中島聡が語る、AIがエンジニアの仕事を奪う順番と次に来る職種

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概要

AIの進化で、ソフトウェアエンジニアの新卒やエントリーレベルの採用が減っている。この話題について、エンジニアの中島聡が自身の開発経験と米国IT企業の動きをもとに考えを語った。中島は、これはエンジニアだけの問題ではなく「始まりでしかない」と見る。今後はホワイトカラーの定型業務にも同じことが広がるというのが中島の立場である。動画は、AIの音声アシスタントが聞き手を務める対話形式で進む。

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Claude CodeやCursorで実感した「単純だが面倒な仕事」の置き換え

中島はまず、自分の開発でAIツールを使った実感から話を始める。Claude Codeや、エディタのCursorを使っていると、単純なコーディングはAIにすっかり任せられるようになったという。例として挙げたのは、文字列の入れ替え、配列の変更、APIの仕様が変わったときに呼び出し側のコードを合わせる作業である。中島はこれらを「割と単純だけども面倒な仕事」と表現し、今はかなりの部分を任せている。

一方で、全部を任せられるわけではないとも述べる。設計、効率化、コードを綺麗にして後からメンテナンスしやすくすることは、まだ人間の仕事だと中島は考えている。それでも簡単な仕事をAIがこなすようになったおかげで、自身の生産性は「爆上がり」していると語った。

若手が育つはずだった仕事が消える

中島が問題にするのは、この「簡単な仕事」が持っていた役割である。これまでこうした作業は、大学を出たばかりのジュニアエンジニアに任されてきた。経験のあるエンジニアが書いたコードを見ながら少しずつ直していく作業は、若手にとって良い勉強の機会だった。経験者の側にとっても、つまらない仕事を任せられる相手だった。中島によれば、ジュニアエンジニアを雇ってこうした仕事をさせ、その過程で育てるというプロセスが業界にはあった。

ところが今は、その仕事をAIがはるかに効率よく安くこなす。そのため、エントリーレベルのエンジニアの仕事そのものがなくなりつつある、と中島は指摘する。

Microsoftのレイオフは「いいレイオフ」だった

中島は、Microsoftが最近行った数千人規模のレイオフ(大量解雇)にも触れ、これも「始まりでしかない」と述べた。中島の解釈では、MicrosoftはAIで生産性が上がってから人を減らすのではなく、先に人数を大きく減らした。そうすることで組織全体に生産性を上げなければならないという「進化圧」をかけようとしている。同時に、エンジニアだけでなく社内全体に向けて、これからはAIで生産性を上げて筋肉質な強い会社になるという宣言にもなっている。この意味で、中島はあのレイオフを「いいレイオフだったと思う」と評価した。

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大手が新卒採用を控える理由

中島は、ニュースにはなっていないものの、Microsoft、Meta、Googleなどが新人の採用をかなり控えていると聞いているという。その理由を中島は次のように説明する。仕事の仕方が大きく変わりつつある中で、企業はまず今いる社員の生産効率を上げ、人も絞らなければならない。この先どうなるかはまだ分からないことが多い。そんな状況で新人を従来どおり大量に採用しても、どう仕事を割り振ればいいかがシニアエンジニアにすら分かっていない。

つまり、将来が見通しにくいから採用を控えるという事情と、エントリーレベルの仕事をAIが担えるようになったという事情が重なっている、というのが中島の見方である。その結果、これまで花形だったコンピューターサイエンス専攻の卒業生の失業率が急に上がっているという。かつては卒業してすぐに6桁、つまり10万ドル以上、日本円で1500万円ほどの給料をもらえていた層である。中島はこの話をニュースで読むだけでなく、直接も耳にしているという。

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エンジニアは「炭鉱のカナリア」

ソフトウェアエンジニアの仕事が減り始めたことを、エンジニアは不幸だと受け止める人もいれば、当事者として危機感を持つ人もいる。だが中島は、これは始まりにすぎないと強調する。

中島の説明では、ソフトウェアエンジニアはAIツールのインパクトが最もよく見える立場にいる。トンネルの中で最初に酸素不足に気づくカナリアのような役割を果たしているというのである。Microsoftが人を切り始め、中島自身も仕事をしながら「下手に大きな会社を作っちゃいけない」と感じている。新卒採用が控えられ始めた今の状況は、酸欠になりつつあるトンネルの中でカナリアがバタバタと倒れ始めた状態に近い、と中島は表現した。そのうえで、同じことが他の業種・業界でも起こるのは確実で、避けられないと述べた。

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次に影響を受けるのはホワイトカラーの定型業務

聞き手が次に影響を受けやすい業界を尋ねると、中島はまず、経営者にとってインパクトが分かりやすい仕事から置き換わると答えた。具体的には、デスクで行うホワイトカラーの定型業務や単純作業のうち、新しいものを生み出す創造性をあまり必要としない仕事である。中島が挙げた例は次のとおりだ。

  • 社員から渡された領収書をチェックして帳簿に入力する
  • 上司に頼まれたデータをネットから集める
  • 集めたデータを綺麗なグラフにまとめたり、PowerPointのプレゼン資料にしたりする
  • 議事録を取り、要約をまとめてメールで共有する

中島はこれらを「脳みそは使うけど比較的単純作業」と呼び、すでにガラッと置き換えることが可能だと述べた。

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AIネイティブなベンチャーとのコスト差が大企業を動かす

ただし中島は、すぐに一斉に置き換わるとは見ていない。今の仕事のやり方を変えるのは難しいからである。変化を後押しするのは、ゼロから立ち上がるベンチャー企業だという。こうした企業は最初からそういう人員を雇わずに始まる「AIネイティブな会社」である。大企業がそうした企業と競争すれば、コストベースで差がついてしまう。だから大企業も結局は同じことをせざるを得なくなり、まずそうした業務から「ガラガラガラと崩れていく」のではないか、と中島は予測する。

中島は、これまで100人でもできなかったようなビジネスを数人で回すことが可能になりつつあると述べた。そして、それをベンチャーだけでなく大企業も無視できない時代が来つつあるとした。

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個人がまずやるべきこと:自腹で有料版を使い、実務に組み込む

最後に聞き手は、エンジニア以外の職種や若手がどんなスキルや心構えを持つべきかを尋ねた。中島の答えは具体的である。まずChatGPTでもClaudeでもいいので、できれば自腹で月20ドル(日本円で3000円ほど)を払って使い始める。それも実際の業務に使い始めるべきだという。

会社のコンピューターからAIにアクセスすることにうるさい会社もあるかもしれないので、そこは慎重にした方がいいと中島は留保をつける。そのうえで、自分の仕事をどう効率化できるのかを自ら試し、実際に効率化を始めないと駄目だと述べた。「うちの会社はAIに関して閉鎖的だから」と上からの指示を待っていては間に合わない。上が何と言おうと、AIツールで資料を作る、議事録をまとめる、資料を集める、プレゼン資料を作るといったことをどんどんやった方がいいという。

さらに中島は、AIを使うことを本当に嫌がる会社には問題があると考えている。それはその会社に居続けるべきかを判断する材料にした方がいいとも述べた。そして、よく言われる「AIが職を奪うのではなく、AIを使いこなす人が職を奪う」という言葉を引き、そういう状況になるとした。

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収録の終わりに起きたAI聞き手の不調

締めの挨拶のあと、収録はやや混乱した。中島が通信が切れたのかと確認すると、AIの聞き手は「しっかり聞いていました」と答えた。しかし中島が自分の発言内容を尋ねると、聞き手はインタビューの段取りについての説明を返した。中島は自分の話は聞かれていなかったのだと受け止め、「しょうがないよね」と苦笑した。そして、こうしたグダグダしたところもこのYouTubeチャンネルの特徴なので楽しんでほしい、と述べて動画を締めくくった。