母屋と離れの両方に物があふれた家で、どこを優先するのか:古堅純子が作業前に家族へ突きつけた問い

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概要

「週末ビフォーアフター」第301回で、幸せ住空間セラピストの古堅純子が訪ねたのは、番組史上最大の敷地に建つ一軒家だ。祖父母が暮らす築70年以上の母屋と、増築された離れの両方に物があふれている。この回は、古堅が家じゅうを見て回り、家族の事情と要望を聞くところまでを収めている。実際の作業は始まっていない。見学の末に古堅は、この物量では作業に入れないと判断し、家族に一晩かけて優先順位を決めるよう求めた。

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二つの拠点に分かれた暮らし

家族は祖父母(夫の両親)、夫、妻、10歳の娘の5人である。この家は夫の実家で、夫婦と娘は結婚時に増築した離れに住んでいる。古堅は母屋を見て「旅館みたい」と驚いた。

ただ、娘が日中を過ごしているのは離れではなく母屋だ。夫は帰りが遅く、妻には夜勤がある。そのため娘は祖父母に見守られながら過ごしており、食事と風呂も母屋で済ませている。古堅はこれを「拠点があっちとこっちにある」とまとめ、事情を聞かないと分からないと話した。

最初の相談は娘の学習スペース

妻がまず挙げた悩みは、母屋で祖父母と共有しているスペースにある娘の学習机まわりだった。収納がなく、習い事が多いのに道具をしまう場所がない。娘の物はみんなのスペースにはみ出していく。撮影日は「普段よりは綺麗」な状態だという。机のそばの段ボールは、娘が物を入れて整理したいと言って置いたものだが、そのまま2か月たっている。

古堅は、娘は困っていないようだと受け止めつつ、物が多すぎるのだろうと見立てた。母屋全体については、妻が「手をつけてもらったら1週間ぐらいかかりそう」と言い、ひとまず悩んでいる場所を順に見ることになった。

母屋の奥にある「物置」と納戸

母屋の奥にはパントリーのように使われている通路がある。手前には使っている物、奥には使っていない物が置かれている。食器が大量にあるのは、この家が高台にあり、水害の際に親戚が避難してきたことがあるからだという。娘の服もここに置かれ、ここから取って風呂へ行く。

その先には、曾祖母を介護していた増築部屋がある。介護の前は納戸で、中の物をいったん出したまま、物置状態になっている。妻はここを納戸に戻し、今あふれている物を収めたいと考えている。そうすれば義父が歩くときに物に引っかからずに済む、というのが理由だ。

古堅はこの案にすぐには乗らなかった。物の置き場を2か所に分けると、結局手前しか使われなくなる。奥まった場所に物の定位置を作るのがいいのか、ここを空けて別の用途に使うほうがいいのか。それは全体を見てから決めたい、と保留した。祖父母の寝室にも、押し出された娘の棚がある。古堅は、交通整理で済むのか、それ以上のことが必要なのかがまだ分からないと話し、作業日が1日しかない点にも触れた。

廊下に積まれた妻の実母の遺品

離れへ向かう廊下にも物が置かれている。妻が亡くなった実母の家から引き上げてきたもので、整理できないまま残っている。家じゅうの至るところにこうした物があり、自分では整理がつかなくなって依頼したのだと妻は話した。実家にはまだ引き上げるべき物が残っているが、持ってくる場所がないという。

古堅は母屋と離れを比べ、物が置き去りにされている母屋は空気感がまったく違うと感じたと語っている。

離れの寝室とクローゼット

離れは後から建てた部分で、夫が子どものころは子ども部屋として使われていた。2階に家族3人の寝室があり、寝室でもかなりの物がある。

押し入れを広げてもらったクローゼットは物で埋まっていた。撮影直前まで離れのリビングにあふれていた荷物を、妻が頑張ってここに移したのだという。古堅は、逃がせる場所があるから何とか暮らせているが、物は多いと評した。そのうえで、やるべきことを明確にしないと全部が中途半端になると指摘する。この状況では娘のスペースは大したことではない、とも言った。

反対側は夫のスペースで、家族の衣類も置かれている。夫はおしゃれが好きで、服を捨てられない人だという。ピアノも妻の実家から持ってきたものだ。娘はピアノに興味があるが、習わせる時間がなく、「ドレミ」と弾く程度になっている。

奥のリビングとシャワー室

寝室の奥の扉を抜けると、突き当たりにリビングがある。古堅は「とても素敵なお家じゃない、物さえなければね」と言った。階段の上にも物が積まれていて、ほとんどが妻の物だという。

リビングは、妻が撮影前に片付けて「プチビフォーアフター」をした場所だった。皆に座ってもらえるようにしたばかりだが、妻は「まだ地獄がある」と笑う。

夫のリクエストは、シャワー室を使えるようにすることだ。洗濯機とシャワー室の空間は、もともと洗濯物を干す場所だったが、今はハンガーが押し込まれている。上のほうのハンガーは使っているという。夫は、仕事から帰ったら階下の母屋の風呂まで行かず、ここでさっとシャワーを浴びて寝たいと考えている。そのための離れを結婚時に増築したという。

古堅は、一つぐらい夫の夢を叶えてあげたほうがいいと応じつつ、ここの物をどかすこと自体は大したことではないと話した。問題は、この家を根本的に直すにはどうすればいいかだという。妻は「思考停止になってます」と答え、古堅は物の量が多すぎるのだと返した。

妻は40歳で娘を出産し、今も働いている。家事は義母が「私が働いているうちはしてあげる」と引き受けてくれているそうだ。

隠し扉の下の「地獄」

リビングから隠し扉のような入口を下りると、もう一つ部屋がある。階段は一段ずつ左右に足を置く造りで、ほかに行き方はない。

この部屋は娘が生まれたときに、娘の部屋兼ゲストルームとして作った。車椅子の親戚が泊まれるよう、外からスロープをつけ、洗面を設ける計画もあるが、まだ手をつけていない。今は亡くなった実母の荷物が持ち込まれている。娘の物もここにあるものの、娘が遊ぶのはたまにトランポリンをする程度だ。そのトランポリンは縦に立てかけられている。古堅は、ところどころ昭和の物もあるこの部屋を「時が止まってる」と表現した。

妻の希望の多さと、古堅の判断

一通り見たあと、妻は要望を並べた。第一は娘のことだ。自分ができていないのに、片付けなさいと娘を叱ってしまうことが多い。だから娘に片付けの仕組みを作ってあげたいし、掃除が行き届く清潔な環境を用意したい。夫にくつろげるスペースも作りたい。夫は2階の上の部屋を書斎にしたいと言っていたが、そこは布団置き場になっている。本好きの娘のために、図書館のように本をさっと取れる部屋もほしい。

古堅は、全部は叶えられないと伝えた。優先順位の高い順に考え、何かは諦めてもらう必要がある。この家で欲張りすぎるのがいちばん危ないという。ただ、どこを優先するかは古堅にも決めかねる。義父母の安全を考えれば母屋だし、3人の暮らしを考えれば離れになる。

古堅はさらに、物が多すぎるため、どの部屋もそこそこ犠牲になっていて、それでやっとリビングの景色ができていたのだと指摘した。離れの物を母屋へ移すのはナンセンスだとも言う。母屋は母屋で、歴史の違う物なりの解決を考えなければならないからだ。今の生活をよくするのか、今使っていない部分をよくするのか。たとえば離れを友達をいつでも呼べる場所にしたい、夫が帰ってきてくつろぎ、シャワーを浴び、2階に上がっても心地いい場所にしたいのであれば、離れの中で完結させて考える必要があるのではないか、と古堅は話した。

これに対して妻は、今は離れのほうが片付いて見えるので、向こうの物をこちらに寄せれば解決するのかと思っていたと打ち明けた。古堅は、そんなことをしたらこちらがもっと地獄になると答えた。妻は、収納に何を入れればいいかも分からず、使いやすく埋まれば整理がつくのではと考えていた。古堅の見方は、これだけ物が出ていたら収納には入りきらないだろう、というものだった。

二人目への未練と買い足しの循環

妻は、この部屋には自分の未練がたくさんあると語った。高齢出産だったが、二人目がほしい、できるのではないかと考え、子どもの服や食器、ベビーベッドを取っておいた。それが今も残っている。年齢的にも諦めなければならない。使う物と使わない物の分別を一緒に手伝ってもらえるだけで、ここはすっきりするのではないかという。古堅も、赤ちゃんのころからの物がまだ点在していると応じた。娘は10歳になり、娘の成長に合わせなければいけないのに「時は止まってる」と重ねた。

妻はもう一つの癖も明かした。心配になるとストックをため込む。ため込んだ物が家じゅうに散らばっているので量が分からず、また買ってきてしまう。

娘の答えと、古堅の厳しい言葉

古堅は娘本人にも話を聞いた。娘の答えは、母屋でも離れでもどちらでもいいから、とりあえず家を綺麗にしてほしい、というものだった。この日、母が離れのリビングを片付けてくれたのがすごく嬉しかったとも話した。

妻は、簡単には捨てられないと言う。古堅は、捨てたければ捨てていいが、この人は時間がかかるタイプだろうと受け止めた。思い出を振り返っていたら部屋は片付かないので、物をどこに寄せるかの話になると整理した。夫は翌日休みの予定だったが、早くて昼に帰れる見込みで、話は直接聞けない。

古堅は、夫を含め家族全員の「この家がこうなったらいい」というイメージが弱いと指摘した。「ちょっと片付けばいい」くらいの考えだからこうなる。この家で3人がどう暮らすかがぶれているから、物があちこちに散らばる。忙しいのは仕方がないとしても、もう10年たっている。娘はあっという間に20歳になり、もっと居心地のいい場所へ出ていくだろう。それは自立としてはいいかもしれないが、後で後悔すると思う、と古堅は語った。ようやく授かった娘が片付いた家に住みたいと言っているのだから、もう少し腹をくくったほうがいい。強い言い方になると断ったうえで、どうしたいかという答えが返ってこないと話した。

古堅は自分の役割も説明した。自分が来れば綺麗に片付くと思っているかもしれないが、自分はこの家族がどうしたいかに答えを出す人だ。6時間という限られた時間で最大の結果を出すには家族が一丸にならなければならないのに、自分に頼りすぎではないか。どちらにしても、どこかを犠牲にしないと片付かない。そこで、「これは譲って諦めるが、ここは絶対に変えたい」という気持ちを一晩かけて考えてほしいと求めた。翌日もう一度聞いて、それに対してアドバイスするという。最後は全員で気合を入れて初日を終えた。

撮影後に語られたこと

カメラに向かって古堅は、捨てない限り、どこかをすっきりさせるにはどこかを犠牲にしなければならないと改めて説明した。家族からはその優先順位が明確に返ってこなかったという。

その後、スタッフが妻から追加で話を聞いた。妻は嫁の立場としては母屋を優先すべきかと思う一方で、もともと依頼したのは離れの娘の部屋だったと話した。そこには素人考えの浅はかな収納があり、部屋が生きていない。娘の拠点にしたいが、自分の仕事が遅く、実際には休日しか使えない。娘のためにと作った部屋が物置になり、友達を呼んで遊びたいという娘の計画も叶えられていないという。この家のボリュームでは1回では無理だとも話し、何度か来てもらえれば母屋の重い家具の配置も変えられて義母も助かるだろうと言う。優先したいのは母屋の納戸と離れの部屋ではないか、という考えを示した。

義父母の希望については、義父は特になく、義母は片付けてもらえたらいいという程度だという。妻は、母屋の納戸の手前にあるガラス棚の中身が実母のお下がりで、それを義実家に押し付けてしまっていることを申し訳なく思っていると明かした。スタッフは、敷地内の小屋などを捨てられない物の「寄せ場所」にできないかと尋ねた。しかし、そこにもすでにかなりの物が入っているという。

妻は一晩で考えをまとめ、翌日古堅に伝えることになった。番組は、敷地があまりに広く方向性が決まらないまま、次回へ続く。