Metaの非エンジニアPMはCursorとClaude Codeでどのように本物のプロダクトを作り、リリースしているのか
Lenny's Podcast翻訳元 English
ゼヴィ・アルノヴィッツはMetaのプロダクトマネージャーで、その前はWixで働いていた。技術的なバックグラウンドはまったくないが、この1年でAIコーディングツールを使い、本物のプロダクトを一人で作ってリリースしてきた。彼をレニー・ラチツキーに紹介したタル・ラヴィヴは、彼を「私が知る中で最も実践的にバイブコーディングをしているPM」と評し、Metaのエンジニアたちがアルノヴィッツにその手法を教えてほしいと頼んでいると語った。この対談が答えようとしているのは、実践的な問いだ。コードを書けず、コードを見ることすら怖いと認める人が、どうすれば本格的なソフトウェアを作れるのか。アルノヴィッツの答えは三つある。再利用可能なプロンプトによる体系的なワークフロー、意識的に学び続ける習慣、そして互いの成果物をレビューし合う複数のAIモデルの活用だ。彼はこの回の目標を、準備中にClaudeから言われた言葉で表現した。視聴者が「彼はすごい」と思って帰ったら失敗、パソコンを開いて何かを作り始めたら成功だ、と。
音楽を学んでいた学生が1年でビルダーに
アルノヴィッツは自分には「技術的なバックグラウンドがゼロ」だと言う。高校では音楽を専攻していた。イスラエルでは兵役中に技術部隊に配属される人が多いが、彼はそうではなかった。収録の約1年前、彼は妻と3か月間アジアを旅していた。日本に滞在していた頃、ちょうどSonnet 3.5がリリースされた時期に、彼はYouTubeで、誰かがBoltかLovableを使ってアプリを作る動画を見た。グレッグ・アイゼンバーグかライリー・ブラウンの動画だったと彼は記憶している。
彼はその瞬間を、新しいテクノロジーについて聞かされたあとに「ああ、ところで、あなたは今や超能力を持っているよ」と付け加えられたようだったと表現する。帰宅すると荷ほどきすらしなかったという。Boltを開いてアカウントを作り、それ以来ずっと何かを作り続けている。
ChatGPT Projectsの「CTO」から始めた理由
彼のワークフローの出発点はChatGPT ProjectsとClaude Projectsだった。アルノヴィッツはこれらを、共通のカスタム指示と共有ナレッジベースを持つチャットの共有フォルダだと説明する。彼がヘビーユーザーになったのは、ChatGPTにメモリ機能が追加された頃で、彼はこの機能を煩わしく感じていた。彼はランニングをし、PMとして働き、心理学を学んでいたが、メモリ機能はこれらの文脈を混ぜてしまった。ランニングについて会話したあと、ChatGPTが「この5Kを走り終えたら、次のプロダクトレビューも全部圧勝できますよ」と言ってくることもあった。Projectsを使えば、それぞれの文脈を分けておけた。
BoltやLovableで開発を始めたとき、彼はこれらのプロダクトが「とにかくコードを書きたがる」ことに気づいた。システムプロンプトによってコーディングエージェントとして設定されているため、何かを入力した瞬間にコーディングを始めてしまう。プロジェクトの初期段階ではそれが楽しかったが、物事が複雑になると問題が生じたと彼は言う。決済やデータベースの変更のような機能では、計画を飛ばすと「必ずひどいことになる」とわかった。そこには「本当に厄介なバグ」も含まれていた。
これに対処するため、彼は「CTO」プロジェクトを作った。そのカスタムプロンプトでは、AIをプロダクトの技術面の全責任者とした。彼はAIに、自分は課題とユーザーにどう感じてほしいかに責任を持ち、AIはプロダクトをどう作るかに責任を持つ、と伝えた。また、自分に異議を唱え、人に迎合しないようにとも伝えた。これは典型的な「ChatGPTらしさ」に対抗するためだったという。
彼はAIモデルを人として思い描く傾向があり、デフォルトのChatGPTはあまりにも迎合的なので「最悪のCTO」になるだろうと考えている。例として彼が挙げたのは、JavaScriptツールのBunを理解しようとしていたときのことだ。Bunは彼によればAnthropicに買収されたツールである。CTOプロジェクトの外で、彼はChatGPTに、BunはZustandと似ているのかと尋ねた。Zustandは彼のアプリで使っているライブラリで、彼によればBunとはまったく関係がない。ChatGPTは「まったく同じです」と答えて説明を始めた。彼が反論すると、ChatGPTは謝罪し、彼が「ただでっち上げている」と思ったので「話を合わせていた」と言った。彼はこれを「あなたの一番くだらないアイデアにも付き合うCTO」と呼ぶ。確固としたペルソナを持つ専用プロジェクトは、それを避けるための手段だった。
段階的にステップアップする:「暴露療法」としてのコード
彼はもうワークフローでChatGPTを使っていない。かつて自分で手作りしていたプランモードや質問モードなどの多くは、今ではLovableやBoltといったツールに組み込まれている。それでも彼は、非エンジニアの初心者にはチャットのプロジェクトから始めることを勧める。すぐにコードを生成するのではなく、対話し、学び続けられるからだ。恐怖心を和らげる効果もある。「私のような非エンジニアにとって、コードは恐ろしいものです」と彼は言い、段階的なステップアップを暴露療法のように捉えている。
彼が勧める道筋はこうだ。まずはシンプルなインターフェースのChatGPTのプロジェクトから始める。次にBoltかLovableに移る。それからライトモードでCursorを使う。最終的には「ターミナルを開いて、完全にダークモードにして、本格的な開発者になる」。
彼はそれぞれのツールを、使いこなせる範囲を超えたときに卒業してきたという。Boltは、アプリに決済を接続しようとするまではうまく機能していたが、そこで「ちょっと崩れ始めた」。そこで彼はCursorに乗り換え、今はCursorの中でClaude Codeを動かしている。彼は、タル・ラヴィヴが別の誰かの言葉を引用したものだとする考え方を繰り返す。コードは「ただの言葉」であり、自分のコンピューター上のファイルにすぎない、と。だからこそ、一つのプロジェクトを複数のアプリ間で移動させ、複数のモデルで作業できる。
スラッシュコマンドによるワークフロー
画面共有で、アルノヴィッツは自分の環境を見せた。左にファイルツリー、右にCursorのAIペイン、中央でClaude Codeが動いている。ワークフローの中心は一連のスラッシュコマンドだ。これはコードベース内にファイルとして保存された再利用可能なプロンプトで、/ とファイル名を入力して呼び出す。彼はこれらを視聴者に共有している。
手順は次のとおりだ。
- Create issue:開発の途中で見つけたバグやアイデアを、Linearのチケットとして素早く記録する。
- Exploration phase:課題と現在のコードベースを理解し、確認のための質問をする。
- Create plan:テンプレートからMarkdownの計画書を作成する。
- Execute plan:それを実装する。
- Review:モデルが自分のコードをレビューする。
- Peer review:他のモデルがコードをレビューし、リードのモデルがその指摘に対応する。
- Update docs:将来のエージェントがより良いコードを書けるようにドキュメントを更新する。
このワークフローの骨格は、最初のCTOプロジェクトのシステムプロンプトから来ていると彼は言う。そこには「ステップ1ではこれをする、ステップ2ではこれをする」と書かれていた。同じことを繰り返していると気づくと、彼はそれを新しいスラッシュコマンドにする。
ライブデモ:StudyMateと穴埋め問題機能
デモに使ったのは、週末プロジェクトとして作ったStudyMateで、レニーによれば収益も上げているという。学生はPDFなどの学習教材をアップロードし、どのページから出題するかを選び、問題数と難易度を設定する。裏側では、アプリが教材、システムプロンプト、ユーザーの設定をGeminiに送り、Geminiがヒント付きの読解問題と、各選択肢が正解または不正解である理由の詳しい解説を生成する。当時、StudyMateは多肢選択問題にしか対応していなかった。競合調査の中で、アルノヴィッツは正誤問題や穴埋め問題の形式を目にしていたので、穴埋め問題をライブで作ることにした。
彼はWispr Flowで音声入力し、/create issue を呼び出した。このプロンプトはClaudeに、彼は別の作業の途中なので簡潔な質問だけをするよう伝えている。彼の仕様はこうだ。生成されるテスト問題の30%を穴埋め問題にし、空欄は2つ、候補となる答えは6つ(空欄ごとに正解1つと不正解2つ)、そしてドラッグ&ドロップのインターフェースにする。Claudeは、現在のクイズ形式、問題の構造、優先度についていくつか質問した。彼はこの機能を「あれば良い」レベルに設定した。続いてClaudeはMCPを使い、LinearにチケットSTU-88を作成した。MCPは、彼の説明では、AIがツールを使えるようにするAnthropicの技術だ。チケットにはTL;DR、(軽いコードベース調査に基づく)現状、期待される結果、背景情報が含まれていた。
レニーは、こうしたAI生成のチケットの品質はどの程度なのかと尋ねた。アルノヴィッツは、自分は「一人の会社」なので状況が特殊だと答えた。コンテキストのほとんどはコードベースにあり、他のチームと調整する必要もなく、Claudeが何かを誤解していればすぐにわかる。仕事では必ずしもこの方法でチケットを書くわけではないと彼は言った。また、このチケットはまだ実装できる段階ではなく、探索できる段階にすぎないとも説明した。
探索フェーズ:CTOに難しい質問をさせる
次は /exploration phase で、Linearのチケットを引数として渡した。このコマンドの目的は、「CTO」が課題を深く理解し、現在のコードベースを把握し、影響を受けるファイルを特定し、最適な技術的アプローチを見つけ出すことだ。Claudeはファイルを読み込み、アプリの構成、データの構造、リクエストから理解した内容、関係する主要な領域をまとめて返した。そして、スコープ、データモデル、UXとUI、バリデーション、採点、AIのシステムプロンプトの変更について質問した。デモでは、彼は準備しておいた回答を貼り付けた。普段はこのステップに多くの時間をかけるという。「本当に、本当に重要」だからだ。
彼はもうCTO役のために別のチャットを使っていない。同じClaude Codeのエージェントが探索、計画、実行を担う。それでも習慣で今もCTOと呼んでいる。ペルソナは現在、彼の Claude.md ファイルにあり、彼はこれをすべての会話に読み込まれるシステムプロンプトだと説明する。そこにはワークフローが記述され、探索フェーズでは彼の考えに異議を唱えるようClaudeに指示している。
彼はこのやり取りこそが、「ただバイブコーディングすること」と「本格的なアプリを本当に作ること」の違いだと考えている。それを支える別のコマンドが /learning opportunity だ。何かが理解しにくいとき、彼はこれを呼び出す。このプロンプトはClaudeに、彼は「技術系PMの卵」で、中級レベルのエンジニアリング知識を持ち、アーキテクチャは理解していると伝え、80/20の法則を使って説明するよう求めている。完全には理解できないことに出会ったときはいつでもこれを使うよう、彼は強く勧めている。
複数のモデルにまたがる計画と実行
/create plan は、彼がTwitterで見つけたテンプレートを使っている(誰のものだったかは覚えていない)。これは、明確で最小限のステップ、Claudeが作業しながら更新するステータストラッカー、TL;DR、そして下された主要な決定を含むMarkdownファイルを生成する。計画をファイルとして持っておくことは、二つの理由で役立つと彼は言う。第一に、計画の一部を別々のモデルに渡せる。Cursorのモデル「Composer」は「超高速」なので、複雑でない作業に使う。Gemini 3は「UIが信じられないほど得意」だと彼は言い、計画をバックエンドとフロントエンドに分けて、フロントエンドをGeminiに渡すこともある。第二に、計画をリポジトリに残しておくことで、将来のエージェントがその領域ですでに何が行われたかを確認できる。
デモでは、Cursor上のComposerで「execute」と入力し、計画ファイルをタグ付けして計画を実行した。機能は数分で出来上がった。その後、彼はアプリをローカルで動かして確認し、手作業で調整した。レニーは、人間のエンジニアなら数日から1週間かかったかもしれないと言った。アルノヴィッツは、Composerを使えば「機能全体が数分で完成する」ことに同意し、そのスピードのおかげでフロー状態を保てると語った。コストについて聞かれると、見てすらいないと答えた。以前はプロダクトにお金を払うことにけちだったが、今はその出費を「授業料」と捉えている。
なぜBolt、Lovable、Replit、Base44ではなくCursorなのか
アルノヴィッツはアプリビルダーを批判しないよう慎重だった。それらのチームは速いスピードで進化しており、現在の状況はわからないと彼は言った。Boltを離れたのは、物事のやり方について「非常にこだわりが強い」と感じたからで、彼自身がもっとコントロールしたいと思う段階に達していた。
彼の考えでは、これらのツールの主な違いはモデルではなくハーネスにある。同じClaudeのモデルが、Cursorでも、Claude Codeでも、BoltやLovableの裏側でも動いている。BoltやLovableのようなツールは、推測や難しい判断を取り除くレイヤーを追加しており、それによって開発は簡単になるが、コントロールは減る。対照的にClaude Codeは「Claudeをそのままコードのシステムに突っ込んでいるだけ」で、ツールへの完全なアクセス権を持つ。その代わり、自分で下さなければならない判断がたくさんある。彼はBase44を例に挙げた。Base44はGoogleでのサインインとデータベースを最初から設定してくれるが、どのデータベースを使うか、認証をどう機能させるかは自分で決められない。今日それらのプラットフォームで優れた本番アプリを作れるかどうかはわからないと彼は言った。しかし、最先端のモデルの能力をフルに使い、判断を完全にコントロールしたいなら、CursorやClaude Codeのようなツールのほうがおそらく良い選択だと考えている。彼はLovable、Bolt、Replit、Base44、v0を同じカテゴリーに分類している。
「タイムマシンの瞬間」
アルノヴィッツは、彼が「タイムマシンの瞬間」と呼ぶものについて語った。収録前の週、彼は三つのことを並行して進めていた。Claudeのプロジェクトを使ったポッドキャストの準備、StudyMateのヘブライ語から英語への完全なローカライズ、そして個人サイトの構築だ。ローカライズには2日かかったが、開発チームなら数週間かかっただろうと彼は見積もる。個人サイトは、ドメインすらない状態から約1時間半で公開まで至った。ある時点では三つのエージェントがすべて動いていて、彼には待つ以外にすることがなかった。彼は部屋から顔を出して妻に「僕たちは未来に生きているよ」と言ったが、妻の返事は「え、何?」だった。彼が言いたいのは、今では普通のノートパソコンから「APIひとつ」で実に多くのことができるということであり、だからこそ好奇心を持ち、楽観的で、勤勉な人にとって素晴らしい時代だということだ。
彼は兄弟についても触れた。兄弟は起業家で、高齢者がテクノロジーやAIを使いこなせるよう支援する事業を営んでいる。兄弟も同じ方法で学んでいる。アルノヴィッツによれば、兄弟は誰の助けも借りずに独自のCRMと自動化システムを構築し、有料ツールを置き換えた。アルノヴィッツの記憶では、その中にはZapierとAirtableが含まれていた。
レビューとピアレビュー:モデル同士に議論させる
レニーは、コードを書くことは簡単になり、今やAIが書いたコードのレビューが主な課題になっていると指摘した。アルノヴィッツは同意し、自分にとってミスを見つけるのは特に難しいため、レビューのプロセスは何度も改良を重ねてきたと語った。彼は必ずまず手作業でQAをする。それから /review を実行し、Claudeに自分のコードをレビューさせる。デモでは、Claudeはプロンプト内の重大なバグ1件と、深刻度が高・中の問題をいくつか報告した。
次に彼は、他のツールに独立したレビューを依頼する。Codex(彼はこれをClaude Codeに対抗するChatGPT側のツールだと説明し、使っているモデルを曖昧に「Codex 5.1 Max、だったかな」と呼んだ)と、Composerを使ったCursorだ。モデルごとに見つけるものが違うと彼は言う。Composerはすぐに終わったが、Codexは彼の言葉を借りれば「自分の暗い部屋にこもって」いて、数分かかるとのことだった。
彼が最も誇りに思っているステップが /peer review だ。これは、彼の「開発リード」であるClaudeに、社内の他のチームリードたちがあなたのコードをレビューして問題を見つけた、と伝える。そして、その指摘を額面どおりに受け取らないよう指示する。Claudeのほうがコンテキストを多く持ち、プロジェクトを率いてきたからだ。Claudeは、それぞれの指摘について本当の問題ではない理由を説明するか、修正するかのどちらかをしなければならない。彼は各レビュアーの出力を「開発リード1」「開発リード2」などとラベル付けして貼り付け、問題がなくなったと感じるまで「戦わせる」。時にClaudeは「生意気」になり、「この指摘は3回目です……これは仕様です」といったことを言う。こういうことをしている人はあまり見たことがないと彼は言う。レビュー中に何が議論されているかを理解するために、/learning opportunity もよく使う。
モデルを擬人化する
ピアレビューの仕組みは、彼が各モデルを同僚として思い描いていることから生まれている。彼はClaudeを「完璧なCTO」と呼び、コミュニケーション能力が高く、賢く、自分の意見を持ち、ただ話を合わせるだけではなく、協調的だと表現する。これは、彼ほど学ぶ必要がある人にぴったりだという。Codexは社内で一番のコーダーとしてイメージしている。パーカーにサンダル姿で出社し、暗い部屋に座っていて、最悪のバグのときだけ呼ばれ、2時間姿を消し、戻ってくると説明もせずに「直したよ」と言う。Geminiは彼の描写では、聡明で芸術肌の「マッドサイエンティスト」で、デザインは得意だが、見ているとハラハラする。これは自分の経験にすぎないかもしれないと彼は付け加えた。Antigravity(彼はこれをCursorに対抗するGoogleの新しいツールだと説明する)でGeminiを使っていると、リデザインの最中に推論の中でダッシュボードの削除を提案し、それを撤回し、さらにデータベースを編集してもいいかと尋ねたあと、最終的に美しいものを仕上げてくるのを目にしてきた。彼のアプローチは、各モデルを得意分野で使い、弱点を他のモデルで補うことだ。
ポストモーテム:バグだけでなく仕組みを直す
アルノヴィッツは、絶えずポストモーテムを行うことが重要な習慣だと強調した。バイブコーディングを始めた頃は、何かがうまくいくまで「壁に向かって突進し続け」、うまくいったら次に進んでいた。やがて彼は、「ドキュメントとツールを更新することが、生産性を上げる最大のコツの一つ」だと学んだ。
Claudeが何かに失敗したり、何かを誤解していることを示すバグを出したりすると、彼はこう尋ねる。「あなたのシステムプロンプトやツールの何が、このミスを引き起こしたのか?」 Claudeは原因を振り返り、その後、彼は同じミスが再び起きないようClaudeにツールとドキュメントを更新させる。修正対象はいつもスラッシュコマンドとは限らない。他のドキュメントやツールの場合もある。目的は根本原因に対処することだ。
彼はこれを、リリースしたプロジェクトの振り返りになぞらえる。成功した後でも、もっと良くできたことはないか振り返るべきだ。プロンプトを改良し続け、応答が良くなっていくのを見届けることは、「AIを使うことに慣れている人と、AIの使い方を本当にわかっている人を分けるものの一つ」だと彼は考えている。ワークフローは /update docs で終わり、その後、一般公開の前にさらなるテストとユーザーテストを行う。デモの機能はリリース予定ではないと彼は述べ、この回が公開される頃にはきちんとリリースできていればいいと語った。
大きな会社に取り入れるには
従業員500人や1,000人の会社のPMがこれを取り入れるにはどうすればいいかと聞かれ、アルノヴィッツは、まずはコードベースを「AIネイティブ」にすることであり、それは技術系の人が行うべきだと答えた。彼自身のコードベースには多くのプレーンテキストが含まれている。特定の領域での作業方法をエージェントに説明したり、エージェントが全体を把握できるよう高レベルの構造を記述したりしたMarkdownファイルだ。
その土台があっても、PMが大規模なデータベースマイグレーションや大型プロジェクトをリリースすべきだとは、彼は今でも考えていない。しかし、範囲の限られたUIのプロジェクトなら現実的だと考えている。特に、PMが変更を作ってPRを出し、最終的な仕上げを開発者に引き継ぐ形であればなおさらだ。長期的には、コンテキストウィンドウが大きくなりモデルが改善するにつれて、「肩書きは崩れ、責任範囲も崩れていく」と予想しており、誰もがビルダーになると考えている。今のところは、待たないことを勧める。開発チームとの協働による学びの機会と捉えるべきだという。多くの開発者は「とても、とても懐疑的」なので、これは難しく、「かなりの売り込みが必要」になるだろうと彼は予想する。彼の予測では、AIネイティブになることに本気で取り組むチームは「数年先の未来」にいることになり、準備に費やした数週間を有意義な時間だったと思うだろう。
AIはPMを劣化させるのか?「強く反対」
レニーはよくある懸念を取り上げた。AIに頼るとPMのスキルが弱まり、見た目は整っているが中身のない成果物につながるのではないか、というものだ。アルノヴィッツは強く反対した。タル・ラヴィヴのプロジェクトを使ったPMコパイロット構築講座に沿って作った自分用のPMコパイロットを使い始めたとき、同僚たちから「思考を外注している」と言われた。彼はそれを「最悪の見方」だと言う。彼の経験では、そう言う人は、10%しかできていないプレゼンを共有したがらなかったり、助けを求めるのが嫌いだったりするタイプであることが多い。多くのPMは、正しい答えを持ち、部屋の中で一番賢い人であることが仕事だと誤解していると彼は考えている。彼が教わったところでは、仕事とは、チームがユーザーにとって正しい解決策にできるだけ早くたどり着くために、使えるものは何でも使うことだ。彼はAIを、いつでも相談でき、決して批判しない賢いメンターだと捉えている。
AIの出力をそのまま渡すだけなら、それはスロップ(粗悪な成果物)だが、同時にそれは人間のミスでもあると彼は言う。自分の成果物には自分が責任を持つ。プロダクトレビューで「すみません、それはAIが作ったものです」と言うのは、あなたのミスだ。さらに彼は、AIによってジュニアPMが「はるかに高いレベルでプレーできる」ようになると付け加える。Wixでは、彼は会社のマーケティング戦略を決めたり、オンボーディングを全面的に見直したりする立場にはなかった。サイドプロダクトでは、戦略、マーケティング、メッセージングを含むあらゆる判断を自分で下しており、キャリアの初期に非常に重要な実践経験を積めている。彼の見解はこうだ。「AIがあなたの仕事の能力を下げる唯一のケースは、使い方を間違えている場合だけです」
より良い出力を得るための彼のアドバイスは、人に対してそうするように、AIが成功できるよう準備を整えることだ。ジュニアに「戦略資料を作って」とだけ頼めば、ネットで一番上に出てきたものを真似するだろう。AIがしているのも本質的にはそれだ。自分の文章のスタイルや解決しようとしている課題についてのコンテキストを与えれば、結果は変わる。彼はまた、Cursorの創業者たちがTwitterで話しているのを見たという /deslop コマンドにも触れた。これはコードを見直すもので、製品にすでに組み込まれているかどうかは彼にもわからない。彼はそれに似たものを実行して、「スロップを一切残さない」ようにしている。
AIを使ってMetaの面接に備える
アルノヴィッツは、自分の世代とAIの関係を、12人いる甥や姪に電話の出方を聞くと、受話器を持ち上げる代わりにiPhoneをスワイプする仕草をすることになぞらえる。新しい課題に直面するたびに、彼はまずAIがどう役立つかを考える。Metaから声がかかったとき、彼はすぐにコーチ役のClaudeプロジェクトを作った。そこにはネットで見つけた資料を読み込ませた。その中には、レニーのニュースレターにゲスト投稿をしたベン・エレズのフレームワークも含まれていた。選考の各段階でそれに相談し、模擬面接も行った。
彼はほかにもいくつかの手法を挙げた。
- 練習用ゲーム。 プロダクトに関する質問でのセグメンテーションに苦戦していたので、Base44でクイズゲームを作った。シナリオを生成し、セグメントを選ばせるものだ。彼は通勤のバスでそれをプレイした。
- 質問の優先順位付け。 Comet(彼はこれをPerplexityのブラウザだと説明する)のエージェントを使い、ルイス・リンが無料で公開し常に更新している実際の面接質問のデータベースを分析させ、最も頻繁に聞かれる質問を見つけた。それによって、どの質問から模擬練習すべきかがわかった。
- 率直なフィードバック。 模擬面接の後、彼はClaudeに「気分を良くしてほしいわけじゃない。できる限り準備万端にしてほしい」と伝えた。
- 逆模擬面接。 練習する時間がなかった質問については、Claudeに候補者役を演じさせ、優れた回答から学んだ。
それでも、最大のゲームチェンジャーは人間との模擬面接だったと彼は言う。LinkedInで面識のない人にメッセージを送り、本物の模擬面接をしてもらった。競争の激しいMetaのPM選考では、「それを避けて通る方法はない」と彼は考えている。レニーは、ノーム・シーガルとの調査で、人々が録画した面接のフィードバックを得るためにAIを使っていることがわかったと述べた。面接官は何がまずかったかをほとんど教えてくれないので、その穴を埋めているのだ。アルノヴィッツは、これらすべてを彼がよく考える一文に結びつけた。あなたがAIに取って代わられることはない、少なくとも長い間は。しかし「あなたより上手にAIを使える人に取って代わられる」。
失敗コーナー:10倍のPMから10倍の学習者へ
彼の失敗談は、Wixでのキャリアの始まりにさかのぼる。彼は学生向けプログラムを通じて入社し、Wixの中核製品であるEditorのチームに、非常に経験豊富な4人のPMとともに配属された。最初のプロダクトレビューで彼らをあっと言わせたかった彼は、一人で長時間働き、途中経過をほとんど共有しなかった。レビューは散々だった。彼らが期待していた形式ではなく、彼が予想していなかった質問がたくさん出た。彼はひどく落ち込んだ。しかし、チームの反応は落ち着いたものだった。2週間後にまた来て、続けてくれればいい、と。彼は、彼らが自分に10倍のPMであることなど最初から期待していなかったのだと気づいた。彼らが期待していたのは、10倍の学習者であることだった。
それが彼のやり方を変えた。彼は同僚一人ひとりの強みを見極め、その分野のメンターとして頼った。今も彼のメンターであるネリは、彼が見た中で最高のプロダクトセンスを持っている。オヤはフレームワークと方法論で考える。プロダクト責任者のヤーラは、プロダクトの判断が及ぼす三次的、四次的な影響を即座に見抜ける。彼らに相談することで多くを学んだと彼は言う。そしてそのおかげで、その後の彼の成功は彼らの成功のように感じられるものになった。「俺たちを出し抜こうとしている若造」ではなく、彼らを誇らしい気持ちにさせる教え子になったのだ。結果的に彼は頭角を現したといい、今ジュニアPMに贈るアドバイスは、誰もあなたがすべての答えを持っているとは期待していないのだから、できる限り最高の学習者であれ、というものだ。
ChatGPT以前:防寒肌着ビジネスの奮闘
ライトニングラウンドで、アルノヴィッツは『水源』、『SHOE DOG』、キャロル・ドゥエックの『マインドセット』を推薦した。『マインドセット』は、硬直したマインドセットが自分を妨げていたことに気づかせてくれ、人生を変えたという。ドラマでは『ザ・ピット』と『セヴェランス』、そしてお気に入りのLoomの代替ツールとして、Cap(オープンソースで「本当によく作り込まれている」)とSupercutを挙げた。座右の銘は「やろうと思えばやれる」と、兄弟の口癖である「誰も自分が何やってるかなんてわかっちゃいない」で、後者のおかげで人生を気楽に捉えられるという。
レニーが以前の事業について尋ねると、彼は防寒肌着の話をした。エルサレムで10年生(日本の高校1年生に相当)だった頃、彼は防寒用のシャツとパンツのセットを1つ約20〜25ドルで売り、1つ売るごとに約4ドルを稼いでいた。サプライチェーンの中では6番目か7番目の位置だった。夏の間、彼は輸入業者に直接電話をかけた。輸入業者は最初は腹を立て、その立場を得るには何年も自分の下で働く必要があると言った。アルノヴィッツは、これを自分のキャリアにするつもりはないと返した。二人は夏の間ずっと交渉した。輸入業者が輸入税が上がったと主張すると、アルノヴィッツは電話で時間を稼ぎながらGoogleで調べ、反論を持って戻ってきた。彼は価格を1つ12.50ドルまで下げさせ、約100%の利益を得られるようになったという。彼はいくつもの学校で一番人気のある生徒を販売員として集めた。彼の学校のバスケットボールチームはハーフタイムの時点で30点リードしていることが多く、観客が退屈していたので、彼はドラムに合わせたチャントを作った。そこには彼の電話番号と、一緒に歌った人への割引が含まれていた。今でもエルサレムでは「サーマル・ゼヴィ」と呼び止められることがあり、メロディーでしかその番号を知らない人もいるという。
「ジュニアにとって最高の時代」
アルノヴィッツは冒頭の論点に戻って話を締めくくった。ジュニアのポジションが少なく、新卒者が職探しに苦労していることは認めつつも、学校を出て数人の友人と、完全に自己資金でスタートアップを立ち上げられる時代が、歴史上ほかにいつあっただろうかと問いかけた。Wixでの最後の頃には、彼が面接した候補者の中で、AIを使って自分で何かを作っている人がどんどん増えていたという。好奇心があり、勤勉で、コミュニケーションが上手な人は「圧倒的に有利」で、企業に「20年の経験を持つほとんどの人よりも」多くの価値を提供できると彼は主張する。彼はそのリストに優しさも挙げたが、それについては確信がないと言った。
始め方についての彼のアドバイスは、対談全体の内容と一致している。ChatGPTから始め、アイデアを説明し、最初に下すべき判断を説明してもらい、好奇心を持って質問し、急がないこと。視聴者がどう彼の力になれるかについては、学生にはStudyMateを試してほしい、まだ音声入力を使っていないヘブライ語話者には彼のアプリDibur2textを試してほしい、そしてこの回で学んだことを使って何かを作った人は、それを彼に送ってほしいと呼びかけた。
該当する記事はありません。
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