物を捨てずに「入れ過ぎキッチン」を立て直す 3LDK狭小住宅・5人家族のキッチン編

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概要

片付けのプロ・古堅純子さんが、3LDKの狭小住宅に住む5人家族のキッチンを片付けた回である。この家のリビング・ダイニングは以前に片付けてあり、その状態は保たれていた。一方でキッチンは物があふれ、使いにくくなっていた。古堅さんは今回も「捨てる」ことから始めない。いま使う物と使っていない物を分け、使っていない物を1階の部屋に移す。そのうえで、調理の動線に沿って配置を組み直していく。

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全部出して分かった「一般的な量より多めに持つ家」

作業はキッチンの物をすべて出すところから始まる。並んだ物の量を前に、古堅さんは奥さんに「どうしてくれんのよ、この物の量」と言い、「地獄パート2」と呼んだ。前回のリビングもひどかったが、キッチンはその倍の量があるという。物は2か所に分けて置いていたが、それでも「相当ある」。おもちゃを出しているぶん細かい物が多く見えるが、アイテム数で比べればキッチンの方がずっと多い。古堅さんはこの家を、一般的な量より多めに持つ家だと判断した。

特に目立ったのが食器である。片側に並べた物はすべて食器で、古堅さんは「こんなに食器を持ってるお母さん、見たことない」と言う。食卓の上に出した物の大半はコップだった。何か飲みたい気持ちは分かるが、ここまで入れ物は要らないだろうという指摘である。

古堅さんの見立てでは、この家の問題は「入れ過ぎ」にあった。詰め込みすぎて物が入らず、出し入れのたびに筋トレのような力が要る。いまはまだよくても、子どもが大きくなって食べ盛りになれば、料理のたびに皿を入れ替えるのは難しくなる。古堅さんがそう問いかけると、奥さんも「現実的ではないです」と認めた。そこで今後のテーマを、いま使う物とそうでない物を分け、掃除しやすく料理しやすいキッチンにすることと定めた。

作業の途中で生後5か月の赤ちゃんも顔を出した。古堅さんは、奥さんに抱かれた赤ちゃんがしがみついてくる様子を、この家をきれいにしてほしいと力強く頼まれているようだと冗談めかして語り、全員で掛け声をかけて作業に入った。

「捨てたい」より「捨てたくなる」状態をつくる

作業の合間には、捨てることについての話も出た。雑誌『レタスクラブ』の読者にも「捨てたい」人は多いという。ただ、捨てたいと言いながら実際には捨てない人が多い、と古堅さんは話す。捨てにくいが、捨てないと片付かないことは分かっている。だからどうやって捨てればいいかと悩む。この問いに対して古堅さんは、「捨てたくならなきゃダメ」だと答えた。

この家の場合、捨てたくなるきっかけは将来の計画にある。1階の部屋を将来は子ども部屋にしたいという目標があるので、決断しやすい。いったん物を1階に「寄せて」おけば、捨てずに取っておいたうえで、後からその中から見直せばいい。同席した人は、これを大きな利点だと評価していた。

物は減らなくても、スペースができた効果は多いと古堅さんは言う。すぐに料理ができるようになるといった変化は、作業したその日に起きる。一方で捨てる作業には、どうしても時間がかかる。料理が苦手な人は一定数いるので、そうした人にも料理しやすいキッチンになってほしいという。ただし、1階を子ども部屋にするのか別の用途にするのかで判断は変わる。それは古堅さんが決めることではなく、家族に考えてもらう部分だとした。

前回から始まっていた奥さんの変化

前回の作業のあと、奥さんは自分で物をかなり減らしていたという。古堅さんは、その場で捨てさせることはしなくても、結果として本人が気づき、部屋を整えようと前向きになったことをよかった点に挙げた。

1階にはすでに前回寄せた物のケースがあり、今回の物もそこに入ることになる。すると奥さんの方から、寄せたところでまた後で見直すなら、いまここで要らない物を出したいと言い出した。古堅さんはこれを進歩と受け止めている。

食器を3段階に分け、高さを下げる

食器は、絶対に使う食器、たまに使いたい食器、ここになくてもいいが捨てられない食器の3段階に分けるよう提案された。

収納の高さにも問題があった。この家は上の方まで使っているのに、上は物がただ置いてあるだけで、使い物は下へ下へと集まっていた。古堅さんは、置く高さを下げるべきだと話す。少し下げるだけで、お父さんの手が届くようになるという。敷地が狭いのに使える場所を自ら減らしているのはもったいない、というのが古堅さんの考えだ。

手をつける順番は、いちばん量の多いものから。この家ではそれが食器だった。食器はコンパクトにしにくいので、まず「これは絶対に使う」という鉄板の量を把握する。そのうえで、それにどれだけの場所を割り当てるかを決める。奥さんに食器を分けてもらい、その結果に沿って戻していった。

希望された「バッファゾーン」

奥さんからは、引き出しを空にしておく「バッファゾーン」のような場所がほしいという希望が出ていた。古堅さんは「この量でバッファゾーンを作ったら何も入らない」と笑った。それでも、たとえば買ってきた食材や翌朝のパンを入れる場所がある程度あると、物の逃がし先になるとして、その意義は認めている。

ホットプレートについては、古堅さんは赤ちゃんのいる家ではあまり使わないだろうと考えていた。しかし奥さんによると、寒い時期にはかなり出番があるという。この答えが、後の配置に反映される。

作業中、古堅さんは「ここの家は食器だよ」と改めて言い、奥さんを「食器大好きな奥さん」と呼んだ。ゴールデンゾーン以外にある物が多すぎること、鍋が多いことにも触れている。仕上がりの段階でも、バッファゾーンは作れないと繰り返していた。

火のライン:出しっぱなしだった調理器具を引き出しへ

作業後、古堅さんがキッチンの変化を説明した。最初に来たとき、コンロ周りには物が多く、べたべたしていたという。鍋が3つ並び、カトラリーが大量に差さっていた。この一角だけ物々しく、汚れていた。古堅さんは、コンロ周りがツルツルになった状態を見せて「こうなっていると、油が跳ねたら拭きたくならない?」と奥さんに尋ねた。奥さんは、遮る物も上から垂れている物もないので拭きたくなると答えた。

配置は「水のライン」「火のライン」「作業ライン」に合わせて組み直した。火のラインの下の引き出しには、これまでぶら下がっていたフライパンがすべて収まり、1つずつ取り出せるようになった。調理に使う調味料もこのあたりに置き、連動して料理しやすくしている。コンロ周りに差していたカトラリーも引き出しへ移した。仕切りは簡易的だが、ここから出してすぐ調理に使える。鍋は外に出ていると料理がさっとできないので、この下にまとめた。

これまでその引き出しに入っていたのは、年に数回しか使わないお弁当用品やストローなどだった。火のラインには火まわりで使う物を集めた方が料理しやすい、と古堅さんは説明する。この家は冷蔵庫が火のライン側にあるため、調理器具が外に出やすい。だから使ったら元に戻す習慣を守れば、さっと拭いて片付けられる状態を保てるとして、キープを求めた。

作業ラインとコーヒーライン

コンロ周りが片付いたことで、作業スペースも広がった。古堅さんによると、パンをこねられるほどの広さになった。以前ここにあったカップの吊り具と、大きな白い箱も消えている。

コーヒーまわりの道具は、お湯を沸かす家電の近くに「コーヒーライン」としてまとめた。バッファゾーンを作るために家電を上に上げたものの、物が多すぎて結局そこも物でいっぱいになったと古堅さんは認めている。それでも、ミルク、コーヒーグッズ、お菓子などいま使う物がここに集まった。外に出ていた頃より戻しやすく、使ったら扉の中に隠せばきれいなままだという。

この収納では、いま使う物は手前、そうでない物は奥、あまり使わない物は上と分けて入れた。全体の高さも下げたので、出し入れしやすくなった。日々のコーヒーは1列が使えればまかなえるのでは、という古堅さんの問いに、奥さんは「なります」と答えた。散らばった物があるとつい「ちょい置き」してしまうので、コップもラインとしてまとめている。

好きな食器こそ見える場所に

奥さんの好きな食器は、これまでキッチンのあちこちに散らばっていた。古堅さんは「大好きなものこそ見えてる状態じゃないと、ないのと一緒」と話し、よく使う食器を見える棚に並べた。見えていればワンアクションで取れる。古堅さんは、この吊り棚の稼働率はこれまで3%程度だったが、いまは50%ぐらいになっていると見る。お父さんなら簡単に手が届く位置だという。

ゴールデンゾーンの最上部にも食器を入れたが、入れ方は奥さんのやり方とは変えた。コンロ脇のカトラリーを調理用に切り替えた代わりに、食卓に近い側へ箸、スプーンなどの食事用カトラリーを移した。普段使う物はこの数か所だけで戻せるので、あちこち開けなくて済む。子どもでも準備ができそうだという話になり、長男も「これなら僕も支度ができる」と応じた。

それでも、奥さんがかなり減らしたつもりの食器は、別の場所にもまだあった。古堅さんは「全然減ってなかったわよ」と言いつつ、数えて「もう十分じゃない?」と確認している。

水のライン:食器と乾物・食材

水のラインには乾物類と食材を集めた。食材はないと言っていたわりに、集めてみると意外にあったという。水のライン側の後ろには食器を並べた。洗った後に戻しやすいのが水のラインだからだ。奥さんの好きな食器も、引っ張るだけで出せる。古堅さんは「こんなにあるから買ってこないで」と念を押した。

水のラインの下には水まわりで使う物を入れた。量はまだ多いと古堅さんは認めている。一角には離乳食関係の物をまとめた。

ホットプレートの「昇格」と米のライン

奥さんにとって最大の変化は、水のライン下の一角だった。以前は食器が入っていた場所に、冷蔵庫の上に置かれていたホットプレートが下りてきた。古堅さんは当初、小さな子どもがいるうちはホットプレートは使わないので上でいいと考えていた。しかしこの家ではよく使うと聞いて、使いやすい高さに「昇格」させたという。冷蔵庫の上にあった頃は埃まみれだった。奥さんは、出し入れしやすくなったことをとても喜んでいた。

米も移した。これまでは火のラインに米が置かれ、そのせいで火のラインの引き出しが使えなくなっていた。一方、ホットプレートの場所に米を置くと鍋が入らなくなる。そこで米、炊飯器、茶碗を1か所にそろえて「米のライン」とした。1歩も歩かずに米を研いで戻し、ご飯を炊けるようになったと古堅さんは説明する。

家事の時間を減らし、家族で手伝える台所に

古堅さんは、この片付けの目的を奥さんに向けて語った。家事をしやすくし、家族みんなが協力し合える状態にして、奥さんが仕事に行けるよう応援したいという。一つの作業に時間がかかりすぎると、本当に大事な時間を失いかねない。余計な時間を増やさずに片付け、子どもや夫婦の時間をつくってほしい。このキッチンで一緒に作業したり手伝ってもらったりすればいい、という話である。

古堅さんは「1人で何でもやりすぎよ」と奥さんに言った。長男には、手の届く場所に食器や箸が来たのだから、一緒に手伝ってママを助けてあげてと声をかけ、長男は「わかった」と答えた。

同席者からは、1階に物を下ろしてもクオリティは最初の頃と変わらず保たれているようだという評価があった。一方で、1階が子ども部屋になるまでには、まだ道のりが遠いとも付け加えられた。

後日の奥さんの感想

後日、奥さんから感想が寄せられた。作業ラインからカウンター越しに食卓へ配膳しやすくなり、長男とお盆の受け渡しもできるようになった。カトラリーやコップは子どもでも出し入れでき、食事の手伝いが長男の習慣になった。景色が変わったことで、物を置く方が違和感になり、きちんと戻せているという。

物をどかさずに済むので、調理の終わりなど汚れが気になったときにすぐ拭ける。動線がスムーズになり、夫と一緒に料理することもかなった。使用頻度で分けて収納したので定位置ができ、使いやすい。今後は1階の寄せ部屋だけを何とかすればよいので、片付けのハードルが下がって気が楽になったという。多すぎた食器も、子どもの成長に合わせて稼働率を見直し、少しずつ減らせそうだと書いている。

古堅さんは回の最後に、稼働していない物を1階に下ろすことで使いやすいキッチンに変えられたとまとめた。物を捨てなくても、ゴールデンゾーンを見直すだけでキッチンは使いやすくなる、というのが古堅さんの結論である。ただし、1階の部屋をどう使うのか、そこに寄せた物をどこまで減らすのかは、家族の判断に委ねられたまま残っている。