「リーダーシップとは聞くこと」 M&Aアドバイザー小林正憲が語る、20代の失敗と売り手社長への向き合い方

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概要

M&A BANKのMC・島袋直樹氏と、同い年の経営者でWellness X Asia執行役員の小林正憲氏(愛称「マーティー」)が、東京・豊洲を歩きながら近況を語った。小林氏はCLUB PILATESを都内で5店舗運営する加盟オーナーでもあり、この日は島袋氏がその店舗を巡って撮影した後だった。話題の中心は、最近M&Aアドバイザーとして成果を上げているという小林氏が、売却を検討する社長とどう向き合っているか、そしてその姿勢が20代の失敗からどう生まれたかである。

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売却に動く社長は不安定になる

島袋氏は、小林氏がM&Aアドバイザーとして「才能を開花させている」という噂を紹介し、癖の強い創業社長も歓迎なのではないかと水を向けた。小林氏は、オーナー社長というだけでそもそも癖は強いものだと答え、そういう人が元々好きだと話す。

二人が共通して挙げたのは、売却に動き始めた社長は精神的に不安定になりやすいという点だ。字幕では「メンヘラになる」と表現され、占いに頼る社長もいると笑い交じりに語られている。小林氏によれば、買い手の条件が100%ぴったり当てはまることはほとんどない。そのとき何を許容し何を許容しないか、その範囲を一人で決めようとすると悩んでしまう。だから一緒に話しながら決めていこう、というのが小林氏の立場である。

島袋氏は、アドバイザーが悪いわけではなくても、社長は苛立ちのぶつけ先がないためアドバイザーに当たりがちだと指摘する。小林氏は「受け止めがち」だと自認し、島袋氏はその受け止める力を、スキルと並んで大事なものだと評価した。

20代の「俺についてこい」型マネジメント

受け止める力の背景として、小林氏は20代の頃の話を始める。当時は「会社からこいつはやばいやつだとされた」ほどで、実際に多くの部下を辞めさせてしまったという。マネジメントの方法は「俺がやっているんだからお前もやれ」というもので、自分が1日23〜24時間働いているのに部下が寝ることを受け入れられなかった。

誇張に聞こえるが、小林氏は本当にそうだったと強調する。豊洲や有明周辺の倉庫にずっと泊まり込み、水場がないので倉庫のシンクで体を洗っていたという。

島袋氏も、自分たちの世代の20代はそうだったかもしれないと応じる。25歳の頃にネット広告代理店にいた島袋氏は、夜8時からさらにギアが入るような職場で働いていた。川崎に住み渋谷に通っていたが、終電に乗れればいいという感覚で、乗り遅れたら渋谷の2000円ほどのサウナに泊まって朝出社していたという。二人とも、今やれば完全にアウトだと認めている。

30歳の研修で学んだ「聞く・伝える・感じる」

20代の働き方が問題視された結果、小林氏はちょうど30歳の誕生日の頃、会社から外部のリーダーシップ研修に行くよう命じられた。完全に受け身で参加したが、結論としては良かったと振り返る。そこで学んだのが「リーダーシップとは聞くこと」だった。

それまでの小林氏は、背中を見せ、先頭を走って「俺についてこい」と引っ張ることがリーダーシップだと考えていた。研修では、本当に部下がついてきているか確認したことがあるのかと問われたという。小林氏の説明では、歩くか歩かないかは結局個人の意思であり、無理に引きずり回しても、本人が行きたくなければいつか止まってしまう。ゴールに着くのも遅れるし、着いたときに一人では達成したことにならない。

島袋氏も最近同じことを感じたと話す。「ここだ」と目標を掲げて進んでも、振り返ると誰もいない、ということがあったという。

では、全員の意見を聞いたら収拾がつかなくなるのではないか。島袋氏のこの質問に、小林氏はリーダーシップには3段階があると答えた。「聞くこと、伝えること、感じること」である。まず聞くが、聞くだけでは話が散らかる。そこで次に、どこへ、いつまでに行きたいのかという自分の伝えたいことを伝える。伝える順番が先ではなく、ヒアリングが先に来るのがポイントだ。そして最後に、伝えた内容を相手がどう受け止めたかを表情から感じ取るところまでがリーダーシップだという。やる気が出ている顔なら良いが、納得していない様子なら、どこが引っかかっているのかを尋ねに行く。

M&Aでも「全部聞いてから伝える」

この考え方は、M&Aの現場でもそのまま生きていると小林氏は話す。売却を検討している社長の話は、まず全部聞く。話を聞くのが好きだからでもあるが、相手が全部話し終えるまでは自分の話は聞いてもらえない、という前提でいないと、伝えるべきことが伝わらないのだという。

小林氏は、創業社長は一人で事業を作り、仲間を集め、会社を大きくしてきた人であり、それだけで尊敬に値すると語る。そういう人の話を聞かずにこちらから伝えるのは敬意を欠くとも考えている。実際、話したい社長は多い。島袋氏は自身の経験も踏まえ、売却時の社長は不安なので、小さなことやどうでもいいことも聞いてほしいし、「こう感じるけどどう思う?」と相談したいものだと話す。そこでロジックを突きつけられると腹が立つ、まず一旦聞いてほしい、と。島袋氏はこのやり取りを受けて、小林氏がM&Aを次々と成約させている理由が分かったと述べた。

就職氷河期の面接で伝えたこと

話題は、以前の収録で出たという小林氏の就職活動の話に移る。二人は同い年で、就職活動は25年ほど前、いわゆる就職氷河期にあたる。何も分からない大学生が言えるのは「真面目です」「頑張ります」くらいだが、小林氏は受けたすべての会社で「人に元気と勇気を与えられる人になりたい」と伝えたという。その結果、5社ほどから内定を得た。

小林氏は当時を、新卒をあまり採用せず、業績を上げるのも難しく、デフレに入っていく暗い時代だったと振り返る。だからこそ勢いを伝えたかったという。島袋氏はこれを受けて、同じ40代、あるいはそれ以上の世代の視聴者にも元気と勇気を与えたい、とまとめた。

動画出演後の反響とサロン会員への向き合い方

小林氏によれば、以前の動画出演後、M&A BANKサロンの会員から「動画見ましたよ」「マーティー」と声をかけられることが増えた。「小林さんって自分のことを話さないですよね」とも言われたという。聞き役に徹しすぎていたということだ。

島袋氏は、最近サロンへの問い合わせや入会が大きく増えていると明かす。入会特典の一つである無料相談会も予約が埋まり、枠を増やしている状況だという。小林氏はこれを良いことだとしたうえで、新しく入る会員もありがたいが、既存の会員ともっと向き合い、どういう状況でどういう人なのかを知るべきだと考えるようになったと話す。分かっていないのは失礼だからだ。事務局長の西村氏に任せきりにせず、自分たちも関わっていくという。

肩書きへのこだわりはない

島袋氏は、小林氏が自分の会社のオーナー社長でありながら、Wellness X Asiaの役員やM&A部門の責任者も務めていることに触れ、役職へのこだわりはないのではないかと尋ねる。小林氏はこだわりはないと答え、前の会社でも同じだったと話す。肩書きによってやるべきことは変わらず、今組織の中で何をやらなければならないか、何をやりたいかをすり合わせ、優先順位をつけて進めるだけだという。

一方の島袋氏は、会社員として出世した経験がないため、部長や課長という肩書きには少し興味があると冗談めかして話した。新卒で働いたのは3か月だけで、上司の言うことが本当なのかずっと疑問に思っていたという。小林氏は、疑問を持つこと自体は悪くないが、車でサボっていたのは良くないと笑って返している。

CLUB PILATES加盟店の現状

最後に、小林氏が運営するCLUB PILATESの話になった。店舗は神楽坂から始まり、有明、豊洲などを含む5店舗で、調子は良いという。

ピラティススタジオの競合が増えて大変ではないかという島袋氏の問いに、小林氏は、競合が増えて大変なのは実際その通りだが、ブランドが強いので安心できる部分もあると答える。加盟した2021年当時は、ピラティス自体の認知がまだ低く、ピラティスとは何かを伝えるところから始まっていた。インストラクターも少なく、確保に悩んでいた。それから5年ほど経ち、ピラティスの認知は広がり、CLUB PILATESのティーチャートレーニングを通じてインストラクターも増えている。環境が良くなってきたことを実感しているという。

また、本部がターゲット層を明確に定めているため、その方針に従ってアプローチすれば会員は集まり、定着するはずだと信じて取り組んでおり、実際に結果も出ていると小林氏は話す。島袋氏は、今回有明と豊洲の店舗を見て、他のピラティススタジオとは違う高級感があり、構えがしっかりしていて、スタッフがきれいに保っている点が良かったと感想を述べた。

締めくくりに島袋氏は、M&Aアドバイザーとしては「傾聴力」が大事であること、そして小林氏が40〜50代に向けて元気と勇気を与えたいと考えていることを改めて確認して、散歩を終えた。