NVIDIAとAMDの「売上15%上納」を中島聡はどう見るか――憲法上の疑義、中国との約束、そして日本の役割

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概要

米国政府がNVIDIAとAMDに対し、中国向けAIチップ販売収益の15%を政府に支払わせることで合意したと報じられた。中島聡氏はこの取引を「クリエイティブで、トランプさんらしい」と評価する。一方で、二つの問題を抱えているとも指摘する。動画はAIの聞き手が質問し、中島氏が答える形式で進む。話題は合意の背景から法的・外交的な問題点、前例化への懸念に移り、最後は中国に依存しない産業基盤づくりと日本の役割に及んだ。

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発端は関税交渉とレアメタル

中島氏はまず、合意に至った経緯を整理する。トランプ氏は各国に高い関税をかけると脅し、それを交渉材料にして相手から良い条件を引き出し、落としどころを見つける。中島氏はこれをトランプ氏の交渉術だと説明する。日本は大規模な投資と15%の関税で手を打った。

中島氏によれば、中国との交渉で最大の争点になったのはGPUの輸出規制だった。NVIDIAのH20は、上位製品からメモリー転送速度などを落とした中国向けの製品だが、これも輸出禁止になっていた。中国はその解禁を求めていた。

関税の話がGPUにまで広がった理由について、中島氏は中国の報復措置を挙げる。中国はトランプ関税への報復としてレアメタルの輸出を止めた。米国はレアメタルの大半を中国に頼っているため、輸出が止まると多くの製品が作れなくなる。その結果、米国が折れざるを得なくなり、関税にとどまらずGPU輸出の解禁で中国と手を打つことになった、というのが中島氏の見立てだ。上位品ではなくH20の解禁で済んだ点は「良かった」と中島氏は述べている。

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国内企業に「輸出させてやる代わりに15%」

中国とこうした交渉を進める一方で、トランプ氏は国内に戻り、NVIDIAとAMDに「特別に中国への輸出を認める代わりに、売上の15%を政府に払え」と持ちかけた。中島氏は、大統領にそう言われれば両社は断れないとみる。こうして15%のレベニューシェアを政府に支払うことで決着した。中島氏はこれを、関税の逆のような、よく分からない税制に見えると表現している。

問題点1:輸出税は憲法で禁止されている

中島氏が挙げる第一の問題は、米国憲法が輸出税を禁止していることだ。米国企業が海外に輸出する製品に一律10%や15%を課すことはできないため、その観点からは憲法違反になりかねない。

政権側はおそらく、「輸出税は政府が一方的に徴収するものであり、今回は政府とNVIDIA・AMDが契約を結んだだけのレベニューシェアだ」と主張するだろう、と中島氏は推測する。ただし法律家が突き詰めれば違法、あるいは違憲ではないかという議論になる可能性はあり、違憲の疑いは濃いと述べる。

では実際に法的な争いになるのか。聞き手がそう掘り下げると、中島氏は否定的な見通しを示した。この件で直接困る人が米国内にいるわけではないので、政府を訴える人が出てくるとは考えにくい。そのため政権はうまく言い逃れるのではないか、というのが中島氏の見方だ。

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問題点2:中国との約束に後から条件を足している

第二の問題は中国との関係である。中国から見れば、合意の中身は「レアメタルの輸出を再開する代わりにGPUを輸出しろ」というもので、米国はそれを受け入れた。そこに米国が勝手にレベニューシェアを上乗せするのは、中国にとって不満な話だと中島氏は言う。

当然中国は文句を言ってくるだろう。政権の言い分は「少し高くはなるが輸出はされるのだから、いいではないか」というものになるだろう、と中島氏はみる。中国がこれをけしからんと捉えるか、仕方ないと受け入れるかは分からないとしたうえで、トランプ氏なのでなんとなく通ってしまうのではないか、とも語った。

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前例にはしてほしくない

聞き手は、これが前例となり、他の企業や他国との交渉でも同様の要求が増えるのではないかと尋ねた。中島氏は、非常に特殊な状況なので前例になってほしくないし、真似するべきではないと答える。

その上で日本の例を挙げた。日本は半導体製造装置を輸出しており、米国から中国への輸出をやめるよう求められている。これに対して日本政府が「米国はそう言いながらGPUを輸出するのだろう」と反論し、輸出税を付けて中国に輸出することは、できないことではない。しかし中島氏は、日本はやらないだろうとみる。そうしても揉めるだけだからだ。今回は例外中の例外で、このケースだけで済むことを中島氏は期待している。そもそも関税が増えること自体が国際情勢にとって良くないうえに、輸出税のようなものまで横行すれば本当に訳が分からなくなる。だからやめてほしい、と述べた。

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輸出規制は相手の技術を育ててしまう

最後に聞き手は、健全なルールづくりや今後の展望を尋ねた。中島氏はまず、GPUのような製品に輸出規制をかけて何も渡さないようにすると、かえって中国国内で対抗技術が育ってしまうため、あまり良くないと考えていると述べた。それよりも国内産業をしっかり育ててほしい、というのが中島氏の考えだ。

GPUの件はこれで決着するにしても、中島氏が懸念するのはロボットとドローンの分野だ。この分野では中国が現在圧倒的に強い。米国だけでなく日本も、部品レベルから競争力のある産業を育てなければ弱みを握られることになる、と中島氏は警告する。戦争はあまり考えたくないとしながらも、国際関係が緊張した場面では、AI・ロボット・ドローンが今後の軍事力にとって極めて重要になると指摘する。AIでは米国がかなり有利な位置を握っているとしても、ドローンとロボットを中国に押さえられている状況は非常にまずい。だから国内もしくは西側に、しっかりした産業基盤とサプライチェーンを作ることが大事だと中島氏は語る。

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日本にとっての「いいチャンス」

この文脈で、中島氏は日本にとって今が「最後のチャンス」あるいは「いいチャンス」ではないかと述べる。日本にはまだ多くの技術者が残っている。電気自動車の時代になれば、自動車部品メーカーやそこで働く技術者の仕事はなくなっていく。そのスキルを持つ人や会社を、ロボットやドローンの部品に振り向けることができる。

米国にとって、中国のような懸念のない同盟国である日本が重要なサプライチェーンを担うのは、戦略的に非常に良い話だと中島氏は考えている。最終製品としてのロボットやドローンも当然日本自身が作る必要があるとしつつ、まずはレアメタルも含め、現在は中国に頼らなければ手に入らないものを供給するサプライチェーンのパートナーになること。国内産業を育てながら東西のバランスで重要な役割を果たすことは、日本の立ち位置として悪くない。これが中島氏の結論である。