『ナウシカ』から『もののけ姫』まで、宮崎駿作品はどう変わったか:岡田斗司夫が振り返るジブリの興行と作家性
岡田斗司夫金曜ロードショーの「3週連続ジブリ祭り」で『風の谷のナウシカ』が放送される夜に合わせ、岡田斗司夫は2016年8月28日配信の第141回を再編集して公開した。岡田は普段、1本の作品を2〜3時間かけて解説している。今回は『On Your Mark』を除き、『ナウシカ』から『崖の上のポニョ』までの宮崎駿の長編を一気にたどり、宮崎作品の歴史の流れを見渡せるようにするという。無料公開部分は『もののけ姫』までである。岡田は各作品の見どころに加えて、どの問題が解決されずに次の作品へ持ち越されたかという「限界」にも触れていく。
ジブリ総選挙の中間結果という入り口
話のきっかけは、当時行われていた「ジブリ総選挙」である。これは新作『レッドタートル ある島の物語』の宣伝を兼ねた企画で、『風の谷のナウシカ』から『思い出のマーニー』までのジブリ長編21作品を対象に、ファン投票でベスト5を決めるものだった。1位の作品は札幌、東京、名古屋、大阪、博多(岡田は「かな」と留保している)の5カ所の劇場で再上映される予定だった。
中間発表で上位5作品に入ったのは、『ナウシカ』『ラピュタ』『魔女の宅急便』『もののけ姫』『千と千尋の神隠し』である。岡田にとってこれは意外な結果だった。『ハウルの動く城』が入っていないうえ、『紅の豚』もランク入りすると思っていたのに入っていない。コメント欄に挙がった『耳をすませば』については「かすりもしないんじゃないのか」と答えている。岡田はこの上位5作品を中心に据え、なぜ入らない作品があるのかも含めて宮崎作品を総覧するという方針を示した。
なお『ルパン三世 カリオストロの城』はジブリ作品ではない。一方『ナウシカ』はトップクラフトが事実上解散する形で作られ、そのスタジオがジブリになったため、ジブリ作品として扱われていると岡田は説明する。『火垂るの墓』ももちろんジブリ作品である。
「初期綺麗ごと4部作」という分類
岡田は『ナウシカ』『ラピュタ』『トトロ』『魔女の宅急便』の4本を「初期綺麗ごと4部作」と呼ぶ。コメントで「言い方があるだろう」と突っ込まれると、散々考えたうえでの呼び名だと返している。主人公が正しく、楽しく、きちんと「漫画映画」になっている4作品という意味である。
この4作品は作家性よりも職人性が前に出ていると岡田は言う。宮崎が自分の内面をさらけ出すのではなく、腕で作った作品群だということだ。ここでいう「内面」の例として、岡田は『シン・ゴジラ』に庵野秀明の内面が表れていることを挙げる。同じ意味で、岡田は細田守のアニメにあまりピンとこない。細田作品には内面性が見えず、「ぶっちゃけた話をしてくれないアニメ」だと感じるからである。細田は作家性より職人性の強い人なのかもしれないと推測しつつ、『時をかける少女』から『バケモノの子』までの細田作品は自分の琴線に触れないと語っている。
『風の谷のナウシカ』:地味な絵作りと91万人
1984年の『ナウシカ』について、宮崎は当時「もう二度とこんなアニメは作らせてもらえないだろう」と考えていたと岡田は言う。宮崎には興行的に失敗する、あまり売れないというイメージがついていた。だから最初で最後のオリジナル長編のつもりで、ハイファンタジーに挑んだというのが岡田の説明である。
岡田によれば、ファンタジー業界ではハイファンタジーとローファンタジーを区別する。ローファンタジーは『ハリー・ポッター』のように、現実のロンドンから魔法の世界へ行く形で現実とのつながりがある作品を指す。ハイファンタジーは完全に架空の世界を描く作品を指す。ハイ・ローは高級かどうかではない。現実と地続きで感情移入しやすいか、架空世界を一から描くぶん処理が高度になるか、という程度の差だという。『ナウシカ』は「産業文明崩壊から1000年後」とはいうものの、現実世界はまったく出てこないのでハイファンタジーにあたる。
岡田は今回見直してみて、面白いことは面白いが「絵作りが地味」だと感じたという。同じ1984年には『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』と劇場版『超時空要塞マクロス』が公開されていた。どちらも絵面が派手な作品で、その中に内容は濃いが地味な『ナウシカ』が登場した。観客動員は91万人で、これはジブリ作品としてかなり低い数字である。『ナウシカ』は大ヒット作という印象が強いが、それは翌年のテレビ放送で人気が上がったからであり、劇場公開時はヒットとは呼べなかったと岡田は指摘する。
内容面では、宮崎が漫画を連載している途中で劇場化が決まった事情があった。そのため結末は、『さらば宇宙戦艦ヤマト』の特攻と同じような形になったと岡田は見る。ナウシカが王蟲の前で手を広げて止めに入り、死んで生き返る展開のことである。宮崎は後々まで、あそこで妥協して宗教的になってしまったことを後悔しているという。岡田はジブリ第1作としての出来は高く評価し、アイデアも豊富だとしたうえで、やはり地味だと繰り返した。
説明用に岡田はジブリ美術館のショップで買った4000円ほどの金属製の王蟲フィギュアを持参していた。口の触手や全身が動き、触るとイボが痛いほど尖っているところが「子供向けでなくていい」と気に入っている。
『天空の城ラピュタ』:最も当たらなかった王道作品
1986年の『ラピュタ』はベスト5に入る人気作だが、動員は77万人でジブリ作品の中で最もヒットしなかった。毎年テレビで放送されている印象からすると意外だと岡田は言う。内容は起承転結がきれいに並び、主人公の動機がはっきりしている。ヒーローは正義に燃えて力強く、ヒロインはけなげに頑張るという王道の作りである。その代わり、宮崎作品の中で最も説教臭い作品でもあると岡田は評している。
岡田が最大の見どころとして挙げるのは構図で、宮崎を「構図の鬼」と呼んでいる。例に出したのは、スラッグ渓谷の軽便鉄道でシータとパズーが逃げる場面である。岡田はボードに図を描きながら説明した。列車は画面の奥へ向かって走っている。機関車はやや右を向いたパースで描かれ、後ろのオープン式客車はほぼ正面より少しだけ角度がついている。シータが「後ろから来るわ」と言い、パズーが振り返る。このとき背景を左側へゆっくり引き、機関車と客車のパースをずらすことで、列車が急な右カーブを切っていることを表現している。背景の引き速度とパースの差だけでカーブを見せる手腕が「めちゃくちゃうまい」と岡田は言う。
岡田は、『ラピュタ』では『ナウシカ』のときより制作体制に余裕があったのだろうと推測する。『ナウシカ』も構図は優れているが、ここまで凝ってはいない。一方、以降の作品では背景にCGが使えるようになったため、構図だけで勝負する必要がなくなった。そのため、アニメの技術論として最も研究しやすいのは『ラピュタ』あたりだと岡田は考えている。岡田自身、『ラピュタ』ならカットごとに何をやっているか、どこが見どころかを説明できるという。
手描きに残る「可愛さ」と、それを失った後期作品
『ラピュタ』の楽しさを説明するために、岡田は特撮映画とCG映画を比べた。マーベル作品のようなCG全開の映画では、監督が思ったとおりの自由な絵が作れる。特撮はミニチュアや合成を使うため、制限された構図の中で工夫しなければならない。その分、どんなに壮大な画面にも手作り感や可愛さが出る。例として岡田が挙げたのは、ジェームズ・キャメロンの『エイリアン2』に出てくる縦横1km規模の巨大プラントと、『ブレードランナー』の巨大ビルである。どちらもミニチュアで作られているので、どれほど壮大でも可愛さが出る。フルCGでは限界を超えて細かく作れてしまうため、可愛さや愛嬌が乗らないという。
『ラピュタ』はすべて人の手で描かなければならないため、難しいことをやっていてもどこかに可愛さが残る。岡田は、『千と千尋』以降の宮崎アニメはこの可愛さを少し失っており、それが魅力の面で弱いところではないかと述べた。
もうひとつの「見どころ」として岡田が半ば冗談めかして挙げたのは、シータの体形の変化である。10歳ほどのシータは冒頭では胸がまったくないのに、物語が進むにつれて大きくなり、ラピュタ到着後に抱き合う場面でははっきり胸があるように描かれているという。気づく人と気づかない人がいるので、DVDを持っている人はシータの胸だけ続けて見てほしい、宮崎はエッジが効いている、と岡田は笑った。『ラピュタ』のフィギュアとしては、ポムじいさんと、ドーラの息子たちの「バカ3人」を買ったそうだ。
『となりのトトロ』と、二度宮崎を振った庵野秀明
1988年の『トトロ』は中間発表のベスト5に入っておらず、岡田は「案外不人気」と見る。理由として、長編としては尺が短いことを挙げた。岡田はほとんどの宮崎作品のDVDを持っているが、『トトロ』は持っていない数少ない作品だという。
この時期のエピソードとして、岡田は庵野秀明の話を詳しく語った。宮崎は『ナウシカ』で庵野を大抜擢し、巨神兵のシーンをまるごと任せて「こいつは使える」と判断した。『ラピュタ』でも見せ場を用意していたが、庵野は大学時代の友人である岡田たちに誘われて『王立宇宙軍 オネアミスの翼』に移ってしまった。悔しがった宮崎は一時期、夜中にガイナックスへ通って引き抜きを試みたという。岡田はこれを業界の掟破りとしながらも、自分たちも他社のスタジオに夜行ってアニメーターを勧誘していたので「フェア」だと付け加えている。庵野は『ラピュタ』に行きたくてたまらなかったが、自分はメカニック作画監督だからとこらえた。ただし前田真宏は引き抜かれ、『ラピュタ』で城の底が抜ける場面を担当したという。
『トトロ』でも宮崎は庵野にオープニングを用意した。本編は全編リアルな描写なので庵野の出番はほとんどない。しかしオープニングにはゲジゲジや蜘蛛などの変な生き物が出てくるので、それはお前にしか描けない、全部やれと誘ったという。ところが高畑勲が旧日本海軍の軍艦を描かせてやると声をかけ、庵野はそちらに行ってしまった。こうして宮崎は庵野に二度続けて振られ、庵野が次に宮崎作品に登場するのは『風立ちぬ』の声優まで待たなければならなかった、と岡田は語る。しかも高畑は庵野に描かせた非常に細かい原画を真夜中の場面にしたため、画面にはほとんど映らなかった。それでも庵野はあまり文句を言わなかったという。
トトロの都市伝説と、幻の「3段ズーム」コンテ
『トトロ』の動員は、『火垂るの墓』との2本立てで80万人だった。岡田はこの数字から、ジブリが動員記録を次々に塗り替えたのは『もののけ姫』以後の話だと指摘する。宮崎が本当に好きに作った初期の作品は、実は案外ヒットしなかったというのである。
サツキとメイはすでに死んでいて、トトロが死の世界を案内しているという都市伝説について、岡田はジブリが公式に否定していると述べる。そのうえで、自分が最も納得した話として未発表の絵コンテを紹介した。メイが行方不明になり、サツキがトトロのところへ行く。トトロはサツキを担いで木の上に登り、遠くを見る。するとトトロの目が大きく開いて前へ突き出し、3段ズームで「ゴンゴンゴン」と伸びて遠くのメイを見つけ、それから猫バスを呼ぶ、という内容である。
このシーンがカットされたのは、2本立てのため尺を1分も延ばせなかったからだと岡田は説明する。加えて、ここでメイが見つかってしまうと、猫バスで空を飛びながら見つかるかどうかハラハラする楽しさがなくなり、クライマックスが成立しなくなる。岡田はコメントに促されてボードにコンテの構図を描き、実際に作画したらもっと極端な表現になっただろうと話した。
興行面では失敗に近い結果となり、次の『魔女の宅急便』を最後に東映が配給を降りることになった。当時の鈴木敏夫はまだプロデューサーではなかったが、宮崎と高畑の2人を軸にアニメを作ろうとしていたジブリがこのまま倒産するかもしれないという危機感を持ったのがこの時期だろう、と岡田は推測している。
『魔女の宅急便』:1年で作った作品がジブリを変えた
1989年の『魔女の宅急便』は、それまでの2年おきのペースを崩し、前作からわずか1年で公開された。もともとは別の監督で進んでいた企画だったが、スポンサーの要望などにより(岡田は「実際のことは分かりませんけども」と留保している)宮崎が監督になった。宮崎は監督、脚本、プロデューサー、絵コンテの4役を担当した。4役を兼ねたのも、前作から1年しか間がなかったのも、宮崎作品ではこの1回きりだという。久石譲も自身のアルバム制作と重なり、打ち合わせの時間がほとんど取れなかった。
岡田によれば、これは宮崎にとってトラウマになっている。後に『モデルグラフィックス』で連載した漫画版『風立ちぬ』には、堀越二郎が日本の敗戦を振り返り「やってはいけないこと、間違ったことをいくつもやった」と語る場面がある。そのたとえとして「新作アニメを毎年1本作るとか」と言わせるほど、宮崎は後悔しているという。一方で岡田は、『紅の豚』と『魔女の宅急便』を手描きアニメーションのほぼ頂点に位置づけている。年に1本のペースで作らせても宮崎はすごいものを作れる、ということを示した作品でもあると評価する。
『魔女の宅急便』でジブリは初めて黒字になり、その年の興行トップを取った。動員は264万人で、『ラピュタ』77万人、『トトロ』80万人と比べて一気に4倍ほどになった。これを受けてジブリはアニメーターを正社員にした。それまでは作品ごとの契約だったため、トップクラフト時代の庵野や『ラピュタ』の前田も1作ごとに手放さざるを得なかった。アニメーターがきちんと働き、評価され、安心できる環境を作るという、宮崎が最初から望んでいたことがここで動き出した。
ただし岡田は、これが同時に宮崎を「やめられない」立場にしたと見る。宮崎は東映時代に組合運動の中心にいた人物で、雇った人を仕事がないからといって解雇してはいけないと考える責任感のある大人である。社長は頑なに引き受けなかったものの、ほぼトップとして社員を雇った以上、自分が辞めるわけにはいかなくなった。1年で作れることを証明し、会社の上層部が責任を持つべきだと言い続けてきた本人が上層部になり、教育もしなければならなくなった。岡田は、『風立ちぬ』での完全引退につながる伏線がはっきり引かれたのはこの作品だと考えている。
観客層の変化も大きかった。『トトロ』にもファミリー層は来ていたが、『トトロ』や『ラピュタ』のシナリオは大人も楽しめるものではあっても、大人に向けて書かれたものではなかった。『魔女の宅急便』では、子どもが飽きずに見られる一方で、大人は「ファンタジーの形を借りて、女性が一人で社会の中で生きていくことを描いている」と自分の目線で受け取れる構造になっている。ファミリー層を狙ったと言いつつ、大人と子どもという2つの客層に同時に届く作り方を生み出したことが、この作品の功績だと岡田は言う。
「好きに作るぜ3部作」と『紅の豚』
続く『紅の豚』『On Your Mark』『もののけ姫』を、岡田は「好きに作るぜ3部作」と呼ぶ。宮崎がある程度好きに作った結果、さまざまな実験ができた作品群である。『On Your Mark』は短編なので今回の総選挙の対象外だ(コメントに出た『平成狸合戦ぽんぽこ』は高畑作品だと岡田は訂正している)。フィギュアは指人形シリーズで、カーチスの機体、ポルコの赤い飛行艇、マンマユート団の巨大飛行艇を買ったという。
1992年の『紅の豚』は、2年続けて作らされた後の3年の休みを挟んで作られた。中間発表のベスト5には入っていないが、動員は304万人で『魔女の宅急便』を上回っている。岡田によれば、この頃からジブリ作品は常に前作を超える興行記録を出すようになった。理由は、鈴木敏夫が本格的にプロデュースを担い、糸井重里らプロを積極的に起用してキャッチコピーを作り、宣伝に力を入れ始めたことにあるという。
宮崎自身はこの作品を「疲れて脳みそが豆腐になった中年男のためのアニメ」と呼んでいた。子ども向け、家族向け、若い女性も見られる作品と作ってきた後、今いちばん癒されるべきなのは疲れている父親たち、つまり自分たちだとして、中年男性に向けて作った。それが大ヒットしたと岡田は説明する。
舞台は1929年、世界恐慌が起きた頃のイタリアである。岡田によれば、イタリアは第一次世界大戦の戦勝国でありながら「栄光なき勝利」と言われるほど景気が悪く、失業率も高かった。そのため世界恐慌の影響をあまり受けず、田舎では恐慌が起きたことを知らない人もいたほどだという。この状況がバブル崩壊後の1992年の日本とうまく重なっていた、と岡田は見る。
空賊の設定についても岡田は背景を補足した。1920年代のヨーロッパで飛行機に乗っていたのは、ほぼ全員が自分で飛行機を手作りする冒険飛行家だった。彼らは第一次大戦で軍に大量に雇われ、プロのパイロットやエースになった。しかし大戦が「世界最後の戦争」と言われたため、戦後は各国が一斉にパイロットを解雇した。航空産業が花開くのはその5〜10年後である。そのため、アドリア海で腕利きの元パイロットが空賊になっているという設定は、嘘ではあるがリアリティがあると岡田は言う。ポルコの友人フェラーリンは貴族出身のエリートなので空軍に残っているが、そうした一握り以外は非合法な稼業に就くしかなかった。そんな中で空賊を狩る賞金稼ぎのポルコは、腕は認められても仲間から裏切り者と見なされる。宮崎は中年男性ならこのニュアンスが分かるだろうと考えて作ったが、観客には分かりにくく、難しい作品になったと岡田は分析する。
岡田にとって『紅の豚』は宮崎作品でいちばん好きな作品である。一方で、最後に空戦をやめて殴り合いで決着をつけるあたりから、宮崎はシナリオの整合性やストーリーの破綻を気にしなくなったと岡田は見る。『ラピュタ』『トトロ』『魔女の宅急便』はシナリオがきちんとできていたが、『紅の豚』のラストに出始めた「グダグダ感」は後の『ポニョ』にまで通じているという。
鈴木敏夫の介入と『もののけ姫』の制作規模
「ジブリは『もののけ姫』から変わった」とよく言われると岡田は紹介する。セル枚数は『紅の豚』までは5万〜7万枚程度だったが、『もののけ姫』では14万枚以上と倍以上になった。デジタルも導入され、予算も大きく増え、キャッチコピーも激しくなっていった。岡田はこれを、宮崎の意向を抑えて鈴木プロデューサーが宮崎に作品を作らせるようになった変化だと捉えている。「好きに作るぜ」の時期も宮崎が好きに作ってはいたが、鈴木が入ってきて、ジブリの中で2人のおじさんが主導権を争いながら作っている状態だったと表現した。
1997年の『もののけ姫』は、『紅の豚』から5年ぶりの宮崎長編で、セルで作られた最後の作品である。岡田は、すべてのパーツがうまくはまった「奇跡の作品」だと評価する。
海外で評価が低い理由と、1420万人の大ヒット
ただし暴力表現が強く、ストーリーも大人向けすぎるため、海外での評価は比較的低いと岡田は言う。アシタカが矢を射て腕や首が吹き飛ぶ場面がある。アニメもアートであり大人が見るものだと理性では分かっているアメリカ人でも、心情的には「アニメなのにこんなことを」と抵抗を感じるらしい。しかも宮崎は描くとなったら徹底的に描き、野武士の両腕が切れる場面では断面の肉の中心に骨があるところまで描いている。実写や特撮なら断面は複雑でぐちゃっとして見えるが、絵で描くと肉と骨がはっきり分かってしまう。そのためクールな残酷さが際立つ、と岡田は説明する。
国内ではベスト5に入る人気作で、興行成績は1420万人に達した。それまでの最高だった『紅の豚』の304万人から5倍近くに伸び、予算もジブリ史上最大の21億円だった。岡田によれば、それまで15年間日本の興行記録を保持していた『E.T.』をアニメが抜いたことが大きなニュースになった。スピルバーグは自分の映画が日本で抜かれるとは思っておらず驚いたという。岡田は、現在ジブリ美術館向けに宮崎が作っている短編CGアニメのプロデューサーがスピルバーグだと聞いていると述べ、すごい組み合わせだと語っている。
宮崎が「これが最後の作品」と言い出したのもこの作品からである。完成後の打ち上げで引退を口にし、1年半近く言い続けた後に撤回した。コメントの「閉店詐欺」に岡田は「その通りだと思います」と応じている。
『もののけ姫』は『ナウシカ』の事実上の続編である
内容について岡田は、『もののけ姫』を宮崎による『ゲド戦記』、つまり「ファンタジーはこうやって作るんだ」という宮崎の公式のような作品だと位置づける。さらに持論として、『もののけ姫』は『ナウシカ』の事実上の続編であり、むしろリメイクだと主張した。
アニメ版『ナウシカ』は漫画の連載途中に作られた。しかも当時は子ども向けにヒットさせなければならず、けなげな女の子を主人公にする必要があった。ところが宮崎は漫画を描いている頃から、クシャナやクロトワといった大人のキャラクターに感情移入していた。そこで思い切ってナウシカではなくクシャナ側に焦点を当てたのが『もののけ姫』であり、特に原作後半でユパとクシャナが共に巨神兵の謎に迫るあたりのテイストが流れ込んでいる、と岡田は見る。
岡田の対応づけでは、ナウシカにあたるのがサン、ペジテのアスベルにあたるのがアシタカである。意外なことにユパはジコ坊になっており、これは白でも黒でもない「灰色のガンダルフ」のような、善悪どちらともつかない中間的な存在だという。クシャナの代わりにエボシが、巨神兵の代わりにシシ神が出てくる。そう読めば、アスベルに相当するアシタカは呪いを受け、王蟲のような森の神々との交流に夢中でこちらを向いてくれない少女サンと出会う。一方、クシャナの分身であるエボシは正しく強いが政治家でもあり、心から賛成することはできない。アシタカの心の居場所は人間社会と森や神々の世界の中間にしかない。岡田は、宮崎がなぜ『ナウシカ』の続編を作らないのかという問いへの答えがここにあるとする。自分の作品の中でこういうリメイクが可能だとは思ってもみなかったことをやってしまったのが『もののけ姫』であり、これが宮崎が好きに作った最後の作品だというのが岡田の見立てである。
本編はここで時間切れとなった。後半では『千と千尋の神隠し』が実は『地獄の黙示録』なのではないかという話から、宮崎の「自分の精神分析3部作」へと進むと予告して、無料部分は終わる。
2026年のアップグレード:10年後の総選挙はどうなるか
再配信にあたり、岡田は後日談を付け加えた。2016年の総選挙の最終結果は中間発表と変わらなかった。1位は『千と千尋の神隠し』で、2〜5位は順位こそ公表されなかったものの『ナウシカ』『ラピュタ』『魔女の宅急便』『もののけ姫』だったという。
では10年後の2026年に同じ企画をやったらどうなるか。岡田は世代によって結果が分かれるだろうと見る。30代以上なら1位はおそらく今も『千と千尋』だが、20代以下では『借りぐらしのアリエッティ』が1位になるらしいと聞いているという。10代から20代前半のアニメ好きには、ジブリを映画館で見たことがない人がかなりいる。そもそもテレビを見ないので金曜ロードショーにも触れない層が、この10年で決定的に増えた。そうした人たちが興味を持つのは、きれいな絵で美男美女が出てきて切ない恋物語を描く、細田守や新海誠っぽい作品としての『アリエッティ』だというのである。岡田たちの世代はジブリっぽい作品から抜け出してきたのが細田守だと感じているので、発想が逆になっていると岡田は「大ショック」を口にした。
いずれにしても『風立ちぬ』や『君たちはどう生きるか』はランク入りしないだろうと岡田は予想する。ジブリ作品そのものがおじさん・おばさんの趣味になりつつあるのかもしれず、ちゃんと見たことがないから投票できないという層も増えている可能性があるという。その背景として、ジブリがサブスクに入っていないため若い世代の目に触れにくいことを挙げた。だからこそ金曜ロードショーが定期的に再放送してくれるのはありがたく、できればNHKも放送枠を取ってほしい、と岡田は締めくくった。
先週から始まったですね、金曜ロードショーの3週連続ジブリ祭りですね。今夜9時からはですね、『風の谷のナウシカ』が放送されます。ということでですね、今週もジブリ作品に関連した過去動画をですね、再配信します。
おはようございます。岡田斗司夫です。今日はね、『ナウシカ』から『崖の上のポニョ』までの宮崎アニメのですね、歴史の振り返りっていう動画を公開します。普段の動画ですね、1本の作品2時間とか3時間とか、十分に時間かけて解説、徹底的解説してるんですけども、今回はですね、『On Your Mark』を除く宮崎駿の映画9作品ですね。9作品をですね、『崖の上のポニョ』の後の時代ですから、ここまでの作品をですね、全部語るということですね。1つ1つは短いんですけども、全体の流れをですね、一覧できるようになってます。
この動画はですね、2016年2月、え、8月だ。8月28日に配信した岡田斗司夫ゼミ、もう10年前だ。うわ、第141回ですね、編集したもんです。動画終わった後にもですね、追加のアップグレードがですね、まだちょっとありますので、見てください。それではこっから無料動画スタートです。
ジブリ総選挙っていうのはですね、『レッドタートル ある島の物語』っていうですね、新作アニメですね。ジブリの新作アニメがですね、この秋に公開されるんですけども、それのですね、宣伝って言ってもいいんですけども、『風の谷のナウシカ』から始まって『思い出のマーニー』までのジブリの長編劇場作品、21作品ですね。で、これのですね、ベスト5を決めようっていうですね、ファンによる投票が始まってるんですね。で、最も投票数の多かった1作品が劇場で再上映されるということで、札幌、東京、名古屋、大阪、博多かな。この5箇所のですね、劇場でですね、1位の作品が上映されるそうです。で、もうね、上位5作品というのが中間発表されてですね、投票の終了が今日のね、夜の11時59分だからですね、あと4時間弱ぐらい投票できますので、皆さんももしよろしければ一度投票してみてください。
で、中間5位はですね、割と僕にとってみれば意外な感じですね。『ナウシカ』『ラピュタ』『魔女宅』『もののけ』『千と千尋』だったんですね。『ハウル』入らないのかとかですね。ちょっと色々意外なことがあったんですけどもですね。お、新潟の人だから行けないか。そうか。大変だよね。『耳をすませば』、あ、『耳をすませば』ね、なんかかすりもしないんじゃないのかな。
はい。そうなんですよね。僕としては『紅の豚』とか入るんじゃないのかなと思ったらですね、入んないんですよ。で、なんでそれが入んないのかってことと、この上位5作品をメインにしてですね、ジブリ作品というか、ジブリ中の宮崎駿作品をこう総覧にしてですね、ちょっと一気に語ってみようと思います。それぞれの見所とあと限界って言ったら失礼かわかんないですけども、この辺はすごく良かったんだけど、この辺がまだまだ問題積み残して次の作品、次の作品っていう風に動いてますというような話にしたいと思います。
「カリオストロはジブリじゃない」。そうなんですよね。ジブリアニメって言った場合、宮崎アニメ以外もやっぱジブリになるし、あとはスタジオジブリとして作られたのは実はその『紅の豚』からなんですけどもですね、『風の谷のナウシカ』のトップクラフトが事実上解散っていうのかな。そのままスタジオの形を変えてできたのがですね、ジブリなのです。ナウシカもジブリ作品という扱いになってるそうです。「火垂るの墓ってジブリだっけ?」もちろん『火垂るの墓』もジブリですよ。正式発表はですね、9月6日らしいんでですね、楽しみにしてあげてください。
では、ですね、ジブリ作品、宮崎作品のですね、総評価というやつを行ってみたいと思います。まず僕がですね、初期キレイごと4部作って呼んでる作品があります。これはジブリの初期の作品でですね、宮崎キレイごとっていうかですね、主人公が正しくて楽しくて漫画映画にちゃんとなってるという4作品なんですね。一応ですね、『ナウシカ』『ラピュタ』『トトロ』『魔女宅』ですね。これが僕が考えるですね、初期キレイ4作品ですね。
「言い方」って言われて、言い方あるだろうって。いや、言い方散々考えて初期キレイ4作品って言ってんだけど、だめかな。特徴としてはですね、作家性よりはですね、職人性を前に出してですね、宮崎の内面を出すというよりは空で作った作品ですね。内面っていうのはどういうことかというと、例えば『シン・ゴジラ』だったらですね、庵野秀明の内面っていうのが出たりするからですね。そういう風な意味の内面ですね。その意味で僕が細田さんのアニメがですね、あんまりピンとこないのはですね、細田アニメってなんか内面性が全然見えないんですよね。作家性というよりは職人性が強い人なのかもわかんないんですけども、あんまりですね、なんだろうな、ぶっちゃけた話をしてくれないアニメっていうのがあるのでですね、なんかそこら辺が僕の琴線にあまり触れないんでですね、『時をかける少女』からですね、『バケモノの子』に至るまでの細田アニメっていうのはあんまりこうピンとこないっていうのがあります。
『風の谷のナウシカ』はですね、1984年の作品でですね、もちろん中間発表には登場しています。最初で最後のオリジナル長編ということで宮崎さんがその時思ったんですよね。もうこんなアニメはもう2度と作らせてもらえないだろうと。ずっと宮崎って言うと興行的に失敗とかですね、あまり売れないってイメージがあったんで、最初で最後の作品だということで挑んだ意欲作でですね、ハイファンタジーというやつをやってます。
ハイファンタジー、ローファンタジーっていう言い方をですね、ファンタジー業界では言うんですけども、どういう意味かって言うと、現実との繋がりがあるやつをローファンタジー、例えば『ハリー・ポッター』ですね、現実のロンドンの町から魔法の世界に行くっていうやつがローファンタジーなんですよ。で、それに対してハイファンタジー、別にハイとかローというのは高級かそうでないかというよりは、現実と地続きで感情移入しやすいか、もしくは全く架空の世界を描かなきゃいけないので、ちょっと処理が高度になってくるかぐらいの差だと思ってください。ナウシカはハイファンタジーですね。一応産業社会崩壊後1000年の世界って言ってますけども、もう本当にこの世界のことは出てきてませんから。
で、アニメはですね、もちろんうまいんですけども、今になって見てみると、ナウシカですね、再見してみました。今になって見てみるとね、やっぱりね、絵作りが地味ですよね。すごく面白いは面白いんですけども、絵作りが地味です。で、同時期のですね、劇場公開が1984年って言うと『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』とあと劇場版のですね、『超時空要塞マクロス』なんですよね。つまり両方とも絵面が派手だったところにですね、ものすごく内容はあるんだけども地味なナウシカが登場してしまったんでですね、動員数91万人っていうですね、これジブリ作品ではかなり低い数字です。僕らの中ではナウシカ大ヒット作って印象があるんですけど、ヒットしたのはですね、翌年ですね、85年にですね、テレビで放送して、テレビの放送で人気が上がったからですね、なんかすごく人気があるような気がするんですけども、91万人しか動員できなかったので、あんまりヒットとは呼べずですね。
作品の内容自体もですね、漫画描いてる最中にですね、劇場映画が決まっちゃったもんですから、最後の方はですね、『宇宙戦艦ヤマト』と『さらば宇宙戦艦ヤマト』と同じと言えばいいのかな。なんか敵に特攻してですねっていうのがまさにあったんですけど、同じように王蟲の前で手を広げて「やめて」って言ってナウシカが死んで生き返るっていう、後々まで宮崎さんがですね、あそこで妥協して宗教的になっちゃったっていうのを後悔してるような作品になります。ジブリの第1回作品としては、さっきも言いました、すごくいいし、絵作りもですね、面白いし、アイデアもいっぱい入ってるんですけど、やっぱり地味なんですね。
で、えっとですね、次がですね、『天空の城ラピュタ』ですね。一応説明のためにそれぞれフィギュア持ってきてですね、ナウシカのフィギュアだったらやっぱ王蟲だろうと思ってですね。これジブリ美術館のショップで売ってるですね、4000円ぐらいのやつなんですよね。出来がいいです。金属製でですね、こうグネグネ動くところがですね、気持ちがいいんですよね。で、なんかプルバック式の王蟲とかそういうのも買おうかなと思ったんですけども、この金属製の王蟲がですね、こうカチャカチャカチャカチャ、この口の触手も動くしですね、全身も動くし、何よりこう触った時にこのイボイボが痛いぐらい尖ってるっていうのが気に入ってですね、あ、子供向けでなくていいなと。もう全金属製なんですよね。だから自在置物みたいなやつなんですけど、気に入っております。
で、次がですね、86年ですね、ナウシカの2年後ですね。『天空の城ラピュタ』ですね。これも中間にですね、投票に登場しました。ベスト5に入っております。人気高いですね。人気高いんですけどもですね、動員数77万人。実はジブリ作品の中で最もヒットしなかった作品なんですね。ここも意外ですよね。『天空の城ラピュタ』って言うともう毎年テレビでやってるような印象があるんですけどもですね。全くヒットしてないってか、ジブリ最低作品なんですよね。ワースト記録で。内容的にはですね、起承転結が見事と、もうこの辺の作品はいちいち細かい解説しなくてもですね、皆さんが覚えてる通りなんですけども、起承転結がすごい綺麗に並んでてですね、主人公の動機もはっきりしてるし、ヒーローはかっこよく力強くというかですね、正義に燃えて、ヒロインはあくまでけなげで、それでも頑張ってっていうようなですね、王道をやってます。で、その代わりにですね、最も説教臭い作品でもあります。
なんかね、見所としてはですね、僕は構図の鬼って呼んでるんですけどもですね、とにかく構図がすごすぎる。えっとね、DVDとかですね、そういうの持ってる人は見て欲しいんですけども、例えば機関車でですね、スラッグ渓谷っていうところでですね、シータとですね、パズーがですね、機関車、軽便鉄道ですね、ジェットコースターみたいなところ走ってる鉄道で逃げるシーンがあるんですけども、ちょっと描けるかな。えっとですね、ごめんなさい。ちょっといい加減になっちゃうんですけども、これがですね、鉄道の進行方向で、画面の向こうへ走ってるんですよ。で、機関車がこういうパースですね。つまりやや右を向いててですね。で、後ろの客車というか、オープン式の客車がですね、ほぼ真正面よりちょっと雨を向いてると。で、これでですね、汽車が走ってる感じ。レールがこういう風になってるわけですね。で、これでシータがこっち向いてて「大変、後ろから来るわ」って言ったらパズーがこう振り向いてる構図だと思ってください。で、この時にですね、背景をゆっくりとこちら側へ引くことによって。ごめんね。ちょっと光ってますか?これで大丈夫かな?はい。あ、大丈夫、大丈夫かな?はい、これ大丈夫ですね。はい。
こういう風にですね、描くことでですね、この客車、列車がですね、ものすごい右旋回をしてることを表してるんですけども、やってることはですね、この背景を引いてること、この左側ゆっくりと引っ張ってることなんですけど、この辺の左の背景の引き速度とかですね。あとこいつのパースとこの列車のパースの違いでですね、列車が急カーブを切ってることを表すっていうのがですね、めちゃくちゃうまいんですね。
で、これに限らずですね、ラピュタっていうのはですね、ナウシカの時よりも多分制作体制に余裕があったんだと思います。ナウシカっていうのは構図すごくいいんですけどもですね、なんだろうな、ここまでコリコリに凝ってないんですね。で、これ以降の作品になってくると背景でCGが使えるのでですね、構図でそんな勝負しなくてもいいんですよね。なのでラピュタあたりがですね、最も研究しやすい、特にアニメの技術論としてはなんかすごい研究しやすい作品だと思います。だから僕はラピュタだったらですね、カットごとにこのシーンは何やってんのか、このカットはどこが見所かという風に説明できるんですけれどもですね、手描きアニメの楽しさとしては超一流ですね。
アニメーションを見る時にですね、まるで特撮映画を見るような楽しみがあります。昔の特撮映画と今のハリウッドのCG全開の、マーベルスーパーヒーローとかを見たら何が違うのかというと、CG全開の方が自由な絵が作れるんですよ。本当に監督が思った通りの自由な絵で作れる。で、特撮はミニチュア作んなきゃいけないとかですね、合成しなきゃいけないからすごい制限された構図の中で工夫しなきゃいけないんですね。で、その分特撮映画の方には手作り感っていうのかな。なんかどんなにものすごい壮大な画面作ってもどっかに可愛さが出るんですね。例えば『エイリアン2』って映画でですね、ジェームズ・キャメロンが作った映画でですね、エイリアンたちがですね、大量発生してる酸素発生機ですね。まあなんだろうな。縦横各1kmぐらいあって、高さも数あるような巨大プラントとか出てくるんですけど、そういうのも全部ミニチュアで作ってるし、あと『ブレードランナー』に出てくる巨大なビルもですね、やっぱり1m×1mぐらいのミニチュアで作ってるから、どんな壮大なものを作っても所詮可愛さが出てくるんですね。ところがフルCGで作っちゃうとその可愛さや愛嬌っていうのが、どうやっても乗らない。限界を超えて細かく作れるからですね。その分可愛さが乗っからないと。
で、ラピュタはですね、そういう意味でですね、全部絵で描いて人間が手でやらなきゃいけないのでですね、難しいことをやってても、どっかに可愛さが残ってる。で、それが『千と千尋』以降の宮崎アニメっていうのはですね、可愛さをちょっと失ってしまったところが魅力的には弱いところじゃないかなという風に僕思ってますよね。そこら辺がなんかラピュタのですね、見所だと思います。
あとラピュタの見所はですね、変な言い方になりますけども、シータという女の子ですね、10歳ぐらいなんですけども、映画の冒頭ではつるぺったんです、本当に。ところがですね、ストーリーが進行するにつれてですね、なぜかどんどんどんどんおっぱいがでかくなるっていうですね。あ、宮崎さん、これがやりたかったんだというやつですね。もう最後ですね、えっと、なんだろうな。ラピュタに到着しちゃってですね、シータと抱き合うシーンとかですね、きっぱり胸があるように描いてあってしまってですね、やっぱね、これ、気づく人と気づかない人がいるんですね。コメント見ても分かる通り、「マジか」っていう人と、そう、そういう人に分かるでしょ。おっぱい星人には全員分かるんですよ。なので本当に家にDVDある人はですね、シータのおっぱいだけ連続して見てください。面白いぐらい成長してますからですね。いや、なんかこういうところでも宮崎駿エッチだなと思ってですね。楽しいです。
次ですね。ここにですね、僕、宮崎の作品はほぼと言っていいぐらいDVDを持ってるんですけども、持ってない数少ない作品のですね、『となりのトトロ』ですね。『となりのトトロ』もね、これ「どんぐり共和国」っていうですね、ジブリの専門ショップみたいのがあるんですけども、そこ行ってですね、フィギュア買おうかなと思ったんですけども、この指人形が1番可愛かったんです。指人形で買ってしまって、でもトトロでですね、トトロ買ってもしょうがないし、サツキとかメイとかどうでもいいなと思ったんでですね、引っ越しの時の三輪バスとあと猫バスを買ってきました。なかなかいい出来です。ちなみにですね、ラピュタではですね、ポムじいさんというですね、スラッグ渓谷の下で石を掘ってるじいさんとですね、あとドーラのですね、息子のですね、3兄弟ですよね。特にこのバカ3人ですね、もう1人いるんですけど、もう1人ね、イケメンで、4人兄弟てか、もうちょっといるのかもわかんないですけど、もう1人ね、イケメンでそんなにね、突っ込みどころがないんですけど、このバカ3人はものすごくいいのです。買ってきました。ドーラとかは買わなかったわな。はい。
『となりのトトロ』です。1988年ですね。この辺りですね、もうナウシカ、ラピュタ、トトロってですね、2年ごとにですね、宮崎さんが新作発表した時代なんですけども、中間発表に出てこないです。案外不人気ですね。長編アニメとしては長さが足りないってことがあるかもわかんないんですけども、
ナウシカでですね、こいつは使えると思ったですね、庵野秀明ってアニメーターが、その当時いるわけですね。で、ナウシカでですね、大抜擢して巨神兵のシーンまるまるやらせて、こいつ使えると思ってラピュタでもですね、庵野秀明に見せ場を用意してたらですね、なんと庵野秀明ですね、大学の時の友達である俺たちに誘われてですね、『王立宇宙軍 オネアミスの翼』って作品に連れてかれてしまったと。で、宮崎駿先生よっぽど悔しかったのかですね、一時期ですね、週に1、2回ですね、ガイナックスに夜中に来てですね、スカウトするというですね、業界のですね、掟破りなことをしましてですね、まあまあまあまあ、でも、フェアはフェアなんです。っていうのは僕らもよその作品のスタジオに夜に行ってアニメーターをですね、勧誘して引っこ抜きしてたんでですね、全くフェアなんですけども、さすがに庵野君はですね、すごい宮崎さんの作品、特に『天空の城ラピュタ』はですね、めちゃくちゃ行きたかったそうなんですけど、ぐっとこらえて、まず自分はメカニック作画監督だからということだったんですけども、前田だけは引っこ抜かれてしまってですね、ラピュタの底が抜けるシーンをですね、前田真宏がやったそうです。
で、次のですね、『となりのトトロ』ではですね、宮崎駿はですね、ものすごいいい場所を庵野秀明に用意して、「庵野、次はお前はオープニングだ」と。オープニング。なんだろうな。「『となりのトトロ』ってアニメは全編リアルでやってるからもうほとんどお前の出番みたいなものはないんだけど、オープニングではゲジゲジとかクモとか、トカゲとか変な生き物が全部出てくると。この変な生き物はお前でなきゃ描けない。オープニング全部やれ」と言われて庵野秀明が心がガーっと動いたんですけど、ところが高畑勲からですね、「観艦式の様子、旧日本海軍の軍艦描かせてやる」と言われてですね、庵野秀明は「ええっ」て言って、で、この前宮崎さんと仕事した、今度は高畑さんだっていうですね、やはりその『赤毛のアン』とかですね、そういうのですね、アニメーターの心がすごく動いちゃったんですよね。高畑さんの方へフラっと行っちゃって、2回連続でですね、宮崎駿は庵野秀明に振られるってことになりましてですね、以後庵野秀明が次に登場するのはですね、『風立ちぬ』の声優まで待たなければいけないということになってしまいました。
ということでですね、頼みの庵野秀明をですね、高畑に。これでも高畑はですね、庵野秀明に描かせたですね、あれ、高雄だったか長門だかなんかのですね、ものすごい細かい原画をですね、真夜中のシーンにしてしまったんでですね、画面に全く映らないということになってしまってですね。でもそれでも庵野はあんまり文句も言わなかったですね。
で、動員数80万人です。『となりのトトロ』って本当にメガヒット、大ヒットしたような印象はあるんですけどもですね。ラピュタ77万人でワースト記録で、トトロ、『火垂るの墓』両方合わせてですね、80万人っていうですね、もうこの時期のジブリがすごい苦しかったんですよ。だからジブリでそのジブリ上昇伝説っていうのかな。ジブリどんどん動員記録を塗り替える、塗り替える、塗り替えるっていうのは『もののけ姫』以後のジブリであって、実は初期のジブリですね。特に宮崎さんが本当に好きに作った時代のジブリ作品っていうのは実は案外ヒットしなかったんだっていうのが分かります。動員80万人でですね、映画としてはちょっと失敗っぽいところがありました。
で、都市伝説でですね、『となりのトトロ』に関してはですね、サツキとメイはすでに死んでいて、で、トトロが死の世界を案内するみたいな話がよくあるんですけども、これ公式にもですね、ジブリは否定してますし、僕が聞いた話の中では、何より単純な話ですね、えっとですね、サツキもメイも生きてるというか、話の中で一番僕納得いったのは、未発表の絵コンテがあるんですよね。で、それは宮崎さんがですね、『となりのトトロ』描いてる時に長さがですね、尺がもうギリギリになって、なんせ、なんだろうな、二本立てなので、『火垂るの墓』と二本立てなんでですね、1分もですね、やっぱ伸ばせないんですね。で、ギリギリでですね、切らなきゃいけなかったシーンがですね、メイが行方不明だってサツキがトトロのところに行くと。で、「トトロ、メイがいないの」って言ったらですね、トトロが「ちょっと待って」っていう感じでですね、サツキを担いでですね、木の上バーって登るんですね。で、木の上に登って、で、ぐわっと遠く見るんですよ。そしたらもうトトロの目が思いきり開いてですね、目が前の方へぐーっと出てきて、遠くの方、遠くの方、遠くの方、遠くの方、遠くの方見てると思ったらですね、その目がですね、3段ズームでゴンゴンゴンってですね、伸びたらですね、超望遠になって向こうの方にメイがいるのを見つけて、それで猫バスを呼ぶっていうですね、絵コンテが存在してるんですよね。
こうこれをですね、やろうとしたらですね、やっぱり1分かかってしまった。で、1分かかってしまうし、おまけにその後でメイが見つかるかどうかというドキドキがなくなってしまうと。見てる人間は猫バスを呼んだら来て、それに乗って空中飛ぶように飛んで、それでもなんだろう、メイが見つかるかどうかというドキドキと楽しさと両方あるから、これ映画のクライマックスになるわけで、ここで見つかっちゃったらですね、しょうがないんですよ。「その絵描いてみて」って言われて。描いてみてもクソも俺が描いてもしょうがないよ。でもなんかその一応目撃したことがあるコンテでですね。確か構図的にはこうこうだったと思うんだけども、本当にこんな感じで目が3段ズームでゴンゴンゴンって伸びてましたよね。で、まあまあ描いてもしょうがなかったでしょ。はい。ここって多分作画したらもっと極端にやったと思うんですけどもですね。そういうのがあるのでですね、都市伝説だと思います。
興行的にはですね、さっきも言ったようにですね、失敗っぽくなってしまったんですね。次回の魔女宅を最後にするということでですね、東映が配給を降りてしまいましたですね。配給も降りてしまったんです。多分鈴木敏夫さんはかなり追い込まれたってことです。その時鈴木さんはプロデューサーでもなかったんですけどもですね、かなり追い込まれて、これジブリの作品、宮崎中心として高畑と両輪でですね、アニメを作ろうと思ってたんですけども、ひょっとしたら倒産するのかもしれないという危機感を持ったのがこの『となりのトトロ』だと思います。
次にもう89年ですね。これまで2年おきだったのがいきなり89年のですね、1年後にですね、『魔女の宅急便』で宮崎がまたアニメ作ります。元々『魔女の宅急便』っていうのはですね、別の監督で進められたんですけどもですね、スポンサーなどの要望によりっていう、実際のことは分かりませんけども、宮崎さんがですね、監督になりました。で、宮崎さん監督になってしまったのでですね、もう脚本、監督でおまけにプロデューサーも宮崎さんやってんですね。で、絵コンテも宮崎さんやってるんですね。4つやってるんですよ。で、こんなことは宮崎アニメの中でもこの『魔女の宅急便』1回きりで、おまけに前の作品からですね、1年しか間が空いてないっていうのも1回きりですね。で、音楽もですね、久石さんがですね、もうほとんど打ち合わせの時間が取れなかったっていう。久石さんはですね、自分のオリジナルアルバムの作成やってたんで、もう本当に時間がない中でやってて、この時のですね、『魔女の宅急便』はいきなり監督が下ろされて自分に監督が降りかかってきて、脚本も絵コンテも全部やらなきゃいけないという風なことで、すごいトラウマになってます、宮崎さん。
後にですね、『風立ちぬ』の原作漫画をですね、「モデルグラフィックス」で描いた時にですね、旧日本軍はこんな風にして負けてしまったというのを堀越二郎が言うシーンがあるんですけど、その時の堀越二郎のセリフ、漫画の中のセリフでですね、「日本はやってはいけないこといくつもやった。間違ったこといくつもやった。例えて言えば、新作アニメを毎年1本作るとか」っていう風にですね、言うぐらいですね。めちゃくちゃ後悔してるそうです。
そうなんですよ。今コメントで流れた通り、そういう環境の方がいいのできる時あるよねってことで、僕ら的にはですね、この『魔女の宅急便』っていうのはですね、多分ですね、えっとですね、『紅の豚』と『魔女の宅急便』っていうのはですね、手描きのアニメーションとしてほぼ頂点の作品なんでですね、そんな年に1本作らせても宮崎駿はすげえものができるという作品でもあるんですね。
で、ところがですね、この『魔女の宅急便』で初めてジブリが黒字になります。具体的に言うとですね、その年の興行のトップになります。で、大ヒットしまして264万人ですね。だってラピュタ77万人、トトロ80万人だからですね、いきなりこう4倍ぐらいになっちゃったわけですね。264万人っていうですね、大ヒットするわけです。で、これを受けてですね、ジブリの制作体制大きく変わってですね、アニメーターを社員にするですね。これまではですね、1作品ごとに契約して離れてっていう風なことがあったので、例えばトップクラフトの時にいた庵野秀明ですね。で、あとラピュタの時にいた前田っていうのもですね、全て1回ごとに手放さざるを得なくなってしまった。でもそういうのをやめてですね、ジブリの中で正社員化するっていうですね、ことをやった。これがですね、宮崎さんが最初からやりたかった、アニメーターがちゃんと働いて、ちゃんと評価されて安心できる環境を作ろうっていうのの、2つの車輪が回り出したわけですね。
で、これは同時にですね、宮崎さんがですね、その時ぐらいはもう考えたかどうかわかんないですけど、やめられない体制を作っちゃったんですね。つまり新しく社員を雇ってしまったら、本来宮崎さんっていうのは責任感もある大人ですのでですね、一緒にアニメ作ろうって言ったらですね、それは雇った人なんだから首にしちゃいけないですね。仕事がないからと言って首にするようなことはいけない。そういう労働運動の、なんだろう、書記長まで東映時代にやった人なんですよ。その人はですね、自分がほとんどトップ、社長やらないやらないやらないってずっと言ってたんですけど、ほとんどトップの状態でですね、スタジオジブリというのを作って社員を雇い出してしまったから、もう絶対に自分がやめられない体制になってしまった。『魔女の宅急便』の大ヒットっていうのは同時に1年で宮崎アニメが作れるということを証明してしまい、で、その結果ちゃんとした体制を作ろうと。宮崎さんがそれまで口を酸っぱくして、会社の上層部がだめだだめだと言ったんですけど、自分が上層部になってちゃんとアニメーターを正社員として雇ったら責任を取らなきゃいけないというですね、ちょっと大事になり始め。これおそらくその『風立ちぬ』でですね、完全に引退するですね、伏線がはっきりと引かれたのがこの『魔女の宅急便』だと思います。えっと、教育もしなきゃいけないですね。大変だと思います、この頃は。
はい。でもね、『魔女の宅急便』はまあまあ、コメントにも書いた通り、この頃からですね、ファミリー層が来るようになったんですね。で、トトロでもファミリー層は来てるは来てるんですけども、やっぱりトトロ、ラピュタっていうのはですね、シナリオ的に大人が見るシナリオではないんですね。大人も楽しめるシナリオだったんですけども、『魔女の宅急便』からはですね、明らかに子供たちも飽きずに見れるし、大人たちもですね、自分の目線で、あ、なんかこれはファンタジーの形式を取って女性が1人で社会の中で生きてくことを描いてるんだっていう風に分かるような構造になってるんですね。なので、そのファミリー層を狙ったと言いながら、実は大人と子供と2つの客層に両方に通じるジブリ作品っていうのを作り出したっていうのがですね、この『魔女の宅急便』のですね、功績だと思います。
さてですね、キレイごと3部作、あ、キレイごと4部作っていうのが終わって、次はですね、宮崎駿作品ですね。僕は「好きに作るぜ3部作」って呼んでるんですけども、『紅の豚』とですね、『On Your Mark』とですね、『もののけ姫』っていうのをこの3作品を作りました。えっとですね、ぽんぽこ、ぽんぽこは高畑です。好きに作るぜ作品です。『紅の豚』『On Your Mark』『もののけ姫』は、『On Your Mark』は長編ではないので今回の総選挙に入ってませんけど、この作品はですね、宮崎駿がですね、ある程度好きに作った結果、いろんな実験ができた作品ではあります。
『紅の豚』ですね。今回フィギュアはですね、なんか指人形フィギュアでですね、カーチスとですね、あと、なんだろうな、ポルコのですね、赤い飛行艇があったのですね。で、それ買っちゃいました。カーチスとですね。で、意外なことにですね、このなんだろうな、マンマユート団のですね、巨大飛行艇もあったんでですね、これも買ってしまったんですけども、本当にね、この指人形シリーズだけはいいですよ。で、メインキャラ以外のしょうもないキャラとかがあってですね、これもですね、ちゃんと、えっと、なんだろうな、悪役のですね、間抜けな顔がですね、表現されてすごいいいと思うんですけどもですね。はい。
ではではですね、『紅の豚』1992年ですね。さすがにですね、88年、89年とですね、2年続けて作らされたんですね。3年間お休みがありまして92年です。で、中間選挙に出てこないです。案外不人気です。これ、好きに作るぜ3部作はですね、最初の2つはですね、あんまりヒットしなかった、『もののけ姫』でヒットするんですけどもですね、また数字が悪い。案外不人気なんですけど、でも動員は304万人だからですね、実はその、飛行機で男のロマンを描いてながらですね、魔女宅より増えてるぐらいなんですね。で、この頃からジブリ作品っていうのは常に前の作品を追い抜く、追い抜くと興行記録を出しました。で、どの辺から違うのかって言うとですね、そろそろ鈴木敏夫さんが本格的にプロデュースをやってですね、で、あと宣伝とかもですね、プロの糸井さんを積極的に入れて、で、コピーっていうのちゃんと作るようになったからですね。で、宣伝に力を入れ出したということです。304万人ですね。
で、宮崎さん自体はですね、この『紅の豚』をですね、「疲れて脳みそが豆腐になった中年男のためのアニメだ」という風に言ってますね。家族向けがヒットして、ようやっとですね、『魔女の宅急便』でですね、大ヒットしたんですけど、ここで宮崎さんはですね、思い切って作り方を変えて、そうじゃないと。これまで子供向けのアニメ作ってきたと。で、次は家族向けのアニメ作ってきた。若い女の子も見れるアニメ作ってみた。で、今度はもう中年男に向けて、映画館で本当は今子供よりも女の人よりも最も癒されなければいけない疲れてるお父さん、自分たちに対してアニメ作りたいという風なことでアニメ作っちゃったんですね。で、そしたらですね、大ヒットしたんですよ。
『紅の豚』っていうのは舞台が1929年のですね、世界大恐慌が起きた時のイタリアなんですね。で、イタリアっていうのはですね、第一次大戦に勝ったんだけども、景気が悪くなった、栄光なき勝利と言われたんで、元々景気が悪かったんですね。なので世界大恐慌の影響を最後まで受けなかったと。イタリア人は失業率が当時もうとんでもなかったからですね、世界恐慌が起こってもですね、ミラノとかそこら辺の大都市はともかく田舎に行くとですね、世界大恐慌が起こったということを知らなかった人がいたというぐらいですね、元々の景気が悪かった時代です。で、それがですね、1992年っていうですね、バブル崩壊後の日本ですね、というと割とうまく合致してたのでですね、男の人に対して向けて作るっていう意味ではすごくよくできた作品です。
で、空賊たちですね、空の海賊たちとかですね、あとそのマンマユート団っていうですね、空賊がなぜポルコを憎むのかっていうのはですね、あんまりよくわかんない設定なんですけども、当時1920何年ぐらいですね、ヨーロッパで飛行機に乗ってる人、パイロットと言ってですね、ほぼ全員が冒険飛行士っていう人たちだったんですね。ちょっと分からないでしょうけど、冒険飛行士とは何かって言うと、当時のヨーロッパで飛行機に乗ってるような人ってのはほぼ100%、自分で手作りで飛行機を作ってみたいなですね、冒険家だったんですよ。で、それが第一次大戦の時にですね、飛行機が戦争の道具になるということでイタリア軍に大量に雇用されてプロのパイロットになってエースパイロットになったと。で、戦争が終わった時にですね、もう第一次世界大戦っていうのは世界最後の戦争という風に言われたので、当時はですね、もう2度と戦争が起こらないだろうということで、世界中の国が一斉に飛行パイロットをですね、首にしちゃったんですね。で、その結果、10年後、それからですね、5年後、10年後ぐらいに世界中で航空産業が一斉に花開くことになるんですけども、たまらないのは首にされたパイロットたちですね。なので、そのアドリア海あたりで飛行艇に乗ってる空賊がいて、で、客を襲うっていうのがすごいリアリティのある設定なんですね。嘘なんですけど、リアリティがある設定。
それはすごい腕利きのパイロットで、戦争中はみんなヒーローだ、エースだと言われた人が、戦争が終わった瞬間に手のひらを返すようにみんな首になってしまった。だからそのポルコの仲間でですね、フェラーリンっていうですね、友達がいるんですけど、それがまだイタリア空軍に残ってるんですね。もう本当にそれは出身も貴族だし自分もエリート中のエリートだから残ってるような人。そういう一握りの人以外は全部非合法な飛行機乗りになるしかなかった時代でもありました。だからそういう仲間のはずなのに空賊狩りをやってですね、賞金稼ぎをしてるポルコっていうのは同じ飛行機仲間から見て、腕は認めるんだけども「あいつは裏切り者だ、許せない」ってことになるんですよ。この辺りにそのイタリア人のですね、その1度は軍に雇われて、それが首になって、「俺たちならず者かもしれねえ」って。そのならず者の中でも「あいつは賞金稼ぎって裏切り者だ」っていうこの辺りの呼吸っていうのはですね、ちょっと分かりにくかったんですね。で、宮崎さんはそれを中年の男向けだからここら辺のニュアンス分かるだろうっていうので作っちゃったんですけど、ちょっとそこら辺はですね、難しい作品になってしまいました。
で、『紅の豚』です。僕本当に1番好きなですね、宮崎駿アニメなんですけども、最後の最後ですね、殴り合いの辺りからですね、何でしょうね、最後ね、もう、こいつとこいつがですね、空中戦やめてですね、殴り合いしちゃうんですよね。で、殴り合って決着がつくというかですね、殴り合いで決着がつくんですけどもですね、この辺りから宮崎さんはですね、シナリオ上の整合性っていうのかな、ストーリーが破綻してもですね、構わないというような話になっていったんだと思います。はっきりとですね、ラストあたりのですね、なんかこのぐちゃぐちゃ感というかですね、グダグダ感というのはですね、後のポニョにも通じるですね、このグダグダがそろそろ出始めてる頃です。ここまでのですね、なんだろうな、『魔女の宅急便』とかですね、トトロとかですね、ラピュタなんて本当にね、完全、枠でシンプルなストーリーですけど、シナリオちゃんとできてたんですけども、『紅の豚』あたりからはなんかラストあたりでこうグデグデグデグデしてもあんまり宮崎さん気にならなくなりました。
で、『On Your Mark』ですね。好きに作る3部作の2本目の『On Your Mark』は短編ですし、今回関係ないので、ちょっと置いときます。
で、鈴木敏夫さん、プロデューサーがこの辺から介入が強くなってきてですね、『もののけ姫』からジブリは変わったという風によく言われます。セル枚数がそれまでですね、その『紅の豚』までは
大体5万枚から7万枚だったのが『もののけ姫』からですね、14万枚以上になって倍以上になりますんで、デジタルも導入されて予算もすごく増え出しました。あとキャッチコピーとかも、どんどんどんどん激しくなり、イコール何かって言うと、宮崎さんがこうしたいという意向を抑えて鈴木敏夫プロデューサーがですね、宮崎に物を作らせようとするようになるんですね。だから「好きに作るぜ」っていうのは宮崎が好きに作ってるんですけど、同時に鈴木敏夫も入ってきて、ジブリの中で2人のおっさんが主導権争いしながら作ってるような感じだと思っていただければと思います。
『もののけ姫』です。1997年ですね。『紅の豚』のですね、5年後です。間に95年にですね、『On Your Mark』があるので、実はですね、『紅の豚』から『もののけ姫』まで5年間宮崎さんは長編アニメ作ってなかったんですね。で、久しぶりに作った作品です。で、最後のですね、セルで作った作品です。非常に人気高くですね、なんだろうな、全てのパーツがうまくはまったという風に僕は思ってるんですけど、奇跡の作品です。
ただし暴力表現などが強いし、あとストーリーがあまりに大人向けですからですね、宮崎の人気高いんですけども、この作品ですね、海外の評価が割と低いです。アシタカがですね、弓矢などを射てですね、腕が吹っ飛んだり、首が吹っ飛んだりするシーンがあってですね、やっぱりそれは、アニメーションというのもアートだ、大人が見る作品だと理性では思っているアメリカ人もですね、心情的にアニメなのにこんなことをやってるという風なことに、やっぱすごい抵抗があるみたいなんですね。
で、特に宮崎アニメはですね、そういうこと描く時は徹底的に描き切っちゃうのですね。例えばアシタカが弓を射て両腕がバサっと切れるシーンがあるんですけども、盗賊の。その時にはですね、断面の肉の真ん中に骨があるとこまで描いちゃってるんですね。で、それはですね、特撮で撮ったりですね、なんだろう、やったりしたらですね、断面が複雑でぐちゃぐちゃっとしてるから案外、なんだろう、それなりに見えちゃうんですけども、絵で描いてしまうとですね、あからさまに肉、骨って分かってしまうからですね。かえってそのクールな残酷性ってのは際立っちゃうんです。だから向こうの人にすごい抵抗があるみたいですね。
そういう偏見もあって、海外の評価割と低いです。中間投票のベスト5にはもちろん入ってます。日本で人気高いですね。ただしですね、興行成績はですね、すごい高い。1420万人ですね。これまでのですね、その304万人が最大ヒットだったのがいきなりです。4、5倍近い、1500万人近い数字に行ってしまいました。で、予算もですね、ジブリ史上最大のですね、21億円ですね。
で、この時からですね、宮崎さん、終わった時からにですね、これが最後の作品という風に言い出すようになります。『もののけ姫』が一番最初に言った「もう俺は引退します」作品ですね。完成後の打ち上げでもう最後の作品になると言ったんですけども、後に、翌年にですね、撤回したという風なことですね。1年半近くはですね、もう引退する、引退するって言ったわけですね。「閉店詐欺」ってコメントが出てるけど、その通りだと思います。
で、20、えっとですね、1420万人ってのはどれぐらいのヒットかって言うとですね、それまで15年間日本の映画の興行記録っていうのはですね、『E.T.』だったんですよ。で、『E.T.』をぶち抜いたということで、『E.T.』をアニメがぶち抜いたということでですね、すごいニュースになったぐらいの大ヒットだったですね。
で、スティーブン・スピルバーグはですね、自分の映画が日本で抜かれると思ってなかったんで、びっくりして。今、宮崎さんのですね、CGアニメですね、ジブリ美術館で作るアニメですね。それを宮崎さん、駿さんは引退したとは言いながらも、これ短編だから作ってるんですけども、プロデューサーはスピルバーグだそうですね。なんかね、なかなかすごいタッグだって思うんですけどもですね。
で、内容的にはですね、宮崎による『ゲド戦記』という言い方ができると思います。つまり、なんだろうな、ファンタジーっていうのはこうやって作るんだぞっていうですね、宮崎の公式みたいなものができたと思います。
で、『もののけ姫』っていうのは、僕が思うにですね、『ナウシカ』の事実上の続編です。ていうか、『ナウシカ』自体、続編というよりはリメイクなんですよね。本当は『ナウシカ』っていうのは連載中の最中に作っちゃった、アニメ作っちゃったから。おまけに『ナウシカ』を作った頃の宮崎さんっていうのはですね、子供向けのアニメでヒットさせなきゃいけないで、女の子、健気な女の子が主役だったんですけど、もう漫画描いてる時からですね、クシャナとかですね、クロトワとか、そういう大人のキャラクターに感情移入してたんですね。
なので思い切って切り替えて、そのナウシカではなくクシャナの方に焦点を当てたアニメを作りたいという風に思ったのでですね。事実上の続編で、特に原作の後半、ユパ様とですね、クシャナがですね、共同で巨神兵の謎に迫るという辺りの漫画でも描いてるテイストがですね、ダダっと漏れていってんですね。
なのでナウシカだったキャラクターがサンになって、ペジテのアスベルだったキャラクターがアシタカになって、で、意外なことにユパ様が、ジコ坊っていうですね、なんだろう。真ん中辺で活躍するですね、悪役か正義か分からない。実はあれは灰のガンダルフなんですね。つまり白のガンダルフでもなく黒のガンダルフでもなく、灰のガンダルフっていうですね、中間的な悪役として存在してるわけですね。で、クシャナの代わりにエボシが出てきて、巨神兵の代わりにシシ神が出てくるという風に解釈すれば、なんで宮崎さんが今ナウシカの続編作らないのかって言うと、もう『もののけ姫』というので。
ペジテのアスベルから見たら、何かその巨神兵というものが復活して呪いを受けてしまって、そこで出会ったサンという少女とですね。ところがサンという少女は王蟲みたいな存在の森の中の神々とのコンタクトに夢中になって、こちらを向いてくれない。で、現実的なクシャナの分身である、なんだろう、エボシ御前っていうのは、なんだろう、正しくて強いんだけども政治家で、同時に政治家であって、自分が心から賛成することはできないと。
じゃあそのアシタカですね、つまりペジテのアスベルの心はどこにあるのかというと、その人間社会と森・腐海の社会とか、あとその神々の世界との間の中間にしかいられないんだっていう風なことをですね、やってると。だから僕が「好きに作る三部作」って呼んだのはですね、まさか自分の作品の中でこんな風なリメイクが可能だという風に思ってもみなかったところをやってしまったんですね。で、これが最後のですね、宮崎が、僕が思うに好きに作った作品。もちろんいろんな人の影響もあるんだけど、好きに作った作品だと思います。
でですね、47分になりましたのでですね、ここから『千と千尋の神隠し』はですね、実は『地獄の黙示録』ではないのかというですね、宮崎駿の自分の精神分析三部作という話にですね、後半の方では話流れていこうと思います。
はい、お疲れ様でした。今日の無料動画ここまでです。動画の中で話していたですね、2016年のジブリ総選挙、結果だけ言うとですね、中間発表と全く変わらず1位が『千と千尋』になって、2位から5位が、順位が発表されなかったんですけど、『ナウシカ』『ラピュタ』『魔女宅』『もののけ姫』だったそうです。
で、あれから10年経ったですね、2026年の今ですね、ジブリ総選挙をやったら結果どうなるのかと言うと、多分ね、世代ごとに違うんですね。で、30、35歳かな、30代より上の人はですね、多分同じで1位は『千と千尋』になると思うんですけども、なんかね、20代以下は『借りぐらしのアリエッティ』になるらしいんですよね。
ていうのはなんか、ジブリを映画館で見たことがない人たちっていうのが、10代のなんだかから20代前半のアニメ好きの人でかなりいてですね。で、金曜ロードショーだっても、そもそもですね、テレビ見ないとかですね、そういう風な層が増えてきたのがこの10年ぐらいというかですね、もう決定的になってきてるわけですね。
だからジブリ見たことない人がですね、何か最初に、それでも少なくとも金曜ロードショーとかでやってたら見るもので興味持ちそうなものって『借りぐらしのアリエッティ』っていうですね、綺麗な絵でなんか美男美女がちゃんと出ていて、切なそうな恋物語をやっている、新海誠、細田守っぽい作品だから。僕らと発想が逆なんですよね。なんかそのジブリっぽい作品の中から抜け出してきたものが細田守みたいな気がするんですけども、多分今の20代前半ぐらいから下の人にとっては、ジブリの中でも『借りぐらしのアリエッティ』は細田守とか新海誠っぽくて好きみたいな感じになってるそうなんですよ。もう大ショックですね。
どっちにしてもですね、『風立ちぬ』とかですね、『君たちはどう生きるか』はもう入らないですよね。おそらくジブリ作品自体が、なんだろうな、もう、おじさんおばさんの趣味みたいになっていってるのかもわかんないですね。だから、あとこの10年で変わったことがあるとしたら、ちゃんと見たことがないから投票できないという棄権票が増えてる可能性もあります。つまりジブリはサブスクに入ってないから目に入らないと。
そんな中でもせめて金曜ロードショーがですね、こうやって定期的に再放送してくれるのは、ありがたいなと思います。できればね、もう金曜ロードショーの枠取っちゃって、NHKもですね、やってくれてもいいと思うんですけどね。
さて、今日見てもらった動画の続きは有料会員のみ見れるようになってるんですけども、どんな話してるのかというと、引き続きですね、宮崎作品の振り返りです。ここからですね、『千と千尋の神隠し』『ハウルの動く城』『崖の上のポニョ』の3作品をですね、宮崎駿の歴史のですね、どういうポジションにあるのかっていうのを説明してます。その他にもですね、2016年当時のニュースの話題なんかもやってます。
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