物が多い夫婦の家を「寄せる片付け」でどう変えたか:キッチンが2つある家・後編

YouTubeで開く ↗
概要

「週末ビフォーアフター」で、片付けのプロの古堅純子さんが一軒家に住む夫婦の家を片付ける回の完結編である。前回は、趣味が多すぎてどの部屋も物だらけになり、しかもキッチンが2つある家として紹介された。今回の作業で古堅さんは、物を一つひとつ細かく仕分けることはしなかった。物を特定の場所へ寄せて景色を先に変え、夫婦それぞれの居場所と作業場所を作る方針を取った。物の整理そのものは、完成時点でもほぼ手つかずの場所が残っている。

8分で読めます

誰の物を、どの部屋に置くか

作業はまず、物を誰のものか判別して部屋ごとに振り分けるところから始まった。最初に置き場所が問題になったのは、妻がパンをこねるための台である。古堅さんは「ここは開けたい」と言い、台をどちらに動かすかを夫婦と相談した。

夫の部屋について古堅さんは、物が多いから狭く感じるだけで、ベッドだけにすれば広い部屋だと指摘した。そのうえで夫に、自分の部屋に置いてほしい物はないかと尋ね、夫の本はこの部屋に集める方針を決めた。妻の物は妻の部屋へ移す。梅干しを干す道具も出てきたが、夫婦によると梅干しはベランダで干しているという。棚の中からは息子の辞書や阪神タイガースのグッズも見つかった。タイガース好きなのは妻と息子だそうだ。

紙類について古堅さんは、別の回で紹介した家とよく似ていると話した。突然介護が始まり、教室を開いていた人の家である。紙は見始めると引き込まれて作業が止まるので、ひとまとめにしておくよう勧めた。

足りないのは「目的」

作業の途中で古堅さんは、この家の根本的な問題にも触れている。夫婦は物を捨てることはできても、物の配置は変わらない。こういう形にしようという考えがないから、部屋もそうならない、というのが古堅さんの見立てである。

やりたいことはたくさん口にする一方で、どう暮らしたいかは見えてこない。そう問われた夫婦の答えは「おしゃれに暮らしたい」だった。古堅さんは、この家に足りないのは目的ではないかと話している。

畳の入れ替えと「第2会場」

作業中には、夫婦が用意していた新しい畳への入れ替えも行った。古い畳は処分した。途中で畳の裏表を間違え、敷き直す場面もあった。大量の物を移すため、作業用の置き場を別に確保して「第2会場」と呼び、夫も手伝って重い物を運び出した。突っ張り式の長い棚も設置した。

途中、2階から出てきたフライパンについて、夫婦はそこにあることを知らず、買ったことも忘れていた。物の多さを示す場面の一つである。

リビング:作業台がなくなった

作業後、最初に披露されたのはリビングである。一時はすべての物をここに寄せたため、長い時間ひどい状態だった。仕上がりは物がほとんどない空間になった。妻が最初から嫌いだと言っていた作業台も撤去された。古堅さんは「ここでパンをこねることはもう2度とできませんが」と言いつつ、これはこれでいいはずだと話し、妻も「良かった」と応じた。

第1キッチンは夫の「梅屋敷」に

この家には2つのキッチンがあり、片方は夫の梅干し作りの道具で埋まっていた。古堅さんは夫を「梅太郎」と呼んでいる。全部をリビングに寄せた段階で梅関係の物があまりに多く、あちこちで山になっていた。妻のパン作りやお菓子作りの道具もごちゃごちゃに混ざっていたという。

午前中、古堅さんは一度このキッチンに妻のパンこね台を入れてみた。しかし何か違うと感じ、梅だらけの場所にしたほうが互いに使いやすいと判断した。そこで他の場所にあった梅関係の物をすべてこちらに移し、第1キッチンを夫の作業場「梅屋敷」にした。以前は通れなかった通路が通れるようになり、作業ができるスペースも確保できた。夫は、作業できる場所ができて良かったと話している。

妻が捨てるよう言い続けていた卵の殻も、一つも捨てずに残した。収納はすべて開けて使えるようになったが、中身は1ミリも整理していないと古堅さんは明かしている。今回はまず景色を変えて夫婦を元気づけたかったからだという。昼には梅屋敷の冷蔵庫から出てきたチーズケーキを皆で食べた。

第2キッチンは妻のワークスペースに

もう一方のキッチンは、時間の都合でキッチン内部までは手を付けられなかった。古堅さんは検討の結果、妻のスペースも必要だと考え、キッチン脇のスペースを妻の作業場所にした。

この場所はもともと「図書館」だった。夫婦は本のために床を強化したと話しており、ここは絶対に図書館だという言い方をしていた。妻の好きな料理本は、このキッチンの備え付け収納にちょうど収まった。夫が読む漫画などは2階へ上げた。図書館でなくなったことで、梅屋敷にあったコーヒーの道具もこちらへ移せた。コーヒーを飲むたびに向こうまで行くのが面倒だったという問題も、これで解消した。妻がパンをこねたくても使いたくなかった場所の代わりに、明るいキッチンの一角でこねられるようになった。

妻は暑くないのでこちらがいいと喜び、ここは全く考えていなかったと驚いていた。飲み物のストックもこちらに移した。水は古堅さんが驚くほど何箱もあったが、見える場所にあり冷蔵庫も近いので、消費していけばスペースも空くだろうと古堅さんは話している。

1階和室:物を寄せた「地獄」

古堅さんは、1階をここまで片付けるには犠牲になる部屋が必要だったと前置きし、1階の和室を「地獄」として見せた。本来夫婦は、孫が来たときにここで寝かせたいと考えていた。夫のスペースもほしいという希望もあった。しかし物が多すぎて、どちらも実現できなかった。ここには各所の物を寄せ、仕組みだけ作った状態である。パンのストック用品やクーラーボックスが複数並び、この部屋だけ見るとキッチンのようだと古堅さんは言う。ダイニングテーブルにあった物も、まとめてどっさり移されている。

古堅さんは、実際の物の整理はしていないと明言した。細かく仕分けていたらリビングなどの景色は生まれなかったので、ここから先は妻にしっかり見てほしいという。妻も、今日かなり捨てたつもりだがまだ多い、特に紙が多いので整理すると答えた。

夫の寝る場所は作れなかった。そのかわり古堅さんはこの部屋に妻のワークスペースを作り、「TK方式」と呼んだ。使ったのは、夫婦が捨てるつもりだったテーブルである。今ある物はとりあえず全部使うという古堅さんの考えによるもので、きれいな背景の前で仕事ができるという。孫とオンラインで話すときに後ろに映ってもいい、という説明もあった。

布団はすべて上の階へ上げたため、この部屋は物を整理しないと布団が入らない。夫婦はそれがモチベーションになると話していたという。妻が「何から捨てよう」と笑ったのに対し、古堅さんは無理に泊まれる部屋にする必要はないと答えた。泊まるのは上の部屋でよく、ここは妻の支度場所にする手もあるという。物が多いとダイニング周りに「ちょい置き」しがちになる。メイク道具も仕事道具もあるこの部屋で支度して出かけるようにすれば、リビングとダイニングは散らからない。まずはそういう暮らしをして、心に余裕ができたら少しずつ整理すればいいと話し、大好きなお菓子を作ってくださいと声をかけた。

夫の部屋:隠れていた家具と収納

夫の部屋は、扉がきれいなことにも気づかないほど散らかっていたが、物がほとんどない広い部屋になった。古堅さんは、以前来たときには素敵なベッドがあることにも気づかなかったと話す。隣にも床にも寝られるので、何人も泊められそうだという。

部屋に置いた家具は、本来は下の梅部屋用のセットだった。お皿も入らないほど物が入らず、処分されるところだったという。古堅さんは、この部屋にはぴったりで可愛らしいからいいと評価した。中に物を入れられるベンチもあり、そこで梅干しを干しながら日向ぼっこできると冗談を交えた。下にあった布団はこの部屋の収納に上げた。上げなければ下の物を隠せなかったからだ。夫の服は、今回初めて存在に気づいたという備え付けのハンガーラックにかけた。以前は大きなハンガーラックが別に置かれていて、そちらに目が行っていたのだろうと古堅さんは言う。引き出し類は洗面所へ下ろして夫の衣類を入れた。

妻の部屋:ミシンまでの道ができた

最後の30分で手を付けたのが妻の部屋である。ミシンまでの障害物がなくなり、今日から使える状態になった。ミシンは2台あり、妻によると1台は直線縫いしかできないという。一方で、上の段にあるビニール袋類は早急に整理する必要があると古堅さんは指摘した。下は物が使える状態になっているので、上を整理して稼働させるべきだという。

夫婦の感想と、古堅さんが見た結果

妻は以前、別の人に片付けを頼んだことがあるという。その人は2時間考えたうえで、一つも片付けずに帰ったそうだ。妻は押し入れの中は何度も自分で片付けていたが、中がきれいになっても物が外に出てきてしまい、部屋はきれいにならなかった。物をどこにどう置くかという発想がまったくなかったので、そこを変えてもらえて良かったと話した。物の整理自体はできていないが満足している、とも答えている。夫は、散らかってどこをどうしていいか全然わからなくなっていたので良かったと振り返った。

古堅さんは、2人は同じ方向を見ているようで見ていないようにも感じたと話した。どういう結果にするのが一番いいか、自分もよくわからなかったという。それでも夫の部屋や妻のワークスペースといった場所が増えたことで、希望が見えたのではないかと語った。最後は、妻のチーズケーキと夫の梅干しをもっと多くの人に届けてほしいと夫婦を励まし、「大成功」で締めくくった。1階の和室に物を寄せることで家全体を変えた一方、寄せた物の整理は夫婦に委ねられた形で今回の回は終わっている。