想は「うまい、甘すぎない、冷えてる」で、体に良さそうな紅茶という印象だという。島袋はこれが一番好きかもしれないと言い、砂糖の量を選べるので毎日飲めるとも評した。相方も、ジャスミンが一番強く、ようやくお茶を飲んだ感じがすると同意している。二人は、HEYTEAはお茶というよりフルーツジュースで、お茶とフルーツジュースをうまく融合させている、と比較した。

店の外には、植民地時代風の建物を背景にした撮影スポットがあり、多くの人が写真を撮っていた。島袋は改めて「お茶ブーム来ると思うんだけどな」と述べる。相方は、小さなモールの中に大きなブランドが一気に3つ並んでいることに驚いたと話し、島袋もその理由については「どういうことなんだろう」と答えを出していない。

相談1:FCをやっていない好きな店を広げたい

後半は、フランチャイズのサロン「FC BANK」が始まって約1か月の間に寄せられた相談の話になる。二人は、これはあくまで個人の意見で、正解ではなく一案だと断っている。

1つ目の相談は、よく通う飲食店が好きすぎて全国に広めたいが、オーナーからは「FCをやるつもりはないし、店はここだけだ」と言われた、どうしたらよいか、というものだ。

島袋は、自分にも同じような経験が2件あると明かす。1件は、相方とも一緒にやったストレッチ店である。大阪にある店が良く、当時はまだストレッチ専門店が少なかったため、流行ると考えて「東京でFC1号店をやらせてほしい」と頼みに行った。すると最終的に「本部も買ってほしい」と言われ、本部ごと買収することになったという。コロナ前までに島袋の記憶では34店舗ほど、相方の記憶では38〜39店舗ほどまで伸びた。相方は、そのブランドのことは知っていたが、始まりがこうした経緯だったとは知らなかったと話している。もう1件は名前を出せないが、多くの人が知るようなおしゃれな飲食業だという。島袋は、FC展開している本部だけでなく、「FCさせてくれ」と頼みに行くのも十分ありだと考えている。

そのうえで島袋が重視するのは、条件より先に、実際に店でサービスを受けて感動した、美味しかった、という気持ちをオーナーに伝えることである。動機が「儲かりそうだから」ではなく、「このサービスが本当に良いから広げたい」という思いが先にあるべきだという。相方は、これはM&A BANKでよく語る「ラブレター理論」と同じだと応じ、島袋もM&Aの買収と同じで想いが重要だと続けた。島袋は、ハンバーガー屋を営んでいて、客に「むちゃくちゃうまい、シンガポールでやってほしい」と言われる場面を例に挙げる。最初は聞き流すかもしれないが、3回来られたら本気だと思うだろう、というのである。相方も、ビジネスの話として持ち込まれると「忙しい」と思ってしまうかもしれない、と同意した。島袋は、3回通えるくらい本気で行けば少し前進すると考えている。

相方はこの相談を、FCに加盟して失敗しないための本部選びではなく、自分でFC本部をやってみたいというニーズとして興味深く受け止めている。進め方として島袋は3つを挙げた。1つ目は、双方の合意でFCの仮契約書を作って契約する方法だ。ただし相手はもともとFC展開のつもりがないので、本部としてのサポートはできない場合が大半だろうという。2つ目は、オーナーが直営だけでよく、広げるのは相談者側に任せるという場合で、合弁会社を作ってFCのロイヤリティ管理や展開をその会社が担う形である。3つ目は、FCではなくライセンスのような形でロイヤリティなどを設定し、自分が店をやらせてもらう方法で、島袋自身も難しいかもしれないとしている。相方は、3つ目とそれ以外の違いは、自分で店を持ちたいのか、FCシステムを使って本当に広げたいのかの違いだと整理した。いずれにしても島袋は、まず感動を伝える努力をし、契約や条件はその後で詰めればよいと考えている。

相談2:家族にFCを任せたい

2つ目は、弟など家族と一緒にFCに加盟し、家族に責任を持って運営させたいという相談である。相方は、これまでは自分自身が加盟する相談が多かったが、ファミリービジネスとしてのFCは意外と多いニーズではないかと話す。

島袋はこれを「めちゃくちゃいい」と評価する。会社を売却した後の資産家にも向いているという。2代目、3代目が親の事業を継ぐかどうかは別問題だが、FCなら親の会社以外にメンターが複数いることになる。間違えたときに本部が指導してくれるうえ、同じ立場のオーナー同士のつながりもあり、若ければかわいがってもらえる。そのため、暴走して失敗しにくく、騙されにくいのではないか、というのが島袋の考えである。相方は、何十年も続くメガフランチャイジーが業態変更の過程でさまざまなFCに加盟している背景にも、こうした事情があるのかもしれないと述べた。

相方はシンガポールの実例も紹介した。CLUB PILATESの新しいロケーションのオーナーは33歳の女性で、10年前にシンガポールでエニタイムフィットネスに加盟し、大成功させているという。英国ポーツマスの大学を卒業して帰国する際、マレーシアの資産家である父親から、通貨の価値が3倍違うのだからマレーシアに戻らずシンガポールで働け、と言われた。シンガポールに住む姉がたまたまエニタイムフィットネスに通っており、店内のフランチャイズ募集のポスターを見て連絡した。父親が「せっかくだからファミリービジネスをやりなさい」と資金を出し、姉妹で事業を始めたのだという。大学卒業時にやりたいことがなく、姉妹の趣味が体を動かすことだったから選んだという「平たく言えば安直な」始まりだったが、相方は、父親にとってはお金の出しがいがある良い入り口だと感じたと話す。

島袋も、自分の娘に何を残すかを考えると、お金か不動産か事業かという選択になると言う。同じことをやれとは思わないし、違う才能があるかもしれない。そのうえで事業をやりたいとなれば、入り口はFCでよいのではないか、というのが島袋の考えだ。息子でも、時間のある母親でもよいという。

相談3:空いている物件にFCを当てはめたい

3つ目は、自分の所有物件や、知人から託された物件が空いているので、家賃収入ではなくFCで活用したいという相談である。相方は、この種の相談をする人も意外と多いと感じている。

ただ島袋は、手持ちの物件に合うFCを探すというやり方でうまく合うケースはかなり少ないと見ている。相方もCLUB PILATESで同様の相談を多く受けたが、人口構成の面で人が少ない、視認性が悪い、駐車場の問題があるといった理由で、結局は自分で物件を探した方がよいという結論になることが多かったと振り返る。二人とも最終的には「物件による」としている。

相方は、FCとM&Aはどちらも権利であり、時間を買うという点で共通していると述べる。どれだけ頑張っても自分では作れないブランドがある、という点にも二人は同意している。

2期生募集と「自己責任」という前提

島袋は、FC BANKのサロン2期生の募集を考えていると話す。加盟する側に軸足は置くが、加盟者を擁護するコミュニティにはしたくないという。「このコミュニティに入っているから本部に圧力をかけられる」「絶対成功する」と考える人は、何の事業をやってもうまくいかないというのが島袋の考えである。FCであれ何であれ、失敗すれば最初に判断した本人の責任であり、自責で考えられないと事業は基本的にうまくいかない。たとえうまくいってもラッキーパンチで続かず、再現性もないという。

相方は、約13〜14年前に初めてFCに関わったとき、ある人から「うまくいったら自分の手柄、うまくいかなかったら本部のせい、というフランチャイジーがほとんどだ」と言われ、それがずっと頭に残っていると語る。うまくいかないと本部の事業計画やビジネスモデルのせいにしたくなるが、デューデリジェンスをしたのは自分であり、本部を責めることは自分のビジネスの戦闘力を否定することになる。だから被害者のような態度は取りたくないという。島袋も、動画で紹介しているブランドでも成功する人もいれば失敗する人もいて、事業とはそういうものだと述べる。自分たちが提供しているのは、失敗の確率を減らすための情報だという位置づけである。

加盟者への特典として、島袋は加盟金の一部の還元を考えている。島袋の説明では、FC業界では日本でもアメリカでも、加盟金のおよそ半分を加盟開発費として、フランチャイズの窓口やリクルートのアントレといったエージェントへの成功報酬に充てるのが一般的で、加盟金は獲得コストの性格を持つ。FC BANK経由で加盟が決まると本部から加盟金の一部がシェアされるので、その一部を加盟したサロン会員に上限30万円で還元する構想だという。現在の会費は月2万5000円で、2期生からは3万5000円程度に上げる予定だが、それでも1年分の会費に相当する額が戻る計算になると島袋は説明する。募集は秋口の予定である。

相方は、会員は熱量が高く、自分たちもその人たちに失敗してほしくないと話す。この日には法律の勉強会も開いた。講師は、普段はFC本部側に立つことが多い著名な弁護士で、加盟者目線で注意すべき点を教えてもらったという。具体的な中身はここでは言えないとしつつ、相方は、加盟する側にとっては質問力を磨いておくことが重要だと感じたと述べ、島袋も「マジで重要」と強く同意した。

動画は、帰り道で島袋が、都会の中なのに鶏がいる自然と都市が融合したシンガポールの街並みや、デング熱対策で国が虫をコントロールしていることを紹介して終わる。今の時期は東京の方が暑い、という会話で締めくくられた。